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バウムでは、全社員を対象に「理事長の鞄持ち」という研修制度を取り入れています。現場の社員は一年に一度、管理職は三か月に一度、早朝の七時半から私の仕事が終わるまで実施します。運が良ければ(?)一八時ころには終わりますが大体は二十二時まで続きます。当然鞄持ちの日は、終わったらへとへとです。しかし、私はそのスケジュールを「毎日」こなしています。この事を体験させるだけでも「鞄持ち」はとても有効な研修スタイルです。ここで、入社半年の生頼英里香が作成した鞄持ちの報告書を一部紹介します。『一番驚いたのは理事長の「仕事量」でした。早朝七時半に出勤し、夜は十時まで働かれており、食事の時間などの隙間時間まで有効活用しながら、とにかく一日中休むことなく働かれていました。バウムの経営計画書には「理事長が先頭に立って、汗をかいて働きます。無理を承知で、皆さんに協力をおねがいいたします」とありますが、まさしくその通りだと思います。今まで私が思っていた会社の社長のイメージ像は、例えばお昼過ぎに出勤し、エアコンの効いた部屋でパソコンを開き、夜になれば飲みに行く。このようなイメージを抱いていました。しかし、バウムの理事長は誰よりも仕事に対して熱心に向き合い、誰よりも率先して仕事をこなされており、鞄持ちをすることで今までの会社のトップへのイメージが一新されました。』もともと私がこの研修を取り入れたのは、理由があります。今から八年前、まだ社員教育を全く実施していなかった時、私は社員にとって決して良い経営者ではありませんでした。(社員から見れば)気まぐれに現場にやってきては、説教を繰り返し、思い付きでどこかから仕入れてきた「にわか知識」をドヤ顔で披露し、本当に大変な時は現場に居てくれない。失敗をすれば怒鳴り散らし、結果を出しても褒めてくれない。社員は毎朝「今日は理事長が現場に来ませんように」と祈っていたそうです。そして、夜になればどこの誰ともわからない人と会社のお金で飲み歩き、自分たちを安月給で働かせて、自分はその何倍もの役員報酬を貰っている、まさに「悪魔のような」経営者。しかし、私は今も昔も働き方に変わりはありません。それどころか、当時の方が今よりももっと働いていたかもしれません。もちろん、報酬も当時は現場の社員とほとんど変わらないくらいでした。今は、それこそ当時の何倍もの報酬を貰っているのに、社員は誰も文句を言いません。それどころか、「あなたと私の給料を交換してあげるから、仕事も交換しよう」と夢のような話を持ち掛けても、「どれだけ給料が高くなっても、理事長のようには働けません。無理です」と言います。経営者の皆さんに鞄持ちを勧めると、「経営者の仕事を見せられない」と言います。例えば、会社の数字(売上や社員の給料)や、新規事業の商談等々。しかし、本当にそれらは見せられないのでしょうか?少なくともバウムでは、そのほとんどをオープンにしています。各事業所の売上や、利益、社員の給料や賞与の額、新規事業の進捗など、現場社員に秘密にしている事はまずありません。取引銀行様と新規事業の打ち合わせをしている時、支店長が私と同席している社員(入社一年目)を見比べて言いました。「どこまで数字を出してお話ししても良いのでしょうか?」私は「全て大丈夫です」と答えました。多くの経営者は、秘密にしないと落ち着かないようですが、実は逆です。普通の人は「隠せば隠すほど知りたくなる」。逆に隠さなければ、興味が無くなるのです。当時、まだ私が自分の報酬を隠していた時の事です。私が自分の机に、某電気店の会員証を置いておいた事がありました。それを見た社員の一人がこんなことを言い出した。「うちの理事長は、ブラックカードを持っている。それほど高い給料なのだ」。私にとってはギャグとしか思えない話でも、社員にとっては大真面。そこで、私は「NPO法人の決算書は公開されているから、そこの役員報酬の所を見てみなさい。それが私の給料です」と言うようにしました。結局、それから五年以上経過しますが、確認した社員はいまだ居ません。人の興味なんてこんな程度です。悔しいので、今では全社員に報酬額を言いふらしています(笑)。再度書きますが、「鞄持ち」の一番のメリットは会社の透明性の確保と風通しを良くする事が出来る、という事です。しかし、デメリットもあります。それは、経営者自身がとても「しんどい」という事です。想像してみて下さい。朝から晩までずっと後ろから自分の行動の一挙手一投足、全てを観察されているのです。一瞬でも気が抜けません。それも毎日です。これは、相当疲れます。しかし、それ以上のメリットがある事を考えれば、充分実施する価値はあると思います。 理事長 笹谷 寛道
2018.02.22
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