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柿の花土塀の上にこぼれけり 正岡子規
2012.06.28

「仲間を捜せ。もっと強くなれるぞ」「君の助けがいるんだ」「お前なら大丈夫。仲間を捜せるさ。お前には想像もつかない力がある」「・・・ヘンリー」若かりし頃は誰もが抱く、自分に内在した特殊性。“オレはアイツとは違う”“世間のヤツらみたいに単純じゃないんだ”的な自我の目覚め。それが大人になるにつれ、たいていの人は丸くなっていく。この作品でも、他人とは違った状況にある少年たちが、自分は今何をするべきなのか、何をしたら良いのかに気付き始め、少しずつ大人への階段を上って行くというストーリーになっている。端的に言ってしまえば、青春サクセスストーリーにSFがリンクしているような感じだ。 宇宙のどこかで侵略戦争が起こって、その星の生き残りの一人がナンバー4なのだが、地球という第二の故郷で青春を謳歌する。だが侵略者たちは、その生き残りたちを逃がすことなくどこまでも追って来る。戦々恐々として、ナンバー4とその父親(守護者)は身を隠し続ける。このようなストーリー展開は、正直なところ常にありがちで、斬新さには程遠い。メインが若手の役者さんばかりということもあり、演技力にも期待が持てず、残念な仕上がりだ。惑星ロリアンを侵略され、地球に逃亡して来たジョン(ナンバー4)とその父親ヘンリーは、オハイオ州の片田舎で暮らすことにする。侵略者たちから常に命を狙われ続けるジョンだが、普通の高校生として通学したくてたまらない。どうにかヘンリーを説き伏せ、高校に通い始めるが、そこで感性の豊かな少女サラと出会う。ジョンはサラに惹かれ、好きになり始める。同時に、ジョンは自分自身が普通の人とは違った特殊な能力を持っていることに気付く。 それは、両手から青白い光を放つ、レガシーというパワーだった。必死な演技で意気込む主役のアレックス・ペティファーだが、むしろヒロインのサラ役ダイアナ・アグロンの方が魅力的だった。カメラで人物を撮影するのが趣味の、感性豊かな少女というキャラだが、なかなかのキュートでチャーミングな印象を受けた。さらに、ナンバー4の守護者ヘンリー役のティモシー・オリファントも、若いキャスティングの中にあって、さすがに堂々とした演技が際立っていた。日本でも一応劇場公開されているようだが、あまり話題にはのぼらなかったような気がする。興行的にはどうだったのかしら?吟遊映人の個人的な感想で恐縮だが、全体的には可もなく不可もなくと言ったところだろう。2011年公開【監督】D.J.カルーソー 【出演】アレックス・ペティファー、ダイアナ・アグロン、ティモシー・オリファントまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2012.06.24

幽界の夢でも見てゐるやうな、青白い微笑を眼尻にもってゐる。 薄田泣菫(すすきだきゅうきん)
2012.06.23

「金は戻って来た時に(渡す)。約束する。」「約束? 戻らなかったら?」「たまには信用しろ。」(中略)「そう、あんたは約束を守る男だよ、将軍。名誉を尊び・・・ローマのため、先祖のために死ぬ。だがこのおれは・・・興行師だ。」日本の戦国時代に興味を抱いた監督なのか、合戦の場面で斬首するシーンが多く出て来た。さらに、目上の人に恭しく頭を下げる礼儀などは、正に日本流だった。大将が全軍を指揮してその采配を揮う場面や、陣形を守りつつ攻撃をしかけて行く様など、日本の武将たちが練った戦術・兵法を彷彿とさせた。主役を演じたラッセル・クロウは、この作品においてオスカーを獲得し、大ブレイクを果たした。役どころは荒い気性とあたたかみのある人物像が同居した孤高の将軍役。合戦ではバッサバッサと敵を倒していく勇猛果敢な武将でありながら、一たび鎧を脱ぐと、故郷に残して来た妻子を思い出しこよなく家族を愛おしむ一人の男性なのだ。耳の下からアゴにかけて粗野に生える髭は、大地の香りを残した男の生き様のようで、ラッセル・クロウにとてもよく似合っていた。思わずその感触を確かめ、痛みを伴う、程好い心地良さに心酔してみたくなってしまった。ローマ帝国軍の将軍であるマキシマスは、ゲルマニア遠征にあってゲルマン民族と攻防をくり広げていた。これ以上の戦いは無益と感じ、使者を通じて降伏を勧告するも、斬首された使者の胴体を乗せた馬が空しく戻って来た。ゲルマン人に降伏の意思なしと捉えたマキシマスは、全軍に総攻撃の命令を下す。そしてローマ帝国軍は、見事な勝利をおさめるのであった。アウレリウス帝を亡き者にしたその息子コンモドゥス皇子役を演じた、ホアキン・フェニックスは実に良かった。彼は、若くして亡くなったリバー・フェニックスの実弟であるが、兄の名に恥じない、いやそれ以上の名俳優だ。芝居には何が必要で、観客から何を求められるのかを十二分に心得た人物である。徹底的に憎まれ役として、それでいて哀愁を帯びたこの役どころを見事に演じきっていたホアキン・フェニックスは、名脇役でもある。このような役者陣を惜しみなく揃え、無駄のないストーリー展開と広大で悠久の歴史を感じさせる映像美は、実にすばらしかった。最初から最後まで夢中になって堪能できる、歴史大作なのだ。2000年公開【監督】リドリー・スコット【出演】ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2012.06.14

空青しさゝ波濁る早苗舟 正岡子規早苗舟今は田植機にかわりけり。
2012.06.12

「記憶を失うんだ・・・ブラックアウトだ。時々だが不安なんだ。会話を避け、ただ食うだけ。ベッドから出るのもキツイんだ。ただ壁を見つめるだけ。何もする気になれん・・・何もだよ」「“燃え尽き(症候群)”だ」「何?」「脳が疲れてるんだ。2日も休めば回復する」率直な感想を言ってしまうと、決して一流の作品ではない。もちろん、B級というほどではないけれど。主人公のトム・ブラント刑事に扮したジェイソン・ステイサムは、その出で立ちや雰囲気からして、粗野で凶暴なキャラクターを演じるのはかなりムリがあるような気がする。ジェイソン・ステイサムの持ち味を生かすには、何と言ってもスタイリッシュでクールなキャラだろう。そういう演出の方がもっとずっと効果的だったろうに。ストーリーの流れとしてたまらなく気になったのは、自他ともに認めるゲイのナッシュの自宅に出向き、ブラントの抱える悩みを打ち明けるシーンだ。ゲイであることを理由に蔑視していたブラントが、一体どんな成り行きで心を開くきっかけになったのか分からないし、ブラックアウトという深刻な悩みをサラリと片付けているようで、この展開はキビシイ。脚本がもう少し丁寧で、膨らみのある会話を用意していれば、あるいは違和感もそれほど感じなかったかもしれないが。凶暴なほど熱血漢のトム・ブラント刑事は、夜の街角で車上荒しをしている3人の少年たちを、袋叩きにしてしまう。行き過ぎたブラントの行為をマスコミが非難したため、上司からも警告を受けたところ、ブラントは一向に聞く耳を持たない。一方、ブラントの所属する警察署に、西ロンドン警察からナッシュが異動して来るが、ゲイであるナッシュには風当たりが強く、決して良い環境ではなかったが、管内では警察官殺しが続き、騒然としていて一刻の猶予もない。そんな中、犯人は、新聞記者のダンロップに電話し、自らがブリッツであることを名乗り、一連の事件は自分の犯行であることを告げた。犯人の異常性を誇張するため、“犬を生きたまま燃やす”とか“ホルマリン漬けにしたマイケル・ジャクソンの便を飾る”などの猟奇的な行為は効果的だった。また、ジェイソン・ステイサムが自然体で車の運転をするシーンがカッコイイ。きっと日常生活でもハンドルを握るのが好きな人なんだろうと思う。気取っていなくて、余裕さえ感じられる表情が印象的だ。この作品は、ジェイソン・ステイサムが好きな人、ファンにはおすすめしたい映画だ。 2011年公開【監督】エリオット・レスター【出演】ジェイソン・ステイサムまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2012.06.10

