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天野が目覚めると、そこにはテスラ博士と看護師・Qが。 彼らは、「死番虫」により傷つけられた天野の足を治療しようとしていた。 それは、幽霊塔から2人で逃走した後、テツオが車でここを訪ねたから。 そして、テツオは自分が麗子であることを、天野に打ち明ける。 後日、ラジオから流れる、幽霊塔での大量殺人事件のニュースにより、 2人は、自分たちが容疑者として追われる身になっていることを知る。 さらに神戸市警の山科からは、 丸部検事が、真犯人が他にいる可能性を不自然に排除していると聞かされる。山科からの助言で、2には警察には出頭せず、逃げ続けることにする。そして、その際、周囲の目を欺くため、テツオは天野に女装させる。その逃亡中、天野は、神戸出身の作家・酒井不変木が書いた『灰色の迷宮』が、現在、幽霊塔で起こっていることと、瓜二つであることに気付く。天野からその話を聞いたテツオは、東京に行って、酒井不変木に会おうと言う。ただ、追っ手を避けるため、山越えで日本海に出て、北陸から関東に行くことに。ところが、二人は、山中で万次という若者に弓矢で狙われ、谷底の村に転落。そこは一面、ケシ(アヘンの原料)の花が咲き乱れていた。二人は、村人によって捕らえられ、村から出してもらえなくなってしまう。そして、この村の定員は55人で、二人が加わると56人になってしまったため、口減らしで、村で一番の年寄りである万次の祖母・久米が滝壺から流されると言う。その久米から、二人は子供を作るように命じられる。何者かが水門を開け、ケシ畑が水浸しになって4日後、その水が引いた時、アヘン工場の奥の小部屋で、万次が殺されているのが見つかる。天野は、その部屋の謎を解明し、密室殺人を暴こうとするうち、久米から、万次が産まれたことで、久米は自分の子供を産ませてもらえなかったと聞く。テツオと天野は、久米が犯人である証拠と、生き延びようとする理由をつかもうとする。そして、それは、久米が自分は身籠もっていると信じていたからだった。真相をつかんだ二人は、久米と共に村からの脱出を図るが……万次の矢が、久米を鬼から人へと還らせたのだった。 ***天野からの情報で、神戸市警も酒井不変木の捜査を開始する。そして、丸部も娘・沙都子を伴い、東京へと向かうのだった。もちろん、天野とテツオも、東京を目指す。さて、酒井不変木とは、一体どんな人物なのか? ***さて最後に、今巻までのお話しで、私が疑問に思っていることをまとめておくと、1.藤宮たつ殺しについて供述した執事:誰で、今どこにいるのか? 2.藤宮たつ殺しについて供述した女中:誰で、今どこにいるのか?3.藤宮たつ殺しについて供述した孤児院の院長:天野が育った孤児院と関係があるのか?4.天野を5歳の時に引き取った民間学者の義父:誰で、今どこにいるのか?5.天野について:本当の父と母は誰なのか?6.沙都子について:彼女は本当に丸部の娘なのか、そして彼女の母親は誰なのか?こんなところですが、これらがすべて明らかになるのは、まだまだ先のことでしょう。ということで、このお話は、まだまだ続きそうです。
2014.06.30
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天野、テツオ、山科の三人は、テスラの要求に応えるため、 当初、狙いを定めた、山科の友人を殺した田中源三を尋ねる。 しかし、そこで三人は、神戸大水害の日に起こった事実に気付き、 「殺してもいいヤツ」をみつけられないまま、テスラ研究所に引き返す。 テツオはテスラに捕まり、一人別の場所で、臓器提供者として殺されかかる。 その時、テツオは、自分の正体が、義母殺しの犯人・藤宮麗子だと明かす。 そして、自分の心が、ずっと男だったことも。 さらに、神戸市内3か所に時限発火装置を仕掛けたとテスラを脅し、開放される。天野と山科の元に、眠ったままのテツオを運んできたテスラの看護師・Qは、去り際に、本城志郎は幽霊塔の近くに、顔を変えているはずだと告げたのだった。 ***その頃、幽霊塔には、住み込みで働くことになった母子を伴い、丸部の娘・沙都子と、家政婦の斡旋業者・白井が訪れていた。家政婦の子供が、屋敷内のどこかに行ってしまったのを探し、まず警官が、そしてその後、沙都子と白井も、隠し扉の下に続く地下へと進む。そこには、様々な罠が仕掛けられており、まず警官がその餌食に。そして、沙都子は謎の男に追われることになるが、テツオに救われる。その頃、別の場所で、家政婦は、時計にはりつけられた息子を助けようとして、マスクを被った何者かによって、ハサミで切り殺される。時計にはりつけられた息子を発見した沙都子は、怪物が二人いることに気付く。その後、家政婦の息子を救出したテツオは、沙都子、白井と合流する。一方、遅れて幽霊塔にやってきた天野は、暗号を解き、地下室に向かうことに成功。そして、ただれた顔の男に殺されかけるが、それを制止したのはテツオだった。テツオは、その男の正体が、全身を焼かれた本城志郎だと天野に告げる。そして、その男が、自分のことを麗子だと思い込んでいるとも。テツオは志郎との会話の中で、志郎をこんな姿にした人物を聞き出そうとする。志郎は、藤宮たつが時計を動かすのを盗み見していたが、止め方は知らなかった。「たつに盗み見したことを咎められた」と語る志郎の言葉から、テツオは、藤宮たつは、時計の止め方を知りたかった人物による拷問で死んだと推理する。そして、志郎が時計の動かし方を話してしまった人物が、真犯人だとも。必死で志郎の記憶を蘇らせようとするテツオ。その時、天野は、背後からハサミを持った何者かに襲われる。しかし、その覆面を被った人物の真の狙いは、志郎だった。テツオに指示され、天野は志郎を伴って隠れるが、テツオの危機に、覆面を被った人物の前に立ちふさがったのは志郎だった。そして、志郎が相手の覆面を剥ぎ取り、その顔を見ると、志郎の記憶が蘇った。しかし、その相手によって、志郎は殺されてしまう。テツオは、丸部に捕まるわけにはいかないから、天野に「友達なら僕と逃げて」と頼む。その時、天野は、テツオが女性(麗子)であることを確信し、行動を共にしたのだった。
2014.06.22
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藤宮たつ(69)が、養女の麗子(23)に惨殺された事件。 執事と女中が「犯行前日に二人が派手な口論をしていた」と証言したことから、 それは、麗子の義母への怨恨によるものとみなされていた。 「もし、テツオがその執事だったら……」天野は疑念を抱く。 そして天野は、丸部検事から、事件当日、執事と女中と孤児院の院長の3人が、 時計台にはりつけられた義母を前に、「私が、殺してしまった…!!」と 麗子が叫んでいるのを見た、と証言したことを知らされる。 そして、数週間の逃亡の後、自白を認めた遺書を持ち死体で発見されたとも。しかし、麗子は逃亡前に、自分の写真をすべて焼いていた。「今思えば、身代わりの死体を仕立てて、逃亡するための布石だったわけだな」丸部は、そう言いながら、天野に、執事と女中と共に、麗子が写った唯一の写真を見せる。だが、それは、ぼやけて、その素顔がハッキリとは分からないものだった。そして、事件後姿を眩ました麗子の婚約者・本城志郎(32)なら、麗子が映った鮮明な写真を持っていると天野に告げ、一週間で手に入れろと命ずる。しかし、丸部の娘・沙都子は、写真を見つけても、決して父には渡してはならないと忠告する。その理由を天野に告げようとしたとき、丸部が現れ、沙都子は口を閉ざした。写真を探す強い決意を語る天野に、テツオは止めるよう促すと共に、「僕が、その麗子だから」と言うが、天野は信じようとはせず、一人出かけようとする。しかし結局、天野はテツオの車で、本城の本籍地、広島県呉市に向かう。そして、その二人を、車で追う謎の人影(本巻で後に判明)。でも、広島県呉市って、天野がテツオを「死番虫」ではないかと疑い、部屋に乗り込んだ時、テツオが、花園恵が殺された夜に、行ったと述べてた個人病院のある場所だなぁ……。まぁ、とにかく二人は本城家に辿り着き、志郎の友人と偽って、屋敷内に入ることに成功。出迎えたのは、志郎の妹・志乃で、兄は18年前に出て行ったきり、帰ってきたことがないという。天野は志郎の部屋を物色するうち、屋根裏部屋で、喉元に釘を刺した市松人形を見つける。本城の両親は18年前(志郎が出て行った年)に死んでおり、本家は、現在、叔父夫婦が継いでいるが、志郎が継ぐべきで、もし、帰ってこなかったら、志乃に婿をとり、継がせる考えを持っているという。そして、天野とテツオが納骨堂を調べに行こうとしたとき、テツオは背後から何者かに襲われるが、坂の下に転げ落ちていってしまい、残った天野は、姿を現した本城家の人々に捕らえられてしまう。彼らが捜していたのは、分家の和雄の殺害犯。しかし、実は和雄を殺したのは彼ら自身、その罪を天野たちになすりつけようとしているらしい。天野を助けようとするテツオ。しかし、それを制止したのが神戸市警の山科。山科は、本城家では、当主が死ぬと、細君も殉死させられると、テツオに教える。一方、納骨堂の座敷牢に閉じ込められた天野は、叔父から本城家の秘密を知らされていた。その後、座敷牢を抜け出した天野は、志乃と共に納骨堂に行き、そこで、彼女の母の遺骨が、他人のものであることに気付く。それは、彼女の母が殺した、妊娠中の父親の愛人と胎児の遺骨で、その経緯は、兄と叔父、分家の和雄も知っていると言う。和雄は、叔父をずっとゆすり、今夜、志乃に襲いかかってきたのだった。志乃は、自分が和雄を殺したことを知った天野を殺そうとするが、テツオに救われる。志乃は長く牢に繋がれ、兵庫県の宝塚市にいる彼女の母親も逮捕されるだろう、志郎も、ひょっとすると、そこにいるかも知れないと山科は言うのだった。 ***天野、テツオ、山科の三人は、宝塚に向かう。そこで、山科は、丸部が2年前に、殺人事件の重要な物証を握り潰したと語る。そして、本城志郎の母親は逮捕されたが、志郎の行方は知らないと述べていることも。その際、母親の家から発見された「テスラ研究所」を三人は尋ねる。テスラ博士は、本城志郎の母親は、シワ取り美容の相談に来ただけだという。そこで、三人は捕らえられ、天野は心臓、腎臓、肝臓を、三人の患者に提供しろと要求される。そして、致死性のウィルスを注射されてしまった三人は、天野の代わりに殺してもいいヤツを連れてきたら、ワクチンを打ってやると言われる。山科の発案で、山科の友人を殺した田中源三を連れて来ようと、三人は神戸・長田区に向かう。途中、自殺希望者を連れてこようと、天野は言い出すが、途中で断念することになったのだった。
2014.06.21
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昭和27年6月23日午後11時53分、 藤宮たつ(69)が、養女の麗子(23)に惨殺された夜、 百数十年もの間、動かなかった時計塔が、一度だけ動いた。 その2年後、昭和29年の神戸を舞台に、このお話しは始まる。 主人公は、カストリ雑誌を収集する天野太一。 そして彼は、ある日、国民学校高等科のマドンナだった花園恵に出会う。 彼女は、お金持ちでいじめっ子の三村と結婚することになっていた。 天野は、二人に見栄を張り、自分が大金持ちで、今度結婚すると嘘をつく。そんな天野の前に突然現れ、管理人募集中の幽霊塔へと連れて行ったのが沢村鉄雄。しかし、その幽霊塔で、天野は何者かによって時計塔にはりつけにされ、殺されかける。その危機を救ったのは、何故か時計塔の時計を動かすことが出来るテツオだった。そして、この塔は巨大な金庫で、その財宝を山分けしようと天野を誘う。自分が住んでいたアパートが放火により焼失してしまった天野は、テツオの家に居候。しかし、そのテツオの正体は……女?天野は、テツオの策略で、幽霊塔の持ち主であり、そこで起こった老婆殺しの担当だった検事・丸部の娘・沙都子を脅迫し、雑用係となる。後日、天野は、花園恵に電話で、自分が幽霊塔で殺されかけたことを話してしまう。通信社に勤める花園は、特ダネを得ようと、一人で幽霊塔に乗り込むが、何者かによって殺され、時計塔にはりつけにされてしまう。天野は、病床に残された花園の母に、面倒を見ることを約束するのだった。天野は、テツオが花園を殺した犯人「死番虫」ではないかと疑い、彼の部屋に強引に乗り込み、そこで、マスクとナイフを発見する。テツオの「自分は、昨夜、広島県呉市の個人病院にいた」という言葉を、天野は信じきれなかったものの、今後も行動を共にすることを決意する。本巻の中で、私が一番気になったのは、天野が身寄りがなく、孤児院で育ち、5歳の時に民間学者の義父に引き取られたと、テツオに語っているところ。そして、その時、テツオが窓越しに見た後、言葉を交わした人物。さらに「すべてを手に入れ、あなたの花嫁になるのが、待ち遠しい」というテツオの言葉。この辺りに、このお話しのキーワードが潜んでいるに違いない。
2014.06.21
