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太宰治の『晩年』初版本を手に入れようと、 栞子を石段から突き落とし、重症を負わせた危険な古書マニア・田中敏雄。 その祖父が田中嘉雄で、かつて栞子所有の『晩年』とは別の初版本を持っていた。 その行方を探すのが、今巻のお話し。 *** 大輔の祖母・五浦絹子は、ごうら食堂を切り盛りしていた。 五浦絹子は、田中嘉雄と不倫関係にあった。 なので、大輔の本当の祖父は、田中嘉雄かもしれない。 つまり、大輔と田中敏雄とは、従兄同士かもしれない。栞子の祖父・聖司は、自分の店を開く前、久我山書房で修行していた。篠川聖司は、引退する時、店の方は息子の登に継がせ、副業であった店に来る客の相談に乗ることは、嫁の智恵子に継がせた。篠川聖司は、敬虔なクリスチャンで、ラテン語で聖書を意味する「ビブリア」を店名とした。ロマネスクの会は、田中嘉雄と小谷次郎、先代虚貝堂店主・杉尾の三人が作った読書サークル。ロマネスクの会のメンバーは、ごうら食堂の常連だった。ロマネスクの会の活動に協力していたのが、富沢博教授。富沢教授は、久我山書房の得意客で、その店主が久我山尚大。久我山尚大の妻が久我山真理、娘が久我山鶴代、孫が久我山寛子。久我山鶴代は、富沢教授の娘・紀子と親友で、ロマネスクの会のメンバーから、古書について色々と教わっていた。富沢教授の書庫から、稀覯本・『駈込み訴へ』限定版が盗まれる事件が起こる。そして、ロマネスクの会のメンバーは、富沢家への出入りを禁じられる。事件後、田中嘉雄は逃げ回り、小谷と杉尾が待っているごうら食堂にも現れない。後日、その時のことを田中嘉雄は、久我山鶴代に「場所が悪くってね」と言った。田中嘉雄は、久我山尚大が古書を売りに行った際、富沢家に忘れていった用箋挟を使って、富沢教授の書庫で、太宰に関するメモをとっていた。田中嘉雄は、その用箋挟を置き忘れ、それを富沢紀子がしばらく持っていた。久我山尚大は、娘の鶴代に、用箋挟は大切な品で、どうしても取って来て欲しいと頼んだ。しかし、鶴代が、それを見つけて持ち帰るまでには何か月も要し、富沢紀子がメモと一緒に、それを久我山尚大のところへ持って行くと、新品を買い直していたためか、鶴代と紀子にくれたのだった。その後は、久我山鶴代が、それを所有していた。そして後日、篠川聖司によって『駈込み訴へ』が、富沢教授の手元に返ってきた。その際、富沢教授は篠川聖司に、現在栞子が所有している『晩年』初版を売ったのだった。久我山尚大は、田中嘉雄が所有していた砂子屋書房版『晩年』を一番欲しがっていた。そして後年、久我山尚大は、田中嘉雄から『晩年』を買い取った。久我山尚大が亡くなって店を畳むとき、在庫を処理したのが杉尾。久我山家の書斎にあるのは、尚大の妻・真理のものだけで、彼の蔵書は残っていない久我山尚大は、自分の後継者と決めた人間以外には、『晩年』を見せていない。久我山尚大には、北鎌倉からそう遠くない場所に住んでいる愛人がいた。久我山尚大には、その愛人との間に子どもがおり、一度だけ、その子を自宅に連れてきた。栞子の父・篠川登と母・智恵子は、久我山鶴代とは、仲が良かった。篠川智恵子の母親は、深沢に住んでいる。深沢は北鎌倉からそう離れていない。今は血の繋がりのない家族と住んでいて、姓も昔と変わっている。栞子は、祖母に当たるその人に、一度も会ったことがない。 ***遂に、篠川家の謎が解き明かされる。このシリーズも、あと残り一冊か二冊とのこと。でも、ダラダラと続いたり、突然立ち消えになったりするよりは、このくらいで、綺麗に締めくくるのが、良いかも知れない。
2014.12.31
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内容的に3種のテキストと重複するところはあるけれど、 ラインケアコース(管理監督者対象)だけあって、 ボリュームも大きく、さらに、内容も幅広くなっているので、 読み応えはあるし、また興味深いところも多かった。 特に、「第1章 メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割」における 過重労働や労働時間の管理についての記述や、 「第5章 労働者からの相談の方法(話の聴き方、情報提供および助言の方法)」、 「第7章 社内外資源との連携」は、面白かった。 