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”完璧な映画”との評判が高いサスペンス映画を観た。○ストーリースペインの地方都市の広場で,アメリカ大統領がテロ対策の進展について演説を行おうとした時,どこかから2発の銃撃を胸に受け倒れてしまう。またその直後に演壇が爆破され,会場は大混乱となる。衝撃から立ち直ったシークレットサービスのバーンズは,旅行客のハワード,そしてテレビ中継プロデューサーのレックスから記録ビデオを見せてもらい,ある事実に気付く。他にも会場での異変に気付いた人々が,それぞれ謎の追求をし始める。そして事件は更なる惨事へと突き進む。果たして事件の謎を解くのは誰なのか?-------------本当に良く練られて作られている。映像が謎解きにつながっていくので,小説ではまず表現出来ないだろう。映画を知り尽くした人たちが作ったことがビンビン伝わってくる作品だ。事件直前の正午12時からの23分間は,複数の登場人物の視点で何度も繰り返し描かれる。8人の登場人物が絡み,衝撃の23分間はたぶん6回ほど繰り返される。だがそれらは当然異なる視点で映像化されているので,それまでの登場人物からは単純に見えなかった,そして知り得なかった情報が毎回追加される。けれども,一方でほぼ毎回『ええっ?!』と言うところで,1つの視点での物語は終わる。そして段々と事件の謎は解かれ,毎回少しずつ23分以降も描かれ始め,ついに感動のエンディングとなる。映画ファン,ミステリーファンは間違いなく大満足出来る。(珍しく断言。)-------------異なる視点で同じ時間での物語を描く,という意味ではテレビシリーズ『24』とも似ているところがある。アメリカ大統領の狙撃事件という設定や登場人物の一部も似ているかも知れない。けれども『24』がどんどんと時間が先に進んで行ってしまうのに反して,『バンテージ・ポイント』では,同じ時間を繰り返すという手法で物語に奥行きを出している。謎は段々と解けていく。最初の場面でのあるセリフが,その後入手できた情報を元に聞くと,違う意味を持っていることに気付く。とにかく断片が徐々につながっていくという過程が,たまらなく知的興奮を刺激する。物語は後半再びアクションシーンの連続となるが,やや過剰な気がした。謎解き主体の中盤を払拭する意味があるのだろうけど,せっかくの丁寧な作りの流れなので,急にスピード満点の映像が現れると気持ちが着いていけない。-------------ソニー・ピクチャーズがたっぷりと製作費を認めたようで,スペインのサラマンカという都市の広場を埋め尽くした群集の映像などは圧巻だ。また8人のメインキャラは渋い俳優を揃えておりツボを押さえているという印象だ。なんと言っても光っているがデニス・クエイド演じる初老のシークレット・サービスのバーンズだ。『ザ・シークレット・サービス(In the Line of Fire)』のクリント・イーストウッドを思い出させるキャラで,自然と応援してしまう。もう1人は気のいいアメリカ旅行客の典型とも言えるフォレスト・ウィテカー演じるハワードだ。両陣営のプロが競い合う中,素人のハワードがいつしか巻き込まれ,事件のキーパーソンとなっていく。この人はチョイ役でも印象が強いので以前から好きな俳優なのだけど,さすがに目元が老けてきた。登場人物は多くても結局メインの主人公はアメリカ人かよ,と思う人もいるだろうけど,決してアメリカ礼賛の映画ではない。まあどちらかと言うと申し訳程度というカンジだが,アメリカタカ派への批判も述べている。映画のラストに上記の2人がどんな活躍をするのか,ぜひ観てもらいたい。
2009.05.31
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松原秀行の「パソコン通信探偵団シリーズ」の第19作目を読んだ。○ストーリーロンドンでの事件解決の疲れをいやすため,パソコン通信探偵団の団長レイは,アイザック少年の紹介でパリの邸宅で数日を過ごそうとする。ところが彼女の到着と同時に屋敷には怪盗ダルジュロスからの盗難予告状が届いた。果たしてダルジュロスの目的は?そして屋敷の中にいると思われるダルジュロスの手先は誰なのか?伝説の秘宝をめぐってレイと怪盗が対決をする。------------小学生ばかりの探偵団の中でただ1人成人で団長を務めている謎の美女・レイを主人公にした物語だ。シリーズの1つのクライマックスになった「ロンドン編」の続編にあたる。いつもは少年マコトの視点から語られることが多いのだが,大人の女性の視点で語られるので作風が違うかと思ったら全くそんなことはない。いつものように会話の中に唐突にパズル問題が挿入され,いくつものギャグが炸裂し,明るくシンプルな空気はそのままだ。良く言えばファンは安心して読めるし,悪く言えばいつまでたっても進歩が無い。この作品では紋章を使ったパズルが目新しかったが,出来は流麗だったがほぼ一目で解けてしまった。------------”中学生編”も始まり,大河小説となりそうな「パソコン通信探偵団シリーズ」は既に20冊を超えている。はやみねかおるの「夢水清志郎シリーズ」と共に講談社の青い鳥文庫の2大看板だった時期もあるが,さすがに人気のかげりを隠せない。2大看板のもう1人,はやみねかおるは上記のシリーズ以外に「怪盗クイーン」「虹北恭助」「都会のトム&ソーヤ」のシリーズを成功させて,活動の幅を広げている。それに比べて松原秀行は「パスワード パソコン通信探偵団シリーズ」だけに等しい。また,このシリーズも5ページに1枚くらいのペースでイラストが加えられており,まるで絵物語,イラストノベル風だ。上にも述べたパズルとギャグのひんぱんな挿入もあり,著しく集中力がそがれ,あまり小説を読んでいる気にならない。さらに例えばこの作品で言えば「雪だるまが割れて怪人が出てきた」というような目撃情報を登場人物たちが真剣に討議するというシーンがある。こうした不自然な流れがあっても,物語が平気で進んでしまうというのは,何かの照れ隠しなのか,読者をバカにしているのか,とにかくマジメにミステリーを書いているとは思えない。------------正直言って,このシリーズの成功は,梶山直美のイラストの魅力に追うところが大きいと思う。確かに梶山直美の描く主人公たちは,小説の設定ともマッチしているし,適度に清潔感があり好感度が高い。だが松原秀行も少しはこのシリーズやイラストレータへの依存を断ち切り,しっかりしたミステリーが書けることを示すべきではないだろうか?
2009.05.30
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話題のアメリカテレビシリーズ『ヒーローズ』のシーズン3が始まり1話目を観た。○ストーリーピーターの兄ネイサンが記者会見の場で銃撃される。マットとピーターは犯人を追うがその姿は消えてしまった。その頃クレアの家に現れたのはサイラーだった。能力が戻ったサイラーに,クレアは襲われてしまうが・・・そして東京に戻ったヒロは,父親の遺言により謎の化学式が書かれた紙片を手にする。その謎を調べるために未来へ飛んだヒロは,崩壊する東京を目にする。未来からのメッセージは何を彼らに伝えようとしているのか?------------話数が少なく期待はずれだった『ヒーローズ』第2シーズンだが,第3シーズンはしっかりと25話を予定していると言うことでまずは安心した。第2シーズンは世界を滅ぼす殺人ウィルスを破壊するのがシリーズテーマだった。だが(ア)主人公たちがバラバラに行動している,(イ)後付け的な前の世代の因縁話が出てきた,(ウ)毎回のように新しい能力者が登場する,というあたりで,第1シーズンの盛り上りにはだいぶ及ばなかった気がする。第3シーズンではあるチカラのある薬品がシリーズテーマになるような印象だ。1話目から察するとまた新しい能力者が続出しそうで,ひじょうに不安だ。東京(モドキ)が崩壊する未来を阻止することは,東京に住んでいる僕らとしては気持ちが入るテーマだが,第1シーズンのニューヨーク崩壊阻止に比べればアメリカでの切実さの差は歴然だろう。------------本来の主人公ピーターだが,第3シーズンでも険しい表情と黒い服装だった。第1シーズンの優しそうな表情が,第2シーズンで失われてしまっていて残念に思ったのだけど,もうその頃のイメージに戻す予定は無いらしい。ピーターを演じる俳優はどちらかと言えばB級系の顔立ちなので,怖い顔をしていると悪役に見える。正直この物語の悪役サイラーとかぶっちゃうんだよな。ワルだくみは兄のネイサンに任せて,ピーターはいい人でいて欲しい。そうしないと『ヒーローズ』を1つにまとめる役を果たす人がいなくなってしまうと思うのだが?------------まあ日本の僕らも目が肥えてしまって,アメリカテレビシリーズへの期待や注文が多くなってしまっているが,日本のドラマと比べればどこを取っても雲泥の差なので,やはりドキドキしながら観続けて行きたい。
2009.05.29
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恩田陸の「ネクロポリス」を読み終えた。○ストーリー日本と英国の文化が融合している国・ヴィクトリア・アイランドの古くからの伝統”ヒガン”とは,アナザー・ヒルという聖地で故人と再会できるという祭典だった。ところがジュンたちが参加した年のヒガンでは,連続殺人が起きてしまう。いったいアナザー・ヒルで何が起きているのか?-----------設定だけ読むとなにやらウサンクサイ印象なのだが,これが恩田陸の筆にかかると見事に世界が立体的に浮かび上がってくる。読者は日本から来た青年・ジュンの視点を通じて,ヴィクトリア・アイランドを旅行し,人と出会い,風習を学ぶ。とにかくすっと入っていける,ところが巧いと思った。上巻に登場した「ヒガン」「玉子占い」「ガッチ」に引き続き,「提灯行列」「百物語」という風習が紹介される。日本の風習が不思議な具合に変容して催されるのは,一時期の筒井康隆の作品のようでなかなか知的興奮がある。ラストには批判も多いようだが,そこは恩田陸なのでスポンと終わってしまうのはおなじみということで納得するしかないのではないだろうか?-----------物語の冒頭はミステリーのように始まったのだが,どんどんとダークファンタジーの傾向が強くなる。下巻の中盤ではもうミステリー部分の決着はつかないものだとあきらめていたが,終盤意外とまともな事件の謎解きがあるし,行方不明だった人々の謎も解ける。もっともいくつも説得力に欠ける部分があるので,それで納得できるかどうかはやや疑問だ。でも謎解きがちゃんとあると無いでは大きく読後感が異なるので,良しとしよう。-----------終盤に青年ジュンが行う旅は,ひじょうに象徴的でじんわりと心にしみるシーンが多かった。ラスト近くで主人公が試練を受けるというのは,古今東西の物語の定番であるので,この旅をもう少し上手くまとめてくれたらよかった。詳しくは書けないが,いろいろととても惜しい。せっかくの世界観,せっかくの盛り上りなのに,”手に余った”というカンジでぶつんと終わってしまうのは残念だ。それでもこれを割り引いてもこの作品には小説を読むという楽しみがたっぷり詰まっている。-----------上巻の感想で「萩尾望都の作品を想起させる」と書いたが,下巻の解説者がまさにその萩尾望都だったのが嬉しかった。同じようなことを考える人は多いんだなあ。
2009.05.28
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任天堂のDSiを買って一時期は『百人一首 時雨殿』に夢中になったが,今は『美文字トレーニング』を引っ張り出して毎日プレイしている。朝会社に着いて,お茶を飲んだらおもむろにDSを起動して,ソフトと同梱だった”筆タッチペン”を使って文字を書く。気持ちが落ち着くのでなかなか良い。正直今のご時世では仕事で役に立つことなど無いが,オシャレなカンジなのも良い。現在,収録されている3,099文字を全て書くということに挑戦中で,ようやく半分に達したところだ。一文字一文字100点満点で評価され,書き順については特に厳しくダメ出しをされる。また自分で94点未満はNGと決めているので,どうしてもいくつも書き直しが出る。基本はお習字のソフトなので,別に頭を使うワケではない。ひたすら漢字を書き写すだけだが,当然電車の中などでできるタイプではない。まあ電車では本を読むのでちょうど棲み分けが出来ている。『百人一首』の方もまだまだ上達できていないので,全文字制覇が終わったら戻る予定だ。なんだかゲームの趣味まで老人っぽいなあ。
2009.05.27
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児童文学の名作,というより映画の原作として有名な作品を読んだ。○ストーリーアメリカの田舎町に住む少年ジェシーは絵が好きで夢見がちな性格だったが,姉が2人妹が2人という家の中で父親に継ぐ働き手として期待されていた。息が詰まるような毎日の中,隣の家に都会から同い年の女の子が引っ越してきた。先進的な考え方と驚くほどのバイタリティにあふれた少女レスリーは学校の人々を驚かすが,ジェシーと彼女は親友となり,2人の家の近くの森を”テラビシアの国”と呼び冒険をする。だがある雨の日・・・。-------------落ち着いた装丁,どこかぎこちない文体,そして古いフォントから,戦前の作品だと思っていたが,読み進むと”ヒッピー”という悪口が出てきて,意外と新しい作品であることに驚いた。改めてわずか30年前って違う世の中だったことを思い知らされる。ここではジェシーの家族は,何10年も前から変わらない生活をしており,父親は朝から晩まで働き,母親は5人の子どもの面倒を見て,ジェシーは毎日牛の乳しぼりの担当で,疲れ切った毎日を送っている。一方でジェシー少年のあこがれの音楽のエドマンズ先生,隣に越してきたレスリーの両親などは,平等を重んじ,音楽や文学の楽しみ方を教え,新世代の人々を代表している。ちょっとした会話の端々に新旧世代の考えのギャップがのぞけて面白い。決して大人だけが古い考えを持っているのではなく,学校のクラスメートたちも新世代風の考え方には批判的なのだ。-------------原作のジェシーはそこそこフツーの少年として登場するが,レスリーと知り合うと一気に影響を受けて先進的な行動に出る。小学校中学年ぐらいで,昼休みを女の子と過ごすってかなり大胆だと思う。上級生とのいがみ合い,家族でのクリスマスなど,児童文学らしい事件が続いた後に,作品の終盤で大きな事件が起きる。ここからは急にリアリティにあふれた展開となる。それまで無愛想な人物として描かれていたジェシーの父親が優しいところを見せ,一方でジェシーは茫然自失となってしまう。訳者あとがきによると,この事件は実話を元にしているとのことで,姉妹たちの言動が妙にリアルだったのも納得出来た。事件のおかげでせっかくジェシーが経験したことも失われてしまいそうになるが,エンディングが象徴しているのはもっと明るい方向だと僕は解釈した。-------------新世代の人々を作者は手放しで持ち上げているわけではない。だから良い作品として生き残ったのだろう。あとがきが説教っぽいのもなんだか昔の児童文学を思わせたなあ。
2009.05.26
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テレビ放映が終わってしまった『バトルスター・ギャラクティカ』のシーズン2を観始めた。○ストーリー故郷を追われ伝説の始まりの星・地球を目指して旅を続けるギャラクティカの船団は,地球への手掛かりがあると言う惑星コボルにたどり着いた。だがコボルにも追ってサイロンが現れ,その撃退の混乱の中,ギャラクティカの艦長アダマが銃撃を受け,意識不明の重態となる。果たしてアダマ無しで船団は生き延びることができるのか?-------------シーズン1の時から1話を見逃すと,少し置いていかれるカンジだったが,シーズン2ではその傾向が加速している気がする。またもともとギャラクティカと惑星カプリカという2つの舞台で物語が平行して進んでいたが,シーズン2の冒頭では惑星コボルの部隊の物語まで加わり,なかなか目まぐるしい。シーズン1の終盤からアダマ艦長ら軍部と,ロズリン大統領ら政府との対立が強調され,なんとなくささくれ立った空気のまま物語は進む。『スタートレック』を見慣れた者にとっては,なかなか驚きの展開だ。このシリーズはサイエンスフィクションなのだが,家族,政治,宗教,そしてアイデンティティなど,様々なテーマを取り込んでいて感心させられる。アメリカのドラマは確実に進化していることを改めて思い知らされる。-------------まだ4話までしか観ていないので先は長いが,今回感じたのは,製作者がどっしりと構えて作品を作っているという事だ。メイン・サブ合わせて20名のもレギュラースタッフが登場するが,なるべく多くの人の背景を掘り下げようとしているらしく,そうした部分の描写にしっかりと時間を割いている。すでにアダマ艦長,タイ副艦長,スターバックなどの過去が語られたが,シーズン2はそうしたことにチャレンジするのだろうか?ワリと物語を前へ前へと進めたがるアメリカドラマにしては,自信たっぷりに人物描写に時間を費やしている,という印象だ。-------------それにしてもこの作品は,女性は魅力的なのに,男性はもっさり系が多い。放っておいても男性の固定ファンがつくSF物語にしては,変わった製作方針だと思う。大人気の東洋系美女バレリーの運命がどうなるのか,僕自身も気になってしょうがないので,アプローチとしては正解なのかもしれない。
2009.05.25
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恩田陸の大作「ネクロポリス」を読んだ。○ストーリー日本と英国の狭間に生まれたある国では,ヒガンに聖地アナザー・ヒルに行くと故人と再会できるという風習があった。本来静かな祭典であるヒガンが根底から揺るがされる。なんと今年は連続殺人鬼がアナザー・ヒルに紛れ込んだのだ。遠い親戚を頼って日本からヒガンに参加した青年ジュンが,誰よりも先に見たものとは?-----------少し恩田陸から遠ざかっていたが,「ネクロポリス」の文庫版を借りることが出来たので読むことにした。まだ上巻しか読んでいないので,中途半端な感想になってしまうが・・・物語の舞台となっているのは”V.ファー”と呼ばれる極東の小さな国だ。日本と英国の文化の融合が進んでいるが,一方でヒガンの儀式が行われる”アナザー・ヒル”の周りにはアメリカ先住民のような少数民族が棲んでいたりする。一部の恩田陸作品と同様に饒舌でたくましい女性たちと,美しい青年たちが登場する。そうしたキャラクターと,文化の融合した社会から類推してしまうのは,萩尾望都の『マージナル』や『バルバラ異界』などの作品だ。-----------物語はアナザー・ヒルに起きた殺人事件の犯人捜しという形で進む。だが主人公ジュンは,儀式の中であるビジョンを見てしまい,周りの人とはまた別の目的を持つことになる。これからの下巻を通じて,ジョンの個人的な謎,殺人事件の犯人,そしてヒガンの儀式の意味などが,うまく連動して解かれていくことを期待する。-----------とは言え,半分読み進んだ現在でも,この物語の舞台である”V.ファー”の国民性があまり理解できない。ひじょうに高い好奇心,旺盛な社交性って,もちろん日本人の文化ではあり得ないが,それほどイギリス人気質を言い当てているとも思えない。なんだかとても作り物っぽくてせっかくアナザー・ヒルが不思議なリアリティを持っているのを帳消しにしているようで残念な気がする。-----------例によって抜群のヒキで上巻は終わったので,下巻が楽しみでしょうがない。
2009.05.24
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映画『ターミネーター』のスピンオフであるテレビシリーズを観た。○ストーリー未来からのターミネーターの襲撃に2度耐えたサラとジョンのコナー親子は,殺人罪の容疑から,そして未来からのさらなる脅威を恐れ,身分を偽って暮らしていた。だが転校したジョンを高校の教師に偽装したターミネーターが銃撃してくる。逃げるジョンを救ったのは,銃撃で重傷を負ったはずのクラスメートの少女だった。サラとジョンは,ターミネーターから逃げながら,将来人類に反旗を翻すコンピューターシステム”スカイネット”の構築を阻止できるのだろうか?------------第1シーズンは全9話で,DVDは5巻の構成となっている。つまり5巻目は第9話の55分しか収録されていないという強気の商売だ。これは今どきやり過ぎじゃないのかと思う。4巻目の中ダルミがヒドイので,最終話なのに5巻目を観る気が失せてしまって,しばらく放置してしまったという内容なのに・・・------------物語はサラとジョンの母子を主人公としている。彼らはFBIから逃げながら,”スカイネット”の誕生を阻止しようとしている。また未来から彼らを狙うターミネーターと逆に守ろうとするターミネーターが現れる。・・・と基本的に「T2:ターミネーター2」と設定がほとんど重なっているシリーズだ。目新しさは今回の善玉ターミネーターが女子高生の外見をしているということだろうか?「高校に通うジョンを常にガードするため」というナイスな言い訳も用意してある。ところがこの2人の高校生活の物語が全く機能していない。第2話目以降はずっと同じ高校に通っていて,転校早々にある女子学生の自殺が起き,その謎を追うというのも物語の流れの1つにしようとしたらしい。ところがその流れがひどくおざなりにされていて,シーズン1でほぼ進展が無い。最終9話に至っては一切これに触れられない,という始末だ。これまでアメリカのテレビドラマは絶賛してきたし,『24』以降日本でも広く作品が紹介されるようになった。けれどもハズレはやっぱりあるんだなあ,と実感した。------------そんな『ターミネーター』なんだけど,最終9話の脚本の一部は素晴らしくて珍しくグッと来た。あちこち伏線が放りっぱなしなんだけど,第2シーズンどうするかなあ?
2009.05.23
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コーエン兄弟の不気味な映画『ノーカントリー』を観た。○ストーリー砂漠で狩りをしていた元軍人のルウェリンは,数台の車が放置されているのを見つける。どうやらそれはアメリカとメキシコの犯罪組織の麻薬取引が決裂した直後らしく,大量の死体と麻薬と,そして現金があった。現金を持ち逃げしたルウェリンだが,すぐに不気味な殺し屋シガーに追われることになる。ルウェリンを救うために,保安官のベルも2人を追うが,ベルが見たものは非情な殺戮の跡ばかりだった。------------映画に圧倒された。冒頭からラストのシーンまで乾いたリアリズムで作られている。観ているこちらもテキサスやアリゾナにいて,じりじりする太陽に焼かれているような気分になる。楽しめる映画ではないので,ややオススメする相手に困る作品なのだけれど,確かにこういう造りも映画の魅力の1つだよな,と感じてしまう。冒頭,殺し屋シガーがある殺人を行う。その過程と後片付けまで克明に描かれ驚く。次はルウェリンが麻薬取引の現場を見つけるシーンとなるのだが,かなり距離がある所を彼が歩いているシーンを長回して撮っている。この2つのシーンから僕が読み取ったのは,「細部も克明に描写する」という製作者コーエン兄弟の意思だ。この後,凄惨なシーンも多いが,それらを決してカッコ良く撮ろうとはせず,ゴツンとリアルに仕上げている。もっとも殺し屋シガーの存在だけは不気味過ぎてリアリティに欠けるが,------------映画は逃げるルウェリン,追うシガー,そして2人の死闘の跡を観察する保安官の3人の視点で進む。殺し屋シガーは,扱う武器も独特で,人を不安にさせる存在感を持ち,着実にルウェリンを追い詰める。一方でルウェリンもベトナム帰りの経験を活かし,プロを相手にしぶとく立ち回る。何回かにわたる2人の対決は緊迫感にあふれたシーンに仕上がっており,映画の満足感を与えてくれる。だがクライマックスに向けて動き出した,と思った直後に,物語は観察者の保安官ベルの視点と内面へと大きく舵を切る。これには正直驚いたが,シガーが”止められない存在”を象徴している以上,それとの対決を描写することは意味が無いのかも知れない。中盤以降殺し屋シガーは,まさに”死”を体現しているような存在になる。しかもそれが機械のような冷たさではなく,不気味で粘着質な,とにかく不安にさせそして絶望させる存在なのだ。こうした感覚を相手に植え付けるのって,マイナス方向とは言え,絶対的な存在感だ。2人の姿を追っていた保安官ベルが,一瞬だけ殺し屋シガーと対峙するシーンがある。その後に,ベルが決意したことから考えても,シガーが”死”の象徴である,というのもおかしくない解釈だと思う。------------殺し屋シガーを演じているハビエル・バルデムばかりが話題になっているが,保安官ベルを演じているトミー・リー・ジョーンズの方が気に入った。この映画に登場する数少ないまともな人間だと言うこともあるが,舞台のテキサスに見事に馴染んでいて,50年間ここに暮らしてます,って存在感が見事だった。缶コーヒーのCMももちろんいいと思うが,こうしたピシャッとはまった役をこなしているのを観ると,まったく異なる感慨がある。
2009.05.22
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以前も書いたと思うけど,僕は元来肩こりとは縁の無いタイプだ。もちろん徹夜明けだったり,重い荷物を持った翌日だったりした時は別だが,総じて肩はいつも軽い。ところがここ1ヶ月あまり肩こりがし,特に左肩が張る。水曜日の夕方にチャンスがあったので整体に行った。こちらが何を言う前に,背中を触られてすぐに「左側がすごく凝ってますね」と言われたのには驚いた。最初に感心させられたので,後の質問にも素直に答える気になる。「何か最近運動をしましたか?」「いいえ」「重い荷物持ちましたか?」「いいえ」「姿勢は悪くないし・・・」「はあ」「・・・」「・・・」「・・・」「・・そう言えば,左の胸に痛いところがあります」「ここですか?」「いててて」「アバラにヒビが入ってますね」「・・・やっぱり」と,原因が分かって一安心だ。アバラのヒビは痛みが治まりつつあるならば,そのままで良かろうと言うことにもなった。「リンパの流れが改善しているのが分かりますか?」「えっ?はい?あ,分かります」とウソをついた。その日は肩がふわふわしていたが,翌朝は”揉み返し”(と言うらしい)で,余計に痛かった。
2009.05.21
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都会派冒険小説「都会のトム&ソーヤ」の現在のところの最新巻の第6巻を読んだ。○ストーリーソーヤの家に招待されたトムは,セキュリティシステムから侵入者とみなされてしまう。最新の自律AIと最強のサバイバル中学生が正面からぶつかる。一方でこの事態に乗じて,本当の侵入者が迫っていた。果たしてトムとソーヤの運命は?-----------田舎を舞台にしていた第5巻とは180度異なり,舞台は街中でしかも相手は人工知能だ。高度に進化したホームセキュリティと戦う,というのはなかなか面白い設定で,見慣れたフツーの住宅が”戦場”となるだけでも面白い。またいつものようにトムがサバイバル技術を発揮するが,どこの住宅にもあるような道具や材料を駆使してみせるのも,ひじょうに新鮮だ。上下巻の大作で村をまるごと使った冒険だった5巻と比べ,6巻はほとんど1軒の家の中で話が進んでいて全体的にコンパクトに仕上がっている。フツーだったら話のスケールのインフレーションが進むところだけど,6巻は舞台設定が面白いので十分楽しめる。-----------ただし昨今はどの会社でもかなりセキュリティがうるさい。僕自身もセキュリティ設備設置の仕事もしているので,物語上どうしても発生してしまうアラに気付いてしまった。セキュリティの基本は4つのDと言われていて,すごませる(Deter),発見する(Detect),時間をかけさせる(Delay),拒絶する(Deny)となる。キチンとしたシステムならば,パッシブセンサーは完備すべきだし,ペリメーターは扉と窓も電気錠で自動施錠とすべきだろう。まあ,でもそうすると物語が進まないのはわかるけど。-----------ひょっとしたら活躍すると思われたトムとソーヤの父親たちの出番は無かった。