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新刊が出たことを、随分長い間、知りませんでした。 そして何気なく、色々なHPを眺めているときに、やっと気付いたのです。 直ぐさま、ネットで購入申し込み。 翌々日、自宅に届きました。 前巻を読んだのは、もう一年以上も前のこと。 新たに届いた24巻を読む前に、もう一度、読み直してみました。 やはりイイ。 とっても感動しました!そして、いよいよカイの演奏が始まった今巻。もう、言葉がない……どんどん、世界に引きこまれていく……何という作品なんだ……スゴ過ぎる!!!素晴らしい演奏と回想シーンが、見事に絡み合って、本当に心の底から素晴らしいと言える一冊でした。思わず、涙が出てきそうな程に。でも、レフがきっと優勝するんだろうな。
2014.06.19
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購入したまま、ずっと本棚で待っていてくれた本著。 それを、やっと読むことが出来ました。 まず感じたのは、これまで読んだ池井戸さんの作品とは、随分趣が違うこと。 池井戸さんの作品は、リアリティー全開なはずなのに、この作品は真逆。 『おれがあいつであいつがおれで』とか、 五十嵐さんの『パパとムスメの7日間』、『パパママムスメの10日間』と同じで、 人の中身が入れ替わってしまうという設定。 しかも、本作では、その入れ替わりが、人為的に行われたということになってます。総理大臣や経済産業大臣、野党第一党の党首といった、政治家たちの中身が、その息子や娘と入れ替わってしまいます。メインは総理大臣になったばかりの武藤泰山と、授業サボり放題で就活中の大学生・翔。父と息子が入れ替わったことで、それぞれの立場や考えに気付いていく、というお話しです。ただ、「入れ替わりを人為的に行う」というところからスタートした話なので、それを収束させるのも、かなりコジツケが強烈ですが、まぁ、それは仕方がないでしょう。刑事の新田は、常にカッコイイし、狩屋や貝原もなかなか良いキャラです。そして、本作で思わず笑ってしまったのは、泰山の妻であり翔の母である綾が放った次の言葉 「なんか、マグマ大使の一家みたいですわね」(p.157)こういったユーモアを前面に出しているところも、他の池井戸作品とは全く違うところ。池井戸さんのファンなら、必読の書と言えるかもしれません。
2014.06.17
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『下町ロケット』を読んだ頃には、 まだまだ、池井戸さんの作品は、 現在の私には、精神的にキツイかなと感じていたのですが、 ひょんなことから、ドラマ『花咲舞が黙ってない』を見ることに。 すると、思っていたより、胸が締め付けられるような緊張するシーンは少なく、 わりとシンプルで、スッキリした感じのドラマだったので、 「半沢直樹と違って、これなら見ることがきそう」と感じたのです。 6月18日(水)が最終回ですが、楽しみにしています。それで先日、古本屋さんに行くと、本著があったので購入。短編連作なので、とても読みやすく、一気に読了してしまいました。この間、ドラマでやっていたお話しは「腐魚」として入ってましたし、次回のお話しは「不祥事」として載っていたので、ドラマより先に結末を知ってしまいました。まぁ「不祥事」は、多くの人が予測できる結末で終わるのですが、「激戦区」とか「過払い」は、アッと驚く結末でした。その他の作品は、池井戸さんらしいもので、「半沢直樹」シリーズに通じるところがあるもの。そして、私が本著の中で一番心に残ったのが「彼岸花」。銀行という職場の、色々な面が凝縮されている感じで、「サラリーマンって、一体何なんだろう?」とか、「働くって、一体どういうことなんだろう?」とか考えさせられました。「彼岸花」は、ドラマでもやったのかな?もし、やっていたのだったら、その回だけは見てみたいと、強く思っています。でも、再放送はまだまだ先のことだろうし、DVDもレンタルしてもらえるのは、やはり、まだまだ先のことでしょうね。
2014.06.16
