再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

カレンダー

2010年03月19日
XML
カテゴリ: 加藤周一

「加藤周一自選集3」 より

「源氏物語絵巻」について
おそらく1964年末、加藤周一は上野毛の五島美術館において「源氏物語絵巻展」に出会い、大いに興奮し、彼はその直後、重大な日本文化に対する「型」の仮説を立てるに至った。
結論から言えば、それはやがて「日本文化における時間と空間」に結実する。

加藤周一は源氏物語絵巻に何を見たか。一言で言えば、「多くの直線による画面の分割法の繊細微妙極まるところの無い洗練」を見たのである。


(略)
おそらく物語と質と造形的な絵画の質とを結び付けて考えることは出来ないだろうが、文化の構造の中で関連はあるだろう。
(略)
私見によれば、「源氏物語」の眼目は「時間」である。(略)そのなかで季節が変わり、治世が変わり、世代が交代し、人が生まれ、育ち、恋し、苦しみ、老いて、死んでゆき、過去が現在になり、現在が未来を含む「時間」の流れそのものに他ならなかった。(略)されば一方には「源氏物語」の「時間」があり、他方には「源氏物語絵巻」の「空間」があった、ということができる。
(略)
その一方の時間は、終末論を含まない具体的で現実的なこの世の時間である。物語は永遠を考えなかったから、時の流れに敏感であることが出来た。
(略)
他方の空間は、合理主義的な均斉を含まない感覚的で微妙な日常世界の空間である。「絵巻」は、左右相称や黄金分割を無視したから、空間の構造に無限に敏感になることが出来た


私は源氏物語絵巻を直接見たことが無い。よって、加藤のこの判断をなんとも言うことはできない。

ここには、加藤の「発見」に対する率直な喜びの言葉が入っている。そしてその「発見」は日本文化、ひいては「我々とはなにものか」ということを考えるに置いて非常に重要なことを示唆していると私は思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年03月19日 23時55分54秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな@ 自然数の本性1・2・3・4次元で計算できる) ≪…三角野郎…≫は、自然数を創る・・・  …
永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…

バックナンバー

・2024年09月
・2024年08月
・2024年07月
・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: