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2017.09.10
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カテゴリ: 観照 & 探訪
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仏光寺通から新町通に右折します。菅大臣町の東隣が岩戸山町です。新町通を挟む両側が一つの町となっています。 新町通仏光寺下ルという位置になります 。新町通高辻上ル岩戸山町の表記が一般的です。





岩戸山の正面。新町通の北から眺めた全景
北西側からの眺め
岩戸山は一見、鉾のように見えますが山に区分され、 曳山と呼ばれます 鉾と同様に車輪を付けた山です。
記紀に記される「国生み」と「天の岩戸」の二つの神話を題材とした山 です。
北東側からの眺め

鉾が屋根を突き抜ける形で真木が立てられる のに対して、 岩戸山は屋根の上に真松が立てられている ことからも鉾でないことがわかります。

天水引は緋羅紗地に鳳凰が丸の形に刺繍され 前後に3個、側面に5個配置され、 その間に彩雲が刺繍されています。
下水引は一番から三番までの3枚が重ねて飾られています。
三番水引 は前回認識を新たにしたと述べましたが、八坂神社の神紋2つが交互に文様として綴織にされています。 「紺金地雲三ツ巴五瓜唐花文様綴織」 と記されています。三ツ巴は右三つ頭巴紋、五瓜唐花は五葉木瓜紋と記してきたものと同じ意味合いです。駒札の後半に記されていますが、平成17年(2005)に復元新調されたものです。


前懸は「玉取獅子図 中国絨毯」です。
一番水引は「鳳凰瑞事彩雲岩に波文様」 (平成15年・2003 復元新調)、 二番水引は「緋羅紗地宝相華文様 刺繍」



左右側面の胴懸は、図柄が似ていますがよく観察すると微妙に違う意匠です。駒札には 「唐草文様インド絨毯」 と説明されています。一方、手許の本では、段通でペルシャ・アゼルバイジャン地方の18世紀の作品と記しています。段通は敷物用の厚い織物のことですので、絨毯とも言えるものでしょう。


宵山までは、拝観用の登り口が後部に設けてありますので、見送が懸けられていません。そのため、逆に
後懸の全体が見えます。胴懸と同じものと思いますが、調べた範囲では記載資料がありません。


正面の屋根裏を見上げると、屋根の妻側のけらば裏板には 鶺鴒 (せきれい) 6羽の飛ぶ姿 が描かれています。前後あわせると12羽、今尾景年の弟子である中島華凰が昭和6年(1931)に描いたそうです。この妻側の三角形の部分には、 金色の雲を背景に、素戔嗚尊像が彩色彫刻されています




後部には八岐大蛇 (やまたのおろち) と酒瓶の彩色彫刻 が同様に施されています。
これらは 山村光月作 といいます。




両側の屋根裏の垂木には八双金物が打たれています。垂木間の金箔板には今井景年が極彩色で四季草花を大正7年(1918)に描いたものだそうです。 73歳の作。今井景年は1924年に80歳で没した日本画家。鈴木百年に師事し四条円山派を学んだ画家だとか。最晩年の作品の一つがここに残され、光彩を放っていることになります。
函谷鉾の屋根裏にも今井景年が鶏図などを描いていることは、既にご紹介しています。
「函谷鉾の鉾建て」ご紹介をご覧いただけるとうれしいいです。

会所に見送や御神体等が展示されていますが、見物客が多かったので写真を撮りませんでした。​ 2014年の宵山で会所に展示の見送を拝見しています。こちらから2つの見送の画像をご覧いただけると、うれしいです。 ​  (観照 [再録] 祇園祭 Y2014・前祭 宵山 -1 長刀鉾・函谷鉾・月鉾・舩鉾、岩戸山、木賊山、太子山)

少しネット検索で調べていて、 國學院大學デジタルライブラリーに「祇園祭礼絵巻」が公開されている のを知りました。​ 山鉾巡行が絵巻に描かれています。岩戸山は、こちらをご覧いただくと興味深いと思います。屋根の形が違うのです。
また、 岩戸山のホームページの「history」をご覧になると、岩戸山の変遷が詳しく説明されています 。現在までの変遷が興味深いと思います。

この辺りで新町通を北に上がり、船鉾を訪ねることにしました。
つづく

参照資料
『祇園祭再見 山鉾篇』 松田元編並画  郷土行事の会
宵山・巡行ガイド2016  2016年に入手の資料
今井景年 ​ :コトバンク

補遺
岩戸山 ​ ホームページ
山鉾について ​  :「祇園祭」(祇園祭山鉾連合会)
天岩戸 ​  :ウィキペディア
天岩戸神話 ​  :「日向國 天岩戸神社」

今井景年 ​  :ウィキペディア
中島華凰 ​  :「コトバンク」
洛中洛外図陶板 ​ (上杉本) :「ギャラリー 洛中洛外」
  屏風の右隻三曲目の中央より下め、鶏鉾の東、船鉾の南という間の位置に
  当時の岩戸山が描かれています。拡大すると車輪が描かれています。

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

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Last updated  2017.10.23 09:33:38コメント(0) | コメントを書く


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