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アメリカは軍事力や経済力を使い、中国を封じ込めて破壊しようとしている。沖縄をはじめとする日本列島のアメリカ軍基地がそうした戦略の中で重要な役割を果たしていることは言うまでもない。 その政策を実行するため、アメリカは「同盟国」も巻き込もうとしている。例えば、日本、ベトナム、フィリピンを中核とする東アジア版のNATOをアメリカは考え、そこへ韓国、インド、オーストラリアを結びつけようとした。ここにきてイギリス、フランス、カナダと言った国々も南シナ海で軍事的な活動を始めている。 アメリカは日本と安全保障条約、オーストラリアやニュージーランドとはANZUS条約を結んでいるが、太平洋地域の軍事的な同盟を強化しようということだろう。その基盤にはイギリスで20世紀初頭以前に唱えられた戦略がある。 現在、日本の軍事力増強は世界的な話題になっている。例えば、地上配備型イージスシステム「イージス・アショア」配備、艦首から艦尾まで平らな「全通甲板」を有し、その外観がアメリカ海軍の強襲揚陸艦「アメリカ」を連想させる「いずも」と「かが」の就航、それと連動したMV22オスプレイやF-35Bの購入などだ。 2019年度から23年度の中期防衛力整備計画(中期防)は総額で27兆円台になると言われ、高額低性能の戦闘機、F-35A/Bを100機購入する方針だともいうが、それ以上に注目されているのは日本の海兵隊とも言われているARDB(水陸機動団)の創設だろう。 このARDBは今年(2018年)3月に創設された陸上総隊の直轄部隊で、本部は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に設置されるという。この部隊の創設に合わせて「いずも」や「かが」は建造されたように見える。 日本政府は12月14日、沖縄県名護市辺野古のアメリカ軍キャンプ・シュワブ南側の沿岸部に土砂を投入し始め、「新基地建設」を本格化させようとしている。この基地建設で普天間飛行場が返還されると考えるのは楽観的すぎる。この新基地建設も軍事力増強の一環だろうが、この建設問題の陰で日本の軍事力増強は急ピッチで進められていた。 新基地の建設が明らかにされたのは1996年4月のこと。当時の橋本龍太郎首相とウォルター・モンデール駐日米大使が「普天間基地の返還合意」を発表したのだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、その前年、つまり1995年に日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込む報告書が発表されている。国防次官補だったジョセイフ・ナイが作成した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」だ。この報告は国連中心主義の立場を放棄し、アメリカの単独行動を容認するように求めている。 ナイ・レポートが発表された直前から直後にかけて、日本政府を揺さぶる事件が立て続けに引き起こされている。1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれた事件(松本サリン事件)、95年3月20日には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布されるという事件(地下鉄サリン事件)、同じ月の30日には警察庁長官だった國松孝次が狙撃され、重傷を負った。 さらに、1995年8月27日付けのスターズ・アンド・ストライプ紙(アメリカ軍の準機関紙)には、1985年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。その当時、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C-130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づいている。記事の内容は割愛するが、自衛隊の責任を示唆するものだった。 1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへがっちり組み込まれていくが、ナイ・レポートのベースはアメリカ国防総省が1992年2月に作成されたDPG草案、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリン。当時、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、こう呼ばれている。 その頃の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ。副大統領のリチャード・チェイニーやウォルフォウィッツは戦争ビジネスとも結びついたネオコンで、好戦的だった。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成される直前の1991年12月にソ連は消滅、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと信じ、潜在的なライバルを潰しにかかる。西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアなどだ。 ソ連消滅後のボリス・エリツィンが君臨するロシアはウォール街やシティの属国。最も警戒すべき潜在的ライバルは中国だと考え、東アジア重視が主張された。 力の源泉でもあるエネルギー資源を支配するため、中東やアフリカなどの国々もターゲットになる。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ドクトリンが作成される前年、ウォルフォウィッツ次官はイラク、シリア、イランを殲滅するとしていた。(3月、10月) このウォルフォウィッツ・ドクトリンは21世紀に入ってロシアが再独立したことから破綻しているのだが、ネオコンは一度作成された予定表を変更しそうにない。 2014年にネオコンがウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させるとロシアと中国は接近、戦略的な同盟関係を結んだ。それでもネオコンは一度作成された予定表を変更しそうにない。 アメリカ支配層は核戦争でロシアや中国を脅しているが、この両国が脅しに屈するとは思えない。それでも脅しをエスカレートさせていけば、どこかの時点で戦争になる。そのときのための準備を日本政府は進めている。
2018.12.31
マイケル・フリン中将が局長になった翌月の2012年8月、DIAはホワイトハウスへシリア情勢に関する報告書を提出している。その中でDIAは穏健派の存在を事実上、否定した。 つまり、シリアで政府軍と戦っているのはサラフィ主義者、ムスリム同胞団、アル・カイダ系のアル・ヌスラ(報告書はAQIと同じと指摘している)だというのだ。 報告書はさらに、オバマ政権が反政府軍を支援し続けるなら、東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告していた。この警告はダーイッシュという形で2014年に現実となり、それが理由でフリンは解任された。 売り出された直後のダーイッシュは残虐さをアピール、それを根拠にしてオバマ政権はシリアに対する一方的な空爆を始めた。侵略行為以外の何物でもない。 リビアでは地上のアル・カイダ系武装集団LIFGとNATO軍の空爆でムアンマル・アル・カダフィ体制を崩壊させた。オバマ政権はシリアも同じパターンに持ち込もうとしたのだろう。その前にアメリカ政府は化学兵器話をでっち上げて空爆を始めようとしたが、これは失敗している。 アメリカ軍は空爆でシリアのインフラを破壊、市民を殺害する一方、ダーイッシュなどの武装勢力へは物資を「誤投下」。サラフィ主義者の支配地域は拡大、シリアのバシャール・アル・アサド政権は追い詰められている。 オバマ政権はそうした中、2015年に政府を戦争体制へシフトしていく。2月に国防長官を戦争に慎重なチャック・ヘイゲルから好戦的なアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させた。デンプシーはサラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていたが、ダンフォードは違った。 ロシア政府がシリア政府の要請を受けて軍事介入したのは統合参謀本部議長が交代になった5日後の9月30日のことだ。ロシア軍はアメリカ軍と違ってダーイッシュやアル・カイダ系武装集団を本当に攻撃しはじめ、そうした勢力の支配地域は急速に縮小していく。トルコ軍機を使ってロシア軍機を11月24日に撃墜、ロシア側を脅したが、逆効果だった。 オバマ大統領がムスリム同胞団を使い、中東や北アフリカで体制転覆プロジェクトを始めるように命令したのは2010年8月のこと。PSD-11を出したのだ。 しかし、ジハード傭兵を使った侵略の計画は正規軍による軍事侵攻が行き詰まっていた2007年当時から作成されている。同年3月5日付けニューヨーカー誌で調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、アメリカ、サウジアラビア、そしてイスラエルがシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を始めたと書いている。 その記事の中で引用されたジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のバリ・ナスルの説明によると、資金力のあるサウジアラビアは「ムスリム同胞団やサラフ主義者と深い関係」があり、そうしたイスラム過激派を動員することができるとしている。「一旦その箱を開けて彼らを外へ出したなら、2度と戻すことはできない。」とも警告している。 アメリカの議員や有力メディアはアメリカ軍の撤退でダーイッシュが復活すると主張しているが、アメリカ軍の代わりにジハード傭兵を再び送り込むべきだと言っているに等しい。 イスラエル軍はそうした中、12月25日にシリアの首都ダマスカス周辺へミサイルを撃ち込んだ。ロシア政府によると16機が発射され、そのうち14機はシリア軍に撃ち落とされたという。 そうした攻撃に対し、イスラエルでの報道によると、ロシア政府は12月26日、これ以上空爆を続けるとシリア軍はS-200をイスラエルに向けて発射すると警告したという。25日にイスラエル領内の人がいない地域にミサイルが撃ち込まれているが、これは意図的なものだとロシア側は言っているようだ。 イスラエル軍がシリアへの攻撃を再開した場合、ミサイルや航空機の撃墜だけでなくイスラエル領内を攻撃するという警告だが、もしこれが現実になった場合、アメリカ国内ではアメリカ軍をシリアへ再侵略させ、あるいは攻撃を始めるように求める扇動が展開される可能性がある。(了)
2018.12.30
ドナルド・トランプ米大統領がアメリカ軍の撤退を決めてからアメリカをはじめとする西側の政府や有力メディアから批判の声が上がっている。理由のひとつとされているのはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の復活だが、この武装勢力を出現させた責任はアメリカ政府にある。 ダーイッシュはジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した翌年、2004年にAQI(イラクのアル・カイダ)として組織された。2006年にISI(イラクのイスラム首長国)が編成された際の中核になったと言われている。 この戦闘グループは2013年に活動範囲をシリアへ拡大、シリアのSやレバント(地中海の東部沿岸地方)のLを加えてISISやISILと表記されるようになった。ただ、これは英語式の表記。アラビア語風に表現するとダーイッシュになる。 その翌年、ダーイッシュは売り出された。まず1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧、その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられて広く知られるようになった。 アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはずだが、何もしていない。また、このトヨタ車はアメリカ政府がFSA(自由シリア軍)、つまりシリア侵略のために送り込まれた傭兵部隊へ提供したものだと言われている。 ダーイッシュの売り出しにアメリカやその同盟国が関与していることはアメリカの軍人も認めている。例えば、2014年9月にトーマス・マッキナニー空軍中将はアメリカがダーイッシュを組織する手助けをしたと発言した。 その当時、アメリカ軍のトップである統合参謀本部の議長を務めていたマーティン・デンプシー大将はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で語り、同じ年の10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると述べた。2015年にはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語っている。 また、2012年7月から14年8月までアメリカ軍の情報機関DIAの局長を務めていたマイケル・フリン中将は退役後の15年8月、アル・ジャジーラの番組へ出演した際にダーイッシュが勢力を拡大できたのはバラク・オバマ政権の政策があったからだと指摘している。その発言はフリンがDIA局長だった時代、2012年8月にDIAがバラク・オバマ政権へ出した報告書に絡む質問を受けて出てきた。(つづく)
2018.12.30
シリア政府軍の部隊がシリア北部、トルコとの国境に近いマンビジへ入ったと伝えられている。ここはクルド系のSDF(シリア民主軍)が支配していた。トルコ軍が侵攻するとも言われる中、クルド側が政府軍へ引き渡したという。 今年(2018年)11月からマンビジ周辺ではトルコ軍とアメリカ軍が共同でパトロールを行っていたようだが、トルコ側が攻撃姿勢を見せたことでアメリカは引き上げざるをえなかったと言われている。アメリカ軍が留まっていた場合、NATO加盟国同士の戦闘になる可能性があった。 SDFの主力はYPG(クルド人民防衛隊)だが、ユーフラテス川の東(北)側を支配しているこの勢力を対する攻撃計画に変更はないとフルシ・アカール国防大臣は語っている。イギリス軍やフランス軍が居座ろうとした場合、やはりNATO加盟国同士の戦闘になりかねない。 アメリカ軍が撤退した後、トルコ軍やイスラエル軍がシリアに対する大規模な侵略作戦を開始、その後でアメリカ軍が再び介入してくると推測する人もいる。 アメリカをはじめとする国々がシリア侵略を始めた2011年春ならトルコがアメリカの意向で動くことは考えられたが、現在のトルコがそうした作戦を始めるようには思えない。イスラエルはレバノンへも軍事侵攻できない状況にあり、シリアへの侵攻はさらに難しい。 トルコがアメリカ側へ寝返り、イスラエルがアメリカ軍の支援を前提に、犠牲を厭わず攻撃することはありえるものの、それはアメリカ軍がロシア軍との全面衝突を覚悟したときだ。 ロシア政府は12月26日、音速の20倍で飛行するグライダー型ミサイルの発射実験に成功したと発表している。ウラジミル・プーチン大統領の命令で急遽、実施されたようだ。このミサイルは2019年から実戦配備するという。 アメリカとロシアとの戦争が始まった場合、過去の世界大戦とは違い、アメリカ本土が戦場となり、核攻撃の対象になることをプーチンは示したとも言える。 その前、12月12日にはロシア軍のTu-160戦略爆撃機がベネズエラ軍のSu-30戦闘機とF-16戦闘機を伴ってカリブ海上空を約10時間にわたって飛行したが、この目的も同じだろう。 もっとも、ロシア軍がアメリカ本土を攻撃する場合、Tu-160をベネズエラへ送り込む必要はない。遙か遠くからミサイルを発射すれば良いだけだ。 いや、アメリカにとって最大の脅威は戦略爆撃機ではなくロシア軍の潜水艦。潜水艦は水面下にいて姿を見せないので、警告のためには派手なTu-160が使われたのだろう。 ジョージ・W・ブッシュ政権は正規軍を使って2003年にイラクを先制攻撃したが、傀儡体制の樹立には失敗、イラクとイランを接近させることになってしまった。そこで戦略を変更、倒したサダム・フセイン体制の残党を含むスンニ派に接近する。2010年8月にはバラク・オバマ大統領がPSD-11を出し、ムスリム同胞団を使った体制転覆プロジェクトを始めた。 オバマの師匠、ズビグネフ・ブレジンスキーはジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官だった1970年代の終わりにアフガニスタンでジハード傭兵の仕組みを作り上げた。戦闘集団の主力はサウジアラビアが送り込んだサラフィ主義者やムスリム同胞団だった。この工作でアル・カイダが出現する。 アル・カイダとは、2005年7月にロビン・クック元英外相が指摘したように、CIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リスト。プロジェクトが計画されると、そのリストから傭兵が集められ、さまざまなタグがつけられるということだ。アラビア語でアル・カイダは「ベース」を意味、「データベース」の訳語としても使われる。オサマ・ビン・ラディンは戦闘員のリクルート担当だった。 アメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告書の中で、シリアで政府軍と戦っているのはサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIだとしている。当時、シリアで活動していたアル・カイダ系武装集団はアル・ヌスラを名乗っていたが、AQIもアル・ヌスラも実態は同じだとDIAは報告している。 また、報告書はオバマ政権が反政府軍を支援し続けるなら、東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になった。 アメリカはアフリカでも同じような作戦を展開中だが、ここで活動している傭兵につけられたタグのひとつはボコ・ハラムだ。スーダンの南部を「独立」させたSPLM(スーダン人民解放軍)のジョン・ガラングはアメリカのジョージア州にあるアメリカ陸軍のフォート・ベニングで訓練を受けた人物。つまりアメリカ支配層の傀儡である。
2018.12.29
ソ連消滅後、ロシア大統領のボリス・エリツィンは私有化を推進しようとする。つまり、国民の資産を二束三文でウォール街やシティの住人に売り飛ばそうということだ。その手先になったロシア人も巨万の富を築き、オリガルヒと呼ばれるようになる。 この私有化に議員は反対、大統領の行為をクーデターだと非難し、自分たちの政府を樹立すると宣言して少なからぬ議員が議会ビル(ホワイトハウス)に立てこもる。それに対してエリツィン大統領は戦車に議会ビルを砲撃させた。それが西側流の「民主主義」だ。議会ビルで殺された人の数は100名以上とも約1500名だとも言われている。 ロシア国内の略奪グループはエリツィンの娘であるタチアナを中心に据えていた。プーチンが2000年に解雇するまでタチアナは大統領顧問だ。 タチアナの人脈に属すアナトリー・チュバイスはソ連が消滅する直前からエリツィンの側近として経済政策を策定、その背後にはジョージ・ソロスの友人としても知られているハーバード大学教授のジェフリー・サックスがいた。サックスの下で働いていたエゴール・ガイダルはソロスの知り合いで、エリツィンの側近になる。 エリツィン時代にチュバイスとガイダルに命令していた人物がラリー・サマーズ。ハーバード大学教授、世界銀行の主任エコノミスト、財務次官、財務副長官を経て1999年7月から2001年1月まで財務長官を務めている。その後ハーバード大学の学長に就任した。サマーズがロシア工作のために雇ったデイビッド・リプトンとジョナサン・ヘイはCIAのエージェントだ。 ナビウリナ中央銀行総裁はガイダルの人脈だと見られているが、そのほか経済開発大臣や財務大臣もこの人脈が押さえている。ロシアは現在、西側支配層から経済的な攻撃を受けているものの、成長している。その成長にブレーキをかけるかのようにナビウリナは金利を上げてきた。この総裁はIMFの意向に沿う政策を推進している。 ロシアの経済政策は西側金融資本の影響を強く受けているのだが、今年(2018年)は年金制度の改定が国民の怒りを買い、プーチンの支持率を低下させた。経済部門に巣くうエリツィン時代の人脈を排除できず、オリガルヒは甘い汁を吸い続けているという不満を国民は高めたようだ。 ところで、似た状況がかつてのアメリカにもあった。フランクリン・ルーズベルトの時代だ。ルーズベルトは1932年の大統領選挙で初当選、JPモルガンをはじめとするウォール街の大物たちは1933年から34年にかけてルーズベルトを中心とするニューディール派をホワイトハウスか追い出すため、クーデターを計画したのだ。 これはスメドリー・バトラー少将の議会証言で明らかにされているが、クーデター派はファシズム体制の樹立を目指していた。つまり、バトラー少将がカウンター・クーデターの意思を示さなかったなら、アメリカはその時点でファシズム体制になっていた可能性が高いのだ。1980年代に始まったCOGプロジェクトでアメリカはファシズム化が促進されたが、これは一貫したウォール街の政策だということである。 1930年代のクーデター計画は阻止されたが、そのときに司法省は動かず、ルーズベルト大統領はウォール街にメスを入れられなかった。株式相場が暴落して間もなく、軍事的な緊張が高まっているということもあり、金融界を敵に回して国内を不安定化させることはできなかった。プーチンはルーズベルトと似たような状況にある。 大戦の終結が見えた段階でルーズベルトはウォール街の粛清を始めようとしたのだが、その矢先、ドイツが降伏する前の月、つまり1945年4月に急死する。それを切っ掛けにしてウォール街がホワイトハウスを奪還した。 そして現在。プーチンはロシア国内の戦いで勝ち残れるだろうか?(了)
2018.12.28
相変わらすアメリカの支配層は恫喝で自分の意思を押し通そうとしているが、思惑通りには進んでいない。アメリカ支配層はロシアのウラジミル・プーチン大統領に追い詰められ、孤立しつつある。 ロシアは音速の20倍で飛行するグライダー型のミサイルを開発、2019年から実戦配備するというが、これに限らず、すでにロシア軍の質的な戦闘能力はアメリカ軍を上回っている。アメリカ軍は物量で対抗するか、核戦争で人類を死滅させるしかない。 第2次世界大戦後、アメリカが世界に君臨できたのは戦争で儲かったからだけでなく、ライバルのヨーロッパ諸国やソ連が破壊され、ドイツや日本が占領地で略奪した莫大な財宝を手に入れることができたからだ。 アメリカの発行するドルが基軸通貨になったこともアメリカの支配的な地位を支えている。ドルを発行して物を買い、払ったドルを回収するという仕組みを作り上げ、侵略戦争も続けることができた。プーチンは中国と手を組み、そのドル体制を破壊しようとしている。 本来なら、ロシアは金融面でもアメリカに圧力を加えなければならないのだが、その金融部門がロシアのアキレス腱だと指摘されてきた。プーチン体制になった今でもロシアの金融は西側の巨大金融資本、いわゆるウォール街やシティに支配されているのだ。現在、ロシア中央銀行の総裁を務めるエリビラ・ナビウリナもそうした人脈のひとり。 本ブログでも指摘済みだが、ソ連はジョージ・H・W・ブッシュなどCIAのOBグループとKGB中枢の腐敗グループが手を組んで実行したハンマー作戦で消滅した。CIAとKGBを結びつけたのはイスラエルのモサドだ。KGBの腐敗グループには1982年から88にかけてKGB議長を務めたビクトル・チェブリコフ、KGBの頭脳と呼ばれたフィリップ・ボブコフなどが含まれていた。 クーデターが最終段階に入った頃、ゴスバンク(旧ソ連の国立中央銀行)に保管されていた金塊2000トンから3000トンが400トンに減っているという報告が頭取から議会にあった。残りは行方不明だという。(つづく)
2018.12.28
イスラエル軍機が12月25日にシリアの首都ダマスカス周辺へミサイルを撃ち込んだものの、大半は撃墜されたという。レバノン領空から最大22機のミサイルが発射されたとされているが、ロシア政府によると16機。そのうち14機をシリア軍は撃ち落としたという。 この日、トルコのメブルト・チャブショール外相は同国の軍隊をロシアと調整しながらシリアのユーフラテス川より東側(北側)へ速やかに入れると語っている。勿論、目的は彼らが敵視しているクルド系のYPG(クルド人民防衛隊)やPYD(クルド民主統一党)を攻撃することにある。 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は12月14日、アメリカのドナルド・トランプ大統領と電話で会談したと伝えられている。その後、トランプ大統領はアメリカ軍をシリアから撤退させると発表した。シリアを侵略している部隊を引き上げ、シリアにおける不法占拠を終わらせると言っているのだ。 この決定に抗議してジェームズ・マティス国防長官とブレット・マクガーク大統領特使が辞任を表明、議員は共和党も民主党も関係なく非難、12月23日にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領もその合唱に加わった。有力メディアのほか、「リベラル」や「左翼」と自称している相当数の人々も同じだ。「戦争反対」、「憲法擁護」、「反ファシズム」などを主張する少なからぬ人々がアメリカの侵略戦争に賛成し、カルト集団やネオ・ナチが民主的に選ばれた政権を暴力的に倒すことを容認している。 奇妙なように見えるが、彼らは「勝ち馬に乗る」という原理で行動しているのだと考えれば納得できる。1991年12月にアメリカが「唯一の超大国」になったと思い込み、アメリカ側について富と地位を確保しようとしたのではないだろうか? そうした人々がアメリカ支配層を支持しやすいように、彼らは「リベラル」や「左翼」が好むストーリーを作る。事実を確認すれば嘘だとすぐにわかるが、そんなことはしない。嘘をついていることが何度ばれても有力メディア信仰を捨てないのはそのためだろう。最後の最後には「騙された」で逃げる。 アメリカ支配層の犯罪的な行為を否定できなくなると、「良いアメリカ支配層」と「悪いアメリカ支配層」を作り出し、責任を「悪いアメリカ支配層」に押しつける。現在、トランプは悪役を演じさせられているが、実際は「まし」な人物だ。 トランプ大統領の決定をイスラエルやサウジアラビアの現政権も怒っているはずで、今回のイスラエル軍によるミサイル攻撃の一因はここにあるだろう。イスラエルはS-300導入後のシリア政府軍の防空体制を調べたいとも思っているはずだが、今回、シリア軍はS-300を使わなかったという。本格的な攻撃を受けたときを考え、手の内は見せたくないのだろう。
2018.12.27
トルコのメブルト・チャブショール外相は12月25日、軍隊をシリアのユーフラテス川より東側(北側)へ速やかに入れると語った。アメリカ軍が撤退した後、「テロリスト集団」が入り込むことを阻止するのが目的で、ロシアと調整しながら活動するとしている。トルコが敵視しているのはクルド系のYPG(クルド人民防衛隊)やPYD(クルド民主統一党)だ。 2011年3月にアメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、トルコがシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すために同国へ送り込んだのは傭兵。その主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だった。2014年にはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)が売り出された。 ダーイッシュは残虐性を演出、それを口実にしてアメリカを中心とする軍隊が空爆をはじめるが、そのターゲットは傭兵でなくシリアのインフラや住民だった。 バラク・オバマ政権は2015年2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させた。ヘイゲルは戦争に慎重な立場で、デンプシーはサラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていた。つまりオバマ大統領とは考え方が違った。 統合参謀本部議長が交代になった5日後の9月30日、ロシアはシリア政府の要請を受けて軍事介入、傭兵部隊を本当に攻撃しはじめ、ジハード集団の支配地域は急速に縮小した。トルコ軍機を使ってロシア軍機を11月24日に撃墜、ロシア側を脅したが、逆効果だった。 戦争が長期化すると、シリアやロシアとの交易で経済が支えられていたトルコは苦しくなり、その撃墜をレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は2016年6月下旬に謝罪、7月13日にはトルコ首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆した。軍事蜂起(クーデター未遂)が引き起こされたのはその直後、7月15日のことだ。 エルドアン政権はクーデターの黒幕をフェトフッラー・ギュレンの一派だとし、その背後にはアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいると主張している。 この軍事蜂起は鎮圧されたが、その直前にロシアからクーデター計画に関する警告がトルコ政府へ伝えられていたと言われている。そうしたこともあり、NATO加盟国ではあるが、トルコはロシアへ接近している。 ジハード傭兵の壊滅を受けてアメリカ軍はクルドと手を組むのだが、クルドはトルコから敵視されている。トルコがシリア領内に侵攻してクルドを攻撃した場合、アメリカ軍は手を出しにくい。NATO加盟国同士の戦闘になってしまうからだ。 しかも、今年(2018年)9月にシリア沖でロシア軍の電子情報支援機Il-20が撃墜されると、ロシア政府はその責任がイスラエルにあると非難、シリア政府軍へ防空システムのS-300 PMU-2を引き渡した。それ以来、イスラエル軍機はシリアを攻撃していない。領空外からミサイルを発射する戦闘機の撃墜をシリア軍にロシア政府は認めたと言われている。 イスラエル軍が攻撃できないのは撃墜を覚悟する必要があるからだが、同じことはアメリカ軍にも言える。イスラエル軍がシリアを攻撃しないのは、F-35でも撃墜される可能性があると考えているからだろう。 F-35のステルス性能は宣伝されているほどではないと言われている。空中戦ではF-16より劣ることは確認済みで、F-35は高額低性能戦闘機。これが実践で確認された場合、買い手はいなくなるだろう。こんな戦闘機を100機も買おうという国の政府はクレージーだ。 シリアに軍事侵攻、基地を建設した国はアメリカ、イギリス、フランス。今のところイギリスとフランスの軍隊は居座る姿勢を見せている。アメリカ軍の穴を埋める形でサウジアラビア、アラブ首長国連邦、スーダンなどがシリアへ軍隊を送り込むとも中東では報道されているが、トルコはそれを阻止するつもりだろう。
2018.12.26
アメリカのジェームズ・マティス国防長官はアメリカ軍をシリアから撤退させる命令書に署名したという。ドナルド・トランプ大統領はトルコ軍が残されたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を殲滅すると語っている。 トランプ政権の内部にも今回の決定に反発している人は少なくない。そのひとりがマティス長官だ。12月23日にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領もトランプの撤退命令を非難している。アメリカほどではないが、フランスやイギリスの軍隊もシリア領内に軍隊を侵入させ、軍事基地を建設している。そこからフランスは撤退しないということだろう。イギリスも居座りそうだ。 イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定のコンビである。第1次世界大戦の最中、イギリスとフランスはオスマン帝国の領土分割などを決め、途中でロシアを引き込む。この協定が締結されたのは1916年。この当時、イギリスはロシアの帝政を崩壊させる工作を進めていた。 1917年3月の二月革命(ロシアで使われていた旧暦では2月)で成立した臨時革命政府の中心は産業資本家で、その背後にはイギリスがいた。社会革命党からこの政府へ法務大臣として入閣したアレキサンドル・ケレンスキーはイギリスと関係が深かったと言われている。この年の7月にケレンスキーは首相に就任、戦争の継続を図るが、これはイギリスの意向に沿うものだ。 アメリカ軍の穴を埋める形でサウジアラビア、アラブ首長国連邦、スーダンなどがシリアへ軍隊を送り込むとも中東では報道されている。新たな侵略軍だが、シリア軍やロシア軍が領土の奪還作戦を本格化させたなら、ひとたまりもないだろう。 ジハード傭兵の主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団で、その主要な供給源はサウジアラビア。シリアに侵攻させる部隊を傭兵から正規軍に交代させるというようにも見える。 ジハード傭兵の移動は2011年10月にリビアでムアンマル・アル・カダフィ政権がNATO軍とアル・カイダ系のLIFGに倒された後にも見られた。そのときの移動先はシリア。 侵略軍であるジハード傭兵は2012年5月にシリアのホムスで住民を虐殺するが、西側の政府や有力メディアはその責任を政府軍に負わせた。 その虐殺を現地に入って調べた2012年5月、シリア北部ホムスで住民が虐殺された際、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝していたが、現地を調査した東方カトリックのフランス人司教はその話を否定する。虐殺を実行したのは政府軍と戦っているサラフィ主義者や外国人傭兵だというのだ。 その報告はローマ教皇庁の通信社が伝えている。その司教によると、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」とその司教は書いている。その報告から6年。司教の発言は今でも生きている。 先日、スーダンのオマル・アル-バシール大統領がシリアを訪問してバシャール・アル・アサド大統領と会談しているので、軍隊を派遣するとしても友好的なものになるのだろうが、サウジアラビアやアラブ首長国連邦は違うだろう。サウジアラビアはアメリカやイスラエルと「三国同盟」を形成している。 すでにダーイッシュやアル・カイダ系武装集団、つまりジハード傭兵の幹部はアメリカ軍がヘリコプターなどで救出している。アフガニスタンなどへ運んだと伝えられているが、北アフリカ、シナイ半島のエジプト領、アゼルバイジャンへ移動させているともいう。
2018.12.25
ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)問題に関するアメリカ大統領特使のブレット・マクガークが辞任を表明した。ドナルド・トランプ大統領がアメリカ軍を撤退させると表明したことへの抗議だという。シリアへの侵略を継続するべきだとマクガークは主張しているわけだ。 ダーイッシュが売り出されたのは2014年。1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧、その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになった。 アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはずだが、何もしていない。また、このトヨタ車はアメリカ政府がFSA(自由シリア軍)、つまりシリア侵略のために送り込まれた傭兵部隊へ提供したものだと言われている。 ダーイッシュは2004年にAQI(イラクのアル・カイダ)として組織され、06年にISI(イラクのイスラム首長国)が編成された際の中核になったと言われている。2010年にISIのリーダーになったのがアブ・バクル・アル・バグダディ。2013年に活動範囲がシリアへ拡大、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)と呼ばれるようになった。2014年に売り出された当時のダーイッシュは残虐性を演出、アメリカ軍のシリア空爆の口実に使われる。 シリアではアル・カイダ系武装集団としてタハリール・アル・シャームが知られている。以前はアル・ヌスラと呼ばれていたが、2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)がバラク・オバマ政権へ提出した報告書によると、アル・ヌスラはAQIと実態は同じ。シリアで活動する場合、名前を変えているだけだという。 2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制をNATO軍とアル・カイダ系のLIFGが倒した後、リビアからアル・カイダ系の戦闘員がシリアへ移動していることを西側のメディアも報道していた。 そこでオバマ大統領はシリアで支援しているのは「穏健派」だと弁明するが、DIAはそうした集団の存在を否定する。反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団で、戦闘集団としてアル・ヌスラ(AQI)の名前を挙げている。つまり、組織の流れを見るとタハリール・アル・シャームもダーイッシュも同じということになる。 しかし、2005年7月にロビン・クック元英外相が指摘したように、アル・カイダとはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リストにすぎない。プロジェクトが計画されるとそのリストから傭兵が集められ、さまざまなタグがつけられるということだ。タグは簡単に付け替えることができる。ちなみに、アラビア語でアル・カイダは「ベース」を意味、「データベース」の訳語としても使われる。 こうした傭兵をシリアへ送り込んだ国にはアメリカのほか、サウジアラビア、イスラエル、イギリス、フランス、カタール、トルコなどが含まれる。その傭兵を倒すという口実でシリアを侵略したのだが、2015年9月30日にシリア政府の要請で軍事介入したロシア軍によって傭兵部隊はほぼ壊滅、その過程でカタールとトルコは離脱、必然的に傭兵間での戦闘も引き起こされた。 そこでアメリカ、イギリス、フランスはシリアへ地上部隊を侵攻させ、クルドを利用してユーフラテス川の北側を占領してきた。これはイスラエルやサウジアラビアの意向でもある。そうした侵略勢力やその手先はアメリカ軍をシリアから撤退させるというトランプ大統領の決定に反発している。
2018.12.24
