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2023.02.13
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カテゴリ: 夢華録 全40話



第6話「眠らぬ都」

証拠を隠滅するため宋引章(ソウインショウ)から離縁状を奪い取って食べてしまった周舎(シュウシャ)。
これには成り行きを見守っていた民衆も唖然となったが、趙盼児(チョウパンアール)はこんなこともあろうかと引章には偽物の離縁状を渡していた。
「本物はこれです」
証拠を見た知県はパンRの言い分を認めた。
しかし本来なら流刑および杖刑60回という重罰のところ、初犯を考慮して尻の杖刑15回と贖銅(ショクドウ)80斤で許してしまう。
パンRは納得いかず異議を申し立てたが、女子に口答えされた知県は憤慨、侮辱罪でパンRを捕え、背中の杖刑10回を命じた。

雨足が強まる中、知県は無情にも中庭に向かって執行の札を投げた。

パンRはてっきり顧千帆(コチェンファン)が助けに来てくれたと思ったが、傘を差し出したのは陳廉(チンレン)だった。
(・Д・)<あなた…誰?

陳廉が連れて来たのは知州・許永(キョエイ)だった。
許永は知県に公堂では婦人や子供に寛容な判決を下すものだと助言し、裁きを続けるよう促す。
すると知県は上官の手前、公正に判断せざるを得なくなり、先の判決を覆して周舎を入れ墨のうえ流刑および背中の杖刑30回に処した。

顧千帆は表に出ず、密かに成り行きを見守っていた。
すると顧千帆を探してたパンRが現れ、2人は再会する。
パンRは知州が顧千帆に協力してくれたのなら、無事に解決したのだと分かった。
「しばらくは死なない」
「それならよかった…どうしたの?」
「…不本意な相手に力を借りた、だが楊(ヨウ)家の件は片がついたよ」

すると杖刑が終わって護送される周舎がやって来る。
周舎はパンRの姿を見つけ激怒、役人の手を振り払って襲いかかった。
真っ先に気づいた顧千帆がパンRを助けたが、今度は近くにいた引章が襲われてしまう。
しかし顧千帆が周舎に飛び蹴りし、引章を救った。



顧千帆は引章の琵琶・孤月(コゲツ)を買い戻したと教えた。

そこへ許永がやって来た。
許永は顧千帆に頼まれ、パンRに最も早い馬車を手配したという。
「穀雨までまだ8日ある、官府で馬車を乗り継いで行けば7日以内に着くだろう」
パンRは知己の計らいに感激したが、三娘と引章が一緒に東京へ行きたいと懇願した。
しかし楽妓である引章は籍のある銭塘(セントウ)を離れられない。
すると許永は引章のため、教坊司に招かれたと文を書いて杭州楽営に送ると言ってくれた。

三娘と引章は手続きのため知州と一緒に殿内に戻った。
するとようやく東京へ行けると言うのにパンRはどこか不安げに見える。
顧千帆はそんなパンRの心を見抜き、いくら聡明でも東京では勝算は望めないと手厳しかった。
華亭県の小役人相手でも危うく殺されかけたというのに、東京で対峙する相手が探花(タンカ)や皇帝の親族ならなおさらだ。
「…東京暮らしは楽ではない、何か起きれば私でも君を守れないぞ」
「私を行かせたいの?止めたいの?」
「後悔させたくないんだ」
「後悔しない、助けも必要ない…だってこれ以上は恩返しできないから」
「返せと言ったか?」
「私が返したいの、夜宴図も銭も必ず返す」
「…なら利息もつけてくれ、ではここまでだ、元気で」
「東京に行かないの?」
「…君には関係ない」
パンRは知己の急なよそよそしさに困惑した。
しかし顧千帆はパンRが手の傷に巻いてくれた手巾を返し、去ってしまう。

