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最後の三作品、それぞれ力作で退屈はしなかったけど、突っ込み所もありました。
「マスカレード・ホテル」
これは、原作を先に読むタイプの映画ではなかった。ほとんど原作通りに、エピソードも、真犯人も綴られるので、愉しむ点は、ホテル(ロイヤル・パーク・ホテル)の造りと、長澤まさみだけになってしまった。ホテルグランド擬きで、あらゆるタイプの仮面客を見せるのが醍醐味なんだけど、私は仮面の裏の素顔をあらかじめ知っているから、感動はない。
つくづく、木村拓哉の新田刑事には、刑事仮面を被った映画という舞台の男優としか見えなかった。
それと、最も重要なのは、原作の中の重要なテーマがすっぽりと抜け落ちていること。刑事は人を疑うのが仕事。ホテルマンは、仮面を被っていることを承知で、人を信じてサービスをするのが仕事だと、映画は主張するが、原作はそうではない。
フロントの仕事の重要なことは、「お客様は神様ばかりではありません。悪魔も混じっています。それを見極めるのも、私たちの仕事なんです」(文庫本51p)と原作では言わせている。なのに、たくさんのエピソードの中から、 宿泊逃げのホテルを跨いでのブラックリストの存在があることを明らかにしなかった。あのエピソードがないと、原作の面白さの半分はなくなる。
等々、テンポよく、オールスター形式の映画は楽しかったのだが、結果つまらなかったと言わざるを得ない。
ラスト・シークエンスも100%無駄な5分間だった。
(STORY)
現場に不可解な数字の羅列が残される殺人事件が3件発生する。警視庁捜査一課の刑事・新田浩介(木村拓哉)は、数字が次の犯行場所を予告していることを突き止め、ホテル・コルテシア東京で4件目の殺人が起きると断定する。だが、犯人の手掛かりが一向につかめないことから、新田が同ホテルの従業員を装って潜入捜査を行う。優秀なフロントクラークの山岸尚美(長澤まさみ)の指導を受けながら、宿泊客の素性を暴こうとする新田。利用客の安全を第一に考える山岸は、新田に不満を募らせ……。
(キャスト)
木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、生瀬勝久、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、松たか子、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎
(スタッフ)
原作:東野圭吾
脚本:岡田道尚
音楽:佐藤直紀
監督:鈴木雅之
上映時間133分
2019年1月21日
ムービックス倉敷
★★★
「十二人の死にたい子どもたち」
展開も、結末も、ラストの「意外な真相」も、そんな意外でもない。こういうテーマの映画ならば、結局ああいう展開にならざるを得ない、とは思った。
あとは、若手俳優の演技合戦である。目立つのは、杉咲花と黒島結菜、そして新田真剣佑。杉咲花は、1番丁寧に描かれているし、特異な役だから、演じやすいとしても、まあ流石だと思う。けれども、彼女の主張には、私は納得いかない。黒島結菜は頑張ったと思う。明るい面が多かった彼女が、よくあそこまでダーク面を引き出した。痩せたのは役作りだろうか。だとしたら、凄い。
男の方は、新田真剣佑が図らずも探偵役を演るのであるが、惜しい。何か、全然切羽詰まっているように思えなかった。私は彼が巧妙にお膳立てを作ったのか、とさえ思えた。
この設定には、無理がある。イエスの方舟のような、カリスマ役がいなければ、もともと成功するような企みとは思えない。
STORY
それぞれの理由で安楽死を望み、廃病院の密室に集まった12人の少年少女は、そこで死体を見つける。死体が何者で自殺なのか他殺なのか、集まった12人の中に殺人犯がいるのか。やがて、12人の死にたい理由が明らかになっていく。
キャスト
杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈、吉川愛、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗
スタッフ
監督:堤幸彦
原作:冲方丁
脚本:倉持裕
音楽:小林うてな
主題歌:The Royal Concept
上映時間118分
2019年1月31日
Movix倉敷
★★★
「メアリーの総て」
「フランケンシュタインーあるいは現代のプロメテウス」神話で人類を創ったプロメテウスをなぞり、人造人間を造った「男」の博士は、その後に「英知と希望」の反対方向の運命に出逢う。そういう物語になったのは、この作者が女性であり、19世紀イギリスで女性としての自立を自覚しながらも抑圧された者だからだ。しかし、だからと言って、彼女は科学の力を否定せず、神に抗い、生命の蘇りの可能性を否定しなかった。
母親メアリ・ウルストンクラフトの「女性の権利の擁護」を慕い、父親ウィリアム・ゴドウィン「政治的正義」の自由主義思想を糧に、しかし、父親の保守思想に反対され、シェリーのロマン主義に恋して3人も子供を産み(うち1人は出産後間も無く死亡)、放蕩家のバイロンのスイス別荘で、「吸血鬼」を書いたポリドリと共に数ヶ月を過ごして、フランケンシュタイン」の着想を得る。幾つか、脚色はされているが、当時の前衛的な思想をフランケンシュタインのようにつぎはぎしながら、まるで全く新しい物語を創った、メアリーの才能を、見事に映像化していたと思う。
200年前のイギリスで、奔放な恋愛を唱えていた人たちがいたことも新鮮ならば、メアリーの早熟な才能が開花する過程も、新鮮だった。
エル・ファニングは16歳から18歳を違和感なく演じ、曲者女優のベル・バウリーとの屈折した友情(姉妹愛?)も面白かった。
2019年1月27日
シネマ・クレール
★★★★
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