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2023.09.24
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第30話「招かれざる客」

皇后をかばって手首を痛めた程少商(チォンシャオシャン)。
帰りの車の中、凌不疑(リンブーイー)は少商を手当てしながら、今後は己の力の及ばぬことに首を突っ込まないよう釘を刺した。
いくら文修君(ウェンシウジュン)が愚かでも限度はわきまえているはず、燭台を倒すにしても皇后に当たらない方向だったはずだ。
「高貴な2人の争いに君の保護が必要だと思うか?」
しかし少商はカチンと来てつい言い返してしまう。
「つまり皇后は私の保護など必要としていないと?確かに皇后はこの上なく尊いわ
 でも彼女が文修君(ウェンシウジュン)に蔑まれていた時、あなたと陛下はどこにいたの?

「では君はどうなんだ?少商、君のように強い人はなぜ私の保護など必要ないと思う?」
その時、馬車が曲陵(キョクリョウ)侯府に到着した。

少商は馬車を降りると、不貞腐れたまま門に向かった。
すると不疑が少商を呼び止める。
「君が私と話をする時の縛られぬ姿が好きだ、権勢も苦難も恐れぬ君が好きだ
 覚えておいてくれ、君が先に仕掛けたと…」
少商は慌てて言い訳しようとしたが不疑に遮られた。
「私は簡単に真心を委ねぬ、だが一度、委ねたら撤回はしない
 だが君が私に真心を委ねることができないというなら、私の真心を引き払うこともできる」
結局、翌日の朝、凌不疑は用事があって少商を迎えに来なかった。



一方、三公主は舅父(キュウフ)・小越(ユエ)侯と酒楼で密談していた。

実は舅父はすでに文修君の腹心も手なずけていた。
「いずれ贋金(ガンキン)は安値で我らの手に入る、その際はお前も封地で使うがよい」
貨幣の偽造は謀反と同罪だった。
しかし鉱山があるのは寿春(ジュシュン)で鋳造するのは小乾安王、もし追求されても過って贋金を使ってしまったとごまかせば良いという。

独りで参内した今日に限って少商は意地悪な三公主と遭遇した。

「私は身の程知らずが一番嫌いなの」
すると侍女たちが少商を無理やり平伏させ手を踏みつけ、頬を引っ叩いた。
しかし運良く皇太子妃が通りかかり、少商を助けてくれる。
「宴が始まるのに程娘子(ニャンズー)がいないと母后が案じていたわ、何と説明するつもり?!」
「それほど慌てること?ちょっとふざけていただけよ~」

皇太子妃は東宮で少商の腫れた手首を冷やしてくれた。
2度も同じ手を負傷した少商、しかし多忙な皇后を煩わせることはできず、かと言って凌不疑には意地でも頼りたくない。
すると皇太子妃が三公主の性分を教えてくれた。
三公主は皇帝の寵姫である越妃の娘で、兄の三皇子も有能なため長秋(チョウシュウ)宮も東宮も眼中にないという。
小越侯のもとで育ったせいか贅沢を好み、傍若無人なのも仕方がないのだろう。
幼い頃は子晟(ズーション)を見下していたが、功績を残すようになると急に気に留めるようになった。
恐らく子晟を好きというより、容貌と権勢に執着しているだけだという。
「子晟も宮中に入った時は蔑まれ、あなた以上に酷い目に遭ったのよ?
 ある時、川に突き落とされてね…幸い太子が助けたの
 その頃の子晟は宮女を連れて食事に付き合わせるのが好きだった
 家族と座して食事をしたことがなかったから…
 幼い頃は毎年、必ず灯会(トウエ)に出かけ、灯火の見える高台で世の人々の団らんを見渡していたわ」

一方、皇太子は長秋宮での騒ぎを知り、凌不疑を呼び出していた。
車騎(シャキ)将軍・王淳(ワンチュン)も凌不疑も大事な右腕、婦人の諍いで離間して欲しくないという。
しかし不疑は恨みではなく、王淳の能力では任に耐えられないと諫言した。
「後継者として親族を重用するのではなく、国事を第一にお考えください
 太子妃の従兄も遊びにかまけ酒で事を誤る、東宮侍衛の首領など務まりません
 できるだけ早く最適な人選を…では他に用件もありますのでこれで」
「あ、お前の未婚妻が東宮に来ているぞ?」

皇太子妃の寝殿に侍女が礼品の受け取りにやって来た。
皇太子妃はすでに準備していた礼品を渡したが、ふと思い立って自分のかんざしを外し、梁(リャン)夫人に渡すよう頼む。
「太子妃、それは殿下への朝貢の品では?」
「殿下の物なら功績ある大臣に与えるのが一番だわ」
やり取りを見ていた少商はしみじみ皇家の妻を務めるのは至難の業だと漏らした。
「確かに宮中など身を置かぬ方が良い、でも今となっては突き進むしかありません
 彼がここで成長したのなら、私も同じ道を歩んでみたいのです」
その話をちょうど皇太子と凌不疑が聞いていた。

