再出発日記

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2011年04月17日
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カテゴリ: 加藤周一
「加藤周一が語る」聞き手小森陽一 九条の会編集

このパンフは九条の会から取り寄せて読ませてもらいました。二回の対談があり、最後は2008年4月26日であり、この直後に胃がんが発見されているから、実質最後の対談本だといっていいのかもしれない。(加藤周一の絶筆は夕陽妄語七月掲載分、最終発言はETV特集)

だが、しかし、ここにも遺言といっていい発言が多くあり、読んでよかった。ランダムに紹介したい。

(2007年12月1日の対談)
小森 「問題の整理をします。ほとんどのマスコミが論評していない(大連立を話し合った)小沢・福田密室会談の意味、それは、いままで日本の歴代政権があいまいにし続けてきた対米関係を重視するのか、それとも国連を重視するのか、この二者択一に関して、小沢一郎ははっきりと、対米よりも国連の安保理の決議を重視するという意見に踏み込んだ上で会談がもたれたことにある。」
→正直、大連立構想に対してこの視点を私は持っていなかった。加藤氏の慧眼に敬服します。この時点でここまでハッキリしていたことは重要です。なぜならば、鳩山が2010年1月突然ころりと意見を変えたのは、まさにこの点に関してアメリカから「恫喝」に近い要請があったからだろうと想像できるからです。現在の「小川叩き」はまさにここに関係しているだろうと私は思います。国連重視案の是非は置きます。

2011年春に突如起こった「大連立」の意味はまったく違います。いまや、民主、自民共に「対米従属」の立場は同じ。これにTPPがなれば、みごとに米国の属州化は完成でしょう。

加藤 「(「テロとの戦争」からの軌道修正について)はじめはかなりの国がイラク征伐をした。だけど、その戦争を支持していた国はだんだんと減ってくる。(略)どうしてそうなるかというと、大衆が反対だから。だから、大衆の反対が世界政治をかえるということのひとつの非常に鮮やかな例が、今われわれの眼前で起こっているということになると思います。」

→これが10年スパンで考えたときの世界史の流れです。日本にいるとなかなか見えてみえてこない。日本は極めて例外的な動きをしているのでなおさらです。

加藤 「日本の外交の弱みは、日英同盟の頃から、つまり明治から、いつも孤立することへの恐怖です。だから何とかしてその孤立を破りたいという感じが非常に強い。たぶん日本外交の要のひとつは、孤立を破ることだと思います。ところが、あるときには成功し、あるときには成功しないわけですが、こと最近はあまり成功していません。今の日本は、確かにアジアの国々から孤立している。日本は中国や韓国の若者が一番あこがれる国ではありません。いくら日本の政府でも、そのくらいのことはもちろん知っていて、アジアで孤立していることは感じていると思います。ただし、その全部に匹敵するくらいの強力なボスがアメリカで、アメリカに頼っていれば、たとえその周りの連中がいくら日本嫌いでも、それからトラブルにになっても、いざというときにアメリカが助けてくれる。(略)ところが、そのアメリカが変わるときがくると、本当に孤立するわけで、日本にとって不幸なことになると思います。(略)日米関係は日米一体であるといっても、そんなに一体ではない。日本側はそう思っているかもしれないけれど、米国側は別に一体だと思っていない。(略)彼らは、そういうことで外交政策を決めません。それは文化の違いであって、鶴の恩返しなどと日本では言うけれど、アメリカの恩返しはそう期待できないだろう、と私は思います。」


この指摘は、もしかしたらかなり予言的かもしれません。実際、アメリカはいつでも日本を切るでしょう。日本はそれができない。自公民がやっている限りでは。小沢のときにその可能性はありましたが、アメリカ財界、自公民、マスコミが全力を出して潰してしまいました。見事なもんでしたね。





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最終更新日  2011年04月17日 23時42分11秒 コメント(2) | コメントを書く


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