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本棚を眺めていると、ふと本著に目が止まった。 もう何年も前に、古本屋さんで買ったものだ。 価格シールには、105円と印刷されている。 でも、まだ一度も読んでいない、ただのコレクション的一冊だった。 私は『ケイゾク』の映像作品は、全て見ている(マンガは見ていない)。 なのに、この間『劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇』を見た時、 最後に「アサクラ」という名前を聞いても、ピンと来なかった。 月日が経つというのは恐ろしいもので、すっかり忘れていたのだ。「朝倉 裕人」は『ケイゾク』で、柴田や真山たちを翻弄する悪魔的存在。そして私に、彼のことを思い出さそうと、本著を初めて読む気にさせた存在。本著には、TVドラマ全編と特別篇をノベライズしたものに加え、本著にしか描かれていない「第12章 断片化された無数の想い~その数片」もある。映像化されたことのない、この章は、ファンにはたまらない、味わい深いものだ。そして、全編を読んでみて思ったのは、やはり『ケイゾク』はスゴイと言うことに尽きる。『SPEC』など、申し訳ないが、足元にも及ばない。ただし、『SPEC』は確かに『ケイゾク』の続編であることが、次の記述から分かる。 認識されないということは 最初から存在しないということと同じだ だとするならば世界は人の意識が作り上げた 巨大な幻なのかも知れない だから黄泉の国も必ずどこかにあるのだと思う。 そのことを私たちは知ることになった…………(p.397)これは、「第13章 死を契約する呪いの樹(特別篇)」の最後に添えられた一文。そして、次のページの「エピローグ」には、次のように記されている。 現実だと思っている世界が 実は夢で 夢だと思っている世界が 実は現実なのではないか そういう想いにとらわれて 生と死の世界は交錯し始めた そして私たちは Beautiful Dreamerへと 疾駆する <ケイゾク> (p.398)本著を読み終えて、早速『ケイゾク/Beautiful Dreamer 完全版』(角川ホラー文庫)をネットで発注した。そして、ケータイを初めて買った時から、着メロはずっと「クロニック・ラヴ」にしてたのに、iPhoneに機種変した時から、違う曲になっていたのを、「クロニック・ラヴ」に変更した。さらに、これからレンタルDVDを「1」から借りてきて、見直そうと思っている。本著は、私が本当に『ケイゾク』が好きだったことを、思い出させてくれた。
2014.07.30
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林真理子さんの筆によるこのお話しでは、 『アンのゆりかご』ほど、白蓮(あき子)と花子の接点は描かれていない。 ましてや、NHK連続テレビ小説『花子とアン』における二人の関係は、 想像だにできない。 上記二つの作品において「腹心の友」とされる二人だが、 このお話しでは、名前が一度登場するだけである。(p.409) そして、どの作品も、資料に基づいて書かれているはずだけれど、 結局、推測・憶測による埋め合わせのなされたフィクションである。このお話に登場する白蓮(あき子)には、私は到底共感できない。自分が天皇家と親戚関係にあることや、その美貌、教養に強いプライドを持ち、かつて自分のまわりに存在した同類と比べては、現在の自分の周囲にいる人々を見下す。現代に生きる平凡な一市民である私からすると、どうにも鼻持ちならない女性である。だが、先程述べたように、この作品がどれだけ大量の資料に基づいて書かれていたとしても、今、この平成の時代に生きている林さんによる、フィクションなのである。本当の白蓮(あき子)の行動、ましてや心情など、何者も到底描き切れまい。ただ、1921年に白蓮事件は事実として起こり、その後、紆余曲折を経て、宮崎家の人となり、文筆活動を続け、一男一女の母となり、娼婦の救済に尽力した。戦後は「悲母の会」を結成し、熱心な平和運動家として支部設立のため全国を行脚、そして、1967年2月22日に81歳で死去したのは、事実である。彼女の生き方をどう捉えるか、それは各々の判断に任せるしかないのだと思う。
2014.07.27
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阿川さんの作品は『聞く力』や『残るは食欲』を、これまでに読んだけれど、 小説を読むのは、今回が初めて。 503ページにも及ぶ大作ですが、エッセイ同様リズム、テンポが良く、 スイスイと、一気に読みきってしまいました。 まず、タイトルが「?」ですが、 これについては、目次の次のページに、ちゃんと説明が載っています。 「うから」は親族・血族、「はらから」は同胞・兄弟姉妹の意で、 簡単にいうと、個性的なキャラクターたちが紡ぎ出す家族模様を描いたお話し。 ***「嫉妬の距離」は、室田昭夫の視点で、元妻・未来との馴れ初めから、離婚後の様子までが語られます。この時点で、室田はユウちゃんと付き合ってます。「妻が来た」は、未来の視点で、ある日、母・珠子が突然家から出て行き、後日、父・シゲルがマリイとその息子・倫土を家に連れてきた様子が描かれてます。この時点で、未来は周さんと付き合ってます。「乳と暮らせば」は、マリイの視点で、マリイの生い立ちと倫土の出生が描かれています。そして、シゲル・珠子・未来・室田・マリイ・倫土の6人の食事会の様子も。「僕の兵隊」は、倫土の視点で、自身の入院生活と隣のベッドのリュウについて語られます。マリイがシゲルと結婚する前に働いていたピアノバーのオーナー・みっちゃんが見舞いに来ます。そして、この病院の看護師長が内藤さんです。「ホルモンの歌が聴こえる」は、内藤さんの視点で、自身の家族と更年期障害について語られます。シゲルは、更年期障害をに効くおまじないだといって、内藤さんを抱きしめます。「こころ痛めて」は、シゲルの視点で、これまでの自分を振り返ると共に、登場人物たちの、その後の様子が語られます。「母娘戯画」は、珠子の視点で、御前様(珠子の母)の見舞いを兼ねての京都・高山寺訪問について語られます。また、珠子の母への心情や、シゲルとの結婚の実情についても明かされます。「種の起源」は、未来の視点で、部下の茂田井との、山形県山中での週刊誌取材の様子が語られます。そして、未来の妊娠が発覚します。ちなみに、この週刊誌の編集室でバイトしてるのがユウちゃん。「いつも偽家族」は、室田の視点で、未来の妊娠を巡る室田と周さんの大阪決戦が描かれます。そして、後半は、十年後の倫土の視点で、その後の各キャラクターの現況が語られて終了。 ***恐らく、阿川さんが、このお話しで書きたかったことは、次の部分に集約されていると、私は考えています。「なるほどな」と思いました。 その帰りの新幹線の中、私の心にたびたび浮かんだのは、 高山寺で教えてもらった「亜留辺幾夜宇和」という言葉である。 あるべきようわ。 「なあに、これ」 石水院の壁にかかっていた朽ちた黒板の冒頭の言葉を見て、私は周さんに尋ねた。 弟子たちのために明恵上人がこの黒板に戒律を書き残したという。 「それはですね。つまり、人はそれぞれ自分の立場で、自分のあるべき姿ある。 理想ばっかり追うじゃなく、今の立場をまず大事と思って、 どうするか考えて生きていきなさいと、そんな教えですかねえ。」 「ふうん」 わかったようなわからないような、しかしなぜか心に残る言葉である。 あるべきようわ。(p.364)
2014.07.23
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読み始めて、まず驚く。 「うつ」関係の本を、これまで結構読んできた私だけれど、何かが違う。 これまで読んできたものには、「礼儀正しさ」や「優しさ」がベースにあった。 しかし、本著は、かなり「くだけた感じ」で、一見「高飛車」にすら感じられる。 ところが、読み進めるうちに気付いた。 本著は、「ハウツー本」や「体験談」「専門書」ではなく「エッセイ」だと。 これまで読んできた本には書かれていなかった本音が、たくさん書かれている。 そして、読み終えると、付箋だらけになっていた。 *** 世間では精神疾患への世間一般の偏見を問題とするが、患者の立場から言うと、 その前に、まず一番身近な家族の精神的保護と安定を図り、 とにかく家族自身の不安は家族自身で解決して、 患者にぶつけてくれるなと願わずにはいられない。(中略) 従って精神疾患の場合には、患者自身が「この病気を引き受けて生きていく!」 という一番大きな課題と格闘する仕事に加えて、 周囲の反応に耐えるという二つの課題に直面することになる。 ありふれた身体疾患よりもよほど大変なのである。(p.30)前に「うつ」というとんでもない大敵がいるだけでなく、後ろには「周囲の目、反応」という厄介な存在がある。そして、自分の後ろにいる存在のなかで、最も近いところにいるのは、「近所の人たち」や「職場の人たち」ではなく「家族」なのだ。 いままさに、頑張って、前向きに、彼らなりの「生きる」を目指してもがいている人たちが、 「もっと前を向け」、「もっと頑張れ」と言われるのは、自分たちの今の努力を否定され、 さらにひどいことには、「前の外敵と戦っている時に、 後ろから、しかも自分の一番頼りとする家族から鉄砲で撃たれる」に等しい。 「後ろから鉄砲で撃たれる」というのは、前の敵と必死で闘っている時、 苦しい自分を支えてくれる味方だと思っていた仲間から足を引っ張られ、 「今の自分」を非難中傷されることだ。 私も「後ろから鉄砲で撃たれた」経験があるが、 予測もしていないだけに、前から飛んできた弾に当たるよりもこたえる。(p.99)まさに、この感覚である。そして、その何気なく放たれた無邪気な一発の銃弾に、患者は延々と苦しみ続けることになる。この辛さは、味わってみないと分からない! 精神疾患についての差別・偏見・恐怖の所以についてはいろいろな理由が考えられる。 ひとつは自分の精神(自我)が自分のものでなくなるという 精神疾患特有の根源的恐怖、自己統治能力の喪失。 二つ目は周囲の人たちの無知。 これには病気についての無知もあるし、 精神疾患を病んだ人とふれ合ったことのないための無知もある。 そして三つ目、これは日本特有かつ精神疾患に特有だと思うのだが、 疾患そのものへの恐怖よりも、 「精神疾患によって二次的に引き起こされる社会的不利」への恐怖。 これには失職、無収入、家族離散、離婚その他のものが含まれる。(p.34)この指摘も、直球ど真ん中だ。医師として、患者として、支援者として「うつ」に触れた筆者だからこそ為し得る記述である。 うつ病のつらさは独特である。 まず朝起きると「何もしなくても」、「理屈なしに」、 気分が落ち込んで悲観的な思いに体中が締め付けられる。 元気ややる気が出ない。なぜなのかは分からないが、 とにかく理屈抜きに疲れてごろごろ横になっていたい。 ご飯を作る気も食べる気もしない。掃除・洗濯なんてさらにやる気は起きない。(中略) あるいは、普段面白いテレビを見てもまるで面白くない。(中略) 何もしなくてもいつも疲れている。食欲も落ちる。インポになる。 よく眠れなくなる。やっと眠りについても中途で目覚め朝まで眠れないとか、 または深夜三時くらいにならないと眠れない。 何事にも自信がなく、自分の存在が他人の前ではまるで風船のようにたよりなく感じられて、 それが悲しい。 さらに体重減少、性欲低下、いらいら、怒りっぽさなども加わる。(p.68)このような記述は「うつ」に関する書籍なら、どれにでも書かれているようなことだが、伝わってくる度合いが、他書とは一線を画しており、強烈だ。これも、やはり医師として、患者として、支援者として「うつ」に触れた筆者だから、そして、エッセイ風にまとめられた本書だからこその成果である。 外岡氏によると、心身の病的抑制を打破して目前の行動に踏み切るには、 「ともかく主義」が良いという。 もしも不登校の子どもがいたとする。 で、朝に起きたら何も考えずに、「ともかく顔を洗う」、 「ともかく食事する」(バナナとか牛乳などに単純化するともっと楽)、 「ともかく服を着る」、「ともかくカバンを背負う」、「ともかく靴をはいて家を出る」、 家を出れば大抵、学校も会社も行けるもの。 問題は行動に移す以前の葛藤だから、 そこを「ともかく、目の前の課題に限定してひとつひとつこなす」ことによって、 乗り越えようというのが「ともかく主義」だ。(p.123)外岡氏というのは、うつ病の分野で森田療法の技法を巧みに取り入れた方とのこと。これで、すぐに学校や会社に行ければ、本当のところ苦労はないが、他書にも「とりあえず」という言葉はよく出てくるが、とにかく、一つ一つをできる範囲で、焦らず、急がずこなしていくことが重要なのだろう。
