再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

『世界 2024年3月号… New! Mドングリさん

5/18:茨城県・鹿島… New! 天地 はるなさん

「枕草子」(上)を… New! 七詩さん

美しい日本語に 一… New! ポンボさん

源氏物語〔2帖帚木 … New! Photo USMさん

カレンダー

2009年09月27日
XML
カテゴリ: 山大新聞会
「エー!僕だけで取材に行くんですか。ムリです。」

私は素直な新入生だった。

私は県庁に赴いた。
そのころ、山口県の県庁はまだ全体が木造の平屋であった。戦災を免れていたたためか、いくつもの建物が長い廊下で繋がれて、非常に広い迷いそうなところであった。
反対に言えば、歴史的な由緒ある建物であった。
一般的には産業の中心に県庁はあるものであるが、山口県はその役割は宇部市や徳山市にふられていた。なぜか県庁所在地には文化的な建物しかなかった。伊藤博文や山県有朋、或いは岸信介を生んだ山口県、歴代の政治家たちに何らかのこだわりがあったのかも知れない。

複雑な木造の廊下を歩いて、何も知らない新入生の私は、受付でB氏を呼んでもらったのであるが、電話に出たB氏は突然やってきた得体の知れない学生を訝しがり、今忙しいので後で連絡するといって、私たちの連絡先を聞いただけて会ってくれなかった。(今から考えると当然といえば当然であろう。)
私はすごすごと戻っていったのであるが、やがて会ってもいいという連絡が来る。
もしかしらA教授に私たちの新聞会が怪しいものではないと聞いたのかかも知れない。

「なぜ60年安保闘争を始めたのか」 と聞いたとき、次のように言ったことは、私が書いた記事の中心的な言葉になったし、生涯忘れることの出来ないものでもあった。
「私は安保問題の難しいことは良く分からなかった。けれどもあの国会の強行採決を知って、このままでは、日本の民主主義はだめになるかもしれない。ただ、その危機感だけで、集会を準備したし、デモもやっていったんだと思う。」
突然目の前の中年おじさんが、私たち学生の仲間に見えた。

それは当時の自覚的な学生たちの正直な言葉だっただろう。
そしてそれは当時としてはすでに(そして今も)失われつつある言葉だったろう。
私はそのインタビューという「事実」を採取することに成功したのである。

全国闘争と組織の関係、集会とデモの関係、そんなことのイメージをぜんぜん持っていなかった私は、聴くべき言葉をずいぶん逃していたと思う。私はもう少し突っ込んで、たとえば次のような質問もしてみるべきだったかもしれない。

現在の日本や学生に対して、何か思うことはありますか。」

過去の歴史から現代を照射する、そういう試みも面白かったかもしれない。

しかし、まあ何とか私の「初めての取材」は終わった。
次は私の「初めての記事」である。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年09月27日 23時30分47秒
コメント(0) | コメントを書く
[山大新聞会] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504 @ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: