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2006年06月08日
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山椒魚戦争
「山椒魚戦争」岩波文庫 カペル・チャペック 栗栖継訳
古代の進化からとり残されていた大山椒魚たちは、20世紀の始め、野心家の資本家の手により「利用」されることにより、急激な「進化」を始める。物語は、ドラマ、世間話、奇談、学術論文、新聞記事、等々のさまざまな体裁を取りながら、山椒魚族と人間との奇妙な戦争、文明の滅亡、さらには山椒魚族の滅亡まで取り上げる。実際の原作を読んだ人は少ないと思う。今はどの本屋でも見かけないし。私も96年岩波文庫で増刷されたときに買ってからずっとつんどく状態のままであった。ところが読みだすとこれがまた面白い。話のエッセンス的には手塚治虫「鳥人大系」だと思っていれば間違い無い。手塚は間違い無くこの作品を換骨奪体した。もちろん手塚は手塚なりの味付けをしている。しかし面白さの点ではさすがにこの原作には及んではいないようである。

私が約10年前に読了に失敗したのは、話が動き出すまでに時間がかかったのと、そのときの主要人物であるボンディ船長はつい解説を読むとその後は全然登場しないと書いてあったので、何だかしらけてしまったためである。ところが実はこの船長が登場しなくなったあとがすこぶる面白くなるのである。これから読む人はその辺りまでは何とか我慢して読んでもらいたい。

カペル・チャペックはその主著「R・U・R」で「ロボット」という人造人間を始めて登場させ、ロボットの名づけ親になったということでも有名である。(ロボットとは労働するという意味らしい)が、どうもそれだけに収まりきれないチェコ・スロヴアキアを代表する凄い文豪だったみたいだ。この本を読んで、とても1936年(昭和11年)の作品とは思えない。訳が良いのか文体は丸きり現代文。ここで書かれている世界情勢、この70年間いったい人類は進歩してきたのかと疑いたくなるくらい違和感が無い。

ルイジアナで大地震が起こり、ニューオリンズが津波等の被害で海に沈んだ。それは山椒魚族が自分たちの住処を拡大するために起こした地殻変動で、ルイジアナ知事は山椒魚の長から「人名の損失を出したこと遺憾にたえず」という電報を受け取っていたが、いたずらだと思い無視していた。しかし、これはその後の「戦争」のほんの前触れに過ぎなかったのである。と、いうエピソードが中盤にある。---これですぐ思いだすのは昨年の台風カトリーナ。これってもしかしたら「予言の書」かと思ってしまう。そういえばスマトラの西沖には山椒魚揺籃の地(タナ・マサ島)が有ることになっている。ここが大震災の震源の地であると決めたのは果たして偶然なのか。あるいは、山椒魚との交渉でまったく進まない国際会議。つまらないことしか決まらないために返って事態は深刻になっていくさまは最近の中東問題、北朝鮮問題だ。

長くなったので続きは明日






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最終更新日  2006年06月08日 21時33分08秒 コメント(8) | コメントを書く


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