2009.05.20
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景気が悪いので人件費と光熱費節減ということでノー残業が推奨されている。驚くほど早く会社は後にするのだけど,結局駅前の居酒屋で6時過ぎから飲み始めて,帰宅するのはあまり変わらなかったりする。もっともそういう生活を送っているのは僕の周りだけだ。他の人たちは家族サービスをしたり,トレーニングをしたり,習い事をしたりしているのだろう・・・たぶん。------------たまたま同僚の1人が報告書の作成に手間取っていて,それを手伝っていて7時近くまでかかった。以前だったら当たり前のような時間だけど,今の感覚ではすごく遅くなったような気がする。ホントは帰って映画の続きを観たかったんだけど,なんとなく流れでそいつと2人で飲みに行くことになった。一番親しい同僚で飲み友達の人が病気療養で休みを取っているので,誘ってくれる人は貴重だし。で,そいつは年下なので,ほとんど僕がおごるようなことになってしまった。どこかで失敗したような,そんな気もする小市民根性なのだった。
2009.05.19
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古田日出男の犬の神話を読んだ。○ストーリー冬のシベリアで1人の若者が丸太小屋にたどり着く。彼を助けてくれたのは年老いた猟師だった。だがあることが起こり,小屋の地球儀からは犬の頭骨が取り出される。その骨の祖先の歴史,そしてその骨に連なる子孫の系譜。人間のものだと思われていた20世紀が,「犬の世紀」として力強く語られ直す。-------------聖書だ。古田日出男は犬の聖書を書いてしまった。物語は現在進行形で進む”大主教”と”娘”,そして彼らと暮らすベルカという名前の犬のパート,そしてベルカに至るまでの犬の一族の叙事詩のパートの2つに分かれる。おそらくジャンルとしては冒険小説ではあるが,ひょっとしたら世にもまれな犬のために書かれた本なのかも知れない。なんだか本気でそうしているんじゃないかと思わせる不思議な真剣さがある本だ。-------------叙事詩の部分は1943年から1990年後半の間に,ベルカの祖先の一族の流転が語られる。これはたかが50年だが,人間の6倍ぐらいのスピードで年をとる犬の時間で考えれば,300年に渡ってある一族の歴史を追ったことになる。この部分は驚くような事件の連続が,突き放したような硬質な文章で淡々と語られる。何世代もの犬たちが時代と人間に翻弄され,けれども誇り高く生き抜く様が繰り返し語られている。犬たちは時には人間に歯向かう。軍用犬として敵の兵士を征圧するもの,野生化し家畜を襲うもの,そして飢えて人間を喰うものも登場する。-------------”大主教”と”娘”の物語は,叙事詩とほぼ交互に語られる。このパートはそれなりに読みなれた冒険小説のように進む。だが所々に「これはどういうことだろう?」という思わせる展開があり,最後に見たことのない地点に到達してみせる。-------------とにかく型破りな作品だ。特に叙事詩のパートには小説10冊分ぐらいの物語が惜しげもなく押し込まれていて圧巻だ。日本の作家で似たような作品を書く人はいるのだろうか?イマジネーションの奔流という意味では初期の村上龍に似ているかもしれないが,その奔流をきっちりと現代史とからめて見せる手腕は明らかに異なる。その辺りはクィネルという冒険小説の作家を思わせた。-------------犬のための物語だが,別に犬が日本語でとうとうと語り始めるワケではない。「来テハダメダ」などカタカナの短文が意思として表現される。この短文の無骨さシンプルさが,この物語に登場する犬たちの生き様に見事にマッチしている。今の日本はかつてないペット犬のブームらしいが,愛玩犬に飼い主たちにこの物語に登場する獰猛で美しい犬たちの姿を教えてやりたい気がした。ひさびさに圧倒された。
2009.05.18
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今日は親戚の用事で銀座で食事をしてきた。朝一は少しムリをして図書館に行った。久しぶりに開館直後に行った図書館は,独特の雰囲気で懐かしかった。さて昼食なのにセミフォーマル着用時間厳守と言うことで,ネクタイを締めてあわてて出かけた。曇りがちな天気だったのは今日に限っては幸いだった。早めに着いたので,まずは『ラデュレ』でお土産のマカロンを買った。個人的には他の店のものの方が好きなのだけど,人気なので。その後は博品館で時間をつぶした。リサとガスパールのコーナーがあって,「リサとガスパール金太郎飴」という不思議な商品をほとんど買うところまで行ったが,時間が迫ってきたので断念した。うーん・・・フランスの皆さんはこんな商品が日本で出ているとは想像もしていないだろうなあ?フランスづくしの仕上げは,とある有名フランス料理店の昼食だった。フォアグラを3種類に調理した品など,日本のお客に合わせてアレンジしており,ヌーベルとは違うけど新しい魅力に満足。さすがに夕食はソウメンだけで十分,という気分になった。
2009.05.17
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石田衣良の出世作で,だいぶ色褪せたんだけどまだ続いている「池袋ウェストゲートパーク・シリーズ」の最新の単行本を読んだ。○ストーリー池袋のトラブル解決屋のマコトは,ワンコールワーカーのサトシと出会う。昼は日雇い派遣で働き,夜はネットカフェで暮らすサトシは,派遣会社に搾取される「情報費」について問い合わせをした数日後,何者かに襲われて足を骨折させられてしまった。犯人を捜すため,マコトは派遣会社に登録して派遣の現場に送り込まれる。そこでマコトが見てしまったこととは?-------------「池袋ウェストゲートパーク・シリーズ」の魅力は,池袋という若者が多い街を舞台にしていて,少しアンダーグラウンドの人々のトラブルを主人公マコトが独特の機転で解決する,というところだと思う。ライトなハードボイルド物語としても楽しめるし,”ストリート系”を中心とした現代のサブカルチャー(というより闇カルチャー?)についての情報が多いのも魅力だ。また主人公マコトが,警察にも闇組織にもストリートギャングにも属していない(状況によってはチカラを借ることはあるが)のもこのシリーズの個性だろう。-------------IWGPシリーズ第8作目は,シリーズ開始から10年目にもあたる。もちろん主人公たちをそのまま10才年をとらせては,30代のオヂサンたちの物語になってしまうので,物語の中では時間は経過していないような雰囲気だ。このシリーズは「水戸黄門」化していても一定の品質があって安心して読むことができる,という感想も多い。でも本当にそうだろうか?最近のIWGPで街の新しいカルチャーを知っただろうか?マコトはあっと驚くようなやり方で事件を解決しているだろうか?第8作目の今回の依頼者は,シングルマザー,駅前美化運動のリーダー,元カレからプレイ中の写真で脅迫される女,非正規派遣社員だ。依頼者も揃って凡庸ながらそれぞれが抱えている問題も凡庸だ。ズバリもう新聞で読んだような事件ばかりなのだ。IWGPを読んで,ハッとさせられることはもう無いのだろうか?小説の中でマコトたちは年をとらないけれど,10年間は間違いなく過ぎ去っていて作者・石田衣良のアンテナは確実に10年分劣化している。-------------各編について簡単に述べる。「仙川フォールアウト・マザー」:夜勤の弁当作りの仕事をしながら3才の息子・カズシを1人で育ててきたユイの暮らしぶりが急に派手になった。カズシとユイを守るために調査をマコトの依頼者はなんとマコトの母親だった。・・・マコトの母親が全て仕切る作品で,この本で唯一リアルでシビアな解決をしている。このシングルマザーには全く同情はしないけどね。「池袋クリンナップス」:池袋の街頭美化運動のリーダーが誘拐された。途中から突然巧妙になる誘拐犯の手口に隠された秘密とは?・・・偶然が多すぎてどう解釈したらいいのか分からない。石田衣良作品に多いのだが成功者を中心にすえていて,なんだか反感も覚える。「定年ブルドッグ」:元カレからSMプレイ中の写真を買い取るように脅迫されている女・ハルナ。彼女の依頼を受けて調査を始めたマコトは,定年過ぎと思われる大男に突然投げ飛ばされる。果たしてこの男の正体は?・・・なんでこんなバカ女を救わなければならないんだろう?そんなヒマあるならば駅前でゴミ拾いをしていた方が有意義だと思うが。「非正規レジスタンス」:派遣会社ベターライフの不明瞭なマージン搾取に異を唱えたサトシが襲われ負傷する。調査のために派遣の現場に赴いたマコトは,信じられないものを見てしまう。・・・「ベターライフ」って「グッドウィル」のことだよね。ネーミングのベタさだけじゃなくて,全てが新聞記事3つくらいを使って書いたみたいな安直さだ。とにかく話題が古いし,掘り下げが浅い。サトシの「心の叫び」を使って涙を誘おうというあざとさも鼻につく。
