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ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の指導者とされるアブ・バクル・アル・バグダディの映像がインターネット上にアップロードされた。この武装集団は4月21日にスリランカであった爆破事件を実行したのは自分たちだと主張している。 当局の発表によると、直接的な実行者は地元の武装集団、ナショナル・タウヒード・ジャマート(NTJとも表記される)に所属する7名で、その集団の指導者と言われているモウルビ・ザフラン・ハシムはダーイッシュを支持する発言をしている。 ジョージ・W・ブッシュ政権の命令でアメリカ主導軍がイラクを先制攻撃、サダム・フセイン政権を倒したのは2003年3月のこと。その翌年にダーイッシュはAQI(イラクのアル・カイダ)として組織されたと言われている。 2006年にISI(イラクのイスラム首長国)が編成された際、このAQIは中核になり、2010年にISIのリーダーになったのがアブ・バクル・アル・バグダディだという。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年にニューヨーカー誌に書いた記事によると、それまでにジョージ・W・ブッシュ政権はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを最大の敵だと定め、スンニ派の過激派と手を組むことにしたという。 アメリカ政府を動かしていたネオコンはフセイン体制を倒した後に親イスラエル政権を樹立するつもりだったが、その計画は失敗し、イラクの多数派であるシーア派が主導権を握ってしまった。その結果、同じシーア派のイランと接近する。 2009年1月にアメリカ大統領となったバラク・オバマは翌年の8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を主力とする体制転覆プロジェクトを始めた。スンニ派の過激派とはサラフ主義者やムスリム同胞団を指しているので、オバマはブッシュ・ジュニア政権の方針を引き継いだ、つまりチェンジしなかったと言えるだろう。 そして2010年12月にチュニジアでいわゆる「アラブの春」が始まり、11年2月にはリビア、3月にはシリアで戦争が勃発する。当然のことながら、いずれもムスリム同胞団が中心的な役割を果たした。 2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒され、戦闘員や武器/兵器はトルコ経由でシリアへ運ばれるが、その際にNATO軍とアル・カイダ系武装集団LIFGの連携が明らかになった。カダフィ体制が倒された直後、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられたのは象徴的な出来事だった。(ココやココ) 輸送の拠点になったのはベンガジにあったCIAの施設やアメリカの領事館で、アメリカの国務省はそうした行為を黙認していた。マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。 アメリカ領事館は2012年9月11日に襲撃され、大使だったクリストファー・スティーブンスが殺された。領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っていたとされている。ちなみに、当時のCIA長官はデイビッド・ペトレイアス、国務長官はヒラリー・クリントンだ。 襲撃の前月にアメリカ軍の情報機関DIAはホワイトハウスに対し、シリア情勢に関して報告している。その中でシリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)、ムスリム同胞団、アル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)だとしている。ちなみに、アル・ヌスラの主力はサラフ主義者やムスリム同胞団だ。 アル・カイダ系武装集団との連携が露見していたバラク・オバマ政権は「穏健派」を支援していると主張していたが、そうした勢力は存在しないと報告している。オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。ダーイッシュの出現を見通していたと言える。 ISI(イラクのイスラム首長国)は2013年に活動範囲がシリアへ拡大し、西側ではシリア(Syria)のSを加えてISIS、またはレバント(Levant)のLを加えてISILと呼ばれるようになるが、現地での呼び名はダーイッシュ。2014年に売り出された当時のダーイッシュは残虐性を演出、アメリカ主導軍のシリア空爆の口実に使われる。 アメリカ主導軍とダーイッシュの連携でリビアと同じように体制を転覆させようとしたのだろうが、シリア軍がリビア軍と違って強かったことに加え、アメリカ政府が大規模な軍事介入へ入る動きを見せる中、2015年9月30日にロシアがシリア政府の要請で軍事介入し、ダーイッシュを含むジハード傭兵の支配地域は急速に縮小していく。 そこでアメリカ軍は手先をクルド勢力に切り替え、ダーイッシュが支配していた油田地帯をアメリカ軍が占領していく。現在はイラクで同国政府の抗議を無視して軍事力を増強、中東支配の拠点にしようとしている。 敗走したダーイッシュなどの戦闘員をアメリカ軍は救出、アフガニスタンなどへ運んでいると言われているが、出身国へ戻る動きもあり、東アジアでの活動も活発化している。 例えば、2017年5月にはフィリピン南部にあるミンダナオ島のマラウィ市をダーイッシュ系だというマウテ・グループやアブ・サヤフが制圧、普通のイスラム教徒をワッハーブ派へ改宗させる工作が数十年にわたって続けられてきたインドネシアでは2016年1月にジャカルタで何回かの爆破と銃撃戦があった。ミャンマーのロヒンギャが住む地域や中国西部の新疆ウイグル自治区へも戦闘員が潜り込んでいると言われている。 新疆ウイグル自治区、アフガニスタン、スリランカ、インドネシアは中国が進める一帯一路の重要な場所。次のターゲットはトルコになるのではないかとも言われている。
2019.04.30
