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2020.03.24
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第39話「誘惑の罠」

白浅(ハクセン)は翼君・離鏡(リケイ)との関係を清算するため、これまでの思いをぶちまけた。
何より失望したのは、玉魂を借りるために大紫明宮へ行った時の一件だったという。
「違うんだ!俺は当時、君が重傷の身だとは知らなかった、君が話してくれてさえいたら…
 墨淵の体を維持するために自分の心臓の血を使っていると知っていたら、
 渡さないなんてこと絶対、なかった!
 あの時、玉魂を渡さなかったのは、君が墨淵を守るためだと分かっていたからだ
 そうさ、俺は嫉妬していた、墨淵に嫉妬した…

すると離鏡は白浅の手を握りしめた。
「俺を許してくれないか?」
しかし白浅はその手を払い避け、呆れて言った。
「翼君、今日は私を1度も忘れたことがないと言うの?
 あなたって人は、ただ自分の手に入らない物や失った物を追い求めているだけ
 ひとたび手に入れたらもう大切にしない」
「君がそんな事を言うのは、少しでも罪悪感を減らしたいからか?
 本当は俺を愛したことなどなかった、そうだろう?
 俺と玄女の事だって君は簡単に吹っ切った
 君はとっくに俺が嫌になっていたんだ、そうだろう?」
白浅は肯定も否定せず黙っていると、離鏡の目から大粒の涙がこぼれた。

 俺が一生かけて愛する人は君だ、なぜ俺を許してくれないんだ?」←許されると思ってる時点でw
「じゃあ、あなたが当時あんな事をしたのは、私と玄女を同じ男に侍らせたかったからなの?」
離鏡は言葉に詰まると、白浅はそろそろ切り上げることにした。
「大紫明宮から帰った後、確かにあなたを恨んだし、憎んだわ…
 でも炎華洞で大量失血して死にそうになった時、私の脳裏にあなたの顔は浮かばなかった

「阿音、もうやめろ」
「離鏡…あなたは確かに私、白浅がこの14万年で唯一、全身全霊で愛した男よ
 でも″沧海桑田″(※)、もう戻れないの」
「もう手遅れなんだな…君は結局、俺を待ってはくれなかった…」
「今後、私たちは赤の他人ね…告辞(ガオツー)」

橋で待っていた夜華のもとに白浅がやって来た。
「どれほど甘い恋の話も、そなたが語るとなぜか切なくなる」←聞いてたんか?!
「…ほらあの空、もうすぐ雨になりそうよ、早く行きましょう」
白浅は話をそらすように先を急いだ。

折顔(セツガン)は白浅を起こしに来たが、すでにいなかった。
迷谷(メイコク)の話では霊宝天尊(レイホウテンソン)の天泉で傷を癒すため、一緒に九重天へ向ったという。
ちなみに白真(ハクシン)と言えば、折顔のために料理を作ろうと市場へ出かけていた。
驚いた折顔は白真に何を食べさせられるやら不安になり、まるで拷問だと笑う。
そこで仕方なく迷谷に取り戻した墨淵の仙体は再び炎華洞(エンカドウ)に安置したのか聞いた。
迷谷は炎華洞だと答えたが、あの時は白浅が負傷していたため、皇太子が運んでくれたという。
そこで折顔はあることを確かめるため、墨淵の様子を見に行くことにしたが、迷谷には口止めしておいた。

白真が市場から戻って来ると、池のほとりで折顔と出くわした。
ちょうど青丘で一番の名酒を買って来たところだったが、折顔はすぐ十里桃花に戻らなくてはならないという。
実は西海の大皇子・疊雍(チョウヨウ)を救う方法を思い付き、桃林に戻って少し医学書を調べる必要があった。


折顔は崑崙山まで足を伸ばした。
崑崙虚は龍骨の頂きに出現した仙山だが、墨淵が去った後に老廃している。
しかし今はかすかに龍気が山底からわき出しており、予想した通り異変が起きていた。
そこで山を登って崑崙虚を訪ねると、第2番弟子・長衫(チョウサン)が出迎えてくれる。
折顔はかつて崑崙山の下に神器・伏羲琴(フッキキン)を封印したため、久しぶりに見に来たと説明した。