来年(2019年)2月一杯での辞任が公表されたジェームズ・マティス国防長官はイエメンでの虐殺を支持、朝鮮に対して殲滅すると恫喝、イラクやシリアでの爆撃を監督する立場にあった。イラクのモスルに対する攻撃では少なくとも6000名の市民が殺されたという。 この好戦的な国防長官の後任としてふたりの名前が挙がっている。トム・コットン上院議員とジョン・キーン退役大将だ。当然のことながらふたりとも「親イスラエル」で好戦派。 コットン議員は売り出し中の好戦派だが、キーンは筋金入りのネオコン。フレデリック・ケイガンとロバート・ケイガンの兄弟、フレデリックの妻であるキンベリー・ケイガン、ロバートと結婚したビクトリア・ヌランドのネオコン一族と親しいことでも知られている。 トランプはアフガニスタンからも撤退するとしているが、キーンは2017年6月にアフガニスタンへ1万名から2万名の部隊を送り込むべきだと語っていた。 キンベリーはISW(戦争研究所)の創設者で、戦争ビジネスと緊密な関係にある人物。2011年9月から12年11月までCIA長官を務めたデイビッド・ペトレイアスとも親しい。 ペトレイアスはリチャード・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルド、あるいはヒラリー・クリントンに近く、エル・サルバドルで死の部隊に心酔した人物。そこで死の部隊を指揮していたジェームズ・スティール大佐と知り合う。当時、ペトレイアスはウエスト・ポイント(陸軍士官学校)の教官を務めていた。 ペトレイアスは2002年から04年にかけて第101空挺師団の司令官としてイラクでの戦闘に参加、08年から10年までは中央軍司令官を務め、CIA長官になる。その際、彼はスティールをイラクへ連れてきて特殊警察コマンド、つまり死の部隊の訓練を実施させた。 ビクトリア・ヌランドは言うまでもなくウクライナのクーデターで最前線にいた人物。当時は国務次官補だった。このクーデターはネオ・ナチであるステファン・バンデラ派が中核グループを形成していた。 このクーデターでバラク・オバマ政権はウクライナ東部や南部を地盤とするビクトル・ヤヌコビッチ大統領の排除には成功したが、クリミアの制圧には失敗してしまう。当然のことながらヤヌコビッチの地盤ではクーデターに反発、離脱の動きが進んだためである。 オデッサではクーデターに反対する住民が惨殺されたが、そうなる前にクリミアの住民は動いた。クーデター体制からの離脱は圧倒的な住民の意思だった。周囲を海に囲まれているということもあり、オデッサのような事態は避けられたのである。思考回路をアメリカ支配層に支配されている人々はこれを「併合」と呼ぶ。現在、クリミアの住民は平穏な生活を送っているが、反ロシア、嫌ロシアの人々はオデッサの住民のようになるべきだったと考えているのだろうか? ウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)でもクーデターに反発する住民は多いが、戦乱で多くの難民が出た。逃げ込んだ先はロシアだ。そのドンバスに対する軍事的な圧力をキエフ軍は強めている。 ウクライナにはアメリカの空挺部隊やイギリスの特殊部隊が入り、クーデター政権を支えているが、ここにきてウクライナの軍事力増強に力を入れているのはイギリス。オバマ政権が終わりに近づいた2015年には軍事訓練のプログラムをスタートさせ、イギリス軍から派遣された教官は9500名のウクライナ軍兵士を訓練している。ドンバス側によると、イギリス軍は化学兵器を使おうとしているという。 そうした中、11月25日にウクライナ軍のガンボート(砲艦)2隻とタグボート1隻が手続きを無視して無断でロシアが領海と定めているケルチ海峡へ入った。撃沈されても不思議ではない状況だったが、ロシア軍は拿捕することに成功する。 その事件が引き起こされる前日、NATOは大規模な軍事演習、トライデント・ジャンクチャーを実施している。ちなみに、ウクライナの紋章は三つ叉の矛(トライデント)だ。ケルチ海峡での展開次第では軍事衝突に発展した可能性がある。 ロシアはウクライナ/NATO軍の攻撃に備え、クリミアの防衛力を強化している。シオニストのうちヒラリー・クリントンを担いでいたグループが主導権を握り、キーンが次期国防長官になった場合、ウクライナの情勢が緊迫化する可能性がある。
2018.12.23
アメリカ軍のシリアからの撤退は事実のようだ。2010年8月にバラク・オバマ大統領がPSD-11を出して始まった中東から北アフリカにおける体制転覆作戦。シリアの場合、2011年3月からサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を傭兵として使った侵略戦争という形だった。 2011年2月に始まったリビアにおける侵略戦争ではNATO軍とアル・カイダ系武装集団のLIFGが連携してムアンマル・アル・カダフィ体制を倒し、カダフィ自身は惨殺、現在のリビアは暴力が支配する破綻国家だ。 アメリカはリビアと同じようにシリアも破壊しようとしたが、その前に立ちはだかったのがロシア。 オバマ政権はDIA局長としてダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の出現を警告していたマイケル・フリン中将を2014年8月に、戦争に消極的だったチャック・ヘイゲル国防長官を2015年2月に、アル・カイダ系武装集団を危険だと認識していたマーチン・デンプシー統合参謀本部議長を2015年9月にそれぞれ解任し、アメリカは戦争体制に入った。 NATO/アメリカ軍の直接的な軍事介入への道が敷かれたと見られたのだが、デンプシー解任の5日後にシリア政府の要請を受けたロシアが軍事介入、アメリカなどが送り込んだ傭兵を敗走させる。アメリカ主導軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュやアル・カイダ系武装集団を攻撃したのだ。 この軍事介入で戦況は一変し、ダーイッシュやアル・カイダ系武装集団の支配地域は急速に縮小していった。そこでアメリカはクルドを懐柔し、新たな傭兵にしたのだが、トルコがアメリカから離反した影響もあり、アメリカの好戦派が思い描くようには進んでいなかった。 そうした中、イスラエル軍はシリアに対する空爆を続けてきたが、今年(2018年)9月にシリア沖でロシア軍の電子情報支援機Il-20が撃墜され、その責任はイスラエルにあるとしてロシア政府は防空システムのS-300 PMU-2をシリア政府軍へ引き渡した。それ以来、イスラエル軍機はシリアを攻撃していない。領空外からミサイルを発射する戦闘機の撃墜をシリア軍にロシア政府は認めたと言われている。 シリア軍は6基から8基のS-300を受け取り、そのうち2基はユーフラテス川沿いのデリゾールに配備されたと言われている。アメリカはこの地域にジハード傭兵を集め、ロシア軍事顧問団の幹部、バレリー・アサポフ中将が戦死している。アメリカ軍機による空爆で少なからぬシリア軍兵士も殺された。 今後、アメリカ軍機から攻撃を受けたならシリア軍はS-300で反撃する可能性が高く、そうなるとアメリカ側に犠牲が出る可能性が高い。イスラエル軍と同じで、アメリカ軍は軽々しく動けなくなった。これもアメリカ軍が撤退する一因だと見られている。 ただ、アメリカ軍は中東全域から撤退するわけでなく、再派兵もあり得るのだが、とりあえず撤兵は良いニュース。ロシアや中国に対する好戦的な姿勢を隠そうとしないジェームズ・マティス国防長官が来年(2019年)2月一杯で辞任するという話もとりあえず悪くない。
2018.12.22
カナダのジャスティン・トルドー首相は今年(2018年)7月にカナダ東部のノバスコシアでアングロ・サクソン系5カ国、つまりアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関幹部と会談したという。 この5カ国の中心はアメリカとイギリス。会議にはアメリカのCIAからジーナ・ハスペル長官、イギリスのSIS(通称MI6)からマイケル・ヤンガー長官が参加した。この5カ国の電子情報機関はアメリカのNSAとイギリスのGCHQを中心にUKUSAと呼ばれる連合体を編成している。 この5カ国は中国のエレクトリニクス技術を安全保障上の脅威だとして取り引きを規制し始め、12月1日にはバンクーバーの空港でカナダ当局は中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズのCFO(最高財務責任者)で、同社の創業者である任正非の娘でもある孟晩舟を逮捕した。 孟が逮捕された時、アメリカのドナルド・トランプ大統領はG-20サミットで中国の習近平習近平国家主席と貿易問題について話し合っていた。トランプは逮捕を事前に知らされていなかったが、トルドーは知っていたという。知りながら、トルドーは逮捕を止めなかったということだ。 UKUSAが編成されたひとつの理由は各国の法律による規制を回避することにあった。例えば、アメリカで規制されている行為でもイギリスの情報機関は実行できる。 アメリカではNSAだけでなくFBIやCIAも通信を監視してきた。FBIは1950年代にCOINTELPROを開始、1967年8月にはCIAがMHケイアスを始めている。いずれも目的は戦争に反対する人々の監視だった。電話の盗聴や郵便物の開封のほか、反戦集会やデモにスパイを潜入させ、平和運動を支援していた著名人を尾行し、さらに銀行口座の調査も実施している。(Anthony Summers, "Official and Confidential," Victor Gollancz, 1993) CIAのプロジェクトを指揮していたのはジェームズ・アングルトンだが、1974年12月にアングルトンをCIA長官だったウィリアム・コルビーがCIAから追い出している。 コルビーによると、CIAが手紙を覗き見するようになったのは1952年で、ターゲットには平和運動や公民権運動の活動家、例えばジョン・スタインベックやマーチン・ルーサー・キングも含まれていた。 1975年1月にアメリカ上院で情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会が設置されフランク・チャーチ議員が委員長に就任する。いわゆるチャーチ委員会だ。 そのチャーチ議員は1975年にネットワーク局のNBCのミート・ザ・プレスという番組の中で、潜在的な敵が何をしているかを調べる能力を情報機関がアメリカ国民に対して使えば電話での会話やテレグラムなどあらゆるものをモニターでき、人々は隠れる場所がなくなると警告している。 通信技術の発達に比例して通信傍受も盛んになる。1965年に本格的な商業衛星であるインテルサット1号が打ち上げられるとNSAやGCHQは地球規模の通信傍受システムを開発する。それがECHELON。これは1966年にNSAが始めたFROSTINGというプログラムの一部だ。 その後、コンピュータが登場、インターネットが発達するとアメリカの情報機関はコンピュータ会社やインターネット関連会社をコントロール下に置き、あらゆる情報を入手する仕組みを作り上げた。コンピュータ・システムにトラップドアを組み込み、全世界で売るということも行っている。 この情報支配システムを揺るがしているのが韓国や中国、特に中国のエレクトリニクス関連企業。そのひとつがファーウェイ・テクノロジーズだ。 アメリカ支配層は中国のスーパーコンピュータ開発にも神経を尖らせているはず。何しろ、スーパーコンピュータを開発した日本企業も買収のターゲットにしていたほどだ。
2018.12.22
アメリカのジェームズ・マティス国防長官が来年(2019年)2月一杯で辞任するという。この人物は好戦派と見られ、そのあだ名は「狂犬」。そうした情報が流れる直前、ドナルド・トランプ大統領はシリアからアメリカ軍を撤退させる決断をしたと伝えられている。ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官やマイク・ポンペオ国務長官と同じで、大統領にマティスは反対していた。 かつて、トランプ大統領は傭兵会社のブラックウォーター(2009年にXE、11年にアカデミへ名称変更)の創設者、エリック・プリンスに情報活動を任せようとしているとする噂が流れたこともある。シリアへ傭兵を入れるという推測もあるが、今のところそうした兆候はないようだ。 大統領選挙の際、トランプは安全保障問題についてのアドバイスをマイケル・フリン元DIA局長から得ていた。そうしたアドバイスに従い、ロシアとの関係修復を訴えたわけだ。 バラク・オバマ政権は中東や北アフリカでジハード傭兵を使った侵略戦争を開始、ロシアとの軍事的な緊張を高め、ヒラリー・クリントンはその政策を継承する姿勢を見せていた。 こうした経緯を考えれば、トランプがフリンを国家安全保障補佐官に任命することは必然だったが、ヒラリー・クリントンを担いでいた戦争ビジネス、巨大金融資本、ネオコンは強く反発する。 フリンが局長だった時代のDIAはオバマ政権の武装勢力を支援するという政策はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)の支配地域をシリアの東部(ハサカやデリゾール)に作られる可能性があると警告していた。戦争ビジネス、巨大金融資本、ネオコンにとって都合の悪い情報をフリンは握っていた。 この警告は2014年に入ると「ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になる。この戦闘集団は2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧、その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行った。 このパレードの様子を撮影した写真が世界に伝えられ、ダーイッシュは売り出される。当然、アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはずだが、何もしていない。 ちなみに、このトヨタ車はアメリカ政府がFSA(自由シリア軍)、つまりシリア侵略のために送り込まれた傭兵部隊へ提供したものだと言われている。 ここにきてボルトン、ポンペオ、マティス、そしてマイク・ペンス副大統領らとトランプ大統領の関係は良くない。中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズのCFO(最高財務責任者)で同社の創業者である任正非の娘、孟晩舟が12月1日にアメリカ当局の要請でカナダ当局が逮捕した際、トランプ大統領は中国の習近平習近平国家主席と貿易問題について話し合っている最中だった。アメリカと中国との関係を修復しようという動きを潰そうとしている勢力がいるように見える。 すでにシリアではロシアを中心に再建計画が練られ、動き始めている。当然、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアといった国々は排除されるだろう。 勿論、アメリカ軍はイラクを制圧している状態で、イスラエルやアメリカといった「同盟国」も存在している。今後、何をしでかすかわからないが、それ以上に懸念されているのがウクライナ情勢。現政権は崩壊寸前だが、それだけに危険な状態だと考えられている。ウクライナ軍はさらなる軍艦をアゾフ海へ派遣すると言われている。そうした状況を反映し、ロシアはクリミアの防衛力を増強中だ。
2018.12.21
ドナルド・トランプ米大統領はシリアから軍隊を撤退さえる準備をしていると伝えられている。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の殲滅を完了したからだという。 本ブログでも繰り返し書いてきたことだが、ダーイッシュやタハリール・アル・シャーム(アル・ヌスラ)といった戦闘集団はアメリカなどが編成したサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする傭兵にすぎない。 その傭兵の歴史はジミー・カーター政権までさかのぼることができる。同政権の国家安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーはアフガニスタンへソ連軍を誘い込み、そこでゲリラと戦わせるというプランを立てたのだ。 戦闘集団の主力はサウジアラビアが送り込んだサラフィ主義者やムスリム同胞団。現地の同盟相手はパキスタンの情報機関が選び、アメリカは戦闘員を訓練すると同時に携帯防空システムのスティンガーや対戦車ミサイルのTOWを含む武器/兵器を供給した。西側の政府やメディアはこの戦闘員を「自由の戦士」と呼んだが、これは「テロリスト」の別名であり、アフガニスタンから見れば侵略軍。 ブレジンスキーのプランをカーター大統領が承認した1979年7月、アメリカとイスラエルの情報機関に深く関係している人々がエルサレムで「国際テロリズム」に関する会議を開いている。それ以降、その会議の参加者は「テロリズム」の黒幕はソ連だと宣伝しはじめた。 アメリカなどは2011年春からジハード傭兵を使った侵略戦争をリビアとシリアで始めるが、その年の10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を壊滅させ、カダフィ自身は侵略軍に惨殺された。その際、NATO軍とアル・カイダ系武装集団LIFGの同盟関係が明確になってしまう。しかもリビアで戦った傭兵がシリアへ運ばれていることも発覚する。そこで使われ始めたのが「穏健派」と「過激派」、つまり「良いアル・カイダ」と「悪いアル・カイダ」が存在するという主張。 勿論戯言だが、アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)も2012年8月にその事実を政府へ報告している。シリアで政府軍と戦っているのはサラフィ主義者、ムスリム同胞団、アル・カイダ系のアル・ヌスラ(報告書はAQIと同じと指摘している)であり、「穏健派」などは存在しないとしている。 しかも、オバマ政権が反政府軍を支援し続けるなら、東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告していた。この当時のDIA局長がマイケル・フリン中将で、トランプ大統領は国家安全保障補佐官に据えたが、すぐに解任された。 2014年に入るとDIAの警告はダーイッシュという形で現実になる。フリンがDIA局長を解任されたのはこの年のことだ。 フリン中将は2015年8月にアル・ジャジーラの番組へ出演、報告書でサラフィ主義者の支配国が出現すると警告していたにもかかわらず、ダーイッシュの出現を阻止できなかった責任を問われる。 それに対し、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、その情報に基づいて政策を決定するのはバラク・オバマ大統領の役目だとフリンは回答している。ダーイッシュを出現させた責任はオバマ大統領にあるということだ。 アメリカ軍はそのダーイッシュを攻撃するという名目でシリアでの空爆を開始、住民を殺害し、インフラを破壊、その一方でジハード傭兵へは物資を「誤投下」していた。当然、ダーイッシュの支配地域は拡大し、首都のダマスカスも危ない状況になった。 2015年に入るとオバマ大統領は国防長官や統合参謀本部議長を好戦的な人物へ交代させるが、9月30日にロシア軍がシリア政府の要請を受けて軍事介入、ダーイッシュなどジハード傭兵を敗走させた。その直後にロシア軍機をトルコ軍機が待ち伏せ攻撃で撃墜しているが、そのトルコも後に謝罪、今ではロシア側へついている。 ジハード傭兵の壊滅を受け、アメリカはクルドと手を組む。クルドがアメリカ支配層の口車に乗ったわけだ。クルドの支配地域にはアメリカ、イギリス、フランスの軍隊が軍事基地を建設、居座る姿勢を見せていた。 それに対し、トランプ大統領は今年(2018年)3月にアメリカ軍をシリアから引き揚げる意思を明らかにしたのだが、アメリカ中央軍、サウジアラビア、イスラエルなどは反発する。結局、このときは撤退しなかった。 今回の撤退情報は2度目。これが実現するとクルドは厳しい状況に陥る。クルドはシリア政府を裏切った代償を支払うことになると見られている。
2018.12.20

