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体調不良で数ヶ月会社を休んでいる同僚と会った。まずは彼が通院している○ノ門の受付で午後3時に待ち合わせをした。初めて行く○ノ門病院は,受付を見ただけの判断だけど,古い建物の中にギュウギュウと新しいテクノロジーを詰め込んだ,という印象だった。ふーん,KKRなんだ,とかも思った。彼の病状ではアルコール摂取は問題ないので,それから飲みに行くことにした。○ノ門から新橋まではちょうど1キロくらいなので,歩いてすぐだ。と言うことは,まだ3時ちょい過ぎということでもある。さすがの新橋でも一般的な居酒屋は午後5時くらいにならないとオープンしない。そこで向かったのが,街頭インタビューで有名な駅前のSL広場だ。またかよ?というカンジでちょうどその時もカメラを向けられて答えている人がいたし,平日の昼間なのに驚くほど人が多い。JRの駅と一緒にSL広場を囲むのがニュー新橋ビルだ。入ってからすぐ地下におりると・・・ありました居酒屋街!エスカレータの正面に見えていた店はシャッターが下りていたので心配させられたけど,午後3時から半分以上がオープンしていて,呼び込みまでしている。タテヨコ走る通路に沿ってびっしりと軒を連ねているところを1周半してから,やや大きめの店を選んだ。カウンターだけの店もあるし魅力的なのだけど,そういう店って常連がいたり独特のルールもあったりするので遠慮したのだ。さすがは新橋で,すでに他に2組の客がいて,そのうちの1組は出来上がって卓につっぷしていた。さてどっしりと腰を据えて飲み始めた。ようやく復職しても良いという診断が出たということなので,これまで会ったときの話題やメール内容では控えていた職場のことも話した。少しあけすけに「どのポストに戻れるんだろうか?」という話までした。僕としてはどんなポストだろうと,彼が戻ってきてくれればうれしい。結局夜10時過ぎまで飲んだ。延々7時間同じところで飲み続けたということになる。
2009.04.30
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有栖川有栖が活発な動きを見せた年である2008年の作品を読んだ。○ストーリー”妃”と呼ばれ若い男たちを取り巻きに持つ女性から,多額の借金をしていた男が死んだ。だが3人の容疑者たちは皆1つずつ犯罪を実行できない理由があった。男は自殺なのか?それとも誰かが「猿の手」の魔術により不可能を成し遂げたのか?-------------有栖川有栖のメインキャラクター・火村准教授が活躍する作品で,「猿の左手」と「残酷な揺り籠」の2つの中編が収められている。「火村英生に捧げる犯罪」の出来映えにはややガッカリしたが,この作品は楽しめた。2つの中編とも大がかりなトリックを駆使しているわけでも,印象深いキャラクターが登場するわけでもない。けれども全体に『有栖川カラー』とでも言う,優しく品行方正で物悲しい雰囲気が満ちている。どこか冷たさを感じさせる探偵・火村と,ブツブツ言いつつもお供をする作家・有栖川のコンビの見事なハーモニーも健在だ。実は中編に挟まれて「幕間」という短い文章が掲載されている。ミステリー要素は皆無で,作家・有栖川の日常を描写しているだけなのだが,彼が立ち寄るレトロなバーがこの作品のカラーを決定付けている。ポルトガルの民謡”ファド”の流れる店で,女性マスターからギリシアのお酒”ウゾー”をもらう・・・まるで1960年代のヨーロッパ映画のようでもある。-------------残念ながらミステリーとしては,この作品の評価は高くない。前半の中編は悪くなく,あるどんでん返しにビックリさせられるが,後半の作品は動機や犯人の行動などが不自然で全体的に説得力が薄い。ある理由で2つの中編は密接に関連しており,後半の作品ではそれが独特の緊張感を生んでいることはプラスだと思う。だが作者が狙ったかも知れない”妖しい空気”というところまではかもし出しておらず,トリックの弱さを補いきるまでは至っていない。善意に解釈すれば,この甘さも有栖川有栖の持ち味だと言える。-------------作品へ加えられたスパイスの1つとして「猿の手」という有名な恐怖小説のストーリーがある。一般的には「安易な方法で幸せをつかもうとした者には報いが訪れる」という論調で語られるのだが,この小説に対して全く新しい解釈を火村准教授が述べていて興味深い。この部分を読むためだけでもこの本を読んでみる価値はあるかも知れない。
2009.04.29
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ロジカルミステリーの鬼才・西澤保彦のミステリーではない作品を集めた短編集を読んだ。○ストーリー高校を中退し家族の料理を担当するようになったケイジは,家族の味覚を徐々に変えていく計画を実行する。家族たちはケイジの料理を喜んで食べていたが,やがて身体に変調をきたすようになる。ケイジのレシピの秘密とは?------------西澤保彦はパズラーとも呼ばれるロジカルなミステリーを得意としている作家だ。SF的な設定を活かしたSFテイストに満ちたミステリーで有名になったが,これはもともとはSF作家を志していたかららしい。そういう意味では,この作品は西澤保彦にとっては夢がかなった本だと言える。読者側から言えば,この本には混乱をさせられる。執筆時期が20年前という短編も含まれており,作品の出来,登場人物の造形,作者の考え方などにバラツキがあり,同じ作家の作品とも思えないようなものもある。初期の西澤作品には,SF的な設定と同時に登場人物への優しさも感じられたが,近作には両方が薄れてしまったことが気になっていた。この本では昔の優しさに触れられると期待したが,それは叶わなかったようだ。------------各編について簡単に述べる。「シュガー・エンドレス」:ケイジの料理の恐怖の隠し味とは?・・・「夢は枯れ野をかけめぐる」でも登場したマクロビオティック療法をネタにした作品だ。読了後しばらく食べ物を口にするのが怖ろしくなるという独特のホラーだ。この短編は「いつもの西澤作品」という印象だ。「テイク」:最新のネットワークセキュリティの開発をしている私のところに見慣れない美女が訪ねてくる。だがそれはとんでもない災厄の前触れだった。・・・小粒だが個人的には好きな作品。日系の主人公とブロンドの美女という組合せに初期の西澤作品のテイストを感じた。「家の中」:私の実家にはいつも布団が1組敷いてあり,1人の老婆が寝ていた。そしてなぜかその布団は私にしか見えないのだった。・・・西澤作品の後期のカラーの1つジェンダー問題を核にした作品だ。怒ってしまう事件はドラマティックだが,不思議な静けさがある。「虫とり」:月面基地でアンドロイドの思考プログラムのバグとりに明け暮れるおれは,自分が別の実験の被験者であるという妄想に取り付かれる。・・・設定も展開も昔懐かしいSFを感じさせる。ハチャメチャではあるが楽しめる。「青い奈落」:世界がひっくり返り,重力が逆方向に作用し始める。その時,人々は・・・映像を想像するだけでも楽しめる作品だ。世界に全く新しい視点を導入するのもSF作品の面白さの1つだと思う。「マリオネット・エンジン」:容姿,年令,そして性別までも自由に改造できる世界で,主人公のオギはある秘密を知ってしまう。当局から追われることになったオギが選んだ手段とは?・・・最初の10ページぐらいは全く何が語られているのかが分からなかった。その後も救いも奥行きも無い物語が続き,この本の読後の印象を悪くしてくれる。
2009.04.28
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今日も昼前は天気が良かったのに夕方は肌寒いほどの気温だった。街行く人によっては半袖だったりするので,とても寒そうだった。なにやらもう1つ天候が不順なので不安になるが,明日仕事を終えれば5月の連休に突入だ。僕は4月30日と5月1日を休んで8連休とする。連休の前後が2日ずつ出勤すれば土日なので,なんとなくバランスがいいような気がして決めた。また5月1日が映画の日なのでということも理由の1つだ。と言ってもあまり決まった予定があるワケではない。最初の3日間は,実家に帰る,友人と会う,映画を観る,と予定があるのだけど,そこから先は決まっていない。スケジュール真っ白だ。美術展を1回,おいしい食事を1回ぐらいは入れたいところだ。まあ天気が良いといいなあ。
2009.04.27