NHKがテレビ受像機やワンセグ携帯の保有者から番組を見ているかどうかに関係なく「受信料」を徴収するのに対し、民間放送局が広告収入で成り立っていることは言うまでもないが、日本の新聞や週刊誌も購読料で儲けているわけではないようだ。利益の大半を広告収入に頼っていると言われている。購読料は配達などの経費で消えてしまうらしい。広告主のマスコミに対する発言力は大きいということである。 NHKであろうと私企業であろうと、マスコミは「社会の木鐸」でも「言論の自由」を守っているわけでもない。カネ儲けを目的としているプロパガンダ機関だ。手間暇かけて中身のある報道してスポンサーと喧嘩するより、スポンサーや政府などが望む情報を流していた方が楽。それを見越してマスコミを操ろうとする人は飴と鞭を使い分ける。そうした傾向は1980年代から強まった。 2008年11月12日にトヨタ自動車の相談役だった奥田碩は首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、「正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうか」と発言している。年金や保険の問題を批判的に取り上げているマスコミを不愉快に感じたようだ。マスコミの編集権に経営者が介入するやり方があるとも奥田は口にした。 広告会社の影響力も強い。電通の場合、視聴率をコントロールできると言われ、それは放送局の収入に直結する。オリンピックなど大きなイベントでも利権を握っているという。かつては電力会社もマスコミの懐を潤す存在だった。そのひとつの結果としてマスコミは原発の「安全神話」を広めたわけだ。 その神話は2011年3月11日の東電福島第1原発の事故で崩壊する。その日、炉心が溶融する大事故が引き起こされたのだ。そして日本中の原発が止まる。その停止した原発を安倍晋三政権は再稼働させようとしている。 福島県には第1原発のほかに第2原発があるが、その第2原発で1989年1月6日にトラブルが発生している。冷却水再循環ポンプ内にボルトや座金が脱落、それが原子炉内に流入するという重大な事故だった。前年の暮れからポンプ内で振動があり、警報も鳴っていたのだが、東電の指示で運転を続けた結果だと言われている。 これだけの事故であるにもかかわらず、東電や国は県へ速やかに報告していない。2002年8月には東電による点検記録の改竄を国が報告していなかったことを知る。当時の知事、佐藤栄佐久は怒り、プルサーマル計画の了承を取り消して東電管内の原発稼働を拒否した。 佐藤知事が再稼働を認めたのは2006年7月。その時、知事の弟の祐二が土地取引に関して検察から取り調べを受けている。9月に祐二は逮捕され、県議会内では知事の辞職を求める声が高まった。そして10月、佐藤栄佐久は東京地検特捜部に収賄の容疑で逮捕される。懲役2年、執行猶予4年の判決が確定しているが、裁判の記録を読むと、冤罪だった可能性が高いと言わざるをえない。警察、検察、裁判所は支配システムの一部だと言うことを忘れてはならない。 福島第1原発の事故後、日本中の原発が停止する。政府や電力会社は早く再稼働させようと目論むが、そのターゲットのひとつが東電の柏崎刈羽原発。 その当時の新潟県知事、泉田裕彦は通産省(現在の経産省)出身だが、原発の再稼働は拒否する。2016年の知事選挙にも立候補する意向を示していたが、地元の新潟日報が中古フェリー購入に関する疑惑を報道して知事を攻撃、泉田はその報道を否定したものの、立候補を撤回した。現在は衆議院議員を務めている。 その選挙で当選した米山隆一も再稼働に反対、県独自で福島第1原発事故などの検証作業を進めるのだが、2018年4月に週刊文春が知事の女性問題に関する記事を掲載、それが原因で辞任する。そして行われた2018年の選挙では自民党と公明党が支持する花角英世が当選した。 巨大利権の原発を日本へ導入する際、中心的な役割を果たしたのは中曽根康弘である。中曽根たちは1954年3月2日、2億3500万円という原子力予算案を国会に提出している。 その中曽根が出世階段を登り始めたのは1950年だという。スイスで開かれるMRA(道徳再武装運動)の世界大会へ出席したのだが、この団体はアメリカの「疑似宗教団体」で、CIAの別働隊だと見なされている。日本人としては岸信介や三井本家の弟、三井高維らが参加していた。 そのMRAで中曽根はヘンリー・キッシンジャーなどCFR(外交問題評議会)のメンバーと知り合うことにも成功、1953年にはキッシンジャーが責任者を務めていた「ハーバード国際セミナー」に参加している。 キッシンジャーがセミナーの責任者に選ばれたのはハーバード大学を卒業した直後の1950年だが、大学へ入る前に彼は軍のCIC(対敵諜報部)で活動しただけでなく、破壊工作(テロ)組織のOPCにも所属していたと言われている。OPCは後にCIAの秘密工作部門になる。
2019.04.29
第2回目の「一帯一路フォーラム」が4月25日から27日にかけて北京で開催され、中国やユーラシア経済連合(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア)のほか戦略的に重要な位置を占めているパキスタン、フィリピン、イタリアなど37カ国の首脳が出席、参加者の総数は5000名に達したという。安倍晋三首相は4月22日から29日にかけて欧米6カ国を歴訪、26日にはドナルド・トランプ米大統領と会談している。 このフォーラムで最も注目されたのはロシアのウラジミル・プーチン大統領が行った演説だろう。中国の一帯一路とロシアの大ユーラシア・パートナーシップを統合し、アメリカが仕掛けている「貿易戦争」に対抗する意思をプーチンは示しつつ、多極的な関係の構築をプーチンは強調した。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アングロ・サクソン系国は遅くとも20世紀の初頭からユーラシア大陸の周辺を支配し、内陸部を締め上げていくという戦略で動いている。最終的なターゲットはロシアだ。 この戦略をまとめ、1904年に発表したのがイギリスの地理学者で地政学の父とも呼ばれているハルフォード・マッキンダーである。 内陸部を締め上げるためにマッキンダーは西ヨーロッパ、パレスチナ、サウジアラビア、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ「内部三日月帯」とその外側の「外部三日月地帯」を想定する。内部三日月帯の上にイギリスはサウジアラビアとイスラエルを作り上げたが、その西端にある国がイギリスであり、東端の国が日本。イギリスが長州と薩摩を支援して徳川体制を倒し、中国(清)やロシアへの軍事侵攻を支援したのは、それが自分たちの侵略計画に基づいている。 ネオコンはバーナード・ルイスやサミュエル・ハンチントンの影響を受けているが、マッキンダーの戦略からも外れていない。 ルイスやハンチントンは「文明の衝突」を主張していたのに対し、プーチンは「文明の統合」を掲げている。唯一の超大国であるアメリカがすべてを支配するというネオコンのプランに挑戦しているとも言えそうだ。 ロシアや中国のプランに興味を持つ国が増え、アメリカやイギリスが強く反発しているのは、そのプランが「中国だけが利益を得る」仕組みではないと認識されているからだろう。 1991年12月にソ連が消滅して以来、アメリカの支配層は自らの強欲さを露骨に見せてしまった。取り返しはつかない。しかもアメリカが強くないことも露見してしまった。恐怖で従っていた人びとは離反する。利益でつながっている人は残るかもしれないが、その利益が怪しくなっている。アメリカ支配層の戦略と従属国支配層の利益との間の矛盾が拡大しているのだ。
2019.04.28