長衫は崑崙虚の弟子たちがこの7万年、所帯を持った弟子を除く全員が墨淵と司音を探していたと話した。
実は少し前から16師弟・子闌(シラン)が戻っていたが、突然、翼君が現れ、司音に会ったと言われたという。
そこで子闌はすぐ人間界へ行くと決め、2師兄に仙鶴の世話を頼んだのだ。
「ほお?翼君が司音と会ったと言ったのか?」
「真実かは分かりませんが、子闌は居ても立ってもいられず、探しに行きました」

白浅は初めて九重天にやって来た。
もの珍しそうに天宮を見回してみる白浅、しかしなぜか門衛の姿がない。
「私たち青丘の入口でさえ迷谷が守っているわ
 ここは天界36天の大羅天(ダイラテン)、それなのに誰も門を見張っていないなんて
 これじゃ恰好がつかないんじゃない?」  
「(ふっ)今日は太上老君(道教の神様)の説法がある、衛兵たちは法会に駆り出されたんだ」
「あら法会があるの?」
「浅浅、君は元貞(ゲンテイ)の渡劫を助けていた時、いつも元貞に道教を論じていたとか
 さぞ道教に精通していることだろうね~そうそう、太上老君はこの数万年、談義の敵手がいなかった
 ″高きところは寒さに耐えず″の境地は孤独だろうな~♪
 (おっと)ちょうど君がいるじゃないか!彼と論争してはどうだい?」
「お、おう、それはいいわね~」
夜華は白浅が37話で言った言葉を使ってからかった。

白浅と夜華はやがて洗梧宮(センゴキュウ)に到着した。
「あなたが3万歳の時、天君から″洗梧宮″を賜ったと聞いたわ」
「その通り」
「(キョロキョロ)でも中はこんなに暗いのね~これじゃ東海の百日宴の時の水晶宮みたいじゃない?」
「…君が強い光りを見られないからだ」
「?私のため?」
「チェンチェン…」
すると夜華は急に白浅に手を差し出した。
白浅は意味が分からないまま手を乗せようとすると、夜華は白浅の手を引っ張って抱き寄せる。
「私が君を運んで行こう」
「へっ?!」

夜華は白浅を抱き上げ、仙術で洗梧宮の中へ入った。
「でもまさか正門を通らず九重天に入って、飛び越える(※)なんてね~」
「もし正門を通ればきっと大小様々な階級を全て騒がせてしまっただろう
 何やかんや言う面倒な人たちなんて飛び越えて来てしまった方が便利じゃないか?」
「そうね、あっ!そうだ!今日はまだ伽昀(カイン)小仙が文書を届けに来ていないはずよ?
 青丘に文書を届ける必要はないって言って来なかったでしょう?
 彼に無駄足を踏ませちゃったんじゃない?」
「ニコニコ(ちょっと嫁さんみたい)」
「あ(ちょっと小姑みたい)あなたが言った通りね、正門から入って来なくて良かった~
 小仙たちを騒がせちゃうから(ウンウン)じゃないと面倒よね…
 そう言えばあなた、昨日の晩に帰って来たから、文書が山済みでしょう?どうするの?」
今度は白浅が夜華が自分に付ききりで決裁が滞っていることを持ち出し、からかった。
すると夜華は恥ずかしそうに背を向けて歩き始めてしまう。
…太子も東華(トウカ)みたいに厳粛で冷静だわ
…でも今日は何だか青年らしい神色が現れてるわね~珍しいこと~クスッ
しかし白浅は浮かれた様子を悟られないよう、声を落として話しかけた。
「そうだわ、あなたと相談したい件があって…」
「チェンチェン、急に真面目になって、一体、何事だい?」
「大した話じゃないの、数日ほど九重天で静養するけど、上神という名号(ミョウゴウ)を出さずに来たわ
 あなたも鳴り物入りで私のために寝殿を準備するわけにもいかないでしょう?
 だから団子の慶雲殿(ケイウンデン)ではダメかしら?数日だけのことだし…」
「阿離(アリ)の慶雲殿に泊まると?」
「(あら?)都合が悪いの?」
「…すでに君のために寝殿を用意したんだ」
夜華は白浅にとって天宮がただの旅行先であることにいささかがっかりした。
すると気まずくなった白浅はふと師父の件を思い出す。
夜華は外部の者は知らないと安心させたが、どこか寂しさを感じていた。