2014.07.21
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副題は『「私たち」はいま、こんなことを考えています』。 これを見て、「うつ」で休職された方たちの体験談集に違いないと思い購入。 でも、それは完全に私の勘違いでした。 この本は、著者の田村さんの体験や考え、思いが書かれているものです。 田村さんは、「うつ」になり、1年2か月休職。 その後、元の職場の違う部署に復職されますが、 それが、自分の不得意分野を担当する部署だったため、 うつ的症状をかかえたまま、一年をそこで過ごします。そして、次の年には、自分の中で一番マシと思える古巣の部署へ異動となりましたが、二十代の頃に過ごしたその職場は、四十代になっていた田村さんにとって、違和感を感じるものになっていました。そこへ、仕事のパートナーが妊娠するという状況が訪れてしまいます。田村さんは、職場近くの心療内科へ行き、復職してから2年8か月後に、再び服薬を始め、その後、二度目の休職へ。その際は、一度目の休職とは違った、新たな考えや思いが発生します。最初、2か月の予定だった休職期間は、延長され、その5か月目に突入した時点で、本著の「おわりに」を執筆されたとのこと。ということで、本著はまさに、うつ休職真っ直中の田村さんが、今、考えていることや思っていること、うつに関することについて記したものです。私が、最近読んだ本の中では、際立って大きなフォントの文字が使われており、181頁のものですが、一気に読み切ってしまいました。
2014.07.21
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昨年の9月以来、実に9か月ぶりに内田先生の作品を読書。 その間、空白の4か月余があって、その後読書を再開して3か月余で、 やっと、内田先生の作品も読める程度になったことは、 自分にとって、大いに感慨深いものがありました。 いつもの通り、読み終えると、付箋だらけになってしまいましたが、 本当は、全ての頁に付箋を貼っておきたいところがあるくらい、 色々と感じさせられたり、考えさせられたり、思わされた一冊でした。 本当に「哲学」という感じでした。 ***付箋を貼ったところは、次のようなところです。 これまでも繰り返し書いているように、正義を一気に全社会的に実現する運動は 必ず粛正か強制収容所かその両方を採用するようになる。 歴史はこの教訓に今のところ一つも例外がないことを教えている。(p.22)一人一人違うはずの人間に、一つのことだけを正しいものとして、全員に受け入れさせることは、絶対にできないということでしょうか。その絶対にできないはずのことを実現しようとすると、こうなってしまうということ。 「私はどのような手だてによっても癒されることのない深い傷を負っている」と言う宣言は、 たしかにまわりの人々を絶句させるし、 「容疑者」に対するさまざまな「権利回復要求」を正当化するだろう。 けれども、その相対的「優位性」は「私は永遠に苦しむであろう」という 自己呪縛の代償として獲得されたものなのである。 「自分自身にかけた呪い」の強さを人々はあまりに軽んじている。(p.96)これは、現代社会において、世界中のあちこちで見られる様相だと感じました。結局、自分で自分の首を絞めることになってしまう……。 道徳律というのはわかりやすいものである。 それは世の中が「自分のような人間」ばかりであっても、 愉快に暮らしていけるような人間になると言うことに尽くされる。 それが自分に祝福を贈るということである。(p.153)「自分のような人間」だけで構成されている世界、一体どんな感じなんでしょうかね?私はそこで暮らしていけるとは思いますが、愉快かと聞かれると「どうかな……」です。 常識の表明はつねにこのように「うまくいえないけれど」「論拠を示せないけれど」 「どうして自分がそのように考えるに至ったのか理路を明らかにできないけれど」という 無数の「けれど」に媒介されて行われる。 この危うさが常識の手柄なのである。(p.166)人間が存在する上で絶対に必要なものであっても、その全てを説明できるわけではない、ということでしょうか。それは、理屈で理解できるというよりも、そうだと強く感じることができるもののことでしょう。 「日本の問題」とされるもののうちかなりの部分は 「日本に固有の地政学的地位及び地理学的位置および人口数」の関数である。 ということは、日本とそれらの条件をまったく同じにする他国と比較する以外に、 私たちが採択している「問題解決の仕方」が適切であるかどうかは検証できないのである。 「日本と地政学的地位も地理学的位置も人口数も違う国」で採用したソリューションの 成功と比較することにはほとんど意味がない。(p.243)これは内田先生が仰る通り。私には何の異論もございません。でも、そのことに気付かず(知っていても無視して)、色々と話をされる方たちが、何と多いことか! 「人間の尺度を超えたもの」は定義上人間の使える計測機器では検知できません。 ですから、それらについてエビデンスを示すことができない。 だから存在しないことにする。 そういう簡単なロジックで僕たちの社会から 「人間の尺度を超えたもの」のための場所は一掃されてしまいました。(p.329)これも、言われてみれば、本当に「その通り」なんですよね。人間が、自分の既得の枠組みにいかに捕らわれてしまっているか、それを打ち破ることが、いかに難しいかと言うことでしょう。その他に、「裁判員制度は大丈夫?」「そのうち役に立つかも」「ミラーニューロンと幽体離脱」「新学期のご挨拶」「Let's downsize」「原則的であることについて」「親密圏と家族」 「家族に必要なただひとつの条件」等は、まるごと付箋を貼りたい気分でした。久し振りに、色んな分野の色んなことを、あれこれと考えることができました。
2014.07.21
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上巻と通して読むことで、当時の空気が本当に良く伝わってきた。 阪神大水害や神戸大空襲の描写も、リアルに伝わってきた。 そして「M1カービン銃」の項目では、国力の違いがよく表現されており、 それを承知の上で突入した、あの戦争は一体何だったのだろうと、改めて思った。 また『韓国人による恥韓論』で指摘されていた 「教育とマスコミ」の威力も実感した。 それと共に、現在の韓国に漂う空気、そして日本に漂う空気にも 様々な類似点があることに気付き、背筋が寒くなった。もちろん、このお話が伝えているものが、全て正しいものではないと思う。これは、あくまでも、妹尾さんが書いた当時の描写であり、他の人の目から見れば、異なる部分や誤りであるとする部分も多々あるだろう。実際、指摘を受け、文庫化されるときには、訂正や変更、削除がなされたという。 ***私が、このお話の中で最も考えさせられたのは、戦災者住宅に住むようになってからのHの行動と、父親の対応である。Hが、そこでの生活や家族(中でも母親)の行動に苛立ち、自殺未遂を経て、学校での一人暮らしを4か月も続けたこと。そして、苛立つHを、黙ったまま哀れむように見詰め、Hが、釜の蓋を自分に向かって投げつけたとき、それを避けず、額から流血した父親。さらに後日、Hが友人の家に泊めてもらうと言ったとき、「ありがたいなあ。」と、暫く家を出た方が良いと、認めた父親。この一連の流れについて、私はどう解釈していいのか分からないでいる。特に、父親が、Hをどのように受け止め、接していたのか。その接し方が、当時の空気の中での特殊なものなのか、それとも、何時の時代にでも共通するものなのか。 ***その他、「へぇ」と思ったのは、Hがいきなり小磯良平さんを自宅に訪ね、将来への道が開かれたことと、井上ひさしさんの『「人生二五年」の時代』にあった「江戸期の平均寿命」。藩主が一番寿命が短く、公家、家臣、僧侶の潤に長くなり、最長が足軽だったことです。
2014.07.17
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神戸という土地柄以上に、 父親が高級紳士服の仕立てを生業としていたことや、 両親、特に母親が熱心なキリスト教徒(プロテスタント)だったことで、 周囲の人々と比べても、外国人との接点が多かった少年H(妹尾肇)。 好奇心旺盛で、かなり腕白なため、叱られることも度々。 しかし、子供相手の商売で小遣いを稼いだり、 父親と社会情勢について語り合うなど、頭の回転は速い。 成績の方も、神戸二中に入学するほどだから、優秀だったはず。もちろん、絵は得意中の得意で、料理にも関心が高い。そんな少年の日常が、次々に綴られていくだけなのだが、そこからは、見事なまでに、当時の人々の暮らしや社会情勢が浮かびあがってくる。上巻だけでも、相当なボリュームだったが、飽くことなく読みふけった。その上巻では、日中戦争から太平洋戦争突入後までが描かれていたが、これまでに読んだ、どんな書物より、当時の空気をリアルに感じることが出来た。これから読み始める下巻には、恐らく終戦後のことが描かれているはず。そこに漂う空気に触れることが、楽しみである。
2014.07.15
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同じものでも、その立ち位置によって、見え方は違う。 何が真実で、何が虚偽か、 何が正義で、何が悪かも。 それを見る人の数だけ、真実があり、正義がある。 本著は、1970年代、韓国生まれ、韓国育ちの 生粋の韓国人歯科医によって書かれたものとされている。 それが、本当なのか、あるいは偽りなのか、私には分からない。 そして、そこに書かれていることも、本当なのか嘘なのか、私には分からない。しかし、ここに、本著があり、そこに、韓国や日本について、色々な事柄が書かれているというのは、事実である。それらの事象について、私は直接、自分の目で見たわけではない。また、自分の目で見ても、分からない、判断できないことも多々あるだろう。それ故、ここに記された内容の真偽を、私は見極めることは出来ない。しかし、そのような出来事が起こっているとし、そのように考えている人がいるということは間違いない。そして、それを知ることは、自分自身の立ち位置を少しずらして、そのことを眺めてみる一つの切っ掛けにはなる。そのことで、今まで自分が見ていたものとは、違った見え方がしてくる可能性がある。そして、今後、どのような立ち位置で、そのことを眺めるのか、それを決めることは、自分自身にしかできない。取り敢えず、読んでみなければ、何も始まらない。
2014.07.15
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『螺鈿迷宮』の続編であり、 『ケルベロスの肖像』のサイドストーリーでもある。 また、『極北クレイマー』の続編でもあり、 『極北ラプソディ』のワンシーンも登場する。 さらに、『ジーン・ワルツ』や『ナイチンゲールの沈黙』等も含め、 桜宮サーガに登場する様々なキャラクターたちが、これでもかと言うほど登場する。 これまでの海堂作品の集大成、かつ次世代を担うキャラクターたちを予感させる作品。 それでも、このお話しの最大の核は、『ケルベロスの肖像』の謎を解き明かすこと。結局、小百合もすみれも生きていて、姉妹で東城大つぶしを競い合っていたわけだけど、桜宮の血筋は、小百合・すみれに加えて城崎亮まで存命しているのだから、まだまだ、続編を書こうと思えば書き続けることが出来る状況のままで、決着はまるでついていないのは、いつものことと言えばいつものこと。なお、『ケルベロスの肖像』を読んだ際、私が疑問に感じた檜山シオンの行動については、一切言及がなかったので、彼女自身の判断で、あの行動をとったということなのでしょう。さて、私の海堂さんの作品の読書については、次は『スリジエセンター1991』が文庫化されたときになると思います。
