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2018年05月01日
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テーマ: 本日の1冊(3697)
カテゴリ: 考古学


「出雲王と四隅突出型墳丘墓 西谷墳墓群」渡辺貞幸 新泉社

大風呂南墳墓、妻木晩田遺跡、吉野ヶ里遺跡と続いてきて、遂に西谷墳墓群が上梓された。弥生末期の重要遺跡の立て続けの刊行によって、倭国統一の概要を探ろうとする編集部の意図を感じる。歓迎したい。青谷上寺地遺跡の刊行もお願いします。

以下、勉強になった所をメモする。
・西谷3号墳。立石と敷石がそれぞれ二列、裾まわりに2段の犬ばしりの配石。貼石の総数、25000個。
・全面の貼石は、遠くから白く光る異様な人口物。見せる墳墓の先駆け。
・8つの土壙。第4が王。次に第1。二つとも木槨(木棺の外箱)を含む木槨墓である。しかも第4には副槨まである。第3第8は木槨はない。第8を除いて棺内に大陸由来の朱を敷く。他の4つは未調査(←ナゼ‼︎)
・王の葬送祭儀。木槨墓を納めて埋め戻した後に、四本の柱を立て添え柱を添えて、全体をさらに盛り土して整地。主槨の真上に朱彩した石主を置き、周囲に玉砂利を積む。副槨の真上にも主石を置く。ここまで舞台設定をして、大型特殊器台を運んで来た14人の吉備からの客、越から亡命(←土器は越製作でなかった)して来た21人の客、9人の不明客と共に、100人が直会の儀式をして祭儀を挙行した。終わった後にびっしりと土器を中央に集めて、散逸しないようにした。(←ホントに散逸しなかったのか?ナゼそういうことが可能だったのか?そういう意味では、四本の柱の中は、長い長いこと、しかも最後まで絶対触ってはいけない聖なる空間をやり通したことになる。つまり、吉備・越・出雲同盟は破られることがなかったのである。)
・第1は、そのあとの祭儀になる。50人ほどが参加。柱は立てられなかった。
・棺の中には、木製の鞘と柄を備えた鉄剣一振りと一連のガラス管玉(素材はローマ帝国内産)。第4、第1、他には第2号墳から出土。第1からはさらに総計250の装飾品。特に二つの勾玉(コバルトブルー)の材料は類例のない珍品。舶来品か(←でもこの形の勾玉は大陸にあるのか?この舶来品への拘りは明らかにお妃と見られる女性の個性だろう)朱30キロでは、生口10人分(難波洋三「季刊考古学」135号)らしい。
・西谷王朝。3号(第4→第1)→2号→4号→9号。9号の時に前方後円墳と古墳時代開始。一挙に王朝体制の縮小が訪れる。
・王朝の都は何処か。矢野遺跡は1番大きい。昔からの拠点集落。特殊器台型土器(胎土は何処?時期は?)も出土。しかし墳墓が見えない。中野美保遺跡には3号と同じ時期の小型四隅突出墓。その下層からは中期中葉に遡る方形貼石墓。山持遺跡(青木遺跡含む)では、外来系土器多量出土。中期後半から後期にかけて大物流拠点。青木遺跡では山陰最古(中期後葉)の四隅突出墓、3号と同じ時期の墓も。若狭土手に登れば、西谷墳墓群を見ることが出来る。出雲王の居館はここだろう。
・西谷3号墓出現以降、大型墳墓は山陰では例外なく四隅突出型になる。3号を頂点とする社会システムが生まれていた。
・もともと山陰弥生墳墓では埋葬施設の上から土器が出土。直会の後の後片づけ?の跡。四隅突出型とセットになる。福井市小羽山30号墳も同様の祭儀。3号の後に越に帰郷した人たちの墓だったか。
・3号は後期後葉のはじめ。4号は終末期。
・安来市荒島駅近くの荒島墳墓群(後期後葉)とは、4号ぐらいまでは並びたつ荒島王朝があった。9号で二つを統一。その直後に凋落。
・古墳時代前期に加茂岩倉の前に神原神社古墳、松本1号など、西谷王朝を伺うような位置に出現し、荒島周辺にも古墳前期か三つもできるが、西谷の周りには前期古墳はほぼない。古事記には、ヤマトタケルがイズモタケルを斐伊川の辺でだまし討ちにしているが、西谷王朝の最後の話だったのではないか?
・楯築被葬者は3号と同じ時代を生きた。
・図57によると、3号は150年くらい。2号は170年くらい。安来の塩津山10号は155年、仲山寺9、10は160年、安養寺は210年ぐらい。4号は210年、9号は240年ぐらいか(この表見て判断しているのでかなりアバウト)。
・楯築の立坂型のみしか、出雲から出土していない。しかし、出土地は非常に多く、高橋川沿いから日野川下るルート。そして飯梨川沿いの荒島王朝辺りにも多く出土する(←墓から出て来たのか?)的場遺跡からも出土。特殊器台を運んだルートは、この現在伯備線ルートだろう。
・楯築は供献土器が特殊器台のみ、というのはなぜか?お客様は特殊器台のみを使わせたのか?それほどに特殊器台に権威があったのか?それとも、土器は墓に残さない祭祀だったのか。楯築の立石は、祭祀の特殊空間だったのかもしれない。そこに、供献土器を残すのだとすれば、大岩にする理由がつく。しかし、後のヤマト侵攻でそれは荒らされた可能性はある。(←この項全く私見)





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最終更新日  2018年05月01日 23時20分36秒
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