夜華は白浅を寝殿へ案内した。
すると中庭では見事に桃の花が咲いている。
夜華は300年前に植えたと話し、これが初めての開花だと教えた。
白浅は300年も桃の花が咲くのを待っていたことに驚き、夜華が辛抱強いと笑う。
そして殿内に入ると″一鸞芳華(イチランホウカ)″の扁額が掲げられていた。
「良い名前ね、洗梧宮にピッタリだわ」
しかし白浅は院内に足を踏み入れてからどういうわけか違和感があり、気分が優れない。
そこへ仙娥・奈奈(ダイダイ)がお茶を献上にやって来た。

奈奈は拝礼してふと上神を見ると驚愕した。
「娘娘(ニャンニャン)!奈奈は300年、待っていました!ついにお戻りになったのですね!
 太子殿下、あの結魄灯(ケッパクトウ)はやはり聖物というだけあります!娘娘と一糸違わぬお姿です!」
困惑した白浅は取り乱す奈奈に人違いだと言い聞かせ、自分は青丘の白浅だと教えた。
夜華は白浅がやはり奈奈のことも忘れていると分かり、虚しさに襲われる。
「奈奈、こちらが青丘の白浅上神だ、院内に数日ほど滞在する、君が世話をしてくれ」
奈奈はまだ信じられないと言った様子だったが、仕方なく立ち上がった。
「上神は霊宝天尊の天泉で浴洗される…先に行って準備をしてくれ」
「…はい」
「君はここで少し休んでいてくれ、阿離を連れて来るよ」
「ええ」

その頃、素錦(ソキン)は白浅がついにこの九重天に足を踏み入れたと知った。
侍女・辛奴(シンド)の話では白浅が密かに南天門から入り、すでに一鸞芳華にいるという。
一鸞芳華と聞いた素錦は激しく動揺した。
どうやら青丘白浅は想像していたよりはるかに手ごわい相手らしい。
夜華は白浅のためにこれまで何度も禁忌を覆して来たが、まさか300年間、決して誰も近寄らせなかった一攬芳華に住まわせるとは…。
素錦はこれまで夜華の最愛の女は死んだ素素だと思うことで平静を保って来ただけに、まさに天地がひっくり返るほどの衝撃だった。

奈奈が中庭で桃の木の枝を剪定(センテイ)していると、白浅が出て来た。
「あなたたちの太子殿下はずっと桃花が好きだったの?」
「当娘娘が桃花をお好きだったんです、彼女が去った後に太子殿下が中庭に桃の木を植えました」
「あなたが話しているのは阿離の母親ね?」
「上神はご存知で?」
「阿離が初めて会った時に話してくれたわ」
「当娘娘は小殿下を産んだ後ここを去られ、小殿下は小さな頃から私がお世話を…」
「にゃんちーーーん!」
その時、夜華が阿離を連れて戻って来た。
白浅の姿を見た阿離は嬉しそうに駆け寄ると、奈奈は本当の母子のような2人を見て思わず手に持っていた盆を落としてしまう。
離「奈奈、どうしたの?」
奈「何でもありません…手が滑ってしまいました、上神、お許しを」

白浅は奈奈の気持ちを理解できた。
…団子(阿離の愛称)の母親は若い身空で亡くなったから
…二度と息子との団らんを享受することはできない
…なのに私は継母としてそれを都合良く手に入れたわ
…この様子を見れば小仙娥も心中穏やかではないでしょうね
…何とも忠肝義胆(チュウカンギタン)※な小仙娥だわ
すると阿離が白浅に少し抱っこして欲しいと頼んだ。
白浅は奈奈の気持ちを察し、咄嗟に身体の具合が良くないと断ってしまう。
「さ、父君に抱いてもらいなさい」
しかし阿離は母がなぜ拒否したのか、その理由を知っていた。
「阿離、分かってましゅ!にゃんちんはまた小宝宝(赤ちゃん)がいるんでしょう?」
白浅と夜華は阿離の思わぬ指摘に思わず顔を見合わせる。