欧米を歴訪中の安倍晋三首相は4月26日にホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と会談した。経済や軍事が話題の中心だった模様で、日本が農産物にかけている関税も問題にされたという。農産物は通貨やエネルギーと並ぶ重要な支配の柱だ。危険性を指摘する研究発表が出ているGMO(遺伝子組み換え作物)も日本で蔓延する可能性がある。 今回の日米首脳会談で両国の利害衝突が明らかにされた。日本を支配してきた人びとは明治維新から米英の巨大金融資本、いわゆるシティやウォール街の手先となることで地位と富を獲得してきた。その従属構造を変えようとしたのが血盟団や二・二六事件の将校たちだったが、支配の仕組みは天皇制官僚体制の中枢にまで及んでいることを彼らは理解していなかった。 しかし、今と違ってウォール街はアメリカを完全に支配しているわけではなく、1932年の大統領選挙で勝利したフランクリン・ルーズベルトが率いるニューディール派はウォール街と対立関係にあった。1933年から34年にかけてウォール街の大物が在郷軍人会を使ってニューディール派を排除し、ファシズム体制を樹立しようとしたのはそのためだ。 本ブログでは何度も書いてきたが、このクーデター計画は海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将によって阻止され、その議会証言で明らかにされた。この計画はかつて、アメリカでもタブーだったが、今では広く知られるようになっている。このクーデタ計画の中心が関東大震災以降の日本を支配している。 この従属構造は今も基本的に同じで、日本の支配層はウォール街やシティに服従、その命令に従って政策を作成してきた。それが自分たちの個人的な利益につながるからだ。マスコミや学者もそうした支配システムに組み込まれている。 米英の基本戦略は侵略し、破壊し、虐殺し、略奪し、世界の富を米英の支配層が独占するというもの。それは新自由主義とも呼ばれている。 1991年12月にソ連が消滅した直後、新自由主義者は民主主義者を装うことをやめ、強欲な正体を現したのだが、21世紀に入ってロシアが再独立すると状況が一変する。アメリカは力で押さえ込もうとするが、その結果、大して強くないことが発覚し、ロシアや中国が求心力を強めることになった。 アメリカへの従属にともなう自国経済の疲弊が深刻化し、耐えられなくなっている国が出てきている。その一例がトルコだが、日本もアメリカへの従属が自国経済を破壊するという矛盾が拡大しつつある。 日本経済は中国なしに維持できない。イランからの石油は必要。ロシアからの天然ガス輸入はメリットが大きい。こうしたことを妨害しているのがアメリカだ。そのアメリカを支えてきたドル体制は揺らいでいる。それを支えるためにアメリカ支配層は必死だ。
2019.04.27

見城徹なる人物の書いた秋元康に関する2019年4月17日付けのツイッターが話題になっている。秋元康が予約した名古屋の店で「各テレビ局のエース・プロデューサーたちと本音の会話」を楽しんだようだ。全部で16人だったという。 このアンコウ料理の店での接待は定期的に行われているようで、そうした会食について週刊新潮の2012年11月1日号で青沼陽一郎が書いている。その記事によると、店の名前は「得仙」。仕切っているのは秋元康の弟の伸介で、「こうした席に、必ず秋元の弟に寄り添っている人物がいる」とも指摘している。「写真週刊誌の編集長だった人物」だという。 言うまでもなく、見城のツイッターが話題になった大きな理由は、秋元康が事実上の最高権力者である芸能プロダクション配下の「アイドルグループ」におけるメンバー襲撃事件が決着していない中での会食だったからだ。 このグループとは新潟県を拠点とするNGT48。襲撃事件に関する調査を行うとして運営会社のAKSは第三者委員会を設置したのだが、その委員構成に疑問があるうえ、取材の窓口はAKS。 3月22日にAKSは報告書に関する記者会見を行ったが、出てきたのは委員でなくAKSの松村匠取締役とNGT48劇場支配人の早川麻依子を含む3名。会見は支離滅裂だった。それから1カ月後の4月21日、被害者の女性は信頼できるメンバー2名とともにNGT48からの「卒業」を発表している。そうした中、「各テレビ局のエース・プロデューサーたち」や見城は名古屋でアンコウ鍋をつついていたわけだ。 女性がオートロックのマンション内でふたりの男性に襲われた事件に対する「各テレビ局のエース・プロデューサーたち」や見城の認識はその程度だったということになる。 この事件を軽く見ているという点で、新潟県の花角英世知事も大差はない。4月24日に開かれた定例会見で、県がイベントのスペシャルサポーターに起用していたNGT48との再契約について「もう少し事態の推移を見守りたい」と発言したのだ。 被害者がNGT48を辞めざるを得ない情況になったことを受けて県は再契約をしない方向で調整していたのだが、知事はそうした方針を換えさせたようだ。 ところで、新潟県は広報活動の指導や報道機関との調整を担う広報監という役職を2017年に設置した。NGT48が躍進、その一方で襲われた女性に対する運営側からの嫌がらせが始まったとされる年でもある。初代広報監は電通東日本の岩佐文恵。昨年から電通東京本社ソリューションセンタープロモーション室長だった杉山秀人が後任として就任している。 新潟県では2016年の知事選で現職の泉田裕彦が突如立候補を取りやめ、米山隆一が選ばれた。その米山は週刊文春が2018年4月に掲載した知事の女性問題に関する記事が原因で辞任。そして行われた選挙で当選したのが花角だ。この間、新潟県でも原発の再稼働が問題になっていた。泉田と米山が慎重派だったのに対し、現知事は再稼働を容認している。
2019.04.26
ロシアのウラジミル・プーチン大統領はウラジオストックで朝鮮の金正恩労働党委員長と朝鮮半島情勢について話し合った後、4月25日に北京へ降り立った。26日から27日にかけて開かれる一帯一路に関する国際フォーラムへ出席するためだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、朝鮮の問題とは米中問題。アメリカから見ると朝鮮は中国、そしてロシアを侵略、制圧するための橋頭堡であり、中国やロシアにとっては東アジアを安定化させ、経済を発展させる上で重要な国だ。 2011年夏、ロシアのドミトリ・メドベージェフ首相はシベリアで朝鮮の最高指導者だった金正日、つまり金正恩の父親と会い、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにするだけでなく、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案している。ロシア政府はシベリア横断鉄道を延長させ、朝鮮半島を縦断、釜山までつなげるという計画を持っていた。鉄道と並行してパイプラインの建設も想定されていたはず。 アメリカのバラク・オバマ政権のネオコンは2014年にネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを実行、選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追い出した。拘束、あるいは処刑するつもりだったとも言われているが、そうした展開にはならなかった。 このクーデターでロシアの喉元へミサイルを突きつけて軍事的に脅す一方、ウクライナを経由するエネルギー資源のパイプラインを押さえてロシアとEUの関係を絶ち、ロシアからEUという市場を奪って経済を破綻させようとしたのだ。 しかし、ロシアはウクライナを迂回するパイプラインを建設する一方、中国との関係を深めていく。今では戦略的同盟関係にあるとされている。その中国が2014年頃から進めている一帯一路、つまりユーラシア大陸の東と西を陸と海で結ぶプランとロシアの計画は合体した。 こうした動きに韓国は同調しているが、日本政府は距離を置いていた。韓国も日本もアメリカ(アングロ・サクソン)に従属しているとされているが、韓国はアメリカに見切りをつけ、自立しようとしている。 日本でも中国なしにビジネスが成り立たない経済界は中国やロシアへ接触しようとしている。そうした中、日本の大企業が相次いでスキャンダルに襲われているのは奇妙な偶然だ。 安倍晋三首相はロシアや中国を訪問している。これは経済界の意向を受けてのことだろうが、中身がない。日本の政府やマスコミは成果があったかのように宣伝しているが、相手にされていないのが実態のようだ。確かに、アメリカ支配層の操り人形と真剣に話し合うのは愚かな行為である。 世界が新たな時代に向かって進もうとしている中、日本の支配層は泥船から出ようとしない。その泥船の外に出た瞬間、自分たちの地位、収入、財産が消えると恐れているのだろうが、泥船は沈む。