山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 ~草枕~ 夏目漱石
2012.06.09

『前進』刻苦と艱難としぼり出す力は強い何の恐怖もなく前進するばかりだ 関口江畔
2012.06.08

「今の世の中は大げさな涙とパフォーマンスの時代。私はそれが苦手なの。感情は自分の中で抑える。私は愚かにも信じてたの。“人々はそういう女王を求めているのだ”と。“務めが第一、自分は二の次”そう育てられ・・・そう信じてきた。」「(あなたは)お若くして即位なさった。」「そう。(まだ)子供でした。でも世界は変わった。新しい時代に・・・合わせねば。」 今年はエリザベス女王、即位60周年の年に当たる。25歳という若さで、しかも女性というお立場で想像を絶するような重責を担ったのだから、長年のご苦労たるやいかばかりか、計り知れない。1997年8月、パリでダイアナが交通事故死。チャールズ皇太子と離婚成立後の王室にとって、すでに民間人となっていたダイアナとは、本来関係のないことであった。バッキンガム宮殿の正門前に、ところ狭しと並べられた花束の数々。その花に添えられたカードには、どれも王室への辛辣なまでの言葉が並べられていた。 そんな中、エリザベス女王が公人としてコメントする必要はないはずだが、国民のダイアナ人気に押されて、弔意を発表する。つくづく感じたのは、大衆を敵にすることの怖さである。女王は、伝統と格式を重んじるあまり、世論を受け入れようとはしなかった。その結果、当時の意識調査では国民の4人に1人が王制廃止を支持する動きまで・・・。 おそるべきは、煽り立てるマスコミの過熱報道とそれに踊らされる民衆。主演のヘレン・ミレンは素晴らしかった。エリザベス女王ががに股歩きをすることは、ヘレン・ミレンの演技で初めて知ることができた。また、流暢で品格のあるイギリス英語も堪能できた。いまだ健在の人物たちを、ここまでオープンに作品として描くことができたのは、やはりイギリスというお国柄なのか、それだけに開かれた王室であるということなのか。いずれにしても実在の登場人物に酷似したキャスティング、演技力、宮殿内のバロック様式の美術、どれも目を見張るものがあった。エリザベス女王のお父上であられるジョージ6世をモデルにした『英国王のスピーチ』も、実にすばらしかった。 吃音症に苦悩するヨーク公(ジョージ6世)が、人生の友(師)との出会いにより、内在する優れた資質を開花させるまでを描いたものだ。 やんごとなき血筋の、帝王学を施された者にのみ与えられる、威厳と優雅にして気品のある態度に驚かされる。 『クィーン』とともに、併せてご覧いただきたい。英国王のスピーチはコチラまで(^^) 2006年(英)、2007年(日)公開【監督】スティーヴン・フリアーズ【出演】ヘレン・ミレンまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2012.06.07

『八十八年の人生』わかったようなわからないような此処まで八十八年の人生晴れたり曇ったり今日只今もわかったようなわからないような人生を辿りつつ今はただ此の世の一切を肯定し過去の一切を懺悔して合掌する 関口江畔
2012.06.06

「ヤツは雇い主の白人妻と浮気してた。湿地で見つかった骨は、ヤツのだと思う」「名前は?」「気にしてどうする? 自業自得さ。過去は過去なんだ。掘り返すな」この作品の感想を語るにあたり、少し視点を変えてみた。というのも、この映画はフランス人監督による、アメリカ映画となっているからだ。例えるなら、日本の武士道にあこがれる外国人監督が、独自の世界観でサムライを表現するのにも似ているかもしれない。つまり、古き良きアメリカ、自由の国アメリカを憧憬するフランス人監督が描くアメリカ映画なのだ。そのせいか全体的にテンポは穏やかで、牧歌的なムードに包まれている。陰惨な連続殺人事件を捜査する、というストーリーでありながら、だ。もともとハード・ボイルド小説が原作にあるようなので、惚れたはれたの色恋沙汰は皆無だが、南北戦争時代の老兵の幽霊が出現したりで、ある意味ファンタジーな色合いも感じられる。森の中で19歳の少女の惨殺死体が発見された。地元の警察官であり、また、釣具店と貸しボート屋のオーナーでもあるデイヴ・ロビショーは、やりきれない気持ちになる。被害者チェリー・ルブランが売春していたことから、あるいはビジネスの絡んだ殺人ではないかと疑い、たてまえ上、映画プロデューサーであるバルボーニを聴取する。一方、ロビショーが街を巡回していると、赤いスポーツカーが危険極まりない運転で走行していた。運転していたのは、俳優エルロッド・サイクスで、助手席にはその恋人ケリー。サイクスはドラッグと飲酒で朦朧状態。すぐに運転を止めさせ、連行することに。だがサイクスは、撮影中に湖で鎖のついた人骨を見つけたと、出し抜けに話し出すのだった。この作品で評価できるのは、なんと言ってもキャラクター設定のおもしろさだろう。ロビショーは警部でありながら釣具店や貸しボートの店までやっている。トミー・リー・ジョーンズが、飄々としていて妥協を許さずハードで味わいのある男ロビショーを好演。脇をピーター・サースガードやジョン・グッドマンががっちり固めていて、演技には申し分なし。派手なアクションはなく、謎解き犯人捜しのおもしろさもない。だが、フランス人監督の描く、どこかノアール風で哲学的な印象の残るアメリカ映画なのだ。2009年(米)(仏)公開 ※日本では劇場未公開【監督】ベルトラン・ダヴェルニエ 【出演】トミー・リー・ジョーンズ、ピーター・サースガード、ジョン・グッドマン
2012.06.03
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