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2019.08.16
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第10話「2度目の封印」

狐帝白止(ハクシ)と折顔(セツガン)は天宮を訪ね、白浅(ハクセン)の縁談を破棄すると伝えた。
しかし天君は天族と狐族が取り決めた良縁をたかが小巴蛇のためにふいにできないという。
そこへ皇太子・夜華(ヤカ)がやって来た。
天君は孫の夜華を紹介したが、折顔は皇太子を見て目を丸くする。
「墨淵(ボクエン)と淵源(エンゲン)が?」
「いいえ、淵源はありません」
夜華は否定したが、その外見は仙逝した墨淵に瓜二つだった。

しかし折顔はあり得ないと否定した。
もし墨淵が一糸の魂魄を残したなら別の場所に身を投じたりせず、崑崙山に戻るはずだ。
天君はもちろんそう考えたのはあくまで当初だけだと否定し、墨淵が2万5000歳で飛昇した上仙に夜華はわずか2万歳でなったと自慢する。
すると折顔はふと気になって皇太子に尋ねた。
「太子には正妃がおられるか?」
「天君からまだ縁談を賜っておりません」

桑籍(ソウセキ)は少辛(ショウシン)を妖鎖塔(ヨウサトウ)から救出した。
すると今日は天君が神仙たちを招いて客人の歓迎の宴を開いていると知る。
桑籍はこれが父の恩情を得られる好機だと気づき、少辛を連れて宴に乗り込んだ。
神仙たちの前で懇願すれば父君も無下にはできまい。
しかし天君はちょうど白止と折顔が同席していることから、死を以って謝罪するよう命じた。


そっと目を閉じる少辛…。
覚悟を決めた桑籍はついに剣を振り下ろしたが、咄嗟に折顔が仙術を放った。
すると刃先が少辛の首ギリギリで止まる。
遅れて大殿にやって来た東華帝君(トウカテイクン)と司命星君(シメイセイクン)は黙って成り行きを見守っていたが、ここで引き返していった。

折顔は桑籍と少辛が愛し合っているだけで、何も大罪を犯したわけではないと助け船を出した。

すると第3皇子・連宋(レンソウ)が打開策を上奏した。
天族と狐族の婚事は両族において極めて重大、そこで桑籍ではなく天君の後継である皇太子・夜華が相手ではどうかという。
幸い桑籍と白浅は面識がなく、情もなかった。
しかも未来の天君に嫁げば白浅が未来の天后、これこそ大団円であろう。
話を聞いた折顔は確かにすべて丸く収まると納得したが、白止はどこか腑に落ちない様子だった。
「だがあいつは頑固だぞ?桑籍との縁談もとにかく嫌がってな~
 やっと断れたと思ったのに別の縁談を受けたとなればもっと厄介なことになるぞ?」
「(小声)不満ならまた破談にすればいいですよ」
結局、折顔と白止は連宋の案に賛同、こうして天君はその場で夜華に白浅との縁談を下賜した。
夜華は素直に拝命したが、素錦(ソキン)は思わぬ話の流れに呆然となる。
そして桑籍は北の地へ追放となり、北海水君に降格された。

連宋は少なからず気が咎めていた。
すると夜華はならば2叔父が白浅を娶ってはどうかと告げる。
「白浅はただの女人ではない、狐帝の娘であり、青丘東荒の女帝だ
 将来、上神に飛昇したら四海八荒でただ1人、誰も逆らうことのできない女上神になるんだぞ
 私が娶りたいと思ったところで、狐帝白止と折顔上神が私を気に入ると思うか?」
「弁解は結構です、夜華が彼女を娶ります」
そう言って夜華は洗梧宮(センゴキュウ)へ戻った。