日本人が「専守防衛の空洞化」を懸念すべき時は過ぎ去って久しい。今さら懸念しても仕方がない。日本政府は遙か昔に専守防衛を放棄したのだ。そうした視点から日本の軍事政策を見る必要がある。 2015年に就航した海上自衛隊の「いずも」を国外では当初から「空母」に分類することが珍しくなかった。艦首から艦尾まで平らな「全通甲板」を有し、垂直離着陸が可能なMV22オスプレイやステルス戦闘機F-35Bの離発着が想定されていると見られていたからだが、その外観は2014年にアメリカ海軍が就航させた強襲揚陸艦「アメリカ」を連想させる。沖縄の基地問題にしろ、イージス・アショアの配備にしろ、「専守防衛」を前提にした議論はおとぎ話にすぎない。 アメリカ支配層は日本を自分たちの戦争マシーンに組み込む準備を長い年月にわたって進めてきたが、大きな節目は1995年2月。国防次官補だったジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、国連中心主義の立場を放棄してアメリカの単独行動を容認するように求めたのだ。 その前年、1994年の6月に長野県松本市で神経ガスのサリンをまかれる事件(松本サリン事件)が引き起こされ、1995年3月20日に帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、同月30日には警察庁長官だった國松孝次が狙撃されて重傷を負っている。これは偶然か? 1995年8月27日付けのスターズ・アンド・ストライプ紙には、1985年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。その当時、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C-130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づいている。記事の内容は割愛するが、自衛隊の責任を示唆するものだった。 ナイ・レポートの作成を主導したのは好戦派のネオコンだが、この報告書の基盤になる戦略は国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で1992年2月に作成されている。当時の国防長官はリチャード・チェイニー。作成の中心は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツだった。そこでこの指針案はウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 このドクトリンの前提はアメリカが「唯一の超大国」になったということ。他国に気兼ねすることなく、つまり国連を無視して自分勝手に行動できると考えた。そこで、日本に対して国連を無視してアメリカのみに従うことを強要したわけだ。「冷戦の終結」とはそういうことであり、アメリカの世界制覇戦争の幕開けだった。 ソ連というライバルが消滅した後、アメリカの支配層は潜在的なライバルを潰しにかかる。西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアなどだ。特に力を入れたのが東アジア。力の源泉であるエネルギー資源を支配するため、中東やアフリカなどの国々もターゲットになった。 また、アメリカ支配層は民主主義者を装う必要がなくなったと判断、ファシストとしての体質を隠さなくなる。富の集中が急速に進み、貧富の差は拡大していく。 ところが、その過程でロシアは再独立に成功、中国と戦略的な同盟関係に入った。南オセチアを奇襲攻撃したジョージア軍を粉砕、シリアでアメリカなどが送り込んだジハード傭兵を壊滅させたロシア軍は世界的に信頼を高め、アメリカの立場は弱くなっている。そうした現実を隠すため、有力メディアはプロパガンダ機関であることを隠せなくなってしまった。 そうした流れをネオコンたちは軍事的な恫喝(核戦争の脅し)で止めようとしたが、失敗した。アメリカ軍は艦隊を派遣しての威嚇、ミサイルの配備や軍事演習などで恫喝を続けているが、ここにきてロシア政府はアメリカやイギリスの支配層に見切りをつけ、軍事力を前面に出し始めている。 例えば、シリアではイスラエル軍に対する反撃を容認、ベネズエラへは2機のTu-160戦略爆撃機を派遣、ベネズエラ軍のSu-30戦闘機とF-16戦闘機を伴ってカリブ海上空を約10時間にわたって飛行している。爆撃機の派遣は、ドナルド・トランプ政権に対し、INF(中距離核戦力全廃条約)から離脱した場合に何が起こるかを示したのだとも言われている。アメリカ支配層の命令に従って軍備を増強し、侵略戦争の準備を進めた場合に何が日本の周辺で起こるのかも暗示している。
2018.12.19
スーダンのオマル・アル-バシール大統領がシリアを訪問、空港でバシャール・アル-アサド大統領の出迎えを受けた。アメリカをはじめとする諸国がジハード傭兵を使ってシリアへ軍事侵攻するのをみてアサド政権から離れていた各国政府だが、そのジハード傭兵の敗北を見てアサド政権との関係修復に動き始めている。そうした中でのスーダン大統領によるシリア訪問だ。 バシール大統領は1989年に実権を握ったのだが、その前、1983年から内戦が始まり、終結したのは2005年。2011年には南部が独立した。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから6週間ほど後、国防長官の周辺で攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、そしてスーダンが載っていた。(3月、10月) スーダンで内乱が始まった原因は石油。1974年にアメリカの巨大石油会社シェブロンが油田を発見したのだが、1990年代の終盤になるとスーダンでは自国の石油企業が成長してアメリカの石油企業は利権を失っていく。しかも中国やインドなど新たな国々が影響力を強めていった。 スーダンの南部ではSPLM(スーダン人民解放軍)が反政府活動を開始するが、SPLMを率いていたジョン・ガラングはアメリカのジョージア州にあるアメリカ陸軍のフォート・ベニングで訓練を受けた人物。結局、南部は独立に成功した。 フォート・ベニングにはラテン・アメリカ各国の軍人をアメリカの傭兵として訓練する施設、WHINSEC(かつてはSOAと呼ばれた)も存在、自衛官も訓練を受けている。 スーダンでは西部のダルフールでも資源をめぐる戦闘が2003年から激化した。当初、欧米の国々は南スーダンの石油利権に集中、ダルフールの殺戮を無視していたが、ネオコンはダルフールへ積極的に介入する。その資源に目をつけた隣国チャドの政府が反スーダン政府のJEM(正義と平等運動)へ武器を供給したことも戦闘を激化させる一因だった。チャドの背後にはイスラエルが存在していると生前、リビアのムアンマル・アル・カダフィは主張していた。 チャド、カダフィによるとイスラエルとダルフールの利権を巡って戦っていたバシールに対し、ICC(国際刑事裁判所)は2009年3月に逮捕令状を出した。それに対し、イラクを始め世界各国で破壊と殺戮を繰り替えしてきたアメリカの大統領、パレスチナで虐殺を続けているイスラエルの首相などは問題になっていない。
2018.12.18
ロシアとウクライナが1997年に締結、99年に発効した友好条約によって、NATOの艦船がアゾフ海へ入る場合、ロシア側の合意が必要とされている。この条約は廃棄の通告がないかぎり10年ごとに自動延長されることになっているが、今年(2018年)10月、ウクライナのキエフ政権はこの条約の廃棄を宣言した。つまり2019年に廃棄され、NATO軍はロシア側の合意なしにアゾフ海へ入れることになる。 1997年にロシアとウクライナは黒海艦隊に関する条約も結んでいる。これも1999年に発効した。この条約はロシア軍がクリミア半島に2万5000名までの部隊を駐留させることを認めている。2014年当時、1万6000名が駐留していた。 当然、2014年にキエフでネオ・ナチが主導したクーデターが引き起こされた当時もロシア軍はいたのだが、それを西側では「ロシア軍の侵攻部隊」と宣伝していた。いや、今でもそう主張しているメディアは存在する。確信犯だとしか思えない。 キエフのクーデターを背後で操っていたのはバラク・オバマ政権のネオコン。ビクトリア・ヌランド国務次官補が最前線に出て煽っていたが、2013年12月にはジョン・マケイン上院議員が反政府派の集会でアメリカが反政府派を支持していると演説している。年明け後、反政府活動は暴力の度合いを強め、少なからぬ反クーデター派の人々や治安部隊員が殺害された。現在のウクライナはナチスの国のようだ。 そのウクライナにはアメリカの空挺部隊やイギリスの特殊部隊が入り、クーデター政権を支えている。イスラエルの軍人が存在するとも当初から指摘されていた。クーデターを主導したネオ・ナチはNATOの訓練を受けていたとも言われているので、NATOの軍人がいても不思議ではない。 ウクライナ東部、ドンバス(ドネツクやルガンスク)は反クーデター軍が支配しているが、そこをキエフ軍が攻撃する姿勢を強めているとも伝えられている。ドンバス側によると、イギリス軍は化学兵器を使おうとしているという。 2014年にネオコンがウクライナで実行したクーデターの際、クリミアを制圧できなかったのはアメリカの好戦派にとって誤算だった。力尽くでクリミアを奪うべきだという声も聞こえてくる。 11月25日にウクライナ軍のガンボート(砲艦)2隻とタグボート1隻が手続きを無視して無断でロシアが領海と定めているケルチ海峡へ入った。撃沈されても不思議ではない状況だったが、その事件が引き起こされる前日、NATOは大規模な軍事演習、トライデント・ジャンクチャーを実施している。ちなみに、ウクライナの紋章は三つ叉の矛(トライデント)だ。軍事演習に合わせる形でキエフ軍はドネツクにある中立地帯の一部を占領している。 キエフ政権/NATOは2019年にウクライナで何らかの軍事的な行動に出ることを匂わせている。
2018.12.16
日本政府は12月14日、沖縄県名護市辺野古のアメリカ軍キャンプ・シュワブ南側の沿岸部に土砂を投入し始めたという。アメリカ軍の「普天間飛行場を移設」するためだとしているが、これは口先だけで、「新基地建設」が実態だろう。 首相だった橋本龍太郎と駐日大使のウォルター・モンデールが普天間基地の返還合意を発表したのは1996年4月。その前年にアメリカ兵が少女を暴行するという事件が引き起こされ、それが「移設」の口実に使われた。 1995年は日本がアメリカの戦争マシーンへ組み込まれる節目の年である。その年の2月にアメリカの国防次官補だったジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、国連中心主義の立場を放棄してアメリカの単独行動を容認するように求めている。 ナイ・レポートが発表された翌月20日に帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、同月30日に警察庁長官だった國松孝次が狙撃されて重傷を負っている。 8月27日付けのスターズ・アンド・ストライプ紙には、1985年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。その当時、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C-130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づいている。記事の内容は割愛するが、自衛隊の責任を示唆するものだった。 基地へ戻ったアントヌッチたちに対し、アメリカ軍の上層部は墜落に関する話をしないように命令したが、その10年後にアメリカ軍の準機関紙にその話が掲載された。軍の上層部が許可したということだ。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれた事件(松本サリン事件)を含め、日本政府を震撼とさせる出来事が相次いでいる。 当時、アメリカは1992年2月に作成された世界制覇プランに基づいて動き始めていた。1991年12月にソ連が消滅するとネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと認識し、他国に配慮することなくアメリカが単独で行動できる時代が来たと考えた。 その考えに基づき、国防総省のDPG草案という形で作成したのだ。当時、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心になって書き上げられたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 ソ連を消滅させる決定はロシア大統領だったボリス・エリツィンが行ったが、この人物はアメリカなど西側支配層の傀儡。ソ連は解体され、ロシアはシティやウォール街の属国になって略奪されることになる。 ネオコンが次に潰す相手と考えたのは中国。そこで東アジア重視を打ち出す。明治維新以来、アングロ・サクソンが中国を侵略する拠点として使う国は日本にほかならない。こうした流れの中で「普天間飛行場移設」が浮上したのである。その先には中国との戦争が見える。 ここで詳しくは書かないが、ナイ・レポート以降、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、自衛隊はアメリカの傭兵になりつつある。アメリカは中東や北アフリカで侵略の道具としてジハード傭兵、つまりアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)と似たような役割を求められている。 アメリカ支配層の戦略に合わせ、安倍晋三政権は戦争体制を整えてきた。「民意」など無視した強引なことを繰り返してきたが、そうしたことが可能な態勢を作る上で重要な役割を果たしたのが検察、マスコミ、そして野党だ。 ネオコンの戦略を実行する上で障害になりそうだった鳩山由紀夫内閣が2009年9月に成立するが、そうした展開を見越して2006年には鳩山の同志的な存在だった小沢一郎に対するメディアの攻撃が始まる。 例えば、週刊現代の2006年6月3日号に「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事が掲載された。2009年11月には「市民団体」が陸山会の政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕された。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発している。マスコミと検察がタッグを組み、小沢を潰しにかかったと言える。そして民主党の菅直人政権と野田佳彦政権は自爆した。 「普天間飛行場移設」はアメリカが中国と戦争するための準備の一環だと考えるべきだろう。21世紀に入ってロシアが再独立、バラク・オバマ政権は2014年2月にウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させたが、その結果、中国とロシアは戦略的な同盟国になった。中国との戦争はロシアとの戦争にもなる。状況は大きく変化したのだが、アメリカの好戦派は武力を利用した制圧の方針を変えていないようだ。
2018.12.15
ドナルド・トランプ大統領は12月7日、次期司法長官としてウィリアム・バーを指名した。ジョージ・H・W・ブッシュが大統領だった1990年5月から91年11月にかけて司法副長官、91年11月から93年1月まで司法長官を務めているが、元々はCIAの人間である。 バーはコロンビア大学で1971年に学士、73年に修士を授与された。この大学はズビグネフ・ブレジンスキーというCIAの大物が教えていた場所だが、バーは高校時代にCIAからリクルートされたと言われている。1973年からCIAで働いていることは隠されていない。 ジョージ・H・W・ブッシュがCIA長官になった1976年、バーはCIAの法務部門に配属され、秘密工作チームの一員として活動しはじめる。当時の大統領はリチャード・ニクソンの失脚を受け、副大統領から昇格したジェラルド・フォード。 フォード大統領はデタント派を粛清するが、そのひとりとしてウィリアム・コルビーCIA長官が解任されている。コルビーはフランク・チャーチ上院議員の委員会などでCIAが行った秘密工作の一端を明らかにし、CIA人脈から危険だと判断されたようだ。議会の調査をバーは妨害する役割を負っていた。 1980年の大統領選挙でCIA人脈はブッシュを支援するが、共和党の候補者選びでロナルド・レーガンに敗北、レーガン政権でブッシュは副大統領に就任する。 この選挙における民主党の候補は現職のジミー・カーター。ブレジンスキーとデイビッド・ロックフェラーが選んだ人物だったが、イスラエルへの忠誠心が不十分だったこともあって激しく批判され、再選はならなかった。 カーター政権で国際問題は国家安全保障長官だったブレジンスキーが担当、ソ連軍をアフガニスタンへ誘い込み、そこでジハード傭兵と戦わせるという作戦を立てた。傭兵の中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団。アフガニスタンへ戦闘員を送り込む仕事をしていたひとりがサウジアラビアの富豪の息子、オサマ・ビン・ラディンだ。 この政権でCIA長官だったスタンスフィールド・ターナーはCIA内部の破壊工作グループを追放したが、ブレジンスキーはそうした人脈を使う。その際に利用したのがフランス、サウジアラビア、王政時代のイラン、モロッコなどの情報機関メンバーが作ったサファリ・クラブ。その中心にはCIA人脈が存在していた。 ブレジンスキーの戦略に基づいてカーター大統領はジハード傭兵への支援プログラムを承認、1979年5月にはCIAイスタンブール支局長がパキスタンの情報機関ISIの協力でアフガニスタンのリーダーたちと会談している。(Alfred W. McCoy, “The Politics Of Heroin”, Lawrence Hill Books, 1991) ブレジンスキーの思惑通り1979年12月にソ連軍がアフガニスタンへ軍事介入する。CIAは工作資金を調達するために武器や麻薬の密輸を行う。麻薬取引はベトナム戦争の際にも使った方法。そうした闇資金を処理する役割を負っていたのがBCCIにほかならない。 アフガニスタンにおける秘密工作の一端はイラン・コントラ事件として発覚、ジョン・ケリー上院議員らが調査を始める。レーガン政権ではブッシュ副大統領の下でブレジンスキーの秘密工作は継続されていた。ブッシュの下にいたバーが議会の調査を妨害する。 CIAはアフガニスタンでヘロイン、ニカラグアの反革命ゲリラ(コントラ)支援ではコカインの取り引きで稼いでいたが、テリー・リードによると、こうした麻薬取引を取り仕切っていたのがバー。その工作でバーは「ロバート・ジョンソン」と名乗っていた。 ジョージ・H・W・ブッシュは死亡したが、その手下は今でもホワイトハウスの周辺を徘徊している。
2018.12.14
アメリカの要請でカナダが12月1日に逮捕した孟晩舟の保釈が認められたという。この女性は中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズのCFO(最高財務責任者)で、同社の創業者である任正非の娘でもある。 逮捕はアメリカ当局の要請に基づくもので、イランに対する経済「制裁」に違反したからだとされている。この「制裁」はアメリカ政府の独善に基づく正当性を欠た代物であり、逮捕も正当性を欠く。もっとも、アメリカに正当性やルール遵守を求めても無駄だが。 今回の逮捕はアメリカのドナルド・トランプ大統領が中国の習近平習近平国家主席と貿易問題について話し合っている最中に実行された。トランプ大統領は事前に知らされていなかったようだ。 それに対し、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官は逮捕を知っていたという。ボルトンはカジノ経営者のシェルドン・アデルソンの影響下にあるが、この人物はトランプにとって最大のスポンサーでもある。トランプはアデルソンの意向に従っていないのかもしれない。 アデルソンは2013年10月にイランを核攻撃するべきだと発言したことでも知られている。孟晩舟の逮捕理由がイランに対する「制裁」に違反したからだとされているのは、そうした背景があるのだろう。 アメリカが計画した「制裁」の中心には石油輸出の阻止があるのだが、中国やインドのような大口の輸入国もイラン産原油の輸入を止めるようなことはしていない。無理なのだ。 アデルソンと親密な関係にあるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の父親、ベンシオン・ネタニヤフはニューヨークでウラジミール・ジャボチンスキーの秘書として働いていた。 言うまでもなく、ジャボチンスキーは1925年に戦闘的シオニスト団体の「修正主義シオニスト世界連合」を結成した人物で、1931年にはテロ組織と言われているイルグンを組織している。そこから飛び出したアブラハム・スターンが1940年に創設した新たなテロ組織がレヒ、いわゆるスターン・ギャングだ。スターン・ギャングが作られた年にジャボチンスキーは心臓発作で死亡している。 アデルソンの背後にはそうしたネットワークが存在しているはずだが、表面に出ている人物の中ではアデルソンが黒幕的な存在。中国はカナダの元外交官を拘束したというが、もし本気で報復するのなら、中国政府はアデルソンがマカオで経営しているカジノを閉鎖するだろうと言われている。 カジノはオフショア市場と密接な関係にあり、マネーロンダリングが行われている可能性が高い。マカオのカジノでは汚職の噂があり、中国の当局が摘発する材料はそろっている。 中国との関係では、パプアニューギニアで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議でマイク・ペンス副大統領が中国の習近平国家主席と激しく衝突、会議の共同宣言は採択されなかった。このペンスはキリスト教系カルト(ファンダメンタリスト)につながり、宗教的にはマイク・ポンペオ国務長官も近い。こうしたカルトは1970年代からシオニストと手を組んでいる。 ジャボチンスキー系シオニストのボルトンやキリスト教系カルトのペンスやポンペオがトランプ大統領を無視して動き始めたようにみえる。ロシアとの核戦争へ向かおうとしている民主党だけでなく、イランを潰すために中国との戦争へ突き進もうとしているカルトをトランプは相手にしなければならない。