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最近息切れが目立つ講談社のミステリーランドから久々の新刊が出た。○ストーリー中学三年生のオレたちは,大人しい文学少年のクラスメート・能登と組んで,自分たちの住む市の城址の地下の財宝を狙う。だがそのことを聞きつけた他のトレジャー・ハンター,ケンカの達人のオレをつけねらう武道家,女たらしの丹野を追い回す女ストーカー,などが現れ,計画はなかなか進まない。競い合いつつ潜り込んだ地下で,オレたちの前にとんでもない化物が立ちはだかる。------------装丁からして大人っぽい雰囲気だが,内容もまたアクション中心で,これまでミステリーランドにて醸成されてきた雰囲気とだいぶ異なるような気がした。ミステリーランドと言えば,三題噺ではないが「小学生」「暗号」「密室殺人」あたりが必要な要素だった。そのおかげで多少似たような作品が並んでしまったということもあるけど,想定している読者層が「本が好きな小学校高学年」ならば,妥当なところだと思う。出版ラインとして25冊を数える立派なシリーズに成長したものの,3ヶ月おきにきちんと新作が刊行されていたシリーズ開始当時の2003年と比べれば,2007年には全部で2冊,2008年にはなんと1冊しか刊行されず,明らかにパワーダウンしている。そうした状況が手伝って,『書いてもらえればそれでいい』という意識が編集者側に働いたとは思いたくないが,この「トレジャー・キャッスル」は,あまりミステリーランドらしくない。------------実は菊池秀行は,デビュー作の「魔界都市」を朝日ソノラマ文庫で買ったというくらい古くからのファンなのだが,そのうち離れてしまった。だから決してキライな作家ではない。けれども,やはりこの作品はミステリーランドとはチガウ。主人公は身長180センチ以上,彼の両親はそろって2メートル以上,家族全員が武道家という設定だけで,なんだかゲッソリしてしまう。仲間は学校一の美男子と美少女,それに財宝のありかを知るウラナリ君・・・って,もう60年代のマンガ並みの設定だ。またせっかくの宝探しなのに,地図も暗号も出てこない。どうやら誰でも入れるらしい城址公園のある場所からスンナリと冒険は始まる。ミステリー要素が全く無いかと思えば,冒頭に主人公が忍び込んだ城の武器庫は,なぜか外からカギがかけられている。この密室のおかげで,主人公は逃げ延びるのだが,それに対する説明は一切無い。1980年代の朝日ソノラマ文庫の型破りな雰囲気が,そのまま復活したような不思議な作品だ。------------恒例のあとがき「私が子どもだった頃」は,おふざけなしで書いてあり好感が持てた。ラストの2行などはなかなか感動的で,作品そのものへの不満を忘れさせてくれるぐらいの価値があると思った。
2009.04.26
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半袖でも大丈夫だった先週の週末とはうって変わって,この週末は冷たい雨で始まった。今月の初めに申し込んだ光回線の導入日が今日なので,出かけられないのだけど,この天気ならいいか,というカンジだ。まずはN○Tの工事の人が現れた。N○T系の工事会社としては最大手のコ○シスの人なので,手際が良かった。でもたまたま引き込みの場所からモデムを設置する場所まで距離があるのに,僕のこだわりで配線をむき出しにせず壁内部の配管を使うようにしてある。壁についているコンセントみたいなボックスで中継している場所があって,そこでちょっとだけ苦労していたので,いつの間にか手伝うことになった。お礼にいらなくなった電話線を利用してRJ-45のモジュラージャックを1ヶ所増設してもらった。まあジャックはもともと僕が持っていたし,線も入っていたものの再利用なのでいいのではないかと思う。その後は別の会社が来てさらに工事をしていった。全部終わったのが2時過ぎだ。その後PCの設定をした。プロバイダーを元に戻したので,ログイン設定を古いものに戻し,さらに回線種類が変わったので,設定も一部変わった・・・という辺りでカンチガイもしたりして,接続が回復するのに午後中かかってしまった。さて楽しみにしていた光回線の使い勝手は・・・なんかあんまり変わんないなあ・・・ちぇっ。
2009.04.25
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はやみねかおるの出世作「名探偵・夢水清志郎事件ノート」の11作目を読んだ。○ストーリー中学3年生の亜衣たちの修学旅行の予定が迫る。屋外学習やクラブ別の催し物の計画が進む中,学校には旅行を中止せよとの脅迫状が届く。旅行と生徒を守るため,校長が同行を頼んだのは名探偵の夢水清志郎だった。そして旅行の夜・・・-------------作者はやみねかおるのことは,テンポのいい都会型冒険小説「都会のトム&ソーヤ・シリーズ」でだいぶ見直した。この「名探偵夢水清志郎シリーズ」の最終巻「卒業」も刊行されたことだし,読み残している数冊を片付けることにした。思い返してみれば,「夢水清志郎シリーズ」をお休みしてしまった理由は,1)ミステリーというより学園ドラマである,2)夢水清志郎のキャラクターがあまり好きではない,3)全体的に甘い,といったものがあった。・・・ほとんど致命的な相性の悪さのような気もする(汗)。だが久しぶりに読んでみると,「トム&ソーヤ・シリーズ」と対比できたりして,なかなか楽しめた。ミステリーだと思ってアプローチをするからいけなかったんだと思う。学園ドラマにちょっとだけミステリー要素が入っていると割り切ると,延々と描写される「まくら投げ大会」の様子も耐えられる。-------------講談社の青い鳥文庫は採算性が良いらしくて,本の中に「修学旅行のしおり」を丸々挟み込むという驚きの製本を実現している。旅程とか旅館の館内案内図などもあり,自分も修学旅行に行っているような感覚を味わえる。この辺りも学園ドラマだなあ。僕は相変わらず本格的な「クールな」ミステリーが好きだが,以前よりは許容範囲がゆるくなったようで,この本も楽しめた。森博嗣の”何も解決しないミステリー”を何作も読まされたことも大きいのかも知れない。「夢水清志郎シリーズ」の主人公・亜衣はレーチというボーイフレンドがいる。「トム&ソーヤ」の主人公ナイトも同じ中学生だが,モテたいと思いつつもいつもカラ回りしている。この辺りも僕が「トム&ソーヤ」は男の子の物語で,「夢水清志郎」はなんかチガウと思う理由かも知れない。-------------ところで半分近く読んでから,「あれ,これ前に読んだぞ」と気付いた。読まなければいけなかったのは「ハワイ幽霊城の謎」だった。イタイなあ。
2009.04.24
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シリーズ映画化で盛り上がる「チーム・バチスタの栄光」に続く海堂尊の医療ミステリー作品を読んだ。○ストーリー東城大学病院小児科の看護師・浜田小夜が担当する牧村瑞人は眼球のガンを患っていた。14才の牧村は大人びた少年だったが,父子の2人家族で父親からの虐待もあり,問題行動も多かった。牧村の手術が迫る中,彼の父親が内蔵を解体された姿で発見される。牧村のアリバイは,ある証拠の発見で揺らぐ。その時,病棟で起きた奇跡とは?-------------ミステリーからファンタジーに行っちゃった,というのが最初の感想だ。前作では事件が現在進行形で進んでおり,いかに連続殺人を止めるのかという緊迫感があり,ひりひりするような感覚があった。この作品では殺されるのはたった1人,しかもある意味殺されてもしょうがないと思わせる人なので,事件の重みは少ない。また前作では「チーム・バチスタ」というエース医療チームかつ容疑者がいて,白鳥・田口ペアが彼らに挑む,という構図でキャラクターの位置関係が明確だった。それが今回は,警察の加納・玉村コンビ,伝説の歌姫,小児科の若い患者たち,と多くの登場人物がそれぞれの物語を抱えていて,ストーリーが明確に流れていないように感じた。映画の世界では1作目「チーム・バチスタの栄光」の次が3作目の「ジェネラル・ルージュの凱旋」ということで驚いたが,読んでみて納得した。-------------とは言え,この作品にも魅力はあふれている。なによりも感情に訴える部分が多い。これは小児科という舞台を選んでいる影響が多いとは思うが,それだけでは読者の気持ちを動かすことはできない。海堂尊は,登場人物にきちんとした背景と「顔」を与えることで,それに成功している。前作では少なかった登場人物への優しい視点が目立つが,医療的には甘さを避けている,という部分も見逃せないと思う。いろいろな不満も「チーム・バチスタの栄光」がそれだけ優れていたことによる。そうした高い基準を忘れれば,読みやすさ,キャラクターの描き方,説得力など,エンターテイメントとしてのレベルは標準を軽く超えていると思う。-------------それにしてもこの『ハガレン』ばりの仰々しいニックネームの連続攻撃はなんとかならないんだろうか?これって医療関係者はみんなやっていることなの?それとも海堂尊のクセ?あんまりヒネリが利いているようにも思えなくて,ベタなカンジなんだけど・・・
2009.04.23
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N○Tからダイレクトメールと勧誘電話の波状攻撃があり,なんだかその気になって光回線を導入することにした。最初のインターネットサービスプロバイダーに加入してからもう10年以上になる。途中,何回か浮気をして,他のプロバイダーとも契約をした。けれども結局うたい文句のサービスがきちんとできなかったりで,不満を感じることが多かった。最初のプロバイダーのアカウントは残っている。それに追加で契約して,めんどくさかったり,ある一部だけ残したりで,2重3重のプロバイダー契約が残った状態になってしまっている。N○Tの営業が熱心だったということもあるけど,光回線の導入をきっかけに,この多重契約を整理するだけで十分メリットがある,と思った。-------------今回,プロバイダーを2つ解約するが,意外とそれが面倒だった。解約はウェブのページでできるのが当たり前だが,1つはウェブで進めていったら途中で「これは郵送で行ってください」というメッセージが出て,はねられてしまった。もう1つは,どうしてもウェブページでは選択肢が見つからず,サポートデスクの電話に聞いてその方法が分かった。結局,2つの解約がどちらもストレートにはウェブで出来なかったことになる。たまたま今回は3週間の猶予があったからそれでも問題が無かったけど,それ以下だったらダメだったかも知れない。それ以外にTUにつながっているモデムの設定をどうする?という問題もあり,工事の後にホントにウェブにつながるかどうかは大いに疑問だ。-------------この日記も実は木曜日に書いているためか,思うようにテーマが選べない。便利なようで,融通の利かない世の中だ。
2009.04.22
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乙一と古屋兎丸の合作と言う豪華本を読んでみた。○ストーリー香織は高校に入学して幼馴染みのサキと再会した。だがサキは自分のことを本当は6才で,魔法のステッキのチカラで高校生に変身しているだけだと主張する。果たしてサキが言っていることの真相は?そしてサキのステッキを盗んで捨てることに協力してしまった香織の気持ちは?2人に魔法は訪れるのか?------------乙一・作,兎丸・画ということと,装丁の美しさに惹かれ,一度は買おうと手に取ったことがある。足を伸ばすようになった隣町の図書館に収蔵されていることを知り,買うのを止めてしまった。今回借りてみて,絵物語だと思っていたのに本格的なマンガ作品であることを初めて知った。それくらい何も知らずに買おうとしていたのも我ながらスゴイが,結論から言うと,「あの時,買っておいても良かったな」ということだ。次,本屋で見たら買ってしまうかも知れない。それ位,魅力にあふれた作品だと思う。------------この作品は高校生の8人の少年少女1人ずつを主人公にした8編の短編と,ラストの1編の9編で構成されている。8人のキャラクターが共通しているのは他人とのギャップを感じていて,そのことで悩んでいるということだ。1人1人の特徴的な”ズレ”を中心に,8編のバラエティ豊かな物語が展開される。ストーリーでジンとさせるもの,画像でビックリさせるもの,など様々で,作者2人の才能とコラボレーションの面白さを強く感じた。さて8人のズレ具合は,ずばり”イタイ”。「イケてねー」という意味でもイタイが,「ウッ,こういうことあった!!」と経験と照らし合わしてしまうという意味でもかなりイタイ。テレビでも小説でも10代って夢のような時代のような描かれ方をしている。けれどもそれを謳歌できる人の影で,小さなことでズレを感じて悩んでいる大量の人がいると思う。なぜかタブーのように語られないその事実を,乙一と古屋の2人は見事に描写して見せた。ズレを感じてしまったことのある全ての人に読んでもらいたい。------------各編について簡単に述べる。「沈没記」:サヤカは登校する途中で,街が沈んでいることに気付く。その水面では,自分の好きなものが全て手に入るのだが・・・内容としてはマイルドだが,画像の描写とラストが見事だ。この本のレベルを決定付けた短編だ。「アリのせかい」:自分の部屋の巨大なアリの飼育セットでアリを育てるのが唯一の趣味の史郎は,思い切ってあこがれの女子に話しかけてみたが・・・イタイ,これはイタイ。飼育セットの中の教室が衝撃的。「魔女っ子サキちゃん」:サキはどうして自分のことを魔法にかけられた6才の女の子だと主張するのか?・・・胸が痛み,そして熱くなる短編だ。この作品の主人公にしては珍しくハッピーな結末を迎えるのも良かった。「学校の中枢」:学校の部品となってしまった親友の小島くんを救うために堅太郎は学校の中枢に忍び込む。・・・映像的には優れていると思うのだけど,物語はややありきたりかな?男性の主人公の短編は不幸なエンディングが多い。「お菓子帝国」:ダイエットに苦しむ麻美は,お菓子たちが人間世界を侵略しようとしていることを知る。麻美は1人お菓子帝国に立ち向かう。・・・ライトなノリでホッとした。女性の主人公はハッピーエンド?「モンスターエンジン」:幼馴染みの名倉くんと一緒にバイクで走るため,正太は自分のバイク・モンスターエンジンを完成させる。・・・徐々に明らかになる謎。物語の展開が秀逸だ。男性主人公で唯一の心温まる作品。「タイト様を見つけたら」:嵐が迫る中,香津美はタイト様にお願いをする,「母親を殺してくれ」と。・・・ラストに向けて大きく走り出す短編だ。香津美が他人の苗字を覚える方法がブラックで笑える。「竜巻の飼育の巻」:クラスで孤立する直嗣は自分の話を聞いてくれる竜巻の風太を育て始める。だが風太は大きくなり直嗣の言うことを聞かなくなる。・・・キョーレツにイタイ主人公だ。でも思いっきり共感もしてしまう。「ホームルーム」:嵐の教室で起きた素晴らしいこととは?・・・妄想が現実を侵食しているだけでなく,マンガと小説も互いに侵食をしている。このラストの絵物語風の構成が,最初に僕が予想していたものなので,余計に驚いた。ぜひこの素晴らしいエンディングを読んでもらいたい。オススメです。
2009.04.21
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小学館の『IKKI』に連載された「ライドバック」の最終巻を読んだ。○ストーリー反政府運動の象徴・イコンとして奉られた少女・リンは,逃亡先のスペインで束の間の休息を得る。そして彼女は再び初めて人型バイク”ライドバック”に乗った母校に戻る・・・命を賭けた最後の舞いを踊り切るために。-----------------存在を知ってから手を出すまでにだいぶ時間がかかったために,読み始めてから完結までは1年程度だった。近未来SF作品で,ロボットに近い人型バイクが登場し,主人公は大学生の女性だ。そうしたいわゆる”萌え要素”のピースは設定上散りばめられているのだけれども,最後まで静かなトーンで物語は推移した。主人公はセリフの少ない少女で,思い詰めたような表情が多い。仲間たちは反体制派で,警察,軍隊などから逃げ回っている。一度は主人公を礼賛した世間も,あっと言う間に世界政府側になびいている。こうした主人公の性格とハードな設定ゆえに,この作品は爆発的な人気は得ていないような気がする。そのためか小学館に軽んじられているためか,最終巻の10巻は数ヶ所の書店で発売日の夜には既に品切れでちょっとあわててしまった。派手な人気は無くても,確実にファンがいるという証拠だと思う。-----------------最終巻では,東京に戻ってきたリンと,彼女に魅せられ,支配しようとして失敗した横山みさをとの,女性2人でのライドバックでの激突が描かれる。大学生の女性主人公のクラブ活動として始まったドラマが,家庭問題,学生運動,軍事行動,反政府活動とどんどんとエスカレートして行った。けれども10巻では始まりの地,大学の部室へと立ち返り決着をつける,という構図が明確に提示される。あまりにも拡大した物語を集約させるには,こうした手法は有効だと思う。ラストシーンの僕自身の解釈は,片腕が特殊バージョンのライドバック・フェーゴは,ファンにはカスタマイズの基本になっている,というものだ。もう少し,主人公以外のキャラクターがどうなっているのかを描いてもらいたかったが,印象深く終わるには末節は省略せざるを得ないのかも知れない。-----------------『IKKI』ならではの,マンガの可能性をさらに押し広げる作品の1つだと思う。間違いなく良質の作品なので,機会があれば読んでみるべきだと思う。
2009.04.20