2009.05.16
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半月ぶりに現在休職をしている同僚と飲んだ。場所は何回も行っている有楽町の西側にある焼き鳥屋。何店も軒を並べていて,どの店も前の道にはみ出して営業をしている。これまでははみ出した部分がひさしとビニールカーテンに覆われていたが,暖かくなってきたので素通しだった。彼は今月中に復職を予定しているとのことだ。一方で休職の理由となったハラスメント被害も労働基準監督署から認定されるたらしく,その関係もあり会社側とどのように復職するか協議中らしい。実は彼が務めていたポストに僕が推挙されていて,それを伝えたいというのもあった。来週の金曜日までに回答をしなければいけないので,たぶん今回が唯一のチャンスだった。一応方向が見えたので安心できた。まあもちろんいつも通り,バカ話も山ほどあってヨモヤマ話をしている内に有楽町の夜は更けた。
2009.05.15
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乙一の大傑作「GOTH」の新作中編を読んだ。○ストーリー殺人者を呼び寄せてしまう少女・森野は,7年前に女子高生の死体が発見された場所に出かける。そこで彼女に話しかけてきた男の車に森野は乗り込むことになってしまう。果たして彼女の運命は?この男の正体は?-------------単行本には「GOTH」の中編が1編だけ収録されている。その後に150枚くらい映画版の『GOTH』に主演した若い女優が森野に扮した写真が収録されている。この写真は作中で撮影されたものをイメージしており,妙に生々しくて少し怖かった。個人的には「GOTH」の世界が立体的に迫ってくるカンジがして面白い試みだと思った。だが写真が,モータードライブで連写したものを大量に掲載している,意図的に素人っぽい構図と露光で撮っている,ということもあり,芸術的な試みなのかも知れないが万人ウケするものではなくなっている。もっと素直に映画とのタイアップを前面に出して,写真がスチールやポートレートだったらまだ違ったと思うが,芸術的というより手抜きにしか思えないのが残念だ。-------------ただし中編「森野は記念写真を撮りに行くの巻」は,不気味な空気,怪しい男に狙われる少女,怪しい男さえ沈黙させてしまう恐怖の少年と,「GOTHシリーズ」に必要な要素を全てきちんと満たしていて,ファンは大喜びできる作品だった。主人公の少女と少年の存在感と究極なまでの厭世観が,このシリーズの魅力だと思う。斜に構えたキャラクターは古くから存在するが,これだけ性格が悪くて愛想が悪くて,でも魅力的という人物造形は乙一ならではのものだと思う。「GOTH」は文庫での上下分冊の刊行でも評判が悪いし,中身が素晴らしいのに出版社側の対応でマイナスな事態が多いと思う。-------------乙一の文章は,漢字の使い方が少し変わっていて,ちょっと見るとあまり知的では無いように見えてしまう。けれども小さい描写から内面の心の動きを表す手法や,起きている事象を確実に描写できる筆力などを見ると,漢字の用法はクセというか,もうこの人のカラーなのだと思う。懐かしく思いながら読むことができた。ファンには文句なしにオススメだ。
2009.05.14
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偽大正浪漫の魅力あふれる森見登美彦の出世作を読んだ。○ストーリー可愛らしい後輩に恋焦がれる私は,春の先斗町で,夏の古本市で,秋の学園祭で,冬の糺ノ森で,彼女の後を追い続ける。魅力あふれる奇妙な人々と共に,2人が巻き込まれる不思議な事件とは?そして私と彼女の恋の行方は?-------------4つの中編が収められていて,春夏秋冬の物語となっている。5月ぐらいの春編で始まり,12月の冬編で終わるので,厳密には1年ではないが,ちょうど四季をめぐって1年を京都で過ごしたような気持ちにさせてくれる。冴えない学生が天然系美少女に惚れるというフツーのストーリーを,脇を固める奇妙な登場人物たちの魅力,毎回起きるキテレツな事件の面白さ,そして舞台している京都特有の雰囲気で一気に読ませる物語に仕立て上げている。半分が幻想小説あるいは妄想小説なので,「こんな女の子いないだろう」というツッコミはご法度だろう。-------------さてあちこちで言われているが,この小説の表現や会話文は戦前や大正時代の軽い小説を意識したものになっており,ひじょうにクセがある。それが平気かどうかでこの作品への評価が大きく割れるらしい。僕自身は旧かな遣いそのものも面白かった「のらくろ」などを思い出して楽しめた。また舞台が京都なので,なんとなくゆるせてしまうという偏見もある。学園祭の雰囲気なども含めて,レトロなカラーで統一されているのだけれど,さらっとケータイでメールを送っていたりしている。レトロカラーでうまくコーティングはしているものの,この物語が現代に起きていると考えると,なにやらまた楽しい気持ちになる。でも一方で言葉遣いやひょうひょうとした登場人物にバカにされているような気持ちになる読者もいるだろう。そういう感性もあるだろうから,それは否定できない。-------------主人公の「私」も消極的と自戒しつつも,なかなか毎回頑張っている。ただ正直,僕にはこの「後輩」の女性の魅力は理解できなかった。演劇のシーン以外は,ブリっ子っぽいイメージでイヤ。
2009.05.13
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芥川賞作家(であるらしい)伊藤たかみの小学生向け作品を読んだ。○ストーリー小学6年生のユウスケは普通の少年だが,同じクラスにいる双子のミカは男の子以上に活発でケンカっ早い女の子だった。いつまでもこのままでいたい2人だったが,学校も家庭も,そしてミカ自身も急速に変化を迎えつつあった。------------単行本版を読んだのだが,ディズニーキャラクターのようなウサギがオレンジ色の表紙に描かれていて,これが何か物語に関係して来るのかと思っていたが,まったく少しも関連が無かった。表紙が内容を表す必要はないが,無関係なデザインは余計なだけだろう。さて内容だが,元気でちょっと乱暴者の双子の妹を持ったフツーの男の子が描かれている。関西弁なので自信が無いが,会話は自然な流れになっていると思った。けれども中学進学を控えた今どきの小学校6年生にしては主人公,クラスメートとも緊張感が無いのと,ややシンプル過ぎる小学生恋愛が進むあたりは不自然じゃないだろうか?乱暴者として登場したミカが,意外とウジウジと物を考えている。とすると日頃は乱暴者を演じているということなのだろうか?考えるとコワイ。------------ラストは淡々としていて説明的だ。このトーンダウンではフツーありえないが,実は続編がある。------------オトトイという名前を付けられた不思議な生き物が登場するのだけれど,これがなんだか分からないのがイライラする。表紙のウサギは関係ないようだし,いったい???
2009.05.12
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「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」と読んできて「ジェネラル・ルージュの凱旋」に進む前に,発表順に「螺鈿迷宮」を読んだ。○ストーリー麻雀でプロに借金を作った医学生の天馬は,その返済のために桜宮病院の潜入調査を行う。総合的な終末医療を掲げている桜宮病院では,末期患者が生き生きと暮らしている一方で,病死も驚くほど多かった。事故の怪我により本格的に入院することになってしまった天馬は,病院の黒い闇に気付いたが,天馬の身体は既に・・・-------------海堂尊の作品のほとんどは,桜宮という架空の都市を舞台とする大きなシリーズに属するらしい。「螺鈿迷宮」は,「チーム・バチスタ」から始まる”田口・白鳥コンビ”のメインシリーズには属さないものの,桜宮市を舞台にし,主人公は東城医大の学生で,白鳥も登場する,ということで,かなり本流に近いと思われる作品だ。主人公は落第スレスレの医大生ということで,いきなり麻雀のシーンから始まるが,それ以降はそれなりに素直なところを見せるので,これまでのすれっからしばかりが登場していたメインシリーズよりも瑞々しいイメージだ。また相変わらず登場人物が多いのだが,一人称で物語が進むので読みやすく感じた。どういう訳かこの作品の評判はあまり良くないのだが,「ナイチンゲール」を読んだ後なのでよほどナットクが行く気がした。海堂尊作品の入門としても悪くないのじゃないかと思う。-------------この作品が初登場となる”氷姫”の姫宮だが,なんだか描写にブレがあってあまりイメージがつかめなかった。ただいずれにせよ白鳥と比べると,目新しさも魅力も感じられないキャラクターだったので落胆した。さらにはせっかく登場する白鳥が,それなりに器用でいいお医者さんを演じていたり,一方で議論に負けてしまったりと,初登場の時と比べて型破りな部分が減っている。破天荒なトラブルシューターだったハズなのに,大人しいところを見せてはダメだろう。-------------ミステリーよりもスパイ小説の亜流と読めばいいのかも知れない。ちょっとしたどんでん返しも用意されている。個人的には,メインのシリーズの田口公平のいい人っぷりが気持ち悪いので,別の主人公の作品は楽しめた。