2018.12.14
ロシア軍が派遣した2機のTu-160戦略爆撃機が12月12日、ベネズエラ軍のSu-30戦闘機とF-16戦闘機を伴ってカリブ海上空を約10時間にわたって飛行したという。アメリカ政府やそのベネズエラにおける手先の勢力に対するデモンストレーションだと言えるだろう。 同日遅く、アメリカ政府はTu-160が14日にベネズエラを離れて帰国すると「勝利宣言」したという。当初からロシア側は共同軍事訓練に参加するためとしているわけで、帰国は時間の問題だった。おそらくベネズエラに置いていくのであろう輸送機が運んできた何かに興味がある。 今回のロシア軍機飛来はベネズエラの体制を転覆させる目的でアメリカ支配層が操っているグループを動揺させたと言われている。アメリカ政府の声明はそうしたグループに対するメッセージなのだろう。 なお、アメリカのロシア大使館はTu-160がいつまでベネズエラに滞在するかをアメリカ側へ伝えていないとしている。
2018.12.13
ロシア軍が派遣した2機のTu-160戦略爆撃機、An-124輸送機、そしてIl-62が12月10日にベネズエラへ着いた。共同軍事訓練に参加するためだとされている。Tu-160は最高速度がマッハ2.3という超音速機で、An-124の最大積載量は150トンだ。 12月4日にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領はロシアを訪問、ロシアが石油開発に50億ドル、金の採掘などに100万ドルの投資をすることで合意している。アメリカの経済的な攻撃で苦境に陥っているベネズエラだが、ウラジミル・プーチン露大統領は支援を約束した。 一般的に、アメリカ支配層の侵略はエリートの買収から始まる。これに失敗すると経済的な攻撃、反対勢力への支援、プロパガンダや手先のグループ(配下の労働組合やNGOなど)を使った抗議活動で国内を不安定化、そして軍事クーデターやアメリカ軍の侵攻へと続く。要人暗殺も行われてきた。 すでにドナルド・トランプ政権は経済戦争だけでなく、体制転覆の準備を進めている可能性は高い。例えば、ニューヨーク・タイムズ紙は9月8日付けの紙面でトランプ政権が2017年からベネズエラの反体制派の将校と秘密裏に会い、マドゥロ政権の転覆について話し合っていると伝えている。今年(2018年)5月22日にベネズエラ政府はトッド・ロビンソン米大使と上級外交官のブライアン・ナランジョに対し、「軍事的な陰謀」を理由に、48時間以内に国外へ出るように命じているので、そうした動きがすでに進んでいたのかもしれない。 アメリカ政府のベネズエラに対するクーデター計画はビル・クリントンが大統領だった1999年から始まる。この年にベネズエラの大統領となったウーゴ・チャベスがアメリカから自立した体制を築こうと考えたからだ。その計画は2002年にジョージ・W・ブッシュ政権が始動させた。 このクーデター計画で中心になったのはイラン・コントラ事件に登場するエリオット・エイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そしてジョン・ネグロポンテ国連大使だ。 ネグロポンテは1981年から85年にかけてホンジュラス駐在大使を務めていたが、そのときにニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊にも関係している。ベネズエラでのクーデターに参加していた時は国連大使を務めていた。その後、2004年から05年にかけてはイラク駐在大使だ。 2002年のクーデター計画の場合、事前にOPECの事務局長を務めていたベネズエラ人、アリ・ロドリゲスからウーゴ・チャベス大統領へ知らされたからだが、それでアメリカ支配層があきらめることはなかった。 例えば、ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画されている。「民主的機関」、つまりアメリカの支配システムに操られている機関を強化し、チャベスの政治的な拠点に潜入、チャベス派を分裂させ、それによってアメリカの重要なビジネスを保護し、チャベスを国際的に孤立させるとしている。 この計画も成功しなかったが、チャベスは2013年3月、癌のため、58歳の若さで死亡した。アメリカは発癌性のウィルスを開発、実際に使っていると言われているが、チャベスのケースがそれに該当するかどうかは不明だ。 ネオコンは1991年1月にイラクへ軍事侵攻して以来、自分たちの武力行使を誰も妨害しないと思い込んでいる。そのとき、ソ連が軍事介入しなかったからだが、当時のソ連は混乱の最中にあった。 その思い込みは南オセチアへの奇襲攻撃におけるロシア軍の反撃、シリアでのロシア軍の介入で否定されているのだが、攻撃をエスカレートさせれば機能すると考えているようだ。 一方、ロシアはアメリカに見切りをつけたように見える。アメリカがロシアや中国の周辺にミサイルを配備、部隊を送り込んでいるが、ロシア政府はアメリカ支配層の頭に冷水を浴びせるため、ベネズエラで軍事的なデモンストレーションをするかもしれない。ベネズエラにアメリカの傀儡体制が誕生した場合、同国の石油をアメリカが支配することになり、中東などで戦争を始めるハードルが下がる。そうした事態をロシアは望んでいないだろう。
2018.12.13
ヒラリー・クリントンの電子メールが公表された後、西側の有力メディアはその中身を問題にせず、ロシアゲートをでっちあげることになった。 まず、ヒラリー・クリントン陣営や民主党全国委員会の法律顧問を務めていたマーク・エリアス弁護士がフュージョンという会社にドナルド・トランプに関する調査を依頼する。 そのフュージョンを創設したひとりのグレン・シンプソンによると、同社は2016年秋にネリー・オーなる人物にドナルド・トランプの調査と分析を依頼している。その夫、ブルース・オーは司法省の幹部で、このオーとシンプソンは2016年11月に会っている。その直後にブルースは司法省のポストを失い、フュージョンはクリストファー・スティールに調査を依頼することになる。 スティールはイギリスの対外情報機関SIS(通称MI6)の元オフィサーで、1990年から93年までモスクワで活動していた。CIAのOB、モサド、KGBの腐敗した幹部がソ連を乗っ取るためにクーデターを行った時期に彼もソ連にいたわけで、このクーデターで何らかの役割を果たしたのだろう。 ところで、情報機関に「元」ということはないと言われている。対トランプ工作もSISが関与していた可能性がある。また、スティールは長期にわたるFBIの情報提供者だったとも言われている。 このスティールが作成した報告書も根拠薄弱。この事実はスティール本人も認めているが、その報告書を元に下院情報委員会でアダム・シッフ下院議員はロシア疑惑劇の開幕を宣言した。2016年の大統領選挙にロシアが介入したとする声明を2017年3月に出したのだ。そして同年5月にロバート・マラーが特別検察官に任命される。このマラーが胡散臭い人物だということは本ブログでも指摘してきたが、その点を今回は割愛する。 ロシアゲート劇の発端とも言えるウィキリークスが公表した電子メールについて有力メディアは忘れている、あるいは忘れたふりをしている。その電子メールがハッキングで盗まれたのではなく、内部でコピーされていることは技術的な分析で指摘されてきた。 コミーがその電子メールについての声明を発表した5日後、DNCのスタッフだったセス・リッチが背中を2度撃たれて殺されたことも注目されている。警察は強盗にあったと発表したが、金目のものは盗まれていない。その発表に納得できなかったリッチの両親は元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーを雇う。 そのウィーラーはDNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルがセスからウィキリークスへ渡されたとしている。雇い主であるリッチの家族に無断で情報を公表したとしてウィーラーは批判され、それ以降沈黙している。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがDNCから漏れた電子メールについて電話で語った音声がインターネット上で公開されたが、その中で彼はワシントンDC警察やFBIの報告書を見たとしたうえで、電子メールをウィキリークスへ渡したのはDNCのコンピュータ担当スタッフだったセス・リッチだと発言していた。また、その漏洩した電子メールはロシア政府がハッキングしたとする偽情報を流し、ロシアとアメリカとの関係悪化を目論んだのはCIA長官だったジョン・ブレナンだとも語っている。 ウィキリークスの創設者であるジュリアン・アッサンジはロンドンにあるエクアドル大使館に閉じ込めらている状態。この大使館へ逃げ込んだ理由はスウェーデン当局が事件をでっち上げて逮捕しようとしたからだが、2017年3月に捜査の打ち切りが決まっている。嫌疑なしということ。 そのアッサンジをアメリカの司法当局は秘密裏に起訴している。エクアドル政府にアッサンジの引き渡しを要求、イギリス政府も協力している。(了)
2018.12.12
ウィキリークスが電子メールを公表した直後、FBI長官だったジェームズ・コミーはヒラリー・クリントンが国務長官だった時代の電子メールに関する声明を発表した。 その中で彼女は機密情報の取り扱いに関する法規に批判した可能性があり、そうした情報を「きわめて軽率(Extremely Careless)」に扱っていたことを認めているのだが、その上で司法省に対して彼女の不起訴を勧告する。 「きわめて軽率」という表現は元々「非常に怠慢(Grossly Negligent)」だとされていたのだが、それをFBI捜査官のピーター・ストルゾクが書き換えていたことが判明している。「非常に怠慢」だと認められた場合、罰金、あるいは10年以下の懲役が科せられる。クリントンが刑務所行きになることを防ぐために書き換えたと見られている。 この決定の理由としてクリントンが電子メールを消去してしまったことも挙げられているのだが、全てのメールはNSAが記録しているので、理由にならない。 そうした批判はFBIの内部にもあったようで、2016年10月28日に捜査の再開が宣言されるのだが、投票日の2日前に捜査の終了が宣言されている。コミーはネオコンや戦争ビジネスに近く、政治的に動く長官だった。 コミーは2005年8月に司法副長官を辞め、軍需企業のロッキード・マーチンの上級副社長に就任している。ヒラリー・クリントンが上院議員の時代からスポンサーにしている会社だ。コミーは2010年6月まで在籍、バラク・オバマ大統領からFBI長官に指名されたのは13年9月のことである。 コミーにはピーターという兄弟がいるのだが、この人物が所属している法律事務所DLAパイパーはクリントン財団の監査を行い、しかも同財団へ多額の寄付をしている。 クリントン財団やクリントン-ブッシュ基金はハイチの利権にも深く関係していると言われている。ハイチでは2010年に大きな地震があり、多くの人がアメリカへ不法入国、それに対して6万人近くへ強制退去させない処置をとってきた。 地震当時の国務長官はヒラリー・クリントン。つまり災害対策の政府における責任者はクリントンで、USAID(形式上、国務省の管轄下にあるが、実際はCIAの資金を流すルート)の資金を監督する立場にあった。国連特使には夫のビル・クリントンが就任している。ビルはクリントン-ブッシュ基金やクリントン財団の理事長で、ハイチ再建暫定委員会の共同委員長でもあった。 ハイチには金鉱脈があって潜在的に豊かな国なのだが、今は貧しい国と見なされているいる。資源の開発が進まず、失業率は70%を超すという。ヒラリーの弟、トニー・ローダムは金の利権に食い込んでいるようだが、大多数の庶民はその恩恵に浴していない。 ハイチに限らず、クリントン財団は「慈善事業」を名目にして多額の寄付を集めている。ハイチの場合、60億ドルから140億ドルを財団は集めたと見られているが、その内容は明らかにされていない。しかも、国際規模でチャリティーを行うために必要な正規の手続きを踏んでいないという。法律的に問題を抱えているわけだ。 2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝てばバラク・オバマが大統領の間に恩赦を与える手はずになっていたが、トランプが勝ったため、シナリオに狂いが生じたようだ。 もしクリントン財団の不正にメスが入ったなら、クリントン夫妻だけでなくピーター・コミーも責任を問われ、ジェームズ・コミーも巻き込まれる可能性がある。ジェームズ・コミーやヒラリー・クリントンが深く関係しているロッキード・マーチンの問題が注目されるかもしれない。(つづく)
2018.12.11
2016年のアメリカ大統領選挙にロシア政府が介入したことを示す証拠は未だに示されていない。つまり「ロシアゲート」はおとぎ話の類いにすぎない。その語り部の一人がジェームズ・コミー前FBI長官だ。 アメリカの電子情報機関NSAの歴史で最高の分析官のひとりと言われ、そのNSAの不正を内部告発したことでも知られているウィリアム・ビニーも指摘しているように、「ロシアゲート」が事実ならすべての通信を傍受、記録しているNSAからその傍受記録を取り寄せるだけで決着が付くのだ。それができないでいる。 この「疑惑」の出発点はウィキリークスが2016年7月に公開したヒラリー・クリントンの電子メール。その中には2015年5月26日の時点の段階で民主党の幹部たちがヒラリー・クリントンを同党の候補者にすることを内定していたことを示唆するものが含まれていた。 民主党がクリントンを候補者に選ぶ方向で動いていたことはDNC(民主党全国委員会)の委員長だったドンナ・ブラジルも認めている。 彼女はウィキリークスが公表した電子メールの内容を確認するために文書類を調査、DNC、ヒラリー勝利基金、アメリカのためのヒラリーという3者の間で結ばれた資金募集に関する合意を示す書類を発見したという。その書類にはヒラリーが民主党のファイナンス、戦略、そして全ての調達資金を管理することが定められていたという。その合意は彼女が指名を受ける1年程前の2015年8月になされている。 その2ヶ月前、2015年6月11日から14日にかけてオーストリアで開催されたビルダーバーグ・グループの会合にヒラリー・クリントンの旧友、ジム・メッシナが参加、この時点でクリントンの大統領就任は内定したという噂が流れた。電子メールの内容と符合する。 ちなみに、ビルダーバーグ・グループは欧米支配層の利害調整機関と位置づけられ、その第1回総会は1954年にオランダのビルダーバーグ・ホテルで開かれている。(つづく)
2018.12.11
日本政府が大枠を固めたという2019年度から23年度の中期防衛力整備計画(中期防)は総額で27兆円台になるという。高額低性能の戦闘機、F-35A/Bを100機購入する方針だともいう。こうした情報は世界的な話題になっている。 軍事予算の拡大にはいくつかの理由がある。ひとつは戦争ビジネスを儲けさせ、アメリカのドル体制を維持することだが、アメリカが打ち出している戦略に合わせるという理由もある。戦略こそがベースであり、カネ儲けはその戦略を利用してのことだ。 ドナルド・トランプ大統領に限らず、アメリカ政府は日本との貿易が赤字になっていることを問題にしてきた。アメリカは発行したドルで日本から商品を購入しているが、それを放置しておくとインフレの原因になり、ドルのさらなる発行が制約されてしまう。そこでドルをアメリカへ還流させ、実世界から吸い上げたいのだ。ペトロダラーの仕組みと基本的に同じだ。 F-35については欠陥商品の押し売りに近い。この戦闘機はプログラム・コストが1兆5000億ドル以上と言われる高額兵器だが、2015年1月にカリフォルニア州のエドワード空軍基地近くで行われたF-16D戦闘機との模擬空中戦でF-35A(通常離着陸型)は完敗した。つまり迎撃用の戦闘機には不向きなのだ。 唯一のセールスポイントはステルス性能だとされてきたが、それも言われるほどではないようだ。2017年10月にロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣はイスラエルを訪問、それに合わせて同国の空軍はシリアを攻撃したのだが、その際にイスラエル軍のF-35が「コウノトリと衝突して飛行できない状態になった」という。これはイスラエル軍の発表だが、その状況を示す写真などが明らかにされていないこともあり、シリア政府軍が発射した旧式の防空システムS-200で損傷を受けたのではないかとも噂されている。 この推測が正しいなら、シリアへ提供されたS-300 PMU-2ならF-35を容易に撃墜してしまう。S-400の敵ではないということにもなる。F-35を買いたがっている国は少ないだろう。 現在、中国やイランにつづき、インド、トルコ、さらにサウジアラビア、アルメニア、ベラルーシ、エジプト、カザフスタン、ベトナムなどがS-400の導入に前向きの姿勢を見せているが、理由のひとつはシリアでの戦争でロシアの防空システムがアメリカのものより安く、しかも高性能だということが明らかになったことにある。 日本政府はF-35を使うような状況にはならないと高を括っているのかもしれないが、1992年2月にネオコンが国防総省のDPG草案という形で作成した世界制覇プランに日本の軍事政策も拘束されている。 当時の国防総省はネオコンが主導権を握っていた。長官はリチャード・チェイニー、次官はポール・ウォルフォウィッツ。このDPGはウォルフォウィッツが中心になって作成されたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 1991年12月のソ連消滅でアメリカを唯一の超大国になったとネオコンは認識、そのアメリカに君臨している自分たちが世界の覇者になることは確定的だと考える。ソ連の次は中国だということで東アジア重視を打ち出しているが、中国はソ連と違ってライバル的な存在ではないと判断していた。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンでは旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルが実際のライバルへ成長することを阻止、力の源泉であるエネルギー資源を抱える西南アジアの制圧も計画する。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成される前年、ウォルフォウィッツ次官はイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしている。(3月、10月) こうしたドクトリンに基づいて動き始めたアメリカの戦争マシーンに日本が組み込まれていくのは1995年だろう。その年の2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表されている。 それまで日本政府は国連中心主義の立場をとっていたが、それ以降、アメリカの単独行動を容認するようになった。本人たちはどのように認識しているのか不明だが、日本政府は中国と戦争する準備を進めている。中国との戦争が始まればロシアとも戦争になり、日本列島は核戦争の最前線になると考えなければならない。つまり破滅、いや消滅だ。 ちなみに、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月20日には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、同月30日に警察庁長官だった國松孝次が狙撃されて重傷を負っている。そして8月27日付けのスターズ・アンド・ストライプ紙には、日本航空123便に関する記事が掲載された。この当時、オウム真理教が親しくしていたロシアのボリス・エリツィン大統領はウォール街やシティの傀儡だ。