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4月も後半になり,春の新ドラマが出揃いつつある。1回目を観てみての簡単な感想を述べる。『ハンチョウ』TBS系,月曜日20時,主演・佐々木蔵之助安積警部補率いる神南署の5人の刑事が遭遇する事件とは?1回目を観終えることができなかった。佐々木蔵之助は存在感はあるのに,テレビでは全く魅力を感じない。その上,神南署の刑事が事件現場で中学生のようなミーティングを行うので,すっかりとなえてしまった。マジメに作っていないような気がした。-------------『スマイル』TBS系,金曜日22時,主演・松本潤,新垣結衣,中井貴一それぞれ傷を抱えた3人の男女。彼らはある事件を通じて出会い,そして・・・ミョーに昭和なホストファミリーに対してストリートは危険で一杯,というアンバランスと,第1回目にして登場人物たちがグーゼンの出会いを何回もする,というあたりがベタベタだ。丁寧に作っているカンジで引き込まれてしまった。まあこの先もたぶんベタな展開なのだと思うが。-------------『名探偵の掟』テレビ朝日系,金曜日23時15分,主演・松田翔太名探偵・天下一大五郎が行くところ,次々と難事件が発生する。アンチ・ミステリー禁断のドラマ化。ミステリーファンのための作品だと思うのだけど,楽しめなかった。すでに『ケイゾク』や『トリック』などがあり,ミステリーのセオリーを逆手に取るというパターンは存在するので,それ以上の驚きがないと惹きつけられない。数々の名作,怪作を生み出してきた時間枠なので,どっちに転ぶか?-------------『ザ・クイズショウ』日本テレビ系,土曜日21時,主演・桜井翔生放送の人気クイズ番組「ザ・クイズショウ」。ここに招待された解答者は,いつしか自分の罪を告白してしまう。果たして司会者・神山の目的は?そして彼の失われた記憶には何が隠されているのか?ガツンとやられた。緊張感たっぷりの一話,そしてシリーズを通して徐々に明らかになるという謎。とにかく全く観たことのないパターンなので先が読めない。それだけで日本のドラマでは稀有なことだ。これは面白いに違いない。
2009.04.19
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20年ぶりに新井素子の「グリーン・レクイエムII」を読み返してみた。○ストーリー緑色の髪の女性・明日香は死んだはずだった。だが多くの人が彼女の面影を求めて,「世界樹」までの旅をする。彼女と再会するため,彼女のために復讐するため,彼女の謎を解くため,彼女を守るため・・・様々な思いは果たしてかなうのか?そして明日香と「世界樹」の出した答えとは?-------------甥っ子の高校の図書室の不要本バザーで,講談社版の「グリーン・レクイエム」と「緑幻想 グリーン・レクイエムII」の2冊を各50円で手に入れた。東京創元社の文庫版で1冊の本として復刻されているようだが,なんとなくこの2作品は別々なままの方がいいような気がする。物語の中では,第1作の数ヵ月後に始まる第2作だが,発表は1980年と1990年となっており10年間のギャップがある。作品の枚数だけでなく,登場人物の書き分け,視点の多重性,テーマの深さなど,どれをとってもバージョンアップしている。表面上は新井素子のヘナヘナの文章だが,確実に10年分のキャリアが上乗せされている。-------------実を言うと,「グリーン・レクイエムII」を読んだ20年前は,なかなか圧倒されたという記憶がある。人間が考える環境保護などはしょせん「人間が生き延びるための環境保護でしかない」というクールな視点は,今読んでも全く色あせない痛烈な社会批判だ。今では『エコ(エコロジー)』と言えば道理も引っ込むという世界になりつつあるが,その心理を1990年の時点で冷静に分析し,SF作家ならではの着眼点で別の見方を提供しているという新井素子はなかなかの理論派だ。クールな視点ばかり持っていては次の世代に夢を与えられないと思うので,心温まるストーリーも必要だと思う。けれども環境保護を美辞麗句ばかりで飾る人たちに対して,少し疑問に思うところがあった人ならば,この作品にはビッと来るものがあるに違いない。-------------とは言え,やはり気になる欠点も目に付く。男女問わず登場人物のモノローグが少女マンガレベルで耐え難い。前作では登場人物が少なかったのでごまかせていた部分が,登場人物が増え,年令や立場にバラエティが出てきたために,その欠点が目立ってしまっている。またせっかく人数を増やした登場人物たちだが,それぞれが「○○をする人」と決められているようで,予想される類型的な言動しかとらない。「女性読者が感情移入をする人」として設定されている箕面夏海が登場しなければ,もう少し男性読者が素直に読めたと思う。
2009.04.18
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実質的な「吉敷刑事シリーズ」の完結編とも言われている島田荘司の大長編を読み終えた。○ストーリー警察官の職を賭して,盛岡の冤罪事件の調査を始めた吉敷刑事は,この事件に盛岡出身である別れた妻・加納通子の関係者が複数いることを知る。必然的に吉敷は,自分と彼女にとっての辛い記憶をたどることになる。一方で,加納通子は事件の証拠が埋まっているはずの場所を掘り起こし,意外なものを発見する。果たして事件の決着は?2人の長い旅の終着点は?---------------シリーズものとは言え,特別に1編1編がつながってはいなかった「吉敷刑事シリーズ」が,「北の夕鶴2/3殺人事件」での吉敷の別れた妻・加納通子の登場により,がらりと印象を変える。事件を解決する理知的な刑事としか姿を見せていなかった吉敷が,過去を持ち,生活を持ち,悩みを持ち,生身の人間として迫ってくるようになった。またそれと呼応するように,多くの難事件を解決してきたハズの吉敷刑事が,上司の「主任」に疎まれていて,警視庁の中で孤立しているということが作品の端々で語られるようになる。「涙流れるままに」では,「吉敷刑事シリーズ」の”連作シリーズ”としてのカラーを強めていた2人のバイプレーヤー,加納通子と「主任」が主要な登場人物として扱われ,それぞれ吉敷刑事との関係に決着をつける。今後,さらに「吉敷刑事シリーズ」が発表されることはあるかも知れないが,上記のようなワケでこの作品によりシリーズとしては,一応の終着点を迎えたと考えてもいいと思う。---------------この作品にはいくつかの大きな欠点がある。1つにはとにかく長い。下巻だけで500ページがあるので,上下巻でノベルズ形式で約1,000ページとなっている。必ずしも事件解決に結びつかない聞き込みの状況まで克明に描写されており,ミステリーと言うより文学作品のような執拗さを感じた。下巻では冤罪事件の捜査という明確な行動で主人公たちが動き始めるので,まだ読みやすいとは言え,この内容でこのボリュームは多過ぎるだろう。もう1つには,島田荘司作品としては珍しいほど扇情的な部分が多いことだ。「週刊宝石」で連載されたということが影響しているのか,「加納通子モノ」のカラーなのかは判断つかないが,定期的にそうした描写,言葉遣いが出てくる。過去の「北の夕鶴」ではあえて語らなかった通子の闇を,ここで語り直す必要はないと思う。---------------とは言え,この作品のラスト100ページは,それまでの展開を払拭するような動きを見せ,強く感情に訴えてくる。事件の捜査は大きな動きを見せ,吉敷刑事の刑事としての立場も最大の危機を迎え,また加納通子との関係も劇的な展開を見せる。読み終えてみれば,冤罪事件と吉敷刑事ワールドが融合を見せ,複数の作品で語られてきた加納通子の過去も破綻無く一本の線でつながる,という見事なエンディングとなっている。また職場でも私生活でも孤立していた吉敷刑事に明るい光が見えてくる,というシリーズファンにとってはありがたいオマケ付きだ。このラスト部分で,これまでの900ページに付き合った苦労がまったく報われたような気分になってしまうし,登場人物たちの様々な喜びにも感情移入が出来てしまう。豪腕がちょっと気になるとは言え,この圧倒的な筆力こそが島田荘司マジックなのだと改めてうならされてしまった。この作品は島田荘司ファンにとっては踏み絵でもあるが,十分その価値はあったと感じてしまった。
2009.04.17
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アメリカに短期間赴任していた同僚がようやく帰国した。木曜日は彼のご苦労さん会をこじんまりと5人で催した。場所は錦糸町のビストロで,和食,フランス,イタリアンのどれもきっちりとツボを押さえて出してくれる店だ。参加者の1人の知り合いが経営していて,僕も前に1回来たことがある。今回はキッシュが美味しかった。今の会社の多くの人は英語でのコミュニケーションが達者だが,要は仕事が出来るかどうかで採用されているので,中には全くダメという人もいる。実は今回アメリカに行っていた彼は,若くて仕事ができるのだが,英語が大の苦手というタイプだった。それが1人でアメリカに行って,しかも向こうでオーストラリア人とチームを組まされて強制的に団体行動で,日本人がいないような地方ばかりを廻っていた,というなかなかツライ状況だった。現代の技術のおかげで,メールもスカイプも携帯電話も使って連絡は簡単に取れていた。だから彼が精神的にかなり参っていたのは僕らも知っていてだいぶ心配はしていた。とは言え,やはり会いに行けるワケではないし,アメリカの田舎に都合よく知り合いを持っているワケではない。結局,彼は半年間1人で頑張ってくれた。「いつ頃から『あ,ちょっと楽になった』って思った?」「そんなの帰国の1週間前ぐらいに決まってるじゃないですか」「あれくらい大丈夫だろう」と言うのは簡単だが,気持ちの問題は1人1人別々なので,彼にとってはホント大変だったみたいだ。まったくご苦労さん,だ。あとはバカ話を延々として夜が更けた。