実は阿離は成玉(セイギョク)から借りた本である話を読んでいた。
離「ある夫人が小宝宝を身ごもったんでしゅ
  すると家族は夫人が他の子供をあやそうとして抱くのを許しましぇんでした
  あれが心配だから…えーと…はっ!そうだ、胎気(ツワリ)でしゅ!」
夜「また成玉かっ(ボソッ」
浅「成玉って本当に面白い人ね(クスッ」
阿離は白浅に小宝宝ができたら、自分は天上で一番年下でなくなると喜んだ。
その言葉を聞いた夜華は急に白浅に歩み寄る。
「チェンチェン、婚儀が済んだらすぐもう1人作ろう」
「(ふふ)その小宝宝、あなたが産んでくれるなら、それはもう喜んで協力するわ」
「(・д・)」
「さ、阿離が来たなら一緒に上清境へ連れて行きましょう」
夜華は白浅にちゃかされ、複雑な気分になった。

上清境の天泉にはすでに準備を整えた仙娥たちが10人で出迎えた。
娥「太子殿下にお目通りいたします」
浅「夜華?もしあなたの正妃という名分でここへ浸かりに来たら、案内役の仙娥は何人になるの?」
夜「10人、どうしてだ?」
浅「それだと私の階級は上がるどころか下がったみたい(※上神の方がお付きが多いから)」
夜「もし私たちが天君と天后を引き継いだら、君の案内は24人の仙娥になる
  さらに心霊手巧(※)な4人が背中を流してくれるよ?」
浅「それならまあいいわ~」

夜華は白浅のため、湯船に何種類もの果実酒と果物を用意していた。
もし阿離が飲みたければ少しだけ飲ませても良いが、あまりたくさんは飲ませないでくれと頼む。
また果物もそれぞれ半分までなら食べても良いと言った。
白浅は細かい指示に驚き、父親と母親の役目は大変だろうと感心する。
しかし夜華はもうずっと長い間、続けて来たので慣れていると言った。
すると白浅が煽いでいる扇に目を留め、素晴らしい桃林の絵なのに題字がないのが残念だという。
そこで夜華は白浅が天泉に浸かっている間に好い詩を付け加えておくと提案した。
「君が私の書房に取りに来てくれるか?」
「いいわ」
すると天泉に入る準備をした阿離が白浅のもとへやって来た。
「にゃんちん、父君はどうして帰っちゃったの?僕たちと浸からないの?」
「天はあなたの父君に大任を降(クダ)すのよ、あなたの父君はその大任を拾いに行ったの(ヨシヨシ)※」
「(きょとん)」

夜華は紫宸殿に戻ると早速、扇を開いた。
扇面には美しい十里桃林の景色が描かれている。
「人間の時も君は桃花が好きだった
 まさか上神となっても相変わらず好みが変わらないとはね(ふっ」
…浅浅、私の自己欺瞞(ジコギマン)か、それとも君がごまかすのが上手いのか?
…私と君の愛情は、当時の君と墨淵(ボクエン)の絆には遠く及ばないのだろう
…でも君はこの夜華が我が人生でただ1人愛した女人だ
…私は待つよ
…君が墨淵を忘れ、私を心から愛してくれるまで

その頃、素錦は繆清(キュウセイ)を呼び出していた。
実は夜華が紫宸殿に戻ったと話し、今日を逃せば2度と機会はないとけしかける。
そこで補湯(ホトウ)と情薬を渡し、今夜、夜華に仕えるよう指示した。
男は肌と肌が触れ合った相手に必ず責任を取るもの、仮に怒りを買っても問題はないという。
阿離の命の恩人である繆清の命を奪うなど考えられず、何より自分がいると言うのだ。
「洗梧宮にいれば私に頼るしかない、それに私にはあなた以外に姉妹などいないわ」

その頃、天泉にいた阿離は白浅を真似て酒を飲んでいるうち、急に意識を失った。
白浅は阿離の身体が赤くなって熱いことから、酒の耐性が弱いのだと気づく。
奈奈は阿離が一度にこんなに酒を飲んだことがないと慌て、すぐ薬王府で見てもらうことにした。
しかし白浅はその必要はないと止め、自分は十数万年も酒を飲んで来た専門家のようなものだと笑う。
阿離が飲んだ酒は仙果の発酵酒のため、いろいろ飲んでも害はない。
何より阿離は男の子、そんなに甘やかすのも良くないという。
そこで白浅はただ寝かせておくよう命じ、6時間ほどで目が覚めると安心させた。