2014.07.13
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今回のお話しの舞台は、主に中華人民共和国。 そして、長崎と上海を直線距離で結んだ中間地点の洋上と、福岡、東京。 弥勒菩薩像と瓢房三彩陶を巡って、衝突寸前の状況となった日中関係を、 凜田莉子が解決していくというミステリー。 そこに、中国国内に溢れかえる偽物商品や、 社会主義国におけるスポーツ選手の待遇を絡めながら、 話は、テンポ良く進んでいき、最後の最後で大どんでん返し。 安倍晋三総理や麻生太郎副総理、習近平首席や李克強首相も実名で登場。ところで、実在の政治家をフィクションに登場させ、その口から発言をさせるというのは、本人や関係部署の了承は不要なのかな?もし、表現の自由で、許可無くそういうことができるのであっても、実際の日中関係が厳しい現状の中、迂闊にその名を使用すると、色々問題が発生するのでは?特に、今回のお話しは、中国側からすれば、否定したい内容が満載だし、「松岡さん、大丈夫なの?」と、ちょっと心配になってしまいました。そして莉子も、とうとう岬美由紀レベルの、世界を股にかけ、問題を解決していく有名人に。こちらについても、ちょっとスーパーヒロイン度が、急上昇しすぎの感がありました。
2014.07.12
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テツオと丸部は、何とか崖を登りきる。 その途中、丸部はテツオに「26年間、ずっと一人の女を愛し続けている」と言う。 さらに、男の戸籍を「財宝を見つけ、天野から買うつもりなんだ。お前は」とも。 その後、丸部は、自分の愛している女は「たぶん、もう死んでるよ」と言った。 それは、灰色の服を着て、丸部の前に現れ、幽霊塔に消えていった女。 丸部は、彼女を捜しに、幽霊塔内部にやって来たと言う。一方、天野と山科は、囚人たちに襲われている沙都子を救出する。沙都子は、陣羽笛が死番虫に殺されたと、二人に告げる。そして三人は、鉄格子の下に宝を見つけるが、そこには灰色の服を着た女がいた。山科は、沙都子に、ここから先は一人で行けと言うが、沙都子は、山科と一緒に行きたいと言う。このやりとりの中で、沙都子は山科がゲイであることに気付くが、天野に促され、また、三人で一緒に行動することに。そして、陣羽笛が殺されたときに「お前だったのか」と叫ぶのを聞いたと、沙都子は天野に耳打ちする。丸部は、死番虫が警官だと考える理由を、テツオに説明する。それは、今年いっぱいで神戸市警が無くなり、捜査の主導権が県警に移るから。そうすると、市警の独断で動けなくなるので、焦って行動しているのだと。その頃、山科は、天野と沙都子を残し、先を偵察に行く。残った天野と沙都子を、背後から狙う囚人。その囚人が殺されたとき発したのが「…クソ… お、おまわりが…」。丸部はテツオに「テツオが天野を助けるため、時計を動かしたとき、死番虫は麗子が帰ってきたと知り、老婆殺しの真相を知る麗子を始末しようとした」と言う。麗子が美女であることしか知らない死番虫は、美しい女性記者を殺した。そして、女性に対する嫌悪や憎悪がある捜査関係者に心当たりがあるとも。一方、山科は天野に、財宝が手に入ったら出版社を作り、「自分には文才がないから、才能がある人間を集めて、本を書いてもらう、 自分のような異端の人間も人間であり、 この社会に存在する価値があるということを啓蒙するものを」と言う。そして、「僕たちにも、誇りがあると、わかってもらえるはずだ。」とも。その頃。丸部はテツオに、自分が推理している老婆殺しの真相を語る。死番虫は、時計塔に藤宮たつを磔にして、脅すことで、秘密を話させ、さらに、塔の中を案内させて、財宝を手に入れようとしていただけだった。ところが、たつは窓越しに麗子と目が合い、麗子が助けに来ると思い、秘密を話さなかった。死番虫は、たつが口を割らないことで、たつを助けに塔に登ってくる麗子が、時計を止めるところを盗み見しようと待ち伏せる。ところが、麗子は最後まで時計を止めなかった。そして、その事実を認めるテツオ。そこで、テツオは丸部に、たつが麗子を養女にした理由を教える。それは、たつが飼っていた猿が死んだから。そして、たつは麗子に、屋敷に秘められた謎を解いてみないかと誘った。謎を解いた麗子に、たつは迷宮の中を一緒に探検しようと言う。男の心を持つ麗子を一人残して、立ち去ろうとするたつ。麗子は、か弱い女の子のように泣き叫ぶふりをすると、たつは、麗子のところへ戻ってきたのだった。その時の、裏切られた絶望と、女々しく泣き叫ばされた屈辱を忘れられず、麗子は、時計塔の上で、ちょっとだけ、待ってやろうと思ったのだった。麗子が屋敷を出る前に書き残した遺書は、死番虫が手に入れたらしい。そして、麗子の身代わりの死体を、警察の死体安置所で見繕ってきた。しかし、麗子は死に場所を探しているうちに、生きたいと思ってしまった。その頃。また行動を共にしていた山科、天野、沙都子だったが、沙都子は、山科が銃弾を一発隠し持っていることに気付く。そして、山科が持っている銃が、陣羽笛のものではないのか、あなたが死番虫ではないのかと問いつめる。しかし、それでも山科を信じる天野を、沙都子は、二人をそういう関係かと疑うが、山科は、自分の想い人は別にいる(テツオ)と言う。そして三人は、崖の向こう側にテツオと丸部の姿を発見した。そこで、テツオは天野に「本当は身体も、心の中も、完全に、女なんです。」と告げる。しかし、その言葉を、天野は信じない。そして、山科、天野、沙都子は、12枚のドアに、宝箱のレリーフが飾られた部屋に辿り着く。そこで「間違い探し」を解き明かした天野は、二人を部屋の外に出し、一人で4番目のドアを開けたのだった。 ***ダラダラとした長い文章になってしまいましたが、このお話も、いよいよクライマックスを迎えようとしている感があります。やっぱり、死番虫は山科なのか?そして、灰色の女とは、一体誰なのか?まだまだ、謎が多いです。
2014.07.10
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丸部の命令で、濡れたままの服を着て、 納戸で初冬の夜を一人過ごすことになったテツオ。 そこへ、天井から死番虫が現れ、自分と組む気になったか尋ねる。 そして、本城志郎がテツオを裏切っていたことも告げる。 そこに野蛮虫がいるのを知らない天野が来て、ドア越しにシーツを差し入れる。 天野はテツオに「沙都子は普通のいい娘だから、もっと優しくしてあげて」と言うが、 テツオは、普通のカワイイ女の子が、怖くて、憎いと打ち明ける。 そして、野蛮虫が、今ここにいることを、天野には伝えないのだった。翌日、山科が幽霊塔にやってきたとき、テツオと天野は、丸部に軟禁されていることを伝える。その後、丸部は、テツオが麗子であることを知りながら、テツオにこう尋ねる「藤宮麗子が生きていて、幽霊塔の財産を狙っているとしたら、どう動くと思う?」と。そして、その答えを自らテツオに語って聞かせる丸部。時計塔の動かし方を書いた紙を天野に渡すテツオ。それを丸部に渡さず、細かく破り捨てる天野。しかし、テツオは丸部と繋がっていたことを知る。そして、死番虫が時計を動かした。丸部、テツオ、天野、沙都子は、隠し扉の内部に入り込む。そこで、丸部は、スカラベを外すと扉が閉まり、死番虫が奪っていったスカラベの箱を使えば、再び扉を開けることができると言う。丸部の命令で、神戸市警と共に、起訴待ちの犯罪者たちが保釈され、幽霊塔に集められる。丸部は、彼らに、二人一組になって、幽霊塔の財宝を探せと言う。この指示に従わない者は、再逮捕するとも。そして、丸部はテツオをパートナーに選び、幽霊塔の内部に入ることに。さらに、天野は山科と、沙都子は陣羽笛警部と組み、囚人たちも二人一組で内部に進む。天野と山科は、ある一室に入り、そこで囚人たちと一緒に閉じ込められる。そして、天井が次第に落ちてくる中、山科は自分がゲイであることを打ち明ける。結局、そこで生き延びることに成功したのは、天野と山科だけだった。丸部は、死番虫の正体を警官と推測し、山科か陣羽笛のどちらかだとテツオに言う。一方、白井と呼ばれる警官は、囚人を脅し、すり替わって、一人で内部に入った?そして、死番虫は、沙都子と陣羽笛に襲いかかり、陣羽笛はその餌食となる。さらに、死番虫は、テツオと丸部を襲おうとするが、突然逃げ去ってしまう。その後、扉が閉まり、水が押し寄せ、テツオと丸部は手錠で繋がれてしまう。何とか、水攻めの部屋から脱出した二人は、崖を目の前に立ち往生している囚人たちに出会う。そして、そこには一酸化炭素が充満し始めていた。テツオと丸部は、崖を登り始める。 ***死番虫の正体は、未だに見えてきません。丸部が言うように、山科か陣羽笛だとしたら、話の辻褄が、今のところ合わないですし……。まだまだ、分からないことだらけです。
2014.07.10
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『もし部下がうつになったら』の松崎先生の監修による一冊。 まず、冒頭部「はしがき」に感動させられました。 公務員の現状について、本当に良く理解されているということが伝わってきます。 流石に「公務員のための」と銘打つだけのことはあります。 そしてその内容は、『もし部下がうつになったら』の比ではありません。 もちろんボリュームの関係で、新書にそこまでのものを求めるのは酷なのですが、 ボリュームによる違い以上の差を、私は感じました。 「公務員のための」とありますが、民間企業でも充分活用できる一冊だと思います。「基礎知識編」「予防編」「早期介入編」「休職編」「復職編」「困難事例編」この6つのパートについて、それぞれ担当の方が執筆されていますが、事例と共に67のポイントが、2ページごとにまとめられており、とても読みやすく、分かりやすいです。中でも、私が関心を持ったのは、「24.要休業の診断書の取扱い」の また、うつの治療には、自宅で身体を休めるだけでなく、 精神的にも落ち着いて休める環境が必要となります。 そのため、本人に対する勤怠の取扱いの説明は、非常に重要になります。 自分がどれくらい休むことができるのか、その間の給与はどうなるのか、 職場復帰の際の段取りはどうなっているのか、といったことが 仕事を離れて治療に専念するための安心材料になるからです。 これらについては、あいまいなまま本人に説明せずに、 人事労務担当者に確認してから伝えてください。(p.83)「28.療養する職員に伝えること」の 「療養中の給与の額がどうなるのか」 「無給になった場合に傷病手当金などの制度が利用できるのか」など、 療養中の経済不安について、できるかぎり解消してあげるとよいでしょう。 また、療養によって自分の身分が降格になったり、 解雇されたりするのではないかと心配する職員も少なくありません。 就業規則をこの機会に確認し、療養中の職員の身分保障について、 どの程度まで保障されているのか、伝えてあげましょう。(p.91)「44.職場復帰への焦り」の そのような焦りを軽減するためにも、休業する際に、 まず休職や復職に関する情報をわかりやすく本人に提供することがよいでしょう。 そして、無理をして出てまた休むのではなく、 きちんとよくなって戻ってきてほしいという率直な気持を伝えることも必要です。(p.120)の3つの指摘です。これは、「うつ」で休職している人の、心から欲している情報であり、それを、的確に指摘している本著は、本当に素晴らしいと思います。もちろん、それを実現できる組織、管理職、職場でなければ、猫に小判ですが……。その他、「10.年齢による違い」「26.療養期間とその後の経過」「34.療養中の部下への連絡」「35.自宅療養中の過ごし方」「37.療養中の外出の注意点」「39.職場復帰が近づいたら」「58.職場復帰時に異動を主張する」の項目も、とても参考になりました。ただし、「13.ストレスに対する強さ」については、読み方に注意が必要です。 SOCとはストレスに直面したとき、そのストレスをやわらげる能力のことであり、 「ストレスに対する強さ」ともいえます。 SOCの強い人は問題や困難に直面したときの考え方に特徴があります。 人生や日常生活の中でどのような問題や困難が生じるのか予測し、 その本質を的確に理解して解決策を見つけ出せる能力はSOCを強くします。 また、問題や困難に前向きに取り組める能力もSOCの強い人の特徴です。(中略) SOCの低い職員ほど、このような状況で感じるストレスが強いといえます。 風邪をひきやすい体質の人もいるように、さほど過酷ではない職場でも ストレスを強く感じて調子を崩しやすい人もいるのです。(p.49)この部分を読むと、「うつ」になるのは、SOCの低い弱い人間、SOCの強い自分たちとは違う、ダメな人たちだ、と解釈される方が出てくるような気がしました。そのような解釈に基づいて、組織や管理職、職場が「うつ」になった人に接したり、色々な対応をしたりする姿勢になってしまわないだろうかと、かなり心配になりました。
