再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

『中国、モンゴルの… New! Mドングリさん

5/18:茨城県・鹿島… New! 天地 はるなさん

「枕草子」(上)を… New! 七詩さん

美しい日本語に 一… New! ポンボさん

源氏物語〔2帖帚木 … New! Photo USMさん

カレンダー

2008年07月28日
XML

「ソウルの練習問題」関川夏央 集英社文庫
韓国がまだ「近くて遠い国」だった時代、
「ありがとう(カムサムニダ)」をちゃんと言えるだけで、「よく話す外国人」になれた時代、
小企業社長のペーさんが、韓国のOLたちが焼酎を飲みながらくだを巻いているのを箸で指差して曰く「あれはなんですか。女どもも酒を飲みに来るですねえ。困ったもんですわ、全く。日本ではそうですか、いくら進んでいるといっても、日本ではまだあんなことはないでしょう?考えられんことですわ」と、苦々しく言えた時代、
つまりまだ家父長制がはばを効かせることが出来た時代、
80年代初め、何度も旅行人として、韓国に渡った日本の青年がいた。関川夏央である。

このときの関川のように、まだカタコトしか韓国語を話せない、まだカタコトしか韓国の文化を知らない、それでも飽きずに一人旅をする、私のようなものに、うなずくことの多い本だった。

例えば。朝鮮人にもむつかしい発音はあるのだそうだ。
「これらの要素を全部ひっくるめて、日本人が残酷なゴーントレットとして使用したフレーズが、「15円50銭と言ってみろ」である。このために何人の朝鮮人が命を落としたか、分らない。」 そして続けて、われわれが朝鮮人を無意識のうちにその様に差別しているように、異邦人の日本人は同じように差別されているのだ、と指摘するのである。
「われわれも、かの地においては朝鮮語をどんなに自在に操ろうと、チュゴエンコチチッセンと叫んでいるのだということに気づかなくてはならない。両足の、親指だけが離れているという選別方法はすでに現代日本人には無効だろう。その代わりに、われわれは朝鮮語で、朝鮮語の「チュゴエンコチチッセン」を言わされ、嘲られるのだ。」

去年の韓国旅行時、密陽のバス発着場のチケット売り場の人に「ボストォーミナルカジ」(バスターミナルまで)と言うと、簡単に日本人であると言い当てられたということは すでに書いた。

この本が最初に出版された1984年から比べると、関川のように旅する日本人は私を含めて溢れかえっている。だからこそ、反対に意味のある本でもある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年07月29日 03時41分05秒
コメント(12) | コメントを書く
[08読書(ノンフィクション)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504 @ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: