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前回の続き、「一気に蔵出し!」の<下>です。2012年1月以来、訪店した主なBarを紹介します。初めてじゃない店も交じっていますが、何卒ご容赦を。原則、訪問順にアップします(写真は一部の店だけです。すみません)。※営業時間、定休日等はお手数ですが各店へお尋ねください。 まず、冒頭の東京の5軒(21~25)のオーナーはすべて、神戸での成田一徹さんを偲ぶ会にご参加くださいましたので、その御礼も兼ねてお邪魔しました。21.バー・テンダリー 一徹さんがとても愛したバーでしたが、僕は残念ながらまだ行ったことがありませんでした。今回、東京出張の機会に初めてお邪魔できました。女性オーナー・バーテンダーMさんの素敵な人柄は、一徹さんからもよく聞いていました。お店は想像通りの素晴らしい雰囲気で、もちろんMさんの接客も最高。「バーは人なり」と一徹さんはよく言っていましたが、最後はやはりオーナーの人柄がすべてだと改めて思いました(東京都大田区大森北1-33-11 2F 電話03-3298-2155)22.バー・草間ギンザ ここも一徹さんが愛したバーでした。帝国ホテルで修業して、その後銀座で独立されたKさん。苦労人で、接客・サービスにも熱い信念がにじみ出ています。カクテルも美味しくて堪能できました(東京都中央区銀座7-7-6 アスタープラザ・ビルB1F 電話03-3571-1186)23.バー・オーチャード・ギンザ Mマスターとは2006年、一徹さんが「神戸の残り香」の出版記念パーティーを神戸のホテル・オークラで開いた際からの付き合いです。当時マスターはオークラに勤めていました。今では、液体窒素を使うなど斬新なアイデアでのフルーツ・カクテルでバー業界でも注目を集める存在です。同じくカウンターに立たれる奥様も凄腕のバーテンダー。会話も含めてとにかく楽しい店です(東京都中央区銀座6-5-16 三楽ビル7F 電話03-3575-0333)24.バー・FAL とても物腰の柔らかい接客や言葉遣いは、Hマスターが京都出身なのからでしょうか? 銀座には素敵なバーがいっぱいありますが、「居心地の良さ」という点では、最近では僕のナンバー1です。一徹さんもHさんの人柄にほれ込んでいました。オールド・ボトルへの造詣の深さに加えて、銀座とも思えないような良心的な料金。そうした心意気がとても嬉しいのです(東京都中央区銀座8-10-16 進藤ビル2F 電話03-3575-0503)25.酒向バー 元々霞が関で「ガスライト」というお店の店長だったSさんが独立、オープンされた店です。なかなか行けなかったのですが、今回初めてお邪魔できました。Sさんも成田さんとは古い付き合いでした。SさんはNBAのコンペで全国優勝をされたくらいの実力者ですが、そんな実績はひけらかさない謙虚で、あったかい人柄でした(東京都中央区銀座8-5-1 プラザG8 4F 電話03-6280-6835)26.呂仁タバーン 守口という大阪のはずれにあるけれど、本格的な酒場です。オーナーTさんはバーボン博士と言われるくらい凄い人で、お店のバーボン・コレクションはおそらく関西一。しかし、僕が何よりも好きなのは、Tさんの親しみやすい人柄です。エジンバラでムール貝とステーキのレストランを営む娘さんの店にも先般お邪魔しました。そんな訳でより身近に感じてしまいます(大阪府守口市本町1-2-2 電話06-6997-3200)27.バー・ヴィクトリー 僕が心から尊敬するバーテンダーKさんが営む沼津の老舗です。一徹さんもKさんが大好きで、生涯に7回も切り絵にしました。何度お邪魔しても、Kさんの物腰低い、丁寧な接客・サービスから教えられることが多いです。カウンターやステンドグラスの窓など、ただただ「素晴らしい」と言うしかありません。沼津まで足を運んでも絶対に損のないバーです(静岡県沼津市八幡町125 電話055-962-0684)28.バー梅邑(うめむら) ヴィクトリーのすぐそばにあり、元々はヴィクトリーのKさんが働いていた老舗です。一徹さんからこのお店の名前は聞いていましたが、お邪魔するのは初めてです。見たことのない切り絵原画が店に飾ってあることにも驚きました(沼津市上土町50 電話055-963-0248)。29.永楽倶楽部バー・コーナーバーのチーフ・バーテンダー福島勇三さんは御歳86歳なのに、先般、神戸の偲ぶ会までわざわざ来てくださいました。人格、人柄ともに素晴らしい方で、福島さんの顔を見に行くだけでも値打ちのあると思います。早稲田OBのための会員制施設とのことですが、一般利用もできるようです(東京都千代田区永田町2-12-4 赤坂山王センタービル7F 電話03-3580-0046)。30.サボイ・ニーニョ 神戸サヴォイ・グループの1店。女性店長が仕切っていますが、久々にお邪魔しました。小さくて可愛い、穴場的、隠れ家的なバーなのがウリです(神戸市中央区三宮町3-9-4 電話078-331-2275)31.クラブ・デゼール 先斗町の路地にある、穴場のバー。バックバーの棚に置いてるお酒もオールドボトルがほとんどというマニアックな店。初めて行くにはとても勇気が要りますが、一見の価値のある店です。男前で、かっこいいHマスターが営んでいます。なぜか一徹さんも密かに愛して、切り絵にもしています(京都市中京区木屋町四条上ル 十三番路地東入ル北側2F 電話075-221-8496)32.バー・まぼろし 天満で面白い店があると聞いてお邪魔しましたが…。一徹さんも生前、一度行ったことがあるそうです。着物を着た女性オーナーが営んでいる怪しげな雰囲気の店ですが、常連度が高くて、若干スナックっぽい感じもして、バーというには?でした(大阪市北区天神橋5-3-12 2F 電話06-6881-2283)33.バー・BABY 新世界と言えば、ここに来ずしてどうするという老舗。Tマスターは相変わらず元気で、温かく迎えてくれました。ユカリさんの5月の通天閣ライブの後、お邪魔したのですが、店の閉店間際に有名芸能人の御一行がやって来て、一緒に写真を撮れたのが嬉しかった(笑)(大阪市浪速区恵比須東1-6-11 電話06-6641-7192)34.バー・7th 堺の老舗「街のあかり」で修業したAさんが独立してオープンした店。日本最高峰のビル「ハルカス」が出来たり、大阪でいま一番注目のアベノという立地です。若いのにとても礼儀正しく、言葉遣いも丁寧なAさんは、僕の「いち押し」のバーテンダーです。きっと地元で多くのお客さんに愛されていくに違いありません(大阪市阿倍野区松崎町3-17-13 電話06-4399-7555)35.バー・トライベッカ 明石よりもさらに西、加古川という離れたロケーションにあるバーですが、一徹さんが結構古くから付き合い続けた店です。ずっと気になっていて、一度行ってみたいと思っていましたが、ようやくお邪魔できました。想像以上のオーセンティックなバーで、マスターも気さくで親切な方でした(兵庫県加古川市平岡町新在家2-268-12 せぴあはうす2F 電話079-427-5166)36.バー・ブリック 以前別のバーでお世話になったOさん(女性です)がオーナーとなった店です。丁寧な接客とカクテルづくりで定評のあるので、独立後も繁盛していて、満席では入れないこともしばしば。成田さんも彼女のことが大好きでした。その成長ぶりをきっと天上から喜んで見ていると思います(神戸市中央区中山手通1-14-3 リンビル1F 電話078-333-0026)37.スタア・バー 有名なバーテンダーで、NBA(日本バーテンダー協会)の会長もされている重鎮・岸久さんのお店です。久しぶりに訪れました。岸さんも神戸の一徹さんの偲ぶ会に来てくれたのでその御礼も兼ねてだったのですが、カウンターの僕の前に来た岸さんは、ほんまに話し出したら止まらないという感じで、僕もかなり独占してお話できました。「一徹さんの功績をNBAとしても今後しっかりと後輩たちに伝えていきたい」と熱く語ってくれたのが嬉しかったです(東京都中央区銀座1-5-13 三弘社ビルB1F 電話03-3535-8005)38.モンド・バー 一徹さんがらみで用事があって、かなり久しぶりに寄りました。お値段はかなり高めの店です(勘定書をみて目が点になりました)。用事がなければ、次行くことは、まずないかなぁ(笑)(東京都中央区銀座8-11-12 正金ビルB1F 電話03-3574-7004)39.バー・ライムライト 北新地BESO出身のIさんが独立、オープンしたバー。大阪・梅田から電車で20分ほどの茨木という立地にも関わらず、早くも地元に人たちに愛されて繁盛している。「ノーチャージで頑張る」という心意気も嬉しい(大阪府茨木市双葉町2-3 ツインリーブス1F 電話072-601-0261)40.バー・山谷 兵庫県西宮(最寄駅JR甲子園口)の店です。この辺りにようやくオーセンティックなバーが出来たのはとても嬉しいのですが、Tシャツ・短パンの客も訪れるローカルな立地で、チャージが500円。強気の商売で大丈夫かなぁと少し心配になりました(兵庫県西宮市甲子園口3-21-5 1F 電話0798-64-2800)41.バー・BEE ここの訪問記は、先般ブログでも詳しく書いたのでいちおう行ったという記録だけ。最後の日々、向島で一徹さんはどう過ごしていたのか。次回お邪魔した時は、マスターのYさんからもっと話を聞いてみたいなぁ(東京都墨田区東向島2-20-6 電話03-3610-5508)42.バー・よつば 肥後橋のバー立山、福島のバー・カモメで修業したHさんが独立、オープンしました。選んだ立地はやはり福島でした。美味しい食べ物屋さんが周囲にいっぱいある福島なので、こういうショット・バーは貴重です。白を基調にした漆喰の内装(地中海風?)も素敵です。午後4時オープンというのも酒呑みには嬉しいなぁ(大阪市福島区福島7-4-28 向井ビル2F 電話06-6453-1818)43.バー・富美家 ミナミの老舗バーを受け継いだKさん。久しぶりにお邪魔したけれど、とても礼儀正しい接客は相変わらず。表の喧騒も聞こえてこない静かな雰囲気が嬉しい店です。僕は最近、なかなかミナミには飲みに行けないんですが、ミナミ周辺にお住まいの方、おすすめですよ(大阪市中央区東心斎橋1-15-11 日宝周防町エレガンスビル 1F 電話06-6243-1847)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2013/07/15
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最近、各地のBar巡りの話を書くのを、1年以上(?)さぼっていました。申し訳ございません。この間、初めて訪問したBarもほとんど紹介できていませんでした(調べたら、なんと前回「各地のBar巡り」のテーマで書いたのは2011年11月だぁ!)。 そこで今回は、2012年1月以来訪店した主なBarを、まとめてバーンと蔵出しです(すでに日記上で個別に書いた店は基本的に省いています。また、初訪問ではない店も含まれていますが、このブログで取り上げるのはたぶん初めてということでご容赦を)。 とりあえずは、データ(住所&電話番号)と簡単なコメントを付けて、訪問順にアップします(写真は一部の店だけですが、すみません)。※営業時間、定休日等は、お手数ですが各店へお尋ねください。1.バー・コットン・クラブ いつ行っても温かくて優しくて、礼儀正しいオーナー・バーテンダー・Mさん。故・成田一徹さんも大好きだった酒場です。こんなBarがウチの近所に出来たら、きっと入り浸ってしまうだろうなぁ…(奈良市大宮町4-3130-4 2F 電話0742-33-0340)。2.バー・アルディ(Hardi) 言わずと知れた実力派女性バーテンダーIさんの店。関西では、今や女性バーテンダーのリーダー格。Besoグループの出身なので、お酒の技術も確かです(大阪市北区曽根崎新地1-10-22 ミヤプラザ6F 電話06-6343-2100)。3.Jim McEwan Bar 小さい店ながら、シングルモルトの品揃えが豊富な店。女性店長が仕切っています(最近は店長が、別の店の手伝いで留守がちなのでご無沙汰していますが)(大阪市北区曽根崎新地1-11-9 京屋ビル1F 電話06-6344-3151)。4.バー・STREAGA 大阪の四ツ橋筋、肥後橋から本町方面へ7、8分歩いていったあたりにある、穴場的バー。普通のオーセンティックバーですが、雰囲気はいいです(大阪市西区京町堀1-4-9 京町橋八千代ビルB1F 電話06-6447-6112)5.The Dog House Inn 大阪・鶴橋にある、いわゆるパブですが、お酒も料理も充実していて、お値段もリーズナブル。かつては店の名の通り、名物の犬(ブルドッグ)がいましたが、その後は元気どうなっているのか、情報は得ていません。コリアンタウンでの焼肉の帰りにいかが?(大阪市東成区東小橋3-14-3 電話06-6972-3314)6.オールド・インペリアル・バー 帝国ホテル大阪にある同ホテルのメインバーです。歴史と伝統が息づく東京・帝国ホテルの同名バーの素晴らしい雰囲気を継承しています。成田一徹さんが生前最後の個展を開いたのもこのホテルです。インペリアル・バーを描いた一徹さんの遺作の切り絵は、店内に飾られています(大阪市北区天満橋1-8-50 帝国ホテル大阪2F 電話06-6881-1111) 7.バー・OLD TIME 今はなき名古屋の老舗バーDUOのお弟子さんKさんが営むバー。小さいキャパですが、アットホームな雰囲気に癒されます(名古屋市中区錦3丁目13-10 電話052-951-5557)8.バー・ALBION こちらもDUOのお弟子さんKさん(上記Old Timeのマスターとたまたまイニシャルが同じですが)が営む素敵なバー。接客・サービス、雰囲気も申し分なし。おすすめです(名古屋市中区錦3丁目19-3 電話052-961-7660)9.Avery's Irish Pub 三宮のパブ(東急ハンズ近く)です。土日は午後3時オープンで、明るいうちから飲めるので重宝しています。お値段も良心的です(神戸市中央区北長狭通1-10-9 生田新道ビル1F 電話078-391-2757)10.Simbar 名門BESO出身のNさんが独立してオープンしたバーです。おしゃれな雰囲気に溢れています。キャパも結構広いので使い勝手はいいかも(大阪市北区曽根崎新地1-9-2 岸本ビル1F 電話06-6347-5400)11.Bar・YANAGI 御池通近く(と言っても10分ほど歩くが)の穴場バー。初めての訪問じゃないけれど、京都へ行ったら、ここに行きたくなる。Yマスターの温かい接客とレンガづくりの心地よい内装に包まれる時間は至福そのものです(京都市中京区夷川高倉東入ル天守町757 1F 電話075-241-4000)12.Wishy Washy 新地のはずれのカジュアルなジャズ・バーです。お手頃のお値段で雰囲気もまずまず。待ち合わせとかにはいいかも(大阪市北区曽根崎新地2-2-5 第3シンコービル3F)13.パパ・ヘミングウェイ 神戸での一徹さんを偲ぶ会でバー・コーナーを担当してくれたFさんが営むバー。亡くなってから付き合いが深まりました。一見こわもてのFさんですが、実はとても温かくて親切です。お値段もとてもリーズナブルです(神戸市中央区中山手通1-7-20 第3天成ビル2F 電話078-391-2838)14.Bar HIRAMATSU UMEDA ミナミの老舗バー・ヒラマツの新展開。梅田のハービスプラザという立地に敷居が高いと思われるかもしれませんが、料金は至ってリーズナブル。年中無休で雰囲気も抜群とあれば、これは利用しない手はない(大阪市北区梅田2-5-25 ハービスプラザ2F 電話06-6456-4774)15.Pub Bar The Press Club 三宮のカジュアルなオーセンティック・バー。前から気になっていて一度と思っていてお邪魔した。ノーチャージだけど、レベルは結構高い。機会があればまた使ってみようと思う(神戸市中央区北長狭通2-10-10 電話080-3031-0112)16.バー・ALBA バーLeighグループ出身のTさんが独立してオープンした店。天満という大阪で最近人気エリアに目をつけたところはさすが。オーセンティック・バーを待ち焦がれていた地元民に早速愛されているようです(大阪市北区天神橋4-10-22 千寿ビル2F)17.パブリック・バーS 成田さんが何度か切り絵にもしている老舗。以前は曽根崎にありましたが、新地に移ってきてはや10年以上(?)。もうすっかり根付いている感じです(大阪市北区堂島1-5-39 電話06-6343-1900)18.バー・樽 かなり久々にお邪魔しました。80歳。大阪のバー業界では今や最長老のWマスター、相変わらずお元気そうで安心しました。「死ぬまで現役」と意気軒昂でした(大阪市北区曽根崎新地1-6-6 大川ビル2F 電話06-6341-6646)。19.バー・キャンファーウッド 成田さんを偲ぶ会にも来てくださったIマスター。御礼も兼ねてお邪魔しました。阪急・園田というローカルな立地にも関わらず、お店は本格的だったのに驚きました。お酒も美味しくて、また訪れてみたいと思いました(兵庫県尼崎市東園田町4-93-3 1F 電話06-6492-3378)20.バー・タイム 関西バー業界の重鎮、Uさんの営む店です。ここにも偲ぶ会への協力の御礼を兼ねて訪れました。春は桜の名所で有名な夙川・苦楽園のすぐそばです。窓からも満開の桜が見えるそうです。こんどは満開の時期に来てみたいです(兵庫県西宮市石刎町2-2 電話0798-70-1623)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2013/07/14
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ある懇意なバーのマスターが、「業界の仕事とか、あるいは個人的な旅行とかで、**(地名)へ行く」という内容を、事前にだけでなく、場合によっては事後にもWEB上では書きにくいと話しておられた。 とくに、「バー(経営者)の知り合いが多くいる都市へ行く場合が困るんです」と言う。限られた時間(日帰りか1泊しかできない場合が多い)の中では、すべての知り合いのバーには顔を出せない。 Aさんの店へ顔を出して、BさんやCさんの店にはお邪魔できないことも多いので、どこそこのバーへお邪魔した(あるいはお邪魔する)とも書きにくいと言う。義理を欠いたと言われるのも、本意ではない。過去には、「**に来たんだったら、なんでウチの店に寄ってくれなかったの!」と嫌味を言われたこともあったという。 マスターのそんな悩みは、私にはとてもよく分かる。以前、このブログに「東京へ出張して**というバーにお邪魔した」という話を書いたら、その近くにあるバー(ここにはその時は寄らなかった)のマスターから、後で「なんで顔見せてくれなかったのー」と言われたことがある。 東京には個人的に知っているバーが数多くあり、懇意のマスターも多いが、時間や財布を考えると一晩で回れるのは多くても3~4軒。また、東京は23区内と言ってもとても広いので、移動時間も考えると一晩で回れる店は限られてくる。 例えば、銀座周辺から新宿、池袋辺りへ移動しようと思えば、30~45分はかかかってしまう。大阪なら神戸へ京都へも行ける時間だ。ほぼ1カ所にバーが固まっている地方都市より、東京のバー巡りはとても難しい。 私はそれゆえ、最近はいろんな都市へ出張した際バー巡りをしても、ブログ等ではなかなか訪問直後には書きにくいし、すぐには書かない。忘れた頃にさりげなく書くか、初めてお邪魔した店に限って、いつ訪問したとは触れずに紹介することが多い。残念だけれど、それも仕方ないかなと思っている。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2012/03/25
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忙しいことを理由にブログ更新を怠けてしまっていました。しばらく、まともな日記を書いておりません、すみません。そこでとりあえず、最近お邪魔した(している)BARで、ブログ未掲載の店をまとめて紹介いたします。いろんな地域の店が混じっていますが、ご容赦を。大阪:【British Pub BITTER】 懇意にしてもらっているミナミのBar・OTISが、同じビルの地下に昨年末オープンさせた本格的パブ。OTISとは違ってノーチャージのスタイルにし、料金も抑え気味にしたのは「気軽に楽しんでいってもらいたい」というFマスターの心意気の現れか。 店は3人の明るい女性スタッフが日替わりで仕切っている。基本スタンディングだが、椅子もある。生エールはもちろん、パブ・フードも日々充実して、新しいメニューにも次々挑戦中。 午後5時オープンというのも呑兵衛には嬉しいし、15~20人は入れる広めのキャパだから、グループでもOK。本店のOTISも今月、めでたく17周年を迎えた。気さくなFマスターの新たなチャレンジに心からのエールを送りたい(店の目印は地下へ下りる階段横の青いロゴ入りテントです)。 京都:【Bar YANAGI】 最近、京都でとても気に入っているBARの一軒。河原町の喧騒から少し外れた住宅街の中にあるが、1Fなので隠れ家BARというほどでもない。でも、その落ち着いた店の雰囲気とマスターのほのぼのとした人柄が好きで、うらんかんろは時々お邪魔している。 実はこのBAR、元々、同じ京都の北山エリアで、「アニー・ホール」という知る人ぞ知る人気店だった。しかし、マスターの思うところがあって、数年前に現在の高倉通夷川(御池通りそば)に移転してきた。 最寄の駅は強いて言えば、阪急・烏丸または京都市営地下鉄の烏丸御池。そこから歩いても15分近くはかかる。しかし、その15分をかけても行く値打ちのある酒場であることは間違いない。少なくとも僕はいつもそう思って、このBARのカウンターで至福の時間を過ごしている(お値段もとても良心的です)。徳島:【Bar ARCHE(アルシェ)】 徳島で誰もが認める名店Bar鴻(こうの)で約10年修業を積みながら、数々のコンクールでも優秀な成績をおさめ、いまや全国でもその名が知られるようになった実力派・女性バーテンドレスのMさんが、満を持して昨年6月独立した。 場所はもちろん徳島市内の秋田町エリア。師匠の店からも近い。昨年末にお祝いを兼ねて初めてお邪魔したが、訪れてみると意外と広い店内で、ゆったりとした空間。Mさんの接客は相変わらず気さくで、楽しい。スタッフはMさん以外に基本1人。週末はもう1人増えるという。「これだけ広いと週末なんて大変じゃない?」と尋ねると、「いえいえ、こういう景気ですから、大丈夫ですよ」と笑って返した。 女性オーナーの店が増えると、女性客だって1人で気軽にBARに行きやすくなるに違いない。「地道に頑張っていきます」というMさん。確かな技術と接客、そしてお客さんに愛される気さくさを生かして、新たなファンを増やしていくに違いない。徳島:【KOZO’s Bar】 東京・六本木にあるうらんかんろのお気に入りBAR「ジュ・ド・ペシュ」のYマスターから以前、「僕の高校時代の後輩で、Kという仲の良い友人が徳島でBARをやっているんです。もし機会があれば一度行ってあげてください」と聞いていた。昨年末、そのチャンスがやってきた。 店は、僕が徳島時代に毎晩のように徘徊(笑)していた富田町界隈のど真ん中にある。扉を開けると、これまでの徳島には、ちょっとなかったような(失礼!)おしゃれな雰囲気。例えて言えば、麻布十番にあるような素敵なBARっていう感じ。店が賑わっている理由も分かる気がする。マスターのKさんは福島県出身。結婚して徳島にやって来て、気に入って居ついてしまったとか。 聞けば、オープンは2005年だという。僕は毎年のように徳島にはお邪魔しているのに、灯台下暗しというか、気が付かなかった(恥)。Yさんという共通の知り合いがいることもあり、Kさんとは旧知のような気持ちになれた。元ギター弾きのミュージシャンということも、とても親近感も沸く。僕の「第二の故郷」徳島に、またお気に入りが一軒増えてしまいそうな予感がする。岡山:【Bar BAGUS】 岡山へ行ったら「いつか一度」と思っていたが、お邪魔してみると、住所が変わっていた。「いやぁ、以前店が入っていたビルでテナントが火事を出して、うちも営業再開できなくなったんですよぉ…。商品もほとんどダメになったし、ほんとにとばっちりですよぉ」とMマスター。でも僕にとっては、以前の店より岡山駅に近くなったのはありがたい。 店名はバグースと読む。マスターから「インドネシア語で最高!っていう意味なんですよ」と教えられたが、なぜインドネシア語なのかは聞き漏らした。基本はモルトBARだが、たいていのお酒はあるし、フードも充実している。 とにかくよくしゃべる、陽気なマスターは、話していると、雰囲気は大阪のBARのマスターみたい。自然と心の距離も近くなる。出張から帰ると翌日、早速礼状(葉書)が届いていた。こんな律儀さも嬉しいね。岡山:【Bar LHOTSE】 店名は難読。「LHOTSE(ローツェ)」と読み、ヒマラヤ山脈で4番目に高い山の名前らしいが、なぜそれを店の名にしたのかは、これまたマスターのTさんに聞き漏らした(ダメだなぁ…)。 ここは、岡山で親しくしているBARのマスターから紹介された。ビルの3Fにある静かなBAR。まさにオーセンティックの王道を行くような空間。マスターも、店と同じように静かで落ち着いた方だ。 ここの自慢はカクテル。スタンダードを進化させた“ひと味違う”カクテルが楽しめる。この夜はあまり時間もなく、ゆっくりお邪魔はできなかったが、盛り場の喧騒から離れて、静かにゆったりと飲みたい時には、ぴったりの店だろう。三重・津:【ブリティッシュ・パブ Pige(ピゲ)】 三重県のBARにお邪魔するなんて、滅多にない。名古屋から大阪方面へ帰る時も、いつも素通りするだけ。しかし、ようやく念願かなって昨年末、三重のBAR初訪問である。 ここは老舗の一軒で、大阪の懇意なBARのマスターからの紹介。マスターのKさんは60代後半の紳士である。パブと名乗ってはいるが、どちらかといえば、気軽なダイニングBARっていう雰囲気。その証拠に、店内の奥にはカラオケもOKの個室もある。 ご他聞に漏れず、三重も景気はいまいちらしい。店は大門という商店街の入り口付近にあるが、シャッターの閉じた店舗が目立つ。県庁所在地の津ですらこうである。でも、Pigeはお値段も良心的とあって、地元の酒好きに愛されてこの夜も賑わっていた。おそらく、Kマスターの温かい人柄が大きな理由だろうと想像する。このマスターからも、帰った数日後に礼状が届いていた。我々が普段忘れがちな「礼」の大切さを先輩方は思い出させてくれる。感謝!三重・四日市:【Bar Vintage】 せっかく三重に行って一軒だけではさびしい。しかし、三重には他にも伊勢、鈴鹿、桑名、松阪などいろんな街にBARがあり、迷う。で、迷った末に選んだのは四日市の名店。ここも大阪のあるBARのマスターから「きっと****さん好みの店ですよ」と推薦されていた。そのマスターの言葉通り、あらゆる点で、僕の波長にぴったり合う店だった。 お酒の品揃え、カクテルの多彩さ、フード、店の雰囲気、そして何よりもマスターの接客や人柄、そして何度も言うけど、そのBARを好きになるかどうかの最大のポイントはマスターの人柄であり、客である僕とマスターとの相性だと思う。 相性が合うかどうかは、まぁ20~30分もあれこれと話せば分かる。僕は30分後にはTマスターのファンになり、その後もWEB上での付き合いが続いている。Vintageは、またぜひお邪魔したいと思える一軒になることは間違いない。【British Pub BITTER】大阪市中央区東心斎橋1-6-19 YAMATOビルB1F 06-6245-2077 午後5時~午前2時 日休 【Bar YANAGI】京都市中京区夷川高倉通東入ル天守町757 075-241-4000 午後5時~午前0時日休 【Bar ARCHE】徳島市秋田町1-39-1 守住ビル1F 088-652-2080 午後7時~午前3時 不定休 【KOZO’s Bar】徳島市富田町2-34 富田町ビル1F 088-655-8256 午後8時~午前2時半 月休 【Bar BAGUS】岡山市田町2-13-10 岡田ビル1F 086-226-4656 午後6時~午前1時 日休 【Bar LHOTSE】岡山市田町1-7-24 ニュー田町ビル3F 午後7時~3時 月休 【British Pub PIGE】三重県津市大門23-4 059-229-5055 午後6時半~午前4時 日休 【Rest Bar VINTAGE 1998】三重県四日市市諏訪栄町7-18 林ビル1F 059-357-3221 午後8時~午前2時 日月休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2012/02/17
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福井県って関西にも近くて、(原発も多いけど)温泉もたくさんあって、確か全国の都道府県「暮らしやすさ」度ランキングでは、沖縄といつも全国一、二を争うという県なんだけれど、近くに金沢(石川)や京都という観光の人気府県があるので、なんとなく“埋没感”が否めない(福井の皆さんごめんなさい)。 私も、出張とかで金沢や富山へ行っても、帰りの福井はいつも通り過ぎてしまうだけ。BARがあることは知っているんだけど、まだ一度も足を踏み入れたことがない。関西から近いのに、うらんかんろにとっては「今宵も、BARへ…」の「おすすめBAR」でもこれまで、なぜか空白県になっていた。 そういう訳で、先日、富山へ日帰り出張があった際、空白解消の絶好の機会だと、帰りのサンダーバード(JR特急)を途中下車して福井市内でBAR巡りを敢行することにした。以下は簡単だけれども、そのご報告。【洋酒カクテルバー・ニュー淀】 とりあえず1軒目にお邪魔したのは、福井では最も老舗BARだというこのお店。1970年のオープンというから、今年で41年目を迎える。福井駅からは徒歩7、8分の「順化」という盛り場エリアにある。 なぜここを1軒目にしたかと言えば、お目当ての店の中で、一番オープンの時刻が早かった(午後5時半)から。地方都市のBARは開店時刻が遅くて、日帰り出張族にはあまり有難くないが、ここは早いので嬉しい。 明かりのついた大きな看板のあるビルはすぐに見つかった。重い扉を開けると、少し塗装がはげて年季を感じさせるカウンター、重厚で歳月を感じさせるバックバー、そして柔らかい雰囲気で接客をしてくれるマスター。どこを切り取っても、「良い老舗BAR」の見本のような店だ。 「1週間ほど前に電話した者です」とまず挨拶。地方都市だとたどり着いたら臨時休業なんてこともよくある。だから、僕は前もって、この日開いていることを確認しておいた。「あー、あの方ね。わざわざ本当にありがとうね」とマスター。 マスターのSさんは今年71歳。業界の重鎮で、関西でもその名が知れる。それもそのはず、40年ほど前のNBAの全国カクテルコンペで準優勝したという輝かしい経歴を持っている。美味しいカクテルやハイボール(指定しないのに、マッカランでつくってくれた!)を味わいながら、Sさんから昔のバー業界の秘話をあれこれ聞かせてもらい、僕は大阪や神戸のBAR業界の最近の様子を(知っている限りだが)お話しした。 心地よい空間で、マスターと話し込むうちに、あっと言う間に1時間が過ぎた。いけない! きょうは日帰りで、最終のサンダーバードで帰阪する予定。あと2軒は回るつもりなので、後ろ髪をひかれつつお別れする。【Bar LOTUS(ロータス)】 ニュー淀から歩いて数分。次にお邪魔したのは、いま福井で一番実力派と言われるオーナー・バーテンダーOさんの営むこの店。カクテルコンペでも優秀な成績をおさめた方で、大阪で懇意のマスター(複数)からも、「福井へ行くならLOTUSだけははずさないで」と言われていた。 ドアを開けると、まだ開店したばかり(店は7時オープン)。「少し遅刻して、まだバタバタしてますが、すみません!」とOマスターの快活な声が返ってきた。 「前から一度来てみたくて、きょうは富山の帰りに福井で途中下車しました」と僕。店はカウンター7、8席とテーブルが二つ。内装はスタイリッシュだが、コーナーに和の雰囲気の石庭があったりしてとてもおしゃれだ。 Oさんは、コンペでバーテンダーが着るような白いバー・ジャケット姿(大阪でもいまどき珍しい正装)。理由は尋ねなかったが、いつもきちんとした仕事がしたいという心意気の現れか。だが、Oさんはその端正な姿とは真逆で、おしゃべりで話好きで、初対面でもすぐ打ち解けてしまえるような気さくさ。一言で言えば、話していて実に楽しい方なのだ。 せっかくだから、2杯目はOさんが一番つくるのが好きだというギムレットをいただく。結構ハードシェイクで、僕好みの「細かい氷がいっぱい浮かせる」つくり方。味もきりっと締まって、実に美味い。地方都市にも、こんな素敵な人柄のバーテンダーがいて、居心地よい酒場があることを福井の人はもっと自慢していいと思う(料金も、1軒目の「ニュー淀」と同様、実に良心的)。 帰り際、Oマスターは「これ、帰りの電車の中ででも、ビールのアテにどうぞ」と乾き物の小さな袋を一つくれた。初めてやって来た出張の旅人にも、こんな優しい心遣いができるなんて! 都会のバーテンダーも見習うべき点は多いのではないだろうか。皆さんも福井にお越しの際は、ぜひ「LOTUS」へ。【Bar Dufftown(ダフタウン)】 最後もう1軒と立ち寄ったのは福井一モルトの品揃えを誇るというこの酒場。暗い通りで、看板がかなり高い位置にあって気づきにくく、店のドアには何のプレートもないので、一瞬「お休みか?」と思ったが、ドアを開けると、ウッディで温かい空間が目に飛び込んできた。 カウンターに座って、「最終のサンダーバードまで、1時間弱飲ませてください」と挨拶。バックバーのシングルモルトのボトルは、都会のBARにも負けないくらいの充実度。ヒゲが似合うKマスターは基本、物静かだけれど、モルトの話をし始めたら止まらない。モルトへの愛が感じられる。アイラ島の蒸留所を訪れた話も披露してくれた(4年前にアイラ島を訪れた僕と、話が合って盛り上がったのは言うまでもない)。 店はカウンターが10席ほど、テーブルが4つほどあり、なおかつカウンターとテーブルとは程よい間隔が空いているため、実にゆったりした空間だ。グループで来ても十分対応できる広さだ。モルトだけでなく、ビールも種類も豊富だという。ただ、ここもオープンは午後7時と遅めだ(当初は5時半オープンだったそうだが、やはり地方都市だと客の出足はどうしても遅めになり、そうした対応になるのだろう)。 僕はこの夜、シェリー樽熟成のボウモア16年(オフィシャルボトル)と、ラフロイグのクォーター・カスクと計2杯をいただいた。お値段は最初の2軒と比べたらやや高めだが、それでも都会のバーに比べたら、良心的だろう。福井で、こんな心地よいモルトBARに出会えたことに感謝して、僕は家路についた。 福井のBARのマスターの皆様、温かいおもてなしを本当に有難うございました。【洋酒カクテルバー・ニュー淀】福井市順化1-17-21 旭ビル1F 0776-24-1725 午後5時半~1時 日休 【Bar LOTUS】同市順化1-6-7 金津屋ビル2F 27-2788 午後7時~午前4時 月休 【Bar Dufftown】同市順化1-1-10 シルクビル1F 30-1171 午後7時~午前2時 日休 ※ニュー淀のSマスターはその後(2019年)天国へ旅立たれました。心からご冥福をお祈りいたします。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/11/27
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週末、仕事で出張があったのを機会に久しぶりに四国・松山でBAR巡りを楽しんでまいりました。以下、簡単にご報告です。【Cafe & Bar MARINECCO】前回もそうだったが、松山のBAR巡りのスタートはここが多い(笑)。市の中心部にあって、ここは早い時間からやっていて、お酒が飲めるので重宝する店。オーナーのYさんとも久々の再会だ。 お酒は一応、ビールとワインがメインだが、他にもいろいろある。何よりもフードが充実しているのが嬉しい。パスタやソーセージ、フィッシュ&チップスがとくにおすすめ。 加えて、キャパが広いのでグループでの二次会にも丁度良い。松山城へのロープウェー駅にも道後温泉へも近いし、旅の途中の一休みにも最適な店だと思う。【Bar 露口】松山に来てここに寄らないことはまずない。老舗の中の老舗。今年で53周年を迎える。こんなに居心地の良い店は、全国を探しても少ないと思うほど素敵な酒場である。 50年以上営むBARは全国にいくつかある。しかし、ほとんどは2代目、3代目。創業者のご夫婦が店を切り盛りし、50年過ぎた現在今も続いているという店は他にはないだろう。 露口の素晴らしさは、老舗であることをひけらかさない、謙虚で優しい接客姿勢、そしてご夫婦の絶妙な存在感とバランスだと僕は思う(静かで落ち着いた貴雄マスターと、明るく、トークが絶品の朝子奥様!)。 この夜、僕はある目的を持って露口にお邪魔した。実は、先日家で福西英三さんの古いカクテルブックを見ていて、「サマー・クイーン(Summer Queen)」というカクテルに出会った。そして、その説明書きを見たら、なんと「1981年のサントリー・トロピカルカクテル・コンクールのグランプリ作。作者は松山の露口朝子さん」と書いてあるではないか! 僕は腰が抜けそうになった。これまで何度も露口に行っているのに、この「サマー・クイーン」を飲んだことどころか、その名前すら知らなかったのだ。あぁ、情けない。 で、早速この日は、お願いすることに。「サマー・クイーン」=写真左=は、ジン・ベース(30ml)で、ホワイト・キュラソー(30ml)、グループフルーツ・ジュース(60ml)、レモン・ジュース(10ml)。シェイクしてクラッシュド・アイスを入れた大ぶりのグラスに注ぎ、生ミントを飾る。 現在、露口ではお酒づくりは主としてマスターが担当し、もっぱらトークで客を魅了してる朝子さんだが、昔は結構シェーカーをがんがん振っていたらしい。その姿を想像するだけで楽しい(グランプリの表彰式は東京の帝国ホテルであったとか)。 朝子さんは「そうそう、その時の写真があったかな」と言って見せてくれた一枚が、グランプリのご褒美(副賞)のニューカレドニア旅行の際のショット=写真右。「向こうのホテルのパーティーで、浴衣を着てカクテルつくったんですよ」と懐かしそうに話す。 懐かしさついでに、マスターが見せてくれたモノクロ写真がまたとても貴重なショットだ=写真左。あの伝説のジャズ・ピアニスト、デューク・ジョーダンが、松山でのコンサートの帰りにメンバーらと露口に立ち寄った際の一枚。 来店したのは1983年9月4日。露口の店内にあるJBLのスピーカーには、この時、彼が残したサインもある(他にも、僕も大好きなピアニスト、ケニー・ドリューのサインも)=写真右下。その時、もしたまたま店で一緒にいれたらどんなに幸せだったろう…。 歴史と伝統を感じさせるBARは全国にたくさんあるが、経営者夫婦の人柄が素晴らしくて、なおかつ「上質の空間」も今に伝えている酒場を、僕は他には知らない。「あと5年はなんとか頑張るつもりです」というマスター。僕が「そんなこと言わずに、札幌のやまざきさんの記録を抜いてください」と返すと、苦笑いを浮かべた。 全国の露口ファンの皆様、「Bar 露口」はまだまだ大丈夫です。今や松山だけでなく、「日本の宝」のような酒場です。一日も長く続くことを心から願うのは僕だけではないでしょう。マスター、朝子さん、またお邪魔しますのでよろしくお願いしまーす! ちなみに2軒目に行こうと思っていた「Bar 独奏」はこの日は臨時休業。Hマスターの携帯に電話をすると、間もなく露口に駆けつけてくれた。再会を喜び、しばし一献をかたむける。「独奏」にもお邪魔したかったが、次回への楽しみに置いておこう。【Bar Y2】3軒目にお邪魔したのは、初めての店。岡山で僕が馴染みにしている「Utena Bar」のFマスターから教えてもらった。 Fマスターはとくに店長のSさんについて僕に話していた。「日本全国のBARを巡ったという凄くマニアックで、面白い人」という評判だった。僕は早速、自己紹介してSさんのBAR巡りの旅のことをあれこれ尋ねる。 すると、なにやらアルバムらしきものを出してきた。それは旅日記。しかもヨーロッパやアメリカのBARやPUBを巡った詳細な記録。細かい字でびっしり書かれていて、自筆のイラストも。凄くマメな性格の方なんだなぁと思う(そういううらんかんろも似たような性格かな)。 Sさんからは、オリジナルのカクテル「ビエント(Viento)」をつくってもらった。シェリーとカルバドス、グレープフルーツ・ジュース、トニック・ウォーターを使った爽やかな味わい。スペインでの旅でヒントを得たという。最近、シェリーを使ったカクテルが気に入っている僕だから、なおさら嬉しかった。次回はもう少しゆっくりお邪魔してみたい。【Bar JuJu】最近、松山でのBAR巡りでは、ここが締めの店になることが多い。まぁ、それだけ居心地が良いという証だが…。店はビルの2・3Fにあり、3Fにはテーブル席もあるが、僕は2Fのカウンター席で飲むのが好きだ。 ビールでもワインでもカクテルでもウイスキーでもなんでも来いというお酒の品揃えに加えて、フードもめちゃ充実している。僕はJuJuにたどり着く時間帯になると、小腹がすいてくるのでとても有難い店だ。 Fマスターにご挨拶して再会を喜ぶ。マスターはそう口数の多い方ではないが、接客はいつも実に親切でスマートだ。木曜の夜なので、店内は結構賑やか。地元の人にいつも愛されているなぁと実感できる店だ。 松山のマスターの皆様、そして朝子様、素晴らしい夜を有難うございました! いつ来ても懐かしくて、心地よい時間を提供してくれて感謝しています。近いうちの再会を楽しみにしていまーす。【番外編:鶏舎】BAR巡りの前に腹ごしらえをしたのは、今回は、一緒に同行した友人が「おすすめ」という、おしゃれな鶏がメインの串焼き屋さん。その名は「鶏舎(こっこや)」というが、いいネタ、いい仕事、まさにお手本のような店。鶏肉は歯ごたえがあって旨いし、ニラを薄い豚肉で巻いた串も絶品だ。 ご夫婦で営んでいるが、地元でのあまりの人気で忙しいため、電話に出るヒマもない。「だから、申し訳ないけど電話を外してしまったんですよー」とご主人。お値段もめちゃリーズナブルで、僕も自信を持っておすすめできる店です。電話がないので早めに行ってくださーい(松山市二番町2-7-15 YOSHIDAビル1F 午後6時開店)。【Cafe & Bar MARINECCO】松山市大街道3-1-3 089-935-5896 午後5時~午前0時 日休 【Bar 露口】松山市二番町2-1-4 921-5364 7時~0時 日祝休 【Bar Y2】松山市一番町1-2-7 大森ビル1F 945-9818 7時~4時 日休 【Bar JuJu】松山市一番町2-4-2 モナーク2F 932-4536 6時~2時 日休 ※【Bar 独奏】松山市二番町2-2-3 まるはビル2F 935-6800 6時~深夜 不定休・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/07/30
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最近、BARの話題と言えば、古い話ばかり書いてきていささか恥ずかしかったが、これは比較的最近の出来事。奈良であった仕事が終わった後、会社には「直帰しまーす」と断って、2軒、BARにお邪魔してきました。 奈良と言えば、神社仏閣はたくさんあるけれど、ことBARに関しては、大阪、神戸、京都とは違って、「圧倒的に数は少なく、存在感が薄い」とよく言われる。確かにBARの数は少ない。しかし存在感のある店がない訳ではない。今回紹介するのは、銀座、北新地にも負けない高いレベルの2軒だ。【Bar Dalwhinnie】近鉄・奈良駅から徒歩5分ほど、商業エリアのど真ん中、雑居ビルの2階に店はある。この店のウリはまずモルト・ウイスキー。加えてワインも充実している。モルトは常時約600本。奈良では一番の品ぞろえを誇るという。 マスターのSさんとは初めてお目にかかったけれど、とても気さくで親しみやすい方だ。店にはカウンター席とソファ席。早い時間だったので、まだ準備中という感じだったが、「外は暑いから入ってください」と温かく招き入れてくれた。 オープンして15年ほど。「うちはどんな高いモルトでも、ハーフなら1600円で提供しています」という、モルト好きにはたまらない営業方針が嬉しいが、「モルトよりもカクテルを頼むお客さんの方が多い」とSさんは苦笑する。 ネットでの口コミによれば、Sさんは「カクテルの名人」でもあり、とくにフルーツ・カクテル、フローズン・カクテルも人気があるという。帰り際、他のお客さんに対してと同様、1階まで一緒に下りてきて見送ってくれた。良心的な料金にも表れているけれど、客を大切にする姿勢があふれている素敵な酒場だと思う。【Bar COTTON CLUB】友人や大阪の懇意のマスターからも、この店の噂話はよく聞いていた。誰もが皆、「マスターの人柄とその接客が素晴らしい店」と賛辞を送っていた。「いつか一度お邪魔しよう」と思っていて、意外と時間がかかってしまった(笑)。 近鉄・新大宮駅から南西へ徒歩7、8分ほど。新大宮と言えば、奈良駅からひと駅大阪寄り、平城宮跡に近い(すなわち、いにしえでは奈良の中心地だったということか)。ビルの2階、階段を上がってドアを開けると、オーセンティックな空間が広がる。すでにお客さんが二組。 マスターのMさんは、「暑いですね。どうぞようこそ!」とにこやかな笑顔で迎えてくれた。Sさんの素晴らしさを伝える言葉は、いくつかある。曰く「腰が低くて、気遣いが素晴らしい」「流れるような動きに無駄がない」「お酒に造詣が深くて話し上手」等々。 そのどれもが本当だということは、カウンターに15分でも座れば、貴方もすぐに実感できるだろう。「Good Bar」の条件はいろいろあろうが、うらんかんろがいつも書いているように、やはり最後は「マスターの人柄」に尽きるだろう。こんな素敵なBARが、大阪ではなく奈良にあることを、僕は羨ましく思う。【Bar Dalwhinnie】奈良市小西町8-1 ラフィーヌ東洋2F 電話0742-26-2999 午後6時~午前2時 無休 【Bar COTTON CLUB】奈良市大宮町4-313-4 ヴィラ松本2F 33-0340 午後7時~2時 第2&4日休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/07/18
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この日記も少し前の話で、すみません(書かねばいけないと思いつつ延び延びになってしまった)。神戸でブログの友人ボンさんとBAR巡りをしました。僕にとっては地元なので、わざわざ改まってBAR巡りと記すのも変なんだけど、ボンさんは神戸でしっかりBARホッピングをするのは初めてということもあり、ご案内いたしました。さて当日、元町の「清香園」で軽く食事した後、巡ったBARは以下の通りです。【Bar Savoy Hommage】まずボンさんをお連れしたのは、神戸で、私が最近一番気に入っているBAR。マスターのMさんは、まだ30代前半の若手ですが、口八丁手八丁のバーテンダーで、僕が一目置いている凄腕である。 マンションの1階にある店は元町駅から北西へ徒歩5分ほどだが、店までの道が少々坂道で大変だ(笑)。しかしたどり着いたらそこは、まるで洋館の応接間に招かれたようなレトロな雰囲気が待っている。 Mさんはカクテルの名手で、知識欲も旺盛。現状に満足しない勉強家でもあるところも大好きだ。加えて、気さくな人柄でジョークの名人。話芸レベル(?)は、神戸の若手では一番かもしれない。 とにかくSavoy Hommageは楽しく、リラックスできるのが一番の魅力(加えて午後4時オープンなのも嬉しい!)。当分の間は、神戸ではうらんかんろが最も出没回数の多いBARになりそうだ。【カクテルルームこにし】ボンさんから当日、「**さん、カクテルルームこにしって知ってます? 年配の方がされていて、結構老舗らしいんですが…」と聞かれた。恥ずかしながら、初めて聞く名前だった。神戸のあちこちのBARに約30年も通い続けてきたのに…、こういうこともあるのが面白いところ。 で、場所がよく分からないので、Savoy Hommageのマスターに尋ねた。すると、元町駅への帰り道にあるというではないか(簡単な地図も書いてくれた)。それは訪ねてみなくてはと、早速2人でドアを開けた。 店内はカウンター6~7席程度の小じんまりした空間。マスターのKさんにご挨拶したが、現在地では店は28年。その前は別のお店で30年ほど勤めて、今年御歳75歳という。おそらくは、神戸の現役バーテンダーでは最長老格の一人になるのかもしれない。 店内の壁に、手書きのカクテル・メニュー(説明付き)の紙が貼ってあるのが面白い。「マティーニ」ではなく、「マテニー」と記されている。なんだか大正時代のBARにタイム・スリップしたみたい。お時間のある方、レトロなBARにご興味ある方は、一度訪問されるのもよし。業界の大先輩であるKさんが、まだまだ元気で現役でありますように…。【Bar Charlie Brown】3軒目には、やはり港町・神戸らしいBARにお連れしようと、馴染みでもある元町のかつての外人BARへ。分かりにくい細い路地の奥にあるが、今は大きな青い看板が通りに出ているので見つけやすい。 僕がよくお邪魔していた80年代前半は、デンマーク人のキディさんがマスターだったが、彼は天国にいる。店はその後、キディの妹さん、そして日本人の奥様に引き継がれ得たたが、結局7、8年前に、現在のTマスター方が営むキャッシュ・オンのショットBARに変わった。 でも、店はキディがやっていた頃と内装はほとんど変わっておらず、当時の雰囲気を楽しめる。キディの愛したジュークボックスもそのまま残っている。外人BARがすっかり姿を消したミナト神戸。古き良き時代に思いを馳せるなら、ここは最高の空間だ。僕にとっても思い出がいっぱい詰まっている。【Bar SAKAI】友人と一緒にBAR巡りをするが訪ねてきた時には、せっかくだから新しい店にもチャレンジしようといつも思っている。とくに一人ではなかなか行きにくい店をこういう機会に覗いてみたいと思っている。 で、今回僕が選んだのは、このBar・SAKAI。どこかのお店のマスターに紹介されたとか薦められたとかでなく、インターネット上のいくつかのBARサイトで「口コミの評判」がとても良かったからだ。 マスターのSさんは旧・新神戸オリエンタルホテル(今は確か別の名になっている)のBAR出身。ホテル出身だから黒か白のバーコート姿かと思ったら、おしゃれなシルクの黒ドレスシャツという、意外なファッション。接客もとても気さくだ。観光地の異人館街寄りという立地もあるのだろう。 ウリは生フルーツを使ったカクテルという。店内は土曜でもほぼ満員の盛況。若い女性客が8割くらいを占めている。この夜、僕もおすすめのフルーツ・カクテルを頼んだ。Sマスターはボストン・シェーカーの使い手らしく、流れるような鮮やかな所作だ。出てきた苺のカクテルのクオリティもとても高かった。また再訪したい1軒になった。【Bar YANAGASE】神戸を代表する老舗BARと言えば、この店か、旧Bar・Savoyだろうが、名バンテンダー・小林省三さんがいたSavoyは今はなく、弟子のKさんに継承された名前の同名のBARは、別の場所に立地する。 そういう意味で、やはりこのYanagaseはやはり今や数少ない、最も神戸らしい老舗で、遠来の客をもてなす際には外せないBARだ。今年で創業45年。異人館街に近い、ツタのからまる一軒家のBAR。店内には暖炉があり、Nマスターが本当にマキをくべて、店内を温めてくれる冬場は最高だ。 70代のNマスターは寡黙だが、暖炉のように心温かい方だ。神戸という場所柄、全国から客が来る。そうした客にいい気持ちで帰ってもらおうという心遣いがそうさせるのだろう。Yanagaseは神戸の文化財とも言っていい。こういう店は代替わりしても、永遠に受け継がれていってほしいと心から願う。【Bar Savoy 北野坂】この夜、最後にお邪魔したこのお店は、言わずと知れた神戸の老舗BARだ。マスターのKさんは、旧Bar・Savoy時代を通じて、約40年もの間、小林マスターを右腕として支えた(Savoy HommageのMマスターの兄弟子にあたる)。 旧Savoyなき後、Kさんは今はSavoyグループの中心的存在として、そして神戸のBAR業界のリーダーとして活躍している。その丁寧で、優しい接客は申し分ない。神戸の老舗カクテルBARでは、個人的にはここのカウンターが一番落ち着ける。 Savoy北野坂ではもちろん、Kさんのオリジナル・カクテル、「ソル・クバーノ」を頂く。1980年のS社のコンクールでグランプリを獲得した、今や全国のどこのBARでもその名が通用するカクテルだ(もちろん、ここでは小林さんのオリジナル・カクテルも楽しめる)。皆様も神戸へ行かれたら、ぜひSavoy北野坂へお越しを!【Bar Savoy Hommage】神戸市中央区下山手通5-8-14 078-341-1208 午後4時~午前零時 日休 【カクテルルームこにし】神戸市中央区元町通3-15-6 午後6時~11時 日祝休 【Bar Charlie Brown】神戸市中央区海岸通1-2-15 393-1514 午後6時~午前1時 不定休 【Bar SAKAI】神戸市中央区下山手通3-12-1 トア山手フラッツ104 391-3316 午後6時~午前2時 第1&3日休 【Bar Yanagase】神戸市中央区山本通1-1-2 291-0715 午後5時半~午前零時 無休 【Bar Savoy北野坂】神戸市中央区中山手通1-7-20 第3天成ビル4F 331-8977 午後5時~午前零時 無休・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/07/17
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皆様すみません、今回もだいぶ前の報告です。久々の広島でのBAR巡りを簡単に紹介します。 【Bar BROWN】ここは、今や広島へ行ったらもう必ずと言っていいほどお邪魔する馴染みの店になってしまった。何よりも、開店時刻が遅い(だいたいが午後7時か8時)広島のBARにあって、午後5時から(時々開店が遅れるけど(笑))オープンしているのが嬉しい。 しかし、イケメンのオーナー・Oさんはとても気さくで、優しい紳士。福屋百貨店のすぐ裏という広島の繁華街のど真ん中のロケーションなのに、地下にあるお店に入ると、すごく心地よいオーセンティックな空間広がる(おまけに料金もめちゃ良心的!)。 ビール、カクテルがメインだが、ウイスキーもレアなものも含めて結構な品揃えがある。最近、広島出張と言えば、だいたいが日帰りということが多くて残念だけれど、ここなら安心して、新幹線に乗り遅れることなく飲める。出張族の皆さまにも自信を持っておすすめできる酒場だ。【Bar Fouque】ここも、広島でうらんかんろが大好きなお店の一軒。繁華街からは少し北へはずれるが、歩いて丁度いい距離だ。開店が(BROWNほど早くはないが)午後6時というのもいい。だから、BROWNに寄った帰りにお邪魔することが多い。 しかし、何よりも好きなのはこの店の内外装のデザイン、インテリアである。とにかくおしゃれで、落ち着く。ライティングの照度も丁度いい。大阪の鰻谷か東京・西麻布にありそうな雰囲気の店と言えば、なんとなくイメージしてもらえるかもしれない。 お髭がダンディなオーナー・Uさんは、威厳あふれる感じなので、初めての人は少し声をかけにくいかもしれないが、実はとても気さくで、話しやすい(初対面の時は、なんとなく画家かジャズ・ピアニストみたいなアーチストっぽい印象を受けた)。 カクテルやワインがメインだが、ウイスキーもそこそこありそうで、フードも充実(こちらもお値段は良心的)。奥にグループ向きの個室風のソファ席(7~8人でもOK)があるので、2次会にも使い勝手がいい店だろう。ここも間違いなく、うらんかんろの一押しの店である。 【Bar メイフォア】上記のFouqueのマスターに「帰る前にもう1軒寄りたいのですが、近くでおすすめのBARはありますか?」と聞いた際、「それならここは」と紹介してもらったお店で、今回が初めての訪問だ。 お店はビルの2階にあって、ドアを開けると予想外なほど広く(30坪くらいはあろうか?)、静かな、そして贅沢な空間が広がっている。「大阪から出張で来たのですが、Fouqueさんから教えられて」と自己紹介すると、マスターのOさんは「実は僕も京都や大阪にもいたのですよ」と。 聞けば、京都でも大阪でも某有名ホテルのBARを仕切っていらしたとか。せっかくなので、OさんがかつてHBA(ホテル・バーテンダー協会)のコンクールで優勝したという、店名と同名のカクテル「メイフォア」を頂く。ホテルBARの出身らしく、Oさんは接客・物腰ともとても丁寧だ。 「メイファア」は梅酒がベースで、カンパリ、グレープフルーツ・リキュール&ジュースというレシピだが、とてもさわやかな味わいで、「軽めなので、お酒に弱い女性の方にもとても人気があります」とのこと。もしメイフォアに行かれた際はお試しあれ。【Bar Monet】メイフォアで締めればよかったものの、広島の繁華街(飲み屋街)はJRの広島駅まで路面電車で15分ほどという好ロケーション。しかも路面電車は夜遅くても5分~10分間隔くらいで来るのでとても便利。 という訳で、せっかく広島まで来たので、メイフォアの近くで最後にもう1軒お邪魔したのが、このMonetというお店。店名はもちろんあの有名な印象派の画家名からとられたのだが、その名の通りここもおしゃれで印象的な店(バックバーにはモネの絵が飾られている)。 地下1階の店内は間接照明が素敵で、ロー・カウンターのサロンBAR的な雰囲気。ソファ席にはデートらしき大人のカップルでほぼ満席。おっさんの一人者としては、カウンターの端っこに座って、小さくなって呑む。 客の年齢層は高いようで、ガキっぽい若者連れ等は見かけない。静かにゆったりと飲みながら、会話を楽しむのには丁度良いBARだろう。ここも繁華街からは少し離れた隠れ家的な立地なので、覚えておいて損はない1軒に違いない。【Bar BROWN】広島市中区堀川町6-17 森岡ビルB1F 電話082-247-4441 午後5時~午前2時 日休 【Bar Fouque】広島市中区鉄砲町4-7 シティーコープ幟町1F 227-5837 午後6時~午前零時 年末年始のみ休 【Bar メイホア】広島市中区幟町7-30 宏和8・2F 222-3717 月休 【Bar Monet】広島市中区橋本町7-20-B1F 電話? 午後7時~午前3時 不定休・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/07/10
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3月の話で恐縮ですが、久々に徳島でBAR巡りをしました。徳島でのBAR巡り&ピアノBARツアーの際には、いつも必ずお邪魔している秋田町のJazz Bar SWINGへは当然立ち寄りましたが、それ以外の4軒について、を簡単にご報告を--。 【Bar PRACEBO(プラシーボ)】 初めてお邪魔したお店です。徳島の飲み屋街、富田町のエリアにあって、以前、僕が馴染みだったお店(今はもうありませんが)のすぐ斜め向かいにあります。 なぜここを選んだかというと、旅先、出張先ではできるだけ早くBAR巡りを始めたいうらんかろは、いつもそのエリアで一番早いオープンの店を選ぶことが多いのです。このPRACEBOも「午後6時オープン」という点に惹かれました。 行ってみると、オーナーは女性(Nさん)で、とても気さくでフレンドリーな方でした。オープンしてまだ1年ほどということですが、店は落ち着いた雰囲気で、内装のデザインもところどころに、おしゃれなこだわりが溢れています。加えて、Nさんは結構実力あるバーテンドレスでもあります。 ちなみに店名の「プラシーボ」は、医療で使われる「偽薬」のことで、「貴方を喜ばせる」という意味のラテン語だそうです。後で知ったのですが、Nさんは実際、医療系の大学を出て修士号まで持っているとか(す、すごい!)。気さくで居心地の良い店なので、徳島に来たら、また来てみようと思います。【薔薇亭(BARATEI)】言わずと知れた、徳島随一の老舗BARです。うらんかんろがかつて10数年前、徳島で単身赴任していた際は、一番お世話になった店です。赤い煉瓦に包まれた重厚感あふれる内装は一見の価値があり、とても居心地の良い空間でした。 しかし残念ながら、Hマスターは先年に他界され、しばらくは奥様が店を守っていました。その後少しご無沙汰していたのですが、最近、マスターの弟子で、徳島で別のBARのオーナーもされているMさんが引き継がれたという話を聞いて、それは久しぶりに訪店しなくては、と今回立ち寄りました。 すると行ってみると、店には奥様が1人カウンターに。ご無沙汰のお詫びの挨拶をした後、「Mさんに店を引き継がれたという話を聞いたのですが…」と尋ねると、「ええ、M君は8時半くらいから午前零時くらいまでこちらに来て、それ以外は(もう一軒の)Lにいるんですよ」とのお答え。 さらに、奥様は「私は、(亡くなったマスターの間には)子どももいなかったので、この店が子どもみたいなものだから、体が元気なうちはカウンターに立とうと思って、いちおう早い時間は店に出てるの」と言う。僕も「ええ、ぜひ体の続く限り店に出てくださいね。家に1人でいるより絶対にいいですから」と応えた。僕はその後、「じゃぁ、これからLへ行って、Mさんの顔を見てきます。薔薇亭にもまた来ますから、お体に気を付けてくださいね」と、奥様にお別れした。【Long Bar】薔薇亭から歩くこと数分。地方都市でも、徳島はとくに飲み屋街のBARの近接度が高く、歩いてのBARホッピングには最高の街だ。今や薔薇亭のオーナーにもなったMさんのホームグラウンドが、この「Long Bar」である。 ここも僕が単身赴任時代からお世話になったBARだ。当時のMさんはまだ若手のバリバリだったが、今や押しも押されぬ徳島BAR業界のリーダーの一人だ。 久しぶりにお会いしたが、昔と同じように、気さくさや温かさは変わらない(雰囲気は、ちょっと神戸メインモルトのGさんに似てきたかな? ごめんなさーい)。 店は2フロアに分かれ、1人でもグループでも対応できる有り難い店だ。スタッフも優秀で、接客・サービスも申し分ない。お値段もリーズナブル。僕はご無沙汰のお詫びに、秋山徳蔵さんのカクテルブックの復刻本等をプレゼントした。 店は、今年5月3日で14周年を迎える。Mマスターは先日、僕にもわざわざ14周年の案内を送ってきてくれたが、一緒に「阿波三盆糖」が入っていた。こういう細やかな心遣いが嬉しい。Mさん、有難う。徳島は僕にとっては「第二の故郷」だから、またちょくちょくお邪魔します。これからも宜しくね。【Bar Glen K】徳島を離れて、僕ももう11年になるので、BAR業界も結構、世代交代というか変化があります。僕の知らない新しいBARも随分と増えて来ました。このBARも比較的最近、お邪魔するようになった店です。きっかけは大阪・天満橋で馴染みのBar・CのHマスターからのご紹介です。 マスターのIさんは、Hマスター同様、とても気さくで、話好きで面白い方です。ニコニコとした笑顔も素敵です。初めて訪問したのはもう3、4年前だったかと思いますが、第一印象からして最高だった人です。今回は2年ぶりくらいの訪問でしたが、僕のことを「ええ、もちろん覚えてますよ」と歓待してくださいました。 Glen Kは、僕が徳島を離れた後にオープンしたので、今年でまだ7、8年という若い店ですが、重いドアを開けて階段を上がり、2階の店内に入ると、老舗のような風格ある、落ち着いた空間が広がります。秋田町の喧騒はここまでは届かず、とても静かです。 シングルモルトの品ぞろえも豊富で、もちろん美味しいカクテルも味わえて、フードも充実。いわゆるオールラウンドな、オーセンティックBARとして、使い勝手の良い一軒だと思います。皆さまも、徳島に来られた際は、ぜひ一度お越しください。【Jazz Bar SWING】徳島市秋田町2-36 木村ビル2F 088-622-9669 午後6時~午前4時 不定休 【Bar PRACEBO(プラシーボ)】徳島市富田町2-38 西山ビル2F 623-7353 午後6時~午前2時 不定休 【薔薇亭(BARATEI)】徳島市栄町1丁目34-1 ビアンカビル1F 655-5165 午後7時~午前1時 日祝休 【Long Bar】徳島市栄町1丁目7-3 源ビル4&5F 656-3747 午後7時~午前2時 無休 【Bar Glen K】徳島市秋田町1丁目29 パパガーロビル2F 623-5180 午後8時~午前5時 第1&3日休、第3月休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/05/01
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少し古い話ですが、先般四国・高松に出張した際のBAR巡りの報告です。日帰りだったので、行けたのは3軒だけですが、いずれも素敵なお店でした。 【Bar Le Camarade(ル・カマラード)】1990年にオープンし、今年で22年目。高松では今や最も老舗と言ってもいいBAR。実は、うらんかんろは10数年前に一度お邪魔しているはずだけれど、その時は4人でやって来て、テーブル席で話してばかりいたので、恥ずかしながら店の記憶があまりない。 今回は、じっくりゆっくり飲もうと開店早々、カウンターに座った。マスターにご無沙汰の挨拶(もっともマスターは覚えていないけど)をした後、この夜のスターターの酒を味わいながら、最近の高松のBAR業界の景気などについてあれこれと話題に。 今回初めて名刺を交換したマスターの名前を見て、あれ?っと。3軒目で行こうと思っているBARのマスターと姓が同じである。聞けば、「ええ、兄弟なんです。僕が兄で、あっちが弟なんです。よく僕が弟と間違えられますが…」(笑)とのお答え。 それはともかく、気持ちの良い、温かい接客・サービスに、僕はすっかり満足。さすが高松で人気の老舗である。キャパも結構広いので、ゆったり落ち着けて、グループで行っても使える店だ。皆さまも高松出張の際にはぜひお越しを。【Cocktail Bar Dank(カクテルバー・ダンク)】上記・カマラードで修業したオーナーのHさんが開いたお店。Hさんは女性だが、NBA(日本バーテンダー協会)の全国コンクールでも優秀な成績をおさめられた、腕利きのバーテンドレスである。 そんなHさんだから、もちろんカクテルがウリな店なのだが、残念ながら、うらんかんろがお邪魔したこの夜は、店に来られるのが9時すぎになる(日帰りの僕はたぶんお会いできない)というので、スタッフのTさん(この方も女性)にカクテルをお願いする。 あとで聞いたのだが、Tさんもジュニアのコンクールに出ている伸び盛りの方という。先生がHさんということもあって、カクテルづくりの所作などは実にきちんとしていて、味わいも申し分なかった。「ダンク」はまだまだ発展途上だが、今後ますます楽しみなBARになることは間違いない。次回はHさんにお会いするために、一泊出張にして、もう少し遅い時間にお邪魔することにしよう。 【Barふくろう】3軒目にお邪魔したのは、1軒目「カマラード」のマスターの弟さんがオーナーの店だ。ダンクからも歩いてすぐ、「古馬場(ふるばば)」というエリアにある。重そうなドアを開けると、マスターは不在だったが。、スタッフの方が「もうすぐ帰ってくると思います」と応えてくれたので安心して飲んで待つことに。 店内は、オーセンティックBARの見本のよう。重厚で、落ち着いた雰囲気に溢れている。ハイ・スツールの椅子もとても座りやすくて、カウンターも居心地がいい。まさに、僕が理想とするBARの内装に近い。 間もなく、オーナーのOさんが戻ってきた。Oさんは、僕が大阪で行き付けのBARのマスターと懇意だったこともあって、打ち解けるのにまったく時間はかからなかった。話には聞いていたが、とても話好きで、気さくで、温かい方だ。第一印象だけで(マスターに)惚れ込んでしまうことがあるが、ここもまさにそんな店。 Oさんは高松で有名なPという老舗BARで長年修業され、いずれその店を継ぐものと誰もが思っていたが、事情があって、そのBARは数年前に、一代で店を閉じてしまった。そこで、今の「ふくろう」をオープンした。 店名の「ふくろう」はヨーロッパでは「幸せを呼ぶ鳥」で、「首がよく回る」ので「商売繁盛の鳥」なのだそうだ。時間の経つのを忘れるほど居心地の良い「ふくろう」が、高松で愛される理由は、Oさんの人柄に他ならないと思う。店もきっと看板のふくろうにように、繁盛し続けるだろう。【Bar Le Camarade(ル・カマラード)】香川県高松市瓦町2-1-16 エースファーストビル3F 087-862-0126 午後7時~午前3時 日休 【Cocktail Bar Dank(ダンク)】高松市丸亀町9-7 杉山ビル1F 851-1020 午後7時~午前2時 日休 【Barふくろう】高松市古馬場町7-7 宇野ビル1F 823-3925 午後7時~午前3時 日休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/04/23
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すみません、こちらも東日本大震災発生前の話です。久々に富山への出張(3月8日~9日)がありました。で、仕事の後、BAR巡りを楽しんでまいりました(富山のBARにお邪魔するのは本当に久しぶりで、たぶん15年ぶりくらい)。 BAR巡りの前には、空きっ腹はよくない。まず神戸の懇意なBARのマスター(富山出身)から教えてもらった富山駅構内の「立山そば」の「かき揚げそば」。名産の白エビも使ったぜいたくな「かき揚げ」は実に美味(これで390円!)皆さんにもおすすめです。 以下、お邪魔した4軒のご報告ですが、今回の4軒はすべて居心地の良い「グッドBAR」でした。私の「おすすめBAR」リストにもすぐに加えたいと思います(写真右=富山と言えば、「薬売り」が有名。JR富山駅前にもモニュメントが)。【仏蘭西屋・洋酒肆】駅前から路面電車に乗って5分ほど、荒町という電停で降りる。そこから徒歩数分。総曲輪(そうがわ)というエリアにある。仏蘭西屋は、1961年創業。ことしで半世紀を迎える富山一の老舗BARである。しっとりと落ち着いた店内は、老舗の風格に溢れている。バックバーに並ぶオールド・ボトルは見事というほかない。 聞けば、仏蘭西屋という名はかつて大阪ミナミの道頓堀にあった老舗BAR「仏蘭西屋」からもらったものという。Nマスターは現在79歳。現在、早い時間は他のスタッフ3人に任せておられる。マスターは店に出られるのは通常午後8時半頃といい、今回は残念ながらお会いできなかったが、スタッフの温かい接客に僕は十分満足して、「体に気を付けてお元気で」との伝言を託し、お別れした。【Bar・リクオル(Liquor)】仏蘭西屋から歩いて数分、同じ総曲輪エリアにある。Sマスターは、東京の有名なBAR「コレヒオ(現コレオス)」の出身。コレヒオで、名バーテンダー・大泉マスターについて修業した後、地元・富山へ帰り、さらに仏蘭西屋で修業。12年前に独立した。 大泉マスターは、私が先頃ブログで取り上げた「秋山徳蔵氏のカクテルブック」をお持ちの方としても知られる。僕が復刻版連載を思い立つきっかけをつくった1人でもある。そういう意味でも、Sマスターの店を訪れることには何かの縁を感じる。もちろん、僕はを「復刻版」を一冊プレゼントした。 Sマスターは現在47歳。富山でも一番脂の乗った、実力あるバーテンダーとして有名だ。頼んだギムレットはキリッとした味わいで申し分なかった。これからますます楽しみなBARである。【舶来居酒屋・白馬館】3軒目にお邪魔したこの店も、今年で創業50年近くになる老舗の一軒である。以前は総曲輪エリアにあったというが、25年ほど前、現在地の富山駅前に移ったという。移転後の店はビルの2階だが、店内に入ると老舗の雰囲気がしみ込んだ、しっとりした内装。 店は現在は、Uマスターと息子さんのお二人で店を切り盛りされている。今年77歳になるというUマスターだが、大阪の昔の盛り場や店のことも実に鮮やかに覚えておられておられる。「あのMというクラブはどうなったかなぁ…。(大阪で)誰かに聞いて教えてください」という宿題もいただいた。 話好きのUさんは、他にも忘れられないお客さんと出会いをあれこれと話してくれた。僕は時間を忘れてただ聞き入った。年季の入ったマスターの話には、教えられることが多い。Uさん、味わい深い話の数々、本当に有難うございました。【Jazz&Liquor ジェリコの戦い】ジャズの曲名「ジェリコの戦い」を店の名前にしていることを考えただけでも、きっとこだわりあるマスターなんだろうなと思っていた。実際お邪魔してみると、やはり、酒や音(真空管アンプとフィンランド製のスピーカー)にこだわった酒場だった。 長髪を後ろでくくった独特のヘアスタイルのマスターは一見、近づき難い雰囲気もあったが、会ってみると、実に気さくで話好き。「こだわりのスピーカーに興味があって」と、大阪で僕がよくお邪魔するBar・Cに突然現れたりする、神出鬼没ぶりも面白い。 居心地が良くて、お値段も実にリーズナブル。富山駅からも徒歩数分という最高のロケーション。確実に、富山での行き付けの一軒になること間違いなし。【おまけ】富山ではいまご当地ラーメン「富山ブラック」がブーム。濃いくち醤油を使い、粗引きの黒胡椒加えた独特の塩辛いスープ。ネギは多めで、チャーシューは細切れで入れるのが主流とか。 私は「富山ブラック」の中でも一番人気のある老舗の「大喜」にお邪魔した。麺はやや太めで、少し固め。スープはやや辛い印象だったが、食べ慣れると病みつきになる可能性を秘めたラーメンだろう。皆さんも富山へ行かれたら、話のタネにぜひ一度お試しを(土産物としてもあれこれ売っています)。【仏蘭西屋・洋酒肆】富山市総曲輪1-9-15 電話076-431-1012 午後6時~午前1時 日祝休 【Bar リクオル】富山市総曲輪1-1-12 桜木町リンカーンホール1F 442-6020 午後5時~午前0時 日休&月曜の祝日休 【舶来居酒屋・白馬館】富山市桜町1-3-9 ビル2F 432-0208 午後6時~11時半 日祝休 【Jazz&Liqour ジェリコの戦い】富山市桜町2-3-24 ビル2F 441-5261 午後7時~午前3時 無休 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/27
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すみません、東日本大震災からまだ2週間なのですが、そろそろ震災以外の話題をテーマにしても怒られないかなと信じてアップします。先月(2月)の話なので少し恐縮ですが、忘れないうちに高知でのBAR巡りについて、簡単にご報告を。 今回まわったのは4軒。まずは前回(2010年10月1日の日記)行ったのと同じ「バール・バッフォーネ」で腹ごしらえ。再会した青野マスターとあれこれとお話しながら、美味しいワインと前菜盛り合わせを堪能した(2杯目でいただいたのは、なんと人生初めてのインド産のワイン。インドでワインが造られているとは驚き)。 で、BAR巡りですが、今回は少々不作だった。3軒回ったうち、良かったと思ったのは1軒だけ。最初に行ったAというお店。老舗の一軒ということは聞いていたのだが、マスターは不在で女性が一人いただけ。カクテルを頼んだが、その出来は悲しいほど(おまけに、グラスの選択も誤った)。 都会でも地方都市でも、これまで老舗BARを数多く訪ねたが、概ね評価は大きく分かれる。「期待通りで、もの凄く良い」か「老舗という看板が泣くような味と接客にがっかり」か、だ。今回のAという店はむろん後者になる。まぁ、長い間BAR巡りをしていると、こういうこともある。 気を取り直して2軒目のBというお店に転戦する。今度は大阪のあるBARのマスターの紹介(推薦ではなく)なので、まず、大丈夫だろうと思った。しかし、その期待も裏切られた。フルーツ・カクテルがウリと聞いていたので、地元・高知の文旦のカクテルを頼んだ。 カクテル自体はまぁ平均点の味わいだったのだが、出てきたお通しを見てびっくり。「和風ポトフ」なるものが出された。ここは居酒屋か? フルーツ・カクテルに和風ポトフを合わせるセンスに唖然である。マスターは合うと思っているのか? これなら、かわきもので充分だ。 しかも、地方都市のBARにしては結構強気の値段設定とチャージだった。僕的に言えば、「少しぼられた」かなという印象。このBARはたぶん、「もう2度目はない」店に入るだろう。贅沢は言わないが、お通しを出すなら、客が頼んだ酒に合うものにしてほしい。 で、再び気を取り直して、3軒目へ。帯屋町の飲み屋街からそう遠くない追手筋という場所にある「Bar・POURER(ポアラー)」=写真左上&右=というお店。オーセンティックで、落ち着いた雰囲気はまず合格点。 店は繁盛していて、マスターは忙しそうだったが、出張で訪ねたという僕にも、気さくに話しかけて応対してくれる。ようやく心落ち着ける空間に出会えて、ひと安心。ウオッカ・トニックと余市のロックを頂いたが、お値段も普通のレベル。 聞けばオープンは1985年というから、もう開業26年。マスターはどんなに忙しくても笑顔を絶やさず、すべての客に平等に対応している。常連でも一見でも同じ接客だ。繁盛している理由がわかる。「BARの善し悪しは結局のところ、マスターの全人格の反映である」と言った人がいたが、僕も同感である。 「POURER」は最初の2軒とは違って、確実に「もう一度訪れたい店」として、僕のBARリストに入るだろう。【Bar・POURER】高知市追手筋1-8-21 プランタン・パート3・1F 電話088-822-3321 午後6時~午前1時 無休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/26
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滋賀県というのは、京都に近いせいかどうかは知らないが、「オーセンティックBARの不毛地帯」という評判をよく聞く(滋賀県のBAR経営者の方、ごめんなさい)。実際、洋酒メーカーのHPでのBARガイドを見ても、まず滋賀県の県都・大津には1軒くらいしか出てこない。同県内の他の地域にしてもBARは数えるほどしかない。 大津や草津辺りに住んでいる人に聞くと、「たいてい京都まで飲みに出てしまう。だって、選択肢が多いし、JRで15分ほどで行けるんだもん」との答えが返ってくる。でも、滋賀県にも素晴らしいオーセンティックBARはある。少なくとも僕はその店を知っている。場所は県北西部の彦根。ご存じ国宝・彦根城のある井伊家の城下町である(今じゃ、「ひこにゃん」の方が有名かな?)。 今回おすすめするのは、いずれも同じオーナーが経営する2軒。一つはお城に近いエリアにある「Bar Thistle(シスル)」=写真右=と、JR彦根駅からすぐのところにある「Salon Bar Thistle」=写真左下。Thistleとはスコットランドの国花「アザミ」のこと。この名前からもオーナーのBARに対する愛と意気込みが感じられる。 先般、私は久しぶりにお邪魔した。オーナー・バーテンダーのMマスターは、コンクールでも優秀な成績をおさめた経験もある凄腕の方だが、それよりもホテル出身のバーテンダーらしい、柔らかく温かい接客が大好きだ。 今回まず、Bar Thistleにお邪魔すると、Mマスターはおらず、気さくなお弟子さん・Kさんが出迎えてくれた。Bar Thistleはウッディで、オーセンティックな空間だが、決して堅苦しい雰囲気はなく、これほどクオリティの高い酒場は銀座や北新地にも数少ないと言ってもいい。滋賀県人のBAR愛好家は、彦根にThistleがあることをもっと自慢していいと思う。 Kさんも師匠に劣らず、素晴らしい丁寧な接客をしてくれる(Mマスターの教育が行き届いているからだろう)。早速、K君のつくってくれた美味しいジン・リッキーをいただき、のどを潤す。 聞けば、半年ほど前に彦根駅前近くのホテルの1階に、2軒目をオープンし、Mマスターは現在はそちらに出ているという。「それなら、せっかくだから帰りに寄っていくから」と、2杯目の酒をいただいた後、Kさんに歓待の礼を言って、急ぎ足で駅方面へ向かう。 「Salon Bar Thistle」は駅前のビジネスホテルの1階にあるが、店に一歩足を踏み入れると、そこには程よい照明に包まれた、静かで落ち着いた空間が広がっていた。まずは「予約席」という札が置かれたカウンターの席に腰を落ち着ける。 そして、Mマスターに「ご無沙汰しております。お久しぶりです」と挨拶。「本日はわざわざ有難うございます。**さんがまもなく着かれるとThistleから連絡がありました」とMさん。Kさんが僕が店を出た後、すぐに電話しておいてくれたのだろう。「予約席」の札の意味が分かった(Kさんの心配りはさすが)。 Mさんとお会いするのは、恥ずかしながら約5年ぶり。でも、前回、「Thistle」でお会いした際の温かい接客・サービスは今もよく覚えている。Mさんとは、積もる話をたくさんして、私は持参した秋山徳蔵さんの復刻本「カクテル(混合酒調合法)」を一冊差し上げた。 Salon Bar Thistleはまだ新しい店だが、座り心地のいいカウンターの席でMさんの美味しいオリジナル・カクテルを味わっていると、実に心地よく、リラックスした気持ちになれる。たまたま、この夜はカウンターに大阪のBARにも詳しい地元のお客さんがいらして、うらんかんろも意気投合。おやおや、楽しく過ごしていると、そろそろ電車の時間が近づいてきた。僕はMに再会を約して店を後にした。 彦根は大阪から1時間半ほどかかり、なかなか行く機会がないが、この2軒のThistleは何度でも行きたい店だ。今度は、北陸からの帰りにでも、途中下車してでも寄ろうかな。Mさん、心温まるもてなしを本当に有難うございました!【Bar Thistle】滋賀県彦根市本町1-12-12 ファーストハウス1F 電話0749-22-1230 平日午後6時~午前1時(土日=午後2時~)月・火・木・金はランチタイム(午前11時半~午後2時)も営業 水休 【Salon Bar Thistle】彦根市旭町9-14 ホテル・サンルート彦根1F 0749-22-7071 午後6時~午前1時 日休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/03/05
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10数年ぶりで島根県の松江市に出張でお邪魔してきた。元旦前後の大雪もあって市内はまだ雪化粧していたが、寒さの方は想像していたほどではなく、久しぶりに楽しいBAR巡りを楽しめた。以下は、今回巡った素敵な酒場のご報告。【Bar山小舎(やまごや)】昭和32年(1957)創業の老舗。松江に行ったらここは外せないと以前から思っていた。前回の松江訪問の際はあいにくお邪魔できなかったので、楽しみにしていた。 1軒家の店の中は、レンガと木をたっぷり使った温かい感じの内装で、まさに名峰の8、9合目くらいにある山小屋という雰囲気。半世紀を超す長い歴史に裏打ちされた風格は、銀座や大阪の老舗BARにも決して負けない。 店内の半分ほどのスペースが吹き抜けになっているので、圧迫感がなくて心地よい。内階段を2階へ上がれば、団体向きのテーブル席もある。「先代が、西部劇に出てくるような酒場の造りにしたいと考えたのです」と現マスターのYさん。 Yさんは創業者からみれば、孫にあたる三代目(40歳くらいかな?)だが、物腰の柔らかい落ち着いた接客や話しぶりは、老舗の看板を背負うに十分な落ち着きを漂わせている。 地方のBARは都会と比べて、「お酒関連情報の格差」というハンディがある。「(松江は)どうしても情報や技術が5年、10年と遅れがちです。だから時々大阪へ出て、セミナーに参加したり、先輩のBARのカウンターに座ったりして勉強させてもらっています」とYマスター。 インターネットがいくら発達しても、最新の商品や情報に接し、手に入れるのには、地方のBARには都会人にはわからない苦労がある。だからこそ、そんなハンディをある程度受け入れながら、地方に根ざして頑張っているBAR経営者やバーテンダーたちを、僕は心から応援したいと思う。 「自分は三代目だが、いつかまったく血縁のない別の方がこの店の経営者となったとしても、この店はずっと続いていってほしい。だから私の代でつぶしたと言われないように頑張るつもりです」とYマスター。そうした心意気がある限り、この「山小舎」はこの松江の地でこれからもきっと愛されていくだろう。【Bar Lochside】大阪で私が時々お邪魔するBARのマスターに、「今度、松江へ出張で行くんやけど、知り合いいる?」と聞いたら、「1軒だけ心あたりが…」と言って教えてもらったのがこの店。宍道湖畔から程近い、盛り場の一角に立地し、文字通り「Loch(湖)」の「Side(側=そば)」。都会のBARでは考えられないような、心憎いロケーションである。 カウンター8席ほどの小さな酒場に入って驚いたのは、バックバーに並んだシングルモルトの品揃え。都会のBARにも負けないくらいの充実度。おそらくは松江で一番だろう。「別にモルトBARに特化してるつもりはないんですが…」というマスターのBさんはまだ30代半ばの若さ。 店はまだオープンして2年というが、それ以前にも別の店で修業を積んだこともあって、Bさんの接客はとてもフレンドリーで、心地よい。「松江ではみんななかなかモルトを飲んでくれなくて、うちのお客さんも、半数はカクテルを頼まれますよ」と苦笑いも。 Bさんも山小舎のYマスターと同様、時々大阪に出かけて「勉強のために」BAR巡りなどをするという。こうした、研究熱心な若いバーテンダーがいる限り、松江のバー業界のレベルも確実に上がっていくだろう。それは旅人にとっても嬉しいことは言うまでもない。願わくは、もう1時間くらい開店時刻(現状は午後8時)が早ければ言うことないんだが…(笑) 【中村 Bar】以前、いくつかの雑誌でこの店を紹介する記事を読んでいた。記事はもちろんだが、なによりも店内の写真を一目見て気に入った。カウンターのまん前に大きな窓が広がり、宍道湖へ流れ込む川(大橋川)や街並みが眺められる。素晴らしい夜景だ。以来、「松江へ行ったら必ず」と思い続けてきた。 店はおしゃれなパステルカラーのビルの2階にある。オープンして8年。マスターは別の場所で20年ほど店を営み、現在のBARをオープンするのを機に移ったという(以前の店は今もあり、別の方に任せているとか)。 大阪から久しぶりに出張で来た旨を伝え、つくっていただいたウオッカ・トニックを頂きながら、夜景をぼんやりと眺める。夜の川面をのんびりと泳ぐカモや白鳥を見ていると、一日の疲れが癒される。時間の流れが実にゆったりしている。 川沿いをよく見ると、何隻かの小舟が係留されている。「あれは何の船ですか」と尋ねると、「ジジミ漁の舟なんです」とのこと。そう言えば、「有名な『宍道湖七珍』のなかにはシジミも入ってましたよね」と僕。「でも、七珍の中のアマサギなんて今じゃほとんど採れなくなりました。温暖化の影響だと言われています」とマスターは、とても気さくにあれこれと教えてくれる マスターはさらにこんな話もした。「今、島根県では救急医療が大問題になってるんです。出雲や県西部の大田、益田には高度救急病院がないんです。重篤患者は松江まで車で運ぶしかない。しかし今年のような大雪だったら道路も使えず、ヘリで運ぶしかない。都会の人は、田舎に無駄な高速道路ばかり造ってとよく言いますが、島根に住む人間には道路は命綱なんです。田舎には人は住むなということなんでしょうかねぇ…」。 僕は地方に暮らす人たちの切実な声を聞きながら、「本当に必要なインフラ整備(公共事業)はやはりしなくては」と痛感する。真面目な話を続けていたら、いつの間にか松江の夜もすっかり更けてきた。路面が凍結しないうちにホテルへ帰らねばならない。僕は、マスターに美味しい酒への礼を言って、再訪を約して帰途にについた。 松江のマスターの皆さん、心からの歓待を本当に有難うございました! 【Bar 山小舎】島根県松江市東本町1-33 電話0852-21-1090 午後6時~午前零時 日休 【Bar Loch Side】松江市伊勢宮町536-1 ビル1F 27-5526 午後8時~午前3時 第1・2・3日休 【中村 Bar】松江市東本町4-8 27-5770 午後8時~午前1時 日祝休 ※いずれの店もとてもリーズナブル&良心的なお値段なので安心して訪れてください。 ・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2011/01/14
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◆大名エリア 【Bar セブン・シーズ】中洲と並ぶ博多の歓楽街・大名は、中洲から地下鉄で2駅、大阪だと梅田から本町くらいの距離。中洲との違いは、地元のマスターに尋ねると、「ホステスがいるスナック、ラウンジが少なく、客層も中洲より10~20歳くらい若い」とのこと。 そんな中洲に、「セブン・シーズ」は昨年の1月にオープンした。遠藤マスターは系列店のBar「オスカー」の出身。うらんかんろは実は、前回4年半前の博多訪問の際、オスカーで遠藤さんとお会いしている。その話をまず披露して、「お久しぶりです。ご無沙汰しています」と挨拶。 「セブン・シーズ」は午後5時オープンなのが嬉しい。遠藤さんはさまざまなカクテル・コンクールで上位入賞を果たされている凄腕のバーテンダーでもある。せっかくなので、S社のカクテルコンペで優勝した作品「ミラノ・ルネサンス」をいただく。そして、優勝のご褒美として欧州旅行をした際、訪れたというパリの「ハリーズ・ニューヨーク・バー」の様子などを聞く。 開店間もない時間だったので客は僕一人。前回オスカーにお邪魔した際はあまりお話できなかったので、この日は気さくな遠藤さんと、ゆったりとした時間が過ごせた。まだ30代前半。将来楽しみなバーテンダーと出会えたことがなによりも嬉しい。【Bar オスカー】「オスカー」は1996年、中洲で誕生した。マスターの長友さんは、銀座の有名BARだった「ロオジエ」(現「テンダー」)の出身。うらんかんろは、「ロオジエ」時代に一度お会いして、博多へ帰られ、「オスカー」開業されてからも一度(前回訪問の際)お邪魔した。以来、毎年挨拶状をくださるが、ずいぶん久しぶりの訪問なので僕のことを覚えていてくれてるか少し不安だったが、そんな心配は杞憂だった。すぐに久しぶりの再会を喜んでくださった。 オスカーでは、もちろん長友さんの美味しいカクテルをいただいた。オリジナル・カクテルも考えたが、シンプルなカクテルにこそプロの技が光るとの思いもあって、まずジン・リッキーをお願いする。真っ二つに切った上質のライムを、切断面を上に向けてロンググラスの底に入れ、上から氷を詰める。そしてクラッッシャー用のマドラーを添える。 好みでライムをさらに潰せばさらに果汁が湧き上がる。実にしっかりしたジン・リッキーだ。大ぶりのグラスが嬉しい。2杯目は「レオナルド」(イチゴのシャンパンカクテル)。優しいステアで、旬のあまおうのジュースとシャンパンをしっかりとなじませていく。濃厚な味わいだ。 「14周年なので、オールドボトル、レアボトルをいくつか、1400円ぽっきりで飲んでいただけるキャンペーンもやっています」という長友さんの話に少し心が動いたが、まだまだ夜は長いので、ここは我慢でお別れする。次も系列店で、まだお邪魔したことのない、「パルム・ドール」へ移動しようと考えていたところ、長友マスター自ら「それならお送りしますよ」とわざわざエスコートしてくださった。感謝感激です!【Bar パルムドール】さて、わざわざ博多の大名エリアまで来たからには、やはり、「パルム・ドール」を外しては帰れない。最初は、5軒目くらいに予定していたのだが、オスカーの長友マスターがわざわざ連れて来てくださったので、急きょ3軒目に入れた。新谷マスターとは初対面(のはず)だが、「オスカー」系列店をはしごしてきたせいか、初対面なのになぜか、もう友人のような気がする。 店内は僕の大好きな暖色系の温かい感じのライティング。ブビンガの一枚板のカウンターが実にすばらしい。カウンターに座ると、実に和(なご)むというか、幸せな気分に浸れる。「パルム・ドール」でももちろん美味しいカクテルが味わえるが、いちおう一番の“売り”はモルト・ウイスキーということだったので、おすすめのシングルモルトをストレートでいただく。 会話の流れで、僕が「お土産に明太子の薫製を探してるんですが、製造販売してあるメーカーが今は中止しているらしいので、弱ってるんです」と話すと、新谷マスターは早速、「調べてみましょう」とインターネットであちこち検索し、ついに一軒、薫製を扱っている別のメーカーを見つけてくれた。旅人に優しかった店(マスター)は一生忘れないし、思い出に残る。パルム・ドールもまたぜひ来たいと思える店になること間違いない。【Bar 粋七(いきしち)】半年ほど前に博多でBAR巡りをした大阪のある懇意なBARのマスターから、「大名に行ったら、ぜひ粋七へ。**さんはきっと気に入ると思う」と言われた。行ってみて、そのマスターは僕の好みをよく知っていると思った。和洋折衷のコンセプトを持つ酒場は、僕の好きなジャンルの一つ。 しかし粋七は、西洋風のBARに「和」を乗っけただけの単純な酒場ではない。言葉ではうまく説明できないけれど、インテリアやメニューへのこだわりが面白く、かつ楽しいのだ。和紙風の立体的なライト、バックバーの階段状の和風引き出し。そして、オリジナル・カクテルも異彩を放つものが目立つ(例えば、シトラス・ヴェルモットとオレンジ・ヴェルモットのカクテル「ブランニュー・ハーフ&ハーフ」など)。 一見「いま風」の新しい店かと思ったが、聞けばオープンしてもう12年という。この手の店は流行り廃(すた)れが激しいが、それだけ続いているということは博多っ子の心をしっかりつかんでいるのだろう。「オスカー」の長友マスターと同級生と言う河野マスターは一見、無口でつっけんどんな第一印象だったが、話してみると拍子抜けするほど気さく。時間があればじっくり攻めてみたい店だ。皆さんも博多に来る機会があれば、粋七の不思議な世界をぜひ体感してみてほしい。【MOMOTA Bar】さて、大名でもう1軒、覗いてみたい店があった。我がBAR好きの友人からも勧められた「MOMOTA Bar」。百田マスターは東京・銀座の毛利BARを営む名バーテンダー毛利隆雄さんのお弟子さん筋にあたる。今でも毎年、一週間ほど休みをとって、師匠の店を手伝い、初心に帰ってカクテルを学ぶという。 「毛利さんの店が私の原点です」。近々店内に毛利さんの店の切り絵(成田一徹氏作)を飾るのは、そうした気持ちの表れなのだろう。僕がなによりも感心したのは、腰の低い、謙虚で丁寧な接客・サービスだ。こちらが恐縮するくらい。 さて、そろそろ中洲へ戻る時間が迫ってきたので、ここでは残念だけれど1杯だけと思い、クール・ダウンも兼ねて、ブラッディー・マリーをお願いした。そして出てきたのは、写真にもあるような見事な、マスターのこだわりを感じさせる一杯。遠来のの客をもてなすにはどうすればいいのか、百田マスターさんはしっかりと熟知している。【Bar セブン・シーズ】福岡市中央区大名1-6-11 KNOT HOUSE5F 電話092-771-7117 午後5時~午前2時 日休 【Bar オスカー】同市中央区大名1-10-29 ステージ1ビル6F 721-5352 午後6時~午前4時 日休 【Bar パルム・ドール】同市中央区大名1-14-18 2F 716-7110 午後7時~午前5時 火休 【Bar粋七】同市中央区大名1-13-16 TENJINアーク弐番館4F 716-8271 午後6時~午前3時 水休 【MOMOTA Bar】同市中央区大名1-10-14 MATCHビル5F 714-6077 午後6時~午前4時 月休・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/10
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◆博多BAR巡り・中洲編<下>【Bar GITA】前々から気になっていた老舗の一軒(1984年開業とか)。以前は「S…」という別の名前で店をされていたが、ある事情で店名を変えざるを得なくなり、数年前に心機一転、現在の店名で再出発したという。 岩永マスターは現在、NBA(日本バーテンダー協会)福岡支部の支部長もつとめておられる重鎮だが、会ってみるととても気さくで、堅苦しさは全然ない。大阪で僕が懇意にしているマスターとも親しく、共通の話題に花が咲いた。ついでに書けば、グラスを倒してお酒をこぼしてしまった(恥)僕に、とても優しかった(ほんとにすみませ~ん!)。 なお、「GITA」とはサンスクリット語で神聖な「神の歌」という意味らしいが、なぜその名を選んだのかは残念ながら聞き忘れてしまった。ちなみに弟さんもBARのマスターをしておられ、店は同じビルのすぐ隣。こちらの店名は「LOOP」という。【パブ 西川亭】博多・中洲にはバー「七島」のほかにも、有名な老舗BARが何軒もある。ここもその一軒で、昭和30年代後半の開業だとか。西川マスターは御歳75歳だが、いたって元気。 店は、伝統と風格がにじむ内装だが、マスターはとても気さく。初めてお邪魔したうらんかんろを、「遠いところから、それはそれは、ようこそ」と温かく迎えてくれた。話好きなマスターは興に乗ったら止まらない。独立して店を持つ前、中洲の別の店で働いていた頃の思い出話がぽんぽんと飛び出す。 「昔、進駐軍が福岡にいた頃は、兵隊が基地から持ち出したウイスキーを店に持ってきちょってね、買ってくれとね。小遣い稼ぎだよ。でも、終戦直後じゃとても手に入らない珍しいのが買えて、ね」等々、まるで昨日のことのように、懐かしそうに聞かせてくれた。西川さん、貴重な話を本当に有難うございます!【スタンドバーいしばし】中洲でもう一軒、外してはならない老舗があると聞いた。1966年創業。ただし、中洲で何度か移転したので、現在の店舗は創業当時のものではないらしいが、老舗らしい風格と落ち着いた雰囲気は保たれている。 御歳76歳の石橋マスターはとても丁寧で、親しみやすい。現在は奥様と二人で店を切り盛りされているが、「以前従業員を雇っていた頃の店なので、少し二人でやるには少し広すぎて…」と近々また移転を考えているという。年齢を考えると、さぞかし大変だとは思うが、まだまだお元気そうなマスターは「身体が続く限りは頑張りますよ」と力強いお言葉。生涯現役を実践されている石橋さんを羨ましく思った。 博多から帰宅すると、早速パソコンにメールが入っていた。「昨日はご来店いただき、本当に有難うございます…」と。感激すると同時に、76歳にしてITにも強い、このフットワークの軽さに、ただ驚くばかり。博多の大御所マスター恐るべし。【スタンドバー・マックス】「HIGUCHI」のマスターから、「ぜひここに寄ってください」と言われ、初日ホテルに帰る前に一杯だけと思い、お邪魔した。マスターの藤森さんも70代(確か75歳と聞いた)で、ご夫婦で店をされている(それにしても中洲は70代の元気なマスターが多い!)。店は、年季が入った貫禄ある老舗という感じ。接客は温かくて、落ち着ける。 カウンターに若いお相撲さんと親方が二人飲んでいた。いやぁ、見事な飲みっぷり。そうか、九州場所中なんだよね。帰り際、「ちなみに、しこ名は何と言うのです?」と尋ねると、「碧己真と書いて、『あおきしん』と読みます。『あお』は紺碧の碧(ぺき)という字です」との明るいお返事。 「いろいろあって大変だろうけど頑張ってねー」と声をかけると、「はい、有難うございます!」と握手を求めてきた。いやぁ…いい出会いでした(あとでネットで調べると、なんと大阪府出身、田子ノ浦部屋所属の22歳。親近感沸くなぁ…。そして隣に座っていたのが、田子ノ浦親方=元前頭筆頭・久島海=でした)。【Bar GITA】福岡市博多区中洲4-1-1 あざみビル1F 電話092-262-2623 午後7時~午前4時 日祝休 【パブ西川亭】(現在は閉店)同市博多区中洲3-2-7 桑野ビル1F 281-0868 午後7時~午前1時 日休 【スタンドバーいしばし】同市博多区中洲2-2-13 272-1055 午後7時~午前2時 日祝休 【スタンドバー・マックス】同市博多区中洲4-1-35 271-1921 午後7時~午前1時 日祝休・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/06
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4年半ぶりくらいで、小倉&博多にお邪魔してきました。もちろん夜は、博多(中洲&大名)で楽しいBAR巡り(小倉のBARも行きたかったのですが、日程の都合で今回は断念)。懐かしいマスター、バーテンダーとの再会も果たせて、実に充実した2泊3日でした。BAR巡り編(計3回)と番外編に分けてご報告いたしまーす。 ◆中洲編<上>【屋台バーえびちゃん】中洲と言えば、軒を連ねる屋台が名物。ラーメン屋、居酒屋が多いが、なかでも異彩を放つのが、この「えびちゃん」。扉を開ければ、そこはびっくりするような本格BARなのだ。場所は・中洲の冷泉公園沿い。毎晩この場所にやってきて店を組み立てるというから、またびっくり。以前博多に来たときは、満員で入れず悔しい思いをした。で、今回は満を持してオープンの7時と同時にお邪魔した。 しかし、のれんをくぐって扉をあけると、すでに横浜から来たという先客のおばちゃん2人連れが座っていた。まぁ、それくらいの人気店。8時頃にはだいたいいつも満席になるとか。フードもあれこれ面白いメニュー充実していて、お酒もリーズナブルなのが嬉しい。冬場はおでんも美味! マスターの海老名さんも気さくな方です(今は主に息子さん夫婦が切り盛りしてますが…)。BAR巡りのスターターとして、これ以上の店はないかも!【Bar HIGUCHI】個人的には中洲で一番親しくさせてもらっているBAR。マスターの樋口さんは中洲一の老舗BAR「七島」の出身。なによりもスマートで隙(すき)がなく、それでいて温かい接客がいい。従業員教育にはちと厳しいが、それは仕事に取り組む真摯な姿勢の表れなのだろう。 ここの名物は、ほとんどの客が頼むという自家製のモスコーミュール。ウオッカにショウガを漬け込んだ、高さ50cmほどの保存瓶が店のカウンターに2個。さらに店の壁際にも10個くらいある。「実は別の場所にまだまだあるんです」という。それくらいの人気でよく注文が出る。 でも、「HIGUCHI」ではカクテルも旨いが、シングルモルト・ウイスキーもおすすめ。マスターこだわりのレアなモルトも楽しめる(もちろんお値段もそれなりにするけれど…)。久しぶりで積もる話もたくさんあったので、この「HIGUCHI」だけは今回、二日連続でお邪魔してしまった。【Bar 倉吉・中洲店】大阪のBARで「博多で、いま一番勢いのあるBARは?」と聞いたら、何人かの方がこの倉吉さんの店の名を挙げた。同じ博多でも大名エリアにある本店も含めて4店舗を経営されていて、どれもが評判がいいらしい(オーセンティックBARからカジュアルな店まで幅広く)。 オーナー・バーテンダーの倉吉さんはホテル・ニューオータニ博多のご出身で、2002年にまず大名エリアで独立された。今は本店ではなく、中洲店にいらっしゃると聞いていたので、僕はここにお邪魔した。店はオーセンティックBARで、かつホテルBARのような落ち着いた雰囲気に溢れている。 倉吉マスターはとてもフレンドリーな接客で、話し好きな方。ホテルBAR出身とは思えない、気さくさが嬉しい。心地よくて時間を忘れてしまいそうだが、うらんかんろには、まだまだ回らなければならないBARがあるので、後ろ髪を引かれる思いでお別れした。次回は、ゆっくり時間をとって訪れたいなぁ…。【Bar Heart Strings】以前、博多に住んでいた大阪のBAR好きの友人が、このBARは、「きっと**さん気に入りますよ」と薦めてくれた。初めてお邪魔したが、その言葉は間違いではなかった。今年で開業16年、そして橋本マスターは現在脂が乗り切った45歳。博多を代表する腕利きバーテンダーの一人で、「HIGUCHI」のマスターと同じ「七島」の出身で、樋口さんの兄弟子にあたる。 早速、友人から聞いていた橋本さんのオリジナル・カクテル「ナイルの瞳」=写真左=をお願いする。レシピは、タンカレー・ウオッカをベースに、ホワイトピーチ・リキュール、ライム・ジュース、グレナディン・シロップ。程よい甘さの中にもきりっとした味わいが魅力の、素晴らしいドリンクだ。 しかしカクテルの味わいより、僕が何よりも嬉しかったのは、橋本マスターの柔らかく温かい人柄。そしてユーモアたっぷりの話しぶり。トークの上手さでは今回博多で巡った店では文句なしに一番かな。「Heart Strings」は居心地がいいというよりも、カウンターで時間を過ごしていて楽しいという店だ。この店も今後、うらんかんろの博多の行きつけの一軒となることは間違いない。【屋台バーえびちゃん】福岡市博多区上川端町・冷泉公園沿い 電話090-3735-4939 午後7時~午前3時 日休 【Bar HIGUCHI】同市博多区中洲3-4-6 多門ビル83 1F 092-271-6070 午後7時~午前3時 日休(日月連休の時は日曜営業) 【Bar 倉吉・中洲店】同市博多区中洲2-6-7 エレガンスビル6F 283-6626 午後7時~午前4時 日祝休 【Bar Heart Strings】同市博多区中洲1-3-1 岡本中洲ビル2F 262-3136 午後7時~午前4時 日休【中洲編<下>】へ続く・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/12/04
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友人に誘われて、堺でBAR巡りをしてきました。堺(市)と言えば、日本最大の墓、仁徳天皇陵などたくさんの古墳があることで有名ですが、戦国時代にいち早く、環濠を備えた自由貿易都市として栄えました。フランシスコ・ザビエルが布教活動したほか、千利休や与謝野晶子ら偉人を輩出した歴史的な街としても知られています。 しかし、度重なる戦乱や空襲で、そうした歴史的遺産は今では目に見える形でほとんど残っていません。このため、近畿地方に住む我々でも、観光という目的ではあまり訪れることの少ない街ですが、大阪駅(梅田)からは地下鉄と電車を乗り継いで約30分余で行ける意外と近い穴場的な場所なのです。 そんな堺には意外や意外、素敵なBARがたくさんありました。以下は、今回お邪魔した6軒の店の紹介です。【Italian Bar・Millanta(ミランタ)】BAR巡りの前にまず腹ごしらえをと、泉北高速・深井駅前にある、友人おすすめのイタリアン・バールへ。旨い料理と酒を味わいながら、今夜のBAR巡りの“作戦”を練ろうという魂胆です。 お酒はワインやビールがメインのようですが、カクテルもOKとのこと。しかし、この夜は友人おすすめの、ここでしか飲めないシードル(アップル・スパークリング・ワインという表現が一番近い?)を頼みました。 料理はパスタと前菜の盛り合わせをいただきましたが、評判通り美味しさ。失礼ながら、堺でこれほどレベルの高いイタリアンが食べられるとは思っていませんでした。オーナーのCさんもとても親切で、温かい人柄。接客・サービスも申し分ありません。ミランタのおかげでBAR巡りはいいスタートが切れそうです。堺に来たら、また行きたいと思わせる1軒になるでしょう。【Bar 街のあかり】まずお邪魔したのは、深井駅近くにあって、友人が懇意にしているバーテンダーAさんが勤めるこの店。2004年開業の、堺では人気のBARなので、僕も名前は知っていましたが、お邪魔するのは初めてです。 キャパは結構広めです。ウッディな内装のゆったりとした空間で、カウンターもかなりの人数が座れ、個室もあります。フードも充実しています。僕はAさんにご挨拶をした後、早速、彼のカクテルをいただきました。Aさんは、南大阪エリアで今どんどん力を付けてきているバーテンダーとして、大阪キタのBARでもその評判を聞いたことがあります。 まだ27歳と若いのに落ち着きがあって、礼儀正しくて、好感が持てます。僕のブログや本(「今宵も、BARへ…」)もすでに読んでいてくれたこともあって、打ち解けるのに時間はかかりませんでした。調子に乗って、「ミリオン・ダラー」なんて卵白を使うめんどくさいカクテルを頼んだ僕(ごめんなさ~い)に対して、嫌な顔一つせずに応じてもらって感謝でーす。【Bar・Kiln(キルン)】3軒目は、南海電鉄・中百舌鳥駅へ駅一つ移動。改札口を出て徒歩数分の、大きなマンションの前に来ました。店はこのマンションの2Fにあります。ことし4月に誕生したばかりの、堺のニュー・フェースです。マンションの2Fに飲食店舗のスペースがあるなんて、意表を突かれます。 しかし、ドアを開けて店に入ると、普通の街場のBARのようで、違和感はまったくありません。店はどちらかと言えば、モルトに力を入れておられるようす。その意気込みは店名を「Kiln」(=ウイスキー蒸留所の象徴である「乾燥塔」のこと)と付けたことからも分かります。バック・バーの木の額縁入りの店の紋章(皮張り!)も素敵です。 マスターのSさんも他の店のマスターに負けず劣らず気さくで、親切な方でした。聞けば、マンションの住人の方も結構常連さんになっているとか。レアなモルトもいろいろあるらしいです。こんな素敵な酒場が自分のマンションにあったら、僕もきっと入り浸ってしまいりそうです。【Bar・Whisky Cat】Kilnから程近いところに、南大阪のバー業界の重鎮(?)がおられるというのでお邪魔しました。BarとIrish Pubの両方の顔を持つような店。土曜日のまだ8時頃なのに、店内はもうほぼ満員の盛況です。カウンターの2席だけが空いてたので、ラッキーでした。 オーナー・バーテンダーのOさんも腰の低い方で、とても柔らかい丁寧な接客をされます。土曜日でもこれほど繁盛しているのは、やはりOさんの人柄ゆえでしょう。「お会いするのを楽しみにしていました」とOさん。事前に僕の本を読んでいてくれたおかげで、すぐに旧知の間柄のような気持ちになりました。 この店もウイスキーへのこだわりは並大抵のものではありません。バック・バーには樽入りのモルトもいくつか置かれています(ちなみに、店名の由来となった「Whisky Cat」とは、蒸留所でネズミ獲りのために飼われている猫のことです)。堺のBARのレベルの高さ、恐るべしです。【Bar・アッセルブル・オン・エイト】南海高野線・堺東駅から南海本線・堺駅方面へ歩いて、次の店へ移動する途中に立ち寄りました。お目当てのバーテンダーが休んでいたので、ここは1杯だけで退散。飲食店舗の設計で有名なデザイナー、間宮吉彦氏が内装を手がけたという、おしゃれな雰囲気のBARでしたが、滞在時間が短かったのでとくにコメントはありません(写真もなしです。すみません)。【Bar 中原】南海・堺駅近くにあって、2009年11月にオープンしたばかりの新しい店。ここのNマスターも友人が懇意にしています。Nさんは今、南大阪エリアだけでなく、関西でも今とても注目されているバーテンダー。実際、業界のカクテルコンクールの創作部門で優勝経験もあるほどです。 店は、やや暗めのライティングのおしゃれな感じ。清潔感にあふれたオーセンティックBARです。ここはせっかくだから、マスター渾身のカクテルをいただかなくては、と早速「ミリオネア」というスタンダード・カクテルをお願いしました。 NさんはホテルBARの出身ですが、ホテル出身のバーテンダーの方に有りがちな堅苦しさもなく、話好きな方です。店では、Nさんの創作カクテルも人気です。「梅の音」という名の「響12年」をベースにした美味しそうなカクテルもメニューにあることも、後で知りました。知っていたら、味わっていたのに…残念!(次回訪問の際は、ぜひいただきたいと思っています)。 さて、そろそろ堺ともお別れの時間です。各店のマスターやバーテンダーの皆さん、美味しいお酒と料理、そして温かいもてなし&心地よい時間を本当に有難うございました! 再会の機会を楽しみにしています!! 【Italian Bar millanta】大阪府堺市中区深井清水町3987 東野ビル1F 電話072-270-0090 午前11時半~午前3時 不定休 【Bar街のあかり】堺市中区深井沢町3342 プラザOM1F 277-7749 午後6時~午前2時 無休 【Bar Kiln(キルン)】堺市北区中百舌鳥町2丁82-83 キラリ8-1ビル203 250-1450 午後6時~午前3時 不定休 【Bar Whisky Cat】堺市北区中百舌鳥町3丁358-10 ライフステージ村田1F 259-8667 午後5時~午前1時 無休 【Barアッセンブル・オン・エイト】堺市堺区熊野町東4丁1-18 TMCビル4F 222-8833 午後8時~午前5時 火休 【Bar中原】堺市堺区戎島町2丁30 ターミナルマンション1F 282-7766 午後7時~午前2時 月休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/13
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和歌山(市)と言えば、近畿地方でも京阪神や奈良に隠れてあまり脚光を浴びることは少ない街。土地勘のない近畿以外の方のために少し触れておくと、大阪駅(梅田)からは電車で約1時間半くらいの距離。近いと言えば近いが、そう簡単には行ける場所ではない。 そんな和歌山だが、それでも素敵なBARはたくさんある。実は、お恥ずかしいけれど、BARフリークのうらんかんろですら、老舗といわれる数軒以外、あまり和歌山のBARを知らない。普段、京阪神で飲むことは多いけれど、わざわざ和歌山まで飲みに行くことはない。 そんなある日、久々に和歌山へ日帰り出張があったので、仕事帰りにBAR巡りに出かけた。以下は、お邪魔した3軒の店の紹介。【Bar・Roge(ロゲ)】和歌山も他の地方都市同様、BARが店を開ける時刻が遅い。夜7時、8時は当たり前だ。そんな中、このRogeは唯一、午後5時オープンというとても有難い店。しかもメニュー・リストを見ると、半端じゃないモルトBARである。 聞けば1998年オープン。オフィシャル・ボトルはほぼ網羅し、なおかつボトラーズも充実。スコットランドまで蒸留所巡りに出かけるほどモルトを愛するMマスター。その品揃えは大阪のBARにも決して負けない。 「和歌山の人はスコッチモルトよりバーボンが好きなんで、あまりモルトは売れません」とマスターは苦笑するが、それでも地道にモルトにこだわり、さらにJAZZにこだわる。しかもお値段は申し訳ないような、“和歌山料金”である。初めてお邪魔したが、「いい店を見つけたぞ!」と我ながら思った。【Bar・THE BARMAN】2軒目に行く予定をしていた店は、なぜかオープン時刻に開いていない。腹が立つけどしょうがない。気を取り直して、もう1軒、候補としてリストアップしていたBARを目指す。 住宅街の中のマンションの1Fに、そのBARはあった。木のドアを開けるとすぐに、ぬくもりある、ウッディな空間が広がった。まるで、どこかの洋館の応接間に招かれたような雰囲気。店は天井が高いため圧迫感がなく、ゆったり感に溢れる。 まだ30代半ばの若いMマスターが営む店は8年目。和歌山市のいわゆる飲み屋街からは少し離れたロケーションは「あえて選んだ」と言う。気さくで親切なMマスター。接客・サービスも申し分ない。何事にも初対面の印象は大切だが、このBARの第一印象は文句なし。僕の「また必ず来たいBARリスト」に入ることは間違いない。【Bar・Tender】1993年開業、和歌山屈指の老舗である。大阪のBARのマスターからは、「和歌山で飲むならTenderで」とよく言われる。しかし、老舗にありがちな気取ったところや高飛車なところは一切ない。これはマスターのHさんの明るく、温かい人柄のなせる業(わざ)だろう。 当初は、午後6時に開けていたが、「和歌山人は宵っ張りで、出足が遅いんで…」と徐々に後ろへずれて、今では8時オープン。待ち焦がれたBAR好きが開店時刻と同時に押しかける。終わりは「いちおう午前2時だけど、お客さんが来たらずるずると…」といい意味でいい加減。 お値段も先の2軒同様、“和歌山料金”で懐にも優しい。だからでもないが、大阪で飲めば腰を抜かすほど高いオールド・ボトルのモルトが良心価格でいただけた。Hさんとの楽しい語らいに時間を忘れていたら、そろそろ帰りの電車を気にする時間に。和歌山のマスターの皆さん、心温まるもてなしを本当に有難う! 【Bar Roge】和歌山市鈴丸丁6番地 ESビル1F 電話073-433-6691 午後5時~午前2時 水休 【Bar THE BARMAN】和歌山市田中町3-60 パンテオン1F-B 427-1075 午後7時~午前1時 月休 【Bar Tender】和歌山市楠右衛門小路11 谷口ビル1F 427-3157 午後8時~いちおう午前2時(週末は午前3時まで) 日休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/11
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ここ数カ月ほどの間、東京出張のたびにちょこちょこっとあちこちのBARを巡ってきました。その報告をすっかり書きそびれておりました(すみません)。そこで、まとめて紹介したと思います。くれぐれも一晩で回ったBARではありません(笑)ので、誤解なきように…。【バル・デ・オジャリア恵比寿】ご存知、日本のシェリーの第一人者、中瀬航也さんの店「バル・デ・オジャリア」(銀座)の2号店。だから、シェリーの品揃えも、味も、スタッフの接客も文句なしのレベルだ。 恵比寿に支店を出したという話を聞いていたので、一度ぜひ行ってみたかったのがようやく実現した。銀座の本店には何度かお邪魔しているが、恵比寿の店も同じような明るい、気さくな雰囲気で、とても居心地良い空間になっている。 シェリーをあれこれ沢山いただいて、美味しいアヒージョ、生ハムなどの料理も堪能して、お値段もリーズナブル。駅から比較的近いし、使い勝手もとてもよさそう。また来たいと強く思う。 【Bar松下】久しぶりに恵比寿まで来たので、もう1軒と考え、前から気になっていたこのお店へ。駅の西側へ数分歩いた辺り、看板らしい看板は何も出ていないので、気を付けていないと見逃してしまいそう。 急な石の階段を上がるとドアがある。そこを開けると、暗い、おしゃれなライティングに包まれた異次元のような空間が広がる(ただしキャパは15人程度か)。コの字型のカウンターなので、バーテンダーの所作が3方向から見える。 カウンターの中には炭火焼の鉢。お酒に合う一夜干しも焼いてくれるとのこと。ネットの情報ではお値段のめちゃ高い店という書き込みもあったが、普通にスタンダードなカクテルを2杯飲んでお勘定は約3500円。まぁ恵比寿という場所を考えれば妥当かな…。【Bar・Salvador(サルバドール)】このBARは久々(数年ぶりか?)の訪問。高田馬場という立地なので、普段、銀座界隈で飲むことが多い僕はなかなかお邪魔できていないが、気さくなSマスターと店の雰囲気もあって、とても気に入っているBARの1軒だ。 新宿の「Bar・ARGYLL(アーガイル)」の店長だったSさんは2005年に独立。研究熱心(ウイスキー、ワイン、カクテルにとても詳しい)なことに加えて、接客&トークも巧みで、インテリアへのこだわりも光る。その才能は、僕にはまだまだ伸びしろいっぱいに思える。 久しぶりにお邪魔した僕は旧交を温めながら、一緒に行った友人とともにカクテル談義なども楽しみ、マスターから極上の和みと癒しの時間をもらった。素晴らしい高田馬場の夜に乾杯!【Bar・Orchard Ginza】初めての訪問。だが、うらんかんろは、マスターのMさんとかつて神戸のホテルオークラで出会ったことがある。ある出版記念パーティーで僕が司会をし、その宴会を仕切ってくれたのが同ホテルのバーテンダー、Mさんだった。 Mさんはその後、ホテルを退職して独立を目指す。鹿児島出身だが故郷に帰るつもりはなかった。「店をやるなら、やはり銀座で」と、ホテルで同僚だった福岡出身の奥様と一緒に、2008年、念願の店を開いた。 お店のウリは、フルーツ・カクテル。産地や作り方にもこだわる。フローズン・カクテルを、わざわざ零下196度の液体窒素を使ってつくるなんて技は、Mさんならではだろう。お値段は少し張るが、払った金に見合う満足感が得られることは僕が保証する。【Bar・Talisker】東京のBARでは、うらんかんろが、もうかなり長く付き合っていて、銀座でも最もお気に入りの1軒だとも言える。1998年のオープン当初から、僕は出張のたびにしばしばお邪魔している。 シングルモルトにめちゃ詳しく、カクテルの技も確か(カクテルブックも出版しているほど)。モルトはそのこだわりもあって、レアで少々値が張るものが多いが、ここでしか味わえないものもあり、教えられることも多く、つい散財してしまう(笑)。 僕は何よりもUさんのさっぱりとした、嫌味のない人柄が好きだ。付かず離れずの接客も心憎い。表通りの喧騒が聞こえない静かで落ち着いた、ウッディな空間も心地よい。定宿のホテルからも近く、最近は銀座BAR巡りの締めの1軒に選ぶことが多いなぁ…。【Sunlucar(サンルカール)Bar】銀座の有名Bar・Tenderで長年修業したSさんが独立、ことし6月、神楽坂で「サンルカール」というこじんまりとしたBARを開いた。 神楽坂界隈は古い商店街・家並みの中に、新しいおしゃれな店が次々と生まれ、その渾然一体とした雰囲気がたまらない。いま、東京で最もトレンディなエリアと言っていいかもしれない。そんな神楽坂に、Sさんは「午後2時オープン、月曜定休」という面白いコンセプトのBARを開いた。 界隈には住人も多く、常連客が付くのにそう時間はかからなかった。店はいつも早い時間から盛況だ。カクテルは当然Tender仕込みのハードシェイク。腰の低い、優しく温かい接客も申し分ない。こんな素敵な酒場で昼間から飲めるなんて…。神楽坂の住人を羨ましく思うのは僕だけではないだろう。【Bar歯車】サンルカールと同じ神楽坂エリアに最近、もう1軒、評判のいいBARが出来たという話を聞いた。その名を「歯車」という。奇妙な店名の由来はさておくとして、店へ入って驚いた。うらんかんろがこれまで経験したBARの中でも、おそらく最も店内の照明が暗い店だ。 足元は真っ暗。店内もほのかな灯りで、ぼやっ~とにしか見えない。カウンターにいるマスターの顔もまるで分からない。1杯飲んで、20~30分経って、ようやく目が慣れてきて、周囲の状態やマスターの顔がなんとなくわかるようになってきた。 話していてとても驚いたのは、マスターのHさんは青山のサード・ラジオ、新宿のル・パランという有名BARの出身だったこと。僕は偶然、そのどちらの店にもお邪魔したことがある。だから、Hさんと“接点”があった可能性がある。 「いやぁ…昔、出会ってたかもしれないんですねー」というのが奇しくも、お互いの口から出た言葉だった。初めてのBARでこんな不思議な、嬉しい出会いがあることもBAR巡りの醍醐味だ。だからBAR巡りはやめられない。 【バル・デ・オジャリア恵比寿】東京都渋谷区恵比寿1-22-23 ヴェラハイツ恵比寿108 03-5402-0936 午前11時半~午後3時、午後5時~午前0時(土午後2時~) 無休 【Bar松下】渋谷区恵比寿南2-3-15 3711-6900 午後7時~午前4時 日祝休 【Bar・Salvador】新宿区高田馬場1丁目29-6 野菊ビル2F 午後7時~午前3時 不定休 【Bar・ORCHARD GINZA】中央区銀座6丁目5-16 3575-0333 午後6時~午前3時 日祝休 【Bar・Talisker】中央区銀座7丁目5-12 3571-1753 午後6時~午前2時 日祝休 【Sunlucar Bar】新宿区神楽坂6-43 6228-1232 午後2時~午前0時 月休 【Bar歯車】新宿区若宮町16 塩谷ビル2F 5206-8837 午後3時~午前0時 月休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/11/09
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久々に高知でBAR巡りを楽しみました。高知は、徳島に暮らしていた頃に7、8回はお邪魔しましたが、最後に行ったのは2000年なので、10年ぶりの訪問です。 【パブ・アモンティラード】 昼間の仕事が比較的早く終わったので、一番オープンが早い店(午後5時という情報)に出かけた。しかし行ってみると、まだ開いていなかった(地方ではよくあること)。 仕方がないので、どこか時間潰しができそうな店はないかなぁ…と盛り場を歩いていたら、雰囲気の良さそうなパブを見つけた。入ってみると、失礼ながら結構本格的なアイリッシュ・パブ。ギネスやキルケニーの生まである。 とりあえずキルケニーで喉を潤す(生き返った気分!)。キャパも広くて、カウンターも15人くらい座れて、テーブル席いくつかある。時間待ちの時など、とても使い勝手がよさそう。高知に来る機会があれば、またお邪魔してみたい店だ。 【バール・バッフォーネ】とりあえずは腹ごしらえをということで、地元で評判のバールへ。ここは大阪のあるマスターのご紹介。オーナー・シェフのAさんはかつてはバーテンダーを目指し、修業していた。ところが、途中から元々興味があったイタリアンの道へ進んだ。そして10年ほど前、高知ではまだ珍しかったオープンカフェ形式のバールを開いた。 まるでイタリアの街角あるような素敵な店はその味とAさんの人柄で、今では不動の人気を得ている。僕は、Aさんの昔のバーテンダー時代の話を聞きながら、美味しいパスタと白ワインをいただく。フード・メニューがめちゃ充実しているのが嬉しい(時間があればもっとあれこれ食べたかった)。皆さんも高知に行かれたら、カツオのタタキは昼間に食べて、夜はバールでなんていかが? 【Walton Bar】 盛り場から少し離れた住宅街の中、3階建てのビルの2階にあるが、看板も出ていないので見つけるのに少々苦労。扉を開けると、そこはウッディで落ち着いた別世界だった。 ここは確か、ブログの友人のパブデ・ピカソさんから教えてもらった店。マスターのKさんに「大阪から出張でやって来ました」と挨拶。店のウリはシングルモルトとワイン。とくにバック・バーのマッカランのコレクションが素晴らしい。 常連度の高そうな店だが、マスターの接客は実に紳士的で優しい。まるで森の中のログハウスに居るように、静かに時間が流れ、ゆったりとした気分に浸れる。高知で一番のおしゃれなオーセンティックBARと言っていいかも。 【Barフランソワ】 今年で開業45年になるという高知一の老舗だ。僕はお邪魔するのは10年ぶり。今年71歳というSマスターは健在で、今も店に出ておられるが、普段はお弟子さんのMさんがカウンター内を仕切っておられる。 店の雰囲気は昔と変わらない。ここに来ると、時間が止まっているような錯覚に襲われる。昔もそうしていたように、フランソワでは、スタンダードな酒だけを頼む。この夜も、ジン・リッキー、そしてスコッチのハイボールをいただいた。 帰り際、カウンターの端に座っていたSマスターがすっと立ち上がり、「本日はどうも有難うございました」と挨拶してくれた。僕も「マスター、体に気をつけて元気でね!」と返した。フランソワのような素敵な老舗が高知にあることを、僕も幸せに思う。 【Bar千年郷】 面白い名前のBAR。一度聞いたら忘れない。BAR好きの友人や大阪のBARのマスターやいろんな人から、「高知へ行ったら、千年郷にもぜひ。カクテルもモルトも旨いよ」と勧められた。 店は清潔感にあふれて落ち着いた雰囲気。マスターのSさんはカクテルコンペで優秀な成績をおさめたこともあるほどの名手。一見とっつきにくそうにも見えるが、話してみると実に気さくな人柄で、こちらが聞かないことまであれこれ教えてくれる(土佐弁の指導までしてくれた(笑))。 「高知の景気はどうですか? 龍馬ブームでずいぶん観光客は来てるみたいですが…」と尋ねたが、Sマスターは「いやぁ、ホテル業界は潤ってるみたいだけど、BARにまでさほどいい影響は…」と。しかし、オーセンティックBARは一時のブームに左右されず、どっしり続いていくことこそが大事だと僕は思う。「千年郷」もその名のように、末永く続く店であってほしい。 【Collins Bar】ホテルに帰る前にもう1軒だけと思って、訪れた。静かで、きりっとしたオーセンティックBARの見本のような店だ(実は訪店候補の1軒だった)。夜の締めには、レッド・アイかシングルモルトかと悩んだが、結局ボウモアをストレートで頼んだ。 まだ若そうなマスターのKさん(30代半ばかな?)と、関西のBAR業界の話で盛り上がっているうちに、日付も変わっていた。長いカウンター、暗めの程よいライティング。1人で飲むのもよし、カップルで飲むのもよしのBARだ(お値段もリーズナブル)。酔いも回っていたので、1杯だけで失礼したけれど、Kさんお許しあれ。 10年ぶりの土佐の高知は、とても温かい雰囲気で僕を迎えてくれました(お天気も良くてラッキーだった)。高知のマスター、バーテンダーの皆さん、素敵なもてなしを有難うございました。 【パブ・アモンティラード】高知市帯屋町1-1-17 電話088-875-0599 午後5時~午前1時 無休 【バール・バッフォーネ】高知市帯屋町1-2-10 822-3884 午後6時~午前0時(金・土・日は正午オープン) 水休 【Walton Bar】高知市廿代町9-11 2F 873-3316 午後5時半~午前2時 月休 【Bar フランソワ】高知市追手筋1-9-4 875-1644 午後6時半~午前0時 第1・3・5日休 【Bar 千年郷】高知市追手筋1-1-9 くれ竹ビル2F 823-8678 午後7時~午前2時 日休 【Collins Bar】高知市はりまや町2-1-10 875-3777 午後7時~午前3時 日休 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/10/01
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久々に、(おそらく4年ぶりで)名古屋でBAR巡りをしました。懐かしい出会い、素敵な出会い…いろいろありました。今回はその報告です。 【酒肆・蘭燈(らんたん)】 名古屋では知る人ぞ知る老舗。今年で開業50年です。実は、前回名古屋へ行った際、行きたいと思って探しても探しても「錦」エリアで店が見つからず、閉店してしまったのかなぁと残念に思っていたのです。ところが調べてみると、5年ほど前に地下鉄で数駅離れた「今池」というエリアへ移転していたことが分かりました。 そして今回、念願叶って、初めてお店にお邪魔できました。錦時代のバックバーや内装・インテリアを「できる限り移築した」こともあって、歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気はほぼ昔のまま。今は2代目の息子さんが店を仕切っていますが、御歳75歳になるというMマスターも健在で店に出ておられます。 移転の理由を聞くと、「いやぁ、最近の錦は風俗が多くなって、街の雰囲気が変わってしまったから…」と。それはともかく、名古屋一の老舗がなくならずに残ってくれていることは素晴らしいことです。老舗なのに格好をつけたところがなく、フレンドリーな接客にもとても好感が持てました。 【Bar 立礼(りゅうれい)】 ここのSマスターは、名古屋の老舗の1軒「オー・ド・ビー」の出身。7年ほど前、「オー・ド・ビー」時代に一度お邪魔して以来、毎年欠かさず挨拶状をくれる律儀な方です。 そして、5年ほど前に名古屋駅前で独立されて自分の店を構えられました。これは一度行ってみなくてはと思いつつ、いつも新幹線に乗っても名古屋は素通りしていくだけで、申し訳ないなぁと思っていました。 立礼も予想にたがわず、素晴らしい店でした。Sさんの接客&トークも相変わらず、冴えていました(トークの旨さは名古屋で一番か)。カクテルも旨くて、名古屋駅にも近いのでとても使い勝手も良く、また来たいと思わせるような店でした。 【Yoshino Bar】 4年前に訪れて、T店長の温かい接客&サービスに感動した店です。前回行った際は、帰ったらすぐ訪店御礼の手紙が来ました。そして、「次回来店の際使ってください」とワンドリンク・チケットが入っていました。Tさんはそういう心憎い気遣いをしてくださる方です。 そして、行けば分かりますが、何よりもTさんのイケメンぶりが凄いのです。映画の主役でもそのままできそうな男前です(女性の方は、一見の価値ありです)。でも、格好いいだけじゃなく、カクテルの腕も一流なんで、ご安心を。 普通のオーセンティックBARにしてはキャパは広く、ソファ席も多いので、グループで行ってもOKです。でも僕はやはり、「1人でカウンターに座って、Tさんとの会話を楽しみながら、美味しいカクテルを味わう」ことをお勧めします。 【Bar・BARNS】 ここも前回訪れた店です。名古屋ではモルトの充実度が一番のBARでしょう。とくにオールド・ボトルとかボトラーズの面白いのとかのコレクションが素晴らしいです。前回行った時は、オーナー・バーテンダーのHさんが、ブレンディドの最高峰「ロイヤル・ハウスホールド」の新旧ボトルの飲み比べなんぞを、とてもリーズナブルなお値段でさせてくれました。 今回は何が出てくるかなぁと思っていたら、サントリーの山崎です。山崎と言っても現行のボトルにはない「PURE MALT」という表記がある、発売当初の山崎です(20年くらい前?)。これを「今の山崎と飲み比べましょうという」というのがHさんからの提案です。 ホスピタリティあふれ、トークも楽しいHさん。だから、いつも賑わっているのは当然かもしれません。BARNSに行くのは3度目でしたが、いつも面白い発見があります。モルト好きの方は、名古屋へ行かれたらぜひBARNSへ。 【Bar・G(ここだけ匿名です)】 ホテルに帰る前に最後にもう1軒と思って、あるBARを探していたのですが、結局見つからず、たまたまその途中で見つけた1軒でした(ここもいちおう、僕のリストでは訪店候補の一つになっていました)。 ただし、行ってみると客層は学生っぽい若い人ばっかりだったのに加えて、スタッフの服装が皆くだけてカジュアルな格好。ネット情報では「オーセンティックBAR」というふれこみだったのに、少々がっかりしました(まぁ値段が安かったので許しましょう)。 まぁ、僕のように30年以上もBAR巡りをしていても、こんな店選びの失敗もたまにはあります(笑)。それも含めてが、BAR巡りの醍醐味であり、面白さです。久々の名古屋のBAR巡りはこうして終了しました。名古屋のマスター、バーテンダーの皆さん、いろいろとお世話になり、本当に有難うございました。近いうちの再会を楽しみしていまーす。【酒肆・蘭燈】名古屋市千種区今池5丁目8-7 電話052-733-6833 午後5時~午前1時 日休 【Bar立礼】名古屋市中村区名駅4丁目27-6 笹島YSビル7F 581-1203 午後5時~午前2時 第1・3日休 【Yoshino Bar】名古屋市中区錦2丁目10-26 水野ビル2F 220-2447 午後7時~午前2時 日祝休 【Bar・BARNS】名古屋市中区栄2丁目3-22 アマノビルB1F 203-1114 午後6時~午前3時(日祝は午後5時~午前1時) 無休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/09/29
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パソコンが壊れて、買い換えたパソコンでのデータ復旧作業に手間取っている間にも、各地のBAR巡りはこなしていたのですが、まったくその報告ができていませんでした。まずは関係の皆さまにお詫び申し上げます。 で、遅れを取り戻すためにも何回かに分けて、連続してBAR巡りの報告をいたします(岡山の後は、名古屋、高知、徳島、京都などを報告します)。なお、時間があまりないので、以前のBAR巡り報告とは違って、きわめて簡単・簡略な記述となりますが、何卒ご容赦ください。まずは、7月に訪れた岡山での報告。 【Utena Bar】以前も一度紹介した、僕が岡山で一番気に入っているBARと言ってもいい。外の喧騒を感じない、静かでゆったりとした空間。通りに大きく開いたガラス窓越しに見える景色も素晴らしい。マスターのFさんは元高校球児。とても気さくで、優しいが、話しぶりはとても丁寧で「接客のお手本」のような方。 大阪のBAR業界の方とも知り合いが多いので、いつも近況を肴に盛り上がる。カクテルも旨いが、モルトの品ぞろえも結構なもの。僕にとっては、いつも岡山でのBAR巡りの出発点となることが多い。 【酔族館】「岡山で一番歴史が古いBARはどこですか?」と以前、とあるBARでそんな質問をしたら、この店を教えられた。いつかお邪魔してみようと思っていて、ようやくその夢が叶った。 1967年の開業。店の場所は10数年ほど前に変わったが、今年でオープンして43年になるという。御歳71歳のマスターが奥様と一緒に営んでおられる。初めて入った店の第一印象は、昭和10年~20年頃のレトロな酒場が文化財のように残っている!というもの。 お世辞にも綺麗な内装とは言えないが、気さくなマスターの前に座れば、そんなことは気にならない。その夜、僕は見れなかったが、マスターは何やらマジックの名人でもあるそうな。肩肘張らず楽しめる店だ。BAR好きの方はご興味があれば、話のタネにぜひ一度訪れてくださいませ。 【Bar・LYTTON】岡山のBARを語る時、この店を忘れるなかれとあちこちで言われた。大バコのBARながら、岡山で25年以上続く老舗の1軒だ。 1階は長いカウンターに、テーブル席が5~6つ(いやもっとあったかな?)。天井が高いので、ゆったり感にあふれる空間だ。中二階のような場所にもいくつかテーブル席があるので、グループでも対応できる。 オーナーは別にいて、店は実力ある女性店長(バーテンドレス)のOさんが仕切っている。O店長と話をしていると、僕が大阪で馴染みにしているBar・Kのマスターについて、「バーテンダーの教室で習った、私にとっては師匠みたいな方」と言われた。所変わっても、意外な絆で結ばれているのがこの業界の面白いところだ。 【Bar・北田】 大阪のあるマスターから、「岡山の若手で一番頑張っているんじゃないかな」と教えられたのがこの店。そう言われたら、行かない訳にはいかない。店はビルの2階にあったが、扉を開けると、そこは和の雰囲気を生かした素敵な空間。店では(岡山では珍しいらしいが)生ギネスも飲める。フード・メニューも豊富で、マスターのこだわりを感じさせる。 事前にネットでの客の評判もチェックしたが、ほとんどがベタホメ。マスターの人柄の良さもあって、高い評価は当然かも。聞くところでは、最近大阪ミナミに支店を出したとか(なかなかのやり手だね!)。ぜひ近いうちに行ってみなくては! 【Nevada Club】 Utena BarのFマスターはこの店のご出身だとか。Utenaからそう遠くないロケーションで、LYTTONからは目と鼻の先にある。ここもいろんなサイトで紹介されていたので、一度お邪魔したいと思っていた。 店は、10席くらいのカウンターBARコーナーと、食事もできるテーブル席のレストランBARに分かれる。もちろんカウンターでもフードは楽しめる。カウンター前の壁の装飾のセンスがとても良い。お値段もリーズナブルで、使い勝手のいいのが嬉しい。 岡山のBARもあれこれ選択肢が多くて充実している。新幹線を使えば大阪までわずか1時間だから、結構遅くまで飲んでも日帰りもできる。岡山のマスター、バーテンダーの皆さん、今回は本当にお世話になりました。また来まーす!【Utena Bar】岡山市北区錦町8-11 フェリスビル3F 電話086-231-3327 午後5時~午前1時 日休 【酔族館】同・北区中山下1-6-54 232-4885 午後6時~午前零時 日休 【Bar・LYTTON】同・北区幸町3-9 友沢ビル1F 227-9200 午後7時~午前3時 日休 【Bar 北田】同・磨屋町6-18 2F 234-1115 午後7時~午前5時 月休 【Nevada Club】同・田町1-1-1 チサンマンション1F 222-6556 午後7時~午前3時 無休 【中国路でBAR巡り: 岡山編(1)】はこちら→2009年11月14日の日記こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/09/24
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かなり久しぶりに、東京でBAR巡り(最近は、日帰りが多くてなかなかゆっくり時間がとれませんでした)。ただし今回は、途中であれこれ仕事の問い合わせの電話が入ったり、友人と待ち合わせていたりで、一人で気ままにたくさんのBARをこなすことはできず、トータルで4軒、新しい店は1軒だけ(それでも十分多い?)。 とりあえずお邪魔したのは、銀座の「ROCKFISFH(ロックフィッシュ)」=写真右。ご存じ、大阪から進出したサンボア(=氷なし)スタイルのハイボールがウリの、気さくでリーズナブルなBARである。マスターのMさんは大阪ヒルトン・サンボアで修業した後、北浜で独立。銀座サンボアのオープンより3年早い、2000年に銀座へやってきた。 マスターはおつまみづくりの才人でもある。店のフードメニューは50種類以上。そのどれもが工夫された一品。先頃は、あの有名な柴田書店からおつまみの本まで出してしまった(さらに好評につき、その続編として「スイーツの本」まで出した)。 まずは、先般わざわざ、その本を郵送で贈ってくれたマスターに御礼を言う。そして早速、美味しいアテを肴に、きりっと冷えたハイボールを頂き、この夜の気分を盛り上げる。久しぶりにお邪魔して、店の雰囲気が変わったことと言えば、カウンターの椅子(スツール)が原則取り払われて、立ち呑みスタイルになったこと。 ロックフィッシュは年中無休で、毎日なんと午後3時から営業している、酒呑みにはとても嬉しい店だ。しかし今や東京でも超人気店となり、午後6時にはもう満席になることが多くなった(だから、行くなら早い時間か10時以降がおすすめ)。 そこで、「いっそスタンディングにした方が、一人でもたくさんのお客さんに飲んでもらえると思って」と椅子を取り払ったという(ただ、窓際にはテーブル席が2つあり、高齢の方はこちらを勧めているとか)。 東京出店10年。人気店になっても、お客の懐に優しいロックフィッシュの経営スタイルは、いつも淡々としたMマスターの表情と同じく、これまでと変わらない。願わくは、幸せな空間が末長く続かんことを! 2軒目は少し移動して、東中野へ。東中野方面へ向かったのは個人的な、大切な用事が一つあったからだが、もう一つの目的もあった。最新号の月刊「ウイスキー・ワールド」のハイボール特集に、東中野駅近くにある面白そうなBARが紹介されていたのだ。 個人的な用事を済ませた後、その目指す店「Bar・Smoke Salt(スモーク・ソルト)」=写真左上=へ向かった。何が面白そうなのかと言えば、オリジナルなハイボールをあれこれ考案していたり、フードもその店の名前通り、スモークにこだわった品々が多いこと。 まだ時間も早いとあって、僕はこの夜の初めての客。大阪から来たことを告げると、マスターのSさんは「それは遠いところを有難うございます。実は、僕も中学を卒業するまでは尼崎にいたんですよ」と意外な自己紹介。世の中はほんとに狭い。 Smoke Saltはカウンター6席の小バコ。早速、まずラフロイグのハイボールを頂く。なぜラフロイグを頼んだのかと言えば、これを頼むと、アテにスモークした藻塩が出てくるから=写真右。燻材にもヒッコリーと番茶の葉を使うというこだわり。このスモーク藻塩とラフロイグの相性が抜群にいい。 Sマスターは、練馬のあの有名な「Bar・レモンハート」で修業された後、かつて働いたことのある東中野に戻ってきた。なによりも東中野のこの庶民的な雰囲気が好きなのだという。店はまだオープンして半年だが、客の8割は近隣の住民やレモンハート時代からのお客さんで、すっかり地元の心をつかんでいる様子。 2杯目は「ウイスキー・ワールド」にも紹介されていた「カリベック・ハイボール」=写真左。その名の通り、アイラモルトのカリラとアードベグをブレンドしたウイスキーをベースにしたハイボールだ。いろいろ試行錯誤を重ねた結果、この組み合わせが一番気に入ったのだという。 店には他にも、ブレンディド・ウイスキーとそのキーモルトを使ったハイボールとか、いろんなハイボール・メニューがある。「遠い所からお越し頂いたので」とサービスしてくださったスモーク・フードも美味!さらに、「1杯味見していってください」とオールド・ボトルのブレンディドまで頂き、お勘定は申し訳ないほどリーズナブルだった。 広い東京には、旅人を癒してくれる素敵なBARがあちこちにある。銀座だけが東京じゃないということを、改めて感じる。Smoke Saltのような酒場が身近にある東中野の住民が羨ましい。僕にとっても、必ずまた来てみたいBARの一軒に刻まれた。 さて、3軒目は友人と待ち合わせている麻布十番の「Maeda Bar」へ=写真右。友人は転勤のため現在東京暮らし。しかも麻布十番近くに住む。数カ月前、僕がこのMaeda Barのことを教えてあげると、早速訪れて「とてもいい雰囲気の店で良かったよ」とメールをもらったくらい彼も気に入っている。 Maeda Barは先般、5周年を迎えた。僕もささやかなお祝いを贈った。店は麻布十番の駅から徒歩5分ほどの距離だが、見つけにくいロケーション(看板はありません)にあって、隠れ家的な雰囲気やおしゃれで落ち着いた内装がたまらない。 Mマスターとは、オープン直後からの付き合いだが、穏やかで丁寧な話しぶり、上質な接客とサービス。しかしだからと言って、堅苦しくはない。そんな温かいマスターの人柄もあって、ここにいるといつも心地よい時間を過ごせる。 カクテルもとても旨いのだけれど、Maeda Barでは、Mマスターの考え出した面白い組み合わせの酒を味わうのを僕は楽しみにしている。例えば、サントリーのモルト、山崎にラフロイグを数滴足してロック・スタイルで飲むなど。 この夜も、「また何か新しいのはありませんか」とお願いして、作ってもらったのは、ボウモアのダーケスト(シェリー樽熟成)にカルバドス(リンゴのブランデー)を足して、ストレートで味わう飲み方=写真左。これがまた驚くほど旨い(配合比率はあえて書かないので、ぜひ店で頼んでみてほしい)。 他にも、ライ・ウイスキーにジン数滴という組み合わせも頂いた。Mマスターの頭にはまだまだいろんなアイデアが無尽蔵に詰まっているのだろうが、こういう「遊び心」あふれるバーテンダーは、僕は大好きだ。あまりに居心地がいいので、2人で3杯ずつ飲んでつい長居をしてしまった。Mマスターとは、近い内の再会を約束してお別れした(写真右=イチゴのカクテルも美味でした!)。 さて、夜も更けて今夜のお宿は銀座なので、戻らねばならない。とりあえず地下鉄大江戸線で汐留まで向かう(それにしても大江戸線の駅の、地下6階か7階くらいの深さまで階段やエスカレーター降りるのには辟易する。乗っていて大地震がもしあったらと怖くなる)。 銀座に戻ってあと2軒くらいはと当初は思っていたのだが、翌日朝いちで大阪へ帰らなければならないことになり、断腸の思いで1軒だけとする。で、選んだのは、我が友人Iさんがオーナー・バーテンダーをつとめる「Bar・Riddle」=写真左。 Iさんは女性だが、海外のカクテルコンテストでも優勝するなどの実力派。だから、「Riddle」ではしっかりした味わいのカクテルが楽しめる。そんなIさんとの付き合いは前の、前の店時代からだから、もう10年以上になる。 Riddleにも、Iさんにも、銀座の高級(?)Barにありがちな堅苦しさはなく、ここでは和(なご)みの時間が約束されている。なによりも長い付き合いだから、お酒でも、それ以外のことでも、こちらの気持ちが多くを喋らなくても伝わる気楽さがいい。 ただ、RiddleにはだいたいBAR巡りの最後に訪れることが多く、かなり出来上がってからなので、あまり度数の強いカクテルなどは飲めないことが多い。だから、いつもジン・リッキーとかバーボン・ソーダとか、軽いものばかりで反省することしきり。 次回は、BAR巡りの最初に訪れて、Iさんのしっかりした技で裏打ちされたカクテルを飲んでみたい。そんなこんなで久々の東京BAR巡りはおしまい。あまり新店開拓はできなかったけれど、今回は旧交を温めるのは主目的だったから、まぁ…いいか。 【Bar ROCKFISH】東京都中央区銀座7丁目2-14 第26ポールスタービル2F 電話03-5537-6900 午後3時~11時 無休 【Bar Smoke Salt】中野区東中野1-14-26 高山ビル1F 電話5937-5615 午後6時~午前3時 平日不定休 【Maeda Bar】港区麻布十番2-7-14 AZABU275・2F 電話5439-5727 午後7時~午前4時 【Bar Riddle】中央区銀座7丁目3-16 東五ビル4F 電話5568-0177 午後7時~午前3時 日祝&第1・3土休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/06/27
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先週末、仕事で四国・松山へ行く用事があり、再び、BAR巡りをしてまいりました。まずは、BAR巡りの前の腹ごしらえ。地元の友人に教えてもらった「さかな工房 丸万」=写真右=という魚料理のお店へ。 祇園町という市中心部の盛り場から少しはずれた、若干「場末感」が漂うエリアに店はあった。明治12年創業の老舗の魚屋さんの経営で、現在の大将は4代目という。店に入って驚かされるのは、カウンターの目の前が魚屋さんの陳列棚のようにディスプレーされていること=写真左下。 タイ、ノドグロ、サヨリ、ウオゼ(愛媛ではアマギと言うとか)、ウマヅラハギ、カンパチ、マナガツオ、ハタハタなど数えただけでも20種類近い魚が氷の上にてんこ盛り状態。ウチワエビ、イカ、サザエ、トコブシ、アサリなどの甲殻類、貝類も豊富だ。 この魚や貝類を見ながら、どれを食べたいかを選び、さらにどんな調理法が一番美味しいかを尋ね、それでメニューを決めていくという贅沢。で、我々が食べたのは、刺身の盛り合わせ、ウチワエビの刺身(これがイセエビみたいに身が甘くて美味!)、ハタハタの唐揚げ、キスの塩焼き、ウマヅラの煮付け、サザエの壺焼き、トコブシのバター焼き等々。 お値段も都会じゃ信じられないくらい良心的。市中心部から少し遠いのに、これだけ繁盛している理由もわかる。友人も「人にあまり教えたくない店」と言っていた。皆さんも松山へ行く機会があったらぜひお越しを(事前の予約は必須ですぞ)。 この夜の1軒目は、まずワインBAR。先の「丸万」からは中心部へ戻りながら歩いて5、6分ほど。「ワインセラー・ヤマモト」というお店。お店と言っても、看板も何も出ていない。入り口に見逃してしまいそうな立て看板が一つあるだけ。 入り口の店内側には酒の段ボール箱が山積みになっていて、店内の様子はまったく見えない。しかも薄暗い。「ほんまに営業してるの?」という感じなのだが、店に入ってすぐ左側の階段を下りると、別世界。確かにそこはワインBARでした=写真右下。 実はここ、かつては酒屋さんの倉庫だったとか。店内の壁には、ワインの収納・運搬用の木箱が天井まで所狭しを山積みにされていて、それがまたいい雰囲気を醸し出している。店は交通量の多い道路の側(そば)にあるが、店内は意外と静かで、喧噪はここまでは聞こえない。 僕らは店主おすすめのグラスワインを数杯頂きまがら、居心地の良い時間を過ごす。店内が少し寒いのは、ここがワインのセラー(保管庫)でもあるから。店主は「寒かったら、そのジャンバーを来てくださいね」と、僕らの背中側に立っている洋服掛けを示した。 ここではグラスでも(品数は限られているが)、ボトルでもワインを楽しめる。しっかりしたフードもあれこれある(店主のお母さんご自慢の手料理らしい)ので、お腹を空かせて行ってもOK。また松山に来たら、訪れてみたいBARだけど、わかりにくいので無事にたどり着けるかがちょっと心配だ(笑)。 さて、2軒目は、昨年11月に松山へ行った際、初めてお邪魔した「Bar・JuJu」を再訪=写真左下。人気店で金曜日とあって、ほぼ満員。店に向かいながら事前に電話でカウンターの席をおさえておいて良かった。 再会したマスターとご挨拶して、早速「予約席」へ。「JuJu」は、お酒の品揃えやフード・メニューがとても充実しているのが嬉しい。この「JuJu」で同行メンバーが1人増えたこともあって、サーモン・パイとトマトソース系のパスタ、バゲットを注文。 僕らは「丸万」でしっかり食べてきたはずだが、「JuJu」の美味しいそうな料理を前にすると抵抗もできず、一緒に分け合う。久しぶりの「JuJu」では、ホット・ラム(この夜松山はめちゃ寒かったので)数杯を飲んで、その後、モルトウイスキーを頂く。 「JuJu」はお酒やフードの充実度で言えば、大阪キタのBarのクルラホンに近い。クルラホンと違うのは、店の広さと店内のライティングか。「もう少し暗めの方が雰囲気も出てええと思うんだけど…」とFマスターに言ったら、苦笑しながら「あんまり暗くすると、フルーツや生ハムがうまく切れないんですよ」と。 確かに、カウンターの端には生ハム用のイベリコ豚の足が鎮座している。客の目の前で、フルーツ・カッティングなど細かい作業をする分、暗いライティングはしたくても出来ないのだろう。余計なこと言ってごめんなさい、マスター。 「JuJu」はこれからも何度でも来てみたいと思える店だ。訪れるたびに違う、新しい発見が期待できそうな店だ。この夜は店がめちゃ忙しかったので、Fマスターとあまりお話ができなかったのが残念だが、楽しい時間は過ごせた。帰り際、マスターは「またブログ見ときますからね」と言ってくれた。そう言われたら、やはりすぐ報告を書かねばならないと思って、こうして綴っている。 さて、1軒目の「丸万」でちょっと時間を使い過ぎてしまった分、もう日付変更線に近くなってしまった(いつも松山では必ず寄っていた「Bar露口」は午前零時閉店なので、今回はもう無理だなぁとあきらめる。「露口さんご夫妻、すみません! 次回は必ず寄りますから!」)。 今回の松山行では、最後にもう1軒、お邪魔してみたいBAがあった。「JuJu」からも歩いて数分のロケーション。しかし、店の前辺りまで来ても、それらしい看板が見当たらない。やむを得ず店へ電話する。 「四つ角の中華の店の前にいます」と言うと、数分後にマスターがどこからとなく現れた。なんと中華店の目の前の、角のビルの2階にあるという。でも表に看板は出ておらず、そのビルの2Fへ上がる階段の途中に小さなサインがあるだけ。ある方がネットで記した訪問記でも、「ものすごく見つけにくい」と書いてあったが、確かにその通り。 BAR店の名前は「独奏(「DOKUSOU」とも表記)」という=写真右。田代まさしがアフロの長髪をしているような独特の雰囲気のマスター。聞けば、この店を持って2年だが、その前に雇われで6年ほど働いたという。 店の名前は以前は「独創」だったが、オーナーとなった時に「独奏」に変えたという。「以前の店の名前で知ってる人も電話してくるから、電話で返事するとき、『はい、どくそうです』と言えば済むので便利でしょ」と面白い返答をしてくれるマスター。 マスターは基本的には寡黙で、一見、無愛想で厳しいそうに見える。しかし、ひとたび会話を始めると、話の“間”が抜群で、ボケるトークもまた巧みだ。だからカクテル一つ頼んでも、出来てくるまでが一筋縄ではいかない(笑)。 酒はフルーツ・カクテルとバーボン(それもオールド・ボトルもいっぱい)にこだわり、(真偽の程は確認しなかったが)生ビールやワインや焼酎は置かない、フードもほとんどないとか。その一方で瓶ビールやウイスキーの品揃えは、松山でも群を抜くという。ネットでは「少し独特の雰囲気を持ったマスターは、客側にも好きか嫌いにはっきり分かれるだろう」との表現もあったが、僕も確かにそう思う。そして、僕にとっては「好き」なタイプのマスターだ。 この夜、僕らは主にフルーツ・カクテルを中心に頼んだ。せっかくだからと、「バーボンをベースにしたカクテルを」と頼むと、ミント・ジュレップにイチゴのフレッシュ・ジュースを加えたオリジナルをつくってくれたが、これがまた絶品だった。「独奏」という店名は、このBARの素晴らしさを実によく表しているかもしれない。松山に来る楽しみがまた増えた。 【さかな工房 丸万】松山市祇園町3-21 089-921-7242 午後5時半~11時 不定休 【ワインセラー・ヤマモト】松山市河原町139 945-0303 営業時間&定休日? 【Bar JuJu】松山市一番町2-4-2 モナーク2F 932-4536 6時~2時 日休 【Bar 独奏】松山市二番町2-2-3 まるはビル2F 935-6800 6時~深夜 不定休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/03/28
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中国路のBAR巡りにも、ひと区切りをつける時期が来た。最後に1軒訪ねておきたいBARがあった。そのBARは山口県の岩国市にある。広島への出張の際、1泊するつもりで岩国まで往復することにした。 岩国と言えば、あの「錦帯橋(きんたいきょう)」で有名。だが、今回訪れるのは夜だから、観光地巡りはハナから諦めている。岩国は広島から快速電車で西へ45分ほどの距離だ。しかし、広島より西方面へ行く電車は朝夕のラッシュ時以外は、1時間に2本くらいしか運行されておらず、とても不便だ。 地域の活性化には、JRや私鉄など運輸会社がもっと協力すべきでないかと、僕はかねがね思う。地元と協力して知恵をしぼれば、運営上の赤字解消にもきっと良いアイデアも出てくるはずだ。移動手段がなければ人の行き来も少なくなり、経済効果も生まれない。その辺りをもっと考えるべきではないか。 それはさておき、目的のBARはJR岩国駅から北西へ5、6分歩いたところ、岩国市の盛り場のど真ん中にあった(周辺は客引きが多いが、僕はただひたすら無視して歩いた)。その名はBar・Prelude(プレリュード)=写真左。この店を訪れたかったのには訳がある。 このPreludeのマスターSさんは実は半年ほど前、僕が大阪でよく出没するBar・Cに客として来てくれて、店のカウンターにあった僕の本「今宵も、BARへ…」を手にとって見て、早速買い求めてくれた。 Bar・Cのマスターは「興味津々でじっくり読んでおられましたよ」と僕に話した。僕はまだ顔も知らないSさんに、そしてSさんが営むというBARにぜひ出会ってみたいと思うようになった。 いかがわしいキャバクラなどが建ち並ぶ盛り場一角に、突然のように現れたおしゃれな酒場が、「Prelude」だった。重厚そうな木のドアを開けて、店にお邪魔する。いつものように、「こんばんは。ひとりですが、いいですか?」「席はどこに(座ればいいですか)?」と初訪店の際のマナーは守る。 マスターに「ジン・リッキー」を頼み、出来上がるまでの間、店内を観察する。店には10席ほどの長いカウンターが一つだけと至ってシンプル。しかし、内装設計・デザインの方のセンスがいいのか、木を生かした、おしゃれで心地よい空間。都会のBARにも決して負けない(写真右=落ち着いた雰囲気に包まれたPrelude店内とSマスター)。 で、出来上がったジン・リッキーを前にして、自己紹介。「うらんかんろこと、**と申します」。もちろん、マスターはすぐ僕と気づく。実は、Bar・Cのマスターから住所を聞いていたので、1週間ほど前に拙著の改訂版をお送りした。そして添えておいた手紙で「近い内にそちらにお邪魔できることを願っています」と書いた。 マスターのSさんは、驚きを隠さず、「こ、こんなに早くお会いできるとは思いませんでした。遠いところを本当にどうも有難うございます」と応えてくれた。客は、オープン直後なので僕1人。マスターが大阪でBAR巡りをされた時の話や、最近のBAR業界全般の話、そしてもちろん、僕の本を巡っての反響や裏話などを話した。 Sさんは今年34歳。地元の老舗BARで修業された後、1年ほど前に、このPreludeをオープンされたが、「まだ1年?!」と聞いて驚くほど店には風格が漂い、Sさんの接客も申し分ない。地方都市にこういうしっかりしたオーセンティックBARがあることは、僕のような“酒呑み旅人”にとっては、本当に幸せなことだ。 2杯目には、マスターおすすめのモルトウイスキー「Robert Burns」=写真左=をいただく。中味はアランのシングル・モルトだが、少しピーティだけれども、まろやかなボディを感じさせる味わい。広島へ戻る電車の時間もあるので、さらに急いで3杯目もお願いしたが、恥ずかしながら、それは何を飲んだのかが思い出せない(それだけ会話が楽しかったということだ)。 ちなみに岩国と言えば、在日米軍の岩国基地があることでも有名。だから時々基地外での事件(不祥事)も伝え聞く。「米兵も(客で)来ますか?」とマスターに尋ねると、「彼らは女の子のいる店が目当てなので、うちの店はドアを開けて『あっ違うな』と思ったら、去っていきますよ」とのこと。「岩国基地に配属される兵士は、刑務所に行くか軍隊に行くかの究極の選択でやって来た連中が多いらしいのです。幸い、うちは被害はないですが…」とも。だから事件も多いのだろう。岩国の人たちの苦労を思った。 約1時間半のPrelude滞在の素敵な時間は、あっという間に過ぎた。Sマスターとは、再会を誓ってお別れした(嬉しいことに別れ際に、「急ぎませんので本(拙著)を5、6冊ほど送ってください」頼まれた)。Sさん、心からの歓待に感謝です! また、必ずお邪魔しますから、その時までお元気で! 【Bar Prelude】山口県岩国市麻里布町3丁目11-20 電話0827-23-2100 午後8時~午前4時 日休 JR岩国駅から徒歩約5分こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/03/06
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広島への出張も終わりに近づき、うらんかんろの広島BAR巡りもいったんは休止ということになった。で、最後に訪れてみようと思ったのは、「黒水仙」という少し風変わりな名前のBAR。東京在住のBARに詳しい友人からも、「やはり黒水仙ははずせないよ」と言われたこともある。 店は広島市内の盛り場「流川」のど真ん中にある。店にお邪魔すると、カウンターの中にはなぜか上品そうな女性が1人。客はソファ席に3人連れが1組。とりあえず、僕はカウンターに座り、グレンリベットの水割りを頼む。 「どちらからのご紹介ですか?」と聞かれ、「いえ、大阪から出張で来て寄らせていただきました。有名なお店なので…」と言うと、「マスターはすぐ帰ってきますので…待っててくださいね」とその女性。 マスターは確かにすぐに帰ってきた。マスターの名前は上野誠一さん。今年75歳になられるが、元気そのもの。創業52年といい、おそらくは広島の現役最古参バーテンダー。先ほどの上品な女性は奥様だと分かった(写真左=マスターとの2ショット)。 「一度来てみたかったんですよ」と伝えると、上野さんは「それはそれは、ようこそ。数ある店から、うちなんぞを選んでもらって有難うございます、**さん」と早速僕を名前で呼んでくれる。 「大阪と言えば、**さんとか、**さんはご存じですか? 仲良くさせてもらってるんですよ」と上野さん。もちろん僕も知っているバーテンダーです。こうなれば話ははずんで、僕が主導権をとれます(笑)。 上野さんは耳が少し不自由で、イヤホン付きの補聴器を付けておられる。しかもiPodのようなタイプの補聴器で、両耳からイヤホンがぶら下がっている。「若者のウオークマンみたいで、いっときは仕事中に音楽聴くなんてけしからんなんて誤解されてねー。ワハハ」と愉快な伯父さんだ。 2杯目はボウモアをストレートで頂く。店内は洋館の応接間のような雰囲気。椅子も高級そうで座り心地はとてもいい。「何度も聞かれて飽きてるでしょうけど」と前置きして、店名のいわれを尋ねると、「私の大好きな、映画の題名からとりました。デボラ・カーっていう女優が出ている映画です」という。なるほど。 実は、事前にネットでこの黒水仙を訪れた人の感想をいくつか読んでいた。「常連度が高い、サロンのような店」「少々値段が高い」「本当に酒の味が分かる歳になるまでは行ってはいけない」等々(写真右=カウンターは高級感あふれる雰囲気です)。 しかし、結論から言えば、そんなに肩肘張るようなBARではない。お値段も大阪・北新地の普通のBAR程度のお値段で、僕は良心的だと思った(広島にしては少し高いのかもしれないが…)。そして、歳に関係なく自然体で楽しめばいい酒場だと思う。何よりも、今行かなければこういう伝説的な店にはこれから出会えませんぞ。 上野さん、心からのもてなし有難うございました。貴方は「広島のBARの宝」のような存在です。次回またお邪魔できる日まで、どうかお元気でー! 【Bar黒水仙】広島市中区流川町2-20 SS館5F 電話082-242-2000 午後7時~午前1時 日祝休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/03/01
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鳥取県と言えば、日本で最も人口が少ない都道府県(約60万人)。その県庁所在地である鳥取市の人口もわずか20万人しかない。鳥取砂丘や二十世紀ナシ、らっきょう、松葉ガニで有名だが、過疎化、高齢化を象徴する県の一つでもある。 経済的には、同じ県内の米子市と勢力圏を二分していることもあるが、鳥取市内の商店街は不況もあってさびれが目立つ。しかし、意外と元気なのが飲み屋街である。景気が悪くても、やはり外食はしたい。だから居酒屋やBARも元気である(ちなみに、寿司屋がやたら多いのが鳥取市の特徴でもある)。 鳥取までは大阪から直通特急「スーパーはくと」で2時間半ほど。出張でも十分日帰り圏内であるが、如何せん本数が少ない。最終は午後6時40分発。うらんかんろのような呑み助には、BAR巡りが叶わないダイヤである。今回、うらんかんろは1泊出張の機会に恵まれ、ようやく念願のBAR巡りができることになった。 とは言え、関西のBARのマスターにも鳥取のBARに詳しい人はあまりおらず、で、頼りにしたのはS社のホームページにある全国のBARR案内「Bar-NAVI」。そこにオーセンティックBARとして紹介されていた2軒に狙いをしぼった。 最初にお邪魔したのは「Bar・Style」=写真左。しかしオープンは午後8時ということなので、寿司屋でゆっくりと腹ごしらえをしてから出かけた。扉を開けると、当然僕が最初の客。 まず、1杯目をいただく。「ご出張ですか?」とマスターのMさん。「えっ、分かります?」と僕。「ええ、早い時間に来られるのはまずそうですね。地元の人間は出足が遅くて、(来店は)早くて9時。普通は10時前後くらいです。それに服装です。やはり都会から来られた方はセンスがいいので、すぐ分かります」と解説をしてくれたマスター。センスを誉められて少し嬉しい気持ち。 店内は、都会にあるようなおしゃれで、落ち着いた雰囲気。鳥取にいるのを(失礼!)忘れるくらいだ。バック・バーの棚のお酒の品揃えも都会に負けないくらい充実している。「(地方都市の)ハンディはありますが、情報は精一杯手に入れて、都会のBARに負けないように頑張っています」とマスター(写真右=Bar Styleの店内風景)。 マスターは時間があれば、比較的近い関西のBARに出かけては、そこのマスターのカクテルづくりなどの所作を学んでいるという。「僕には師匠がいませんから、都会のBARで働く先輩はみんな先生です。技術で盗めるものは全部勉強しています」。話を聞いていて、その努力家ぶりにただ頭が下がる。 マスターの話に出てくる大阪のBARのマスターには、僕が懇意にしている人も何人もおり、親近感が増す。店は今年で8年。柔らかくソツがなく、温かい接客。まだ30代半ばであろうマスターには「これから」を大いに期待させる。鳥取に行く機会があればまた行きたいと思えるBARだが、マスターどうか午後6時くらいから店を開けてくださいなー(笑)。 さて2軒目もS社の「Bar-NAVI」に出ていた「Bar・Ism」=写真左。訪れた日の夜は雪が吹雪いて、凍えそうに寒かったが、1軒目の「Style」からは歩いて数分なので有り難い。 店は雑居ビルの2階にあるが、店内はとても静かでゆったりとした空間。バックバーの扉代わりの格子戸がこのBARをさらにしっとりとした雰囲気にしている。ここも8年目という。まず1杯いただいた後、1軒目のBARでした同じ話(鳥取のBARのオープン時刻はなぜ遅いのか)をする。 「Ism」のマスターもやはり、鳥取の客の出足の遅さを口にした。都会のBARなら、早い時間に開けておけば仕事帰りの客を期待できるだろうが、地方都市なら、マイカー通勤も多いだろうから、なかなかそれも叶わないのだろう。都会とは違うBAR経営の難しさを知った。 2杯目は、寒いので体を温めるためにホット・ウイスキーをお願いする。「(ウイスキーに浮かべる)丁字(クローブ)はありますか?」と尋ねたが、あいにく「切らしているんです。申し訳ありません」とのこと。 都会のBARと同じレベルの望んではいけないし、なかったからと言って問題にしてはいけない。温かい接客とリーズナブルなお値段のお酒があれば、もう十分満足なのだから。そういう意味では「Ism」も十分及第点のBARだと僕は思う。 さて、まだホテルに帰るには時間も早いので、1軒目のマスターに聞いたBARに向かう。なにやら、大阪のBARで修業した方が故郷に戻って開かれた店という。ひょっとして共通の知人がいるかもしれない。 店は泊まるホテルと川を挟んだ斜め向かい、住宅と飲食店が混在する通りにあった。その名は「Misty Bar」=写真右。目立つ看板も出ていないので、もうちょっとで通り過ぎてしまいそうだったが、店先にBARらしい灯りがあるので、なんとか迷わずにたどり着けた。 「大阪から出張でお邪魔して、Styleのマスターから教えてもらいました」とまず、マスターのNさんに挨拶する。聞けば、Nさんは、大阪で僕も何度かお邪魔したことがある「~ist」というBARで働いていたという。そして、当時の同僚には今は独立されて、僕の懇意にしているバーテンダーも数多くいた。 こうなれば僕とNさんとの距離はあっという間に縮まる。落ち着いた雰囲気もあってか、Nさんは実際の年齢よりは少し老けて見える(失礼!)が、ほのぼのとした人柄。ひと言で言えば、「いい味出している」バーテンダーという表現がぴったりか(写真左=Misty Barの店内風景)。 店は「~ist」で修業したという影響もあるのか、なんとなく、店内の雰囲気や酒類の品揃えやフードへのこだわりが似ている(付き出しの盛り付けなど)。聞けば、この店も今年でオープン8年というから驚いた。つまり、鳥取のBAR状況は8年前から大きく変わったということか。 ほのぼのとしたNさんのゆったりトークに包まれていると、心地よい酔いがさらに心地よくなる。Nさんおすすめのシングルモルト「ベンリアック1987」が胃にしみる。鳥取のBARも捨てたものではない。みんなそれぞれ一生懸命頑張っていることを、僕は実感した。 願わくは、鳥取の経済状況ももっと好転すればなによりなのだ。そのためには、まず鳥取の人口が増えるような施策が行政にほしい。そして、地元で暮らしたい人が十分暮らしていけるような働き口が多くできればいい。さらに、都会からもっと旅行客を呼び込めるようなアイデアを考えたい。JR西日本さん、ぜひ最終の特急は9時発くらいに設定してほしい。頑張る地方都市を応援することは、都会側にも必要なことだと思う。 鳥取で訪れた3軒のBARのマスターの皆さん、温かいもてなしを本当に有難うございました。皆さんのBARにいつかまた再訪できることを、うらんかんろは心から願っています。 【Bar・Style】鳥取市末広温泉町206 ギャザビル2F 電話0857-23-8008 午後8時~午前3時 月休 【Bar・Ism】同市末広温泉町158 ユキビル2-2F 電話21-1366 午後7時~午前3時 日休 【Misty Bar】同市弥生町140 柄本ビル1F 電話29-0180 午後9時~午前4時 日祝休 (JR鳥取駅から徒歩10~15分。3軒ともとてもリーズナブルなお値段です)。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/02/19
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倉敷と言えば、江戸時代は幕府直轄の「天領」として栄え、大原美術館や白壁の家並みが運河沿いに建ち並ぶ歴史的な「美観地区」で知られ、年間を通して全国から多くの観光客が訪れる。うらんかんろも学生時代に二度遊びに行ったことがあるが、情緒あふれる素敵な街という印象をずっと持っていた。そんな倉敷に、実に数十年ぶりに仕事でお邪魔する機会があった。 久しぶりに訪れた倉敷の「美観地区」は昔と変わらぬたたずまいを見せ、相変わらず観光客で溢れていた。しかし、駅前から「美観地区」につながる商店街は、他の地方都市同様、シャッターを下ろしたままの店が目立ち、かつて百貨店があった場所は、広い駐車場に変わっていた。 倉敷はまだ「美観地区」という財産があるからまだいい。しかし、そうした目立った財産を持たない地方都市は、この経済苦況の中で、再生への手掛かりをつかめぬままもがいているところが多い。特効薬はないし、答えは簡単ではない。 さて、日記の本題であるBAR巡りに戻る。まずは、午後6時オープンと聞くBARに行ったところ、まだ電気が暗い。定休日でないことは確認している。念のために、店へ電話を入れてみると、マスターらしき方が出て、「すみませ~ん。きょうはちょっと準備が遅れて、オープンは7時頃になります」とのこと。 それでは、仕方がない。もう1軒お邪魔しようと思っていたBARは、7時オープンなのでまだ早い。で、駅から美観地区へ続くメーン・ストリートを歩いていると、1軒のBARが開いていたので、時間つぶしにお邪魔する=写真右。 店内にはさまざまなオブジェやポスター、催しのチラシが飾れていて、カジュアルな雰囲気。椅子やテーブルの色や形がみんなバラバラなのは、当然、そういう「ウケを狙った」ものなのだろう。カウンターだって、タイル貼りだ。 店名は「SWLABR」と書いて「スーラバー」と読ませるという。何から何まで変わった店だけれど、不思議と居心地は良い。BAR巡りのスターターには、こんな店も悪くない。僕はビールを頼んでカウンターに腰掛け、しばしのウォーミングアップ(店は昼間から開いていて、カフェ遣いもできるという)。 店長らしき方に、「店の名前の由来は?」と尋ねる。「(エリック・)クラプトンがやってたクリームの曲名からとったらしいです」。で、その「スーラバーの意味は?」とニの矢を放とうかと思ったが、やめた。それは帰ってから自分で調べてみよう。BARというのは雑学が増える場所でもある。 さて、ようやく7時になり、最初の店へ戻ろうかとも考えたが、2軒目に予定しているBARの方がロケーションが近いことから、急遽まず、その「Bar胤(つぐ)」=写真左=を目指すことにする。 「胤」は、切り絵作家の成田さんや大阪の複数のBARのマスターから、「あの店はいいよ」と勧められたBARだ。店はメーンストリートから数分、静かな住宅街の中にある一軒家の1階。気を付けて歩かないと通り過ぎてしまいそうだ(写真右=成田一徹さんの切り絵も店内に飾られていた)。 重厚な扉を開けるとマスターのYさんが「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。驚いたのは、例えば麻布十番にでもありそうな、おしゃれな空間。僕はカウンターに落ち着き、「大阪から出張でお邪魔しました。複数の方から倉敷へ行ったらぜひ胤へ行きなさいと言われました」と切り出し、ジン・リッキーをお願いした。 「胤」は今年で創業25年。現在地に移転して約10年になるという。店名はYさんの名前の1文字に由来する。2年ほど前に少し病気をして数カ月間お店を休まれたが、現在は快復されたといい、お元気そうで何よりだ。 客は幸いまだ僕ひとり。Yさんが個人的に懇意にしている大阪や神戸のバーテンダーの話題をひとしきりしていると、Yさんは突然涙を流され、ハンカチを取り出された(写真左=落ち着いた雰囲気のカウンター)。 神戸のBar・Savoyの元マスターKさんの近況に僕が触れた時だった。「すみません、(病気をしたせいか)涙もろくなってしまって…」とYさん。「いやいや、こちらこそ泣かせるつもりはなかったんですが、申し訳ありません」と僕。業界の大先輩のことを思って、思わず胸に迫るものがあったのかもしれない。 NBA(日本バーテンダー協会)中国地区本部の技術研究部長という重責を担っておられることからも分かるように、腕もとても確かな方である。しかしそんな技術的なことよりも、温かい接客が最上のもてなしだということを、Yさんは体で教えてくれる。そのバックには病気と闘った貴重な経験が生きて、その人間味あふれる人柄に現れているのだろうと僕は思う。 「胤」でさらにハイボールを頂いた後、僕は再会を約束して、店を後にした。倉敷は新幹線とJR在来線を乗り継いで大阪から1時間半ほど。再訪するのには嬉しい距離だから、またYさんに会いに行きたいと思う。 さて、3軒目にお邪魔したのは、倉敷一の老舗「Onoda Bar」=写真右。駅前商店街のはずれ、ツタのからまる1軒家の脇の階段を上っていけば、そこがBARの玄関。 「さっき電話した者ですが…」と言うと、白髪まじりの短髪のマスターは笑顔で「すみませんでしたねぇ…、いつもは必ず6時に開けるんですが…」と。まぁ、こういう予期せぬことが起きるのがBAR巡りの面白さでもある。 天井の高い店内は、開放感があふれる。一見すると和風の一軒家なのに、壁はコンクリートの打ちっぱなしという面白い造り。ちなみに、1階の日本料理屋とは姉妹店関係にあるとか。 長いカウンターに面した長いバックバーが凄い。4段の棚には、シングルモルトを中心に様々な酒類のボトルが所狭しと並べられている。そして、そのボトルの前には、アンティークぽいグラスがいっぱい(写真左=「Onoda Bar」の店内風景)。 「地震が来たら大変ですよね」と言うと、「このあいだ、ちょっと大きい震度4くらいの地震があった時は、店にいる時で、ボトルとボトルがぶつかり合う音が凄かったよ。幸い、まだ倒れて割れたことはないけど、まぁその時はその時で…」と大らかなマスター。 もしもの時のためにも、ウイスキーは「秘蔵するより飲んであげてなんぼ」だ。グラスだって、形のあるものはいつか壊れる。僕と同じ哲学の持ち主のマスターに乾杯! で、まず1杯目に頂いたのは、久しぶりにアイラの新顔「キルホーマン」のシングルモルト。スモーキーで旨い。 マスターに名刺をもらうと、「おや、Oさんじゃなくて、Tさんですかぁ…?」と僕。「いやぁ、10年ほど前に婿養子に行って、名前が変わっちゃってねー、アッハッハ」とのたまう。いやいや愉快なマスター。 2杯目は、「ソーダ割りで何かおすすめを」とお願いしたところ、「じゃぁ、これで」と「Ancient Clan」=写真右=というブレンディドを選ばれた。う~ん、まさかの選択。トマーチンがキーモルトのブレンディドだが、実はこのウイスキー、(偶然なんだけど)前から一度味わってみたいと思っていた銘柄だった。 マスターは大阪のBARのマスターたちとも懇意。僕の行きつけのBARにも行ったことがある。「Mさんの店(Bar・K)では6軒目くらいだったこともあって、寝込んでしまって迷惑をかけちゃってねー」とマスター。大阪でも豪快な人柄だったらしい。 そんなこんなで話し込んでいると、そろそろ新幹線の出発時間。岡山まで戻らなければならない。後ろ髪を引かれる思いで、「Onoda Bar」を別れを告げた。ここもまたぜひ再訪したい。倉敷のBARの皆さん、温かいおもてなしを本当に有難うございました!【SWLABR(スーラバー)】岡山県倉敷市阿知2丁目18-2 電話086-434-3099 正午~午前3時(木のみ午後8時~午前3時) 無休 昼間はカフェ営業も 【Bar 胤(つぐ)】倉敷市阿知3丁目16-8 電話426-6676 午後7時~午前1時 日休 【Onoda Bar】倉敷市鶴形1丁目2-2 電話427-3882 午後6時~午前0時 月休【追記1】「SWLABR」(スーラバー)は、60年代のクリームの名盤「カラフルクリーム」の収録曲で、「She walks like a bearded rainbow」(彼女は髭を生やした虹のように歩く)という、サイケデリック時代ならではの意味不明文の単語の頭文字を並べてタイトルにしたものということです。【追記2】Bar 胤はその後、残念ながら閉店されました。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/02/13
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またまた広島への日帰り出張でした。そして、仕事の後は“お決まり”のBAR巡りです。まず、前回広島のバーテンダーさんから教えてもらった、広島市内で「唯一、午後5時からやっている」という「Bar・BROWN」へ=写真右。 市内最大の繁華街「八丁堀」界隈にある福屋デパートのすぐ裏という抜群のロケーション。店は地下にあるので、通りに面した階段の下り口に立て看板が立っていました。 最初はもう少しカジュアルなBARを想像していたのだけれど、階段を下りてドアを開けると意外や意外、落ち着いたオーセンティックな空間が待っていました。カウンター約7席にテーブル席が一つというこじんまりした酒場。 開店間もなくにお邪魔したというのに、カウンターにはもう先客が一人いて、僕が座った後も、一人客が相次いで来店。やはり広島の「飲みびと」たちも、早い時間からオープンしている店が好きなんでしょうね。 マスターのOさんは30代前半くらいでしょうか。ハンサムで、薄めの口髭がかっこいいバーテンダーです。最初は寡黙で近づき難いような雰囲気でしたが、喋ってみると気さくな方で、接客もスマートでした(写真左は、Bar・BROWNへのエントランス)。 オープンして3年らしいですが、バック・バーの棚にはシングルモルトがオフィシャルだけでなく、ボトラーズものも結構充実しています。でも、マスターに聞くと「モルトだけにこだわってるつもりはなくて、カクテルにも力を入れています」とのこと。 嬉しいことに、これほど雰囲気もいいのにノー・チャージ。懐が心細くても(笑)、安心して飲めますね。広島のBARホッピングのスタートにちょうど良い店です。 さて2軒目は薬研堀エリアへ。老舗のオーセンティック「Bar・KAWASAKI」=写真右=にお邪魔しました。1968年オープンした店は、堂島サンボアのような、重厚でウッディな空間。マスターのKさんは御歳68歳。創業以来ずっと一人で切り盛りしてこられたということです。 BGMもない店内は風格が漂い、通りの喧噪もほとんど聞こえず、本当に静かです。ゆったりと気持ちよく飲めます。マスターは吉本新喜劇の「竜(たつ)ジイ」似で、好々爺のようなあったかい感じの方です。 マスターとは、ちょうどこの夜、朝青龍の引退表明があったりしたので、「潔く辞めるしかないですよね」「これまで甘やかし過ぎたんやねぇ」などとその話題で盛り上がり。そして、美味しいクリームチーズのお通しをいただきながら、あっという間に2杯を重ね、再訪を約束してお別れ。 さて、この夜の締めは「ニッカ・バー今市」=写真左=という店。その名の通り、ニッカ社のウイスキーがメインの店です。カウンターの上にはニッカ製品がずらりと並んでいます。 せっかくだから1杯目は、発売されたばかりのシングルモルト「宮城峡1989」を=写真右下。マスターの今市さんは北海道の余市蒸留所を訪れたのがきっかけでニッカ・ファンになり、ついには7年前、自分でBARまで開いてしまったとか。 カウンターを見ると、「あれ、ボウモアとかラフロイグとかS社系のモルトがある! いいんですかぁ…(ニッカ社の人に)怒られません?」とマスターに聞くと、苦笑して「いやぁ、洋酒は構いませんよとニッカさんからも了解を得ています」と。 2杯目に何を飲もうかと思いましたが、カウンター端に並んでいたニッカのオールド・ボトルの中から、少し古い時代のシェリー原酒が多めにブレンドされたスーパー・ニッカをお願いしました。濃厚でしっかりした味わい。レギュラーのスーパー・ニッカでは得られないテイストです。 僕が、店が午後8時オープンなのに触れて、「もう1時間早く店を開けてくださいなー」とお願いすると、また苦笑いして「昔は7時から開けていたんですが…、要望が多ければ考えておきますねー」とのお答えを頂きました。 かくしてここ数ヶ月で3度目の広島BAR巡りは無事に終了し、僕は新幹線で帰阪の途につきました。来週再び広島出張があり、それが終わるともう当分は広島へ来ることはありません。さて、次回はどこを巡ろうかなぁ…。【Bar・BROWN】広島市中区堀川町6-17 森岡ビルB1F 電話082-247-4441 午後5時~午前2時 日休 【Bar・KAWASAKI】中区薬研堀2-2 243-5558 午後6時半~午前2時 無休 【ニッカ・バー今市】中区堀川町4-8 右近ビル2F 244-3333 午後8時~午前3時 日祝不定休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/02/06
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2カ月ぶりに広島への出張があったので、仕事の後、再びBAR巡りをしてまいりました(前回の広島BAR巡りの日記は、こちらに)。 出張の日(13日)は全国的に大寒波が襲い、広島も日中から雪模様の天気でした。歩いていると震えるほど。「とにかく早く開いているお店に入りたい」と探したのですが、広島は6時オープンの店が意外と少ないのです。ほとんどのBARは午後7時か8時の開店です(広島のお客は出足が遅いのだとか)。調べた限りでも、「6時開店」は2軒しかありませんでした。 で、最初にお邪魔したのはそのうちの1軒、「Bar・Fouque(フーケ)」=写真右=というお店です。まぁ、この店も以前から訪れてみたいと思っていたので、若干予定外でしたが、丁度よかったのかもしれません。 「Fouque」ではマスターはまだ店にお見えになっておらず、サブのHさんがカウンターを切り盛りしておられました。店内はオーセンティックBARというよりも、落ち着きの中にもスタイリッシュさを兼ね備えた空間でした。 聞けば、オープンしたのは1989年というから、もう20年ほど前。スタイリッシュさもあってか、そんな古さを感じさせない居心地の良い店です。バックバーのデザインやライティングも上品で、デザイナーの方のセンスやこだわりを感じさせられます。 Hさんはバーテンダー歴8年で、30歳というお話でしたが、そうは思えないほど行き届いた接客&サービスです。初めてのBARでは第一印象が大事といいますが、「Fouque」の第一印象はHさんのおかげで最上のものとなりました。 さて、1時間ほど「Fouque」で過ごした僕は、帰り際に出勤されたマスターのUさんとご挨拶をした後、広島最大の歓楽街「流川」エリアへ向かいました。 2軒目にお邪魔したのは「BAR福澤」(写真左は、店の入り口横の壁に架かる素敵なプレート)。1996年のオープンで今年で15年目に入るお店です。あいにくマスターはまだお見えでありませんでしたが、話し好きなサブの方のおかげで退屈せずに済みました。 「福澤」では、オリジナル・ハイボールというのがメニューに出ていたので、頂きました。ベースはウイスキーの「白州」。よそのハイボールと大きく違うのはレモン・ピールではなく、オレンジ・ピールにしている点です。 サブの方曰く。「レモンだと少しとんがり過ぎて、白州本来の味わいを押さえてしまうので、オレンジでやってみたところ、ちょうど口当たりもいい感じになったんです」。確かに、オレンジ・ピールは合います。飲みやすい感じになるので女性向きかもしれません。 さて、日帰りの予定なので、早々と3軒目へ転戦です。訪れたのは「福澤」からもそう遠くない場所にある老舗の「Bar・Degas(ドガ)」=写真右。ここは、全国のBARに詳しい友人の推薦です。お邪魔してみると、カウンターが5、6人ほどで、あとテーブル席が一つという意外とこじんまりしたお店でしたが、ほぼ満員の盛況です。 「Degas」は1958年の創業なので、半世紀以上の歴史をもつ老舗です。両親と息子さんという家族3人で切り盛りされていることもあって、とてもアットホームな雰囲気です。メニューはドリンク、フードとも充実しているのが嬉しいです。 僕はカウンターの中にいた息子さんのSさんにご挨拶し、「先日広島でBAR巡りをした際には、(福山のBAR)さくまのマスターと『Slaintheva』でばったり会いましたよ」という話をしたら、Sさんは「そうでしたか、お客様のことでしたか。佐久間さん実はそのあとうちにお越しになられて、その話をしておられましたよー」と応え、僕もびっくり。世の中狭いですね。 「Degas」ではウオッカ・トニックとホット・ウイスキーを頂き、手作りのお通しも美味でした。Sさんは忙しいにもかかわらず、温かい接客で、僕の話し相手もしっかりしてくださり、感謝感激です(写真左=「Degas」のメニューブックの表紙にはあの柳原良平さんのオリジナルな絵が)。 さて、3軒回っていい気分になった僕は、後ろ髪を引かれる思いで、路面電車で新幹線の広島駅へ(広島の路面電車は本数が多くて、繁華街から広島駅まで10分ほどというアクセスの良さが嬉しい)。来月もまた広島出張の予定があるので、次はどこを回ろうかなぁ…と今からワクワクしています(それにしても、広島のBAR経営者の皆様、もう少し開店時刻を早くしてほしいなぁ…)。 【Bar・Fouque】広島市中区鉄砲町4-7 シティコープ幟町1F 電話082-227-5837 午後6時~午前3時(日祝~午前零時) 年末年始のみ休み 【Bar福澤】同市中区流川町3-4 フジヤマビル4F 電話246-8695 午後7時~午前3時 不定休 【Bar・Degas】中区堀川町3-8 イテザ3ビル2F 電話241-3076 午後7時~午前2時(日祝~午前零時) 無休 【追記】今回の広島BAR巡りの際、あるマスターから「夕方の5時から開いてるBARが1軒だけありますよー」と教えてもらいました。「Bar・Brown」という店です。この店についての報告は次回の広島BAR巡りでいたしますので、乞うご期待。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2010/01/16
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岡山、広島と相前後して、松山へも久々の出張がありました。で、当然のことながら、仕事の後はBAR巡りなのだ。 今回は現在愛媛県に住んで仕事をしている友人と一緒。まず1軒目は、友人お勧めのお店「MARINECCO(マリネッコ)」=写真左。 ダイニングBARとアイリッシュ・パブとイタリアン・バルを足して3で割ったような不思議な酒場。「マリネッコ」っていうネーミングも面白い(聞けば、フィンランドの家具メーカーの名前とマスターの奥さんの名前を合わせて、もじったのだとか)。 メニューを見てびっくりしたのは、和洋のいろんな種類の酒がほとんど網羅されている! お勧めはワインだと言うが、とりあえずキルケニーのビールを味わいながら、マスターのYさん自慢のフィッシュ&チップスで腹ごしらえ。フード・メニューもパブ料理やイタリアンなど充実してるのが嬉しい。 Fさんとは初対面だが、ワインについての様々な知識(産地、銘柄、ヴィンテージ、味わい等々)が豊富なことに驚かされる。さすが「ワインを売り」にしているだけはある。こうなれば、やはりワインも頂かない訳にはいかない。 お任せでみつくろってもらったワインは、赤は果実香豊かで、白はきりっとフルーティで美味。おまけにアテに頼んだドライ・イチジクがみずみずしくて、めちゃ旨い(写真右=MARINECCOの店内)。 「1杯サービスしとくよ」とマスターはさらに3杯目(別の銘柄)をくれる。きょうは1軒目から嬉しいなぁ。お返しという訳でもないのだが、御礼に拙著「今宵も、BARへ…」を1冊差し上げる。店はキャパも広く、明るい雰囲気でグループでも楽しめそうだ。マスターの歓待に感謝し、再訪を約束してお別れする。 さて2軒目は、やはり松山へ来たらここは外せないという老舗の「Bar 露口」=写真左。徳島在住時に出会って以来、このBARは何度訪れても、居心地良くてほっこりした気分になれる。それは、露口貴雄さん・朝子さんご夫婦の温かい人柄が大きな要因だろう(とくに奥さんの朝子さんの笑顔を見たら、悩みも疲れも吹っ飛ぶ)。 実は、露口は昨年創業50年を迎えた。なんと半世紀!である。創業50年以上のBARは全国にいくつかあるが、2代目、3代目というケースが多い。1代で(しかもご夫婦で営んで)50年以上続いた店というのは、この露口くらいではないだろうか。 松山という地方都市で半世紀も続いた理由は簡単だろう。露口さんご夫妻の明るさ、温かさ、そして真面目にこつこつとハイボールをつくり続け、良心的なお値段で提供してきた誠実さが、いつの時代も客の心をしっかりつかんで離さなかったからである。 「接客・サービスにおける誠実さ」と「真面目にこつこつ」という基本を忘れている昨今の大都会の(一部の)BAR経営者は、Bar露口に学ぶべきだろう(写真右=露口さんご夫妻と記念写真。こんな素敵な笑顔で迎えてくれます)。 僕は、約2年ぶりのBar露口に行く途中に、1年遅れのお祝いの花束を買った。そして、店に着いてすぐ、朝子さんに「去年の50周年に来れなくて、すみません」と手渡した。実は偶然だが、大阪・十三トリスのマスターEさんから、「約1週間前にBar露口を初めて訪れたよ」という報告を聞いていた。 同じサントリーBARチェーンの仲間として、「露口さんがいつも、大阪へ出張される人にうちのお店を紹介してくれるから、一度ご挨拶したいとずっと願っていた」のだという(写真左=使い込んだカウンターで、いつもハイボールをつくる部分はすり減って勾配になっている。だからボトルもグラスも少し傾く)。 Eさんはおまけに、僕の「今宵も、BARへ…」を1冊露口さんへプレゼントしていた。これにはびっくり。僕もこの日さらにもう1冊を持参し、プレゼントした。朝子さんは「最初、誰やろなぁ…、このうらんかんろさんってと言うてたんです。やっぱり、**さんやってんねー。うわぁー、嬉しいわぁ!」と顔をくしゃくしゃにして喜んでくれた。 Bar露口のもう一つの良さは、マスターご夫婦と客との間だけでなく、客同士の距離がとても近いことだ。店に集う客は皆、友だちか家族のようにたちどころに打ち解けてしまう。あまりの緊張感のなさは、都会のオーセンティックBARならひんしゅくを買うかもしれないが、松山のような地方都市では、こういうアットホームさがBARという空間にとても似合うのである。 さて、あんまり長時間露口にいると、居心地が良すぎて、名残が惜しくて腰が重くなりそうなので、断腸の思いでご夫妻にお別れする。露口さん、また来るからねー! 3軒目は、これまた友人お勧めの「Bar・JuJu」=写真右。実は、うかつにもこれまでその名を聞いたことがなく、大阪のあるBARで教えてもらった店だ。しかし友人は何度か行ったことがあり、すでにマスターのFさんと懇意だった。 JuJuではシングル・モルトやワインの品揃えが充実して、松山で唯一、生ギネスが飲め、フード類も生ハムを始め、素材にこだわるイタリアンやフレンチも評判だ(料理は主に奥様がつくるという!)。 あいにく店は、ほぼ満員で大繁盛。僕らはカウンターの端にようやく2席をつくってもらった。店はオープンしてまだ10年ほどと言うが、この賑わいようを見ると、もうすっかり松山に根を下ろして、不動の人気を得ているようだ。 Fさんの下で働くスタッフのきびきびとしたサービスもいい。次回JuJuを訪れる時は、もう少し暇な時間帯に来て、Fさんとゆっくり話したいなぁと思う。 さて、4軒目はどうしようかと友人と相談。「St.Bar(セント・バー)=写真左上=に行ってみたいな」と僕がぽつりと言ったら、「あぁ、あそこには腕のいい女性バーテンダーがいるんだよ」と案内してくれた。が、あいにくその女性バーテンダーはお休みで、あぁ残念。仕方がないので1杯だけ呑んで、次の店へ。 5軒目は、友人がなぜ僕をそこへ連れて行ったのか記憶が定かではないが、「Bar OLD NEW」という店=写真右。いいスピーカーから静かなジャズが流れ、暖色系のライティングの落ち着ける空間だった。お値段も良心的で嬉しい。でも、確かに名刺はもらっているマスターとは、何を話したのかよく覚えていない(おい、大丈夫かぁ?)。 さて、これでホテルに帰れば良かったのに、最後に松山でなんとしても顔を見ておきたいマスターがいるBARがあった。「Bar 信天翁(あほうどり)」=写真左。マスターのTさんとは3年ぶりかな。 「お久しぶりです。すみません、いつもここにたどりつく頃にはすっかり気持ちよくなってて…」と苦笑いして詫びる僕。Tさんは「久しぶりやね。元気だった?」といつもの明るい調子で応えてくれる。 「信天翁」は露口にも、JuJuとも違った雰囲気がある。それは気さくで、おしゃべり好きでTさんの人柄を映すものだろう。地方都市のBARのマスターというより、どちらかと言えば、大阪のBARのマスターみたい(そう言えば、最初にこの「信天翁」を教えてくれたのは、大阪・北新地のBar・KのマスターMさんだったなぁ…)。 この夜の締めくくりとして、最後に呑んだのはソルティ・ドッグ。二日酔い防止のつもりで頼んだのだが、翌日はやはり二日酔いだった。でも、今回も素敵な思い出を刻めた松山のBAR巡りを思うと、少々の二日酔いなんて、苦にはならない。 松山のBARのマスター、バーテンダーの皆さま、本当にお世話になりました。美味しいお酒と料理を有難うございました。またの訪店を楽しみにしておりまーす。【MARINECCO】松山市大街道3丁目1-3 大三ハウス1F 電話089-935-5896 【Bar 露口】同市二番町2-1-4 電話921-5364 【Bar JuJu】 同市一番町2-4-2 モナ-ク2 電話932-4536 【St.Bar】同市二番町2-5-8 KONCHIビル2F 電話986-3567 【Bar OLD NEW】同市大街道2-2-1 電話921-4406 【Bar 信天翁】同市二番町1-3-1 電話932-0668(営業時間、定休日等は各店へお尋ねください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/11/18
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中国路でのBAR巡り、後編は広島。前回の日記でも書いたように、うらんかんろの「エリア別BAR紹介」では、これまで広島県は、福山市のBARしか名前を挙げていなかった。 そこで今回は、中国地方の中心都市、広島市のBAR巡りである。残念ながら日帰りだったので、2軒しかお邪魔できなかったが、広島は近いうちにまた出張がありそうなので、おいおいと紹介できるBARの数は増えていくと思う。 で、広島でまず目指したのは「OLDIES」=写真左=というBAR。ここも以前から訪れたいと思っていた老舗の一つで、大阪の何人かのマスターからも勧められた店だ。 店は広島市の歓楽街「流川」エリアの、雑居ビルの2階にある。ステンドグラスの入った重厚な玄関ドアを開けると、そこには想像以上のレトロで、風格ある空間が広がっていた。 マスターのOさんに自己紹介をする。共通の知り合いがいるので、打ち解けるのに時間はかからない。店は今年で26年という。「えっ?! たった26年ですか? 店の中の雰囲気を見ると、もう50年以上も営んでいるような感じです」と驚く僕。 このBARは、元々は旅館オーナーが敷地内の駐車場だったスペースにお客をもてなすために増築して造ったという。店内にあふれるアンティーク家具はおそらくは、客をもてなす雰囲気づくりのために集められたのだろう。 雑居ビルの2階に、まるで個人の住宅の応接間があるような不思議な空間。通りの喧噪はここまで聞こえて来ず、静かな店内にいると、歓楽街のど真ん中にいることを忘れてしまう。お値段も良心的で嬉しい。待ち合わせに使うもよし、隠れ家的に呑むのもよし。使い勝手のいいBARに間違いはない(写真右=風格あふれるOLDIESのテーブル席)。 さて、2軒目はこれも以前から一度お邪魔したいと思っていた「Bar・Slaintheva(スランジーバ)」=写真左下=へ。「OLDIES」からは歩いて数分のところにある。 途中、夜の街ですれ違う人たちには外国人が目立つ。観光客だけでなく、ショットBARでたむろする在住外国人も数多く見た。広島は今や世界の「HIROSHIMA」であることを実感する。 スランジーバとはゲール語で「乾杯!」という意味。店では、マスターのEさんが迎えてくれた。カウンターには年輩の先客が一人。僕はとりあえず、デュワーズ(スコッチ・ウイスキー)でハイボールを頼む。Eさんは、新しいボトルを取り出したが、なぜかキャップがめちゃ固くて回らない(開かない)。ソムリエナイフまで取り出して、悪戦苦闘すること約5分。「こんなに固いのもあるんですね」「欠陥品かなぁ…」と笑いも起きて、場はなごやかになる。 この店も大阪の親しいマスターが、「**さんもきっと気に入りますよ。広島に行ったらぜひ」と教えてくれた酒場だ。ハイボールの造り方にも唸った。メジャーカップに5mlほど残しておいて、完成したあと最後に上から残ったウイスキー(原酒)をかける。心憎いやり方だ。 店はオープンしてもう30年近くになるというから、広島でも老舗の部類に入るだろう。Eさんはソムリエの資格も持っていて、店ではワインも手頃なお値段で飲めるというから嬉しい。先ほどから座っていた先客はマスターと馴染みのようだ。見れば、どこかで見かけたような記憶がする。 「ひょっとして、佐久間さんですか?」。僕は思いきって尋ねた。「ええ、佐久間です」とその客。驚いたことにその方は、僕が以前同じ広島県の福山で訪れていた「Bar・さくま」のマスターだった。79歳とは思えない若々しさで今もカウンターに立っておられる。僕は、再会を祝って佐久間さんと固い握手を交わす。 「きょう、お店の方は?」と僕。「いやねぇ、きょうは広島でS社のウイスキー・セミナーがあったので、店は若いもんに任せて、セミナーが終わった後、こうして飲み歩いてるんですよ」と笑う佐久間さん。 佐久間さんも、大阪で僕の親しいバーテンダーと懇意なので、より親近感が沸く。「ここで会ったのも何かの縁ですから」と僕から1杯ご馳走させていただき、Eさんに、僕のカメラで一緒に記念写真を撮ってもらった。 長年BAR巡りをしていると、こういう不思議な出逢いや再会をしばしば経験する。きっとバッカス(酒)の神の思し召しだと思う。だからBAR巡りはやめられないと自らの言い訳にしながら、今日も呑んでいる。皆さんも広島へ旅される際は、ぜひ「OLDIES」と「Slaintheva」にお越しを! 心からくつろげる時間と空間が待っています。【Public House OLDIES】広島市中区堀川町4-8 ウコンビル2F 電話082-241-5102 午後7時~午前2時 日休 【Bar・Slaintheva】同市中区胡町3-9 レインボービル2F 電話541-2255 午後7時~午前2時 日休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/11/15
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うらんかんろのブログのトップ・ページにある「エリア別BAR案内」をご覧になっても分かるように、中国地方のBARの数は少ない。これまでは、広島県福山市のBARしか名前が挙げられていなかった。 中国地方のBARには、これまでもそこそこはお邪魔しているのだが、このブログを始める以前が多かったので、きちんと写真を撮り、取材をすることもあまりなかった。 最近、岡山と広島へ相次いで出張があったので、それぞれ2軒ずつ訪れてきた。2軒というのは、「出張先では5軒がノルマ」を自負している(笑)うらんかんろにしては少ないが、単に日帰りで時間がなかっただけのことである。 という訳で、まず岡山。目指したのは「Bar・SAMSARA」(サムサラ)=写真左。ここは以前から訪れたいと思っていたBARの一つ。岡山では今や老舗の部類に入るBARである。店はビルの2階にある。玄関ドアの横の小窓にあるカクテルのディスプレーが粋だ。ドアを開けると、まだ客は誰もいなかった。 何よりもこのBARを特徴づけるのは、オーセンティックBARでは少々珍しい、深紅の色をしたカウンターだろう。なぜ赤なのか尋ねるのは忘れたが、呑み助の気分を高揚させてくれる効果は十分だ(笑) 長身のマスターのYさんは、20代の頃、バーテンダーの全国コンクールで総合1位になったというほどの実力派でもある。今年で40歳とのことだが、穏やかな物腰、とても丁寧な話しぶりもあって、年齢よりもかなり落ち着いて見える。 店名の「SAMSARA」とは、サンスクリット語の「輪廻転生」(りんねてんしょう)に由来するという。「世の中のあらゆるものは生まれ変わる」。なにやら奥深い、哲学的な名前だが、「一期一会」な出会いの場であるBARにとてもふさわしいネーミングだと思う。 温かい接客に満たされた僕は再訪を約束して、店を後にする。2軒目は、「Utena(ウテナ) Bar」=写真右=という、これも少し変わった名前の酒場。店にはまだ客はおらず、マスターのFさんが笑顔で迎えてくれた。 店内はダーク・ブラウンの色調で統一されて、とても落ち着いた雰囲気。基本はオーセンティックなのだが、内装の所々にはモダンで、スタイリッシュな工夫もされている。 カウンターは幅広でゆったりしていて、道路に面した側は全面ガラスになっているのが心地よい。FさんはSAMSARAのYさんと同じ世代。Yさん以上に物腰が柔らかくて、話し方がめちゃ丁寧でこちらが恐縮してしまう。初めての客への接客としては満点だ。 Utena・Barを紹介してくれた大阪のバーテンダーさんは、Fさんとも知り合いなのだが、そのことを告げると、「あぁ、Hさんとは同じ元・高校球児なんですよ」と意外な一面を明かしてくれた。「甲子園へは行けなかったけれど、3年間頑張ったことはこの仕事にとても役立っています」とも。 「Utena」とは、あの化粧品会社とはまったく関係なく、マスターのご出身地である愛媛県今治市大三島の台(うてな)という地名に由来するという。故郷を忘れず、縁あって居着いてしまった岡山で今、Fさんはその温かい人柄を生かして、しっかり常連客をつかんでいる。Utena Barは、僕にとっても「また訪れたい1軒」として、その名が胸に刻まれることは間違いない。【Bar・SAMSARA】岡山市北区田町2-1-1 木村ビル2F 電話086-221-5396 午後7時~午前3時 日休 【Utena Bar】同市北区錦町8-11 フェリスビル3F 電話231-3327 午後5時~午前1時 日休 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/11/14
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正月早々、急な東京出張がありました。最近の景気低迷のあおりを受けて、さまざまな緊急の経費節減策を話し合う会議でした。 それはともかく会議の後、うらんかんろはブログの友人・darkrum7さんと初めてご一緒しました。歓送迎会を兼ねた懇親会があったので、スタートは夜9時頃と遅くなりましたが、darkrum7さん行きつけの池袋のBAR「もるとや」で落ち合いました。 「もるとや」は知る人ぞ知る、人気のモルトBARです。僕も5年ほど前に一度お邪魔しているはずなんですが、やはり記憶はおぼろげで、駅からちょっと迷いました。でも、店の前でdarkrum7さんがちゃんと待っていてくれたので、ひと安心。 darkrum7さんは2年ほど前から、僕のブログに時々コメントを下さり、そのモルトの知識の豊かさにはいつも敬服していたところです(写真左=「もるとや」。翌朝撮ったために少し変な写真だけど、ご勘弁を!) カウンターに座って、早速何を飲もうかなと思っていたところ、darkrum7さんがキープしているお店の「10周年記念ボトル」(クライネリッシュ&リンクウッド)の飲み比べセットを、歓迎の気持ちを込めていただきました。本当に有難うございまーす(最初、「リンクウッド」の方を「ロングモーン」って書きましたが、間違いでした。人間の記憶力は酔うと実にいい加減になるということが改めて分かりました。darkrumさん、ご指摘有難う!)。 さて、続いて飲んだのは「もるとや」恒例のブラインドテイスティング・コンテストの銘柄(12月分)。「さぁ、何でしょう?」と言われて出されたのですが、いやいやこれは難問です。「ハイランドパークかなぁ…、いやクラガンモアのような感じもするし…」「ストラスアイラかなぁ…、アイラ系でないのだけは分かるけれど…」と悩む僕。 何度も香りをかいで、口に含んで想像力を精一杯働かせてみましたが、「いやぁ…もう分からよぉ…」とギブアップです。答えは「ダフタウン」だって! そんなマイナーなの、分かるかー!とモルト好きの貴方だって、きっと怒ると思うほどの難問でした。 「もるとや」はシングルモルト(種類も豊富です!)が極めて良心的な値段で飲めて、しかもノーチャージというモルト愛好家にはたまらない店です。おまけに毎月1本、上記のようなブラインドコンテストをしていて、当たった人(30人くらい参加して1~4人くらい当たるというから凄い)は、お店にあるモルトで一番好きなのを1杯ただで飲める特権が与えられるとか。 いいなぁ…こういう遊び心。こういう企画って普通、関西のBARの方が面白がってやりそうなんだけど、こりゃ負けてるぞー。関西のBARのオーナーさん(マスター)も、こういう遊び心溢れる企画をどこかやってくれないかなぁ…。 さてスタートが遅かったので、1時間ほど2軒目へ。同じ池袋でdarkrum7さんお勧めの酒場は、Bar「Too」という池袋駅から10分余歩いた少し寂しいエリアにある不思議な店でした。 「Too」は女性バーテンダー2人でされています。実は、僕のBARリスト(手帳)にも「Too」の名前は、(行ったことはないけれど)しっかりと記されていました。BRIOという雑誌の2001年12月号で見て、密かに注目していたBARです。 「Too」にはなぜか看板がありません。木のドアを開けるのは少し勇気が要ります。でもコンクリートの打ちっぱなしの外観からガラス越しに店内が少し見えるくらいですから、BARであることを隠している訳ではありません。 店長のHさんは、雑誌で見た通り、きりっとして理知的な顔立ちをされた方です。しかし顔立ちだけでなく、所作も見とれるほど美しいのです。darkrum7さんも「この店に来る客はみんなHさんの美しい所作に見とれてます」と語るほど。 僕は月並みですが、1杯目は「ジン・リッキー」、2杯目は銀座へ戻ることも考えて、「レッド・アイ」をお願いしました。darkrum7さんは、カンパリ・ビア→マティーニという流れでした(写真右上=「Bar Too」の外観。これも翌朝撮った写真。夜っぽく色を少し加工しましたが、やっぱり少しヘン。御免なさ~い)。 店は今年で10年目。おそるべしです。これからこの店とHさんがどれほど成長するのか、恐ろしいくらいです。さて、楽しい時間ほど早く過ぎます。居心地の良い「Too」を後ろ髪を引かれる思いで後にし、darkrum7さんとは再会を誓って、池袋駅でお別れしました。 darkum7さん、時間がなくて今回は2軒しか回れませんでしたが、楽しいひとときを本当に有難うございました! さて、もう日付が変わる頃。今夜の宿は銀座のホテルです。最後に1軒、お邪魔したのは昨年10周年を迎えたBar「Taliskar」。マスターのUさんとは、開店以来の顔なじみです。 先日、Uさんのお弟子さんでもあるY君が開いた三島のBar「YUMOTO」を訪れた話などをしながら、この夜のお勧めのモルト「グレン・グラント」などを頂き、銀座の夜は更けていきました(10周年のお祝いに僕は花を贈りましたが、Uさんからはその「お返し」にということでこの夜、記念のグラスを頂きました。感激!)。 今回の出張はあまり時間がなくて、BAR巡りもこれまでです。まだまだ行きたいBARは多いけれど、それは次回の楽しみにとっておきましょう(写真左=BAR巡りとは関係ないけど、帰路の新幹線の車窓から雪を戴いた、綺麗な富士山が見えました。やっぱり富士山は美しい!)。【追記】それにしても、東京は広いです。その広い東京の中に、銀座、新宿、渋谷、池袋、上野、赤坂、六本木、麻布等々、核になる盛り場がたくさんあります。新橋での懇親会を終えて、JR山手線で池袋へ。しかし、池袋へ着いたのは35分後。大阪キタからだと京都まで行ける時間です。東京は大都会というより、大都市の集合体のような街なのだということを改めて実感しました。【もるとや】東京都豊島区東池袋1丁目8-6 DKYビル1F 電話03-5952-9277 午後5時~午前5時 年中無休 【Bar Too】豊島区南池袋2丁目8-1 エバーグリーンハイツ1F 電話5979-1822 午後5時~午前1時 日祝休 【Bar Taliskar】中央区銀座7丁目5-12 藤平ビルB1F 電話3571-1753 午後6時~午前2時 日祝休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/01/10
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沼津でVictory、Frankという2軒の素晴らしいBARを巡った僕は、JRの各停に乗り、再び三島へ戻った(沼津~三島間は時間にして5分ほど、だから、まぁ同じ街のようなものです)。 さて、三島に戻っての3軒目のBAR。この夜の最大の目的でもある「Bar YUMOTO」へ向かう。駅から南へ徒歩7、8分、細く、曲がりくねって街灯も少なくてほの暗い道。初めての人はまず間違いなく道に迷うに違いない。 案の定、僕もYUMOTOがあるマンション前を通り過ぎてから、間違いに気づき引き返した。BARであることを示すのは、マンション入り口脇の店名の金属製のプレート(写真右)だけ。でも、そのプレートのデザインがまた素晴らしいセンスなのである。 店内の写真は事前にある本で見ていて、だいたい知っていた。カウンター横の壁一面がガラスで、土手の木々や源兵衛川のせせらぎが見える。木々はライトアップされて、とてもいい眺め。 聞けば初夏(5~6月)には、なんと窓の外にホタルが舞う幻想的な光景も眺められるという。三島には市街地に小さな川が数多く流れ、市や住民による川の浄化の努力もあって、ホタルがたくさん戻ってきているとのこと。素晴らしい取り組みだ。 さて、店内は金曜日ということもあるが、ほぼ満員の盛況だった。カウンターに空いていた席に案内された僕は、ここでもまずジン・リッキーを頼んだ(店が忙しい時には、ややこしいカクテルを頼まないのも客のマナーだ)。 Bar YUMOTOのマスターは、その名の通りも湯本。彼、湯本織衛君とは、4年ほど前、銀座のBar Taliskerで知り合った。当時湯本君はそのTaliskerで修行中の身。「いずれ三島に帰って自分の店を持ちたい」と夢を語っていた。 その後、彼が三島へ戻ってからはしばらく会うことはなかったが、しばらくして、ある雑誌で彼が念願のBARを開いたこと、そして結婚した奥様の清美さんは中学校の同級生で、同じ職業(バーテンテンドレス)であることを知った(写真右=YUMOTOの裏を流れる源兵衛川。遊歩道代わりの飛び石があって、川べりまで降りられます)。 ジン・リッキーを僕の目の前に持ってきた湯本君に、「お久しぶりです。Taliskerでお会いした**です」と挨拶すると、少し驚いたようで(久しぶりなので、店に入って来た時はすぐには分からなかったのだろう)が、「はるばる有難うございます」と歓迎してくれた。奥様ともご挨拶した。清楚な中にも、きりりとした表情が素敵な人だ。 実は、奥様は今年5月のNBA(日本バーテンダー協会)の全国カクテル・コンクールで並み居る強豪をおさえて見事優勝したという輝かしい経歴の持ち主(写真左=5月の表彰式での湯本清美さん〈中央〉 ( C ) 朝日新聞社 拝借多謝!)。女性が「日本一」になるのは12年ぶりという。 そんな快挙もあって、YUMOTOはまさにいま旬(しゅん)のBAR。日本一のカクテルを味わいたいというBAR好きが全国から集まって来るので、連日盛況のようだ。でも、僕はやはり昔のよしみで再会を祝って、2杯目は湯本君のオリジナル・カクテルをお願いした(笑)。奥さんのカクテルは次回の楽しみにとっておこう。 さて、三島にはYUMOTOのほか2軒、お邪魔してみたいBARがあった。1軒は、三島では最も全国にもその名が知られてきた「Bar 奈良橋」。そしてもう1軒も歴史ある店だが、ジャズなどのライブで有名な「茶色の小瓶」という風変わりな名のBARである(写真右=湯本君と再会を祝ってツーショット)。 僕の今夜のホテルは駅近で、徒歩2分くらい。目的のBARは駅からの距離が遠い順で、奈良橋→茶色の小瓶→YUMOTOとなる。という訳で、まず奈良橋へ行って、その後茶色の小瓶に寄り、再びYUMOTOへ戻って、ホテルで沈没(笑)というプランを描いていたので、とりあえず、湯本君に「後でまた戻ってくるからよろしく」と言って、YUMOTOを後にした。 奈良橋は、1922年(大正11年)に造られた石造りの土蔵を改造したユニークなBARである。三島駅からは伊豆箱根鉄道で2駅、「三島田町」という駅のそばにある。ゆったりした吹き抜けの空間、そしてイタリアのアンティ-クの飾り棚を使ったバック・バーがとても温かい雰囲気を作り出している。 だが創業は意外と最近で、1999年。沼津のVICTORYで修業された小林健吾さんという方が親友のFさんの協力で開いた。そして今では、三島のBARでは最も有名な存在となり、僕も「いつか訪れてみたい」とずっと願い続けてきたBARだった(写真左=奈良橋の玄関)。 しかし、創業されたマスターの小林健吾さんはすでにこの世にない。今はFさんの後輩にあたる青木マスターが店を守っておられる。7年前、小林さんは心臓の手術を受けるために入院した。さほど難しい手術ではないという話だったが、体に異変が起きて帰らぬ人となった。 まだ33歳の若さだった。「ちょっと行ってくるから、店を頼むねと言われ、お別れしたのが最後」だった青木さんは急死を知らされて呆然となったという。小林さんのいなくなった「奈良橋」をどうしたらいいのか、奈良橋の創業時から一緒に手伝って来たFさんらスタッフは思い悩んだ(当時のスタッフには、YUMOTOの奥様、清美さんもいた)。 小林さんの存在はあまりにも大きかったが、その思いのこもった、この奈良橋を閉じる訳にはいかない。悩んだ末に、Fさんや青木さんらのスタッフはみんなで力を合わせ、店をそのまま守ることに決めた。 そして今、Fさんら歴代スタッフの努力の甲斐あって、奈良橋は昔と変わらぬ姿で毎夜、客でにぎわっている(写真右=奈良橋の店内。カウンター席から見上げると、土蔵中2階の物置が見えるのが面白い)。 僕は、生前の小林さんとは会うことは叶わなかった。しかし、奈良橋のカウンターにたたずみ、美酒に酔い、青木マスターと語り合ううち、天国にいる小林さんに出会えたような気がした。 「健吾さん、貴方の『志』はしっかりとお弟子さんたちに受け継がれていますよ」。三島にこれからもBar 奈良橋があり続けること、それが僕らBARファンの願いでもあり、小林さんへの何よりの供養になるに違いない。 さて、奈良橋の後には、せっかくだから伊豆箱根鉄道の可愛い電車にひと駅(田町→広小路)乗ろうと思ったが、あいにく電車は出たばかり。時間がもったいないので広小路までテクテク歩くこと10分余で、広小路駅が視界に。そこから数分で目指す「茶色の小瓶」(写真左)に着いた。 ここも2階へ階段を上がる。ドアに近づくにつれてジャズが聞こえてくる。そう、ここはジャズやボサノバ、カントリーなどライブが週1~2回開かれるライブBAR。あいにくこの日はライブはなく、代わりに、店内のモニターでジャズ・ライブが流されていた。 店内は明るいライティングで、キャパも50~60人は入れそう。一人でしっとりと飲むというよりグループ向きか。スタッフもおしゃべり好きでよく話しかけてくる。フロアの隅にピアノがあったので、弾きたい気持ちがむずむずとしてくる(笑)が、他にお客さんも多いのでここはあきらめる。 茶色の小瓶は料金もリーズナブルで、気軽に飲むにはとてもいい雰囲気の酒場だ(こういう賑やかなのは苦手という方のためには、同じ経営の姉妹店で、オーセンティックな「アフターバー石垣」が近所にある)。 さて、「茶色の小瓶」で、小休止的な飲み方をした僕は、再び、「お帰りなさい」と迎えられて、YUMOTOのカウンターに戻った。12時近くになるので、店はまだ超盛況。地方都市の不景気も、勢いのあるYUMOTOには無縁なのかもしれない(写真右=アイラ島の蒸留所関係者のサインが数多く記されたスコットランドの旗。湯本夫妻が新婚旅行の思い出が詰まっている。BARのドア続くエントランスに飾られている)。 出戻りの僕は、窓越しの景色がよく見えるように、カウンターの一番窓側に席をとった。そして、今度はシングルモルトのボウモアを頼んだ。アイラ島のボウモアは湯本ご夫妻が3年前結婚式を挙げた思い出の地。 そして、僕にとっても、昨年秋旅した忘れられない場所。アイラに住む共通の知人らの話に花が咲いたが、あいにく今夜は超盛況である。あまりご夫妻を僕の前に拘束してはいけない(これも酒場で飲むマナーの一つだ)。 その後、僕はさらにもう1杯、シングルモルトをゆっくりと頂いた後、YUMOTOを後にした。帰り際、湯本君は店の前まで出てきて、見送ってくれた。「また必ず来ます」。僕はそう言い残したが、それは社交辞令ではなく、このYUMOTOには必ずまた来たいと思う。 昔親切にしてもらい仲良くなったバーテンダーが、その後独立して成功する…これくらい嬉しいことはない。そしてBARという舞台を通じて、全国に知り合いが広がる。いつも言うけれど、だからBAR巡りはやめられない。【Bar YUMOTO】静岡県三島市芝本町10-7 電話055-981-5578 午後6時~午前2時 不定休 【Bar 奈良橋】三島市中田街8-25 電話981-8332 午後6時~午前1時 日休 【パブリックバー・茶色の小瓶】三島市西本町1-25 広小路ヒルズ2F 電話981-1566 午後6時~午前2時 月休 【アフターバー石垣】三島市泉町14-1 電話976-1444 午後6時~午前1時 日休 ※いずれの店も大都市のBARに比べるととてもリーズナブルです。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/11/02
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静岡県と言えば、東西に長く広い県だ。県都の静岡市のほかにも、浜松、熱海、三島、沼津、伊東、清水、焼津、磐田など全国的に知られた結構メジャーな都市がたくさんあるのが特徴である。 静岡県は、新幹線で東京へ出張へ行ってもいつも素通りするだけで、これまで途中下車したことはなかった(考えてみても、中学校の修学旅行で富士山や伊豆地方へ行ったほかは、20年ほど前に掛川市にあるヤマハの「つま恋リゾート」を訪れたくらい)。 そんな静岡県に、本当に久しぶりにお邪魔してきた。お隣・神奈川県の藤沢市に住む友人と会う用事があったので、「ついでに静岡のBAE巡りを」ともくろんだ僕。 広い静岡県には当たり前だが、BARが数多くある。人口的には浜松(約80万人)、静岡(約70万人)の両市がダントツだが、静岡のBAR業界の中心都市は、昔からなぜか沼津と三島である。 静岡のBARを以前から巡ってみたいと思っていたのには、2つほど理由があった。一つには、全国的にも有名な老舗BAR・オーセンティックBARの存在。 そして、もう一つの理由は、かつて銀座のBARで知り合ったバーテンダーが、3年ほど前に生まれ故郷の三島に帰って、念願の店を持ったから…。その店を一度訪ねてみたいと、ずっと思い続けてきた。 ようやく実現の日が来た。新幹線で三島に降り立った僕は、ホテルにチェックインした後、再びJR東海道線に乗って、沼津へ向かった。まず1軒目にお邪魔したのは、全国でもその名を知られる老舗BARの「Victory」(写真左上)。沼津駅から南へ歩いて10分弱 少しわかりにくい、静かな住宅街の中に、ぽつんと綺麗なステンドグラスのライト(看板灯)が輝いている。それが店の目印。 ドアを開けるとすぐに階段。そこを2階まで上がると、素晴らしいレトロな空間が広がっていた。マホガニー調の落ち着いた内装、使い込まれた木のカウンターは職人のノミの跡をあえて残し、それがまたいい味わいを醸し出している。真鍮の手すりには細かい装飾(エッチング)が入る凝りよう(写真右上)。 しかしマスターのKさんに尋ねると、驚くなかれオープンして今年でようやく37年(1971年創業)という。とてもそんな歴史の浅い酒場には見えない。まるで40~50年、見ようによったら、戦前から営んでいるような重みのある雰囲気が溢れている。 僕は開店時間の15分ほど前に店に着いてしまったが、嬉しいことに、バーテンダーの方はいやな顔一つせず、「構いませんよ、どうぞ、どうぞ」店に招き入れてくれた。カウンターに座って早速、BAR巡りの「スターター」として、ジン・リッキーを頼んだ。 しばらくして僕の前にやってきたマスターのKさんに自己紹介。「友人からも(Victoryのことは)以前から聞いていて、ここに来るのが夢でした」と伝えた。友人のことはKさんもよく知っていたので、うち解けるのに時間はかからなかった。 僕が関西のBARやバーテンダーのことを話していると、マスターは「3年ほど前でしたか、大阪のバーテンダーさんたちがたくさん団体で、御殿場の蒸留所見学の帰りに寄ってくれましてね」と嬉しそうな顔を見せてくれた。マスターが名前を挙げた大阪のバーテンダーは、ほとんどが僕のよく知る方々で、その場がさらに盛り上がったことは言うまでもない。 Victoryは最近、同じビルの隣の部屋の壁をぶち抜いてBARから続くテーブル席ばかりのラウンジ(写真中左)を造り、店のキャパは大きく増えた(最大40人までOK)。このラウンジがまた素晴らしく、落ち着いた内装。ジャズやクラシックの室内楽でも演奏すればぴったりの空間だろう。BAR愛好家の皆さん、Victoryを知らないなんて、一生の損だと僕は思う。 さて、長居すると目標の「ひと晩5軒」が大変なので、後ろ髪を引かれつつ1時間ほどでVictoryを後にし、次なる店へ向かう。Victoryから歩いて5、6分。沼津で訪ねておきたい店がもう1軒あった。その名は「Bar Frank」(写真中右)。Victoryより少し古い、1967年にオープンした老舗である。 店のドアを開けると、いきなり黒い金属製のらせん階段=写真左(これは2階から階下を見下ろした光景)=が目に飛び込んで来た(沼津の老舗BARは2階がメインという店が多いのかなぁ…(笑))。一歩ずつゆっくりと上がると、右側に長いカウンターがあった。 Victoryに負けないくらいの素晴らしい内装。木を生かした落ち着いた空間。しかし老舗と聞いていたのに、どこを見ても洗練されていて、壁も木も新しい手触りである。バーテンダーの方に聞くと、最近全面リニューアルされたとのこと(以前は店は1階で、2階は倉庫として使っていたとか)。 あいにくマスターのAさんはまだ店に現れていなかったが、バーテンダーの方に自己紹介してカウンターで飲み始める。(写真右=カウンター脇の壁には成田一徹氏の切り絵がありましたが、これは改装前の昔のFrankを描いたものだとか)。 店をリニューアルしたことについては、常連の間でもおそらく賛否があるだろう。昔のままの内装を守ることも大切だが、伝統を守りながらも客がより楽しく落ち着いて飲めるような雰囲気づくりをするのも店の使命だろう。 僕は昔のFrankを知らないから、昔との比較はできない。だが今のFrankの、重厚で、こだわりあふれる内装にはマスターの心意気が感じられ、老舗の風格はしっかり継承されていることは僕も保証する(BAR愛好家らのブログでの評判も、上々のようで嬉しい)。 そんなことを考えていると、Aさんが現れた。口ひげがかっこいい、上品で親切な、想像通りの紳士という第一印象。ゆっくりお話したかったのだけれど、三島へ戻る時間も迫ってきた。Aさんとは丁重にご挨拶だけをして、名残惜しい気持ちいっぱいでお別れし、僕はJR三島駅へ急いだ。※「三島編」へ続く【Bar Victory】静岡県沼津市八幡街125 電話055-962-0684 午後6時~午前1時 無休 【Bar Frank】同県沼津市大手町2-11-17 電話055-951-6098 午後6時~午前1時 日休・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/11/01
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「うらん」が亡くなってブログをお休みしている間に書きためた、これまた古いネタで恐縮です。2月末に久々に東京出張があり、またBAR巡りをしてきました(2カ月後のアップですがご容赦を!)。 1日目は、以前にも紹介したBARが中心でした。1軒1軒書くと長くなるので、訪れた順番にシンプルに店名を紹介します。仕事を終えた後、夜9時過ぎてからのBAR巡りだったので、数はあまりこなせませんでしたが…(笑)。 モルト博士のUさんがマスターをつとめるBar「タリスカー」(銀座)→大阪から進出した「銀座サンボア」(あいにくマスターのSさんは北新地サンボアへ出ていて、帰阪後にお会いしました)→銀座の老舗の1軒Bar「スペリオ」→有楽町の名Bar「キャンベルタウン・ロッホ」の姉妹店Bar「クロンダイク・ハイボール」(新橋)。 2日目。夕方のBAR巡りまでは時間が少しあったので、それまでは買い物(コンフィチュール・エ・プロヴァンスのジャムなど)や映画鑑賞(デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの共演で話題になった「アメリカン・ギャングスター」を観ました。なかなかよく出来た映画で、★4つ!)で時間をつぶしました。 夕方からのBAR巡り。景気付けにまず、馴染みのBar「ロック・フィッシュ」(銀座)へ。マスターのM君は相変わらず飄々として、機嫌がいいのか悪いのか、ようわからん感じ。でも、ハイボールは相変わらず美味しい。 少しアルコールを入れた後、歩いてすぐそばのJR高架下、コリドー街にある「バル・デ・オジャリア」へ(写真上左)。その名から分かる通り、スペイン・バルですが、僕にとっては憧れの一人、日本最高の「ベネンシアドール」(意味が分からない方はすみませーん、お調べください)でもあるNさんが久々に現場に戻って開いたバルです。 この「オジャリア」に行くのが今回の東京出張の最大の目的だったと言っていいかもしれません。マスターのNさんは、僕が大阪キタでよくお邪魔するスペイン・バル「QUINTA」のマスターMさんの親友ということもあって、自己紹介した後、僕と話がはずむには時間はかかりませんでした(写真右上)。 「オジャリア」は、期待通りシェリーも料理も最高のレベルでした。文句なしです。とくに店名にもなっている「オジャ」(スペイン風おじや)はめちゃ旨でした。ブログ仲間のステラビアさんは「野菜オジャ」を味わったそうですが、僕は「シーフードのオジャ」=写真左=をいただきました(ちなみ「おじや」の語源はこのスペイン語の「オジャ」だとか)。 美味しいシェリーと料理をたんのうし、Nさんの著書にサインまでしてもらい満足した僕は、再会を約束して店を後にしました。そして次なる目的のBARへ行くため、メトロで六本木へ移動です。 この夜の2軒目は、六本木から歩いて7~8分の西麻布にある「狼と羊 Bar」(写真右下)。マスターのOさんは以前、僕がお邪魔した同じ西麻布のBar「霞町・嵐」にいらした方です。現在の店に移られてからもこまめに葉書を下さるので、そのうちにぜひ一度訪れたいと思っていたBARでした。 少し迷った末に見つけたBARの入り口には、青い「狼のサイン」。そこから階段で地下1階へ下ります。事前には連絡はしていなかったのですが、Oさんは僕の顔を見るなり、「よく来てくださいました」と歓迎してくれました。 一度聞いたらその名を忘れない新しい店は、場所柄ということもあって、住宅街の中のおしゃれな隠れ家BARという雰囲気。メインの道路からの近いのに、外の喧噪をほとんど感じない落ち着いた空間です。僕はそんな空間を一人占めして、Oさんとの再会を楽しみました。 さて2日目の最後はさらに移動です。どこへと言えば、世田谷の三軒茶屋です。ここに、1日目にお邪魔した「タリスカー」で修業したH君が、独立し開いたBar Cielo(チエロ)=写真左下=があります。 東京の方はよくご存じかもしれませんが、三軒茶屋は庶民的な街で、一歩裏通りに入ると道は結構入りくんでいてややこしいです。案の定、僕は「Cielo」に行くまで何度も道に迷いました。途中何度も店に電話して、道を尋ねました(迷惑をかけてゴメンなさーい!)。 そしてようやくたどり着いた「Cielo」は、元小料理屋さんを改造した店で、以前の内装を活用して、和の雰囲気を生かした素晴らしい空間に生まれ変わっていました。 マスターのH君とは4年ぶりくらいの再会でしたが、西麻布のOさん同様、僕のことをよく覚えていてくれたのに感激しました。僕はH君のつくる美味しいカクテルや酒をいただきながら、この4年間にあった出来事をいろいろと語り合いました。 僕は何よりも、この4年の間のH君の成長ぶりに、正直言って驚きました。少しヒゲをたくわえたH君は以前の初々しい印象とは違って、とてもたくましくて、接客にも落ち着きと自信がにじみ出ていました。移動時間はかかったけれど、三軒茶屋まで足を運んでほんとに良かったと心から思いました。 居心地のいい「Cielo」だったので、気が付けば時刻はメトロの終電近くになっていました。H君とも近い内の再会を約束してお別れしました。バーテンダーとの出会いは一期一会と言いますが、こういう再会もほんとに嬉しいものです。 いつも同じこと書きますが、こういう喜びがあるからBAR巡りはやめらません。「バル・デ・オジャリア」、「狼と羊 Bar」、そして「Cielo」。この夜初めて出合ったBARの未来に幸あれと祈りつつ、この日記を締めたいと思います。【Barタリスカー】東京都中央区銀座7丁目5-12 藤平ビルB1F 電話3571-1753 【銀座サンボア】銀座5丁目4-7 サワモトビルB1F 5568-6155 【Barスペリオ】銀座7丁目7-14 東幸ビル2F3571-6369 【クロンダイク・ハイボール】新橋3丁目16-22 池野6号ビル2F3438-3825 【ロック・フィッシュ】銀座7丁目2-14 第26ポールスタービル2F 5537-6900 【バル・デ・オジャリア】銀座7丁目2 コリドー街1F 5568-8228 【狼と羊 Bar】港区西麻布1-4-23 コア西麻布B1F 3401-6252 【Bar Cielo(チエロ)】世田谷区三宿1-26-9 3413-7729(営業時間、定休日等は各店へお尋ねください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/04/22
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久しぶりに神戸でBARホッピング。神戸には月に1~2度は遊びに行くけれど、普段は、出張先でのように5軒も6軒もBARをはしごすることはない。 神戸なんていつでも行けるから、別にガツガツとBAR巡りをしなくてもいいからと思っているから。 だから、最近はせいぜい1軒か2軒で長居することが多い。ご無沙汰しているマスターも多いのだけれど、ごめんなさい。 で、今回は駆け足で、BAR巡り。最近ご無沙汰しているところを中心に回った。まずは、スターターとしてアイリッシュ・パブへ。 三宮駅前すぐ北にある「Ryan's Irish Pub」(写真右上)。アイリッシュの代表的な名字を店名にしたパブだ。この手の酒場によくあるように、客の外国人比率が高い。スタッフも外国人が多い。 夕方の早い時間は「ハッピー・アワー」。ビールが半額(銘柄は指定されてるけど)なのが嬉しい。時々ライブもある。フィッシュ&チップスをアテにキルケニーを飲んで、さぁ準備完了。 2軒目はここ数年、時々お邪魔している中山手通のBar「Keith(キース)」(写真左)。マスターのIさんとは、あるパーティーで出会い、親しくなった。 スコットランドによく旅しているマスターは、ウイスキーに詳しい。もちろん僕の好きなモルトの知識もばっちり。 いつもここでは、もっぱらマスターおすすめのシングルモルトやオールド・ボトルのブレンディドをいただく。 あまりおしゃべりじゃない静かなマスターだけれど、応対はとても親切で丁寧、純朴な人柄がにじみ出ている。 居心地の良さでは、神戸では一、二かなと僕は思う。さて3軒目。「Keith」からもほど近い。Bar 「Savoy北野坂」(写真右)へ。 この「Savoy北野坂」の木村義久マスターさんは、その店名からも分かるように、神戸を代表する老舗BAR(だった)「Savoy」で修業した。 修業の期間が34年と半端じゃない。そして5年前に独立された。その「Savoy」は昨年末、惜しまれながら店を閉じた。 「Savoy」の空気と歴史を伝えてくれる場所は、今はこの「Savoy北野坂」しかない。木村マスターが「Savoy」を継いでくれたら良かったのに、と今も思うけれど、今さら言っても仕方がない。 物腰の柔らかい接客、いつも変わらぬ温かい笑顔。カウンターに座り、Kさんの顔を見ているだけで癒される。今夜は、いまや神戸一有名になった木村マスターのオリジナル・カクテル「ソル・クバーノ(Sol Cubano)」を飲もう。 さて、元町方面へ転戦しようと思ったが、もう1軒、久しぶりに顔を見たいマスターがいた。Bar「Alco-hall(アルコホール)」(写真左)のNさん。 誰が言ったか知らないが、「しゃべり出したら止まらないモルト博士」。確かにその通り。いつお邪魔しても、楽しそうにしゃべり続けている。 こちらが口をはさむヒマもない、と言うか、1杯目が空になってお代わりを頼もうかと思っているのに、頼まさせてくれない(笑)。話し上手で、すすめ上手。Nさんの言葉につい酔わされて、僕はついつい杯を重ねてしまう。 相変わらず元気で、エネルギッシュなNさんの姿を見て安心した僕は、店を出て元町方面へ歩みを進める。酔い覚ましに歩くには程良い距離だ。 たどり着いたのは元町の中華街・南京町。その中心部に、目指すBar「Puerto(プエルト)」(写真右)はある。実はこの酒場、「Savoy北野坂」の姉妹店。 店は気さくなマスターK君が営む。嬉しいことに、この「Puerto」は全ての酒がワンコイン(500円)で飲める。 何種類かあるモルトだって500円である! だからあまり他人には教えたくない酒場の一つ。僕は中華街で晩ご飯を食べた後、よくぶらっとお邪魔する。 最後にとっておきの話。あの「Savoy」のマスターだった小林さんが今この「Puerto」で、平日に何度かはカウンターに立たれるという。運が良かったら、貴方も神戸の伝説のバーテンダーに会えるのだ。 さて、この夜の神戸BARホッピングの締めに僕が選んだ酒場は、Bar「Moon-lite(ムーンライト)」(写真左)。 このBARには結構古くから来ている。元町にまだいわゆる純粋な「外人バー」が何軒かあった頃、日本人も出入りOKの数少ないBARの1軒だった。 暗い路地に怪しげなネオンサイン。当時はドアを開けるのに少し勇気が要ったが、今はそんなことも懐かしい思い出。 そう言えば、当時ママだった女性は今、なんと歌手として活躍している(皆さんもきっと知っているくらいの有名な人)。僕もテレビなどでその姿を見るたびに、「頑張って!」とつぶやいている。 神戸っていいなぁ。いつ訪れても僕はそう思う。異国情緒と先進的な雰囲気とよそ者を排除しない心意気。外国人との共生を考える場合、神戸はこれからも模範になる街でいてほしいと心から願っている。【Ryan's Irish Pub】神戸市中央区加納町4-3-2 コンドービル7F 電話078-391-6902 【Bar Keith】中央区中山手通1-15-7 電話393-0690 【Bar Savoy北野坂】中央区中山手通1-7-20 第三天成ビル4F 電話331-8977 【Bar Alco-hall】中央区北長狭通1-2-13 シマタビルB1F 電話331-1846 【Bar Puerto】中央区元町通2-2-7 尾下ビル2F 電話なし 【Bar Moon-lite】中央区栄町通2-2-12 電話331-1067(営業時間、定休日等は各店へお尋ねください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2007/08/01
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急な出張で久々の東京。仕事の後のBAR巡りの時間が楽しみと言いたいところだが、今回はあまり時間もなく、残念ながら駆け足の3軒。 スタートは夜9時ごろ。この夜は銀座や新橋はあえて避けて、下町のBARに絞ってお邪魔することに。まず、地下鉄千代田線で「根津」という駅へ。そこから北へ数分歩いたところの一軒家の1階に、目指す酒場はあった。 その名も「根津BAR」(写真左)。カウンターが10席弱、4人掛けのテーブルが2つ。和の雰囲気を生かしたとても素敵な空間。マスターのKさんは銀座の老舗BAR「D」で修業した後、銀座で数年間、自分の店を営んだ後、今の根津に移って来たという。 「頼まれて、とりあえず2年くらいやってみようと始めた」そうだが、もう6年になる。「下町のこんなBARもいいかなぁ…と、今ではとても気に入っています」とKさん。 「ご近所さんが多いんでしょうね?」と聞くと、「(周辺には)共稼ぎの若いご夫婦が多くて、よく来ていただいてます」とのこと。うちの近所にもこんなBARがあればいいなぁ…。根津の住民を羨ましく思う僕。 2軒目は同じ千代田線をひと駅戻って、湯島で下車。駅の南西へ緩い坂道を上り、ビルの地下にあるというその店を探した。 店の存在を教えてくれた僕の友人は「結構見つけにくいよー」と言っていたが、地下へ下りる1階の入り口に、灯(あか)りのともる立て看板があったので、意外と簡単だった。 変わった名前の店だ。「太陽と星のBAR」(写真右)。変わっているのは名前だけではない。扉は金属製で、樽を半分に切ったようなユニークな形。暗いライティングの店内は、インテリア(オブジェ)や置物など小物にもアーティスティックなこだわりに溢れている。 それもそのはず、マスターのAさんは東京芸大出身という風変わりな経歴の持ち主と聞いて納得。一見、気むずかしそうな感じの方だが、意外や意外。カウンター座った初めての僕に対して、Aさんは、「誰かの紹介ですか? あっ、出張ですか? どちらから?」などと、あれこれと親しげに話しかけてくれた。 オープンして今年で16年。「場所が場所ですけど、まぁなんとかやってます」とAさん。周辺はマンションやラブホテルの多い、静かだけど少し怪しげなエリア。そんな闇の中に浮かぶ光ような看板。まさに「隠れ家」と言うにふさわしい素敵な酒場。「密会」には最高の舞台だが、東京にそんな相手がいればの話。 さて、最後の3軒目はタクシーを5分ほど飛ばして浅草へ。この夜、最後の店に選んだのは浅草駅近くの「dr」(「ディーアー」と読むそうな)=写真左。 浅草の駅から近く、広い通りに面しているのに、意外と静かなロケーション。周りはマンションや事務所ビル、住宅が多く、人通りはそう多くない。「通り一つ隔てるだけで全然違うんですよ」とマスターのGさん。 ことしで開業18年。浅草界隈では知られたBARで、その存在を10年くらい前から知っていた僕だが、恥ずかしながらこの日が初めての訪問だった。 ジャズの流れる落ち着いた雰囲気。カウンターやテーブル席からはガラス越しに坪庭が見える。外は静かだが、店内は深夜にもかかわらず、カップルやグループ客で賑わっていた。 スタートが遅かったため、もう日付は変わりかけている。「dr」で飲む、この夜最後の2杯はシングルモルト、そしてレッド・アイと決めていたので、そのように頼んだ。 だが後で、Gさんがフルーツ・カクテルの名手だと知って、しまったと思った。「次回お邪魔する時には必ず頼もう」と誓う。にこやかな笑顔が素敵だったGさん、今宵のおもてなし有難うございました(【追記】今回は、なぜか3枚とも玄関の写真になってしまった。いずれの店も店内が暗すぎてノーフラでは写らず、泣く泣く断念)。【根津BAR】東京都文京区根津1-22-16 03-3822-9095 6時~2時 日祝休 【太陽と星のBAR】文京区湯島3-3-3 湯島高柳ビルB1F 5688-0044 7時~2時 日祝休 【Bar・dr】台東区雷門2-3-12 B1F 5828-3424 6時半~2時 日休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2007/05/09
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前回の続き。「螢屋」での懐かしい再会を終えた僕は、あまり時間はないけれど、金沢最大の歓楽街、香林坊・片町エリアに戻って、BAR巡りをすることにした。 時間はもう夜の10時を過ぎているので、「今夜は3軒が限度かなぁ」と自分でつぶやきながら、最初に向かったのは、香林坊交差点から数分のところにある、Bar「マクリハニッシュ」(写真左=店の雰囲気は、BARというよりアイリッシュ・パブのよう)。 大阪で僕が懇意にしてもらってる複数のバーテンダーから、「金沢へ行ったらぜひマクリハニッシュへ」と勧められていた酒場である(店名は、スコットランドの湾の名前であり、現地の有名なゴルフコースの名前に由来するとか)。店長にHさんにご挨拶して、まずいつものようにジン・リッキーでスタート。 Hさんは、東京や大阪の帝国ホテルのBARでも仕事をしていたこともあって、BAR業界でもすごく顔が広い。「(僕が)大阪でよく行くBARはどこですか?」と聞かれてあれこれ答えたけれど、8割以上はご存じだった。 2杯目は「螢屋」から引きずった酔いをいったんクールダウンするために、「レッド・アイ」(ビールのトマトジュース割り)を頼む。するとHさんは「(レッド・アイを)ベースをギネスでやったことありますか?」と僕に聞く。 ギネスのレッド・アイは確か「レッド・ハット」と言ったが、一度は飲んだはず。でも、Hさんが「うちのは旨いですよー」と言うので、「それじゃ、久しぶりだし、お願い」と提案に乗る。う~ん、勧めるだけあって確かに旨い(写真右=マクリハニッシュ特製の「レッドハット」)。 さて、2軒目。片町交差点の方へ移動。「Bar・SPOON」(写真左下)という店にお邪魔する。こちらは、2週間前お邪魔した札幌の「Barやまざき」で、「うち出身のバーテンダーが切り回しているので、ぜひ一度覗いてみてください」と言われた酒場である。 完璧に近いようなオーセンティックBAR。マスターはHさん(偶然、「マクリハニッシュ」のマスターとイニシャルは同じ!)という。歳は50歳。郷里の金沢に帰って、このBar・SPOONを開いた。 オープンしてもう21年になるという。カクテルが得意というHさんだけれど、ウイスキーの品揃えも結構本格的だ。だから、僕は2杯目はシングルモルトを頼んだ。 カウンター席がメインのお店はとても落ち着いた雰囲気で、一人でも気持ちよくなごめる。「BarやまざきでSPOONのことも教えてもらいました」と伝えると、Hさんは嬉しそうな顔をした(写真右=Hさんとのツーショット)。 さて、今宵最後のBARはやはり、僕が四半世紀前に仕事をしていた頃からこの金沢にあった懐かしい「倫敦屋酒場」=写真左下=へ(偶然にもBar・SPOONから歩いて1分という嬉しい至近距離でした)。 あいにくマスターのTさんは不在だったが、店の雰囲気が昔とほとんど変わっていないのが驚くばかり。店内の壁に作り付けてある棚のミニチュアボトル・コレクションもそのままだ。 店にいたマスターの奥さんは「店内の部材(カウンターや椅子等)はほとんど変わってないんですよ。レイアウトは少し変えましたが…」と言う。2階建ての隣家を買い取って改造したこともあって、団体客にも十分対応できるスペースが増えていた。 僕は昔この「倫敦屋」でよく飲んだモスコー・ミュール、そしてバーボンのソーダ割りを頼んで、思い出に浸る。「あのテーブル席で金沢の同業の友人の婚約祝いをしたなぁ…」。僕は思わずつぶやいた。 帰り際、僕は「昔よくお邪魔していたので、きょうはとても懐かしくて、嬉しかったです」と奥さんに伝え、自己紹介をした。 奥さんからは、マスターのTさんがつづったエッセイ(人生相談的な内容)を収録した文庫本をお土産にいただいた(写真右=倫敦屋酒場の店内)。 倫敦屋は昔と変わらず、温かい雰囲気で僕を迎えてくれた。四半世紀前、金沢で通ったBARで今も続いているのはここくらいしかない。そんな酒場が今も残っている幸せ。僕はここに来ればいつでも、20代前半の頃にタイムスリップできる。 【Bar MACHRIHANISH】金沢市木倉町2-4 西野ビル2F 電話076-233-0072 【Bar SPOON】金沢市片町1丁目5-8 シャトウビル1F・2F 電話262-5314 【倫敦屋酒場】金沢市片町1丁目12-8 戸田ビル 電話232-2671(営業時間、定休日等は各店へお問い合わせください) 【追記】金沢の翌日25日に訪れた輪島のことを少しばかり記します。あの能登半島地震から1カ月。輪島市内は、一番被害のひどかった門前地区を除いて、ほぼ地震前に戻りつつあります。その門前地区でも仮設住宅への入居が28日から始まりました。 しかし、風評被害の影響もあって能登に観光客はまだ十分戻ってきていません。有名な輪島の朝市もさびしい賑わいでした(写真左)。 風評被害は地震の被害の少なかった和倉温泉にも及んでいます。大企業の立地が少なく、観光が基幹産業でもある石川県の場合、県外観光客の減少は県の経済にとって直接的なダメージになります。 復興支援といってもいろんな形の支援があります。物や救援金を送るのももちろんいいことなのですが、現地の人に話を聞くとやはり、「観光客が来てくれてお金を使ってくれることが一番の励ましになる」と言う人が多いのです。 僕も、25日の夜は輪島のお寿司屋さんでしっかり食べて、翌26日朝は朝市であれこれ買い物をして帰りました。「ここでお金を落とすことが今の自分にできること」だと思ったからです。皆さんもぜひ、元気を取り戻した能登へ遊びに行ってあげてください。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2007/04/29
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札幌の2日目。天気は小雨、時々みぞれも混じる。気温は2~3度と大阪から来た僕にとっては体感温度は零度近い。でも、旅先で「無駄な時間は過ごさない」のが僕の主義。で、2日目のBAR巡りまでの時間、僕はニッカ余市蒸留所(写真左)へ向かう。 札幌から快速に乗り、小樽で各停に乗り継ぎ約1時間。目指す余市に到着。天気が悪いとあって、駅前にはそれらしき観光客はまばら。前回訪れた時も思ったけれど、蒸留所内外の環境(雰囲気)は素晴らしい。蒸留所内には白樺の林も残る。 今から73年前(1924年)、創業者・竹鶴政孝氏がウイスキーづくりを始めた頃はもっとのどかな農漁村だったのだろうが、今も余市には、ゆったりとした時間と清々しい空気が流れている。 さて、前回(2年前)蒸留所内をひととおり見学した僕は、一直線で試飲もできるウイスキー博物館へ。早速、試飲コーナーで余市25年と竹鶴21年を飲み比べる=写真右。15mlずつのショットで計1300円なり。出来たて(?)のモルトを蒸留所で飲む幸せ。これだけは大阪では味わえない。 試飲を終えた僕は、ギフトショップでお買い物。「Sherry & Sweet」と名付けられた180ml瓶入りのカスクを何本か。そしてピンバッジ、ネクタイ、ウイスキー漬けの甘納豆、ウイスキーの入ったキャラメル等々を買って、宅配便での発送を頼む(写真左下=博物館でも限定カスクは買えます)。 そろそろお昼どき。前回余市に来た時は、駅前の魚屋さん直営のお店で海鮮丼をいただいたが、今回も同じでは芸がない。 で、選んだのは蒸留所内のレストラン。そのメニューのなかでとくに惹かれたのは「ウイスキー&白ワインによるラムしゃぶ定食」=写真右下。 文字通り、薄切りのラム肉をウイスキーと白ワインでしゃぶしゃぶして味わうのだが、これが想像した以上に旨い。ボリュームも結構あって、これで1200円は安い! あたりまえだが、アルコール分も入っているので、いい気分にもなる(メニューには「車で来られた方はご遠慮ください」とあった)。 さて、余市での予定を消化した僕は、次なる目的地・小樽へ。駅から再び各停に乗り、20分余。まだ午後4時すぎ。BARが開くまでにはまだ少し時間もあるので、運河方面へ歩いて、有名な「北一硝子」のお店に向かう。 「北一硝子」の「クリスタル館」という少し高級な製品を売っている店を覗いたが、僕の探しているカクテルグラスは1点もない。ワイングラスやシャンパングラス、ロックグラスは素敵なオリジナル製品がいろいろあるのに…(写真左下=余市駅前の魚屋さんの店先で。見よ、この安さ!)。 すると、「クリスタル館」の斜め向かいに「北一アウトレット館」という看板が目に入った。ダメモトで覗いてみると、なんとカクテルグラスじゃないけれど、アンティーク風のデザインのリキュールグラスがあった。 しかも1個1350円!「試作品なので、少し気泡が入ったりしていますが、お求めやすい値段になっています」とお店の方。見た目は全然問題ない。嬉しくなってつい2個購入。 さて、小樽の夜のとばりも下りてきた。BAR巡りタイムのスタート。まず1軒目は、2年前に行きたいと願っていてお邪魔できなかったBar・HATTA(写真右下)。 小樽の歓楽街は「花園」という地区にある。BARやスナック、居酒屋などはこの一帯に集中している。なかでもBar・HATTAは、この小樽にあって僕の知る限り、最高のオーセンティックBAR。 1983年のオープン。来年で四半世紀を迎えるから、小樽では老舗の部類に入るだろう。オーナーは店名と同じ八田さん。「大阪からやって来た」僕に対して、八田さんはもちろん、2人の従業員の方もしっかり笑顔で迎え、歓待してくれた。 当たり前だが、余市に近いこともあって、HATTAでは余市限定のカスクがすべて味わえる。せっかくだから、蒸留所では飲まなかった「カスク25年」をいただく。奥行きと、なめらかさ、そして上品な甘さ。ニッカは本場スコットランドに決して負けない。そんなことを改めて確信する(写真左=八田さんとのツーショット)。 昨晩の札幌のBAR巡りの話や、八田さんが親しい大阪キタのバーテンダーFさんやMさんらことなどでひとしきり盛り上がったが、札幌へ戻るまでの間にあと2軒をこなさないといけない僕は、涙をのんでHATTAを後にする。 2軒目。小樽で、ある意味もっとも有名なBARであろう「Donjuan(ドンファン)」(写真左下)へ。ここは僕の友人も「小樽へ行ったら、必ず行くべし」と言っていた。マスターのYさんは、全国にもその名を知られた「怪バーテンダー」。 8時頃お邪魔すると、「Donjuan」のマスター、Yさんはカウンター内の隅っこでお食事中。一見こわもてのスキンヘッドだが、実は優しくて、豪快な喋り方(トーク)で客のハートをすぐつかんでしまう(写真右=多彩なYさんの見事なボトル彫刻)。 Yさんに自己紹介すると、「腹も減ってるだろうから、一杯食べてよ」と、いきなりどんぶり鉢いっぱいの「アンコウのもつ鍋」を前にど~んと置いた。涙が出るほどの凝縮した旨さ! 胃が喜ぶ声が聞こえる。食い干した僕に、「これも旨いから」とでかいタラバの足2本が乗った皿を差し出す。う~ん参った! 何の酒を飲んだかよく覚えてないほど食い物の印象が強烈だった「Donjuan」だが、これだけ頂いて、お勘定は信じられないようなお値段。北海道のバーテンダーは、なんで旅人にこんなに気さくで優しいんだろう。Yさん本当に有難う! 御歳70歳というが、まだまだエネルギッシュなので、またいつか会えそうな気がする。 さて、札幌帰りの電車の時間を気にしながら、小樽の夜最後のBARへ向かう。オーセントホテル小樽内にある「Captain's Bar」のNさんに会うために。ここも、「小樽に行ったら、Nさんのところへぜひ」と大阪のあるバーテンダーから厳命されていた。 Nさんは数々のカクテルコンペで優秀な成績をおさめている、小樽きってのバーテンダー。だから、Nさんが仕切るBARが素晴らしいことは言うまでもないが、何よりも彼のオリジナル・カクテルを飲みたかった。 早速オリジナルを頼む。Nさんが選んだのは「ゆきあかり」というカクテル(写真右)。シャンパンベースで、ジン、ベネディクティン、コーディアル・ライムジュース。 ビターでしめらせた角砂糖を広口のシャンパンの中央(底)に置き、その上から、前記のカクテルを注ぐ。グラスの外側は粉糖でうっすらと覆われ、まるで霜のよう。味わいはきりっと爽やか。「旨~い!」としか言葉が浮かばない。 「また札幌に戻るので、時間があまりなくてごめんなさい」という僕に対して、「いえいえ、時間がないのにわざわざ寄って頂き、こちらこそ有難うございます」とNさんは嬉しいお言葉。「また必ず来ます」。帰り際、僕はBARの玄関でNさんと固く握手して、再会を誓った。 さて、快速電車で札幌に戻った(36分で着きます)僕。時刻は夜10時半頃。でも土曜夜のススキノも相変わらず賑わっている。僕には札幌でもう1軒行っておきたいBARがあった。 ススキノ交差点角のビルの2階にある「The Nikka Bar」。全国にNikka Barは多くあるが、「The」が付くのはここだけとか。ニッカのモルトやブレンディドの品揃えの豊富さは言うに及ばず、お値段もとても良心的な酒場である。 ここには業界でもその名を知られた菅(すが)さん(写真左上)という有名なバーテンダーがいらっしゃる。御歳80歳といい、札幌ではあの山崎達郎さんに次いで長老格という。しかし白いバーコートをおしゃれに着こなし、てきぱきと客をさばく姿はとても80歳には見えない(写真右=北海道で人気の「スープカレー」。結構ハマリます)。 とくに僕が驚いたのは、洗い物なども率先してされている姿。若い従業員は5~6人はいる。しかし菅さんはたまったグラスを黙々と自分で洗う。普通、80歳の店長のすることではないが、そんな姿勢にただただ感銘を受けた(写真左=帰途についた15日は雪模様だった)。 生き甲斐があれば人は歳をとらない。肉体的な衰えは誰にも訪れる。しかしその衰えは生き甲斐のない人よりは緩やかになり、精神的にも若くあり続けられる。そんなお手本が、僕には菅さんや山崎さんのような気がする。 【Bar HATTA】小樽市花園1-8-18 電話0134-25-6031 【Bar Donjuan】同市花園1-12-21 電話25-1399 【Captain's Bar】同市稲穂2-15-1 オーセントホテル2F 電話27-8100 【The Nikka Bar】札幌市中央区南4条西3丁目、第3グリーンビル2階 電話011-518-3344
2007/04/20
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北海道・札幌市。日本有数の大都市であり、「ススキノ」という大歓楽街を抱え、歴史と伝統のあるBARも多い。 日本全国のBAR巡りを続けている私だが、大都市の中でも、まだほとんど足を踏み入れてなかった街だった(写真左=札幌最大の歓楽街「ススキノ」のシンボル、ニッカのヒゲのおじさんのネオンサイン)。 そんな札幌に、先週末お邪魔してきた。札幌を訪れるのは3度目だが、過去の2回はBARを巡る余裕がなかった。「この地のBARを訪れずしてはBARフリークとしての名がすたる」。そんな思いを長年ずっと抱いてきた。 で、満を持しての札幌のBAR巡りである。1軒目として選んだのは泊まったホテルからも程近い、Bar・Adonis(アドニス)=写真左下。 マスターのTさんは、同じススキノの「ラルセン」という老舗BARで修業された後、1991年に独立された(写真右=BAR巡りの前にはまず腹ごしらえ。豪華な海鮮丼で腹一杯!)。 聞けば、僕同様、全国のBAR巡りが好きな友人とも顔見知りで、僕が大阪でよくお邪魔するBARのマスターとも親しいということで、親近感がぐっと沸く。 BAR巡りのスターターの一杯はいつものように、ジン・リッキー。旨いジン・リッキーは気持ちを爽やかに、そして気分を高揚させてくれる。 「今夜は何軒回るの?」と聞かれて、「少なくとも5軒が目標です」と言うと、「頑張ってね。札幌の夜を楽しんでよ」との優しいお言葉。迷わないようにと、行く予定の店々の地図まで書いてくれた。 店内の「音(音楽)」が温かい感じだなぁと思っていたら、真空管アンプだという。「お客さんが作ってくれたんですよ。その棚の上の樽のスピーカー(写真右)も」とマスター。 なるほど道理で、普通のアンプの音ではないと思った。「いいBARにはいいお客さんが集う」ってことの証かも。 2軒目。Adonisからそう遠くないビルの5階。迷わずにたどり着けた(Adonisのマスターの地図に感謝!)、目指すBARの名は「PROOF」=写真左。 優しい笑顔が自慢のマスターのNさんは、札幌の老舗中の老舗BARである「やまざき」のご出身。大阪からBAR巡りに訪れた旨を告げ、きょう訪れる5軒のBARの名を口にすると、「5軒の中に選んでもらって光栄ですよ」との嬉しいお言葉。 Nさんも独立されたのが90年で、Adonisとは1年違い。しかし、わずか17年で風格ある本格BARに育てあげられた(写真右=Bar PROOFの壁に掛かる油絵はなんとBarやまざきの山崎さん作)。 時間が早く、客は僕一人だったこともあって、Nさんはずっと僕の相手をしてくれたが、とにかくよく喋る、喋る。客をとことん歓待しようというホスピタリティにあふれた人だ。 「Nさんはどちらかと言えば、大阪のバーテンダーっぽいですよね」と言うと、嬉しそうに笑った。気さくな人柄に馴染んで、時間を忘れそうになったが、まだ予定があるので、後ろ髪を引かれる思いで、店を後にする。 さて、3軒目。そろそろ8時過ぎ。先ほど少し触れた札幌を代表する老舗BAR「やまざき」(写真左)にお邪魔する。 1958年(昭和33年)の開業。マスターの山崎達郎さん(写真右)は御歳、87歳だが、とてもそんな歳には見えない。耳は少し遠いけれど足腰は丈夫で、歩くスピードは40代の男性と変わらない! 「やまざき」の名物は、山崎さんの特技でもある「顔のシルエットの紙切り絵」。白い画用紙をはさみ1本で巧みに切り抜き、客の横顔の造っていく。 シルエット絵は2枚重ねの紙で切り抜かれ、1枚は黒い画用紙の台紙に張って客にプレゼントしてくれる。 そして、もう1枚はお店のアルバムに保存される。アルバムに張る1枚には「名前を書いといてね」とペンを渡された。僕の横顔(写真左)が「やまざき」の歴史の1ページに残されると思うと嬉しい限り。 最近はほとんどシェーカーを振らないと聞いた山崎さん。だが、この夜は、「オリジナル・カクテルを何かお願いします」と頼むと、「インバネス」という名のカクテルをシェークで作ってくれた。 スコッチウイスキー・ベースにドライ・ベルモット、アクアヴィット、ブルー・キュラソーを加え、ボディのしっかりした爽やかな味わい。滅多に振らない山崎さんのシェークを間近で見られた僕は幸せ者かも。 山崎さんはこの夜、すこぶる機嫌が良かったのか、カウンターの上で、もう一つの特技(僕は知らなかったが)であるトランプ手品まで披露してくれた。札幌のバーテンダーはとにかく客を喜ばせる術を知っている。 幸せな気分に包まれながら、次なる酒場に移動へ。4軒目は、ススキノのメインの交差点角のビル8階にある、Bar・コオ(KOH)=写真左。ここも老舗BARの1軒と聞いていた。 扉を開けると、週末の夜9時半すぎとあって、超満員の賑わい。従業員の皆さんも大忙し。幸い、カウンターに1席空いたとのことで、腰を落ち着けることができた。きょうはどこを回ってもツイている。 73年のオープンで、ススキノの盛衰をずっと見てきたマスターOさんは、白いバーコートがよく似合う、柔和な感じのベテラン・バーテンダー。店も明るい雰囲気で、ノーチャージというから嬉しい。 この夜は超満員とあってかマスターのOさんは接客で忙しく、あまりお話はできなかった。帰り際、「お構いできなくてすみません」と見送ってくれた。まぁ、BAR巡りをしているとこういうこともある。「コオ」の雰囲気を味わえただけでも良かった。 さて、札幌の第一夜の締めのBARは、「やまざき」出身で、バーテンドレスでもあるNさんが開く「ドゥ・エルミタージュ」へ(写真右)。 82年に独立されたNさんは、おそらくは、札幌のバーテンドレスのなかでも先駆者だと思うが、身のこなしでも、風格があふれる。もう夜の11時近くだが、ここもほぼ満員(写真左=Nさんと記念のツー・ショット)。 「タクシーで帰っても千円くらいのところにみんな住んでいるから、安心して飲めるんですよ」と、あるマスターが言っていた。地方都市なら分かるが、札幌は大都市なのに、羨ましい限りだ。 店は「コオ」とは逆に、ライティングは極力抑えた、大人のムード。カウンター席にはだから、カップルも多い。そんな中で、僕はこの夜の締めの1杯目にまず、モスコー・ミュールを頼む。 Nさんに「大阪から来て、BAR巡りをしてまーす。5軒目です」と言うと、「5軒も!凄いですね。お酒強いですね」と笑って一言。自分では、顔にも出るし、決して「強い」とは思わないが、結構長くしぶとく飲めることは飲める。 2杯目にはアイラのヴァッディド・モルト(写真右=モルトも充実!)を飲みながら、Nさんと、お師匠である山崎さんのことや、ご主人が営むという仙台のBARの話などで盛り上がって、夜は更けていった。 札幌のバーテンダーの皆さんはとにかく、気さくで親切。ひと言で言って、旅の人間をもてなす「ホスピタリティの固まり」という人たちばかりだった(お値段も随分サービスしていただいて感謝感激!)。 翻って、銀座や大阪・北新地のBAR(バーテンダー)はどうだろうか。他の土地から訪れた旅人たちに、「いい思い出」を持ち帰ってもらう努力を十分やっているだろうか(老舗でも、不快な印象を与えがちなBARもある)。札幌の業界人に学ぶところが多いと思った夜でもあった(写真左=最後の締めには、やはり味噌ラーメン。「三極」というお店。結構好みの味でした)。 【Bar Adonis】札幌市中央区南四条西5丁目、第4藤井ビル4F 電話011-219-0456 【Bar PROOF】同南三条西3丁目、都ビル5F 電話231-5999 【Bar やまざき】同南三条西3丁目 克美ビル4F 電話221-7363 【Bar コオ】同南四条西3丁目、すすきのビル8F 電話531-2801 【ドゥ・エルミタージュ】同南三条西4丁目、南3西4ビル10F 電話232-5465(営業時間、定休日等は各店へお問い合わせください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2007/04/16
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東京出張のついでに、久しぶり(たぶん6、7年ぶり)に横浜のBARを巡ってまいりました。横浜は、同じく歴史ある港町・神戸と同様、街全体がエキゾチックな雰囲気に包まれています。 阪神間に住む僕は神戸が大好きなのですが、その神戸と同じくらい、横浜は魅力的だと思っています。そんな横浜の夜の街を歩き、酒場を1軒、1軒巡るのは至上の幸せな時間です。 さて、この夜の1軒目は、中華街(写真左)のほぼ真ん中にある「ニュー・ノルゲ(New Norge)」(写真右)。1972年オープン、ことし36年目の老舗だが、僕は初めての訪問。 店は、「ノルゲ」という名からも分かるように、元々ノルウェー人の元船員さんが開いた。創業者は他界し、現在では奥さんの日本人がオーナーとなっているという。 奥さんは店には出ておらず、若いバーテンダーさんがカウンターを守る。聞けば、「奥さんは元々関西出身だそうですよ」とのこと。それだけでなんとなく親近感が沸く。 古い港町の酒場の雰囲気をよく漂わせた店内。まずはお決まりのジン・リッキーがスターター。バーテンダーさんは気さくで、親切(コースターまでいただいちゃった!)。「今宵の1軒目としては申し分ない選択だったなぁ…」なんて、自画自賛。 さて2軒目は、1軒目の「ニュー・ノルゲ」の通りを挟んですぐ前にある「ウインドジャマー(Windjammer)」(写真左)。ここも「ニュー・ノルゲ」から遅れること数カ月後の1972年にオープンした老舗だ。 「帆船」という意味の店名らしく、店内は客船の中の応接室という重厚な雰囲気。バック・バーにも帆船の模型や船関連のグッズがいっぱい。 お店のウリは毎晩8時からあるジャズ・ライブだが、残念ながら、8時まではまだたっぷりと時間もあり、BAR巡りがメインの今夜はあきらめる。 さて、3軒目。中華街のランドマーク的な建物と言えば、加賀町警察署。その玄関のすぐ前にある、こちらも老舗の「ケーブル・カー(Cable Car)」。ここは昔一度お邪魔したことはあるのだけれど、その記憶も薄れるくらいだから今回はぜひ再訪したかったBARだ。 この店の特徴は、なんと言っても、長さ18mにも及ぶ長~いカウンターだ(写真右)。オーナーは米国人。横浜にはケーブル・カーはないのだが、同じ港町のサンフランシスコが好きなオーナーはこの酒場にシスコ名物の名を付けた。 細長い店内の細長いカウンターに座って飲んでいると、まるでケーブル・カーの車内にいるような錯覚に陥る。中華街は前日、旧正月の行事、春節祭でにぎわったというが、この酒場はいつも通り、常連たちが静かに杯を傾ける日常の風景だったという。 ギネス&バスペールのハーフ&ハーフ、さらにギリシャのパン「ピタ」でつくった、ボリュームたっぷりのハンバーグ・サンド(フード・メニューもめちゃくちゃ充実している!)を堪能した僕は、次の店を目指す。 さて、4軒目は中華街のメインストリートを抜けて山下公園の方へ向かう。目指すは、ホテル・ニューグランド。以前のブログ(06年11月12日の日記)でも書いたが、このホテルは、開国直後の日本で最初にBARができたホテル「横浜グランドホテル」の流れをくむ。 そして、このホテル・ニューグランドのメインBAR「シー・ガーディアン2(Sea Guardian 2)」の名物と言えば、やはり昔このホテルのBARで生まれた有名なカクテルたち、バンブー、ヨコハマ、ミリオン・ダラー…。 僕は、あえてバンブーは避けて、この夜は「ミリオン・ダラー」(写真左)と「ヨコハマ」を頼む。前者は、ジンをベースにして、スイート・ベルモット、パイナップル・ジュース、グレナディン・シロップ、卵白というレシピ。やわらかい甘さ、口当たりの良さは絶品。 後者の「ヨコハマ」も有名なスタンダード・カクテルだが、ちなみにレシピは、ジン・ベースで、オレンジ・ジュース、ウオッカ、グレナディン・シロップ、アブサン少々。飲みやすいけれど、調子に乗ると足にきそうなカクテルだ。 さて、5軒目。ホテルすぐ横の街場に、こんな素敵なBARがあるのだけれど、意外と知られていない「スリー・マティーニ」(写真右)。中華街の喧噪からは少し離れた静かなエリアにあるためか、静かに、落ち着いて飲める酒場だ。 以前に僕のブログ(05年5月24日の日記)でも一度紹介したことがあるけれど、ここのオーナーの山下マスターは、中学生の頃、兵庫県の西宮に住んでいて、大社中学という学校を卒業している。かつて初めてお邪魔した僕を、同じ兵庫県の阪神間から訪ねてきたということでとても歓迎してくれた。 お店と同様、「年中無休」と聞いていたYさんだったが、あいにく月曜だけは従業員に任せて、自分は店を休んでいるという。会えなくて残念だったけど、BAR巡りをしているとこういうこともある(写真左=「スリー・マティーニ」の店内はソファ席もあり、温かい雰囲気の空間)。 しかし、代わりに応対してくれたバーテンダーのNさんには、とても親切にしていただいた。生まれも育ちも横浜なのだが、若い頃、大阪の朝潮橋というローカルなエリアで働いたことがあるとかで、その話で盛り上がる。 また、Nさんは近く「スリー・マティーニ」を“卒業”し、馬車道近くにBARを開くのだという。居心地がいいので、このBARでは3杯も飲んで長居をしてしまう。Nさんとは再会を約束し、マスターへの伝言を頼んで店を後にする。 この夜泊まるホテルは少し離れた、馬車道の近く。で、そろそろ足をその方向へ向ける。途中、以前、ある雑誌で見てちょっと気になっていたBARがあった。この1軒だけイニシャルで記すが、「H」という少しスノブ系の内装の店。 雑誌では「腕利きの女性バーテンダーが切り回す」と記されていたのが、若い男性バーテンダーが一人いた。聞けば、今は彼がやっているという。 だが、やや長めの髪がボサボサで手入れがされていない。一目見て「(僕の趣味に)合わないBARだ」と思った。バーテンダーは多少の長髪でもいい。でも、やはりこの商売には清潔感が大切だ。 1杯だけでサヨナラし、気を取り直して、馬車道にある「西洋酒場・らんぷ」(写真右=店内のライティングは、もちろん温もりを感じる「ランプ」型の灯りだ)へ。ここは以前にも来たことがある。オーナー・バーテンダーのKさんはそのことを覚えていてくれて、僕は嬉しかった。 赤れんがの外観。温かみのあるライティングで、落ち着いた店内。Kさんこだわりの美味しいモルトもたくさんあって、嬉しい(写真左=翌朝、JR関内駅への道すがら撮った「らんぷ」の素敵な外観)。 残念なのは、この店の雰囲気を愛する常連が多いためか、キャパがそう広くない店はいつも盛況。この日、カウンターに座れた僕はついていたのかもしれない(ウイスキー好きの常連さんとも仲良くなりました)。 久しぶりに訪れた「らんぷ」はやはり、Kさんの気さくな人柄もあって、極上の時間が味わえる。モルトをついつい2杯、そしていつものように仕上げに「レッド・アイ」(ビールのトマト・ジュース割り)を頂き、幸せな気分でホテルへの帰途についた。 この夜、遠来の僕をもてなしてくれたマスターやバーテンダーの皆様に改めて感謝! 横浜には、まだまだ僕の知らない素敵なBARがたくさんあるに違いない。今度は野毛か桜木町あたりを攻めようかな。 【New Norge】横浜市中区山下町217 電話045-662-2309 【Windjammer】山下町215 662-3966 【Cable Car】山下町200 662-5303 【Sea Guardian 2】山下町10、ホテル・ニューグランド1F 681-1841 【スリー・マティーニ】山下町28 ライオンズプラザ山下公園104 263-0993 【西洋酒場・らんぷ】住吉町5-61 住五ビル1F 641-8901(営業日、営業時間は各店へお問い合わせください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2007/02/21
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1月23~24日、3カ月半ぶりの愛媛県出張でした。訪れたのは松山、そして県南の宇和島。いつもながら宇和島へ行くのは大変です。バス~飛行機~バス~電車と乗り継いで約4時間半余。大阪からは(直線距離ではもっと遠い)東京へ行くより疲れます。 空路はいつもANA。行きはボンバルディアという約50人乗りのプロペラ機。よく故障するので有名な機種なのであまり気は進まないのですが、ちょうど乗りたい時間にはそれしかないから仕方がないという感じです。 23日の松山では、地元の出先の人と一緒に晩ご飯を食べました。だから、BAR巡りのスタートは午後9時頃に。スタートが遅くなったのに加えて、翌日朝8時の特急に乗って宇和島へ行かねばならず、明日は6時半起床です。 という訳で、今回の松山のBAR巡りは時間も十分にないので、老舗のBar露口(写真左)と、初めて行く予定のBar・IKEUCHI商店の2軒だけにしようと決めていました。 まず、露口。いつものように、マスターと奥さんの朝子さんは温かく僕を迎えてくれました。いつもは混んでる時間帯なんですが、この日はほかに1人客が2組だけと、意外とすいていました。 で、珍しく落ち着いた気持ちで、ジン・リッキー、そして白州のストレートと2杯をじっくり味わい、朝子さんともゆっくりとおしゃべりができました。 露口は一言で言えば、懐かしい我が家に帰ってきたようなBAR。ここにくれば心がなごんでほっとします。「また松山へ来れば、必ずお邪魔しますからねー」と言い残し、後ろ髪を引かれる思いで、2軒目へ。 2軒目というか本日最後のBARは初めてのお店「IKEUCHI商店」(写真右)です。前回、松山にお邪魔した際、別の老舗BARのマスターから「絶対にいい店だから、行ってみなさい」と教えてもらったお店です(BARのマスターっていうのはヘンな人種で、自分の店以外のBARを、商売がたきなのによく紹介してくれます)。 評判通り、マスターの池内さんは気さくな、いいおじさんでした。店内は7、8人も入ればいっぱいになりそうな広さですが、これがまた客との距離感を縮めてくれます。店にはマスターのほか、親切な女性バーテンダーさんも1人います。 夜になると結構冷え込んできたこともあって、IKEUCHI商店では、ホット・カクテルばかりを頼みました。1杯目はホット・バタード・ラム、2杯目はホット・ブラディマリー。後者の方は、「かなりスパイシーな感じでお願い」と無理を言いました。 話もはずんで、酒も進んだ松山の夜ですが、明日が早いということもあって、IKEUCHI商店にも11時半くらいにはお別れをしました(おかげで、「***商店」というヘンな名前の由来、聞き忘れてしまいました)。 松山には今年はもう来ることはないかもしれませんが、来年初めには、また仕事の予定が入っているから、きっとまたお邪魔できます(まぁ、僕が来年もこの職場にいれば、の話ですが…)。 最後に、2日目の宇和島の話を少し。仕事での滞在時間は5時間ほど。あっという間に引き返さなければならない時刻に。帰る前に、必ず買って帰ろうと思っていた宇和島の「野中かまぼこ」本店に寄りました。 愛媛県内には、名物の「じゃこ天」を売っている店がたくさんありますが、僕は「野中かまぼこ」のが一番好きです。歯ごたえがあって、風味も申し分ありません。 いつもように、「はらんぼうの手押してんぷら」と白い「身てんぷら」(写真左上)を買って帰途につきました(この店ではじゃこ天のことを「てんぷら」と称して売ってます)。 この「野中のじゃこ天」もお土産で買ってきた分を食べ尽くしてしまうと、当分は、通信販売で買うしかないなぁ…。それが今、ささやかな悩みです(写真右=これも今回の愛媛土産の「松山あげ」。普通のあげよりもあぶらがじっくりしみ込んでいるっていう感じです)。【Bar露口】松山市二番町2-1-4 電話089-921-5364 【Bar IKEUCHI商店】松山市二番町1-11-9 電話089-933-9226こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2007/01/26
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先週末、久しぶりの東京出張。お江戸のBAR巡りも半年以上、間があいている。だから、いろいろ行きたい酒場がウェイティング・リストにたまっている。気持ちもぐつぐつと燃えたぎっている。 金曜、土曜の夜の2日間、都内のあちこちでBARを巡ったが、面倒くさいのでまとめて書く。店の数の多いのに驚くことなかれ。あくまで2日間での店の数である。 まず、お邪魔したのが銀座8丁目の知る人ぞ知る老舗「あるぷ」(写真左)。ここはなぜかBARではなく「居酒屋」と名乗る。以前から行きたかった店の1軒。**年越しの夢の実現である。 1階のカウンターは7人ほどはいればいっぱい。2階にはソファ席があるという。バック・バーは半世紀近い歴史の重みを感じさせる。店主はジャズと山登りが好きらしい。店名の由来もおそらくはアルプスから来ているのだろう。 分かりにくい路地裏にあるのがまたいい。一見には入りにくいが入ってしまえば、接客は実に親しみやすい。値段も普通。安心してくつろげる酒場だ。また来ることにしよう。 次にお邪魔したのは、新橋駅近くにある、これも老舗の「ジョン・ベッグ」。作家の故・山口瞳氏が愛したBARというのは全国あちこちにあるが、ここもそのうちの1軒。 昭和24年(1949)の開業。おそらく当時は、まだ新橋界隈も焼け野原だったろう。当然、「客は進駐軍(米軍)関係者が多かった」という。そんな時代に店を立ち上げた先代に感謝! 店名は、先代が好きだったスコッチの銘柄に由来する。マイナーな銘柄だが、愛すべき旨い酒である。店内は一等船室のような、風変わりな雰囲気。バック・バーを見ると、ジョン・ベッグの陶器瓶(オールド・ボトル)を使った電気スタンドが一つ(写真右)。粋な演出だ。 「昔は、鎌倉に住む作家の皆さんもよく来てくれました。うちで飲んで、終電で帰る方も多かった」とママは遠い時代を懐かしそうに語った。ここには「古き良き昭和」が残っている。 さて3軒目。場所は赤坂見附に変わる。久しぶりの「ですぺら」。シングルモルトにこだわる店である。神戸出身のマスターと西宮出身のママ。阪神間に住む僕にとってはいつも、東京でもより親近感が沸く酒場である。 2千本近いボトラーズのシングルモルトが、6段のバック・バーに並ぶ様は壮観(写真左)。嬉しいことに、すべてのボトルがハーフ・ショットでいただける。だから、ここではいつもたくさんの種類が味わえる。 酒呑みが何を喜ぶかを知っている店主は、実に心にくい。この店のおかげで、東京出張の際はいつも宿も、会社から離れた赤坂にとってしまう。そして、いつも美味しいモルトを痛飲してしまう。 4軒目。再び銀座に戻る。移転のお知らせを受け取りながら、まだお邪魔できていなかった「銀座サンボア」(写真右)へ。以前の7丁目の店から歩いて数分、5丁目のソニー・ビルの裏。 コンクリートの打ちっぱなしのビルの側面から、地下へ降りる。スタンド式の案内板がおしゃれだ。あいにくマスターの新谷さんは、「きのうから北新地サンボアの方に行ってるんですわ。2週間ほどはそっち(大阪)にいます」という。あぁ、なんたる皮肉。 「じゃぁ、帰ったら、月曜日にでも訪ねてみるよ」と苦笑いする僕。気を取り直して、名物のハイボールをいただく。移転した店の内装は、基本的には前の店を踏襲しており、英国のパブのような落ち着いた空間。 望んだ移転ではなかったかもしれぬが、数寄屋橋交差点から徒歩数分というロケーションもいい。移転は「さらなる発展」へのステップだと僕は思う。頑張れ!銀座サンボア。関西発祥のサンボア文化の良さを、お江戸にもっと広めておくれ。 5軒目。お腹がすいたので、銀座サンボアからも近い「しぇりークラブ」へ。美味しいタパスを食べたかったこともあるが、店長の益子さんの顔も久しぶりに見たかった(益子さんは関西人で、大阪の有名なシェリーBAR「アルテミス」の出身)。 益子さんから先日、店のスタッフ全員でスペイン・アンダルシア地方へ旅した際の思い出話をいろいろと聞く。日本から来た一行は現地のテレビや新聞(写真左)でも大きく紹介されたという。 30年も前からシェリーを日本に紹介してきた「しぇりークラブ」のオーナー(女性です)の努力がようやく実って、シェリーは日本でもしっかり根付きつつある(写真右=この夜いただいたシェリーの1本。素晴らしい味わいでした)。 ちなみに、「しぇりークラブ」は227種類と世界でもっとも数多くのシェリーを置いているBARとしてギネスブックに認定されている。たかがシェリー、されどシェリー。知れば知るほど奥が深い。 益子さんらは、現地でヴェネンシア(口ではうまく説明できないけれど、金属製の専用柄杓を使ってシェリーをグラスに注ぐ技です)も披露し、日本人のヴェネンシアドール(ヴェネンシアをする認定資格を持った人のことです)の技に、現地の人たちも驚きの表情で拍手を贈ったという(その場で見てみたかったなぁ…同じ日本人として誇らしい!)。 それはともかく、タコのガリシア風、ムール貝のシェリー蒸し、フォアグラのペドロヒメネス・ソース、カラスミの3種盛り(写真左)と美味しい料理とパンですっかり腹ごしらえも完了して、再びBAR巡りへ。 6軒目。少し気分を変えようと。同じ銀座6丁目の老舗「S」(この店だけはイニシャルにする。御免!)へ。ここは20年ほど前に一度お邪魔したのだが、どんな店かあまり記憶がない。で、記憶を呼び起こしたくて、ちょっと1杯だけのつもりの訪問。 昭和45年(1970)のオープン。店は結構広い。カウンター席とグランドピアノを囲むテーブル。ピアノのそばに座った。ジャズの生演奏もあり、お店にはゆったりとした時間が流れる。 しかし、何となく居心地がしっくりこない、落ち着かないのだ。よく考えてみてその理由がわかった。店内の照明が少し明るすぎること、そして複数の従業員が客のそばに、ただつっ立っていること。店内の雰囲気をどう演出するか、サービスとは何か、「老舗であっても失敗はある」という例かもしれぬ。 7軒目。銀座にさよならして、タクシーで麻布へ。運転手さんに地図を見せて、「オーストリア大使館のそばだからね」と言ったのに、連れて行かれたのはオーストラリア大使館の前。「(地図を見て)分かります」というから信用したのに…。仕方がないから、麻布十番の駅前で降ろしてもらった。 麻布十番の駅から歩くこと5、6分。お目当ての酒場にたどり着くはずだったのに、少し道に迷ったあげく、マスターに電話するはめに。確かに分かりにくいロケーション。でも、その謎めいた雰囲気がまた、この酒場の良さでもある。 その名は「Maeda Bar」(写真右上)。店のオープンは2年前だが、マスターの前田さんは銀座や青山で修業したベテランである。聞けば、そのうちの1軒は僕もお邪魔したことのある店(昔、会っていたかもしれないなぁ…)。 落ち着いた接客とトーク。店は、程良いオーセンティックさとスノブさがうまく調和したおしゃれな造り。ライティングも最高。で、場所が麻布十番だから、もうこれ以上何を望むというのか。 「なぜ、麻布十番で?」との僕の問いかけに、「ここは実際に住んでおられる方も多いんです。ご近所の方にも来てほしくて…」と前田マスター。なるほど、大阪・天満橋で、僕が行きつけのBar「C」のようなコンセプト(ネイバーフッド・バー)だ。 「お店のウリはなんですか?」と同行者が尋ねる。しばらく考えて、マスターは少し照れたような表情を見せながら、「カクテルですかね」と答える。で、僕がお任せでつくってもらったのは、「クォーター・デッキ」(写真左)というカクテル。 ラム・ベースにドライ・シェリー、ライム・ジュース。きりっと辛口で、美味しい。「クォ-ター・デッキ」とは高級船員(士官)の意とか。麻布十番の高級船員か…なんとなく気分もいい。 都心の喧噪から離れた落ち着いた雰囲気。あまり人に教えたくないようなBAR。名前を出したことを少し後悔したくらい、心地よいひとときをもらった。マスターほんとに有難う。 さて、8軒目。締めのBARは新宿である。ここも前から一度来たかった「Argyll(アーガイル)」(写真右)。小さなモルトBARだが、週末、駅近とあって、ほぼ満員。換気がやや悪いのか、店内は紫煙でけむっぽい。 一人で切り回すマスターは忙しさを楽しんでいるかのように、ニコニコ顔で接客する。気さくな雰囲気が気持ちいい。酔いも結構回っていて、ここではモルトとレッド・アイ(ビールのトマトジュース割り)を飲んだことしか覚えていない。 かくして、久々の東京BAR巡りは終了。地下鉄の終電にかろうじて滑り込み、ホテルに帰った僕は心地よい眠りについた。「メガロポリス・東京」には、行きたいBARはまだ数多くある。夢の中で、僕は一足早くその店にお邪魔してみようか。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2006/11/26
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東京からBAR好きの友人が遊びに来てくれたので、「久しぶりに、京都でBAR巡りを楽しもうか」と相成った。「さて、どこへ行きましょうか? 行きたいところ、ありますか?」「いやいや、お任せするよ」。そんなやりとりもあって、この夜出逢うBARは僕がチョイスすることに。 こういう機会には、リスクもあるけれど、まだお邪魔したことのない店を中心に攻める。期待外れだったというようなリスクはあるが、素敵な店に当たったときの喜びは大きい。 1軒目。烏丸御池から北東へ少し行った、閑静な家並みのなかにある「Bar Rosebank」(写真左上)。オープンして2年ほどのまだ若い店。マスターのMさんはまだ30代前半だけれど、京都の老舗Bar・K6出身の実力派。 店名から分かるように、Mさんは今はなき蒸留所(銘柄)である「Rosebank」に殊の外、強い思い入れがある。だから、ボトラーズ(独立系瓶詰め業者)での「Rosebank」の充実ぶりは凄い。 しかし、それよりも驚いたのは店内のインテリアのおしゃれなこと。普通のBARのような木目調の内装はあえて廃し、長い石のカウンター半分ほどに、右端から左端まで、本物の「せせらぎ」が流れている(せせらぎの水は循環するようになっている)。 そして、せせらぎの中に、1本の赤いバラ(写真右上)。それがスポット・ライトを浴びている。もう、なにをか言わんやである。せせらぎは、Rosebank蒸留所のそばを流れる川をイメージしたという。僕らはただただ、感心するばかり。 さて、2軒目。京都と言えば町家である。最近は町家を活用したBARも多い。そんななかで、前々から一度お邪魔したかった寺町通近くのBar「やなぎ野」(写真左)を訪ねる(「やなぎ」は「木へんに亜の下の横棒がない字」だが、パソコンの辞書でもなぜか出てこないなぁ…)。 表通りの町家の門灯にかろうじて店名が読みとれる。それだけが目印。細い路地を突き当たり、左に折れると坪庭があり、小さな離れがある。それが目指すBARだ。 シンプルな空間と聞いてはいたが、ほんとに究極のシンプルさ。白木のカウンターの上には何もない。バックバーもない。ただ壁に一輪の花が飾られているだけ(写真右)。店名はマスターの珍しい苗字からとったとか。 まだ時間が早かったせいか、僕らは初めての客だったよう。しかし、6、7人も入ればいっぱいになる。聞けば、来年早々、近くに移転する予定とか。もちろん、次に行く場所もまた町家だとか。楽しみだ。 3軒目。木屋町の三条を少し下がった処。「コルドン・ノワール」(写真左)というオーセンティックBARを訪ねる。ここはかつては「Main Bar」という老舗があった場所だが、「コルドン…」もオーナーは同じだから、姉妹店ということか。 「Main Bar」は今は祇園・縄手筋の南方へ移転したが、落ち着いた店の雰囲気は「コルドン…」にもきちんと受け継がれている。良心的な料金で楽しめるので、また来たい。 4軒目。10年ほどご無沙汰しているBARがあった。そこで、久しぶりに訪ねたのが「コルドン…」から、歩いてすぐの距離にある「Noily Bar」(写真右下)。ここも京都では今では老舗に近い存在かも。 ビルの6階。カウンターからはガラス越しに京都の夜景が見える。飾り気のないBARだが、居心地はとてもいい。でも居心地がいいからと言って長居はできないのがBARホッパーの性分。 5軒目。「コルドン…」で合流した友人の友人(京都市在住)が、「お連れしたい店がある」と言うのでタクシーで一緒に向かったのは、「Chez Quasimodo」という店(写真左下)。二条通と高倉通が交わった処から北へすぐ。角地の町家にその店はあった。フランス料理店みたいな店名だが、そこは、れっきとしたオーセンティックBAR。 温かい暖色系のライティングに包まれた店内。初めての人間には、中がそんな素敵な空間になっているとは、外からはとても想像できない。ジャズとシャンソンを愛するマスターは、物腰が柔らかく、優しそうで、親切を絵に描いたような方だ。気が付けば、店の片隅にアップライトのピアノが1台。当然、少し弾かせてもらった僕。どこか友人の家の応接間にお邪魔したような居心地の良さ。ここももう一度ゆっくりと訪れたいBARだと確信した。 さて、6軒目。もう時間(終電)も、体内のアルコールもそろそろ限界。で、最後の「締め」に、河原町方面へ戻る。最後に選んだBAR「文久」(写真右下)も町家の路地の奥。三条通りから二筋ほど北へ。 この頃になると、若干(いや、かなり?)酩酊気味。どうやって店にたどり着いたのか記憶が飛んでいるが、「やなぎ野」と同様、非常に見つけにくかったということだけは、はっきりと覚えている。 「文久」も小さなBAR。聞けば、花屋の蔵を改造したのだという。店名も、文久年間(1861-1864)に創業したという花屋にちなむ。店(蔵)はたぶん10人も入ればいっぱいの広さ。でも、幸い客は少なく、僕らは極上の時間を過ごすことができた。 京のBAR巡り。最後は、京都バーテンダーたちが注文して造らせたというオリジナルなモルトを頂いて、締めた。友人は「(京のBARを)十二分に堪能した」と言った。僕も、彼以上に堪能したかもしれない夜。千年の都は、夜の街も、訪れるたび新しい発見がある。 【Bar Rosebank】京都市中京区間之町通押小路上ル 075-222-0114 【Bar やなぎ野】寺町通姉小路西入ル 253-4310 【Bar コルドン・ノワール】木屋町通三条下ル 212-3288 【Noily Bar】木屋町通二条上ル 221-2932 【Chez Quasimodo】二条通高倉東入ル石屋町 231-2488 【文久】河原町通三条上ル2筋目東入ル 211-1982(営業時間、定休日等は各店へお問い合わせください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2006/10/31
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月曜~火曜と、3月、6月に続き、ことし3度目の松山&宇和島出張。前回は到着当日にJRを乗り継いで宇和島入りしたのだが、今回は松山で出先の担当者と打ち合わせがあり、松山泊まり。 で、仕事を終えた後、早速、久しぶりに老舗BAR「露口」(写真右)へ。6月には寄れなかったので、約半年ぶりの訪問。でも、マスターの露口さんも奥さんの朝子さんも僕のことを覚えていてくれたのが、何よりも嬉しい。 「露口」は松山で一番落ち着けるBAR。何と言っても、マスターのさりげない接客と、いつもニコニコの奥さんの笑顔が最高。ここへ来ると、お二人の温かい人柄に包まれて、心から和(なご)める。「スターター」の酒場として、例によってジン・リッキー、そしてウイスキーのハイボールを頂く。マスターはこの夜、雑誌の取材を受けていてちょっと忙しそうだったが、それでも遠来の僕を歓迎してくれた。 なぜだか、同じサントリー・バーが出自の「十三トリス」の話になり、僕が「この間、創業50周年のパーティーが山崎蒸留所であったんですよ」と言うと、「うちもあと2年で50年なんですよ」とマスター。 「あんまり晴れがましいことしたくないのやけど、お客さんがお祝いやれーって言うてくれるけん…」と少し照れくさそう。2年後の祝宴には、僕もぜひ駆け付けたいなぁ…(写真左=店内の壁にはアンクルトリス生みの親・柳原良平さんが描いた露口さんご夫妻の絵や故・佐治敬三サントリー会長の書も)。 露口を後にした僕は、前回、BAR巡りの最後にお邪魔して、酔いが回って記憶が飛ぶというお恥ずかしい体験をしたこともあって、すぐ近くにあるBAR「信天翁(あほうどり)」へ。まだ時間も早いこともあって、僕が最初の客らしい。でもそのおかげでマスターの玉岡さんを独占できて、共通の知人である大阪のバーテンダーさんたちの話にあれこれ花が咲く。 せっかくだから、カクテルの名手でもあるマスターのカクテルをお願いする。最初は、「さわやかな感じのロングを」と注文。そして作ってくれたのは、「ウオッカ・ソニック」(写真右)というカクテル。 「ソニックって何ですか? 初めて聞きました」と言う僕に、「いやぁ、ウオッカ・トニックの変形版みたいなもんです。トニック・ウオーターとソーダを1:2にして割るんですわ。トニックだけよりも、甘さ控えめでさっぱりした感じになります」。 なるほど、確かにさっぱりしている。トニックが嫌いな人でも、これならきっと気に入るだろう。続いての注文は、最近あちこちで同じお願いをしているが、「僕のまだ飲んだことのないスタンダードを」。で、マスターが出してきたのはブランデー・ベースの「スティンガー」。ミント・リキュールが効いて爽やかだが、いかんせん度数が高い。短時間で飲み干すと、これは効いた! 「信天翁」でもリラックスできた僕は、今回は一軒行きたい場所があった。それはジャズBAR(ライブハウス)。「信天翁」から北へ歩いて5分ほど。「グレッチ(Gretsch)」(写真左下)という店だ。 ネットで知ったBARだが、マスターが気さくな感じで、素人ピアニストの僕でもきっと歓迎してくれるかなという淡い期待もあった。ドアを開け、カウンターに座った僕にいきなり、「出張ですか?」とマスター。やはり雰囲気で分かるんだろうなぁ…。 「はい、徳島にいた頃から、松山のジャズBARには一度来てみたかったんです」と僕。バーボンのソーダ割りを頂きながら、徳島で一度お目にかかった松山出身の女性ジャズ・ピアニストKさんの話などをする。 「Kさん、週いちでうちでも弾いてますよ」「えー!そうなんだ。今度は出演する日に来たいなぁ」「きょうはライブないんだけど、あしたならあるよ」「あしは宇和島なんです、残念です」。そんな会話をひとしきりしつつ、マスターとの距離も近づいた頃、僕はあつかましく「ピアノ、ちょっとさわっていいですか?」と尋ねる。客は幸い僕だけ。「いいですよ」とマスター。で、恥はかき捨てとばかりに3曲ほどソロで弾く。 いきなり店に来てピアノを弾くなんて、「こいつはいったい何者や?」と思われただろうなぁ…。マスター、一見(いちげん)の僕に優しくしてくれて有難う。また来るからねー。 さて、本日の締めに選んだのも初めての店。「信天翁」のマスターが教えてくれたBAR「れんが亭」(写真右)。うかつにも僕は知らなかったが、松山のBAR業界では知らぬ人はない老舗の一つという。 木のやや重いドアを開けるのは少し勇気が要ったが、見るからに愛想のいいマスターにひと安心。カウンター10席ほどのこじんまりした店内には、常連らしき客が2組。「信天翁のマスターに紹介してもらいました」と言うと、「それは、それは、ようこそ」とマスター。本日最後(?)の酒場ではモルトをゆっくりと味わいたいと思い、「余市」をストレートで頼む。 松山の夜は更けていく。この日の締めの2杯目は予定通りの「レッド・アイ」(ビールのトマト・ジュース割り。これを飲めば、翌朝はすっきり)。次回の松山は来年1月の予定。信天翁のマスターからはもう1軒おすすめBARを教えてもらったのだけど、それは次回にとっておこうっと。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2006/10/04
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1~2日と仕事で四国・松山へ出張してきた。松山は徳島に住んでいた頃、年に数回は訪れていたのだが、きちんとBAR巡りはしたことはなかった。 そこで今回は仕事の後、居酒屋で腹ごしらえ(写真左=初めて食べた「行者にんにく」、香り、歯ごたえとも酒の肴にぴったり)した後、真面目に(?)BAR巡りに精を出すことにした。 まずは、禁酒法時代の米国のもぐり酒場の雰囲気を漂わせるBAR「B♭」へ(写真右下)。一見こわもての感じのマスターは話してみると、とても気さく。かと言って、馴れ馴れしくもなく、客との距離感をとても大事しているかのよう。 ジャズが流れる静かで、暗い店内。「逆Pの字」形をしたカウンターが面白い。僕より先に来ていた年配のお客さんは、「僕は年間250日来ていますよ」と一言。なるほど、この居心地の良さ。お値段もリーズナブル。通いたくなる気持ちはよく分かる。 さて2軒目は、地元の友人に紹介されたBAR「大塚」。年配のご夫婦で営むアット・ホームなお店。 ここで、地元の同僚と合流し、3軒目に予定しているBAR「露口」へ転戦。露口は昭和33年オープンという松山を代表する老舗BARである。 サントリーの故・佐治敬三会長や、アンクルトリスの画家・柳原良平さんも松山に来たら、必ず訪れていたという。店内には、佐治さんの色紙や、柳原良平さんがオーナーの露口さん夫妻を描いた素敵なイラストが飾られている!(写真左) 露口は噂に聞いた通りの素敵なBARだった。露口さん夫妻は、初対面の僕にもほんとに気さくで、親切で、あったかい接客で、めちゃ嬉しい。BGMも心地よいジャズ。頭を上げて壁を見上げたら、何とケニー・ドリューやデューク・ジョーダンのサインが(写真右)。す、すごい! あの伝説の名ピアニスト2人がここを訪れていたとは! さて、露口を後にした僕は、地元・松山でもその筋では有名という「エル・モロッコ」というBARへ。ここは元ヘラルド映画発行の雑誌記者をしていた奴田原(ぬたはら)さんという方が開く店。 BARというよりも、映画好きのオーナーの自宅応接間という雰囲気(写真左)。所狭しと並べられた(カウンターの上まで!)ハリウッドの往年のスターの写真やポスターが圧巻。奴田原さんは今年76歳というが、新聞やテレビを丹念に見て、時事ネタもばっちり仕入れていて頭脳明晰。とても70代には見えない。しかも、きちっとスーツを着こなすダンディな紳士だ。 「エル・モロッコ」でも、初めての僕は温かく歓迎された(ピザのサービス有難う!)。松山のBAR業界の方は、太っ腹と言うか、ひょっとして徳島以上に親切かもしれないなぁ…。 さて、5軒目は、以前から一度行ってみたかったBAR「ゆめまぼろし」(写真右)。ここは、織田信長が大好きなオーナー・バーテンダーの店。店に入っていきなり度肝を抜かれるのが、入り口の目の前にど~んと飾られた信長使用の鎧甲(もちろん複製品だけど)。バック・バーや天井なども、「和」を強調したモダンなインテリアになっている。 「ゆめまぼろし」を訪ねたかったもう一つの理由は、ここの女性バーテンダーAさんのカクテルを飲んでみたかったこと。Aさんは、NBA(日本バーテンダー協会)の全国大会で、2度も準優勝(2002年と2004年)するという輝かしい経歴の持ち主。この夜もお願いして、その準優勝した時のカクテルを作ってもらった。 「松山だけで仕事していると、お客さんの変化にも限界があって…。もっと大きな都市で仕事をしてみたいという夢はあります。いつかは自分の店を持ちたいと思ってますし…」と言うAさん。 確かに、彼女ほど実力のある人は、一度東京か大阪へ出てみるのもいいかもしれない。いずれにしても、いつかAさんが自分のBARを開いたら、もう一度訪ねてみたい。 さて、日付も変わりそうになって、僕も相当酔いが回ってきた。でも、最後に、あと1軒だけ訪ねておきたいBARがあった。「信天翁(あほうどり)」という名の店(写真左上)。 そして写真を撮っているので、確かに訪れているのだが、ここでの記憶は少しおぼろげ。相当出来上がっていたのかも…(写真右=松山と言えば、漱石の名作「坊ちゃん」の舞台。街にはこんなレトロな「坊ちゃん」列車が走っています)。 オーナー・バーテンダーのTさんも、他の松山のバーテンダー同様、とても気さくで、優しい方だった。でも、あまりお話できなかった(と言うより、記憶が飛んでいる!)のが残念。次回、松山を訪れる際は、酔ってしまわないうちに訪ねよう。 あったかい街、松山。来月、もう一度仕事で来る予定なので、楽しみな出張になりそうだ(「仕事と遊び、どっちがメインだ?!」と突っ込まれそう…)。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/03/03
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