全5件 (5件中 1-5件目)
1
2013年12月30日『同期』今野敏 講談社 09年7月16日初刷 西宮市立図書館2014年1月1日『リセットボタン』ブックオフで購入。 リセットボタン読了。生々しすぎるので、苦しくなる。「死ぬ事が幸せ」という事はあるかもしれない。 人から見たら「なんでこんな事で」という理由で自殺する人もいる。ただ本人の言い分がそのまま信じられるかどうかわからない。p159の叔父さんの言葉p141の「彼女 」の言葉が心に沈み込む。1月2日『武道的思考』内田樹 西宮市立図書館 ヴォリーズ建築の価値を地価と管理経費の喪に還元することしか考えない人間、p135 兼好は『徒然草』を二十歳代から書き始めている。P127 おむつなし育児。子どもの便意を感じ取る母親。P167 同じルーティンの繰り返しから、わずかな兆候の変化から異常を感知できる。 哲学者の哲学者性とは、自己の脳内における無数の考想の消滅と生成とを精密にモニターする能力に帰する。P2171月5日 『中華料理の文化史』張競 ちくま文庫 2013年6月 ジュンク堂で購入。 篠田統『中国食物史』が未読ななかで最良の本ではないか。青木『華国風味』、宮崎『中国に学ぶ』などもいいなとおもう。食というものを通して様々なものが見えてくる。また疑問も深まる。中国で犬を食べなくなった。しかし朝鮮半島ではその習慣が残ったのはなぜか?など。1月6日『マリア・ビートル』伊坂幸太郎 角川書店 西宮図書館 会話が楽しく、ひねりがきいていて、結末がスカッとする。「人を殺しちゃなぜいけないの」という王子の問いに対して鈴木の答え、じいちゃんとばあちゃんの答えが秀逸。 王子は最後にどうなったか。疑問形で残るのがまたいい。最初に読んだのが『死神の精度』だったかな。 1月7日『隠蔽捜査』今野敏 新潮社 2005年9月 西宮図書館 原理主義者である点は片山右京と同じ。しかしもっと現実的。私的な部分も絡んできて、そこでも「あるべき姿」を貫く。1月8日『果断』(「隠蔽捜査」2) 今野敏 新潮社 2007年4月 西宮図書館 竜崎の成長物語でもあるなと思う。 展開、トリックともに秀逸。1月9日『疑心』(「隠蔽捜査」3) 今野敏 新潮社 2009年4月 西宮図書館 真剣に恋をする竜崎と、そこからの抜け出し方がユニーク。 ただ、制度設計、および法律の問題と、「竜崎だから」という事とを混同してはいけないなと思う。1月11日『中国化する日本』輿那覇潤 文藝春秋 2011年11月 西宮図書館 刺激的な本。購入して再度チェックしてみようと思う。最新の研究成果の吸収のためにも有効かもしれない。1月12日 『極上の流転』村松友視 中央公論社 2013年8月 西宮図書館 なんという人生なのか。こんな人がいたという奇跡。後半の言葉は、正に珠玉である。ただ、評伝としては甘い。対象との距離感がない。1月13日『私家版 ユダヤ文化論』内田樹 文藝春秋新書 2006年7月 西宮図書館「なぜ日本人はこうなのか」という問いを考える際の参考にはなると思う。1月17日『マークスの山』高村薫 早川書房 1993年3月 西宮図書館 「圧倒的」という言葉しか思いつかない。 最後の数ページを読みながら涙が出た。1月18日『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ「僕がこの小説で、西欧自由主義国に示したかった最も重要で唯一のものは、個人は思想より大切だという考え方です。これを反共的な観念だと片付けてしまうのは、恐ろしい誤りです。どのような社会にあっても、大衆の利益のために個人を犠牲にして顧みない思想ほど危険なものはありません。現在戦われている冷戦を見て、もっとも痛切に感じられるアイロニーは、個人が銃弾同様に扱われている事実です。われわれは西欧デモクラシー体制の維持と言う大義名分で、その主義そのものの放棄を強いられているのが現状です。東西両陣営のスパイ戦指導者は、書類の上で作戦計画を樹立していますが、いつなんどき、同じその書類一つの力で、我々国民が弾薬に変えられないとも限りません。」「ライフ」誌とのインタビュー これは、『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ 早川文庫 昭和53年5月発行 のあとがきで、訳者の宇野利泰氏が紹介している、ル・カレの言葉です。この作品自体、「スパイ小説」の分野での第一級の作品ですから、今更筋を紹介する野暮を行う気はありません。ただ、最後の二章を読み進みながら、「早く結末を知りたい」と言う気持ちと「結末にたどり着きたくない」という矛盾した気持ちの間に宙ぶらりんになりながら私がページをめくっていたという事実から、すべてを推し量っていただきたいと思います。 そして、この「西欧デモクラシー体制の維持と言う大義名分で、その主義そのものの放棄を強いられているのが現状です」と言う言葉の切実さ。「秘密保護法」そのものではありませんか。 1月26日『ティンカーテイラーソルジャースパイ』ル・カレ 早川書房 s54年9月 西宮図書館 無能な政府のもとで秘密諜報組織は急成長する。 諜報組織の一員が自己の政府の行動に対して、道徳的・倫理的に正当化できない事柄を発見した時に彼は自分の立場を利用して何をやろうとするのだろうか。1月27日『リヴィエラを撃て』高村薫 新潮社 1992年10月 東灘図書館 二段組550ページ。面白さがぎっしりと詰まっている。つまり過ぎているのかも。ふと考えた。英訳されて、アイルランドの人たちがこの本を読んだらどんな感想を持つのだろうか、と。そこに微妙な違和感がある。『地を這う虫』高村薫 文藝春秋 平成五年十二月 完璧。マークスの山を以前読んだ時になぜ続けて読まなかったのか。1月30日『太陽を曳く馬』高村薫 新潮社 二巻 2009年7月 東灘図書館 壮大な失敗作。しかし、だからこその意欲作。現代美術、禅をはじめとする仏教思想、インド思想。オウム真理教。「もう一回読んでみたい失敗作」
2014.01.30
コメント(12)
「僕がこの小説で、西欧自由主義国に示したかった最も重要で唯一のものは、個人は思想より大切だという考え方です。これを反共的な観念だと片付けてしまうのは、恐ろしい誤りです。どのような社会にあっても、大衆の利益のために個人を犠牲にして顧みない思想ほど危険なものはありません。現在戦われている冷戦を見て、もっとも痛切に感じられるアイロニーは、個人が銃弾同様に扱われている事実です。われわれは西欧デモクラシー体制の維持と言う大義名分で、その主義そのものの放棄を強いられているのが現状です。東西両陣営のスパイ戦指導者は、書類の上で作戦計画を樹立していますが、いつなんどき、同じその書類一つの力で、我々国民が弾薬に変えられないとも限りません。」「ライフ」誌とのインタビュー これは、『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ 早川文庫 昭和53年5月発行 のあとがきで、訳者の宇野利泰氏が紹介している、ル・カレの言葉です。この作品自体、「スパイ小説」の分野での第一級の作品ですから、今更筋を紹介する野暮を行う気はありません。ただ、最後の二章を読み進みながら、「早く結末を知りたい」と言う気持ちと「結末にたどり着きたくない」という矛盾した気持ちの間に宙ぶらりんになりながら私がページをめくっていたという事実から、すべてを推し量っていただきたいと思います。 そして、この「西欧デモクラシー体制の維持と言う大義名分で、その主義そのものの放棄を強いられているのが現状です」と言う言葉の切実さ。「秘密保護法」そのものではありませんか。 オバマ大統領は、「政府の専横を縛るのは法である。われわれの制度はそのように設計されている」と発言したそうです。本当にやる気かどうかは別としても、安倍ちゃんからは絶対に出て来ない言葉でしょうね。 また、私たち主権者も肝に銘じなければならない、そう思います。
2014.01.23
コメント(4)
「食(くら)うべき詩」とは電車の車内広告でよく見た「食うべきビール」という言葉から思いついて、かりに名づけたまでである。 謂(い)う心は、両足を地面(じべた)に喰っつけていて歌う詩ということである。実人生と何らの間隔なき心持をもって歌う詩ということである。珍味ないしはご馳走ではなく、我々の日常の食事の香の物のごとく、しかく我々に「必要」な詩ということである。--こういうことは詩を既定のある地位から引下すことであるかもしれないが、私からいえば我々の生活にあってもなくても何の増減のなかった詩を、必要な物の一つにするゆえんである。詩の存在の理由を肯定するただ一つの途(みち)である。☆今は昔、高校生のころに、ホントにたまたまつけたテレビで「通信高校講座・国語」をやっていて、この啄木の「食らうべき詩」を取り上げていました。 