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2017年03月29日
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テーマ: ニュース(99438)
カテゴリ: 社会時評
今日の朝日の天声人語に、加藤周一が登場したというので、読んで見た。

(天声人語)パン屋でなく和菓子屋
2017年3月29日5時0分
 天ぷらといえば、すしと並んで和食の代表選手であり、海外でも人気のメニューである。もっとも、その起源には諸説があり、ポルトガルから伝来したとの説がかなり有力だと、原田信男著『和食と日本文化』で学んだ▼どうも17世紀ごろ伝わったようで、語源もスペイン語系のTemporaだとする説を紹介している。日本は早くから、よその国の料理を取り入れ、食文化を豊かにしてきた▼パン食も定着し、近所にお気に入りのパン屋をお持ちの方もおられよう。ところがそんなパン屋が教科書からはじき出されたのだという。小学校道徳の教科書検定の結果、「にちようびのさんぽみち」との教材に登場していた「パン屋」が「和菓子屋」に変更された▼学習指導要領が求める「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ」との点が不足すると文部科学省が指摘し、出版社が修正した。パン屋では日本らしさが欠けるということか。同様の理由で、公園の遊具が和楽器の店に差し替えられた▼もう50年以上前だが、評論家の加藤周一が仏教伝来や洋服などを例に、日本は雑種文化であると論じた。「日本精神や純日本風の文学芸術を説く人はあるが、同じ人が純日本風の電車や選挙を説くことはない」と書き、偏狭な日本主義者を批判した▼和菓子や和楽器にすがって国や郷土への愛を説くとすれば、滑稽というほかない。本質よりも体裁にこだわる大人たちの姿である。まさか反面教師としての教育の一環ではあるまい。
加藤周一の雑種文化論を引っ張り出すまでもなく、日本は次第と「いつもの」常に上の意向を気に風土に戻りつつある気がする。決定は上を見ながら下が行う、責任は無制限に1番上に求められるから、最高責任者の昔は天皇、現在は首相の「美しい国」に似合う政策がとられるだろう。しかし、これは文書で指示を受けたものではないから、1番上の「責任」は限りなくゼロになるだろう。(←以上丸山真男「超国家主義の論理と心理」から思考)

加藤周一は、もう20年も前に「世紀末ニッポンのゆくえ」(ミオシン出版)というインタビュー本でこのように言っている。
「一般に、少数意見を内部に抱えている国•団体は、状況が変われば、今まで少数意見だったものが多数意見になって、別の方向に進むことが出来るのですが、日本では、少数意見を排除してしまうことで能率は高めたが、必要な方向転換もできないようになったと思います」(15p)それが戦前日本の反省点だったが、反省しないまま戦後に進んでいると加藤周一はいう。
「雑種文化の小さな希望」と加藤周一は言った。それでも長い間に外の文化を日本化して、日本は生き延びてきた。戦後70年、どれだけ欧米の「民主主義」を日本化出来ているのか。そろそろ試されている。

森友問題にはあまり興味がないのだが、天皇アベ夫人の意向を「忖度」して、1番上から次から次へと政策が降りてきていた現実があるとすれば、悲観的にならざるを得ない。

「そんたくん」の見事な「漫画」があったので、付け足す。蓋し、1番下の庶民による上方を風刺するその鋭さは、日本文化がまだ健全な証しではある。







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最終更新日  2017年03月29日 18時01分12秒
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