ある心理学者の実験では、 実際の対面コミュニケーションとコンピュータコミュニケーションを比較し、 それぞれの状況における自己意識の調査を行いました。(中略) 結果は、対面コミュニケーションに比べて、コンピュータコミュニケーションのほうが、 「私的自己意識が高く」「公的自己意識は低く」評定されました。 つまり、「パソコンを使って会話すると、他人にみられているという意識は薄れ、 逆に自分自身の感情に素直になりやすい」ということがいえたのです。 目の前に人がいないというコミュニケーション状況は、 他人の目という束縛から離れて、 本来の自分の性格・感情に正直に行動しやすくなるようです。(p.197)「第7章 心の健康問題をもつ復職者への支援の方法」については、期待していたよりもボリューム・内容共に少なめでした。まぁ、いわゆる基本部分のマニュアル的記述に留まっています。やはり、個々のケースによる違いが大きいためでしょうか。
2014.12.31
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第1部の序盤こそ、読み進めるのに時間がかかったが、 それ以降は、ページを捲る手が止まらなかった。 これ程のボリュームの作品を、一気に読み進めさせてしまう筆力は、 もう、流石と言うしかない。 ただ、お話しとしては、 第2部の時点で、大凡先が見えた通りの展開で、 逆に、私が深読みしたほどには、複雑な因果関係はなく、 極めてシンプルに結末を迎えた。文庫版最終巻には、藤野凉子の20年後が描かれた中編が収録されているとのこと。まぁ、そのうち読むことになってしまうんだろうな。
2014.12.30
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ダビデ王は家臣の妻と不義の関係を結び、その夫を死に追いやる。 この2人の間に生まれたソロモンは、王となり古代イスラエルの最盛期を築く。 神から知恵を与えられたソロモンは、知恵者のシンボルに。 また、その英知をもって、悪霊を支配していたとも言われる。 さて、「ソロモンの偽証」のソロモンとは? 第1部では分からなかった、大出富子の死の原因は判明した。 津崎校長や森内教諭は、学校は去ったものの、お話しからは去っていない。 三宅樹理と垣内美奈絵の二人は、まだ詳細不明で謎が多い。 真実は、これまでの思い込みから離れたところに存在しているのかもしれない。 それを突き止めなければならない。(中略) 長い沈黙を破り、樹理が発した悲鳴を受け止めるのは誰だ。 今まで誰もやろうとしなかったことをやるのは誰だ。 このあたし、藤野凉子がやるんだ。(p.715)さて、ユニバーサル興産は、学校裁判で扱う内容に、どこまで関係してくるのか?また、小林電器店の前のボックスから電話をかけた男の子は一体誰?そして、神原和彦の正体は?さらに、柏木卓也との本当の関係は?最後の最後で、全く分からなくなってしまった。
2014.12.27
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宮部さんの作品は、随分昔に『模倣犯』と『R.P.G.』を読んだくらい。 でも、『模倣犯』はとても印象に残っている。 この作品は映画も観たけれど、 原作の方が、もの凄く頭に残っている。 そして、本作。 もう文庫化されているけれど、今回はハードカバーで読んだ(741頁)。 事前に、どんなお話しか、全く知らずに読んだ。 映画化されることも、本巻を読んだ後で知った。読み始めると「学園もの」。校長室や職員室のシーンは、かなりリアルだと思う。が、少年課で、あんな風にすることがあるのかどうかは、分からない。また、マスコミも、こんなことまで出来るのかどうかは、分からない。三宅樹理と垣内美奈絵の二人が、「事件」をややこしくした。浅井松子は、死んでしまった。津崎校長や森内教諭は、学校を去ってしまった。大出富子の死は、現時点では? *** 幼さは、若さは、すべて同じ弱点を持っている。 待てないという弱点を。 事を起こせば、すぐに結果を見たがる。 人生とは要するに待つことの連続なのだという教訓は、 平均寿命の半分以上を生きてみなければ体感できないものなのだ。 そして、うんざりすることではあるけれど、 その教訓は真実なのだと悟るには、 たぶん、残りの人生すべてを費やすまでかかるのだ。(p.319)大人の文章だな、と思う。「時間」を味方につけることは、簡単ではない。このお話でも、「時間」を味方にできず、数多くのキャラクターが、お話し自体から退場させられてしまう。 それに松子は、今度のことで貴重な経験もした。 松子をからかっていたのは、大出たちだけではなかった。 彼らが先鞭をつけると、彼らほど手ひどくではないにしろ、 同じようなことを言うクラスメイトたちが出てきたからだ。 自分から手を出すことはできずとも、誰かが始めてくれれば尻馬に乗る。 そして大出たちが松子に興味を失うと、何事もなかったかのように、 そういうクラスメイトたちも手を引っ込めた。(p.617)これは、教室が実社会の縮図になっていることを、上手く表現したもの。やってることは、子どもも大人も、大して変わらない……と言うか、時には、実社会の方が酷いことも多々ある。「いじめ」を声高に叫ぶ人たちも、別の「いじめ」に加担している。 「あんた、一秒だってあたしたちの味方だったことなんかない。 あたしたちに、あたしたちの学校に何をしたか、あんた自分でわかってんの?」(中略) 「あんたにあたしたちの気持ちがわかるはずがない。 三宅さんの気持ちも、浅井さんの気持ちも、橋田君のことも、何にもわかってない。 あんたはみんなを利用して、あんたに都合のいい筋書きを作って、 あんたが戦いたくてしょうがない敵と戦う武器にしようとしているだけじゃないの!」 (p.738)これは、藤野凉子が茂木に言い放った言葉。そして、本当のことを、これから凉子たちが明らかにしていく。何と言っても、まだ全3部中の1部が終わったところ。「事件」というタイトル通り、まだ「事件」が起こったばかりなのだ。柏木卓也は何者か?本当の、お話しは第2部から始まるらしい。
2014.12.24
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「公式テキスト第3版 3種セルフケアコース」を読んで、 「重要ポイント&問題集改訂版」を読んでから解いて、 「公式テキスト」の内容を文書にまとめたうえで、 本著の問題を解いてみた。 解答は、懇切丁寧でかなり詳しいので、 間違えた問題については、なぜ間違えたのかがよく分かる。 そして、間違えたところについては、 まとめた文書に書いてなければ追加を、不足があれば補足をした。解いているうちに、出題の傾向やクセが分かってきた。どのようにして引っかかるか(間違うか)も、分かってきた。これで、3種の勉強は試験直前にもう一度やることにして、次は、2種の勉強に入ります。
2014.12.22
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タイトルの「読書狂」には「ビブリオマニア」とルビがふってある。 『ビブリア古書堂の事件手帳』の三上さんと 『ROD-READ OR DIE-』の倉田さんの対談集。 『ROD-READ OR DIE-』は、読んだことないけど…… お二人は、もの凄い本好きらしく、 お互いに自分の書棚を見せ合ったり、 自分のお気に入りの本を持ってきたりしながら、対談をしている。 共通点も多いらしく、お話しは異常に盛り上がっている。ただ、お二人が述べておられるように、その内容は、かなりマニアックなもので、一般的な読書案内には程遠い。登場する書物の多くは、私も読んだことがないものばかり。江戸川乱歩やコナン・ドイル、モーリス・ルブランは読んだけど、横溝正史も山田風太郎も、読んだことがない。それでも、池波正太郎ぐらいは読んどかなきゃダメなんだけど……。横溝さんも、映画化されたものは結構見てるかな。さらに、モダンホラーになるとお手上げで、キングを始め映画もほぼ全滅。それに比べれば、角川映画は程々には見てるし、赤川さんも筒井さんも読んでる。でも、森村誠一は読んでないなぁ……挫折本や珍本・奇本、トラウマ本も、ほぼ全滅。 倉田 しかし三上さんの思い出はダークな作品が並びますね。 ハートウォーミング・ベストセラー作家の闇みたいなものが見えた(笑)。 三上 いやいや、『ビブリア』書く前はホラーばかり書いてたんで、 むしろ『ビブリア』が異色なんです。 子どものころ、グロい話がとにかく好きでしたから。 原点が乱歩だったのもあるし、 『オーメン』や『ゾンビ』といったホラー映画もブームだったし、 その影響は強いですね。 ただすごい恐がりなので、 親の背中に隠れながら、ガタガタ震えて観てました。(p.141)ガタガタ震えながらでも観る人と、ガタガタ震える前にスルーしてしまう人の違いは、大きい。