奈奈は阿離を抱いて急いで帰って行った。
白浅は奈奈の旧主に対する忠誠心に驚き、旧主なら300年も前に去ったはずだと漏らす。
しかし仕えていた仙娥は洗梧宮のことはよく知らないと答えた。
「太子宮の中の事なのに知らないですって?」
「聞いた話では当時、洗梧宮で事件があったそうです
 その時の仙娥と侍衛たちは天君が全て下界の仙山へ落としました」
…天君ったら、かなり周到にこの件を隠したのね
…仙娥たちを総入れ替えするなんて
…どうりで青丘にいた私には素錦が夜華の寵愛する唯一の妃としか伝わらなかったはずよ
…宮中にその他に妃がいないし、夜華の唯一の子を素錦が産んだと思うのも当然だわ
「老身、天宮へ来たのは今回が初めてなの 宮道のことは全く知らないわ
 太子殿下の書房へ案内してもらえるかしら?」

夜華は書房で白浅が来るのを待っていた。
すると繆清が現れ、自ら寵愛を得たいがために仙娥になったことを認めて謝罪する。
そこで今日を最後に九重天を離れて東海へ帰ることにしたが、手作りの補湯を飲んでもらうことで自分と夜華の縁を絶ちたいという。
夜華は自分たちの間に縁などないが、仮にも繆清は阿離の恩人であり、主従の関係となったのは事実、その補湯で清算することに同意した。
喜んだ繆清は早速、補湯を皿に盛ろうと蓋を取ったが、夜華はその香りで罠に気づく。
「そなたは本気でこれを本君に食べさせたいのか?」
「この補湯は繆清の手作りです、もちろん君上に食べて頂きたいです、これは繆清の気持ちです」
しかし夜華は器を盆に戻し、それよりまず幾つか聞きたいことがあると言った。
「数日前、東海へ戻ったな?
 知っていたのか?そなたが長兄を訪ねたあの日、東華帝君が歴劫で人間界にいると…」
「知りませんでした…」
「東華帝君は人間界であの日、誰かに川に突き落とされた、同時に白浅上神も誰かに突き落とされてな
 彼女は当時、本君が法力を封印していたので、もう少しで溺れ死ぬところだったよ」
「そんな事が?…それは危なかったですね」
「それは危なかった?分かっているのか?白浅上神が四海八荒でどれほどの身分と地位にあるのか
 青丘と天族は彼女を押した者を見逃すまい
 繆清…そなたは本当にいいのか?東海やそなたの長兄までが罪に問われるのだぞ?
 本当に恐くないのか?上神の殺害を企んだために永遠に畜生道(チクショウドウ)※となっても!」
驚いた繆清はその場にひざまずき、怯えながら許しを請うた。
夜華は繆清が阿離の命の恩人でなければ、今日まで生きては来られなかったと釘を刺す。
「もう一度、聞く、その補湯に何を入れた?」
繆清は仕方なく夜華が自分と共寝してくれる薬だと言ったが、咄嗟に人間界で手にいれた薬だとごました。
しかし夜華は人間界の薬が自分に効くと思うのかと声を荒げる。
繆清は動揺して言葉に詰まると、その時、慌てて素錦が駆けつけた。

素錦は繆清の隣にひざまずき、仙娥から皇太子が繆清を咎めていると聞いて駆けつけたと話した。
ただどんな過ちを犯したにしろ悪意はなかったはず、これも皇太子を慕うがゆえだという。
「君上におかれましては、妹妹がかつて阿離を救ったことに免じ、
 今回は大目に見て頂けませんか?(ははぁ~)」
ちょうどその時、白浅は仙娥の道案内で無事に夜華の書房へ到着した。
(* ‘ㅅ’)<ここにも守衛はいないのね~♪ふふ~ん
すると殿内から女人がすすり泣く声が聞こえて来る。
白浅はそっと書房に近づき、回廊に立って耳を澄ませた。
…ありゃ、お取り込み中?
…また面白がって私を閨房(ケイボウ/寝室)で別人とかち合わせようっていうんじゃ?
…夜華って冷静沈着そうだけど、実は血気盛んなのねw
…天上の仙娥ってみんなとてもキレイだわ
…夜中につまらない公文と向き合っていれば、そりゃあ滅入っちゃうもんね
…ボーッとして頭を上げれば、絵に描いたような顔した小仙娥が見える
…若くて美しいお世話係がいたら、当然、そういうことになるわな~
…私は引っ込んでた方が良さそう
白浅は空気を読んでそっと去ろうとしたが、急に夜華の大きな声が聞こえた。
<浅浅!何をしているんだい?扇子に題字を書いておいた、取りに来てくれないか?
ε-(•́ω•̀๑)oO(まあいいか、どんな仙娥ちゃんがお好みなのか拝見させて頂きましょう~♪