2019.04.26
朝鮮の金正恩労働党委員長が4月24日にウラジオストックへ列車で到着、25日にはロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談に入った。プーチン大統領は金委員長によるアメリカとの「関係正常化の努力」と韓国との対話を歓迎したという。 本ブログでは繰り返し書いているが、ロシアが朝鮮半島の軍事的な緊張を緩和させ、鉄道やパイプラインで東アジアを結びつける計画を顕在化させたのは2011年のことだった。 アメリカのバラク・オバマ政権がリビアやシリアへジハード傭兵を送り込んで侵略戦争を始めたこの年の夏、ロシアのドミトリ・メドベージェフ首相はシベリアで朝鮮の最高指導者だった金正日と会い、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案している。 朝鮮がロシアのプランに同意すれば、シベリア横断鉄道を延長させ、朝鮮半島を縦断、釜山までつなげることが可能。鉄道と並行してパイプラインの建設も想定されていたはずだ。 そうした動きが進む朝鮮半島に暗雲が立ちこめるような出来事が2011年12月に起こった。金正日が急死したのである。朝鮮の国営メディアによると、12月17日に列車で移動中に車内で急性心筋梗塞を起こして死亡したというが、韓国の情報機関であるNIS(国家情報院)の元世勲院長(2009年~13年)は暗殺説を唱えていた。 金正日の後継者が金正恩。ミサイル発射実験や核兵器の開発をアピール、少なくとも結果として、東アジアの軍事的な緊張を高めることになった。中国やロシアを軍事的に恫喝したいアメリカ支配層の目論見に合致した行為だ。 その朝鮮が方針を変更したのが2018年4月27日のこと。韓国の文在寅大統領と金正恩委員長が板門店で会談したのだ。 その1年前、2017年4月7日にアメリカ海軍は地中海に配備していた2隻の駆逐艦、ポーターとロスに巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向け、発射させている。 この攻撃はドナルド・トランプ大統領がフロリダ州で中国の習近平国家主席とチョコレート・ケーキを食べている最中に実行された。アメリカ側としては中国を恫喝するつもりだったのだろうが、発射されたミサイルのうち6割が無力化されてしまう。ロシア製防空システムの優秀さを示すことになり、トランプ政権の思惑は外れた。 その1年後、板門店で南北首脳会談が開かれる13日前の2018年4月14日には100機以上の巡航ミサイルをアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍がシリアに対して発射する。リベンジのつもりでもあったのだろうが、7割が無力化されてしまった。 アメリカ側は前年の攻撃を反省し、発射ミサイル数を倍増させた。それ以外にも対策を練ったのだろうが、ロシア側も対策を練っていたのだ。最も大きかったのは短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1の配備だと言われている。 このミサイル攻撃でもアメリカ側は「化学兵器」を正当化の口実に使っているが、アメリカなどの国が侵略戦争を始めて間もない段階でシリア政府はロシア政府のアドバイスもあり、保有する化学兵器を廃棄していた。つまり、アメリカ側の主張には説得力がない。金正恩委員長とトランプ大統領の会談もプーチン大統領の演出だったのかもしれない。
2019.04.25
スリランカで4月21日に爆破事件があり、359名以上が死亡したという。当局の発表によると、地元の武装集団、ナショナル・タウヒード・ジャマート(NTJとも表記される)に所属する7名が自爆攻撃を行ったようだ。 この武装集団の指導者と言われているモウルビ・ザフラン・ハシムはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を支持する発言をしている人物で、ダーイッシュは自分たちが自爆攻撃を実行したと宣伝している。 このダーイッシュは様々なアル・カイダ系武装集団と同じように「ジハード」の看板を掲げる傭兵。1997年から2001年にかけてイギリスの外務大臣を務めたロビン・クックが指摘したように、アル・カイダとはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リストであり、組織ではない。こうした傭兵を使う侵略は1970年代終盤にズビグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンで始めた。 ダーイッシュという名前が売り出されたのは2014年。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧した。その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになったのである。 偵察衛星、無人機、通信傍受、人間によるスパイ活動といった手段を持つアメリカの軍や情報機関は事前にダーイッシュの動きを知っていたはずだが、何もしていない。黙認していたのだ。このトヨタ車はアメリカ政府がFSA(自由シリア軍)、つまりシリア侵略のために送り込まれた傭兵部隊へ提供したものだと言われている。 動きを監視していただけでなく、2012年の段階でこうした展開になることをアメリカ軍の情報機関DIAは見通し、バラク・オバマ政権に警告している。シリアで政府軍と戦っているのはアル・カイダ系のアル・ヌスラ(報告書はAQIと同じと指摘している)であり、その主力はサラフ主義者やムスリム同胞団だと指摘、オバマ大統領が言うような穏健派は存在しないとしている報告書が提出された当時のDIA局長は。マイケル・フリン中将。ダーイッシュが売り出された2014年にフリンは退役に追い込まれている。 その後、ダーイッシュは残虐性をアピール、アメリカ/NATO軍の軍事介入を誘い、アメリカ主導軍による空爆が始まる。ただ空爆のターゲットはインフラが中心で非戦闘員の犠牲が増える一方でダーイッシュは勢力を急速に拡大していった。その流れは2015年9月にロシア軍がシリア政府の要請で介入するまで続く。 