再出発日記

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2010年03月30日
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カテゴリ: 洋画(09~)
霧の晴れた橋の上で、二つの集団難民が行きかう。1939年、ドイツがポーランドに侵入し、10数日後にソ連が進入した。二通りの難民が同時に発生したのである。「こちらに行くと危険だぞ」と両方とも言う。まさにそのとおり、ポーランドの50年にも及ぶ悲劇の始まりであった。

1007811_01.jpg
監督・脚本 : アンジェイ・ワイダ
出演 : マヤ・オスタシェフスカ 、 アルトゥル・ジミイェフスキ 、 マヤ・コモロフスカ

カティンの森事件は一万人以上のポーランド将校がソ連によって惨殺されて森の中埋められた事件である。長い間、語るのもはばかれたタブーであったというから、てっきり穴を掘り返しして真相を究明したのは何十年も経ってからだと思っていたら、もう数年後には掘り返されて映画にもなっていたのである。それもそのはず、1944年までポーランドはドイツによって占領されていて、ポーランドがソ連の犯罪を糾弾する為の愛国映画が必要だった為である。その時点で、さまざまな証拠品もとり揃っている。

そして次には、ポーランドはソ連の支配下に置かれる。そうすると、一転、カティンの森事件は「にくきナチの仕業」として愛国映画が出来上がるのである。(もちろん国民のほとんどはソ連の仕業だと知っている。しかし、そのことは決して口には出すことは出来ない。)戦後、ポーランドの人たちは新たな闘いを強いられるのである。

カティンの森事件の本質は、けっしてソ連軍の残虐性なのではない。他国への侵略によって、国の自由がなくなることはどういうことなのか、そのひとつの象徴を冷静に描いている。

ワルシャワ蜂起に参加したという女性が、ソ連の言論封殺に逮捕されながらひそかに抵抗を決意している風貌もよかったし、ほんの一瞬の恋が、直後に砕ける若者のエピソードもよかった。

乾いた映像、ワイダがカラーで描くとこうなるのだということがよくわかった。アンジェイ・ワイダよ、これで終わってほしくない。この映画は素晴らしい。しかし、今だからこそ描ける「抵抗映画」をぜひとも完成させてほしい。





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最終更新日  2010年03月30日 22時21分01秒
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