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2008年06月25日
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堤未果のルポの視点は非常に単純でしかも「真っ当」である。驚くべきなのは、彼女の視点で書かれたルポが、ブッシュ政権発足以降、誰も書いていないことの不思議だろう。現代はこれほどまでも英語能力Aクラスの人物が大量に居るというのに。

ルポ貧困大国アメリカ
昔、高校の世界史の先生がこんなことを言った。「アメリカが風邪をひけば、日本は肺炎を起こします。アメリカで起きたことは10年遅れで日本にやってきます」そのときには「大げさだなあ」と感じた記憶がある。だけれども、この言葉が真実であることは、このブログを見ている人はほとんど納得していることと思う。昔と違うのは、「10年」という単位がどんどん短くなってきており、5年、或いは出来事によっては、2~3年に縮んで来ているということである。

ももたろうザブライさんが この本の内容を非常にコンパクトにわかりやすくまとめてくれている。 だからもうこれ以上は書く必要もないのだけど、「細部にこそ、参考になることはある」というのが、私の持論なので(^_^;)参考になったところの一部を抜書きしてみたい。

曰く。
「(2005年の)ハリケーン・カトリーナは自然災害などではありません。人災でした。」(略)「国民の命にかかわる部分を民間に委託するのは、間違いです。国家が国民に責任を持つエリアを民営化させては絶対にいけなかったのです。」(46p) 日本で市場テスト化法が通ったのは、つい最近である。

曰く。
医療保険未加入者の数は2007年の時点で4700万人。この数は年々増え続け、2010年までには5200万人を超えると予想されている。無保険者が増え続ける持つとも大きな理由は、市場原理の導入の結果、医療保険が低リスク者用低額保険と病人用高額保険に二分されてしまったことだ。」(91p) 現在アメリカ資本の医療保険が、日本の保険を駆逐しつつある。いやあ、見事です。たぶんこの様子はのちに歴史の教科書に載るのではないか、と私は思っている。さて、その先にあるのはいったいなんなのか。医療保険未加入者の数で、堤さんは教えてくれています。


2002年春。ブッシュ政権は新しい教育改革法(「落ちこぼれゼロ法」No Child Left Behind Act)を打ち出した。
「アメリカでは高校中退者が年々増えてきており、学力テストの成績も国際的に遅れをとっている。学力の低下は国力の低下である。よってこれからは国が教育を管理する。」
どうやって管理するか?
競争を導入する。
どんな競争を?
全国一斉学力テストを義務化する。但し、学力テストの結果については教師および学校側に責任を問うものとする。良い成績を出した学校にはボーナスが出るが、悪い成績を出した学校にはしかるべき措置をとる。たとえば教師は降格か免職、学校の助成金は削減または全額カットで廃校になる。」
つまり、これは5年遅れでみごとに日本にやってきた。日本の政治家はその意味では真面目である。このあとにやってくるのはなんなのか。この文章の続きをそのまま載せる。
「教育に競争が導入されたことにより教師たちは追い詰められ、結果が出せなかった者は次々に職を追われた。だが、この法律の本当の目的は別なところにあったと言われている。
「個人情報です。」
そうきっぱりと言い切るのはメリーランド州にあるマクドナウ高校の教師、マリー・スタンフォードだ。
「落ちこぼれゼロ法は表向きは教育改革ですが、内容を読むとさりげなくこんな一項があるのです。全米のすべての高校は、生徒の個人情報を軍のリクルーターに提供すること、もし拒否したら助成金をカットする、とね。」

そうやって、個人情報提出を拒否できない貧しいものたちが多く通っている高校の生たちへ軍のリクルーターから軍隊に入れと「お誘い」があるわけだ。そのあとどのようなことが待ち受けるのかは、本を読んで欲しい。

このように、日本がいまどのように危ういところに立っているか、突きつける本である。







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最終更新日  2008年06月26日 00時50分08秒
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