2014.07.10
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『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』で、 ツレと貂々さんが会いに行った大野先生が書かれた一冊。 2000年と言うことは、前世紀に発行された古いものですが、 多くの人たちに読まれ、現在も高い評価を得ているものです。 その内容は多岐に渡っており、的確にポイントを押さえています。 もちろん、私がこれまでに読んできたものでは、 全般的なことについては『うつ病患者と家族の支援ガイド』、 薬剤については『ヒーリー精神科治療薬ガイド』には到底及びません。しかし、これらはどちらかと言うと、医療に関わる人たちが読むレベルのものであり、新書で、これだけのものを作り上げられたことは、本当に凄いと思います。しかも、第3章「うつ病の心理的治療」には、まだ私が知らなかったことが書かれており、この分野については、もっと勉強しなくてはいけないと、気付かせてくれました。 心の健康を取り戻すためのキーワードとして、 私は、認知療法、行動療法、対人関係療法の三つの治療技法の基本的な考え方である 認知、コントロール感覚、コミュニケーションの”三つのC”を大切にしています。(p.98)特に、認知の歪みの7つのパターンである「恣意的推論」「二分割的思考」「選択的抽出」「拡大視・縮小視」「極端な一般化」「自己関連づけ」「情緒的な理由づけ」を示し、そこで、このような「自動思考」に反論するため紹介されている「五つのコラム法」は、p.119に、その実例が表で示されており、大変分かりやすかったです。取り敢えず「うつ」について知りたい人が、まず最初に読む本としては、『ツレうつ』シリーズのようなマンガが、気楽に読めてイイと思いますが、新書レベルのもので言うと、本著は本当に適切なものだと感じました。ただ、冒頭で述べたように、書かれたのが随分昔だという点は、多少気になりますが。
2014.07.09
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「うつ」に関する本を色々読んできましたが、 今回は視点を変え、「うつ」になった部下を持つ上司向けの本を読んでみました。 本著は新書版ですが、1ページ当たりの文字数やフォントも、ギッシリ感が無く、 全体で150頁ほどですので、1~2時間もあれば読了できると思います。 部下が「うつ」と診断された場合、まず、どのようにその部下に接し、 職場で何をしなくてはならないか。 そして、休職させるかどうかの判断をどうすればよいか。 さらに、休職させた場合、どのようにして復職へと繋げていくかが、説明されています。事例も適度に示され、コンパクトでも必要最低限の「うつ」に関する知識や、それに基づく的確な指針が示されていると思いました。しかし、やはり、本著の持つボリューム故か、「うつ」になった人の本当の苦しさや心情というものは、あまり伝わってきませんでした。取り敢えずの一冊としては、本著はとても良くできていると思います。しかし、本当に部下が「うつ」になってしまった時、その上司が読むものとしては不十分です。もし、そういう状況になった場合には、上司として、さらにレベルの高いものを、ぜひとも読んで頂きたいと思いました。
2014.07.09
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真紅は雛苺が誕生したとき、嫉妬・焦燥・羨望の感情を知った。 しかし、雛苺が「箱庭の世界」にやって来たとき、真紅は妹の面倒を見る。 お父様は、最初こそ雛苺の元に足繁く通っていたが、次第にその足が遠のく。 それは、また新しい姉妹を作っているから? お父様の行動に、自分たちがお父様の理想に届かないこと、 自分たちが何のために生まれてきたのか、悩み苦しむ姉妹たち。 しかし、お父様は、それから現れることはなく、 新しい妹・第七ドールを連れてくることもなかった。そこへ「ラプラスの魔」が現れ、「アリスゲーム」が始まったのだった。水銀燈は、失敗作である自分が、アリスゲームを勝ち抜き、至高の少女となって、自分を生み出したお父様に復讐しようとする。そして、その感情の全ては、マスター・柿崎めぐの持つ憎しみや愛慕を重ねたものだった。水晶の城の最上階に辿り着いたジュンたちは、チェス盤の上で鳥海に出会う。そして、鳥海によって操られた翠星石が、ジュンたちを襲うが、大学生のジュンが、翠星石の足元に、チェス盤の下から伸びる白い薔薇のつるに気付く。そして、そこから繭が飛び出し、繭の中から、めぐの体を器にした雪華綺晶が現れた。中学生のジュンは、チェス盤の下にある時計盤の動力を止めるため、下の階へ。大学生のジュンもコドウグと共に、その後を追う。一方、みっちゃんは、鳥海から金糸雀の薇を取り戻すが、再起動に失敗し、金糸雀のローザミスティカを鳥海に奪われてしまう。中学生のジュンは、時計盤の歯車を組み換え、お父様の時間を、自分の時間にしようとする。そして、ジュンはお父様・ローゼンに出会う。娘を亡くした彼は、至高の少女を創ること、生命のある人間を創り出すことだけが、その存在理由であり、彼の心の欠片、彼の中の彼の娘が、ローザミスティカだった。その頃、鳥海は、翠星石のローザミスティカも抜き取り、雪華綺晶は、2つのローザミスティカを、めぐの体内に取り込もうとする。そして、それを阻止しようとする水銀燈が持つ、2つのローザミスティカも奪わそうになる。しかし、めぐは、それを受け取ろうとせず、水銀燈の一撃で、その身体を貫かれてしまう。そこに現れた中学生のジュンは、この世界は全て雪華綺晶が作り出した幻、めぐの夢だったと言う。そして、傷ついて砕けたローザミスティカ、少女の夢から生まれた夢は、同じ一つの少女に収束していき、それがアリスだとも。そして、真紅は、水銀燈からもらったものを含め、全てのローザミスティカを雪華綺晶に与えようとするが、その身体は崩壊寸前。それに手を差し伸べたのは、大学生のジュンだった。そして、中学生のジュンは、真紅の願いを聞き入れ、真紅以外の人形たちに、ローザミスティカを再配分した。そして、真紅を再び起こすため、残った姉妹たちと共に、新しいローザミスティカを創ろうとしているのだった。 ***取り敢えず全巻読了し、その「あらすじ」を書き終えました。けれど、最後の部分を含め、ひょっとすると間違っているところがあるかも……。とにかく、私にとってこのお話は複雑で、最後の最後まで、一読しただけでは理解できませんでした。コミックス一冊一冊の記事を書くのに、こんなにも時間をかけさせられたこの作品は、私にとって、ある意味、良い経験を与えてくれるものでした。
2014.07.09
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前巻を読んで、「もう読まないかも」と思ったけれど、 結局、また購入して、読んでしまいました。 前半は、前巻からの続きで、隣人部と生徒会の合同慰安旅行の出来事。 延々と『人狼』というゲームのシーンが描かれます。 TV番組にもなるぐらいだから、ポピュラーなゲームなんだろうけど、 「いよいよ、ネタ切れか……」と、正直思ってしまいました。 ところが、クリスマス会に向けての取り組みが始まると急展開。 各キャラが、今までとは違った動きを、それぞれに始めます。特に印象的なのは、バスケ部の練習シーン。夜空は、そこで星奈のプレイを、諫めるような行動をとります。さらに、姉に勉強を教えながら、実質、生徒会長の役割を代行して、クリスマス会の準備を進めますが、 「私は、ちゃんとできているか? 『かっこいいやつ』を演じられているか?」(p.206)と、本番直前に、小鷹に本音を確認してしまうシーンは、たまりません。そして、クリスマス会の会場で追い込まれた星奈を、庇うシーン。 とかくこの世界は、間違っているとされた者に厳しい。 間違っているものを攻撃することが善しとされている。(p.225)という状況で、言い放った言葉。 「ヒーローや魔法少女に憧れ、正義であることを望み、 悪を憎み、愛や友情を美徳としながら! どうして貴様らは……どうして私たちは、人に優しくできないんだ!!」(p.227)さらに、その後、星奈からの誕生日プレゼントを受け取った後に発した言葉。 「だって私たちはもう……友達だろう」(p.240)平坂さんが、「あとがき」で述べているように、やはり、このお話の主人公は、三日月夜空でした。小鷹に起こった予想外の展開も、エピローグで、また動いていくのでしょうか?もう、次巻を読まないわけには、いかなくなってしまいましたね。
2014.07.09
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みっちゃんは、大学生のジュンが連れてきた もう一人の第七ドールと行動を共にする。 一方、大学生のジュンと中学生のジュンは、 巴をジュンの作り出した世界に残して、女王様がいる世界へ。 真紅と金糸雀は、先にその女王様に出会い、攻撃を受けていた。 そこへ、中学生のジュンが追い付き、女王様を倒すことに成功。 しかし、金糸雀は動けなくなっていた。大学生のジュンは、翠星石を木のお家で見つけ、反対側の扉から、みっちゃんの声を聞く。しかし、二人の目の前で、翠星石は何者かによって連れ去られてしまう。その後、木のお家は崩壊、二人は対面し、中学生のジュンたちも合流する。みっちゃんは、金糸雀の薇を探すため、大学生のジュンのケータイを使って、病院に置き去りにした自分のケータイに電話をかける。その頃、鳥海は、繭の中の雪華綺晶に声をかけていた。そして、その繭から生まれてくるのがアリスで、繭の中には柿崎が眠っていた。柿崎は、水銀燈に絶望を与えるため、雪華綺晶に体を提供したのだった。そして、みっちゃんのかけた電話に出たのは、鳥海だった。鳥海は自分がジュンで、この世界の創造主「お父様」だと言う。そして、電話の最中、彼のもとに翠星石が運び込まれる。一方、水銀燈は、自らのローザミスティカを託した蒼星石の願いを聞いて、第42951世界・雪華綺晶の世界に行き、蒼星石の元マスターを救い出す。そして、ウサギに促され、逆さまの鏡で、水晶の城・雪華綺晶のとぐらへ。そこで、ジュンたちと合流し、城の心臓部・天蓋時計に辿り着く。そこは、ローゼンメイデンたちが造られたばかりの時にいた場所。お父様が造った人形たちだけの箱庭の世界。そして、その扉の向こうは、新しい妹が生まれる場所だった。 ***この作品を借りてきた店には、1巻から9巻までが並んでいたので、てっきり、今巻が最終話になると思って読んでいたら、そうではなかったようです。ネットで調べてみると、全10巻とのこと。もう、ここまで来たら、10巻を読むしかないけれど、あの店にはあるのかな?
2014.07.05
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みっちゃんは、鳥海の下で、ドレスを作り続けていた。 そして、鳥海は、自分の娘・アリスのために、 ぴったりの最高のドレスをこしらえろと、みっちゃんに言う。 中学生のジュンは、眠っている自分に出会う。 そして、柿崎に罵られたことを思い出すと、 眠っている自分のところに沈み込んでいってしまう。 その後、そこに現れた水銀燈は、ジュンの記憶に触れ、何かに気付く。翠星石と蒼星石は、巴の夢の扉を使って大学生のジュンを連れてくる。彼と共に現れたのは、この世界の主の、もう一人の第七ドール。それは、まかなかった世界の大学生のジュンに、薇と一緒に残された人形。その人形に、大学生のジュン、巴、真紅、翠星石、蒼星石はついていく。その途中、蒼星石は、水銀燈と出会い、ローザミスティカを差し出すよう要求される。蒼星石は、その前に、眠っている中学生のジュンの道案内をさせてくれるよう頼む。一方、大学生のジュン、巴、真紅、翠星石は、大小2つのドアが並んだ場所に着く。大きいドアを開けた大学生のジュンと巴が引きこまれたのは、ジュンの家。二人は雛苺と出会い、様々な年代のジュンの記憶を、そこで見る。そして、大学生のジュンの声は、中学生のジュンを導こうとする蒼星石にも届く。大学生のジュンは、中学生のジュンを、自分たちがいる場所へ引き上げた。その後、巴は、中学生のジュンが起きる切っ掛けになるものを、探して回る。そして、壊れたオルゴールを見つけ、大学生のジュンが、それを直す。それを見た巴は、柿崎を助けられるのは、ジュンしかいないと言う。そして、巴の声に、中学生のジュンが目覚めるが、その指輪は、指貫に変わっていた。一方、小さいドアを開けた真紅と翠星石は、金糸雀と出会い、そこで、雪華綺晶が作った双子の人形に襲われる。その時、翠星石が盾となり、真紅と金糸雀は脱出することに成功。そして、真紅は自分のアリスゲーム、お父様の意志に抗うやり方を、金糸雀に語るのだった。その頃、約束を果たした蒼星石のローザミスティカを、水銀燈は手に入れていた。 ***今巻も、なかなかに複雑で難解なお話しでした。この記事をまとめながら、二度三度と読み返して、やっと理解できた次第。それは、場面の展開に、私の頭がついていけないからのようです。
2014.07.05
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ジュンは学校で倒れて、病院にいた。 しかも、そこは、かつて柿崎めぐが入院していた病室。 真紅、翠星石、蒼星石たちは、ジュンの夢の入口が見つけられない。 そして、姉が一人見守っているとき、柏葉巴が見舞いにやってくる。 巴は、ジュンに何が起こったかを突き止めようと、柿崎と二人で話をする。 柿崎は、白い悪魔から少しだけ命をもらい、 その悪魔が欲しいものを罠にかけ、つかまえて持っていくのだと言う。一方、みっちゃんは、自分の部屋に、見覚えのない人形を見つける。そこに、水銀燈が現れ、金糸雀も駆けつけるが、謎の人形は姿を消していた。その後、みっちゃんは、水銀燈と金糸雀を連れて、ジュンのお見舞いに出かける。そして、柿崎と謎の人形に捕らえられていた巴を発見、救出するが、今度は、みっちゃんが捕らえられ、柿崎に連れ去られてしまう。真紅、翠星石、蒼星石たちは、ジュンの病室に行く途中、雪華綺晶のnのフィールドへと誘い込まれ、人形たちに襲われるが、水銀燈によって、同じ場所へ導かれる。あの人形たちの「お父様」、即ち作成者は、鳥海だった。そして、彼は、無機の器とは違う、他の姉妹の誰とも違う、至高の人形を作ろうとしていた。金糸雀と水銀燈は、謎の人形と出会う。それは、雪華綺晶が作ったニセモノの世界のホンモノ。金糸雀は、この世界から急いで脱出しようとする。一方、巴と真紅、翠星石、蒼星石たちは、大学生のジュンに連絡を取り、協力を要請する。しかし、その大学生のジュンにも、何者かが襲いかかってきたのだった。 ***また、ここに来て、「まかなかった世界」の大学生のジュンが登場。「まいた世界」の中学生のジュンを、今度は、彼が助ける番と言うことでしょうね。
2014.07.05
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ジュンは、久し振りに学校に出かける。 登校中に柏葉に出会い、校門まで辿り着くが、そこで倒れ、保健室へ。 すると、鳥海がやってきて、話をする。 その日、ジュンと同じクラスに転入生がやって来る。 それは、柿崎めぐで、ジュンに会いたいから、この学校にやって来たという。 翌日、柏葉と一緒に登校したジュンは、何とか教室まで辿り着く。 そして屋上で、柿崎めぐと出会う。その日の帰り道、ジュンは鳥海に声をかけられ、家のローゼンメイデンを見せることに。ところが、みんな出かけていたため、ジュンは絵を描きながら、アリスゲームのことまで、詳しく話をしてしまうのだった。一方、真紅、金糸雀、翠星石、蒼星石たちは、マスターたちが捕らえられている雪華綺晶のアジトを探すため、nのフィールドへ行っていた。手分けをして捜索を始めた蒼星石は、水銀燈に出会ったのだが……そこは「9秒前の白」と呼ばれる場所の河口、無意識の海。その不思議な世界を打ち砕き、蒼星石を救ったのは水銀燈。そして、水銀燈はめぐを見つけて取り返したら、蒼星石からローザミスティカを返してもらうと告げる。日曜日、ジュンは翠星石を連れて教室へ。そこで、柿崎の上履きがゴミ箱に捨てられているのを発見する。ジュンは、それを彼女の机の中に入れておいた。後日、柿崎が教室に現れ、上履きは自分が捨てたのだと、皆の前で言う。そして休み時間、屋上へと続く階段で、ジュンを痛めつける柿崎。彼女は、一体誰と話をしているのか?その柿崎を、水銀燈は「私のマスターに相応しい、病んでイカれた子」と思っていた。それは、自分と同じ何かを彼女に感じていたから。しかし、その柿崎は、雪華綺晶に攫われている。 *** 「いいわ」「誓ってあげる」 「死が二人を別つまで?」 「いいえ」「死んでも一緒だわ-」これが、本巻の最後のシーン……むぅ~……む・ず・か・し・い……そして、現在の柿崎を操っているのは、雪華綺晶なのか?さらに、鳥海は『少女のつくり方』を誰から手に入れたのか?「いよいよ、始まりましたなぁ」という感じです。
2014.07.05
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どうやら、このお話の本当の主人公は、中学生のジュン。 「まいた」世界のジュンらしい。 そして今巻は、4巻までに比べると、まったり、ほのぼのとした感じ。 こちらの世界のジュンは、姉・のりと一緒に暮らし、 第五ドール真紅(しんく)、第三ドール翠星石(すいせいせき)、 第六ドール雛苺(ひないちご)、第二ドール金糸雀(カナリア)もいたらしい。そこへ、新たに第四ドール蒼星石(そうせいせき)が加わるが、雛苺は、アリスゲーム中、第七ドール雪華綺晶に身体を奪われてしまったため、その姿はない。そして、ジュンの家に元・金糸雀のマスターだった柏葉巴が訪ねてくる。翌日には、現・金糸雀のマスター・みっちゃんも訪ねてくる。そして、ローゼンメイデンとローザミスティカ、指輪、それに、マスターの現状を一覧にまとめて確認する。(p.078)みっちゃんは、雛苺を取り戻し、今いる子たちを共に守ろうとジュンに言うのだった。この一覧を見て理解するには、4巻までの内容がしっかり頭の中に入っていないとムリ。やっぱり、このお話は複雑で、かなり難しい……。夜、蒼星石は、真紅と共に、薔薇屋敷に向かう。そこは、かつて蒼星石と真紅が戦った場所。そして、蒼星石の元マスターの結菱老人は、病院で眠ったまま。蒼星石は、庭師として、薔薇の手入れをするために、夜毎ここを訪れていたのだった。しかし、結菱老人や、雛苺のマスター・オディールは第七ドール雪華綺晶に捕らわれ、その苗床になっているのだと、真紅は告げる。その頃、第一ドール水銀燈のマスターと思われるめぐちゃんは、長期入院していた病院で急に元気になり、退院することになっていた。ある日、ジュンは、図書館でローゼンメイデンに関心を持つ同級生の鳥海皆人と出会う。一方、真紅、金糸雀、翠星石、蒼星石は、自分たちのマスターを雪華綺晶から守るため、アリスゲームの最中ではあるが、共闘することを誓うのだった。 ***前半のまったり、ほのぼのとした雰囲気も、ページを重ねるにつれ緊張感が増してきました。さて、時間では、再び雪華綺晶との争いが勃発するのでしょうか?
2014.07.05
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第42951世界=雪華綺晶の世界にやって来た中学生のジュン。 そこで、彼は「ラプラスの魔(兎)」に出会う。 そして、兎の差し出した鏡で、本物の真紅のボディを見つけると、 トゲだらけのいら草を素手で編んでロープを作り、谷底へ向かおうとする。 一方、蒼星石のマスターとなったが大学生のジュンは、 蒼星石から、庭師の双子の翠星石がいれば、二人で時計を動かせると聞く。 蒼星石は、自分と翠星石のローザミスティカを交換するから 時計を動かす間だけ、ローザミスティカを二人に与えて欲しいと水銀燈に申し出る。水銀燈は、この取引に応じ、双子は大学生のジュンを元の世界に戻そうとする。それを、なおも阻止しようとする雪華綺晶に、大学生のジュンは、こう言い放つ。 誰かに与えられるんじゃ意味がない。 世界を、僕が僕の意志で、僕の力で変えてやるんだ。 お前は、いらない…!中学生のジュンは、突然現れた金糸雀に驚き、せっかく作ったロープを谷底に落としてしまう。しかし、雛苺の人工精霊・ベリーベルが、谷底にあった本物の真紅のボディを運んでくる。そして、大学生のジュンの目の前の真紅のボディが粉々に砕けたとき、中学生のジュンは、大学生のジュンに、本物の真紅のボディを送り込む。大学生のジュンは、本物の真紅のボディにローザミスティカを埋め込むと、薔薇の薇を、中学生のジュンに託すのだった。一方、第六ドール雛苺の行動を知り、目の前で起こった出来事を見た水銀燈は、蒼星石のローザミスティカを取り返さぬまま、去っていったのだった。そして、大学生のジュンは、元の世界に戻ってきた。 ***取り敢えず、今巻で、お話しは一区切りついた感じ。でも、最後のシーンといい、まだ私には十分理解できないところが多い作品です。
2014.07.04
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雪華綺晶に捕らえられた大学生のジュン。 翠星石は、雪華綺晶のボディーは、 自分の双子・第四ドール蒼星石のものだと、真紅と水銀燈に伝えるが、 雪華綺晶に捕らえられてしまう。 その時、ジュンは真紅と契約を結んで、 雪華綺晶のマスターになってしまうことを防ごうとする。 真紅が契約を躊躇している間、雪華綺晶は、ジュンと強引に契約を結ぼうとする。その時、翠星石がジュンに、自分と契約しろと言い出す。そして、他の人形たちも、次々にジュンと契約を交わそうとし始める。選択を迫られたジュンは、決意を胸に、真紅へと近づいて行くのだった。しかし、それを阻止しようとする雪華綺晶の行動で、またも戦闘状態に。その中で、ジュンは不可抗力によって、蒼星石と契約してしまう。そのことが、蒼星石のボディーに残っていた記憶を呼び起こし、雪華綺晶のローザミスティカが、相容れないボディーと反発し合い、苦しみ始める。だが、雪華綺晶を倒すために必要な、蒼星石のローザミスティカを、水銀燈は返そうとしない。そんな中、真紅に問われた翠星石は、この状況へと皆を導いたのは「お父様」だと答える。その答えに、過去の記憶を呼び起こしかけた真紅だったが、時計の鐘が鳴り、蒼星石のボディーが現れ……ジュンが気付くと、目の前には中学生のジュンと第二ドール金糸雀がいた。そこは、大学生のジュンの、自分にとっての第0世界。そして、大学生のジュンは、中学生のジュンと話す中で、「ここまでしか行けないという境界線は、どこにもない」ことに気付く。「世界は、選び取れる」ということに。一方、真紅と水銀燈は、第42951世界=雪華綺晶の世界にいた。そして、そこに、蒼星石が翠星石のボディーを抱きかかえて現れたのだった。大学生のジュンは、金糸雀と共に、糸を辿って元の世界に戻ろうとする。金糸雀の奏でるバイオリンの音色が、まやかしの水晶を消し去り、最後に残った本物の水晶も打ち砕いて、舞台の大道具の時計の前に辿り着く。そこには、真紅たちがいた。さて、大学生のジュンは、ここからどうやって自分の世界に戻るのだろうか? ***今巻も、なかなか複雑で、お話しの流れを理解するのに、随分時間がかかりました。とにかく、私がこの世界観に馴染むには、かなりの忍耐が必要なようです。
2014.07.04
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大学生のジュンは『週刊 新・少女のつくり方』の人形作りを始める。 中学生の頃のジュンから届いたメールには、次のように書かれていた。 「僕からメールが来たことも人形が完成するまでは、真紅たちに伝えるな」 しかし実は、そのメールは中学生のジュンが送信したものではなかった。 中学生のジュンは、第二ドール金糸雀のマスター・みっちゃんと連絡を取り合う。 雪華綺晶に捕らわれた真紅たちを救うため、中学生のジュンと一緒にnフィールドに入り、 あらゆる場面で中学生のジュンを助け、みっちゃんとの連絡を可能にしたのが金糸雀。 中学生のジュンは、大学生の自分からのメールは受け取れるが、送信は出来ない状況にあった。一方、大学生のジュンは、バイト先の書店で店長から在庫数が合わなことを咎められる斉藤さんを自分が作ったスリップの記録ノートで、手助けする。そして、真紅が「まいた世界」に戻らないと、仮の器が消去されてしまう日、大学生のジュンは、劇団の公演に、真紅をバッグに入れて出かける。そして、置き忘れられた小道具の人形の代わりを、真紅がすることになる。その頃、水銀燈は、大学生のジュンが作りかけた人形を餌に、末妹・雪華綺晶をおびきよせようとしていた。舞台が始まり、演技する斉藤さんを見詰める大学生のジュン。気付くと、横の席には水銀燈がいた。そして、大道具のハリボテの時計の振り子が動き出し、鞄の中から雪華綺晶が現れた。すると、ジュンたち以外の時間が止まってしまう。水銀燈は自分のマスターを目の前で攫われ、nフィールドへ行った時のことを真紅に語る。そこで、雪華綺晶は、ローゼンメイデンと契約を結べる人間を集め、その意識を糧にしていた。水銀燈は自分のマスターだった少女を取り返そうとしていたのだった。しかし、雪華綺晶のボディーは、一体誰のもの?本当に雛苺?真紅と水銀燈が、雪華綺晶と死闘を繰り広げる中、第三ドール翠星石が到着。さて、この戦い、この後はどう展開していくのでしょうか?
2014.07.04
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『銀の匙』(1巻~11巻)を借りに行ったとき、 本当なら10冊600円のところを、20冊800円にしてくれるクーポンがあったので、 残り9冊、何を借りようかと調べたら、『極黒のブリュンヒルデ』とか、 『蒼き鋼のアルペジオ』等が、面白そうだったので、それを念頭に出かけました。 しかし、『銀の匙』は全巻揃っていたものの、あとの2作はありませんでした。 そこで、棚を見て回っているところで見つけたのが、この作品。 ちょうど9冊あったので、合計20冊借りて、家に帰ってきました。 家に帰って調べてみると、レビューの評価も良い作品のようです。 ***ジュンは、大学にあまり顔を出さず、本屋でバイトをしている。その時見つけたのが、『週刊 少女のつくり方』。名人形師ローゼンによって作られた「ローゼンメイデン」という、謎と神秘に彩られた、幻の七体のアンティークドールを作ろうというもの。説明の後には「まきますか まきませんか」と記されており、創刊記念特別付録として「薔薇の薇(ぜんまい)」が入っていた。そして、その薇を持ち帰ったジュンのもとに、第2号が送られてくる。その付録は、完成したドールを収納できる鞄と大腿部のパーツ。毎週届くパーツを集めて作ると、ローゼンメイデンが出来上がる。それは、薔薇乙女の中でも一番気高く咲く第5ドール・真紅。ジュンは、人形作りに懸命になるが、途中休刊になったとの知らせが届く。そこには謎のメッセージが入っており、それを読んだ直後、メールが届く。その送信者は、桜田ジュン、中学生だった頃の自分からのメールだった。そのメールで、ジュンは「まかなかった」世界の自分で、送信したのは「まいた」世界の自分だという。そして、次の情報を送ってきた。 ローゼンメイデンは全部で七体。 第一ドール水銀燈(すいぎんとう)、第二ドール金糸雀(カナリア)、 第三ドール翠星石(すいせいせき)、第四ドール蒼星石(そうせいせき)、 第五ドール真紅(しんく)、第六ドール雛苺(ひないちご)、 最後に第七ドール雪華綺晶(キラキショウ)…コイツがクセモノだ。 人形たちは「アリスゲーム」という名のもと戦っていて、 ローザミスティカという お互いの魂のかけら(みたいなもの?)を奪い合ってる。 ただ一人の勝者だけが「アリス」という至高の少女になれる。 人形たちの戦いには、力の媒体になる人間が必要で、一体に一人ずつマスターがつく。 雪華綺晶の策略で、ほとんどのドールとマスターが行動不能に陥ってる。 そしてもう一度、薔薇の契約を結ぶ。 それと今から大事な事を伝えておく。 僕はいま、ちょっとした事情ここで、メールは途絶える。私は最初に本巻を読んだとき、この部分を流し読みしてしまったために、以降、話の流れに全くついていけなくなってしまいました。この部分と、次の部分こそが、本作を理解するために、まず知っておかなければならないこと。 ごめん回線切られた。 こっちとそっちでは体感時間も違うらしい。 時々コマギレになるけれど勘弁しろ。 真紅を呼び戻すには体が必要だ。 真紅の意識が宿るにふさわしい体がな。 でも僕は今、ちょっとした事情で動けない。 だから別の僕に託したんだ。 雪華綺晶に見つからないように人工精霊を使って、お前がやるべき事は3つ。 1.真紅を作れ 2.真紅を起こせ 3.最後は… 借りの器でいい、材質の問題じゃない。誰が作るかなんだ。 真紅を戻せる器が作れるのは僕しかいない、だからお前だ。 できる 僕ならできる。だからお前もできる。できない事なんか何もない。nのフィールドで、雪華綺晶の妨害を受けながらも、真紅を完成させたジュン。そして、薇を巻くと真紅が再起動した。中学生のジュンは、真紅のホーリエ(人工精霊)を救援として送っていた。そのホーリエが、封じ込められた真紅の体から、ローザミスティカを取り出し、ジュンが今回作った仮の器へと運んできたのだった。その後、ジュンの手元に『週刊 新・少女のつくり方』第1号が届く。真紅は、それが雪華綺晶の罠かもしれないと警告する。そして、洗面台の鏡から現れたのは、水銀燈。しかし、「水銀灯は『週刊 新・少女のつくり方』とは別口」だと、真紅は言う。水銀燈は、自分のものと蒼星石のものとの、ふたつのローザミスティカを持っていた。そして真紅は、本当の自分の身体には、雪華綺晶の目を眩ますため、雛苺のローザミスティカが残っているのだと、水銀燈に打ち明ける。そして、あと5日のうちに「まいた世界」に戻らないと、仮の器は消去され、自分のローザミスティカは、行き場を失ってしまうとも。一方、ジュンは、同じ書店でバイトをしている斉藤さんに頼まれ、彼女が所属する劇団の舞台衣装の監督ということで出向くが、結局、大道具を手伝うことに。しかし、バイト先の店長からは、トコトン馬鹿にされる。さらに、真紅から「この世界の今を変えることは、もうできない」と言われてしまう。そんな、ジュンの元に、また、メールが届く。 可能性のない世界なら、作ってしまえばいい。 お前だけの人形があれば、お前も変われるはずだ。そして、ジュンは『週刊 新・少女のつくり方』を手にしたのだった。 ***最初、読んだときは、本当にチンプンカンプンでしたが(斜め読みだったせいですが……)、こうやってまとめてみると、「なるほどな」というお話しでした。それでは、頭の整理がついたところで、第2巻へと進みます。
2014.07.04
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八軒たちのエゾノーでの生活も、はや一年が過ぎようとし、 寮生活も、いよいよ終わりを告げようとしていた。 そしてバレンタインデー、馬術部女子部員からは、男子に義理チョコが。 しかし、大川は就職が決まらず、依田は彼女と別れていた。 その夜、八軒は父に電話し、大学資金を自分に投資してくれるよう頼む。 しかし、ハッキリとした企画もビジョンもない起業などダメだと断られる。 だが、その直後、御影からチョコを受け取った八軒は大喜び。 下宿も御影の父が探してくれた、競馬場の近くに決定したのだった。そして八軒は、出資者を納得させる企画書作りを、多摩子に相談する。そして、そこには吉野も加わることになる。しかし、八軒は多摩子が納得するような企画書が、なかなか書けない。一方、御影と相川は、担任に呼ばれ、畜大推薦を目指すよう指導される。そんなある日、八軒の両親が、下宿の契約日に、学校にやってくる。そして、契約が終わると、父は八軒に、起業はどうなっているのか訪ねる。その時、御影が「もっと八軒君のこと、信じてください」と加勢する。帰りのタクシーの車中、父は母に「本気には本気で返す」と語るのだった。八軒は、多摩子の兄・稲田先輩から「豚の繁殖・飼育 加工・販売プロジェクト」のファイルをもらう。それは、稲田が農ク室からワザワザ借りてきて、コピーしてくれたものだった。農ク室には、先輩たちが残していった研究ファイルの、宝の山があった。 ***さて、今巻の最大の肝は、やはり1年生が退寮するに当たっての校長先生の挨拶。「銀の匙」の意味を、もう一度考えさせられました。でも、駒場が全く登場しなかったのは、とても残念。これで、レンタルしてきた11冊は全て読了。駒場の活躍は、この夏発売予定の12巻以降ということのようです。
2014.07.03
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正月も実家に帰らず、寮で過ごすことにした八軒。 すると、年越しの夜に教員たちが集まってきて、大宴会が始まる。 そして元旦、馬小屋に大川と、搾乳のバイトに雇われた駒場がやってくる。 やがて、教員の家族たちまで集まってきて、餅つきが始まった。 その後、八軒・駒場・大川は、大蝦夷神社に初詣。 そこで三人は、南九条と御影に出会う。 八軒からメールが届いていることに、そこで初めて気付いた御影は、 目の前の八軒に、慌てて返信するのだった。冬休みが終わって、学校の授業が再開。八軒たちは、買い取った三頭の豚を、ソーセージとベーコンにすることに。そして、製品が出来上がると、次はその価格付けに取り組む。一方、大川は、ラクレットオーブンの作製に取りかかっていた。富士先生の発案で、豚ファンドの試食会が催される。御影は、駒場を、この催しに誘うが、駒場は「今日も仕事」と返信する。試食会は大盛況で、西川は、食品科池田を手懐けることに成功。それを見て、益々落ち込む大川。そして、いよいよ製品の販売日。エゾノーのブランド力と、西川の作ったラベルの力で、ソーセージは完売。そして、八軒は次なるプロジェクトを提案し、仲間たちの賛同を得る。そこへ現れたのは、八軒の兄と嫁・アレクサンドラ。兄は、インターネット家庭教師をして、ラーメン屋の資金を貯めていた。そして、兄はインターネット家庭教師にも、やりがいを感じているのだった。後日、駒場は、妹たちと御影に謀られ、氷まつりに誘い出される。そこで、駒場は、かつての学友たちも再会した後、一人立ち去るのだった。 ***そして、やっぱり今巻で一番気になったのは、最後のページ。「ぼちぼち 肩、暖めておくか」この駒場の言葉は、何を意味するのか?早速、次巻を読み始めます!
2014.07.03
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大蝦夷畜産大入学に向けて猛勉強を開始した御影。 そのサポートをするため、兄の大学受験対策ノートを実家に取りに帰る八軒。 時間つぶしに寄った書店では、偶然、中学時代の友人たちと出会う。 そして頃合いを見て、実家に行くと、そこには、まだ両親がいた。 昼食を食べながら、御影に勉強を教えようとしていると語る八軒に、 父は「勉強で脱落した人間が、人に勉強を教えるというのか?」と問う。 それに対し、「一度失敗した人間は、何もしちゃいけないのか?」 「一度の”ダメ”で、全部がダメになるのか?」と問い返す八軒。後日、八軒の母が、八軒の様子を見に、初めて学校にやって来る。そこで、八軒の先生や友人たちと出会い、御影とも対面する。母は、皆と共に食卓を囲み、友人たちと会話する八軒を驚きの目で見詰める。そして、別れ際、八軒に「もう、嘘はつかない」と約束するのだった。そして、また後日、八軒は、飼育から食べるまでの全工程を経験することに。それは、飼育・解体・加工・販売・食べる、までのワンセット。そして、獣医を目指す相川や、御影、友人たちと大蝦夷畜産大に、自分が世話をし、「ベーコン」と名付けたブタの解体を観に行ったのだった。八軒の兄の大学受験対策ノートに従い、勉強を進めた御影は、後期中間考査の国語で、成績をアップさせることに成功する。一方、八軒の元に兄から「正月、実家帰んの?」との電話がかかってくる。そして、その電話の中で、兄がロシア人の女性と結婚したと知らされたのだった。試験後、寮の共用パソコンが、ウイルスに感染するという事件が起こり、そのために、男子はクリスマス会に参加できなくなってしまう。それでも、八軒は、御影からクリスマスプレゼントをもらうのだが、それは、ばんえい競馬現役最強馬の蹄鉄だった。
2014.07.03
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中嶋先生のチーズ作りを手伝い、 この前、出産の手伝いをした小牛の名付け親となった八軒。 そして、突如現れた南九条から、駒場牧場が離農すると聞かされる。 翌日、駒場が現れると予測した八軒は、授業を抜け出し、寮で待つことに。 そして、駒場から、御影家が駒場家の借金の保証人になっていると聞く。 駒場牧場の牛たちが売られていくところに立ち会う八軒と御影。 そして、駒場と一緒に、牛たちのいなくなった牛舎を掃除する。 その後、駒場は原付に乗って、バイトの面接に出かけたのだった。駒場牧場の離農は、保証人である御影家にも影響を及ぼし、御影の祖父は、所有している馬を全て売ると言い出す。そこで、御影は家族に、初めて自分は御影牧場を継がず、高校を卒業後は、馬を扱う仕事に就きたいと打ち明ける。そして、出来れば、ばんえい競馬の裏方で働きたいと、叔父に願い出るが、本気なら「大学に行くこと」という条件を突きつけられる。そして、御影は大蝦夷畜産大学を目指すことに。その勉強のサポート役を八軒は、家族の前で買って出る。 ***いよいよ、今巻から、このお話の核心部に迫ってきたという感じです。なぜ、この作品のタイトルが『銀の匙』なのかが、少し分かった気がしました。
2014.07.03
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エゾノー祭での馬術部の企画は大好評。 一方、八軒が入院している病院にやってきた父は、 勇吾と担任の桜木に否定的な言葉を残して、立ち去る。 そして、兄・慎吾も、母とは言葉を交わすが、父を見ると早々に逃げ出す。 八軒は、母とメガネの修理にタクシーで出かけるが、 車中で、ベーコンのメールの件について話が及ぶと、 一人、途中で下車してしまうのだった。 その後、八軒が学校に着くと、エゾノー祭は既に終わっていた。部室の中で、御影からエゾノー祭の様子を聞き、感想ノートを見せてもらう八軒。その後の打ち上げの席では、先輩たちが、御影の変化について、語り合っていた。また、八軒のケータイには、多数のの着歴とメールが残っていた。さらに、八軒は御影から、二人で遊びに行くことについて、再確認したのだった。馬術部の練習がなくなった午後、八軒と御影は、二人で大蝦夷神社に出かける。しかし、そこには、たくさんの顔見知りがいた。そして、二人とも、絵馬に「野球部が優勝しますように」と書いたのだった。八軒がトラクターの運転練習をしている頃、駒場は勝利を積み重ねていく。そして、全道大会準決勝の日、八軒は牛の出産に二度もかり出される。それを終え、TVで駒場の投球を見守ることはできたものの、あと一人抑えれば、勝利というところで、ライトがタイムリーエラーをして逆転負け。そして、その翌日から、駒場は二度と教室に戻ってこなかった。果たして、駒場はどこへ行ってしまったのだろうか?そして、あの時の、御影の涙は、そのことと関係があるのだろうか?
2014.07.02
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馬術部の一年生にとってデビュー戦となる秋季大会。 そこに現れたのが、地元農協の組合長の娘・南九条あやめ。 彼女は御影と同じ中学出身で、エゾノー推薦に落ち、清水西校に入学、 そして、異常なまでに、御影をライバル視していた。 ジムカーナで、南九条は最下位、八軒は7位、同級生の栄が優勝。 小障害飛越Cで、南九条は失権、八軒は落馬しかかるも4位に入るが、 表彰台に上れず、悔しさがこみ上げてくる。 続く小障害飛越Bで、御影はマロンに乗り換え、3位に入る。エゾノー祭に向け、やらねばならないことが多すぎる八軒。そして、馬術部が使用する場内チェックをしていた時、御影と出会い、エゾノー祭が終わったら、二人で遊びに行こうと誘い、OKをもらう。だが、御影は、その意味合いを、女友達に説明されて、初めて気付く始末……。エゾノー祭当日、副部長の散歩に出かけた八軒は、過労で遂に倒れてしまう。そして、八軒が入院している病院にやってきたのは、父だった。何やら深い問題・溝がありそうなこの二人。この後の展開は、どうなるのか?