2014.12.21
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佐野さんが色んな方とお話しした対談集。 時期は1988年から2007年にかけてで、 お相手は、小沢昭一さん、河合隼雄さん、明石家さんまさん、谷川俊太郎さん、 大竹しのぶさん、岸田今日子さん、おすぎさん、山田詠美さん、阿川佐和子さん。 お相手によって話題は異なるが、 話しの盛り上がり具合や、深まり具合も、結構違う。 仕事上のお話しだなと思うものもあれば、 本当に仲が良くて、本音をぶつけ合っているなと思うものもある。興味深いのは、やはり結婚中の谷川俊太郎さんとのお話。さすがに夫婦だけに、それぞれの人格が炙り出されている。そして、二人の関係がどのようなものだったかも、窺い知れる。その後離婚したことが読む側には分かっているだけに、興味深い。しかし、何と言っても面白いのは、おすぎさんとのお話し。これは、他の方とのお話しとはレベルが違う盛り上がりよう。きっと、随分仲が良かったのだろうことが、もの凄く伝わってくる。そのため、唯一、2回分の対談が掲載されているのだろう。
2014.12.20
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転校生・占部美琴。 この子が、謎の彼女X。 女生徒たちが声をかけても「今とっても眠いのよ」と寝てしまったり、 授業中、個人的におかしなことが起こったと笑い転げたりする変な奴。 ある放課後、占部が机上に垂らしたよだれを、椿は舐めてしまう。 すると、椿は翌日から発熱欠席するが、椿の家に占部がやって来て、 よだれのついた指先を椿の口に突っ込むと、あっと言う間に熱が下がってしまう。 それから二人はつき合うことに。彼女の趣味は「ハサミ」。いつもパンツにハサミをはさんで携帯し、それを使って、何でも自在に切りまくる。そして、よだれだけの関係に留まる二人の日々が始まった。 ***何とも不思議な世界観。特別な大事件が起こるわけでもない。それでいて、確かに淡い青春の恋物語。はまる人は、すっかりはまってしまうに違いない。
2014.12.20
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中央第一憲兵たちを振り切った調査兵団。 リヴァイ達は、エレンとヒストリアの行方を追う。 一方ハンジは、スヘトス区ベルク新聞社のロイとピュレに、 トロスト区で、中央憲兵が真実を語る現場を取材させ、記事を書かせる。 その頃、王都には、巨人がウォール・ローゼを突破との一報が届く。 すると王政は、ウォール・シーナの扉を閉鎖し、避難民流入阻止を決定。 その意志を見たピクシス司令とザックレー総統は、中央憲兵を制圧、 ベルク社の号外も世間に出回っていた。調査兵団の冤罪は晴れ、王都も行政区もザックレー総統が仮押さえを進める。そして、エルヴィンは処刑を免れ、リヴァイ達も自由の身となった。その後、リヴァイ達は、エレンとヒストリアの行方を追って、ロッド・レイス本人以外の家族が皆、盗賊に惨殺されてしまった礼拝堂に向かう。一報、ヒストリアは、拘束されたエレンに、父の行動の理由を語る。そして、ヒストリアと父がエレンの体に触れると、エレンの中に、誰かの記憶が蘇る。そして、「お…とう…さん?」 ***今巻は、現王政をクーデターで倒すまでの攻防がメイン。エルヴィンとハンジの活躍が目立ち、またしても、エレンは出番があまりなかった。しかし、次巻はエレンの秘密が明らかになりそうです。
2014.12.19
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映画公開前から、本田翼さんと東出昌大さんがTV出まくりだが、 本著を読んでみて、二人ともイメージピッタリだなと思った。 特に本田さんは、見た目もかなり双葉に似ていると思う。 というか、これまで見た作品の中で、一番可愛く見える。 さて、映画化されるだけあって、もちろんよく売れている作品だし、 お話しの方も、さすがにヨイ。 そして、冒頭の「ごあいさつ」や、 お話しの間に挿入される、咲坂さんの「コメント」がイイ。早く続きが読みたくなる作品である。
2014.12.15