白浅がそっと房間に入ると、ひざまついている2人の女人の背中が見えた。
すると夜華は白浅を出迎えに行き、扇子を渡す。
「何かあったの?」
夜華はただ黙ってひざまずく2人に目をやると、素錦は恐る恐る白浅の姿を見上げた。
錦「(ヒィィィッ)」
浅「(なんて美しい瞳なの?でも残念ね、この小仙娥にこの両目は釣り合わない)
  あなた、素敵な目をしているわね~」
素「…素…素…」



素錦は素素の生き写しのような白浅に驚き、その場にへたり込んだ。
しかし白浅は素錦のことも自分の目のことも覚えていない。
すると夜華は白浅の手を引いて2人の前に立った。
「繆清公主、本君の洗梧宮にそなたの居場所はない、明日の朝一番に東海へ帰りなさい
 そなたが再び節度を超えない限り、過去のことを咎めるつもりはない
 これは阿離の命を救ってくれた恩情へのお返しだ
 …素錦?君は情誼に厚いんだな
 君がそんなに繆清公主と別れるのが忍びないなら、天君にお願いするか?
 そなたも東海へ嫁げるように頼んでやるが、どうだ?」

素錦はまだ呆然とし、声も出せずにいた。
たまり兼ねた繆清は夜華に泣きすがり、一時の気の迷いで媚薬を盛ったが、どんな罰でも受けるので離れたくないという。
白浅は居たたまれなくなって出て行くことにしたが、繆清は思わず白浅の足にすがりついて恩情を求めた。
繆「娘娘!娘娘!一度は繆清を助けて下さいました、今一度、どうか繆清をお助けください!」
浅「…繆清公主にひざまずかれた以上、出て行くのも何だから少し言わせてもらうわ」
夜「言ってくれ」
浅「この件だけど、実際のところ繆清公主だけが悪いのかしら?
  あなたは初めから彼女の自分への情を分かっていた、それでも天上に連れて来たのよね?
  知ってるわ、阿離への恩を返すために彼女を縁談から逃がしてあげたことはね
  あなたは彼女が分かった上で東海から来たと思ったのかもしれないけど、
  彼女が必ずしも納得してたとは限らない
  だって彼女はあなたが振り向いてくれると思ったのよ、あなたがそう思わせたんだわ?
  聖人君子面してグズグズ手を出さないから、そうせざるを得なかったのね
  追い詰められて自ら実行するしかなかったのよ」
夜「しかし当初、彼女は当洗梧宮の奴婢になれれば、それで満足だと言ったんだ」
浅「(クスッ)恋愛中の女子の言うことを信用したの?」
夜「(お、おぅ…)」
浅「老身の言うことを聞いて、やはりすぐ東海に戻りなさい」
白浅はそう言って出て行った。

どうやら答えは出たようだ。
夜華は素錦と繆清に白浅が自分の妻であり、この洗梧宮で唯一の娘娘(ニャンニャン)だと告げる。
「彼女があのように言った以上、繆清公主は東海に戻るんだ」
すると夜華も2人を残して出て行ってしまう。

つづく

※滄海変じて桑田となる=沧海桑田(大海が変じて田園となり田園が変じて大海となる→世の移り変わりが激しいこと)
※正門を通らず九重天に入って飛び越える=最も一般的な天上界は白浅が言っていた36天、天上界を36階建マンションだと考えるとこの場面がイメージしやすい、恐らく夜華は白浅を連れて裏口からこっそり入り、管理人や他の住人たちに会わないよう、ペントハウスへ飛んで行ったと想像
※忠肝義胆=主君や国家に忠義が厚いこと
※心霊手巧=利口で手先が器用(って辞書にありましたけどピンとこないw)
※天将降大任于你父君=孟子曰く「天将降大任于斯人也~」の「降る」にかけてたのかなと?
※畜生道=仏教で六道のひとう、悪業の報いによって死後に生まれ変わる畜生の世界





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