シリアでダーイッシュという看板を掲げたり、アル・カイダ系武装集団を名乗ったりする勢力が敗走していた2017年5月、フィリピン南部にあるミンダナオ島のマラウィ市をダーイッシュ系だというマウテ・グループやアブ・サヤフが制圧した。 ここは以前からダーイッシュが活動している地域で、市内には500名程度の戦闘員がいると推測されていたが、アメリカ軍は活動を容認してきた。こうした事態を受け、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領はミンダナオ島に戒厳令をしく。それに対し、アメリカ大使館はフィリピン政府から要請に基づとして特殊部隊を派遣したが、ゥテルテ大統領はアメリカ側に支援を頼んでいないとしていた。 すでにジハード傭兵は中国の新疆ウイグル自治区、ミャンマーのロヒンギャが住む地域などへジハード傭兵を潜り込ませていると言われ、今後、何らかの事件が引き起こされる可能性がある。 インドネシアの場合、普通のイスラム教徒をワッハーブ派へ改宗させる工作が数十年にわたって続けられ、2016年1月には首都ジャカルタで何回かの爆破と銃撃戦があり、攻撃グループの5名を含む7名が死亡している。その実行グループもダーイッシュを名乗っていた。インドネシアから約700名がシリアへ入り、ダーイッシュに加わったと言われている。 1965年9月30日にインドネシアでは小集団の若手将校が6名の将軍を誘拐のうえ殺害、ジャカルタの主要箇所を占拠、その武装蜂起を鎮圧するという形でスハルトがクーデターを実行、スカルノ体制を倒すことに成功した。蜂起軍を率いていたウントゥング・シャムスリ中佐は後にスハルトとCIAが1965年10月5日にクーデターを計画していることを知り、先手を打とうとしたのだと主張している。 大統領だったスカルノは将軍殺害に関してコミュニストを非難していない。そのスカルノをアメリカ支配層は排除し、目障りな人びとの粛清を始めた。1966年3月まで30万人から100万人が殺されたと言われている。スカルノやコミュニストが仕掛けたするならば準備ができていたはずで、これほど一方的に虐殺されることはなかっただろう。CIAがスカルノを排除するために仕掛けたクーデターだと現在では信じられている。 実際、CIAは1950年代からインドネシアに対する秘密工作を進めていた。1955年の総選挙と57年の地方選挙でスカルノの国民党とインドネシア共産党が勝利、スカルノ政権は外国資産の国有化をはじめたため、危機感を持ったのだ。 スカルノのイメージを悪くさせるプロパガンダに失敗したCIAは1957年に暴力的な秘密工作を始める。この工作で沖縄はフィリピン、台湾、シンガポールと同じような訓練基地として使われ、兵站基地としても機能していている。 CIAから武器を供給された武装勢力がインドネシアで最初に蜂起したのは1958年のことで、スカルノが日本を訪問している時を狙って決行された。 反乱グループの中心は旧貴族階級と地主だが、実行部隊はスマトラ島を拠点としていたインドネシア軍の将校。CIAの爆撃機だけでなくアメリカ海軍の潜水艦の支援を受けていた。この蜂起は結局、失敗に終わるのだが、アメリカは決してあきらめない。 アメリカ支配層はインドネシア社会を研究する一方、貴族階級出身のインドネシア人をアメリカに留学させて訓練(洗脳)していく。このプロジェクトに協力した大学にはカリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、コーネル大学などが含まれ、「バークレー・ボーイズ」とか「バークレー・マフィア」と呼ばれているようになる。こうした若者のほか、CIAの手先になったのがイスラム勢力だった。今後、インドネシアはジハード傭兵の供給源になる可能性がある。
2019.04.24
ふと、こんなことを考えた。 商品の売り上げは商品がどの程度売れたかで決まる。人気のある商品は売れるだろうが、人気がなくても売れれば売上高は膨らむ。商品が欲しいのではなく、買うことに意味がある場合もある。そうした買い手は通常の客ではない。そうした商品の場合、一般の客が不買運動をしてもカネの流れに大きな変化はないだろう。 かつてコロガシが問題になった。ある商品を何社かが転売していくのだが、その商品が欲しいわけではない。利益をプラスしながらコロガシていくのだ。誰も商品自体には興味がない。その商品を最終的につかんだ人間は、そのゲームの敗者だ。 昔々、そうしたゲームをして負けた会社が梱包を解いたところ、別の商品が入っていたことがあるという。
2019.04.24
インドネシアのバンカ島で日本軍の兵士は1942年2月、22名のオーストラリア人看護師を銃殺したという。海の中を行進させ、機関銃で射撃、ひとりを除いて殺害したのだが、その前に看護師は兵士から性的暴行を受けていたことを示す証拠の存在が明らかにされた。(英語、日本語)証拠を隠滅し、なかったことにするという手法は今でも使われている。NGT48のケースもその一例だが、隠しきれないこともある。 日本のアジア侵略は1872年の琉球併合から始まるが、アメリカとの戦争は1941年12月7日の真珠湾攻撃から。1942年6月のミッドウェー海戦で日本の艦隊が敗北するまで日本側は勝ち戦だと考えていたようだ。そうした中、バンカ島での虐殺は引き起こされたことになる。 外国へ攻め込んだ軍隊の兵士が女性を性的に暴行するという話はしばしば聞く。日本軍に限った話ではない。日本軍の特徴はブレーキがきかなくなることにあると言えるだろう。性的暴行への対策として日本軍が作り上げたのが慰安婦の仕組みだ。戦争経験者は次のような文章を残している。 「日本軍は前線に淫売婦を必ず連れて行った。朝鮮の女は身体が強いと言って、朝鮮の淫売婦が多かった。ほとんどだまして連れ出したようである。日本の女もだまして南方へ連れて行った。酒保の事務員だとだまして、船に乗せ、現地へ行くと『慰安所』の女になれと脅迫する。おどろいて自殺した者もあったと聞く。自殺できない者は泣く泣く淫売婦になったのである。戦争の名の下にかかる残虐が行われていた。」(高見順著『敗戦日記』) 「あえて言いますが、ほとんどの男は、とても自分の家族、自分の女房や子供たちに話せないようなことを、戦場でやっているんですよ。中国戦線では兵士に女性を●姦することも許し、南京では虐殺もした。そのにがい経験に懲りて、日本軍は太平洋戦争が始まると、そうしたことはやるな、と逆に戒めた。」(むのたけじ著『戦争絶滅へ、人間復活へ』岩波新書、2008年) 「そこで、出てきたのが『慰安婦』というものです。その主体は朝鮮から来た女性たちでした。日本の女性も来ましたが、これは将校専用です。』(前掲書) 「女性たちにここへ来た事情を聞くと、だまされた、おどされた、拉致された、というように、それは人によってさまざまだった。」(前掲書) 「何人もの女性たちを船に乗せてインドネシアまで連れてくるためには、軍の了解が絶対に必要です。・・・やはり、慰安婦は軍部が一つの作戦としてやったことで、まったく軍の責任だった。」(前掲書) 敗戦後、日本の将兵が戦場で行ったことを批判的に語るおとなもいたが、多くの「元兵士」にとって身に覚えのある話であり、口にすることはできなかっただろう。勿論、事実を否定することもできない。1945年に20歳代だった人は1975年でも50歳代だ。日本社会には戦場の記憶が鮮明に残っていた。