2009.04.16
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僕は毎朝早めに出勤をしている。起きたらもう明るいなんて,と喜んでいたのがつい1ヶ月までだと思っていたら,6時台からそこそこの気温になっている時期になっていた。昨日の日中は雨で,夕方も降ったり止んだりしていた。折り畳み傘は持って行ったけど,差さないで済むかと思ったいたら,結局帰りの駅から家まではかなり降っていたので傘を広げた。今朝,家から出てみたら,道路など外のものは少し雨露が残っていた。たぶん,早朝も雨が降ったのだと思う。でもそれとは対照的に空は青く澄んでいて,雨上がりの時のホコリが流されたパッキリとした鮮やかな色だった。こうした風景を見せられてしまうと,朝から気分がいい。会社に着くと,遠くの富士山には何重にも雲がかかっていたが,9時近くにはそれも晴れて姿を見せた。今から梅雨までって一年で一番気持ちのいい時期かも知れない。
2009.04.15
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政治経済の学部に入学した甥っ子に読ませるために僕にしては珍しくエンタメ系ではない本を借りた。○内容世界地図を眺めていて,「なぜ国はこんな形をしているのだろう?」と思ったことは誰にもあるはずだ。そうした単純な疑問から歴史の入り組んだ話まで,世界の地域別に簡潔にまとめられている。いわゆるトリビア本とは異なり,時勢にあわせてグルジア,タイ,ソマリア,ウィグル自治区,ガザ地区などにきちんとページを割いており,バランスの取れた現代世界地理の入門書だと言える。-------------冒険小説,エスピオナージュ小説を読みふけっていた20年前と,きちんと新聞を読んでいる今とを比べると,現状把握は今の方が高いのだけれど,新聞やニュースからのもう1つ奥行きの無い,お仕着せ的な情報に留まっている分,結局今の方が情報が劣っているような気がしていた。この本は,ちょっとしたムック形式で,テーマを一つ一つ見開きページで解説している。内容はシンプルな地図と簡潔な文章で,ムダを削った情報だと言える。一方で重要だと思われる地域に関しては他の2倍,3倍のページを惜しみなく費やして語っていて,そのバランス感覚に感心した。-------------現在僕は自分としてはマメに経済ニュースをチェックしているが,アメリカの話題ばかりで面白みに欠けると思うことが多い。どうしたって今は誰でも世界が連動する政治経済の中で生きているのだから,なるべく他の国の事情も分かっておきたいと思う。今回の本は,ニュースで触れない過去の歴史までさっと語ってくれるので,多少表層的かも知れないが各地域の現状把握には適したテキストであると思った。政治にしても経済にしても,ウラのドラマを元にイロイロ考えるのを楽しまないと,ただの知らない遠い世界のコトになってしまうので,なるべくヒントを持っていたいと思うキョウコノゴロなのだ。
2009.04.14
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ある名作が含まれている島田荘司のノンシリーズ短編集を読んだ。○ストーリーラジオの深夜番組に自殺の予告めいた暗号のメッセージが届けられる。DJとラジオ局はこれを非常事態だと判断して,メッセージの分析を行い,またそれを放送してリスナーに暗号解読を求める。暗号は少しずつ解け始めるが,予告の時間も刻々と迫る。そこに決定的な情報をもたらしたのは・・・-------------今となっては珍しい島田荘司のノンシリーズ短編集だ。御手洗潔シリーズの人気が奇跡の復活を遂げる前なのでケレン味が抑えられている。この後の時期の社会批評の姿勢が見え始めていたりして,イロイロと島田荘司作品の流れの中では面白い本となっている。ノンシリーズであるため絶版となっている。そのため今住んでいる街の図書館には所蔵していなくて,隣町の図書館の保存庫にリクエストを出して,ようやく読むことができた。表題作の「毒を売る女」を含め8編の短編が収められている。いわゆるシリーズキャラクターである吉敷刑事が登場するのは「土の殺意」1編だけで,どうしても地味な印象が強い。だが若くメランコリックな作風が出ていて,「御手洗潔シリーズ」の人気が高騰する前の素直な島田荘司の姿が見えるような気がする。-------------さてこの短編集で僕が素晴らしいと思った1編は,1年チョット前に講談社Boxから刊行された「島田荘司very Best 10」に収録された。長いこと絶版だった本からどうしてベストに選ばれることになったのか詳しいことは知らないが,同じ印象を持つ多くの人がいたということになんだか安心をした。それがどの作品であるかは,チャンスがあれば読んでみて判断してもらいたい。-------------各編について簡単に述べる。「毒を売る女」:医者の妻である靖子は,友人の幼稚園ママから伝染病に感染していることを告白される。それが不治であることを知った友人は,靖子とその家族に病気をうつそうとつきまとう。そしてとうとう・・・島田荘司の作品で女性が主人公の場合はほとんどと言っていいくらい,事件に翻弄され精神的にギリギリまで追い込まれる。この作品もそのパターンだが,短編としてのまとまりで救われている。「渇いた都市」:サギを働いた女を見つけた男は,それをネタに彼女と関係を持とうとする。さらに彼女に惚れてしまった男は,女を自分の愛人にしようとするのだが・・・シュールだか奇想だか判断がむずかしい作品だ。登場人物がビンボーくさい悪人ってのもいただけない。「糸ノコとジグザグ」:自殺予告のメッセージを受け取ったDJは,それを公開しリスナーに暗号解読への協力を呼びかける。そこで起きた奇跡とは?・・・○○区は○○○の形をしていないと思う。だがそうした細かいことは抜きにしたパワーがこの作品にはある。1つには暗号が徐々に解ける知的興奮,そしてもう1つは人を信じる気持ちの暖かさだと思う。この作品の「センセイ」が○○○だというウワサは本当なのだろうか?「ガラスケース」:私が川から拾ってきて部屋の中のケースで育て始めた生命は,どんどんと進化を見せ,2本足で歩くようになった。そして・・・藤子不二雄のようなSF短編だ。こんな作品もあるとは!「バイクの舞姫」:私の運転する車の前をバイクに乗ったサエコが通り過ぎる。だが彼女は15年前に死んだはずだった。・・・「夏,19歳の肖像」などいくつかの島田作品を思い出させる短編だ。もう少しヒネリが欲しかったが。「ダイエット・コーラ」:ダイエットドリンクが大当たりした蓑村は,1日を25時間で過ごすべく毎日少しずつ地球上を移動していた。ところが彼の身体は・・・これはSF短編でも星新一風だ。「土の殺意」:バーで口論の後に老人を殺害したとして,逮捕された地上げ屋の男が語ったことから東京の意外な断面が見えてくる。・・・吉敷刑事が登場するのだけど,それよりも東京の都市計画,地上げ,土地の相続問題と言ったいわゆる社会的な問題ばかりが語られる。吉敷刑事のとまどいは,ほとんど読者のそれと同じだと思う。「関係ないぢゃん・・・」「数字のある風景」:「歴史とは数字の波だ」。数字の秘密に気付いた私がたどり着いた結論度は・・・安部公房的な,つまり文学作品のような印象の短編だ。
2009.04.13
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ウィル・スミスがダメダメなスーパーヒーローを演じた映画『ハンコック』を観た。○ストーリー空を飛び,弾丸を跳ね返す超人パワーを持ち,ロサンゼルスの街を守るハンコックは,人々に嫌われていた。彼が事件や事故を解決するたびに,ビルや道路を派手に壊してしまうからだった。ハンコックと知り合いになったレイは,広告宣伝マンである自分の特技を活かし,ハンコックを『人々に好かれるヒーロー』へと生まれ変わらせることにする。ハンコックは反省の色を見せ,刑務所に服役し,警察の求めに応じ見事に銀行強盗を解決してみせた。人気者となったハンコックだが,彼の身体に異変が起き始めていた。-------------マーベルやDCコミックの大量のスーパーヒーローのストックを利用せず,あえてオリジナルのスーパーヒーロー物語で映画を製作するのを不思議に思っていたが,観てみてナットクだ。とにかく前半のハンコックは酒びたりで乱暴で口も悪く無精ヒゲで,いわゆるアンチヒーローだ。レイの指導のもとハンコックのイメージアップへの努力が中盤までの物語だ。マスコミへの発表,自己啓発,反省会への出席,言葉づかいの矯正など,なるほどアメリカだなあという描写が続く。鋭さと優しさを併せ持っているウィル・スミスならではのシーンで,リアリティがあるだけに余計笑える展開となっている。更生し,ヒゲをあたり,ヒーロー活動用のスーツまで新調したハンコックは,やっぱり見違えてしまう。いろいろあるけど態度と見た目って大事だなあ。-------------よく言われているのが,嫌われ者ハンコックが,世界からの超軍事大国アメリカを象徴しているということだ。そうした読みはとても面白いと思うが,アメリカのしかもハリウッドの人間がそこまで公平な視点を持っているかどうかはチョット疑問だ。たとえその読みが当たっていたとしても,ハンコックのイメージアップは大成功し,人々に愛される存在となる展開を見れば,アメリカ人の能天気振りは健在と言うことだろう。個人的にはお気楽に観ればいいのじゃないかと思う。-------------さてこの映画は後半意外な展開を見せる。コミカルなのか切ないのか,不思議な流れとなる。このおかげで主人公ハンコックにはキャラクターとしての深みが出るのだが,最初からの流れからは予想できず,まるで2つの脚本を強引にくっつけたような,かなり唐突で強引な印象は否めない。ここから終盤までの展開は・・・とにかく観てのお楽しみだ。アメコミの映画はどうしても長編大河ドラマの一部を切り出しているので,予定調和的な物語が多い。そんな中で『ハンコック』は,独特の魅力を放っていることは間違いない。
2009.04.12
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陽気に誘われて,2年ちょっと前に出来たららぽーと豊洲に行った。ここを訪れるのはもう3回目なのだが,これまでの2回は会社や取引先の人が一緒だったので店内を見ることができなかった。今回はゆっくりと自分で全体を回ってみた。やはりここの施設の特徴は,石川島播磨重工の造船ドック跡地に出来たということがあるので,入ってすぐに中庭の水上バスの船着場に行ってみた。どこからか打ち寄せられたサクラの花びらが波に揺られていて風流だった。南ウィングに入ってみると,インテリアショップが軒を連ねている。フツーのショッピングセンターだったらありえないほどの量だったが,5年前からマンションの建設ラッシュが続いている豊洲ならではの選択肢だろうと思う。ただしさすがに店内のお客さんの数は少なくて,採算性はちょっと疑問だ。現在,このららぽーとのある豊洲でも北側の開発が進んでいるので,まだ数年は大丈夫だと思うが。さて南ウィングから中央ウィングに移ると,一気にアパレルの店ばかりになった。新しい街にふさわしく,小さい子どもを連れた夫婦が多くて,店でも子供向けの服のスペースが広い。久しぶりにこうした雰囲気の場所に来たので,なにやら懐かしかった。3階の『フードサーカス』というフードコートで少し早めの昼食を取った。タイ料理の「ガパオ」とエビせんを食べたが,意外としっかりした味付けで十分辛かった。フードコートにしては少し高級志向をしており,新しいチャレンジだと思った。そのまま北ウィングに抜けた。こちらは紀伊国屋書店,東急ハンズ,そしてキッザニアなどがある。当然僕としては紀伊国屋をしっかりと見てみたが,なかなか密度が高くそれでいて見やすく展示されていて感心した。その後,もう一度中庭に出た。昼過ぎだが真夏のように日差しがまぶしかったので,端の方の『リルドーナツ』を食べた。こうした街で新しい生活を送るのもいいのかも知れない。
2009.04.11
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西尾維新の「刀語(カタナがたり)」のシリーズで敵役として活躍した真庭忍軍を主人公にした短編集だ。○ストーリー「刀語」から200年前,戦国時代が終わる気配がただよい始めた頃,真庭忍軍の長・真庭鳳凰はこれまで1人だった頭領を12人に増やすことを決定する。鳳凰の命を受けた真庭狂犬は,頭領たるべき人材を見極めるために,候補者1人1人と会うことにする。彼女は後世に”初代”と呼ばれる頭領たちの成長を見守ることになる。-------------講談社のBoxというシリーズで「2007年大河ノベル」と銘打って2つの作品の12ヶ月連続刊行が実施された。その内の1つが西尾維新の「刀語」だ。ファンの心配をいい意味で裏切って,毎月の書き下ろし刊行を成し遂げ,2007年12月に12冊でのシリーズ完結が達成された。12冊もあると中にはかなり内容の薄い巻もあったのだが,それよりも西尾維新がある程度の品質を保ちつつ,きちんと締め切りを守り,ビジネスを成立させたことの方が大きいと思う。シリーズ展開の途中では,いろいろな評価があった「刀語」だが,今では豪華な画集が出版されるという人気を博している。同じイキオイをかって発表されたのが,この「真庭語」だ。-------------この作品の主人公となる真庭忍軍とは,「刀語」において主人公と12本の刀を奪い合った組織だ。あちらでは主人公・ヤスリ七花,敵方・否定姫,そして真庭忍軍と,第3勢力の扱いだった。シリーズ開始時点では主人公のライバル組織かと思われたのだが,段々と否定姫のチカラが増し,真庭忍軍はライバルからずるずると一瞬で蹴散らされるザコ扱いへと転落して行った。ただしボクトツとした主人公,謎めいて多くを語らない否定姫の勢力とは異なり,12人のそれぞれ個性の強い頭領が登場した真庭忍軍は,強烈な印象を残した。たとえそれが後半では登場してすぐ倒されてしまう,という展開が多かったとは言え。-------------さてこの作品には,4つの物語が収録されており,それぞれ1人の頭領について語られている。ただしなぜか「刀語」に登場した人たちではなく,それぞれの200年前の時代の祖先たちが主人公となっている。最初は少しガッカリしたが,「刀語」に登場した12名に関しては命運が分かってしまっているので,せっかく新しいシリーズを展開するならば,別の時代の12名を主人公にするのが正解かも知れない。西尾維新自身は,これは「スピンオフでも番外編でもない」と語っているが,ごく一般的にはスピンオフに位置付けされるべき作品だと思う。かなり人気を博しているようなので,もう2冊発表して,12名全員について語ってもらいたいと思う。-------------各編について簡単に述べる。「初代真庭蝙蝠(こうもり」:新たに12人の頭領での統治制度が発表され,騒がしくなる真庭の里で,自分の忍法を披露しようとする者も現れた。だがそれは殺人事件へと発展してしまった。真庭狂犬に促され,犯人を捜す真庭蝙蝠が発見したことは?・・・真庭鳳凰と真庭狂犬を中心に各編が展開することが分かる。第1編は,なんと久しぶりの西尾維新のミステリーだ。「初代真庭喰鮫(くいざめ)」:「涙の喰鮫」と呼ばれ,慈愛に満ちた人物である真庭喰鮫。捕らわれた仲間を救いに行った喰鮫が取った行動とは?・・・あるロジックに従って生きるエキセントリックな人物の紹介,という意味では,これくらい短い作品がちょうどいいのかも知れない。そのロジックを知ってしまうと,それっきりという印象だし。「初代真庭蝶々(てふてふ)」:忍法としては時代遅れといわれている真庭拳法を信奉している真庭蝶々が,山の中で出会ったもう1人の拳士とは?・・・真庭蝶々は,真庭忍者にしておくのがもったいないような真っ直ぐな性格だ。そのおかげでもあり意外なゲストが登場する。「初代真庭白鷺(しらさぎ)」:真庭狂犬は真庭白鷺が頭領としてふさわしい器であるかどうかを確かめるため,丁半博打の勝負を挑む。そこで白鷺が見せた不思議な才能とは?・・・長めの短編でありながら,一番よく分からない作品だった。これがラストの短編として収録されているというのは正直印象が悪い。
2009.04.10
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西尾維新の「世界シリーズ」の第4巻を読んだ。○ストーリー主人公は教師として赴任した高校で,先輩教師・串中と出会う。折りしも学園では教師の連続怪死事件が起きており,2人は事件の捜査をすることとなる。真相を知っているかのような串中の言動は,何を示すのか?---------------これまでの3巻はほぼ同じ時間軸に収まっており,「世界」=「学校」という図式が保たれていた。この4巻では一気に14年間の歳月が過ぎており,主人公たちは学校の教師という立場で登場する。結果「世界」=「学校」は同じとも言えるが,立場が違うだけにだいぶ雰囲気は異なるように感じた。西尾維新の「世界シリーズ」は,必ずしも「セカイ系」の作品とは言えない。主人公たちの身に世界の命運を左右する責任は降りかかっていないし,世界が滅亡しようともしていない。ただ,思春期にありがちな『自分は世界とどう対峙するか?』というポーズがテーマの一部ではある。ここで主人公が28才ともなると,さすがにポーズも何もないだろう,という気がする。これまで早熟な異能者たちを語ってきた西尾作品だが,さすがに少し読んでいて感じる印象が異なる。---------------ミステリーとしては,ほぼワントリックの作品だ。見事にだまされてしまったので,ちょっとアンフェアな気分もする。ただそれ以外の部分は,これに至るための材料でしかなく,ひじょうに機械的に物語が進むので,やや味気ない。第1巻の冗長な思索も,第3巻の機知に富んだやりとりも無く,珍しく淡々と物語が進むので,西尾維新作品としては少し異質な気がした。---------------最終的には第2巻の正統な続編だったことが分かるのだけど,全く救いが無いことも引き継がれている。こんな展開でシリーズ最終巻と言われる第5巻はどんな内容になるのだろうか?ちょっと心配だ。