2018.12.11
ロシアのウラジミル・プーチン大統領は12月7日にモスクワでギリシャのアレクシス・チプラス首相と会談、その後にタークストリーム(トルコ・ストリーム)をギリシャへ伸ばし、そこからイタリアへ天然ガスを供給する可能性に言及した。 今年11月に完成したタークストリームはアゾフ海の入り口に近くから黒海を横断、トラキアのトルコ領へつながっている。そこからブルガリアを通り、セルビア、ハンガリー、オーストリアを結ぶルートが考えられているが、ギリシャを経由してイタリアへというルートも排除されないというわけだ。 ロシアから天然ガスを運ぶパイプラインの建設はかつてロシアが提案しているが、チプラス政権は拒否している。バラク・オバマ大統領がビクトリア・ヌランド国務次官補をギリシャへ派遣して脅していた。 伝えられるところによると、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなとヌランドは警告、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙によると、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていたという。 ロシア案を拒否したギリシャ政府は同国の東北部、トルコとの国境に近いアレクサンドルポリをイスラエルから天然ガスを運ぶためのパイプラインのハブ基地にしようとした。 地中海の東部海域に膨大な天然ガスが眠っていることは本ブログでも紹介してきた。イスラエルがレバノンからシリアにかけてを制圧したがっている理由のひとつだろう。 イスラエルはその天然ガスを運ぶパイプラインをキプロス島やクレタ島、そしてギリシャを経由し、そこからヨーロッパへ運ぶ計画を持っているが、実現まで時間がかかりそうだ。 この海域をアメリカは中東支配の拠点にしようとしている。以前にも書いたが、ロードス島とクレタ島の中間にあるカルパトス島にギリシャ軍はアメリカ軍と共同で基地を建設、アメリカ軍のF22戦闘機の拠点にしようと計画していると言われている。今年(2018年)春からギリシャのラリサ空軍基地はアメリカ軍のUAV(無人機)、MQ-9リーパー(死に神。プレデターBとも呼ばれる)の拠点として運用されている。 2001年に通貨をドラクマからユーロへ切り替えたことが直接的な原因でギリシャは経済破綻、ESM(欧州安定メカニズム)の「金融支援」を受けることになった。 通貨の切り替えができないほどギリシャ経済は良くなかったのだが、その大きな原因は第2次世界世界大戦や軍事クーデターによる国の破壊。有力メディアが宣伝したような年金制度や公務員の問題などは本質的な問題ではなかった。 そうした支援をギリシャは脱却したと報道されたが、予定通り進んでも債務の返済にはあと半世紀は必要だとされている。しかも支援の過程で経済は4分の1に縮小、若者や専門技術を持つ人びとを中心に約40万人のギリシャ人が国外へ移住、メンテナンスを放棄したことからインフラを含む700億ユーロ相当の資産が失われた。ギリシャ危機が終わったのではなく、ギリシャという国が終わったのだと言う人は少なくない。 西側の巨大資本はギリシャでの略奪は一段落、チプラス首相はロシア側と接触できる環境になったのだろう。
2018.12.10
中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズのCFO(最高財務責任者)で同社の創業者である任正非の娘、孟晩舟が12月1日にカナダで逮捕された。アメリカ当局の要請に基づくものだ。この逮捕はアメリカのドナルド・トランプ大統領が中国の習近平国家主席と貿易問題について話し合っている最中に実行された。 ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官は逮捕を事前に知っていたというが、トランプ大統領は知らされていなかったとされている。この逮捕が中国とアメリカとの関係に影響を及ぼすことは明白で、実際、中国側は今回の逮捕を自分たちに対する「宣戦布告」だと考えていると伝えられている。ボルトンが大統領の指揮下にないことを示唆している。 逮捕の理由はイランに対する経済「制裁」に違反したからだというが、この「制裁」自体が正当性を欠いている代物。今回の逮捕はアメリカ支配層に楯突く奴は許さないといういことにすぎず、中国に対する脅しのつもりなのだろう。 ファーウェイ・テクノロジーズが製造する携帯電話のシェアが拡大していることをアメリカの情報機関が懸念しているとも伝えられている。自分たちがコントロールできない会社の通信機器が世界に広まることで通信傍受に支障が出る、あるいは中国側が自分たちと同じように情報を取るようなると恐れているのかもしれない。 CIAが封書の内容を調べるために開封していることは1974年12月に発覚しているが、その前年にランパート誌に電子情報機関のNSA(国家安全保障庁)で分析官を務めていた人物の内部告発が掲載されている。 1975年1月にはアメリカ上院で情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会が設置され、同年2月には下院で情報特別委員会が設置された。委員長はフランク・チャーチ上院議員とルシエン・ネジ下院議員(すぐにオーティス・パイク議員へ交代)。 委員会では情報機関の秘密工作について調べられ、その一端が明るみに出る。チャーチ議員は1975年にNBCのミート・ザ・プレスという番組で、情報機関は電話での会話やテレグラムなどあらゆるものをモニターする能力があり、それが実行されると人々は隠れる場所がなくなると警告している。それは現実になった。 NSAはイギリスの電子情報機関GCHQとUKUSA(ユクザ)という連合体を作っているが、このGCHQの存在はイギリスのジャーナリスト、ダンカン・キャンベルが1976年に明らかにするまで一般的には知られていなかった。 UKUSAはNSAとGCHQの下でカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関が活動、この5機関はファイブ・アイズと呼ばれている。この連合体はイスラエルの8200機関とも緊密な関係にある。UKUSAへはドイツ、フランス、イタリア、日本なども参加しているというが、「仲間」とは言い難い。 UKUSAや8200機関は通信機器メーカー、コンピュータ会社、インターネット関連企業などを使い、通信システムを支配し、情報の盗んできた。その独占体制をファーウェイ・テクノロジーズは揺るがせている。そうした面でもファーウェイ・テクノロジーズはアングロ・サクソン支配層の敵だ。
2018.12.09
当時、ロシアは農業を収入源にする大土地所有者と戦争をビジネス・チャンスと考える新興の産業資本家が2本柱だった。皇帝は軍人の意見もあり、戦争に傾いていくが、農民の意見を聞くということで皇帝がそばに置いていたグリゴリー・ラスプーチンは戦争に反対。皇后もやはり戦争を嫌っていた。 軍事的な緊張が高まる中、1914年6月28日にオーストリア皇太子夫妻がセルビア人に暗殺され、開戦の危機が高まる。そこで7月13日に皇后はラスプーチンに電報を打っているが、その日に彼は腹を刺されて重傷を負う。8月中旬にラスプーチンは退院するが、7月28日に大戦は始まっていた。 その後もラスプーチンは皇后と同様、国が滅びるとして戦争に反対するが、拉致され、1916年12月30日に射殺体となって発見された。有力貴族が暗殺したと言われているが、黒幕はイギリスの情報機関SIS(通称MI6)だとする説がある。 1916年にイギリス外務省はサミュエル・ホーアー中佐を始めとする情報機関のチームをペトログラードへ派遣したが、その中に含まれていたオズワルド・レイナーはオックスフォード大学でフェリックス・ユスポフ公の「友人」。このチームが暗殺の実行部隊だと推測する人がいるのだ。暗殺の直前、レイナーがユスポフ公の宮殿を何度も訪れていることがわかっている。 当時の状況を考えると、ラスプーチンが重傷を負わず、暗殺もされなかったなら、皇后と手を組んで参戦に反対していたはず。大土地所有者や農民も戦争に反対だ。参戦しても早い段階でロシアが戦争から離脱したならドイツは兵力を西部戦線に集中、アメリカが参戦する前に勝利していた可能性がある。 ラスプーチンが暗殺された直後、産業資本家を中心とする勢力が3月に革命で王政を倒す。いわゆる「二月革命」だ。そこにはメンシェビキやエス・エルが参加していた。この当時、レフ・トロツキーはメンシェビキのメンバーで、ニューヨークにいた。 二月革命の際、ウラジミール・レーニンをはじめとするするボルシェビキの指導者は国外に亡命しているか、刑務所に入れられていて、革命に参加していない。そうした亡命中のボルシェビキの幹部をドイツは「封印列車」でロシアへ運んだ。ボルシェビキが即時停戦を主張していたからである。 結果としてボルシェビキ政権が誕生、ロシアは戦争から離脱するのだが、アメリカの参戦で帳消しになる。イギリス、フランス、アメリカ、そして日本などはそのボルシェビキ体制を倒すため、1918年に軍隊を派遣して干渉戦争を始める。ロシア革命とはふたつの全く違う革命の総称であり、ボルシェビキは最初の革命には事実上、参加していない。 第2次世界大戦でドイツ軍を倒したのはソ連軍だった。アメリカ軍やイギリス軍は勝負がついた後、ウォール街とナチス幹部が話し合いを進めるのと並行してヨーロッパで戦っただけで、ソ連対策だったと言える。しかも、ドイツが降伏するとイギリス政府はロシアを奇襲攻撃しようとした。 結局、ふたつの大戦でソ連/ロシアやヨーロッパは破壊される。中国など東アジアは日本軍に蹂躙された。その一方でアメリカは自国が事実上、戦場になっていない。しかも軍需で大儲けし、ドイツや日本が略奪した財宝を手に入れた。その結果、大きな力を持つことになった。 しかし、アメリカはその地位から陥落しそうだ。アメリカは中東やアフリカなど資源の豊かな地域だけでなく、東アジアやヨーロッパで軍事的な緊張を高めている。これは1992年に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンに沿うもの。東アジアやヨーロッパを戦争で破壊するつもりかもしれない。(了)
2018.12.08
アメリカ支配層は軍事力でソ連/ロシアを恫喝、服従させて世界の覇者になろうとしている。その戦略が遅くとも1904年までさかのぼれることは本ブログでも繰り返し書いてきた。 その当時、ポーランドをロシアから独立させようという運動が存在した。プロメテウス計画と呼ばれているが、その指導者はユゼフ・ピウスツキ。 その後継者ともいうべき人物がブワディスラフ・シコルスキーである。第2次世界大戦中はロンドンへ逃れ、イギリス政府の庇護下、亡命政府を名乗っていた。1945年4月にアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が執務室で急死、その翌月にドイツが降伏すると、ウィンストン・チャーチルの命令でJPS(合同作戦本部)は米英数十師団とドイツの10師団がソ連を奇襲攻撃するという内容のアンシンカブ作戦を作成した。 シコルスキーの側近だったユセフ・レッティンゲルはヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようと考えていた人物で、ビルダーバーグ・グループの生みの親としても知られている。 ドイツ軍の主力がソ連へ攻め込んだ時、イギリス政府は手薄になったドイツの西部戦線を攻撃せず、傍観している。チャーチルは父親の代からロスチャイルド資本に従属していたが、そうしたイギリスの支配層はソ連を制圧、あるいは破壊するためにナチスを使ったとも言える。この戦争でソ連は疲弊、アメリカの支配力は増した。 ピウスツキが活動を始めたころに第1次世界大戦があり、ドイツが破壊される。ドイツはフランスとロシアに挟まれ、不利な状況にあった。イギリスもドイツに宣戦布告していたが、そのイギリスはロシア制圧を長期戦略にし、反ロシアのポーランド人を助ける。(つづく)
2018.12.08
ウクライナ軍のガンボート(砲艦)2隻とタグボート1隻が手続きを無視、無断でロシアが領海と定めているケルチ海峡へ入ったのは11月25日のことだった。その前日にウクライナ軍はウクライナ東部、ドネツクにある中立地帯の一部を占領している。事実関係をチェックすると、ウクライナ政府のロシアに対する挑発だったことは間違いない。 ウクライナでは来年(2019年)3月に大統領選挙が予定されているが、現職のペトロ・ポロシェンコは人気がなく、このままでは再選が難しい。そこでケルチ海峡の事件を利用して大統領選挙を延期させるつもりだと推測する人もいた。 こうした挑発行為はアメリカ政府の許可がなければ不可能だという考えから、ドナルド・トランプ政権がロシアに対して軍事的な揺さぶりをかけていると見る人もいる。2016年の大統領選挙の際、トランプはロシアとの関係修復を訴えていたのだが、大統領に就任した直後にマイケル・フリン国家安全保障補佐官が解任に追い込まれて以来、政権は好戦派に引きずられている。 そのトランプはINF(中距離核戦力全廃条約)からの離脱を口にしているが、この流れは2002年から始まっている。ジョージ・W・ブッシュ政権が一方的にABM(弾道弾迎撃ミサイル)から離脱したのだ。この頃、ロシアが再独立への道を歩み始めたことと無縁ではないだろう。 アメリカ/NATO軍がソ連との国境に向かって進軍を開始したのは1990年の東西ドイツの統一が切っ掛け。その際、ジェームズ・ベイカー米国務長官はソ連の外務大臣だったエドゥアルド・シェワルナゼに対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、東へNATOを拡大することはないと約束したとされている。 ベイカー自身はこの約束を否定していたが、ドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに対し、そのように約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックは語っている。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) また、ドイツの外務大臣だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーによると、1990年2月にシェワルナゼと会った際、彼は「NATOを東へ拡大させない」と約束、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009)(つづく)
2018.12.08
ギリシャのアレクシス・チプラス首相がモスクワでドミートリー・メドヴェージェフ首相と会談した。テーマは経済問題だったようだが、その中にはパイプラインの建設も含まれていた可能性がある。 2015年1月の総選挙でチプラスが率いる「シリザ(急進左派連合)」は「緊縮財政」反対を訴えて勝利、チプラスは首相に就任した。 ターゲット国を経済的に破綻させて「緊縮財政」を推進するという手法で西側の支配層は世界の富を奪ってきた。ギリシャの場合、経済破綻の引き金は通貨の変更だった。2001年にギリシャは通貨をドラクマからユーロへ切り替えている。 ギリシャの財政危機を招いた大きな原因は第2次世界世界大戦や軍事クーデターによる国の破壊であり、年金制度や公務員の問題などが急に悪化したわけではない。 財政状況が悪いギリシャが通貨を変更することは本来できないことだ。できないことをするため、不正行為があった。 財政状況の悪さを隠す作業の中心になったのは巨大金融機関のゴールドマン・サックス。財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたのだ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使い、国民に事態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。 借金漬けにした後、「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げて混乱は始まった。こうした会社の「格付け」が信頼できないことを金融のプロは熟知している。そうした評価を有り難がるのは有力メディアや素人だろう。 ギリシャを破綻させる作業が続いていたであろう2002年から05年にかけてゴールドマン・サックスの副会長を務めていたマリオ・ドラギは06年にイタリア銀行総裁、そして11年にはECB(欧州中央銀行)総裁に就任する。ECBが欧州委員会やIMFと組織する「トロイカ」がギリシャへの「支援」内容を決めた。 トロイカの基本スタンスは危機の尻拭いを庶民に押しつけ、債権者、つまり欧米の巨大金融資本を助けるというもの。それが緊縮財政だ。 そうした理不尽な要求をギリシャ人は拒否する姿勢を示す。2015年1月に行われた総選挙でシリザを勝たせ、7月の国民投票では61%以上がトロイカの要求を拒否した。 トロイカの要求に従うと年金や賃金がさらに減額され、社会保障の水準も低下し続け、失業者を増やして問題を深刻化させると考えたからだ。選挙で勝ったシリザはアレクシス・チプラス政権を成立させる。 それに対し、アメリカのバラク・オバマ政権は2015年3月にネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補をギリシャへ派遣する。その前年の2月にアメリカ政府はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させたが、その際に現場で指揮していたのはヌランドだった。 この次官補はチプラス首相に対し、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなと警告、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙は7月5日、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えていた。 ギリシャ政府にはもうひとつの選択肢があった。ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムでチプラス首相はロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談、天然ガス輸送用のパイプライン、トルコ・ストリームの建設に絡んで50億ドルを前払いすると提案されているのだ。 このロシアからの提案をチプラス政権は拒否、アメリカに従う。ロードス島とクレタ島の中間にあるカルパトス島にギリシャ軍はアメリカ軍と共同で基地を建設、アメリカ軍のF22戦闘機の拠点にしようと計画していると言われている。 今年(2018年)春からギリシャのラリサ空軍基地はアメリカ軍のUAV(無人機)、MQ-9リーパー(死に神。プレデターBとも呼ばれる)の拠点として運用されている。 ロシアが提案したパイプラインの建設を拒否したチプラス政権だが、ギリシャの東北部、トルコとの国境に近いアレクサンドルポリをイスラエルから天然ガスを運ぶためのパイプラインのハブ基地にしようとしている。地中海の東部海域に膨大な天然ガスが眠っていることは本ブログでも紹介してきた。 それに対し、ロシアはトルコと手を組み、タークストリームが今年11月に完成させた。このパイプラインはアゾフ海の入り口に近くから黒海を横断、トラキアのトルコ領へつながり、そこからブルガリアを通り、セルビア、ハンガリー、オーストリアを結ぶルートが考えられる。パイプラインのルート案のひとつはマケドニアを通過するものだったが、マケドニアは国内の混乱で難しくなった。アメリカが仕掛けたと言われている。 アメリカに従属する道を選んだチプラスの判断はギリシャ再建から考えると間違っていた。そのチプラスがモスクワでメドヴェージェフと経済について話し合ったというわけだ。