2009.05.11
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後半冷たい雨にたたられた連休の埋め合わせのように,土日は天気が良かった。今日は隣町の図書館に行くために朝の9時に家を出たけれど,もうその時間からいかにも日焼けをしそうな陽射しがじりじりと照り付けていて,思わず日陰の多そうな側を選んで歩いた。何度も書いているように僕は夏の方が好きだ。今日の陽気のおかげで今年初めてTシャツ1枚で外出できたことも,連休の初めに買ったTシャツをようやくおろせたこともうれしかった。------------さて母の日ということで月並みではあるがカレーを作った。少しだけ変化をつけようと,ホワイトカレーにして,エビとピーマンを入れ,ライスはサフランライスにした。3時過ぎに近所のスーパーに買い出しに行き,5時くらいから作り始めて,7時に出来た。暑い日にカレーは良く合ったのだった。------------一点変わっているとしたら,同居している姉のために作ったということだろうな。
2009.05.10
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久々に考えさせられるハリウッド映画を観た。○ストーリー共和党の実力派議員アーヴィングに呼ばれたベテラン記者のジャニーンは,今ちょうど動き出したアフガニスタンでの作戦行動を知らせれ,その独占報道を持ちかけられる。一方,その軍事作戦に従事している2人の青年兵士の指導教授だったマレーは,彼らがやり残したプロジェクトの引継ぎを1人の学生に持ちかける。2ヶ所で議論が戦わされる中,アフガニスタンの戦場では不測の事態が起こり始める。全てが終わった時,決意された事とは?-----------ロバート・レッドフォード製作・監督・出演の作品で,メリル・ストリープとトム・クルーズも出演している驚くほど硬派の作品だ。映画は,ワシントンで議論している2人,カリフォルニアで議論している2人,そしてアフガニスタンの戦場で孤立している2人,と6人のアメリカ人にフォーカスしている。アフガニスタンの戦場も,中盤以降はアクションが無くなるので,映画というよりは舞台劇のような展開となる。それにしてもここまで露骨にリベラル主張の映画が製作され流通されるということは,ハリウッドの本来の伝統がまだ生き残っているという証明で安心させられる。この映画に関わると言う事だけで,あるレッテルを貼られることになっただろうから,俳優・スタッフ共にそれなりの覚悟を持って臨んだのだろう。-----------出演者はそれぞれアメリカ社会のある側面を体現している。アーヴィング議員(トム・クルーズ)はタカ派,女流記者ジャーニン(メリル・ストリープ)は日常の経済活動に追われる現実系リベラル派,マレー教授(ロバート・レッドフォード)は挫折を感じている学術系リベラル派を現している。青年たちはもう少し複雑で,同じように優秀な知性を持ちながらマイノリティー2人組はアフガンの戦場へ赴き,白人学生トッドは大学の教育理念に疑問を持ち不登校となりつつある。彼らはそれぞれ黒人,ヒスパニック,白人の若い(ただし優秀な)世代の代弁者を担っている。マイノリティーの2人の青年が,かつてのマレー教授の教え子で,この映画で起きている時間軸ではちょうどアフガンで作戦に従事しているという偶然は,この映画の最も露骨なトリックだろう。そうでなければ3ヶ所で起きている物語がつながらないのだけれど,そうでなければ観客の気持ちが動かないからだ。とは言え,それ以外の点を見ればこの映画で俳優たちが体現しているアメリカの側面は,ひじょうにフェアに描かれている。アーヴィング議員と記者ジャーニンの間でのタカ派対リベラル派の議論では,もちろん全面的な対決姿勢となるのだが,それぞれが自分たちの現実的な立場も分析して見せる。またタカ派は9.11を起こしてしまった,リベラル派は9.11直後はタカ派に迎合してしまったという過去の過ちなども素直に認めている。政治とマスコミの代表者2人に対し,マレー教授は学者を代表している。彼が教え子トッドにもらすセリフの1つは政治学の学問の限界を認めるセリフであり,また一定の年令に達した者が半生を振り返って能力の無さを認める言葉であり,とても重い。-----------映画はある事件の発生でほとんど唐突に終わってしまう。それを知った若いトッドと記者ジャーニンがどういう行動を取るのかまでは描かれていない。この終わり方もまたトリッキーで論議を呼んでいる。もちろん製作したレッドフォードとしてはリベラルな行動を希望しているのだろうけど,映画としては観客がタカ派・リベラル派どちらの解釈も取れるようになっている。こうして終わられてしまうと改めて映画の原題の『羊のための獅子』を考えさせれてしまう。アメリカ映画の,そしてアメリカ社会の成熟さを感じさせる作品だ。
2009.05.09
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都会派冒険小説の「トム&ソーヤ」が舞台を田舎に移した。○ストーリートムとソーヤに対しゲーム製作集団”栗井栄太(クリエータ)”から招待状が届く。彼らが手掛けていたライブRPGの『Invade』が完成したと言うのだ。同じ究極のゲームを目指す者として,トムとソーヤは『Invade』をクリアしてみせるために,塀戸(Vade)村に出向く。塀戸村には2人以外にも招待状の暗号を解いた参加者がいたが,その中には犯罪計画集団”プランナー”からの手先も来ていたのだ。果たしてゲームを解くのは誰か?そしてゲームを邪魔する者の目的は?--------------「都会のトム&ソーヤ」の5巻は上下巻分冊の大作だ。4巻が若干肩透かしだったが,この5巻では”栗井栄太”との正面対決をしっかりと書き切ってくれていて満足できる。予告されていたライブRPGの『Invade』も,RPGとサバイバルゲームとSFと犯人探しがミックスされていて,これならば面白いかも?と思わせる。またどこまでがゲームで,どこまでが事件なのか分からないという展開もハラハラさせられる。上巻のラスト周辺の展開では「この物語どこへ行ってしまうんだろう?」と,ビックリさせられた。「夢水清志郎事件簿」でも事件に巻き込まれて同じように超常現象に遭遇することもあったのだけれど,どこかノンビリしているところがあった。このシリーズでは,主人公が危機に遭遇するシーンではなかなか緊張感にあふれている。タダモノではないとは言え,彼らが中学生2人組で,多くの場合相手が大人だからだろうか?--------------タダの中学生コンビの息の合い方はいつも通りだ。頭脳派のソーヤとサバイバル派のトムそれぞれにきちんと見せ場があって,互いに補い合っている。ミステリーでは伝統的にホームズ&ワトソンタイプのコンビがいまだに多いが,「トム&ソーヤシリーズ」のコンビはもっと互いを必要とする,より暖かいコンビだと言える。とは言うものの,ソーヤの口は悪いし,トムを操るために女の子をダシに使うなど,相当性格が悪いところを書かれている。そう言う所がいっぱいあっても,この2人はどこかで信頼し合っているので,読んでいて安心感がある。この5巻では,トムがいつも以上に活躍するので,ファンは大喜びだろう。--------------番外編ではトムとソーヤの父親たちがこっそりと登場し,あるきっかけで知り合いになった。ことにソーヤの父親はなかなか個性が強そうなので,本編への登場も期待できるだろう。”栗井栄太”とは一定の決着が着いたところで,このシリーズはこれからどういう展開を見せてくれるのだろうか?楽しみだ。
2009.05.08