夜華が寝殿に戻ると素錦が泣きながら待っていた。
素錦は夜華が縁談に同意したことを責め、夜華が好きだと告白する。
しかし夜華は自分にとって素錦はあくまで姑姑(おば)であり、母妃を敬うように尊敬しているだけと伝えた。
「(がーん)私が2万歳年上だからなの?
 でも、でもあなたが娶る正妃、青丘の白浅上仙はあなたより9万歳も年上じゃないの?!」
夜華はあきれて無視したが、素錦はしつこく追いすがった。
「青丘をなだめるため不本意ながらも拝命したのよね?」
「不本意ではない、遅かれ早かれ正妃を娶らねばならない、誰を娶っても同じだ
 ならば君が白浅と同じ容貌になり、私に娶らせればいい」
すると夜華は出て行ってしまう。


素錦は夜華の生母・楽胥(ラクショ)に泣きついた。
しかし夜華の縁談を決められるのは天君だけ、どちらにしても素錦にはその資格がないという。
「お前の夜華への気持ちは知っているわ、でも天君は夜華に大きな期待をかけている
 夜華に嫁げるのは天族か名族の者だけなの、分るわね?」
「つまり私は公主とは言え名ばかり、後ろ盾となる一族どころか父も母もいない…
 未来の天君に嫁げる資格がないと言うんですね
 でも私も名族の生まれです、一族が全滅したのは天族を守るためだったのに…」
素錦は納得いかなかったが、楽胥は夜華に執着せず、自分を愛してくれる人を探すよう説得した。

一方、東華帝君と別れた白鳳九(ハクホキュウ)は若水河畔に引き返していた。
東華帝君が土地神に授けた鈴が欲しい鳳九、そこで幻術で笛を出して土地神を呼び出す。
実は東華帝君の気が変わり、何かあった時はこの笛を使えという。
土地神は困惑したが、確かに鳳九が東華帝君と一緒にいた娘だったことから信じてしまう。

翼后・玄女(ゲンジョ)は自分と容貌が似ている宮女を離鏡(リケイ)に仕えさせていた。
しかし避妊薬を飲ませていたにもかかわらず、あろうことかその宮女が身ごもってしまう。
実は3ヶ月も夜伽をしながら宮女が身ごもらず、不審に思った離鏡が調べて避妊薬のことがばれたのだった。
憤慨した玄女は宮女を今夜中に始末しろと命じると、宮女は開き直って本音をぶちまけた。
「懐妊できないから羨ましかったんでしょ?たった3ヶ月で身ごもった私が!
 これは罰よ!お前が天族や青丘を裏切った罰だわ!お前は一生、子供をなせやしないわ!」
激情に駆られた玄女は宮女を何度も引っ叩き、極寒の地に投げ捨て、雪狼の餌にしろと命じた。

十里桃林に白浅が奏でる琴の音が響いていた。
白真(ハクシン)はその仙琴に合わせて修練していると、突如、白鳳九が飛び込んで来る。
「姑姑が万万年、四海八荒で一番の絶世の美女でありますように!どう?そう言われると嬉しい?」
「嬉しいわ」
「ふふっ!姑姑ったら変わらな〜い、年取ってもイケてる~」
白浅は生意気な鳳九のおでこを叩き、九尾狐の姿に変えた。
「年寄り扱いしたわね?しばらく小狐狸の姿でいなさい」
鳳九が困惑していると、白浅は鳳九が落とした銅鈴を見つけ、足につけてやった。
「素敵な鈴ね、誰から盗んだのか知らないけど…」

その夜、白浅は久しぶりに崑崙山へやって来た。
当時は仙霧が立ちこめ、多くの神々が参拝に訪れた崑崙虚、それがこれほど寂れてしまうとは…。
すると十里桃林から後をつけて来た鳳九も急いで中へ入った。
…わあ~ここが伝説の崑崙虚なのね?(° ꈊ °)✧˖°✧. …
白浅は大殿に来た。
ここで子闌(シラン)と一緒に入門したのが昨日のことのように思い出される。
天道から守ってくれた墨淵…。
目の前で息絶えた9番弟子・令羽(レイウ)…。
そして東皇鐘に消えた墨淵、その最後の言葉『私を待て』…。