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NHK連続テレビ小説「花子とアン」を見ているので購入しました。 しかし読んでみると、ドラマのお話しと、本著に書かれていることとでは、 基本的な設定で似ているところもあるけれど、かなりの隔たりがあります。 そう、本著の帯に「原案」と明記されているように、ドラマは別のお話です。 読んでいて強く感じるのは、平成の今の時代と、 花子が生きた明治から昭和(特に戦前)における、世の中の仕組みや価値観の違いです。 身分や男女、その他様々な違いや、それに対する人々の感覚の違いに驚かされます。 そんな時代を生きぬいた人々の努力によって、今の世の中があるのだと思います。もちろん、今の時代も、数え上げればきりがないほど問題はあるけれど、それでも、本著を読む限りにおいては、少しは良くなってるんじゃないかと感じました。村岡花子という人は、平凡な一女性ではなく、時代の先端を生き、導いた人と言えます。そういう意味では、「連続テレビ小説」ではなく「大河ドラマ」で扱うような人かと思います。 ***梨木香歩さんが巻末の『「曲がり角のさきにあるもの」を信じる』で、花子と夫・儆三の恋について、このように書いています。 花子が、結果的に薄倖の妻子から儆三を奪うような形で成就させた恋(p.430)花子は、家族をとても大切にし、夫・儆三とも44年間の夫婦愛を貫き通したわけですが、その裏で、悲哀を感じていた女性がいたのです。 籍は入れたままの別居暮らしになって、もう3年近くがたつ。 世間一般では、夫婦の主導権は男性にあり、結婚しても、夫の意にそぐわず、 三行半を言い渡された場合、妻は涙を飲んで受け入れるしかない。 不妊や、重病にかかったとなれば、「妻として失格」の烙印を押された。(p.157)これが、花子が結婚する前の儆三の状況であり、そんな儆三と花子は結婚したのです。この事実を、現代に生きる女性たちは、どのように感じ、受け止めるのでしょうか? ***私は『赤毛のアン』シリーズが大好きです。もう、ずいぶん昔のことになりますが、10冊全部読ませてもらいました。入試の際の面接で「これまで読んだ作品の中で、最も感動したものは?」と聞かれて、「『赤毛のアン』シリーズです。」と答えたことを、今でもハッキリ覚えています。『赤毛のアン』は、私の人生に、少なからず影響を与えた作品です。そんな作品の翻訳者・村岡花子について、今回は詳しく知ることができ、本当に良かったです。
2014.06.12
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私は、これまで「うつ病」に関する書籍を何冊か読んできたが、 それらは主に、うつ病とはどのような病気か、どのような状態になるのか、 どのように治療をすればよいのか、どのように社会復帰を目指せばよいのか、 そういったことについて説明したり、体験を語ったりするものだった。 そして、それらの書物の多くは、発行されてもう十年も経つものも多かった。 それらに比べると、本著は2,009年9月発行であるから、比較的新しい。 文庫化されたのは、約一年前のことである。 そして、「うつ病治療」について、疑問や課題を投げかける内容となっている。本著を読んで感じたのは、信頼できる良い精神科医に出会うことは、思っている以上に難しいということだ。うっかりすると、知識も経験もあまり持たず、また、患者の声に耳を傾けもしないで、薬だけを出す、それも必要以上に、そんな医師も結構いるらしい。そういう医師に出くわしてしまったら、病気は良くなるどころか、ますます苦しむ結果に陥ってしまう。もし、診断を誤ってしまわれていたら、薬は本来「毒」であるから、使い方を間違うと、人体に良い影響をもたらすはずがない。本著には、次の「医師選びの注意点5カ条」が示されている(p.93)。 1.薬の処方や副作用について説明しない 2.いきなり3種類以上の抗うつ薬を出す(初診、あるいは最初の処方で) 3.薬がどんどん増える 4.薬について質問すると不機嫌になる 5.薬以外の対応法を知らないようだ本著では、この中で一つでも該当すれば、その医師の治療法に対して疑問を抱いていいとしている。その他、本著では「心理療法」や「先進医療」についても触れているが、何よりも「第5章 うつからの生還 体験者たちが語る回復のプロセス」が心に響いた。 「きっと暇なんですよね。1日中家にいたので、ほんとにやることがまったくなくて、 どうしていいかわからないまま過ごしていたんです。 前向きな考えとか、できなくなっちゃうんですね。仕方がないけれど。」(p.209) 「本人が治ろうと思わない限りは、やっぱり治らないと思うんですよ。 そのことに気づけるといいですよね。 治るのは自分自身、治すのも自分自身なんだって。 人が治すもんじゃないんだっていうことに、自分はそうやって気づけたんです。(中略) でも、人からいくら言われてもわからないんですよね、私もそうでしたけど。 だってこれはこうなんだ、自分はもうつらいから、無理なんだからみたいな、 やっぱり考え方がそうなっちゃっている。 病気なんだ、性格じゃなくて病気なんだと思って。 仕方ないんですけど、いくら言ってあげても、本人が気づかないと治らないので、 そこらへんが難しいなって、すごく思いますね。」(p.217)「うつは自分で治す」この言葉が本著の中で、最も印象に残った。