顧千帆は途中で陳廉を置き去りにして平江(ヘイコウ)府に戻った。
ようやく医者に診てもらったが、逃亡生活で負った怪我は思いのほか重症で完治するまで時間がかかるという。
すると父が鄭青田(テイセイデン)の謝罪書を持って来た。
「死んだのですね?」
「私が訪ねたのだ、選択肢はない」
蕭欽言(ショウキンゲン)は銭塘に出向き、楊家の件に決着をつけていた。
すでに白沙渡(ハクサド)の港では無断停泊していた外商たちが捕まり、役所に放置されていた魏為(ギイ)も見つかる。
鄭青田はまさか顧千帆が使相の子息だとは知らず、全ての罪を被って自害していた。
「お前の汚名はすぐにそそがれるであろう」
「感謝します」
「我らは父子ではないか?水臭いぞ?」
しかし顧千帆は未だ蕭欽言を″父″と呼ばなかった。

蕭欽言は次の都入りで皇帝から新しい屋敷を賜ると話し、それを顧千帆に譲ると言った。
18歳で進士となった長子に多大な期待をかけている蕭欽言、もし顧千帆が皇城司へ行くことにこだわらなければ、今頃は翰林(カンリン)学士くらいの要職には就いていただろう。
しかし顧千帆の伯父が武将のため、甥に衣鉢(イハツ)を継がせたがった。
「私は顧姓、蕭姓ではありません」
「分かっておる、お前の外祖父や伯父が寒門出身の私を権力におもねる奸臣だと蔑んでおるのじゃ」
「ならばあの妓女を引き入れた件は?」
「あれは誤解だ!私はお前の母を裏切ってはおらん!
 お前も官職に就いて接待を受けることもあるだろう?
 そうでなければ趙盼児とも出会っていないはずだ!」
蕭欽言は顧千帆が奔走する相手が誰なのか調べを付けていた。

顧千帆はパンRが命の恩人で、許嫁と会わせるために手配をしたと説明した。
事情を知った蕭欽言は安堵し、息子にふさわしいのは名門の淑女だという。
「何人か心当たりがある、私が世話を…」
「確かにあなたに助けを求めて命を救われた、だが婚姻に口を出せる立場かっ?!」
顧千帆は激高し、正房を出て行ってしまう。
しかし蕭欽言は屋敷に寄り付きもしなかった息子の思わぬ変化に大喜びした。
「淑娘(シュクジョウ)よ!見ていたか?!千帆が私に怒りをぶつけたぞ?!
 もう長い間いつも他人行儀だったが、さっきは本気で刃向かって来た!」

パンRたちは無事、東京に到着した。
都は眠らない街、夜空には大輪の華が打ち上がり、通りは煌々と明かりが灯っている。
「ここが東京なのね…欧陽旭(オウヨウキョク)はどこかしら?どうすれば会えるの?」
するとパンRは急に気が抜けたのか、倒れてしまう。

翌朝、パンRが目を覚ますと三元客桟にいた。
三娘と引章は倒れたパンRを一番近い宿に運び込んだと説明し、値は張るがこの部屋しか空いていなかったという。
「安心して、穀雨は明日よ、高(コウ)観察の屋敷も調べたわ、婚儀はまだだった」
高観察の屋敷は宿から数本先の通りにあった。

パンRは高府を訪ね、欧陽の家を教えてもらうことにした。
その時、偶然にも欧陽旭の馬車が高府に到着する。
「パンR?!…なぜここに?」
欧陽は愛しいパンRを抱きしめたが、ふと高府の前だと思い出し、慌てて馬車に乗せた。
「いい茶坊がある、そこでゆっくり話そう」



パンRは欧陽の愛情に変わりはないと確信し、叔徳(シュクトク)の勝手な判断だったと安堵した。
これまでの不安が一気に吹き飛んだパンR、そこで茶房で自ら欧陽のために茶を入れることにする。
すると欧陽は話があると切り出した。
「私たちの婚姻だが…年末まで待てるか?」
「もちろんよ、急がないわ」
欧陽は探花の称号を授かったものの祝いの宴が終わったばかり、進士たちはこれから皇帝に拝謁して正式に官職を賜るという。
「パンR、そのため君に辛い思いをさせる…
 必ず盛大な婚儀にするが、私と高家の娘の婚姻後、半年ほど待ってくれないか?」

(・Д・)はあ?

つづく


(  ̄꒳ ̄)あ〜引章、また惚れたのかw





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最終更新日  2023.02.13 17:00:06
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