2018.12.07
アメリカ軍の空母ジョン・C・ステニスを中心とする艦隊が近くペルシャ湾に到着すると伝えられている。イランの石油輸出を止めようとしたドナルド・トランプ政権の企ては計画通りに進んでいないが、軍事力を使って実現しようとしている可能性は否定できない。それに対し、イラン政府はアメリカがイランの石油輸出を力で止めようとしたなら、ペルシャ湾からの石油輸出を不可能にすると警告している。 アメリカ軍は現在、シリアの北部、トルコとクルドが武力衝突している北部に軍事拠点を建設、さらにシリアとイラクを結ぶ重要地点を押さえようとしている。 すでにアメリカ軍はユーフラテスの北側で20カ所以上の場所に軍事基地を建設、南側ではイラクに通じる重要拠点のアル・タンフを制圧しているが、このアル・タンフではアメリカとイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練、2018年9月にはアメリカ軍が軍事演習を実施している。アル・タンフで訓練を受けた戦闘員のうち850名近くがユーフラテス川がシリアとイラクの国境をまたぐあたりへ送り込んまれたともいう。 何らかの軍事的な作戦をアメリカ軍は実行する計画なのではないかと見られているが、イランでの作戦と連動していると見ることもできる。 イラン軍とアメリカ軍を比較した場合、アメリカ軍が軍事的に勝っていることは明らかだが、ペルシャ湾に限定してみると、イラン軍が保有している小型潜水艦は有効で、アメリカが保有する大型の艦船が有利だとは言えない。 ジョージ・H・W・ブッシュ政権が1991年1月のイラクに対する攻撃でサダム・フセイン体制を倒さなかったことをネオコンは怒り、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅するというビジョンを口にしていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は語っている。 ただ、その際にソ連軍が出てこなかったことにネオコンは注目、アメリカが一方的に軍事力を行使してもソ連/ロシアは手をこまぬくだけだと考えるようになった。1991年はソ連が消滅した年であり、そうした特殊な状況を一般化してしまったわけである。 勿論、この考え方は間違っている。イスラエルとアメリカがジョージア軍を使い、2008年8月に実行した南オセチアへの奇襲攻撃におけるロシア軍の反撃や2015年9月から始まったシリアでの軍事介入でも明らかだ。 しかし、ネオコンがそれで軌道修正したようには見えない。軍事的な威嚇をエスカレートさせれば機能すると信じているようだ。 アメリカ支配層は「オオカミ少年戦法」を実行しているという説もある。攻撃すると見せかけて引くということを繰り返し、「またか」を思わせて実際に攻撃するという推測だ。 それが事実かどうかはともかく、アメリカの「脅せば屈する」という戦術はどこかの時点で戦争を引き起こす。相手がロシアや中国の場合、全面核戦争になる可能性は小さくない。ネオコンの行動原理は「勝利か、しからずば人類の死滅か」だ。
2018.12.06
1974年に公開されたロマン・ポランスキー監督の映画「チャイナタウン」はロサンゼルスにおける支配層と農民の水争いを背景とする殺人事件を描いた作品だが、映画に出てくる水道は私有物だった。 現代社会を維持しようとすればエネルギー資源も重要だが、動物にとってそれ以上に重要なものが水と食料。すでにエネルギー資源は巨大資本に支配されているが、水と食料も一部のグループに独占されようとしている。そうなると庶民、つまり大多数の人間は家畜。支配層に食い殺されるためだけに生きることになる。 中曽根康弘、小泉純一郎、菅直人、野田佳彦、安倍晋三たちは新自由主義を推進した典型的な政治家だ。ソ連消滅後のロシアで国民の資産を欧米の巨大資本が盗む手助けをしたボリス・エリツィンと似たようなことをしている。 この流れを断ち切るチャンスもあった。安倍晋三が初めて総理大臣になった2006年から2007年にかけての時期、自民党と公明党のコンビは弱体化、民主党の人気が高まっていたのだ。 民主党の中心には小沢一郎がいたのだが、その小沢を攻撃する「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」というタイトルの記事が週刊現代の2006年6月3日号に掲載される。 2009年11月になると「市民団体」が陸山会の2004年における土地購入で政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されてしまう。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発し、2月には秘書3人が起訴された。マスコミと検察がタッグを組み、小沢を潰しにかかったと言える。 検察の取り調べで「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な行為のあったことが後に判明し、この告発は事実上の冤罪だということが明確になるが、小沢潰しは成功した。 小沢とタッグを組んでいた鳩山由紀夫は2010年6月に総理大臣の座から引きずり下ろされている。この段階で勝負はついたのだが、菅直人や野田佳彦が民主党を破壊、とどめを刺すことになる。今さら騒いでも手遅れ。核戦争を回避できたとしても、ディストピアへ突入することは避けられないだろう。今はそこから脱出する方法を考える時期だ。 ところで、エリツィンを操っていたのはKGBの腐敗勢力で、1982年から88年にかけてKGB議長を務めたビクトル・チェブリコフを中心に、KGBの頭脳と言われたフィリップ・ボブコフ、やはりKGBの将軍だったアレクセイ・コンドーロフらも含まれていた。 1988年から91年までKGB議長だったウラジミル・クリューチコフもチュブリコフの命令で動き、オリガルヒと呼ばれる富豪はこのグループに選ばれた若者だったようだ。このグループはイスラエルのモサドを介し、ジョージ・H・W・ブッシュを中心とするCIAの腐敗グループにつながっていた。 この人脈はまだ機能していると見られているが、それでも21世紀に入るとウラジミル・プーチンが再独立を成功させた。アメリカに従属していない軍人、情報機関や治安機関のメンバー、研究者などが彼の背後に残っていたことが大きい。 日本の場合、イギリスやアメリカ、つまりアングロ・サクソンの支配は明治維新から続いている。インドで傭兵(セポイ)を使っていたイギリスは中国侵略のための陸上部隊として日本に目をつけたのだ。大陸での財宝略奪がアングロ・サクソンの指示だった可能性もある。 日本に張り巡らされたアングロ・サクソンの支配システムは強力。残念ながら、日本の将来は絶望的である。
2018.12.06
PNACの報告は1992年2月に国防総省のDPG草案という形で作成された世界制覇プランがベースになっている。旧ソ連圏だけでなく西ヨーロッパ、東アジアなどを潜在的なライバルと位置づけ、それらが台頭することを阻止、膨大な資源を抱える西南アジアを支配しようとしている。ロシアの属国化を前提として東アジア重視、つまり中国の押さえ込みが打ち出された。 このプランが作成された当時の国防長官はリチャード・チェイニーだが、作成の中心は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツ。そこで、ウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。なお、2001年に始まるジョージ・W・ブッシュ政権ではそれぞれ副大統領と国防副長官を務めた。 アメリカの属国である日本もウォルフォウィッツ・ドクトリンの影響を受けている。唯一の超大国になったアメリカは国連を尊重する必要はないと考えて単独行動主義を打ち出したが、日本もその方向へ動く。 1993年8月にスタートした細川護煕政権は軍事戦略の作成を「防衛問題懇談会」という諮問機関に指示、細川首相が辞任した4カ月後の94年8月に「日本の安全保障と防衛力のあり方」が発表される。いわゆる「樋口レポート」だ。 ところが、この報告を呼んだネオコンは怒る。国連中心主義の立場から作成されていたからだ。その当時、国防大学のスタッフだったマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは日本が自立の道を歩き出そうとしていると主張、ジョセイフ・ナイ国防次官補らに自分たちの考えを売り込んだとされている。 そして1995年2月にナイは「東アジア戦略報告」を発表、そこから日本はアメリカの戦争マシーンへ組み込まれていく。その延長線上に安倍内閣は存在する。 この間、21世紀に入る頃にウラジミル・プーチンがロシアを再独立させることに成功、ウォルフォウィッツ・ドクトリンの前提は崩れるのだが、それでもネオコンは世界制覇プランを放棄しない。アメリカは唯一の超大国であり、ロシアには対抗できないと信じたようだ。 そうしたアメリカ支配層の判断を示していると思われる記事がある。アメリカ支配層の機関誌的な存在であるフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文だ。 この論文ではアメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いと主張されている。つまりアメリカはロシアと中国との核戦争で一方的に勝てると信じていた。 この論文が発表された2年後、アメリカ支配層の判断が間違っていることを示す出来事が引き起こされた。2008年8月にジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのだが、反撃してきたロシア軍に粉砕されてしまったのだ。 ジョージアは2001年以降、イスラエルの軍事会社から無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどを含む武器/兵器の提供を受け、軍の将兵は軍事訓練を受けていた。2008年1月から4月にかけてはアメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を派遣している。 つまり、南オセチアに対する奇襲攻撃はアメリカやイスラエルが周到に準備した上での作戦だった。この時に衝突したジョージア軍とロシア軍の規模は同程度。この時点でアメリカ軍やイスラエル軍はロシア軍に通常戦で勝てないことが明らかになったのである。その後、シリアでの戦闘でもロシア軍は戦闘能力の高さを見せつけている。 それでも軍事的な恫喝でロシアを再属国化しようとしたのがヒラリー・クリントン陣営であり、ロシアとの関係修復を訴えたのがドナルド・トランプ陣営だった。2016年の大統領選挙でトランプが勝利するが、大統領に就任した後、支配層の好戦派はCIA、FBI、有力メディアを使ってトランプを攻撃、操ろうとしている。相当程度、成功したようだ。 イギリスの長期戦略はユーラシア大陸の内陸部を周辺部から締め上げていくというもの。おそらく19世紀から、遅くとも20世紀の初頭に作成された。それをアメリカ支配層は踏襲している。明治以降の日本はこの戦略に沿った動きをしている。 現在、自衛隊はアメリカ軍に従い、東シナ海や南シナ海で活動している。これは米英の長期戦略に合致、中国が推進している一帯一路を潰すことにもつながる。アメリカ支配層は中国が公海を自由に航行することを阻止する仕組みを築こうとしている。そうした動きの中で「いずも」も建造された。(了)
2018.12.06

2015年に就航した海上自衛隊の「いずも」は艦首から艦尾まで平らな「全通甲板」を有し、その外観は2014年にアメリカ海軍が就航させた強襲揚陸艦「アメリカ」を連想させる。そうしたこともあり、当初から垂直離着陸が可能なMV22オスプレイやステルス戦闘機F-35Bの離発着が想定されていると言われていたのだが、その推測は正しかったようだ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、F-35は高額低性能な戦闘機で、「空飛ぶダンプカー」とも呼ばれている。2015年1月にカリフォルニア州のエドワード空軍基地近くで行われたF-16戦闘機との模擬空中戦では完敗している。攻撃してきた戦闘機を迎え撃つには不適ということだ。 唯一のセールスポイントはステルス性能だということになるが、これを生かすためには敵の艦船や基地に近づいて攻撃するしかない。そのステルス性能も宣伝されているほど高いかどうかは不明だ。 今年(2018年)9月17日にシリア沖でロシア軍の電子情報支援機IL20が撃墜された直後、ロシア政府はその責任がイスラエル側にあるとして防空システムS-300 PMU-2をシリア軍へ引き渡した。イスラエル軍はF-35を保有しているのだが、それ以降、イスラエル軍によるシリア攻撃の話は聞かれなくなった。F-35がS-300に撃墜された場合のダメージを憂慮しているとも言われている。 MV22オスプレイはネオコン系シンクタンクPNACが2000年に発表した報告『米国防の再構築』で導入を求めていた航空機。ネオコンに操られていたジョージ・W・ブッシュ政権はこの報告に基づく政策を実行していた。強襲揚陸艦「アメリカ」もネオコンの主張に基づいて設計されたようだ。(つづく)
2018.12.05
劣悪な労働条件で働こうという日本人が少ないと嘆く一方、「有能な人材」を集めるために高額の報酬が必要だと主張する人たちがいる。こうした人たちは労働者を集めるために労働条件を改善し、賃金を上げるべきだとは考えず、外国から人を連れてこようと目論んでいる。 労働条件や賃金は客観的に評価することができるが、「有能」という評価は主観にすぎない。企業、特に大企業の場合、社内の評価と社外の評価は別物。「有能」という自己評価を根拠に高額報酬を要求しているだけだ。 カルロス・ゴーンだけでなく、重役になる人びとは社内で「有能」と評価されたのだろうが、外から見ていると有能な人は部長止まり、せいぜい平取締役だ。筆者自身の印象というだけでなく、そういう意見はしばしば聞く。 同じような用語が「JIC(産業革新投資機構)」の報酬問題でも使われている。経営不振であるマスコミの社員が高給取りだと指摘された時の回答も同じだ。 日本には昔から収入をステルス化する仕組みが存在するが、ゴーンは外国のケースを引き合いに出して弁明している。そうした仕組みが容認されているわけではなく、国際的な問題になっていることも事実だ。 そもそもゴーンの手法はコスト・カット、つまり労働者の切り捨てであり、生産基盤を破壊することで目先の利益を確保するというもの。新自由主義が世界に広めたやり方だ。 アメリカの新自由主義者が行っていることは基軸通貨であるドルの発行と流通したドルの回収。回収する仕組みが機能していれば、ドルを発行するだけで際限なく物を買い、戦争を続けることができる。ドルを回収する仕組みのひとつはサウジアラビアなどOPEC諸国に石油取引をドル決済に限定させること。ペトロダラーだ。もうひとつは金融規制の緩和による投機市場の肥大化。 その投機市場は2008年に大きく揺らぎ、大手投資会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングズが連邦倒産法の適用を申請した。つまり倒産。リーマン・ブラザーズを生け贄にして金融システム全体を救済したとも言われている。 その際、アメリカ政府は巨大金融機関を「大きすぎて潰せない」ということで超法規的に救済、「大きすぎて罪に問えない」ということで責任者である重役たちの犯罪的な行為を不問に付す。それ以降、金融市場は無法地帯と化した。この無法地帯の支配者を庶民も「有能」だと信じているようだ。
2018.12.05
オバマ政権は2015年に閣僚を戦争体制へシフトする。フリンは2014年に解任されているが、2015年2月には国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、同年9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代になっている。ジハード傭兵を危険だと考える人物からシリアの体制転覆に積極的な好戦派へ替えられたのだ。ロシア軍がシリア政府の要請で介入、ジハード傭兵を攻撃して占領地域を急速に縮小させはじめるのは2015年9月30日、デンプシー解任の5日後だ。 こうした流れを理解すれば、アメリカの政界や有力メディアがフリンの国家安全保障補佐官就任を嫌った理由が理解できるだろう。彼らはカルトを背景とするジハード傭兵やネオ・ナチの戦闘集団を容認、クーデターや侵略戦争による民主的な合法政権の破壊を支持、自分たちの悪事を隠すために言論統制を強化し、挙げ句の果てに「リベラル」を自称したりする。 ロシア軍の介入によってジハード傭兵とアメリカ軍/NATO軍をリンクさせた侵略というシナリオは狂った。そこでアメリカはクルドを抱き込むが、それはアメリカとトルコとの対立でアメリカ支配層の思惑通りには進んでいない。 今年(2018年)9月17日にはシリア沖でロシア軍の電子情報支援機IL20が撃墜され、その責任はシリア攻撃を繰り返してきたイスラエルにあるとしてロシア政府は防空システムのS-300 PMU-2をシリア政府軍へ引き渡した。 その結果、それまでイスラエル軍は頻繁にシリアを攻撃していたが、それ以降、攻撃の話は聞かれなくなる。そうした中、イスラエルとアメリカは軍事使節団をウクライナに派遣、S-300への対抗策を訓練していると言われている。 シリア西部、トルコとの国境地帯であるイドリブはまだジハード傭兵が支配している。アメリカは傭兵に化学兵器を使わせ、それをシリア政府軍になすりつけて軍事介入の口実にしようと目論んだが、トルコ政府は自分たちの手先もいることからイドリブ攻撃を延期するようにシリアやロシアの政府と交渉、認められた。アメリカの軍や情報機関はジハード傭兵の幹部をヘリコプターで救出しているようだが、それでもイドリブにはまだ1万5000名ほどの戦闘員が残っていると伝えられている。 アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランスはまだシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒し、傀儡体制を樹立しようとしている。アメリカのドナルド・トランプ大統領は今年春、アメリカ軍を撤退させると口にしていたが、アメリカの好戦派や他国、特にイスラエルやサウジアラビアの意向で戦争準備を進めている。 イスラエルとサウジアラビアでは国内の権力抗争が激しくなっているが、その背後にはアメリカの支配層が存在、やはり内部対立が続いている。こうした対立が核戦争の危機と結びついているわけで、かなり危険な状態だと言える。(了)
2018.12.05