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伊坂幸太郎の短編集を読んだ。連作ではない短編集はこれだけじゃないかと思う。○ストーリー3枚のアルバムを出して解散してしまったロックバンドの最後の歌には無音の間奏部分がある。夜のドライブでその曲を聞いていた私は,間奏部分の沈黙にかぶせてどこからか女性の声が聞こえるのに気付く。小さな奇跡が小さな奇跡を呼び寄せ,やがて・・・-------------読者を楽しませる物語の構成,さらりとしているのに暖かいキャラクター造形などはまさに伊坂作品だ。ただしこれまでの伊坂作品は長編小説,あるいは同じシリーズの中編・短編などの連作で構成されていた。今回のような短編集は初めてなためか,やや”満腹感”が足りない気がした。伊坂作品同士をつなぐリンクは健在,と言うよりいつも以上に顕著な気がした。「重力ピエロ」でも活躍をした探偵&空き巣の黒澤は2つの短編に登場し,ひょうひょうとしたキャラクターで存在感がタップリだ。それ以外のリンクはもっとさりげない感じで,見落としてしまいそうなものも多い。ファンとしてはこうしたリンクから”伊坂ワールド”とでも言うような大きな作品を楽しんでいるような気分にもなれるので,この仕掛けは有効だと思う。そのおかげでこの短編集そのものに対する不満も少し薄れるような気がした。-------------各編について簡単に述べる。「動物園のエンジン」:ある動物園では毎晩クビになったはずの職員・永沢が泊まりに来ていた。彼が来ると動物たちが喜ぶと言うこともあり,動物園側も見逃しているらしい。私と友人は永沢がそうした行動を取っているのは,ある事件が理由になっていることを疑い始める。・・・枚数も少なくあまり評判の良くない短編なのだけど,夜の動物園と言うだけで独特魅力があり,個人的には好きだ。でもラストがちょっと。「サクリファイス」:ある男を捜す依頼を受けて山奥の村にたどり着いた探偵の黒澤は,この地の人身御供の風習”こもり様”の儀式を知る。村長が閉じ込めている”こもり様”はいったい誰なのか?・・・作品で描かれている村と英語のタイトルのミスマッチにどうもしっくりこない。またテーマの重さも伊坂作品としては異質な気がした。「フィッシュ・ストーリー」:飛行機に乗る私に隣の席の男が話しかけてくる。不思議な物語を語った男がトイレに立つと,事件が起こり,私は・・・もっと読みたい!と思わせられる絶妙な短編だ。いろいろなエピソードが語られ,最初は混乱するものの,最後にはパズルがぴったりとはまる。やはりタイトル作品だけあって,群を抜いて完成度が高い。「ポテチ」:あるマンションへ仕事に入った空き巣の今村たちは,女性からの助けを求める電話を聞き,彼女を助けに行く。今村たちがそこで出会ったのは?・・・「ラッシュライフ」に登場した空き巣・今村を主人公にした作品だ。先輩の黒澤も登場するが主人公の今村は頼りない。けれでも妙に可愛らしい所もあり,女性の心をくすぐりそうなキャラだ。「重力ピエロ」にも通じる雰囲気がある。
2009.05.07
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大型連休のワリにはどこにも遠出をせず,一番遠かったのが横浜という小粒な毎日を送っていた。それでも食事はせざるを得ない。そのうち,まあまともだったものを紹介する。上野「黒船亭」美術展の帰りに寄った。歴史のある店で,現在は洋食屋となっている。上野公園から不忍池に向けて下って行き,交差点のマクドナルドの上にある。いつも混んでいるので,ある程度待つことを覚悟しないといけないが,それだけの価値はあると思う。人気のハヤシライスはトマトの味が濃く,やや好みが分かれると思った。それ以外に,オムライス,ステーキ丼などもあるが,年配の人や女性グループが多い店の印象からはかけ離れたボリュームだ。魚貝類のブイヤベースも美味しかった。銀座「柿安 香港飲茶」開国博に横浜に行く代わりに行った。銀座の高速高架下にある。中華ビュッフェだと思って行けば大丈夫だが,飲茶ビュッフェを期待するとビミョーなところだ。基本の時間は80分だが,その間に飲茶のワゴンが回って来たのは4回だけで,それが美味しいだけにひじょうに残念だ。コストパフォーマンス上は仕方がないのかも知れないが,なんだかだまされたような気がしてしまう。飲茶だけでなく,マンゴープリン,杏仁豆腐なども美味しかったので,全体的には満足なんだけどね。「マクドナルド」2年に1回ぐらいしか”ビッグマック”を食べないのだけけれど,連休の間は特別価格と言うことで買ってみた。いつも後半バラバラになってしまって後悔するのだが,今回は最後まで美味しかった。でも次は2年後だろうなあ。
2009.05.06
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ブレンダン・フレイザーの出世作『ハムナプトラ』の最新作を観た。○ストーリー自分たちのミスで中国の秘宝が奪われ,それを利用され中国の皇帝のミイラが蘇る。リックたちオコーネル・ファミリーは,世界を征服しようとする皇帝を再び封印するために,上海,ヒマラヤそして万里の長城へと冒険の旅を続ける。------------日本公開の際に,エジプトの幻の都市・ハムナプトラを映画のタイトルにしてしまったため,この第3作ではタイトルと内容が全く関係無くなってしまっている。この映画の配給に関しては日本UIPは最初から間違いばかりをしているような気がする。このシリーズの第1作の原題は『ミイラ』であり,元々は戦前のボリス・カーロフが主演した『ミイラ男』のリメークだったらしい。中国の皇帝がミイラの状態で封印されていたというのはちょっと苦しい流れのような気がするが,少なくともエジプトの都市名が出てくるよりはよっぽど説得力がある。日本向けのマーケティングは遺跡を舞台にした冒険物語ということで『インディアナ・ジョーンズ』と同系列であることを強調したものになっているが,本来はもっと伝統のある作品だったらしい。ヘンテコなタイトルが悪影響を残しているいい例だろう。------------映画は大きく3つの部分に分かれる。上海での皇帝ミイラの復活と市内での攻防劇,ヒマラヤの山岳寺院を舞台にした籠城線,そして万里の長城を背にした全面衝突だ。中国を舞台にした冒険映画という視点に立てば,抜群のチョイスだと思う。復活する皇帝役に中国や香港の有名どころではなく,ハリウッドでB級アクション俳優となりつつあるジェット・リーを起用しているあたりはちょっとイタイ感じだが,それなりにアジア市場を意識した製作だとは思う。今回一番魅力を発揮しているのが,反皇帝派の祈祷師ツイとリンの母娘を演じるミッシェル・ヨーとイザベル・リョンのアジアン,香港系女優2人だ。ユニバーサルも本国はちゃんとマーケティングをしているという証拠だな。------------虫とかヘビとかが気持ち悪かったし,砂嵐までCGで演技させてしまうというシーンが斬新だった前作2つと比べると,今回の特撮には目新しさは感じられない。リンの言うことをなんでも聞くという雪男イェティが目を引くが,それ以外は残念ながら昨今では標準的な映像だ。さらにいけないのがアクションシーンの説得力の無さで,テンポだけはいいのだが全体の流れにメリハリが無い。例えば山岳寺院のシーンであっさりと皇帝側の軍隊に接近を許してしまうのはどうして?また万里の長城のシーンで戦闘シーンがまったく緊張感が無いのはどうして?------------と,イロイロ言っても好きなジャンルの映画だし,ポイントポイントはお金をかけている作品なので,細かいことを気にしなければ十分以上に楽しめる。どうやら南米を舞台にした4作目も計画されているようなのは,ミイラというキャラクターの強さの証明だろう。日本ではいつまでもエジプトの都市の名前が付いていていいのだろうか?
2009.05.05
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はやみねかおるの「夢水清志郎事件簿」からの1作を読んだ。少し落ち着いた雰囲気だ。○ストーリージャパンテレビのクイズ番組に出演した夢水清志郎を観て,ハワイの大富豪が事件の謎解きを依頼してくる。夢水清志郎の一行が出向いた先は,ハワイに建てられたフランス風の城だった。だがこの瀟洒な城では,大富豪の一族が消失する事件が起こっており,さらに新たな事件が!夢水清志郎たちは,現代の,そして過去のみんなを幸せにすることができるのか?------------「海賊のお宝」「幽霊城」「呪われた土地」とおどろおどろしいフレーズが並ぶが,内容はいつもの「夢水清志郎事件簿」で小学生から安心して読める。実ははやみねかおるがこのシリーズで目指しているのはある意味アンチミステリーだと思う。ミステリーはどうしても人が死んだり,大事なものが盗まれたりして,事件が発生してから探偵が全てを解決すると言うのがセオリーだ。だがこのシリーズではミステリーでありながら凶悪な犯罪を扱わず,また探偵役の夢水清志郎も意図的に謎のある部分を解き明かさなかったりする。登場人物たちは謎に満ちた事件に巻き込まれる。だが彼らも夢水清志郎も刑事ではないので,事件を全て解明する必要も犯人を逮捕する必要もない。彼らは一見犯罪に見える事象は必ずしも阻止はしない。大人向けのミステリーをスケールダウンしただけの子供向けミステリーに対して,異なるアプローチを示そうとしているのがこのシリーズではないかと思う。------------とは言え,この作品にも欠点は多い。「都会のトム&ソーヤ」や「怪盗クイーン」などはやみねかおるの別シリーズの登場人物がゲスト出演することはまだ良い。問題は,わざわざ提示した謎のいくつかが,きちんと明かされないままになっていることだ。-なぜ山田の土地は呪われていたのか?-老人・金田ファーストの正体は何者なのか?-あの2人組の正体は何者なのか?-海賊のお宝はあったのか?全ては語られなくても推測できる謎もあるのだけれど,ある部分は饒舌なのにある部分は語ろうとしないというあたりのバランスが個人的に合わないらしくて,しっくりと来ない。------------このシリーズもあと1冊「卒業」で終わるらしい。その前に,江戸時代編と現代編を結びつけることで,シリーズをまとめておいたということだろうか?