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かなり不純な動機で水球部に入部した浜路君。 この作品も、かなり不純な動機で読み始める人が多いことと思われるが、 その期待を裏切らない、かなりきわどいシーンの連続。 でも、それだけには終わらないらしい。 途中からは、浜路君も、ちゃんと熱意を持って水球に取り組むようになる。 また、その秘めたる才能も、持ち合わせているようだ。 さらには、ライバルとなりそうな真野という存在も現れる。 でも結局、萩原さんとデートするためという不純な理由からなんだけど、今のところ……。
2014.12.15
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中島らもさんの妻・美代子さんが綴った二人の日々。 二人の育った家庭がどのようなもので、 二人が育んだ家庭がどのようなものだったかがよく分かる、 そこまで書いてしまって良いのかと、読む側が引くほどの赤裸々な描写。 どこまでが本音で、どこからが虚飾なのかは分からないけれど、 文中に登場する人々は、様々な思いを抱きながら、本著を読んだことだろう。 特に、わかぎ えふさん。 まぁ、それを見込んで書かれていることは、容易に想像出来る。それにしても、ハチャメチャな夫婦である。らもさんもメチャクチャだが、美代子さんも負けず劣らずメチャクチャだ。二人の倫理観というか道徳観は、世間一般からはかなりぶっ飛んだもので、独自の世界観の中で生きている。このような二人が、どのような家庭から、それぞれ育ったのか、その一部でも知ることが出来るのは、本著の非常に興味深い点である。また、このような家庭から、どのような人間が育つのか、その一端を知ることが出来るのも、本著の存在意義の一つである。
2014.12.15
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『マッサン』を見てるので、 こちらの書籍も読んでみました。 ドラマで描かれた場面の前にも、ドラマがあり、 ドラマで描かれた部分も、実際には違う展開だったと分かりました。 ドラマでは、ほとんど描かれなかったマッサンの英国修行時代。 想像してた以上に、たいへんなものでした。 まぁ、連ドラは女性主役ですから、 その辺りは、割愛ということでしょうか。また、ドラマで描かれていた時期からについても、実際には、母親の方が父親よりも色んな面で理解があったり、摂津酒造の奥さんも理解ある方だったようで、マッサンとリタの結婚は、思ったよりスムーズにいった感じ。もちろん、こちらのお話しも、著者が現場を見て、書いたわけではないので、ひょっとしたら、ドラマの方が、真実に近かったりするかもしれませんが……。ただ、マッサンのウィスキー作りへの拘りが、半端なものではなかったのは確か。それが、企業経営ということになると、足かせになってしまうのも、また現実。本著を読んだ限りでは、この夫婦は似た者同士で、どちらも、かなり頑固者だったみたい。まぁ、そうでなければ、あの時代に国際結婚して、終生を全うするなんていうことは、出来なかったかもしれません。本著を読んで、マッサンが池田勇人と同窓だったことや、なぜ、ニッカという社名なのかということ、なぜ、アサヒビール傘下になったのかというようなことが、分かりました。もちろん、モルトやグレーン、ブレンデッドの違いも。
2014.12.14
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久し振りに諏訪さんの著作を読んだが、 読者レビューをみると、評価はあまり芳しくない様子。 読み始めると、かなり真っ当なことを書いているので、 「なぜかな?」と重いながら読み進める。 「学校にあってはならないこと」は、不祥事や事故が生じた際の 学校側の言い訳や謝罪の枕詞として使われるし、 マスコミ(特にテレビ)が学校のミスや不手際を断罪するときにも登場する。 学校は一種の聖域として考えているらしい。 もちろん、建前として言われるのであって、言明者が本気で信じているとは限らない。 マスコミは真実だなどと思っていないだろう。 学校(や教師)を論難する根拠として使っているのだ。 不祥事やミスがまったくないのが学校の正常なあるべき姿と考えているわけでもなかろう。 「学校にあってはならないこと」という絶対値を振りかざして、 学校を、教師のミスを、スキャンダルとして扱おうとしている気配が濃厚だ。