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2008年03月08日
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臨場
横山秀夫(光文社文庫)
臨場―警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。‘終身検視官’の異名を持つ倉石は、他の者たちとは異質の「眼」を持っていた。‘終身検視官’、死者の人生を救えるか―。組織と個人、職務と情、警察小説の圧倒的世界。 (「BOOK」データベースより)

横山秀夫にはハズレがない。一貫して組織の中の個人の矜持を謳い上げ、同時に周到にめぐらした伏線とキレイナ落とし所を用意して、必ずエンタメとして成立させている。直木賞騒動で無冠の帝王となった今、自分の本は作品の質で売るのだ、という作者のプライドがそこかしこに溢れている。

しかし、これはもろ刃の剣である。最高のものを求める緊張感がいったん途切れると、あまりにもご都合主義的な短編集になることがある。この短編集はまさにそれだったように思えた。
「赤い名刺」「眼前の密室」「鉢植えの女」…みんな結末に話を持っていくために「みえみえ」の伏線を張っている。

しかし、「餞(はなむけ)」だけは違った。事件性がほとんどないのに、この短編の数ページでいったい何度作者は「どんでん返し」をしたことか。そして最後は見事な人情話に持っていく。この職人技には唸った。この一遍だけでやはり横山秀夫にはハズレはない、と言わざるを得なくなった。






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最終更新日  2008年03月08日 21時41分15秒
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