荒唐無稽な話はできない。 戦争経験者が少なくなるに連れ、妄想を平然と口にする人が増えてくる。メディアもそうした妄想の拡散に協力した。 それでも慰安婦の存在を否定できないため、商売として行っているのだから問題がないと言う人もいるが、その考え方は日本人の堕落、退廃を示している。 第2次世界大戦の前、JPモルガンの強い影響下にあった日本では新自由主義的な経済政策が採用され、庶民の生活水準は悪化し、東北地方では娘の身売りが増えた。欠食児童、争議なども社会問題になっている。こうした貧富の差を拡大させる政策を推進したのが浜口雄幸内閣だ。 そうした政策に反発する人も少なくなかった。その結果、浜口首相は1930年11月に東京駅で銃撃されて翌年の8月に死亡、32年2月には大蔵大臣だった井上準之助が本郷追分の駒本小学校で射殺され、その翌月には三井財閥の大番頭だった団琢磨も殺された。井上は当時、日本で最もJPモルガンに近いとされていた人物。団もウォール街と緊密な関係にあった。 その年の5月には五・一五事件が引き起こされ、1936年2月には二・二六事件だ。血盟団にしろ、二・二六事件の将校にしろ、娘を身売りしなければならないような状況を作った支配層への怒りが行動の背景にはある。 井上が殺された1932年に駐日アメリカ大使として日本へやってきたジョセフ・グルーはJPモルガンと極めて緊密な関係にある。このことは本ブログで繰り返し書いてきた。グルーのいとこがジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥と結婚していたのである。しかもグルーの妻の曾祖父の弟は「黒船」で有名なマシュー・ペリーである。 グルーは秩父宮、松平恒雄、徳川家達、樺山愛輔、牧野伸顕、吉田茂、岸信介などと昵懇にしていたが、中でも親しかったのは松岡洋右。戦争が始まり、離日する直前にグルーが岸とゴルフしたことも有名な逸話だ。安倍晋三の祖父は大戦前からアメリカの支配層と親しかったのである。 戦前の天皇制官僚システムはウォール街の影響下にあったわけだが、1933年から45年4月にかけての期間はウォール街と敵対関係にあったニューディール派がホワイトハウスで主導権を握った。ニューディール派の中心的な存在がフランクリン・ルーズベルト大統領だ。 ルーズベルトが急死するとウォール街がホワイトハウスを奪還、ドイツのナチは救出され、日本の天皇制官僚システムは存続することになる。戦争責任も曖昧なまま幕引きになった。 しかし、連合国の内部には天皇制官僚システムを破壊するべきだと考える人も少なくなかった。日本軍と直接戦ったイギリスやオーストラリア、そしてソ連。日本が降伏した直後はアメリカが日本をコントロールできる状態だったが、時間を経ればそうした国々の軍人や官僚が日本へやってきて民主化を要求、天皇制の廃止も主張する可能性が高い。それに留まらず、天皇の戦争責任は必ず問われる 大戦後、日本占領の中枢だったGHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部)の中にも天皇を中心とする侵略戦争の象徴である靖国神社の焼却を主張した将校が多かったのだが、焼かれなかったのは、ローマ教皇庁が送り込んでいたブルーノ・ビッターが強く反対したからだという。ビッターは闇ドルにも手を出していた人物で、CIAのエージェントだったと見られている。靖国神社とCIAには何らかの関係があるのだろう。(朝日ソノラマ編集部『マッカーサーの涙』朝日ソノラマ、1973年) ウォール街は日本を支配するシステムとして大戦前から天皇制官僚システムを使っていた。それを戦後も存続させるため、戦争責任の追及と民主化の推進という儀式を早く終わらせる必要があった。 そこで1946年1月に戦争犯罪を裁くとして極東国際軍事裁判(東京裁判)を設立、48年11月に判決が言い渡されている。その年の12月23日に東条英機、広田弘毅、松井石根、土肥原賢二、板垣征四郎、木村兵太郎、武藤章が処刑されているが、これは「民主化」を演出するセレモニーにすぎない。本来なら処罰されて当然であるにもかかわらず、被告席にいない人がいた。 そして新たな憲法が制定される。その憲法は第1条から第8条で天皇制の存続を定めている。「象徴」という修飾語をつけてはいるが、天皇制の存続を謳っている。「戦争の放棄」を定めた条項はその後、第9条だ。 戦後日本の進む方向を決めたジャパンロビーの中心にはウォール街の代理人とも言えるジョセフ・グルーがいた。内務官僚、思想検察、特別高等警察といった戦前日本の治安体制の中枢は戦後も要職に就いている。「国体」は護持されたのだ。 バンカ島での出来事をオーストラリア政府が封印したのは日本の「国体護持」を望むウォール街の意向に沿った行動だと言えるだろう。その国体に関わる儀式が近く行われる。(注)●は楽天による検閲
2019.04.24
芸能プロダクションAKSが運営する「アイドルグループ」のNGT48のメンバー3名がグループを辞めると4月21日に発表した。 そのひとりである山口真帆は昨年(2018年)12月8日午後9時ごろ、オートロックのマンション内にある自室へ入ろうとしたところをふたりの男に襲われ、顔をつかまれて押し倒されそうになった。暴行に加わった「新潟市内の無職の男性と同居する大学生」は9日、新潟県警に逮捕されたが、新潟地検は28日にふたりを不起訴にしている。山口と一緒に辞めるのは山口を支えてきたという長谷川玲奈と菅原りこだ。 襲撃後、今村悦朗支配人など運営側は事件を隠蔽しようとする。裏できちんと処理するので表沙汰にはしないでほしいと山口を説得したようだが、その際、山口に約束したことを今村たちは守らなかった。会社側の対応に不審を抱いた山口は1月8日にSHOWROOMでの動画配信やツイッターで事件を公にした。「私が言わないと何も変わらないから」と考え、「私はもうどうなるか分からないから」という覚悟で告発したという。 しかし、この段階になっても運営側はもみ消しを諦めていない。デイリー新潮に登場する芸能担当記者によると、「山口さんが動画を配信し、ツイッターを公開しても、NGTの関係者などは芸能メディアに『山口には少し精神的な問題がある』と、あたかも狂言であるかのように匂わせるなどしていました」という。メディアの芸能担当記者は抱き込み済みだと判断したのだろう。 週刊新潮の2012年11月1日号に掲載された「時代の寵児『秋元康』の研究」によると、秋元康たちはマスコミ関係者を顎足つきで接待していた。 記者などマスコミ関係者を接待し、情報を収集し、あるいは操作するのは秋元康の弟である伸介の仕事。その一方で好ましくない記事を書いた相手には多額の損害賠償を請求してきた。伸介には「写真週刊誌の編集長だった人物」が寄り添っていたという。 形式はどうであれ、NGT48を含む「AKB48グループ」は「坂道シリーズ」と同じように秋元康のグループであり、彼は安倍晋三政権へも食い込んでいる。その秋元康が広く知られるようになったのは1985年4月から87年8月まで続いたフジテレビの番組「夕やけニャンニャン」で成功してから。この番組を企画したのが彼だった。 AKB48が秋葉原を拠点にして活動を開始したのは2005年12月だが、初公演の一般入場者は7名。その後も低迷するが、それでもNHKは07年の「紅白歌合戦」に出場させる。