(p.39)ここで述べていることについては、私も同意する。ただし、本気で「学校にあってはならないこと」と思っている人は存在する。 実際、人間の生き方の問題として考えれば、 いじめられることと自死のあいだにはかなりの距離がある。 人間の決断が入っているからである。(p.42)この記述に関しては「決断」と言う部分が、とても引っかかる。自死に至ってしまうほどに追い詰められている場合には、もう、「決断」などできる状態ではなくなってしまっていることも考えられる。自分が自分でなくなり、最早、自分自身をコントロールすることが出来ない。 「学校で起きたことは学校の責任だ」というのも、かなり強引な理屈だとも言える。 現実生活のリアリティを欠いた論理だ。 学校に無限の責任を押しつける、ためにする非難の決まり文句だ。 つまり親は子が死んでしまったことで完全に被害の当事者であるのに対し、 学校(教師)は加害の当事者ではない。 ここに決定的なズレがある。先ほど挙げた部分に続く、この箇所については、同意する。学校(教師)は「加害の」当事者ではない。管理・監督責任は当然生じるし、そこから逃れることは、決して出来ないが。 確かに、いじめを受けた生徒の親や、とりわけ、 いじめによって子どもが自死に追い込まれた親の不信感は十分に納得できる。 しかし、メディアもそろそろ学校におけるいじめ問題の指導や処置が <情けない>と表現されるほど困難である真実に出会うべきだ。(p.53)ここまで読んだときには、この先どんなことが述べられるのか、大いに期待した。そして、「なぜ、これで、レビューの評価が低いのか?」と首を捻った。しかし、ここから先、その評価に、少しずつ納得していくことになる。特に、5章以降については、諏訪さん自身の考えや行動について、新たな発見があった。例えば「教員世界の中のいじめ」で取り上げた自身の体験や、「生徒観の人間関係」で取り上げた自身の体験の数々。諏訪さんが、教員生活をどのように過ごしてきたかが伺われ、また、周囲の先生方との関わりがどのようなものだったかも、伝わってきた。さらに、7章以降は、尾木直樹氏や橋本徹氏、宮台真司氏、内藤朝雄氏、『教室の悪魔』、『友だち地獄』についての私見。諏訪さんの考え方がどのようなものか、知ることが出来た。出来れば、森口朗氏についての考え方も知りたかった。
2014.12.14
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どの本だったか失念したが、本著のことが登場し、 なかなか面白そうだと感じていたので、読んでみた。 バーナードという、その世界ではちょっと異質な男性と、 レーニナという、その世界では一般的な価値観を持つ女性がメイン。 かと思っていたら、途中でジョンという、さらに異質な男性が登場し、 完全にメインの座を奪ってしまうのだが、 最後は、全く唐突に、自ら命を絶ってしまって終了。 なかなか難解な作品である。 *** ウェルズ流の科学的ユートピアが、 本能の価値や自然の価値が回復される可能性のない 息苦しいディストピアとして描かれている。 これは二つの大戦に挟まれた時期のハスクリーの歴史観から生まれたもので、 ハスクリーは第一次世界大戦のトラウマが、 全体主義的な政治、機械化、反自由主義と一緒になって、 自己破壊的な社会を生み出したとみていたからだ。(中略) 昭和七年の小説であることを改めて考えてみただけでも、 その先進性には目を瞠らされる。 そこで描かれているのはフリーセックスと薬物による現実逃避の世界であり、 家族や家庭はタブー視され、宗教は「神聖さ」を奪われて、 お祭り気分の儀式に堕しているのだから、 当時としては禁書になるのはむしろ当然だったともいえるだろう。(中略) 『すばらしい新世界』の基本的テーマとなっているのは個人と社会の軋轢で、 そこに大量生産・大量消費を中心とする社会の興隆と 優生学の不気味な発達を背景に、科学と政治が結びついた場合の危険性、 特に官僚組織がそこに関わった場合の危険性が描かれている。(p.402)これは、巻末の植松教授による「解説」であるが、お話を読んだだけで、ここまで理解することは難しい。この解説を読んでから、お話を読んだ方が、この作品の価値や意味するところがよく分かるかも知れない。 ジョージ・オーウェルの『一九八四年』の世界と、 オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』の世界 - この二つの反理想郷のどちらかで生きなければならないとしたら、 ほぼ全員が後者を選ぶのではないだろうか。(p.424)これも、巻末にある黒原氏による「訳者あとがき」であるが、当を得た指摘である。それでも、そこは反理想郷(ディストピア)であるというところが、逆に現代に生きる私たちにとって、脅威なのである。
