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2008年09月02日
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吉備人出版は岡山県の地方出版社で、吉備の古代遺跡の本を系統的に出版しており、大変お世話になっている。

目に見えるし派手な古墳時代と違い、弥生遺跡の解説本は少ない。しかしこの「吉備考古ライブラリィ」では、すでに弥生時代の遺跡本が三冊、鉄や製塩などをテーマにした本を入れると、五冊刊行されている。この「吉備の弥生集落」は、県南の街中にあるために土地の名前は一番なじみが深くて、しかしそのわりには全体像がよく知られていない上東遺跡と百間川遺跡を中心に叙述されている。

吉備の弥生集落
特に上東遺跡は、その当時日本列島最大にして質的にも最高の弥生墳丘墓のある楯築の南側にある弥生住居遺跡であり、私がもし弥生時代をテーマに小説を書くとしたならば、主人公はここを故郷として旅をするようになるだろう、というくらい重要な遺跡なのである。

この本で、イメージが大きく広がった。ありがたい。例えば、この遺跡は全国的にも珍しく船着場の遺構が見つかっているのであるが、そこで見つかった弧帯文や絵画土器などを元に出航の儀式をも想像できるようになった。また、全国数少ない製塩場があったところであり、どのくらいの塩が採れるか計算している。あるいは米の量も計算しており、余剰米と塩で、どのくらいの国力が持てるか想像できるようになっている。聖なる山の「中山」を背景に、吉備の表玄関としての上東遺跡。物資だけでなく、ほかの地域社会の動静やさまざまな情報の集約場所。大和、北九州、朝鮮半島。その様な情報基地としての機能などをいろいろと想像した。

米と塩で鉄の輸入を可能とし、それを地域に分配することで、吉備を大きなクニとしてまとめることに成功していたのかもしれない。それから約400年後、吉備に「まがね吹く」という枕詞が与えられるようになる。私は相当早い時期からおそらく弥生時代から古墳時代に移る直前、吉備の若者が伽耶の国から製鉄技術を盗んだと見ているのだが、それは「未だ語られざる物語」なのではある。





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最終更新日  2008年09月02日 22時19分58秒
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