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2006年04月29日
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カテゴリ: 邦画(05・06)
「伊豆の踊り子」


哲さんの記事 で吉永小百合の「伊豆の踊り子」は、当時の芸人に対する差別意識と一高生に対する世間の人の特権階級への態度が自然と現れていて、現代の「格差社会」に通じるテーマが出ていてる、とかかれてあった。

興味をもったので、ツタヤで探してみると、1954年美空ひばり主演のそれがあったので見てみた。富士山をバックにした俯瞰風景。乗合馬車に乗る一高生と後に知り合いになる踊り子の兄夫婦と出会いを描くオープニング。当時まだ色濃く残る昭和初期の景色を丁寧に映している。

やはり宿屋の女中さえも旅芸人には厳しい態度を示す。村の入り角には、「芸人、物乞い村に入るべからず」との立て札まである。一方、茶屋の息子は学生さんが落としていったお金を遠く下田まで探して届けようとする。学生に対する誠実さと一種の尊敬がそこにある。現代では芸人と学生に対する態度はまさに正反対になったが、むかしは芸人は物乞いと同等の位置にあったし、学生はやがては社会の中枢に登るのだということが誰ともなく知られていたのだろう。その間には「格差」がある。それが一般の人の「常識」というものだったのだろう。吉永小百合版にあるという「死んだ酌婦の亡骸が、明け方に人知れず運び出されるエピソード」は美空ひばり版にはない。けれども、学生と踊り子は最後まで自分の本心を口にしない。そこは、現代とは違うが、格差に対する「諦め」がある。それをを描こうとしたら、その克服を描こうとしたらなら、現代的なテーマを持った映画が出来るかもしれない。

主演の二人には「花」はあるが、細かい演技は無理のようだった。しかし、脇役の奮闘や、宿屋の雰囲気、等々、でいまも見ることのできる作品になっている。美空ひばりは背が一段と低く、本当に14歳の少女みたいな感じ。本当に「まだ子供なんだ」という雰囲気が漂っていた。

映画は1974年山口百恵版が最後らしい。2002年に後藤真希がテレビのスペシャル版で出ている。現代版では私は哲さんと同じく堀北真希を推す。小学生役もやった実績(「ヒノキオ」)と、大人の役もこなせる実力を買う。

映画の基調は、踊り子と一高生の『かすかな』『淡い』恋を縦軸に、格差社会の告発という社会派映画というよりも、貧乏人にも誇りがあるんだ、という貧乏に対する『共感』と『プライド』を横軸に描いていたように想われる。





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最終更新日  2006年04月29日 20時18分22秒
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