2009.05.04
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『宇宙空母ギャラクティカ』の拡大リメーク作品である『バトルスター・ギャラクティカ』の第1シーズンを観終えた。○ストーリー機械生命体サイロンの奇襲によりほぼ全滅をした人類は,戦艦ギャラクティカを中心にした宇宙船団を組み,はるかなる地球を探して放浪の旅を続ける。船団は,地球の位置を示すという古代惑星コボルにたどり着いたが,軍部,政府の意見は割れ,そして船団の中にひそんでいた人間型サイロンが行動を見せ,ギャラクティカは最大の危機を迎える。-------------火曜日の深夜に日本テレビ系列で地上波放送をされていた『ギャラクティカ』が,パイロット・エピソードと第1シーズンを終えたところで終了した。後番組として『ドクター・ハウス』が開始されるので,どう少なく見積もっても半年はこれが続くだろう。この時間枠は『24』,『プリズン・ブレイク』,『ヒーローズ』など,アメリカTVドラマのビッグネームを紹介してきたので,半年後に何が放映されるかは全く予想ができないところだ。ゆえに第1シーズンの全ての不穏な行動が一気に爆発したような,シーズンのラストエピソードにて「いったい全体どうなっちゃうのよっ?!」というシーンで結末を迎えた物語の決着が(たぶん)着く第2シーズンの放映を待っていたら,いつになるのか全く予測がつかないという状態だ。-------------「評判は悪くないけどべつに観なくとも」と思っていた僕を,このドラマはガッチリととらえてしまった。『スター・トレック』とは異なり動きのある実写風の宇宙船同士の戦闘シーン,登場人物それぞれが抱えたドラマの丁寧な描写,地球人と同じ容姿の人間しか登場しないリアリティ,そしてハードでダークな映像美・・・どれを取っても一流品で,毎週火曜日深夜の放映が楽しみだった。優等生的な自縛で人気を失っていった『スター・トレック』とは異なり,『ギャラクティカ』の登場人物たちは,矛盾と愚かさと欠点を備えたフツーの人間たちだ。物語も1話では完結せず,明らかに連続したドラマが展開していくのも目新しかった。まあ明らかにアメリカの世相を反映していたのだが,日本でもシーズン1の地上波放映と,シーズン2のDVD発売でだいぶ人気が出たようだ。-------------日本独自のムーブメントと言えば,作中で”ブーマー”ことバレリー少尉を演じる東洋系女優のグレイス・パーカーに人気が集中したことだろう。彼女が1月に来日した際には,ハリウッド女優並みの扱いだったようだ。他のアメリカTVドラマでも1人ぐらいは東洋系のキャラクターがレギュラー出演をしているが,影があるキーパーソンという位置付けが日本人に受けたのかも知れない。だが作中の自信なさげな雰囲気と,インタビュー等で見せた堂々とした姿にはだいぶギャップがあった。-------------まだまだシーズン4まで続く物語だが,今知りたいのはシーズン1のラストがどうなったのかだ。続きがいつ放映されるのか,されないのかも分からないというのは,なかなかイライラする状況だ。とりあえずシーズン2までは最寄りのTsu○ayaで観ることにする。そこから先は,ケーブルテレビ頼みとなるのか,はたまたウェブの動画投稿サイトになるのかはまだ分からない。
2009.05.03
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上野の国立西洋美術館で開催されている『ルーブル美術館展』に行った。大型連休の真っ最中なので混んでいるらしいので,昼過ぎから出かけ,まずは国際子ども図書館に行った。せっかくの立派な建物なのだけど,児童書の閲覧室が小さくて少し落胆した。展示会,ホール,児童文学の研究書のエリアは,広々とした空間配置なのに,だ。主役は子どもではなくて研究者ということなのだろう。-------------午後4時を目安に西洋美術館まで戻った。わずか10分程度とは言え,この時間でも並ばないと入場できないのは驚きだ。けれども入場者数の制限をしてくれているらしく,絵画から3人分ぐらいは人がいるが,それより離れれば自由に動けるという状態だった。国立西洋美術館はずいぶん久しぶりだが,作品の号数に合わせた空間配置,適度な照明,子供向けパンフレットの準備など,かなり気をつかった展示になっていた。一方で昨今のイヤホンガイドを前提としたような説明の掲示方法が目立ち,作品番号は高い位置だが,作品の基本情報は低い位置という不親切が気になった。全体で70点という大きな規模なので,見応えはたっぷりとある。このスケールではどうしても途中に階段の上下が生じてしまうのは,日本では避けられないところだろう。-------------さて今回の『ルーブル美術館展』は『17世紀ヨーロッパ絵画展』というサブタイトルが付けられている。時代でスッパリと作品を絞ってくれると,この時期の絵画作品の豊かさに驚く。なんとなくNHK教育テレビが考えそうな企画ではあるが,展覧会そのものがとても分かりやすい。ルネッサンスで確立された透視図法がしっかりと根付き,一方で宗教とも技術とも緊張感を保っている,一番絵画作品が”幸せ”そうな時代ではないかと思う。ルーブルに出向いて膨大なコレクションに圧倒された挙句に何も印象に残らないよりも,この展覧会に行く方がよほど作品一つ一つを楽しめると思う。間違いないと思うな。-------------気になった作品について簡単に述べる。『金の鎖をつけた自画像』レンブラント:まだレンブラントが20代の頃の自画像で,やや背伸びをしたような表情がうかがえる。技術的には完成度が高いが,後の時代の沈うつな表情とより荒いタッチの自画像を思い浮かべると,いろいろと想像してしまう。『レースを編む女』フェルメール:昨年のフェルメールラッシュに引き続き,またも日本にいながら作品を拝めるとは,驚異的な事態だと思う。いかにもフェルメールらしく,小品でありながら,緊張感にあふれている。これ1品だけでも展示会が出来ると思う。『農民の家族』ル・ナン兄弟:それなりに華やかなモチーフの作品が並ぶ中,1品だけ農民をリアルなタッチで描いており異彩を放っている。ルネッサンスまでの作品に見られるような,平民を見下したようなところが少しも無いことに感銘を受けた。『ユノに欺かれるイクシオン』ルーベンス:上記の作品と対極にあるのがルーベンスの作品だろう。ギリシア・ローマ神話からのモチーフを,明るい色彩とたっぷりとした肉体で描いている。昔は嫌っていたのだけれど,こうして見ると絵画作品としてとても目が引き付けられ,まわりの空間を明るくすることに気付く。『大工ヨゼフ』ドゥ・ラ・トゥール:大工ヨゼフと息子が1本のロウソクを光源にして描かれている。2人の目,息子の手などに写る光が効果的に表現されていて素晴らしい。個人的には今回の展覧会どころか,ルーブルの全作品で一番好きな作品だ。
2009.05.02
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映画の日を利用して,今年のアカデミー賞で最大の話題作となった作品を観た。○ストーリーインドでも大人気番組の『クイズ・ミリオネア』で,ムンバイのスラム街出身の青年・ジャマールが驚異的な正答率で問題を解き続ける。出自や教育から不正を疑われるジャマールだが,一方で国民的なヒーローにもなる。だがジャマールがテレビ番組に出演したのは,彼だけの特別の理由があった。ジャマールが語り始めた壮絶な半生とは?--------------ちょうどこの映画が舞台にしているムンバイ(旧ボンベイ)の人々と,昨年の後半から今年初めにかけて一緒に仕事をした。正月にはこちらからスタッフを派遣もしたが,「さすが世界のIT産業の中心地で,東京以上に設備もセキュリティもレベルが高い巨大なオフィスコンプレックスで何千人もの人が働いていた」という経験談を聞いた。そうした事前の知識を完膚なきまでに砕いてくれたのが,この映画で語られるムンバイのスラム街の貧しさ,救いの無さだ。それなりに活気はあるもののスラム街の景色は,茶色くくすんでいてとても不潔で怖ろしく危険だった。たぶん同僚からの情報と,映画から観える風景と,どちらも正しいのじゃないかと思う。結局僕らは物事のごく一部しか知ることができない。世の中は多様で,価値観も多様だ。その中で誰もが大事だと思うものは何か?ということが,この映画のテーマだったのじゃないかと思う。--------------生い立ちの物語が,いくらなんでも時代背景がまちまちではないのか?とか,ムンバイの闇世界を仕切るボスの1人が物乞い少年の”オーディション”まで同席するの?とか,クイズ問題の難易度がバラバラだろ?とか,ツッコミどころが無いワケではない。でも枯れていてやや緻密さに欠けるカメラワークとは対照的に,脚本と演技はしっとりと丁寧に作られている。『トレイン・スポッティング』にも通じるものがあるが,こうした作風が他では真似が出来ないリアリティを生み出しており,あらゆる欠点を帳消しにしてしまうチカラを発揮している。--------------物語の流れは最初こそ少し混乱させられるが,その後はジャマールの生い立ちに沿って進む。ジャマールには,何をするにも一緒の兄サリームと,同じような境遇の少女ラティカの2人の大事な人がいたが,様々な事件が起こり3人の関係はどんどんと変わっていく。もしこの3人が,それぞれ何かを体現しているならば,兄サリームは時代に即するために変わっていく人を象徴し,少女ラティカは現実に流されてしまう人を象徴し,そしてジャマールはいつまでも大事なものを見失わない人を象徴しているのだと思う。サリームもラティカも,ジャマールの真っ直ぐさを疎ましく思う一方で,どこかで拠り所としているような,そうした微妙な感情表現はとても暖かいものに感じた。ハリウッド映画だと,主人公ジャマールの性格に,浮世離れした”フシギちゃん”系のカラーを付け加えるところだ。たぶん将来のロビン・ウィリアムズやトム・ハンクスになるような,一見おバカな俳優を持ってくるところだろう。けれどもこの作品では,ジャマールはたまたま傷付きはしなかったが,いくつもの危険な場所を経験しているし,行動すべきところではきちんと行動をしてきた。全体的には”積極的だが受身”とでも言う様な,彼の性格を描いて見せ,演じて見せることが出来たのは,この作品がハリウッド製作ではなくて,イギリスの資本がメインだからではないだろうか?まあ,なにがどうあろうと,貴重で暖かい体験をくれる映画作品が,この世の中にまた生まれたことを喜びたいと思う。--------------ちなみにインドの1ルピーは1.99円ということなのでほぼ2円。けれども同じような技術系職種の時給で日本の方が10倍高かったので,現地での生活費の換算では1ルピーが20円ぐらいの価値がある,ということになる。映画のラストで上昇していたクイズの賞金がどれくらいで,主人公ジャマールがどれくらいの挑戦をしていたのかを考える参考にしてもらうといい。
2009.05.01
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