それで知名度が上がったこともあり、CDの売り上げが増え始める。その後、人気の割にCDの売り上げ枚数が急速に増えていくという現象が見られ、「誰が買っているのか」と話題になった。 2005年の創設時、その中心には秋山康のほかふたりの男が関係していた。芝幸太郎と窪田康志だ。芝は商工ファンドの元トップセールスで、窪田は特殊な精密機器部品の製造業を営む実業家の息子だという。2011年から13年頃にかけての週刊文春や週刊新潮が掲載した記事によると、この3人を結びつけたのは裏カジノ。つまり、表にしにくいカネと関わりがあった。 表にできないカネを表へ出す操作をマネーロンダリングと呼ぶ。欧米では大手の金融機関も手を染めている。UNODC(国連薬物犯罪事務所)のアントニオ・マリア・コスタによると、2008年に世界の金融システムが揺らいだ際、麻薬取引で稼がれた3520億ドルの大半が経済システムの中に吸い込まれて銀行の倒産を救った可能性がある。 麻薬取引の儲けは2010年になると年間6000億ドルに達し、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達したとも言われ(UNODC, “Annual Report 2010”)、麻薬の年間売上高は8000億ドル以上という推計もある。1999年の時点で銀行が行っている違法資金のマネーロンダリングは年間5000億ドルから1兆ドルに達するという話がアメリカ上院では出ていた。(Minority Staff Report For Permanent Subcommittee On Investigations (Senate Committee On Homeland Security & Governmental Affairs) Hearing On Private Banking And Money Laundering, November 9, 1999) 1980年代には無担保転換社債が外国で盛んに発行されていたが、誰が買ったのかは不明。つまり自社の転換社債を裏金で買い、それを株式へ転換し、その株式をどこかへ沈めるという手法を使えばロンダリングが可能だ。 株式や債券の取り引きはマネーロンダリングに使われたと言われているが、株式や債券でなくても誰が買ったかよくわからないような商品ならロンダリングに利用できる。 銀行の場合、裏金を担保にして融資するという手法も可能。銀行としては裏金を押さえているので担保は形式的なもの。中身がなくてもいい。が、何らかの事情で融資がチェックされると不良債権とされてしまうという問題がある。 こうした仕事もしていた証券会社や銀行だが、株価の大暴落を経て1990年代に入るとスキャンダルが発覚する。1991年には証券会社が大口顧客に「損失補填」していたことが発覚している。 もっとも、こうした補填は以前から行われていたと言われている。不正行為ではあるが、珍しい話ではない。いくつもの銘柄を寄り付きで買い、大引けで売れば儲かるケースも損するケースもある。証券会社によっては儲かった銘柄だけ特定の政財官界の要人や大企業の口座へ入れて儲けさせていたという話も聞く。 1990年代には銀行のスキャンダルも浮上した。例えば富士銀行の場合、銀行の支店幹部が架空の預金証書を発行し、ノンバンクから約2600億円を引き出していた。東海銀行と富士銀行のケースでは、資金が東南アジアに流出したと言われている。 同じ頃、東洋信用金庫が大阪の料亭「恵川」の経営者で広域暴力団と関係のある尾上縫に対して額面3400億円余りの架空預金証書を発行、興銀系の金融機関から約1500億円を引き出したほか、借入総額が5000億円に達した時期もあった。架空の証書を使っての不正融資は典型的なマネーロンダリンの手法である。このケースがそうだったかどうかは不明だが、理屈の上では可能だ。 実態は不明だが、こうした融資が発覚、銀行の不良債権は膨らむ。そこで規制に対応するため、1990年代後半になると企業への融資を渋り、さらに貸し剥がしと呼ばれる回収を強化する事態になり、老舗や優良企業も倒産していく。 そうしたとき、広域暴力団系の会社、いわゆる企業舎弟やそれに類する組織の闇資金が表の企業へ流れ込んだとも言われている。日本の経済全体の腐敗が加速する一因になっただろう。
2019.04.23
ファイズ・サラージを首相とし、国連に承認されたGNA(国民合意政府)はトリポリを拠点にしている。そのトリポリにハリファ・ハフタルのLNA(リビア民族軍)が迫っているようだ。 ハフタルは過去に何度かロシアを訪問、政府高官と会っているが、ロシア政府が後ろ盾とは言いがたい。サウジアラビアが戦費として数千万ドルを提供していると報道されている一方、サラージ政権はフランスがLNAを支援していると批判している。 そもそもハフタルは1960年からCIAに保護され、アフタルに従う武装グループはアメリカで軍事訓練を受けてきた人物。この関係は切れていないだろう。このグループは2011年春に始まったリビアに対する侵攻作戦へも参加している。 この侵攻作戦にはアメリカ、フランス、サウジアラビアのほか、イギリス、カタール、イスラエル、トルコなどが参加していた。自国の部隊だけでなく、サラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)とムスリム同胞団を主力とする傭兵部隊を送り込んでいた。途中からNATOが空爆しているが、地上では傭兵が戦闘の中心的な存在だった。 この傭兵はアル・カイダ系。1997年から2001年にかけてイギリスの外務大臣を務めたロビン・クックによると、アル・カイダとはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リスト。その歴史は1970年代終盤にズビグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンで始めた秘密工作から始まる。 リビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制が倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。その直後、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている。その光景はユーチューブにアップロードされ、イギリスのデイリー・メイル紙も伝えていた。 その直後にCIAは戦闘員と武器/兵器をシリアへ輸送する。その拠点になったのベンガジのアメリカ領事館。その領事館が2012年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使が殺されている。 大使はその前日に領事館でCIAの工作責任者と会談、その翌日には海運会社の代表と会っている。その当時、CIA長官だったのがデイビッド・ペトレイアスで、国務長官がヒラリー・クリントンだ。 こうした戦闘員や軍事物資の輸送、そしてシリアでの反政府(侵略)軍への支援を正当化するため、バラク・オバマ政権は「穏健派」というタグを使い始めていたが、そうした「穏健派」が存在しないことをアメリカ軍の情報機関DIAが2012年8月にホワイトハウスへ報告していた。 