2014.07.02
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八軒は、校内ゴミ拾いで犬を拾い、学校で飼うことに。 その犬は、副部長と呼ばれ、みんなからかわいがられる。 一方、駒場は、仲間たちが観戦する中、秋期高校野球大会で2度目の勝利。 実習中、牛が転けた際には、八軒が駒場を庇い、自分がケガをすることも。 その後、野球部は勝ち進み、全道大会に駒を進める。 逆に、八軒はマロン(馬)で、障害を跳べずに悩む。 そんな八軒を、御影は、自分がお世話になっている乗馬クラブへと誘う。 そこで、出会った人たちから、彼は、人と馬との関係について再考させられる。そして馬術部での練習中、御影の一声で、八軒を乗せたマロンは、障害を高く跳び越える。一方、エゾノー祭で、馬術部は、競技形式の馬術と「輓馬(ばんば)」を披露することに。校内に3haの土地と馬そりを確保し、農場に輓馬のコースを、多数の協力者を得て作りあげる。しかし、「断れない男」の八軒は、収拾のつかない状況に追い込まれてしまうのだった。
2014.07.02
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八軒が買った「豚丼」の精肉は51kgで、25,296円。 まずは、豚丼にして食し、あとはベーコンに。 八軒は、その下ごしらえを一人でこなして、燻製。 出来上がったベーコンを御影家と駒場家に、お礼として送ることにする。 そこに現れた兄・慎吾は、それを札幌の自宅にも送っておけと言う。 「お前の本気を見せてやれっての。」と。 秋になり、3年生引退後、馬術部副部長になった八軒に、母からのメール。 『お父さんにたべてもらったら「おいしい」って言ってましたよ。』そしてある日、八軒は、駒場と何やら話をしている御影の目に涙が流れているのを目撃し、その後も、馬術部でミスをするなど、様子がおかしい御影が、気になって仕方がない。一方、秋期高校野球大会で、完封勝ちを収めた駒場。そして、「落ちた蹄鉄を拾うと幸運になれる」と御影に教えてもらった八軒。 ***今巻は、「夏の巻」と「秋の巻」の間に、「夏の思い出」前編と後編がありました。まぁ、スピンオフ的なお話しで、本筋とは、ほぼ関係のない内容です。そして、私が本巻で一番印象に残ったのは、校長先生が八軒に言った次の言葉。 苦しくても、うまく本音を吐き出せない子もいるから、 そういう子に気付いたら、力になってあげてください。 逃げた事を卑下しないで、それをプラスに変えてこそ、 逃げた甲斐があるというものです。(p.163)何か、今の自分には、とっても響きました。
2014.07.02
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御影は、本当は馬関係の仕事に就きたかった。 八軒が、そのことを聞いた夜、御影の父が退院し、家に戻ってくる。 そして翌朝、町営牧場の牛が大量脱走し、御影の家の牛と混ざってしまう。 その時、バイクに乗った男が現れ、牛たちを運動場に追い込んでくれた。 その男は、八軒の兄・慎吾で、東大を辞めて、ラーメン屋に弟子入りしていた。 慎吾は、弟の無事を母親に電話で伝えるが、途中で替わった父にはいい加減な返事。 ところが、慎吾が御影の家つくったラーメンは、激不味……。 そして、翌日には、バイクで旅立ったのだった。ある日、八軒のミスでパイプがはずれ、搾乳した牛乳が、全部こぼれてしまう。落ち込んだ八軒は、バイト代は受け取れないと断るが、御影の曾祖母の一言で、受け取ることになった。八軒は、そのバイト代で、成長した「豚丼」の肉を購入することになる。 ※ 「豚丼」は、学校で飼育している豚の一頭に、まだ小さかった頃、八軒が付けた名前。 ***今巻は、八軒家の内情が垣間見えた。さて、届いた「豚丼」を、八軒はどうするのか?それでは、次巻へと移ります。
2014.07.02
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さて今巻は、ゴミの山の中から出てきた竈を使ってピザ作り。 八軒は、色んな生徒や先生たちの協力を得て、大成功に導く。 続いては、大蝦夷工業高校との交流戦。 だが実際は、終了後のジンギスカン・パーティーがメイン。 そして夏休みは、御影の家で住み込みのバイトをすることに。 八軒は、母親から来たメールに返信するため、御影の家の隣りにあるという 同級生の駒場の家を訪ねようとするが、 途中で道に迷ってしまい、結局、駒場に救われる。駒場の家では、20~30頭の牛を、母親が一人で世話し、駒場と小さな妹二人が、それを手伝っていた。そして、そこに迎えに来た御影の祖父に、鹿の解体作業を命じられ、何とか、やり遂げることに成功する。後日、八軒は、御影とその母と共に、同級生のタマコの家が経営するギガファームの見学に出かける。そこは、牧草地だけで300ha以上、乳牛800頭を、4件の農家と従業員十数名でやっていた。そして、八軒は、ここで牛の出産に立ち会うことになったのだった。 ***本巻では、農家と一口に言っても、経営規模も経営者の理念も、それぞれに、随分違いがあるいうことが、良く伝わってきた。それでは、次巻の読書に移ります!
2014.07.02
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『鋼練』の作者が、こんなの描いてんだと思ってたら、 映画化されて、TVで宣伝しまくってたから、どんなお話しかは大凡知ってました。 でも、実際に、この作品を手にとるのは始めて。 既刊のものを、レンタルしてきたので、一気に読み進めていきます! 進学校・新札幌中から大蝦夷農業高・酪農科に入学した八軒勇吾。 周囲の級友たちは、実家が農業を経営していたり、明確な将来の夢を持って 推薦で入学してきたものが多い中、彼は一般受験で入学し、 特にこれと言った夢や目的もないのだった(成績には拘っているが)。八軒は、同級生の御影アキに誘われ、馬術部に入部するが、ある日、彼女と共に、ばんえい競馬を観に行くことに。そのシーンで描かれた馬の躍動感は素晴らしく、流石に『鋼練』の作者。そんな学校生活の中で、八軒は「命」というものに向き合っていくことになる。さて、本巻の最後のシーンは、燃えるゴミが……それでは、次巻の読書へと進みます。
2014.07.02
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東京を訪れた天野とテツオは、バーで山科と丸部に遭遇し、 テツオは丸部と相席することになってしまう。 翌日、丸部と沙都子は、酒井不変木に会うが、その正体は坂井浦子という女性で、 沙都子の実の母親だった(多数の男と関係していたため実の父親は誰か不明)。 彼女は元共産党員で、特高警察から逃れるため、沙都子を兄夫婦に預けたのだが、 阪神大水害で連絡が取れなくなっていたという。 しかし、それで、なぜ丸部が、沙都子を見つけ出し、養女に出来たのかは不明。 ただ、丸部が沙都子に対し、卑猥な行為を続けていたことは、明らかになった。坂井浦子は、仲間たちと共に北朝鮮と連絡を取り、理想郷をつくろうとしていた。そして、その活動資金を得るために幽霊塔の財宝を狙っていた。また、その財宝を得るためのカギとなるスカラベを所持していた。一方、山科は、坂井浦子が越後屋伊兵衛の子孫ではないかと推測する。浦子の家に留まった沙都子はスパイと疑われ、浦子の仲間の男に拉致されかかる。その危機を救ったのは丸部で、沙都子にスカラベと小箱を手に入れるよう命じる。その後、浦子の家に天野とテツオも乗り込み、沙都子と合流する。そして、そこで浦子の仲間たちが次々に殺されていき、浦子も命を奪われる。浦子の家で、死番虫と対峙することになったテツオ。死番虫は、テツオが藤宮麗子であることを知っており、「俺を人殺しにしたのは、……お前だ。」と言い放つ。そして、謎の言葉「ママ。」の言葉を残し、逃げ去ったのだった。浦子の仲間の生き残り・文は、天野、テツオ、沙都子に銃口を向け、土蔵の壁に埋めこんであったスカラベの小箱を見せ、スカラベを渡せと要求する。土蔵に向かう一行を待ち伏せていたのは死番虫。そこで、文と死番虫の対決となるが、死番虫は小箱を手に入れると、土蔵に鍵をかけ立ち去る。土蔵に残された4人だが、天野が銃を見つけると、文がテツオを人質に銃を渡せと要求する。そこに、死番虫が戻ってきて、再び文との対決となる。最初は、文が優勢だったが、死番虫がマスクを取ると形勢は逆転し、文は逃げ去る。死番虫は、テツオを助け、翌日には、二人だけで会いたいと手紙をよこしてきたのだった。二人で会話を交わすテツオと死番虫。そこで、死番虫は、女性記者と、地下迷宮の女と、本城志郎を、素顔を晒し殺したことを認める。そして、テツオだけが死番虫の孤独を理解でき、死番虫だけがテツオを受け入れられると言う。しかし、テツオは、自分には天野がいると言うが、死番虫は、そうでないと証明してやるという。一方、丸部は天野に、テツオが麗子であることを知っているとを告げ、麗子から時計塔の動かし方を一週間以内に聞き出すよう指示する。そして、それを果たせば、天野を逃がし、女性記者殺しの真犯人も教えてやると言う。さらに、テツオも見逃してやると言われた天野は、丸部の指示に従うことにする。その後、神戸に戻った天野とテツオ、沙都子は、夜、幽霊塔に行く。そこで、幽霊塔の秘密を明かしていくテツオ。そして、天野にだけ、スカラベの使い方を教え、テツオがかつて行動を共にし、幽霊塔の罠にかかって死んだ菊川秀夫の死体を見せる。そして、再び三人が揃ったところに現れたのは丸部だった。丸部はテツオに、知っている情報を全て教えろと言う。そうすれば、捜査に便宜を図ってやるとも。しかし、それに応じなかったテツオたちは、幽霊塔内で丸部と一緒に住むことになったのだった。 ***さて、前巻の記事の最後に書いた私の6つの疑問のうち、最後の6番目の疑問だけが、今巻で明らかになった。しかし、沙都子については、本当の父親と、浦子が預けた兄夫婦がどうなったか不明だ。まだまだ、謎が多い。
2014.07.01
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仕事の関係で、『卒業式まで死にません』や 『生きちゃってるし、死なないし』や『完全自殺マニュアル』を読んでいた頃、 関連する薬剤を調べるために、辞書的意味合いで購入した一冊。 なので、購入当時は、時々索引を使いながら、薬剤について調べていた。 というわけで、本著は、我が家の本棚にずっと並んでいたのだが、 今回は、全く別の理由で、本棚にあった本著を手にすることになった。 そして、最初から最後まで読み切った。 そこには、私が今まで知らなかったことが、本当にたくさん書かれていた。私は、最近「うつ」に関する本を、多数読み続けているが、それらは、体験記を含めて、うつになる前はどんな状況だったとか、うつになったときは、こんな感じだったとかは、詳しく書かれているものの、治療を始めて以降の様子については、実は、あまり書かれていないことが多かった。もちろん、治療には色々な方法があるわけで、認知療法などもその一つだが、精神科のお世話になった場合、やはり、その中心は薬剤の使用ということになる。私が、これまでに読んだものでは、『うつ病治療常識が変わる』が、「心理療法」や「先進医療」についても触れながら、薬剤にスポットを当てた内容であった。 ***本著は、索引部を除いても440ページ超のボリュームのある一冊である。全11セクション、30項目に渡って、精神科で使用される薬剤について説明している。薬品や脳の伝達物質等、様々な名称が、至るところで頻出するが、化学が苦手で、もともとカタカナがスッと頭の中に入ってこない私には、骨の折れる読書だった。それでも、読み進めるうちには、多少慣れてきたものの、読了までには随分時間がかかった。専門医の方たちは、本著のようなものは、当然の如く、スラスラと読んできているのだろうか?あまりにも膨大な量の知見が掲載されており、それらを全て、ここで紹介するのは無理である。ただ、私が本著を読み終えて、最終的に最も印象に残ったのは、次の2点だ。 薬物による治療の場合、リスクをとらない治療などありはしない。 絶対に安全な薬などなく、 治療とはリスクとメリットを秤にかけることだと言っていい。(p.396) 公表される臨床試験結果の中味についても、 都合のよいデータだけが製薬会社によって選ばれて、 好ましくないデータははずされる。 あるいは不都合を最小限に抑えるよう調節される実態が近年明らかになった。 しかも、製薬会社にとって医療全般にわたる重要な臨床試験のほとんどすべてが、 昨今はゴーストライターによって書かれている。(中略) 以上を考え合わせると、私たちがいま住んでいるこの世界は、 製薬会社がゴーストライターに書かせた論文を、 その分野の最重要人物の名前で一流紙に載せることでその薬を売り込む世界、 学会では教授たちに同業者に向かって講演してもらい、 次いで地域の医師たちには他のヘルスケアの専門家に向かって話してもらうことで 薬が売れていく世界なのである。(p.434)
2014.07.01
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