2014.12.14
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エヴァのコミックスも、遂に最終巻。 でも、その終わり方は、テレビアニメよりも、 上映済みの映画作品よりも良かったと思う。 納得いく結末だった。 でも、今巻の一番の見所は、 やっぱり、EXTRA STAGEの「夏色のエデン」。 そして、そこに登場する真希波マリ。 このキャラクターに謎を残したまま、コミックスは終了した。否が応でも、次の映画作品に期待してしまう。
2014.12.04
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五木寛之さんと香山リカさんの対談。 本著のタイトルになっている「鬱」というのは「うつ病」とは違い、 本来の感情としての「鬱」ということだそうです。 そして、今は「鬱の時代」なんだとか。 五木さんは「鬱の時代」には「鬱」のまま生きるべきだと仰る。 「鬱」という言葉は、元々生命力を内に秘めた状態だとも仰る。 「鬱」を力とすることで、行く手に小さな光が見えてくるとも。 私も、何時もポジティブじゃなくて良いと思います。ただ、対談は、まとまりがあるようで、まとまりがないです。どこに向かって話が進んでいるのか、よく分からないところもあります。お二人の話が、噛み合っていないような感じがするところもあります。対談と言うよりも、雑談といった方が良いような気もします。そして、「鬱」と「うつ病」とは違うとしながらも、香山さんが精神科医であることから、精神医療の現場の話になる場面も多い。そこで「鬱」と「うつ病」が、混乱してしまっているような気がします。また、「これは良いのか?」と思ったところもありました。 いま私たちが精神科医が使っている、SSRIといわれるような新しい抗うつ剤は、 五木さんがおっしゃったドラッグに非常に近いんです。 それまで出していた三環系抗うつ剤というのは、 たとえば私がいまのんでも、眠くなったり口が渇くだけで、少しも効かない。 よく、抗うつ剤をのんだらハイになるんでしょう、私も欲しいなんて言う人がいるけど、 ハイになんかならないんですよ。 ところがSSRIっていう、1990年後半から世界中で圧倒的にシェアが大きくなった抗うつ剤は、 これもアメリカのグローバリゼーション戦略の一つといわれてますが、 俗称「ハッピー・ドラッグ」といわれるくらいで、 元気な人がのんでもある程度効くんです。 それで、ビジネスマンなどが一時、 今日は大事な会議があるとかいうときに服用していた。(p.55)SSRIと三環系との説明は、私がイメージしていたのと、ちょっと違います。そして、ここのSSRIは、恐らくルボックスやデプロメールを指すのでしょうが、精神科医の発言としては、あまりにも不用意な感じがします。案の定、この香山さんの言葉を受けて、五木さんがこう仰います。 知り合いの学校の先生が、奥さんの機嫌が悪くてしょうがないんで、 医師の友人から薬をもらってのませたら、すごくよく効いたと言っていた。 あれはきっと、ハッピー・ドラッグのことですね。そして、この発言に対し、香山さんは何のコメントもしないまま。SSRIは、医師の処方が必要な薬であって、友人だからといって、ポンと気安く渡すようなものではないはずです。さらに、香山さんは、次のように言葉を続けます。 そういう薬が登場したこともあって、 精神科の診察の現場では、「うつ病」と「鬱な気分」を区別しなくてもよくなった。 どちらにしても結局、治療法はある種の薬を出すだけでよくて、 まったくもって便利になってしまったんです。う~ん………香山さんは、診察室では結構まともに精神科医をしておられると思っていたのですが、この発言を見ると、誤解されても仕方がないなと思ってしまいました。そんな風に思ったのは、私だけなんでしょうか?
2014.12.04
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