2009.04.09
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会社でノー残業キャンペーンが始まった。なりふり構わないコストカットのための運動の一環で,上司の事前の許可無い場合,残業として認めないなど,なかなか厳しい条件を付けて来ている。本来,残業というものがそういう性格のものなので,会社が言っている事は正しいのだけど,じゃあ仕事の期限がちゃんと余裕を持って組まれているのか?とか若干疑問はある。とは言え基本路線として賛成なので,どうせ進めるならば,と部署で「ノー残業デー」を水曜日に定めた。僕としては定めるだけでなく,毎日夜6時に消灯と空調オフぐらいは実行してもらいたい。社員が帰っても,電気と空調が点いていてはもったいないと思うし。残念ながらオフィスが大空間なので,ほとんどの場合は誰か1人いるだけでも丸ごと電気と空調が点いている,というのがこれまでの風習だ。6時に消して,いる人の部分だけまた点ける,というのでいいんじゃないかと思う。で,ノー残業デー1日目は,6時には業務を終了して,すぐ駅前で飲み始めた。いつもより長く飲めた,というのが結果だったとさ。めでたし,めでたし。
2009.04.08
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直木賞候補作家の福井晴敏の描く「機動戦士ガンダム」の冒険小説を読んだ。○ストーリージオンの要塞パラオに捕らえられた少年バナージを救出し,ユニコーンを回収するため,連邦の戦艦ネェル・アーガマは一隻で攻撃を仕掛ける。大人の思惑の渦巻く戦場で,リディ,ミネバ,バナージ,そしてマリーダの真っ直ぐな気持ちはどう結実するのか?------------------21世紀のリアル系ガンダムになると思っていた作品なのだが,いくらなんでも要塞に一隻で攻撃を仕掛けに行って,”攻略戦”はないと思う。1巻から3巻までは,連邦とジオン双方にとって遠征の地での遭遇戦という理由があったから,戦術的に不自然な状況もありえたと思う。だが下手すれば10対1という戦力比となる相手--しかも拠点への攻撃--はバンザイアタックとしても効果が期待できず,検討の価値があるとは思えない。そうした批判への照れなのだろうか?アーガマに乗り込んでいた海兵隊もどきに「729」とか「920」とかの部隊名を付けて,突然活躍をさせたりしている。しかしせっかくの「小さなリアリティ」を,『その行動は読んでいた』『政治的に黙認されていた』『知っていたが泳がせていた』という「中くらいの下手な説明」が台無しにしていて,結局「物語」という「大きなウソ」が薄っぺらなものになってしまっているのがこの巻の欠点だと思う。------------------『スペースコロニー』というものを,一気に身近なものにしてみせた「ガンダム」だが,それ以外の『月面都市』『要塞都市』に関しては,他の作品より優れた描写ができていたワケではない。今回も,パラオという名称のジオン系の要塞都市の描写は,枚数が少ないためもあるのかも知れないが,ひどくチグハグで距離感が欠落した印象を受ける。パラオで敵側の人々の日常を描写することで,彼我を立体的に描写するのかと思えば,あっさり両軍ともパラオを後にしたりしている。4巻を丸々費やしていながら物語はあまり前進しておらず,3巻の意趣返しをしておしまい,という印象が強い。パラオはストーリー的にも中継地点だったのだと思う。------------------バナージとマリーダの3度目の戦いは,富野版ガンダムへのオマージュにあふれたニュータイプの意識の交感を引き起こす。とりあえずその場の決着までは同じとならなかったことに安心した。今の時代にふさわしい解決を登場人物たちにもたらしてくれることを,この福井版ガンダムには期待している。
2009.04.07
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年度末を過ぎてしまっているのだが年次の健康診断で1日ドックに行った。場所は去年と同じ所で,東京の繁華街でも有名なところの一画にある。7時過ぎという朝早くに病院に向かうと言うのに,風俗の客引きが声を掛けてくる。なんだか不思議な状況だ。1日健康診断は5万円以上もかかる立派な施設もあるらしいが,僕が行ったところは,場所柄もあるし,狭くはないが立派ではないという雰囲気だ。臨床技師の人たちもあまり愛想が良くない。だいぶ改善の余地はあると思った。ただ同じところで健康診断を受けるメリットは,先方が1年前のデータを持っていて,横に並べて比較をしてくれるということだ。正直,結果はもう少し良いものだと思っていた。ずーっと1.5×2だった視力もとうとう落ちてきてしまったし,ポリープはあるし,お酒が過ぎるので肝機能も衰えている。うーん,さすがに年令を感じるなあ。痩せ型なので20代の時から体重が2キロくらいしか変わっていないと言うことぐらいがいい点だ。昨日は野菜だけしか食べなかったし,昨晩8時から絶食してたので,検査が終わったら豚骨ラーメンを食べようと思っていた。ところが解放されたのが10時40分だったので,さすがに昼食には早かったので食べ損ねてしまった。健康のためにはその方がいいけど。
2009.04.06
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島田荘司の”御手洗潔じゃない方の主人公”吉敷刑事の総決算と言われている作品の上巻を読んだ。○ストーリー加納通子は「龍臥亭事件」の後でも悪夢にさいなまれていた。その原因が自分が封印した記憶にあるという可能性に気付き,彼女は故郷・盛岡での生い立ちを振り返る。一方で,通子の元夫である吉敷刑事は偶然知り合った婦人の夫が,冤罪と思われる状況で30年以上拘束されていることを知る。その事件を調べ始めた吉敷がたどり着いた場所は盛岡だった。---------------島田荘司の「吉敷刑事シリーズ」を読み切るにあたり避けて通れないのが,「加納通子モノ」とも呼ばれる元妻・加納通子が登場する作品群だ。それらは「北の夕鶴2/3殺人事件」(85年刊行),「羽衣伝説の記憶」(90年),「飛鳥のガラスの靴」(91年),御手洗潔作品に属する「龍臥亭事件」(96年),そして「涙流れるままに」(99年)だ。加納通子は吉敷刑事の元妻であるが,吉敷の方は今でも彼女のことを忘れられない。けれども通子の方では,罪とヨゴレに満ちた自分の過去を,吉敷は受け入れきれないだろうと思っている。そうした”昭和演歌”の関係にある2人なので,通子が登場する作品では吉敷刑事の行動がおかしくなって作品もヘンになる,ということで島田荘司のファンの中でも何かと評判が悪いのが「加納通子モノ」だ。若いファンの要望によって華麗な過去が創作された御手洗潔とは異なり,ファンがどんなに呪っても加納通子とのしがらみを断ち切れさせない吉敷刑事とは,作者・島田荘司にとってはどんなキャラクターなのだろうか?自由にできないということは,血の通った人物として島田荘司の中に位置づけられているのではないか?とそう思う。---------------この作品は「加納通子モノ」の集大成であり,読者に多大なる忍耐を要求する。上巻440ページを読み終えた段階で,「北の夕鶴」の過去編の部分と「羽衣伝説」の内容をカバーしている。それだけでなく通子の辛く混乱した青春を事細かに描写する。さらに吉敷刑事が主人公であるパートでは,この頃に島田荘司が取り組んでいた冤罪事件問題がテーマになっており,重苦しい筆遣いである事件が語られる。「加納通子モノ」としても既刊の作品で語られた物語の繰り返しという部分が多く,社会派テーマとしては救いの無い冤罪を扱っており,ミステリー作品なのにトリックが一切無い,というのが,上巻を読み終えた段階の内容だ。これはもうほとんど踏み絵のような作品じゃないかと思う。「御手洗潔シリーズ」に惹きつけられた読者にはひどく高いハードルだろうし,「吉敷刑事シリーズ」ファンでも「加納通子モノ」だけはダメと宣言している人もいるので決して楽なゲートではないと思う。---------------こうして書いてみると,この作品は本格ミステリーでも社会派ミステリーでもなく,人間を描いたひとつの文学作品なのではないか,という気がしてならない。
2009.04.05