なぜこの詩のことを思い出したのかと言いますと、「クローズアップ現代」で、「あふれでるポエム」というタイトルで、熊本県人吉市の「詩情溢れる条例」を取り上げ、さらに「居酒屋甲子園」なる企画で、とてつもなく酷い労働条件のもとで働いている若者たちが「夢のような詩情あふれる」フレーズを絶叫し、陶酔しきった表情を浮かべていたからです。 ホントは、最初の5分ほどで気持ちが悪くなって、お風呂に入ったのですが、ツィッターで平川さんが「オダジマさんが出ていてコメントしてる」と紹介されていたので、録画してあったシロモノを見てみたのです。 「醜い現実をポエムで隠してはいけない」 「5W1Hを大切に(ジャーナリズムの言葉)。ポエムはそれをぼかしてしまう。特に権力者がそれをやり始めると危険。『美しい日本』というならだれにとって美しいのかを問わなければならない」 「大人は、絶叫して感動しているように見える若者の姿を信じない方がいい」 甲南の准教授の人の発言もしっかり切り込んでました。 「今の自分を幸せだと思わないとやっていられない」というある若者の言葉を思いだしました。 もう一度、啄木の「食らうべき詩」を読み返してみます。そして、彼の詩、短歌の歩みをたどってみたいと思います。 「クローズアップ現代」頑張れ!!よくぞオダジマさんをゲストに出した!!
2014.01.14
コメント(8)
今野敏・『隠蔽捜査』全三巻を読み終わりました。 第一巻の『隠蔽捜査』を読み始めたら、「エライ俗物やなぁ」と思いました。ところが、読み進むにつれて、主人公の竜崎君は、「エリート意識の塊」であり、「私が日本国の治安を守っているのだ」という矜持の塊でもあることがはっきりしてきます。 徹底的な合理主義者であり、原理・原則主義者でもあります。 「悪いことは悪い、間違っていることは間違っている」という信念を貫きます。それは、彼が所属している警察庁という組織に対しても、家庭の中の問題でも同じなのです。 当然のごとく彼は「変人扱い」をされます。 家庭を持っている杉下右京さんとでもいえばいいのか・・・。 で、全三巻を読み終わりました。竜崎君の成長物語としても読めます。最後は、恋なんかしたりしてときめいたりしておるのであります。 いろんなテーマが取り上げられます。 少年法の問題、監視カメラの是非、地域社会と警察との関係の在り方、そして、「人権を口にする人たち」の扱い方、情報収集能力とテロ対策についての日米比較。 ただ、竜崎君が、あくまで「変人扱い」されているというところがポイントになるとも思います。彼は極端に私心がない人間として描かれています。その彼が「変人扱い」されているということは、裏を返せば、彼ぐらいの地位になれば「私心の塊」という人間がごろごろいるということでもあります。 法と制度とは、個人の資質によって大きく左右されることがあるということは周知の事実です。だからこそ、その「振れ幅」をできるだけ小さくしておく必要がある、そう思うのです。 個人が暴走した時に安全装置は働くのか。 特に、「テロ対策」などという重要な問題については、安易にアメリカの方式をまねるべきではないでしょう。 少年法の問題、「人権を口にする人たち」の描き方についても、私はかなりの違和感を持ちました。『永遠のゼロ』における高山という新聞記者の描き方と共通するモノを感じてしまうのです。 警察の人権侵害は枚挙にいとまがないと言っていい。しかしその点についてはほとんど触れられていません。 つまり、「人権を口にする人たち」の描き方があまりにも薄っぺらなのです。 竜崎君は、自分が属している組織の闇の部分にもメスを入れ、「悪いことは悪い」と言える人間です。その彼と釣り合いが取れるような「人権を口にする人たち」を描くことは、作品自体に深みを与えると思います。 焦点を絞り込むことは、面白い作品を作るための条件かもしれません。しかし、人間の真実、社会の抱える問題に対する切り込み方、これは、両立します。 松本清張、水上勉の作品はそのことを立証してくれました。 高村薫さんの『マークスの山』をもう一度借りて読んでみたくなりました。 この作品を「ビブリオトーク」で紹介してくださった方にお礼を申し上げます。 ホントに楽しい時間でした。
2014.01.09
コメント(6)
街をぶらぶら歩いていると「あれ 」と思う事がありました。門松が皆無。さらに、玄関に正月飾りも見当たらない。以前からこんなでした?
2014.01.02
コメント(2)
全5件 (5件中 1-5件目)
1