凌不疑は少商の言葉が内心、嬉しかった。
そこで手を取って連れて帰ろうとしたが、少商は思わず顔を歪ませてしまう。
驚いた不疑が袖をまくってみると、少商の手はひどく腫れていた。

気が強い少商は相変わらずなぜ負傷したか言おうとしなかった。
すると凌不疑は少商を欄干に座らせ、隠しても自分で調べれば分かることだという。
「それからもうひとつ、少商、今後、東宮や太子妃とは距離を取れ」
「なぜ?太子妃は威張らず、東宮では侮辱されたりしないわ」
「参内して日の浅い君にはまだ分からないことがある
 宮中の内情はそう簡単ではないし、心の善悪も一目では見抜けないものだ
 利害がなければ誰もが善良だが、権勢が絡むとそうもいかない」
東宮と言えば争いの渦中、雁回(ガンカイ)塔での一件もあり、不疑は宮中のもめ事から少商を遠ざけたいという。
しかし少商は凌不疑の未婚妻になって遠ざけられるのかと聞いた。
「あなたのために順応しているのよ?あなたの直面する全てに私も直面するのだから
 あなたが宮中で経験したことを私も少しずつ理解するつもり
 だって未来の夫がどんな人か知りたいから…」
「それはつまり…全ては私のためだと?」
「違う、自分のためってことよ」
「分かった、望むままやってみればいい、私が守る」
すると2人はわだかまりが解け、見つめ合った。

( ๑≧ꇴ≦)アップデートしたアルソックw


三公主が真紅の衣に豪華な装飾品で永楽宮に現れた。
越姮(ユエホン)はつくづく皇帝に追随して出征するため娘を三舅母(キュウボ)に預けたことを後悔し、俗っぽく山猫のようだと揶揄する。
「でもなぜ急に豊かになったの?」
「ささやかな商売を始めただけ、都の酒楼よ」
三公主は母に牡丹の金のかんざしを献上したが、越姮は全く興味がなかった。
「今日は霍(フォ)将軍の命日よ、昼は長秋宮で宴があり、午後は陛下が弔いを行う
 お前も奉先(ホウセン)殿へ…」
すると越姮は侍女に命じ、三公主を白い衣に着替えさせろと命じた。

長秋宮での宴、少商も凌不疑の未婚妻として列席した。
少商の斜め後ろには相変わらず風来坊のような五皇子がいる。
当時、皇帝が酔った勢いで徐(シュ)美人を寵愛し産ませたのが五皇子、その過ちを深く反省した皇帝はそれ以来、后妃と曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)しかそばに置かなくなった。
他にも駙馬や皇子の夫人たちも顔を揃えていたが、気性の激しい三公主や五公主と違い、二公主や五皇子妃は穏やかで少商を家族として歓迎してくれる。
しかしその様子を見た三皇子が思わず失笑した。
「今や誰もが子晟に擦り寄るとはな…」

皇帝は亡き義兄を思うと酒を飲む気分にもなれず、沈み込んでいた。
そんな中、宴に招かれざる客が現れる。
汝陽(ジョヨウ)王妃は家族の宴を理由に参内し、愛孫の裕昌(ユーチャン)を出家に追い込んだ少商と孫を捨てた凌不疑への鬱憤を晴らしにやって来た。
そこで普段は宴に参加しない越妃の席に勝手に座ったが、珍しく越姮がやって来る。
「叔母(シュームー)、そこは私の席です、空けていただけますか?」
越姮は叔母の席を用意するよう命じ、汝陽王妃を移動させた。

越姮は孫を甘やかす汝陽王妃を牽制するため、子女たちに厳しい戒めを与えた。
三公主には騒ぎを起こせば食邑(ショクユウ)や奴婢を全て召し上げると脅し、二公主が妹をかばえば、女媧(ジョカ)に頼んで三妹のような愚かな娘を産ませると容赦ない。
皇太子妃に至っては自分の手の内を管理しろと叱られ泣き出す始末、五公主はひどいクマができていると指摘され、今夜は独りで過ごしたらどうかと揶揄された。
さすがに汝陽王妃は残酷過ぎると呆れたが、越姮は子女たちを教育しているだけだという。
すると越姮は駙馬や公主たちを下げてから昔話を始めた。
「当時、長公主は懐妊中で身体が弱るも、叔母は肉を買う金も貸さなかった
 陛下は姉のために獲物を狩ろうと凍える雪の日、山に入るしかなかったのです
 霍翀(フォチョン)兄が駆けつけた時、陛下は凍えていたとか
 その後、霍翀兄が金を出して長公主と凍傷の陛下を世話してくれました…」
汝陽は慌てて皇帝が山に入ったことなど知らなかったと言い訳したが、皇子たちの目は冷たい。
「…子晟、私と陛下はあなたの成婚を待ちわびてきた
 子孫がいれば舅父一族を供養し、亡き彼らの魂が孤独にさまようこともない
 あなたの妻に難癖をつける者など、くそ食らえよっ」



つづく



( ;∀;)ずーしょん…やっぱり相当、拗らせてるね〜 ←そっちw
それにしてもこの手の長台詞は耳触りが合わないとキツいわ( ̄▽ ̄;)





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最終更新日  2023.09.24 15:04:45
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