白浅は酒蔵で酒を飲んでいた。
…姑姑が深夜にここへ来たのはこっそり酒を飲むためなの?…

鳳九が酒棚からのぞき見していると、白浅の法術でいきなり引っ張り出されてしまう。
すると白浅は竹簡を出した。
「姑姑はねえ、遠出してくるわ
 この冊子にはある仙術が書いてあるの、この仙術を知っているのは今では私一人だけ
 私が死んでこの仙術が後世に伝えられなければ、四海八荒が危機に陥るわ…」
白浅は竹簡を机に置くと、鳳九の足首にある鈴を見た。
「その鈴鐺(リントウ)は東華帝君からもらったの?ひと目見てすぐ分ったわ
 どうやってもらえたのかは、もし姑姑が生きて戻れたら追及しますからね」
…ん?なぜそんなこと言うの?姑姑、どこへ行くの?(˘•д•˘)…
しかし白浅は理由を告げず、立ち上がった。
「ここで3日間、眠りなさい
 3日後、お前を守っている仙障が破れる、そうしたらその鈴が鳴って帝君を呼ぶわ」
白浅はそう言って仙術を放つと、鳳九はすぐ眠りに落ちた。

夜明けと共に白浅は若水河畔に現れた。
やはり東皇鐘の封印が解除されるらしい。
するとその時、何やら動きを察した見張りの土地神が現れる。
しかし白浅は土地神を巻き込まないよう、有無を言わさず扇子で追い飛ばした。

白浅が東皇鐘の前まで飛んで行くと、擎蒼(ケイソウ)が7万年の眠りから覚めた。
「お前は墨淵の弟子か?一体、何者だ?!」
「私は青丘女帝・白浅!かつての司音(シイン)よ!」
白浅が封印の術を放つと、天界に紅蓮業火(グレンゴウカ)の光が現れた。
天宮にいた夜華や十里桃林で酔い潰れていた白真は激しい雷鳴に驚き、天空に広がる炎に困惑する。
一方、異変を感じた東帝君はすぐに若水河畔へ向った。

白浅はついに擎蒼の封印に成功した。
しかし擎蒼は最後の力を振り絞り、白浅に呪詛を放つ。
避けられなかった白浅はまともに呪いを受け、意識を失ったまま吹き飛ばされた。
「わははは~!お前から容色も仙力も奪い、その生涯を終わらせてやる!
 俗世で生老病死の苦しみを味わい尽くすのだ!永遠に己が何者か知らぬまま!ははは~っ!」
こうして白浅は全ての記憶を封じられ、俗世へ落ちて行った。

東華帝君が若水河畔に到着した。
確かに擎蒼が覚醒する前兆があったが、なぜかすでに落ち着いている。
そこへ白浅に飛ばされた土地神が戻って来た。
土地神は夜明けに東皇鐘の異変を感じて様子を見に来たが、ある美しい娘に打ち飛ばされたという。
「それは昨日、私と一緒に来た若い娘か?」
「いいえ」
東華帝君はその娘が誰なのか想像もできなかった。
すると土地神は笛を差し出し、昨日の娘が銅鈴と交換して行ったと話す。
ともかく東皇鐘は再び眠りに落ち、問題はなさそうだった。
「笛を渡せ」
東華帝君は笛を見ると、思わず笑みがこぼれた。

一方、俗世に落ちた白浅はようやく目を覚ました。

口から血が出ているが、何かあったのだろうか。
するとそばに扇子が落ちていた。
誰かが落したのかと辺りを見回してみたが人けはない。
仕方がないので持っておくことにすると、子猫がやって来た。
白浅は猫を抱き上げ、思わず話かけてみる。
「ここはどこ?私は誰?家族は?」
竹林の中を歩いて行くと、偶然、空家を見つけた。
白浅は猫を放して家の中に入ってみたが、空き家になって久しいのか酷くほこりにまみれている。
すると棚の上に鏡を見つけた。
鏡をのぞくと額に赤いアザがあったが、自分の顔に見覚えがない…。

つづく


(^ꇴ^)ラバ狐、可愛い♪





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最終更新日  2019.08.16 21:06:57
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