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以前から気になっていた任天堂のDSiを買った。もともとDSのLiteを持っていて,『ゼルダの冒険』と『美文字トレーニング』をしていたのだけど,姪っ子が1年ほど前に『ポケモン』をやりたいと言うので譲ってしまった。ずーっと特にゲームをしたいと思わずに1年が過ぎたが,DSiの発売に心が動いた。DSiの一番の特徴は,本体にメモリーを搭載し,オーナーがカスタマイズできることだ。この内容を聞いた瞬間,僕の中では勝手に”DSiのPDA化”が決定した。ビジネスマンでも学生でも,スケジュール帳と電子辞書を持ち歩いている人は多いのだから,DSがその機能を持ってしまったら,こちらに乗り換える人って多いと思うんだな。ゲームボーイアドバンスのスロット廃止は残念だが,その代わりにSDカードスロットが導入された。こうした拡張性があるところもなんとなくそそられる。実は新色発売と同時に内蔵バッテリーの容量アップがあるかと期待したのだが,それは見送られたようなので,あきらめて買うことにした。と言うワケで(と言い訳をして?),秋葉原のヨドバシで,白い色のDSiを買って,グレーのカバーを着けて使い始めた。でもまだまだビジネスソフトと言えるのは『ほぼ日路線図』ぐらいなので,結局花札のミニゲームをダウンロードして遊んでいる。なんだか予定とチガウなあ,自分。
2009.04.04
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日清のカップヌードルのCMがSFムービーになった,という2007年から08年にかけての企画の最終話を観た。○ストーリー地球で出会った少女アオを連れて,月面都市エデンに帰って来たタケルを出迎えたのは,かつて地球行きを手伝ってくれたカズマだった。だがカズマは体制側の人間となっており,タケルとアオを幽閉しようとするのだった。果たしてタケルたちは,エデンを変えることができるのだろうか?---------------『FREEDOM』は6巻で一度終了しており,この『SEVEN』は7巻目ではなく第2部である,というような説明を以前聞いたような気がするが,なんのことはない,6巻から数日後という時間軸の物語だ。ストーリーが収まらなくなったのか?人気が予想より出たので全7巻に変更したのではないかと思う。オープニングもエンディングも聞きなれた宇多田ヒカルの歌だ。バックに流れる映像は,誰が観ても『アキラ』を模倣していて,それがまた出来がいい。進化を続ける大友克洋と,『アキラ』の映像にこだわったスタッフとのすれ違いが,大友離脱の原因かも知れない。---------------もともとが管理都市エデンのはみ出し者たちが地球へ行く,という物語だったので,戻ってきても逮捕されてしまうというのは,当たり前の話だ。それが不満そうなタケルやタイラたちの方が脳天気だと思う。7巻のキーとなるのが,体制側の実力者となったカズマだろう。他の巻より長いとは言え7巻も45分間しかないので,カズマが過ごした2年間は数秒で説明される。そこから先は,カズマの無表情な顔をにらみながら観ている側が想像で補うしかない。親友同士が体制側と市民側とに別れてしまう,という物語は多いが,この作品ではカズマの選択肢も十分アリじゃないかと思う。何しろ”ビッグブラザー”的な世界なのだから,逆らっているだけじゃあ何も変わらないと思うんだなあ。---------------45分間だが,ストーリーはイキオイ良く進む。タケルたちの地球行きのおかげで,政府側の管理が厳しくなったと語られるのだが,タイラたちは2年前と変わらず元気で,すぐ話に乗って大騒動を起こす。これだけダメな管理社会だから,カズマも2年間で偉くなれたのかも知れない。イキオイだけではなく,お約束の”コブシとコブシの語り合い”もあるが,ちょっとこれはクサかったなあ。---------------第1巻の始まりから7巻のエピローグまでは4年以上の時間が経過しているハズなのだが,タケルたち少年だけでなく,アオが勉強を教えていた子どもまで年をとっていないような気がした。これは3DCGアニメを製作するのに,データ製作費用がもったいなかったのではもちろんない。きっと地球の自転が今より遥かに速くなっていて,『FREEDOM』世界での4年間は,今の我々の1年以下なんだろう。きっとそうだろう。でもそう考えると,カズマは半年で囚人から体制側のトップクラスに登り詰めたのか・・・うーんやっぱり製作費用かなあ?
2009.04.03
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島田荘司の「吉敷刑事シリーズ」の1編を読んだ。○ストーリー新宿で出発待ちをしていたバスが放火され,1人の乗客が事故死をする。その男が自宅に持っていた新聞の切抜きは2年前に起きた迷宮入り事件のカギとなるかも知れない,そう判断し吉敷刑事は鹿児島へと飛ぶ。灰の街・鹿児島は吉敷にどんな運命をもたらすのか?---------------出来る限り発表年代順に島田荘司を読み進めて来たが,図書館の蔵書の関係でいくつかの作品が歯抜けになったままになっていた。1980年代初めから,90年代末まで進んだところで,隣町の図書館を利用して歯抜けになった80年代後半の古い作品をピンポイントで読んでいる。個人的にそうした経緯もあり,この作品の印象は「古き良き吉敷作品」というものだ。きちんと与えられた事件を調査しているし,冤罪事件を晴らそうとはしていないし,上司ともめていないし,別れた妻に振り回されてもいない。ミステリーとしては首をひねってしまう部分もあるのだが,主人公が余計な心配事を抱えていない様子なので,安心して読むことができた。---------------「吉敷刑事シリーズ」というと列車トラベルミステリー,という印象だった時期もあった。この作品は珍しく九州を舞台にした作品だ。さすがの吉敷刑事も,東京から鹿児島までは飛行機で移動していて,ちょっと笑ってしまった。その結果,懐かしい時刻表の抜粋は作品内には登場しなかった。桜島という活火山のすぐ近くに発展した鹿児島という都市については,情感たっぷりに表現しているので,トラベルミステリーの魅力は味わえる。吉敷の行動範囲が市内の一部に限定されているのが残念だったが。---------------この作品で,吉敷刑事が出会った印象的な人物は2人だ。1人は鹿児島署の留井刑事で,吉敷とコンビを組んで捜査を行う。声も動作も大きいため,がさつな垢抜けない警官かと思われるような登場の仕方をするのだが,なかなか親切で憎めない人物であることが判明する。札幌の牛越刑事と同じように,留井刑事は吉敷のスマートさ,手腕に心酔している様子だ。この人物のおかげで,吉敷も珍しく大人しく団体行動に徹しており,結果この作品に安心感が生まれているとも言える。もう1人は,事件のキーを握るホステスの茂野恵美だ。酔っ払って派手な登場をしつつも,吉敷刑事と話しているうちに段々と殊勝な面を見せ始め,積極的に吉敷の協力をするようになる。彼女との別れのシーンは,この作品のクライマックスだろう。島田荘司作品に登場する女性は,犬坊里美が登場するまでは不幸か病んでいるか,ということが多かった。この女性は珍しく行動力があり,性格も前向きなところがあるので,引っ込み思案の吉敷竹史とはいいコンビだと思った。2人が別れざるを得なかったのはとても残念だ。---------------さてミステリーの部分だが,2ヶ所ほど確率の低い偶然が起きないとストーリーが成り立たない部分がある。特に大がかりなトリックがあるわけではないので,まったく無茶な設定ということではないが,その偶然が無かったら事件はすぐ解決したと思われる。話のトーンは全く異なるのだけど,このミステリーのネタならばコミカルな舞台劇とかにしたほうがまとまりがいいのではないだろうか?
2009.04.02
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今住んでいる街に越してきた10年前は,書店が4店あった。1店は駅の反対側でまあまあ,2店目はこちら側で3階建ての立派な店,3店目は商店街で老夫婦が経営しているポリシーの無い店,4店目は大学前で教科書などをメインに販売している店,というところだった。まず老夫婦の店がつぶれ,隣の大手スーパーの催し物売り場になった。次に3階建ての店がつぶれてしまい,古本屋になった。古本屋もつぶれ学習塾になった。大学前の店はフツーの本が少ないので,ほとんど駅向こうの店だけ,という状態が長い間続いた。ところが1年半前,駅ビルの建て替えが終了したら,その2階に大手チェーンS書店の大きな店が入った。言っては悪いがここの店員は,ろくに日本の文豪の名前も知らないバカの率が高いが,大手だけあって品揃えはいいし,新しい店なのでソファとかもいくつか置いてある。思ってみればこの店の進出がストレートに響いたと見え,会社帰りに駅向こうの店をのぞこうとしたら,「長らくお世話になりましたが・・・」という貼り紙がしてあった。ええーっ!エイプリルフールじゃないよね?本は図書館でばかり借りるのでいいお客さんじゃなかったんだけど,やはり街から書店が消えるのはさみしいなあ。書店の充実度って,その街の文化のバロメーターのような気がするんだよなあ。
2009.04.01
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