ところがジョージ・H・W・ブッシュの息子、ジョージ・W・ブッシュの政権はネオコンが主導していた。この政権は2003年3月にイラクを先制攻撃、サダム・フセイン政権を倒した。親イスラエル体制の樹立を目論んだのだが、失敗に終わる。その後、イラクはイランとの結びつきが強くなり、ロシアへの接近につながった。 2006年にイラクの首相になったヌーリ・アル・マリキが率いる「法治国家連合」は2014年4月の選挙でも勝利したが、選挙前の3月に彼はサウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判、その一方でロシアへ接近していた。ロシアのウラジミル・プーチン大統領はマリキを支援すると表明している。そこでアメリカは首相選定に介入、マリキは外されてハイデル・アル・アバディが選ばれる。 マリキの批判はダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の売り出しを感じてのことだったかもしれない。2014年1月にファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月に攻勢をかける。この際にヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が配信されて名前は世界に売られた。 こうしたダーイッシュの動きを偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は把握していたはず。ところが何もしていない。マリキの批判はそうした動きを知ってのことだろう。 アメリカ軍の情報機関DIAは2012年の段階でサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)がバラク・オバマ政権の政策によって勢力を拡大、東部シリア(ハサカやデリゾール)に彼らの支配地域が作られると警告していた。そのときのDIA長官がマイケル・フリン中将だ。その警告がダーイッシュという形になって現れたわけだ。 ISISは英語の略称で、「イラクとシリアのイスラム国」を、またISILは「イラクとレバント(地中海の東部沿岸地方)のイスラム国」を意味する。サラフィ主義者はシリアとイラクをまたぐ支配地域を作り上げたのだ。こうした地域が出現したのはオバマ政権の政策によるとフリンはアル・ジャジーラの番組で明言しているが、これは事実である。2014年にアメリカの軍や情報機関がダーイッシュを攻撃しなかったのは当然なのだ。(つづく)
2018.12.04
シリアではアメリカやイギリスの動きが活発化している。トルコとクルドが武力衝突している北部にアメリカ軍は拠点を建設、シリアとイラクを結ぶ重要地点を押さえようとしている。 すでにアメリカ軍はユーフラテスの北側で20カ所以上の場所に軍事基地を建設、南側ではイラクに通じる重要拠点のアル・タンフを制圧している。言うまでもなく、いずれの基地ともシリア政府の承認を受けたわけでなく、侵略にほかならない。 アル・タンフではアメリカとイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練、2018年9月にはアメリカ軍が軍事演習を実施している。ここで訓練を受けた戦闘員のうち850名近くをユーフラテス川がシリアとイラクの国境をまたぐあたりへ送り込んでいる。 中東での破壊と殺戮を主導してきたネオコンにとってシリアとイラクはイランとセットになっている。イランがターゲットで、そのイランを殲滅するためにイラクとシリアをはかする必要があると考えていたのだ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、1991年当時、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしている(3月、10月)が、ネオコンは遅くとも1980年代にそうした戦略を立てていた。そこで、サダム政権をペルシャ湾岸の産油国を防波堤と位置づけていたジョージ・H・W・ブッシュたちとネオコンは対立している。(つづく)
2018.12.04
日本軍が中国など大陸で略奪した財宝はフィリピンに集められ、そこから日本へ運ばれる手はずになっていた。実際、一部の金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003)隠し場所として、さまざまな場所の名前が挙がっている。 ところが戦況の悪化で輸送が困難になり、相当部分がフィリピンの山の中に隠された。日本の日本の敗戦が決まった当時、フィリピンを担当していた日本軍第14方面軍の司令官が山下奉文大将だったことから隠された財宝は「山下兵団の宝物」とも呼ばれている。その山下は1946年2月にマニラで処刑された。 アメリカの情報機関は戦争中から「金の百合」に関する情報を持っていて、日本が降服するとすぐに回収工作を始める。関係者への尋問は戦時情報機関OSSのエドワード・ランズデール大尉(当時)が指揮した。後に対キューバ工作を指揮、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺でも名前が出てくる人物だ。 OSSが廃止になるとランズデールはチャールズ・ウィロビー少将が率いるフィリピンのG2(アメリカ陸軍の情報部門)へ配属になり、尋問を続ける。財宝のありかを聞き出したのはランズデールの部下だったセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナだ。 その情報は東京やワシントンDCに伝えられる。その際、ランズデールはハリー・トルーマン大統領の国家安全保障を担当していたスタッフにも会っている。 この報告を受けたヘンリー・スティムソンは財宝をアメリカの国際戦略に利用しようと考える。1945年9月21日までスティムソンは陸軍省(戦争省)の長官で、その下にはジョン・マックロイやロバート・ラベットなどウォール街の大物がいた。 アメリカの支配層が手に入れた略奪財宝は「金の百合」以外にもあった。ドイツ軍がヨーロッパで略奪した「ナチ・ゴールド」だ。ジョン・ロフタスとマーク・アーロンズによると、ナチスがヨーロッパで略奪した資金はOSS長官だったウィリアム・ドノバンが1946年に設立したWCC(世界通商)でロンダリングされ、タイへ運ばれたという証言もある。(John Loftus & Mark Aarons, “The Secret War against the Jews”, St. Martin’s Press, 1994) WCCをドノバンと共同で設立したのはイギリスの対外情報機関MI6の下部組織、BSC(英国安全保障局)の責任者だったウィリアム・ステファンソン。WCCの後ろ盾にはネルソン・ロックフェラー、ジョン・マックロイ、シドニー・ワインバーグ、ビクター・サッスーンも含まれている。(Peter Dale Scott, “American War Machine”, Rowman & Littlefield, 2010) 「金の百合」と「ナチ・ゴールド」は統合され、「ブラック・イーグル・トラスト」と呼ばれる秘密の基金が創設されたとも言われている。こうした秘密資金がアングロ・サクソンの世界支配に利用されたということになる。 「金の百合」に関する情報は1980年代の後半から流れるようになった。切っ掛けはフェルディナンド・マルコスの失脚。1983年8月にマルコスのライバルだったベニグノ・アキノが空港で射殺され、マルコスに対する抗議運動が激しくなり、それを利用してアメリカ軍がマルコスを拉致したのだ。国外へマルコスが出ると財宝に関する裁判が起こされ、情報が漏れ出てきたのだ。 マルコスは1954年にイメルダ・ロムアルデスと結婚しているが、ふたりを引き合わせたのはランズデールの部下だったロマーナ。ロマーナはイメルダと親しかったようだ。マルコスは日本軍が隠した財宝の一部を掘り出し、それを資金源にして大統領というポストを手に入れたと言われている。 ロナルド・レーガンが大統領に就任した直後、マルコスはブラック・イーグル・トラストに関して沈黙を守る代わりに援助という名目でフィリピンにカネを回すようにアメリカ政府へ要求した。つまり恐喝だ。当然、アメリカや日本の政府は警戒するようになる。それがマルコス失脚の原因だという。 詳細は割愛するが、アメリカが日本の過去を封印する手助けをする理由のひとつは略奪財宝にあるだろう。日本の過去を本当に精算しようとすれば、アメリカが大戦後に築いた世界支配の仕組みが明らかになる。日本の場合、薩摩と長州が徳川体制を倒した明治維新から現在に至るまでの歴史も見直さなければならなくなる。本ブログでは何度も書いてきたが、血盟団や二・二六の将校が何を見、なぜ怒ったのかを理解する必要もある。(了)
2018.12.03
第2次世界大戦中、日本は占領した東アジアの国々で人びとを強制的に動員して働かせた。徴用工だ。日本では1938年に国家総動員法が制定され、翌年に公布された国民徴用令によって厚生大臣は強制的に人員を徴用できるようになっていた。 この仕組みを国外で外国人に適用すれば国際問題になる。韓国との問題では1965年の日韓請求権協定で解決したことになっているが、日本側も個人の請求権は消滅していないことを認めている。韓国の大法院もそのように判断、日本の企業に賠償金の支払いを命じたわけだ。 日韓請求権協定自体の問題を含め、日本の過去は清算されていない。アメリカ支配層の力を借りて封印してきただけである。アメリカの力が弱まったことで、問題が表面化してきたと言えるだろう。韓国は何年も前からロシアや中国との関係を強め、アメリカから離れつつある。アメリカの属国である日本に気兼ねするような状況ではなくなってきたのだ。 本ブログでは何度か書いたことだが、日本軍は東アジアの占領地で財宝を組織的に略奪している。「金の百合」だ。 アメリカ人ジャーナリストのスターリング・シーグレーブとペギー・シーグレーブによると、プロジェクトが始まるのは日本軍が南京を攻略した1937年。政府が保有する資産を奪うだけでなく、銀行や裕福な家に押し入って金や宝石などを略奪したという。財宝を探し出すため、憲兵隊は目をつけた家の娘を誘拐することもあったという。娘と引き換えに、隠した財産を差し出すか近所や親戚の財産に関する情報を教えろというわけだ。貧しい家の娘は売春宿に連れて行かれたともシーグレーブ夫妻は主張している。 この南京攻略戦に参加した少なからぬ日本軍の将兵が陣中日記の中で軍命によって捕虜を射殺したと記録しているが、個人的な略奪、殺戮、レイプなどもあったようだ。 この作戦当時、特務機関員として活動中だった中島辰次郎は、南京市内で「虐殺」と呼べる出来事があったことは間違いないと明言、総数はわからないとしたうえで、死体が山積みになった光景を見たと話していた。(筆者自身の取材) また、支那派遣軍の岡村寧次総司令官が「大暴行があったのは事実」と書き残しているほか、外務省の石射猪太郎東亜局長は「南京に於ける我軍の暴状」の報告に「目もあてられぬ惨状」と書かれていたと日記に記している。中支那方面軍司令官兼上海派遣軍司令官だった松井石根大将は師団長クラスの退廃ぶりを嘆いていた。 南京攻略は形式上、松井石根が最高指揮官なのだが、実際は朝香宮鳩彦、昭和天皇(裕仁)の叔父にあたる人物だったと言われている。 スターリング・シーグレーブとペギー・シーグレーブによると、「金の百合」を指揮していたのは天皇の弟である秩父宮雍仁で、その補佐をしていたのが天皇の従兄弟にあたる竹田宮恒徳だという。秩父宮は駐日アメリカ大使だったジョセフ・グルーと親しい。(つづく)
2018.12.03
ジョージ・H・W・ブッシュがCIA長官に就任する約1年半前、リチャード・ニクソンがウォーターゲート事件で失脚し、副大統領のジェラルド・フォードが昇格している。この政権ではデタント派が粛清され、ネオコンが台頭している。 議会で情報機関の秘密工作の一端を証言したウィリアム・コルビーCIA長官も排除されたひとり。国防長官のジェームズ・シュレシンジャーを辞めさせられたが、その後任はネオコンのドナルド・ラムズフェルドだ。 ニクソン時代、ヘンリー・キッシンジャーはチリで民主的な政権を軍事クーデターで破壊した。そのクーデターを指揮したオーグスト・ピノチェトはアメリカの傀儡として軍事独裁体制を築き、ラテン・アメリカにあったほかの軍事政権と協力して反体制派を暗殺する国境を越えたコンドル作戦を展開した。 その作戦の犠牲になったひとりがオルランド・レテリエル元チリ外務大臣。1976年9月、アメリカの首都であるワシントンDCで乗った自動車が爆破されたのだ。コンドルを実行していた軍事政権の情報機関はCIAの指揮下にあった。暗殺当時のCIA長官はブッシュにほかならない。 ブッシュは1981年1月から89年1月にかけて、つまりロナルド・レーガン政権で副大統領を務めているが、その間、イランへの武器密輸やニカラグアの反革命ゲリラ支援工作を指揮している。この政権で始まったCOGプロジェクト(戒厳令計画)でも中心的な役割を果たした。 エール大学時代からブッシュと親しかったひとりにジェームズ・リリーという人物がいる。リリーは1928年1月に中国の青島で誕生、46年にエール大学へ入学、51年にはCIA入りしたと言われている。ブッシュはCIA長官になる前に中国駐在特命全権公使(連絡事務所長)を務めていたので、ふたりとも中国との関係が深いと言える。 1989年1月に大統領となったブッシュは同年4月20日にリリーを中国駐在大使に据える。その前任者であるウィンストン・ロードもエール大学の出身で、3人とも学生の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーだったと言われている。なお、ロードは大使を辞めた数カ月後、CIAの資金を流す役割を負っているNEDの会長に就任している。 リリーが大使に就任する5日前に胡耀邦が死亡、それを切っ掛けにして天安門広場で大規模な抗議活動が始まる。胡耀邦は趙紫陽と組んで新自由主義を中国で推進していた人物。鄧小平を後ろ盾にしていた。そうした活動が展開された背景では新自由主義的な政策による社会の不安定化があった。5月には戒厳令が敷かれ、6月を迎える。 抗議活動には投機家のジョージ・ソロスから中国改革開放基金などを通して資金が流れ込み、リリーをはじめとするCIA人脈が関係していた。そうした活動の指導グループには方励之、柴玲、吾爾開希などが含まれていた。なお、天安門事件についてはすでに書いてきたので今回は割愛する。 指導グループは抗議活動が沈静化した後にイエローバード作戦(黄雀行動)と呼ばれる逃走ルートを使い、香港とフランスを経由してアメリカへ逃れた。このルートを運営していたのはアメリカのCIAとイギリスのSIS(通称MI6)だ。吾爾開希はハーバード大学で学び、それから台湾へ渡っている。 この当時、ブッシュたちがイスラエルのモサドを介してソ連でKGBの中枢に巣くう腐敗集団と手を組み、1991年にはクーデターを成功させることになる。ハンマー作戦だ。これについても本ブログで書いてきたので、今回は割愛する。 ブッシュは中東にもネットワークを持っていたが、その代表的な人物がサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン、通称バンダル・ブッシュ。1983年10月から2005年9月まで駐米大使、2005年10月から2015年1月まで国家安全保障会議の事務局長、2012年7月から2014年4月まで総合情報庁長官を務めた。(了)
2018.12.02
ジョージ・H・W・ブッシュが11月30日に死亡したという。1989年1月から93年1月までアメリカ大統領を務めたが、CIAの人間でもある。1976年1月から77年1月までCIA長官を務めたというだけではなく、大学でCIAにリクルートされたと言われているのだ。 彼は1924年6月にマサチューセッツ州で誕生、第2次世界大戦では海軍の所属し、45年9月に除隊してエール大学へ入学した。その大学でCIAの採用担当者だったボート部コーチのアレン・ワルツは海軍情報部の将校だった人物で、ブッシュと親しかったことで知られている。 ジョージ・H・W・ブッシュの父親であるプレスコット・ブッシュは1953年から63年にかけて上院議員を務めたが、その前は金融界の人間。こうした関係からプレスコットはウォール街の弁護士だったアレン・ダレスと親しかった。言うまでもなく、ダレスは第2次世界大戦で戦時情報機関のOSSで破壊工作を指揮、ホワイトハウスとは関係なく実行されたナチス幹部の救出を目的とするサンライズ作戦で中心的な役割を果たした。大戦後はCIAのドン的な存在だ。 プレスコットの義理の父親にあたるジョージ・ハーバート・ウォーカーはウォール街の大物で、アメリカの金融機関からナチスへ資金を流す重要なパイプ役を務めていたと言われている。なお、ジョージ・H・W・ブッシュの「H・W」はハーバート・ウォーカーのイニシャルだ。 ジョージ・H・W・ブッシュがCIAの幹部だったことを示す文書が明らかになっている。アメリカの週刊誌、ネイションの1988年7月16/23日号でジョセフ・マクブライドが明らかにしたのである。J・エドガー・ブーバーFBI長官から国務省に出された1963年11月29日付けのジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関係した文書に、「中央情報局のジョージ・ブッシュ氏」という記述があることを彼は見つけたのだ。ケネディ大統領が殺されたのはその1週間前だ。 この報道に対し、CIAは「別のジョージ・ブッシュだ」と主張、信憑性を持たせようとしたのか、CIAのスポークスマンはAPの記者に対して「その人物は1963年当時、本部にいたジョージ・ウイリアム・ブッシュに間違いない」と話したのだ。ところが、そのジョージ・ウイリアム・ブッシュはマクブライドに対し、文書に出てくるブッシュは自分でないと語っている。 フーバーが出した文書はブッシュがCIAの幹部だということだけでなく、ケネディ暗殺に関する詳しい情報を持っていることを示唆しているだ。この暗殺にCIAの破壊工作部門が関係している疑いは濃厚で、ブッシュが暗殺に関係していた可能性があるということだ。(つづく)
2018.12.01
東京琉球館で12月15日の午後6時から「パイプラインを通して2019年の世界を見る」というテーマで話します。予約制とのことですので、興味のある方は事前に下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333http://dotouch.cocolog-nifty.com/ 今年(2018年)11月にロシアからトルコへ天然ガスを輸送するタークストリームが完成、北ではロシアからバルト海を南下してドイツへ天然ガスを運ぶノード・ストリームが存在しますが、それと並行する形でノード・ストリーム2を建設する計画です。いずれもロシアからEUへエネルギー源を運ぶパイプラインですが、単なるビジネスではなく、ロシアとEUを結びつける役割を果たすことになります。 こうしたパイプラインがなければ、ロシアの天然ガスをEUへ運ぶためにウクライナを経由するする必要がありました。そのウクライナをアメリカやイギリスの支配層は制圧します。そのため、2004年から05年にかけて実行されたのがオレンジ革命であり、新自由主義が持ち込まれました。 その「改革」が庶民を貧困化させることに気づいた人びとは軌道修正を図りますが、そうしてできた政権をバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターで倒しました。そのクーデター政権はポーランドと同様、ロシアからEUへの天然ガス輸送を妨害していますが、それに対してロシアやEUは迂回ルートを計画してきました。 中東に目を向けても、アフガニスタンへの攻撃にしろ、シリアへの侵略戦争にしろ、パイプランの建設が深く関係しています。すでに戦略的な同盟関係に入ったロシアと中国もパイプランで結びついています。国際情勢を見る上でパイプラインは重要なキーワードだと言えるでしょう。
2018.12.01
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