2014.06.12
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目的はシュガーを気絶させ、国中のオモチャ達を「人間」に戻すこと。 フランキーが「オモチャの家」入口で暴れ、敵の気を引いているうちに、 リク王軍決起部隊は、地下・交易港から、幹部塔を目指す。 それを率いるのはウソップ。勿論、側にはロビンもいるけれど。 その頃、ルフィー・ゾロ・錦えもん達も、ヴァイオレットに導かれ王宮へ。 一方、コロシアムでは、レベッカが武術大会Dブロックを制していた。 そして、彼女は決勝に残ったメンバーの一人・ルーシーに出会うが…… このルーシーの正体は……ルフィーが再会した時、涙を流して喜んだ男のハズ。タタババスコの「世界一辛いグレープ」を食べさせることで、シュガーを気絶させてしまおうと、前進するリク王軍決起部隊。ロビンの機転で、シュガーの側にいるトレーボルを一度は引き離すことに成功したものの、逆に窮地に追い込まれ、その時、ウソップは「片足のオモチャ」の正体を知ることになる。ドフラミンゴに迫ろうとする片足のオモチャは、危機一髪のところをルフィーに救われる。しかし、その頃、リク王軍決起部隊は、ロビンがオモチャにされてしまい、紆余曲折の末、とうとう、ウソップまでも捕らえられてしまう。そして、シュガーが「世界一辛いグレープ」を、ウソップの口に放り込んだ瞬間……奇跡が起こったぁ~!!!いよいよ、ルフィーとドフラミンゴの対決が迫ってきた感じです。でも、そう簡単に事は運びそうにありません。藤虎と海軍、ルーシーに変装している謎の男の動きや目的も絡んで、まだまだ、このシリーズは続きそうです。
2014.06.11
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『ツレうつ』シリーズの完結編となる本著。 ちょっと購入を保留していたのですが、 結局、買ってしまいました。 そして、読んで良かったと思います。 確かに、読者レビューに見られるように、 本著は、ツレさんの「うつ」について書かれているというよりは、 『ツレうつ』の後日談的内容のもので、ツレさんもすっかり元気な様子。 なので、「うつ」のこと自体を知りたい人には、物足りないかも知れません。 *** ……でも、今病気と闘っている皆さん、家族の皆さんのところにも、 目に見えないかもしれないけど、 未来の自分がやって来て笑いながら何か言っているかもしれない。 そう想像してみてください。 今の苦しみは、信じられない未来へとつながっているのかも、と。(p.127)これは、本著の「おわりに」に書かれた、ツレさんの文章です。この文章を読んで、「あぁ、本当にうつ病って、治るんだなぁ」と思いました。「うつ」に苦しむ人にとっては、一筋の光明にも思える文章であり、何だかとっても励まされ、肩を押してもらえる文章でもあります。もちろん、ツレさんと細川さんのケースは、特殊中の特殊だとは思いますが、「うつ病をかかえて仕事してる人は大変」(p.16)等、参考になるところはありました。また、『きっかけは「ちちんぷいぷい」』(p.20)では、本当に、思わぬことがきっかけとなり、人生変わっていくものなんだなぁと思いました。さらに、「ラジオ番組に出たこと」(p.24)では、こんな人もやはりいるんだと思うと共に、結局、細川さんは、このエピソードで、本当は何を伝えたかったのか、少々?でした。そして、「撮影所通い」(p.94)は、映画(私も見ました)の舞台裏が面白く、また、現在の堺雅人さんの人気の源が、よく伝わってくるエピソードでした。『ツレうつ』シリーズの1冊目と2冊目を読まれた方ならば、その締めくくりに、3冊目となる本著を読めば、きっと何かが得られると思います。
2014.06.03
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