これは本ブログで繰り返し書いてきたことだが、シリア政府軍と戦っている戦闘集団の主力はサラフ主義者やムスリム同胞団を中心に編成されたアル・カイダ系戦闘集団だとDIAは指摘している。 また、報告書は東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配国が作られる可能性があるとも警告していた。この警告は2014年、ダーイッシュという形で現実になる。 このダーイッシュは急速に勢力を拡大し、ダマスカスに迫るのだが、2015年9月30日にロシアがシリア政府の要請を受けて軍事介入して戦況は一変した。その1年前からシリア政府の承諾を得ずに空爆を始めていたアメリカ軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュなどジハード傭兵軍を攻撃、その支配地域を縮小させていった。ダーイッシュが支配していた地域の中心部分はアメリカ軍が占領している。 その一方、リビアではカダフィ体制が倒された後も破壊と殺戮が続き、暴力が支配する破綻国家。かつてはヨーロッパ諸国より生活水準の高く、教育、医療、電力料金は無料、農業は元手なしで始めることができる国だった。今は見る影もない。 リビアが破壊された大きな理由はふたつ存在する。ひとつは石油資源であり、もうひとつは独自の通貨としてディナールという金貨を導入しようとしていた。しかもアフリカ大陸全体で流通させようとしたのだ。ちなみに、アメリカがリビアを攻撃した理由は保有する金143トンと石油利権だったことを暗示するヒラリー・クリントン宛ての電子メールが公表されている。 アフリカの資源なしに権力基盤を維持できない欧米の支配層はリビアを破壊した。資源を奪い続けるためだ。今のところ、ハフタルもその手先にしか見えない。
2019.04.22
フランスの首都パリにあるノートルダム大聖堂で4月15日に大規模な火災が発生し、屋根や尖塔が焼け落ちるなどの被害が出た。それを受けて富豪、例えばアルノー家は「2億ユーロを寄付する」と表明。短時間の間に寄付の総額は10億ユーロに達したという。 ノートルダム大聖堂は権力の象徴でもある。寄付を申し出たという富豪は権力を握っている少数グループの構成員だ。富がそうした構成員へ流れる仕組みを作り上げる「(へ)理屈」が新自由主義。富は1%に満たない集団へ集中し続け、その一方で大多数の民は貧困化している。 国内の民から富を搾り取るだけではすぐに限界に達して破綻する。それを回避するためには国外で略奪を続けるしかない。豊臣秀吉と同じ状況に彼らは置かれている。さらに資産を増やすためにも侵略戦争は必要だ。2011年春に始まったリビアやシリアに対する侵略でフランスはイギリスと同じように重要な役割を果たしてきた。 女優のパメラ・アンダーソンはツイッターで大聖堂における火災の問題を取り上げた。カトリック教会は再建に必要な十分な資金を持っているとしたうえで、家を持てず、街頭で飢えている人びとに対して富豪が何もしていないと批判。富豪たちは「賞賛されるに違いない。そして彼らの寄付は非課税になる」と皮肉っている。 同じような批判は少なくないが、勿論、「民と大聖堂のどちらが大事か」と言っているのではない。富豪は民から搾り取るだけであり、それが指摘されている。金持ちの「慈善」などは彼らの稼ぎや資産に比べれば微々たるもので、搾取の目くらましであり、税金対策でもある。だから貧富の差が急速に拡大しているのだ。かつて「左翼文化人」を彼らは支援したりしていたが、それはそうした「文化人」を操るのが目的だった。 昨年の終わりから強者総取りの新自由主義に対する抗議活動(黄色いベスト)がフランスでは展開され、エマニュエル・マクロンは暴力的に取り締まっている。 このマクロンは2017年5月に実施された大統領選挙の決選投票でマリーヌ・ル・ペンを破り、当選した。2006年から09年まで社会党に所属していたが、その間、08年にロスチャイルド系投資銀行へ入り、200万ユーロという報酬を得ていたといわれている人物だ。そうした経歴からロスチャイルドの操り人形と見なす人もいる。 マクロンはその後、2012年から14年にかけてフランソワ・オランド政権の大統領府副事務総長を務め、14年に経済産業デジタル大臣に就任すると巨大資本のカネ儲けを支援する新自由主義的な政策を推進する。マクロンのボスだったオランドはアメリカ政府の侵略政策にも加わった。 フランスの社会党はその程度の存在。社会主義政党ではなく巨大資本の手先だと言われても仕方がないだろう。フランス国民の社会党政権に対する憎悪は強まる。オランドの近くにいては未来がないとマクロンが判断しても不思議ではない状況だった。そこでマクロンは2016年4月に「前進!」を結成、目くらましに成功して大統領の座を獲得したわけだ。が、その幻術の効果はすでになくなった。権威を再建できるのだろうか?
2019.04.21
特別検察官のロバート・マラーは胡散臭さい人物である。経歴を見ると、1988年にパンナム103便の爆破事件で主席捜査官を務めている。この事件の責任はリビア政府に押しつけられたが、実際はCIAが実行した疑いが濃厚。この事件を利用して「リビア制裁」が実行された。 またBCCIという銀行のスキャンダルの捜査を司法省で指揮した。この銀行はCIAがアフガニスタンで行っていた秘密工作の資金、麻薬取引の儲けなどをロンダリングしていたことで知られているが、その真相を隠蔽したのだ。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとアーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された当時はFBI長官。この攻撃の背後にサウジアラビアとイスラエルが存在している疑いが濃厚だったのだが、これも封印した。 もうひとつ注目されているのが結婚相手。1966年にアン・キャベル・スタンディッシュと一緒になったのだが、この女性は1953年4月から62年1月までCIA副長官を務めたチャールズ・キャベルの一族。 チャールズやダレスは統合参謀本部議長だったライマン・レムニッツァーや空軍参謀総長だったカーティス・ルメイらと一緒にキューバ侵攻を目論んでいる。 まず亡命キューバ人を使った軍事侵攻を実行したが、それは失敗することが見通されていた。彼らはその失敗を口実にしてアメリカ軍を直接、軍事侵攻させるつもりだったのだが、それをケネディ大統領は阻止、中心者たちを追い出したのである。そのケネディは1963年11月22日にダラスで暗殺されたが、チャールズの弟であるアール・キャベルは1961年から64年までダラス市長を務めていた。 またダレスの側近のひとりで1959年1月から62年2月にかけてCIAの破壊工作(テロ)部門を統括していたリチャード・ビッセルはマラーの親戚。ビッセルもケネディ大統領に解任されている。
2019.04.20
ロバート・マラー特別検察官の「ロシアゲート」に関する捜査報告書が公開された。疑惑に根拠があるかのような主張もあるが、例によって証拠は示されていない。事実の裏付けがないのだ。つまり「お告げ」や「御筆先」の類いにすぎない。それを信じる人はカルトの信者だ。 本ブログでは何度も書いてきたが、アメリカの電子情報機関NSAの技術部長を務め、通信傍受システムの開発を主導、NSA史上最高の数学者にひとりと言われている内部告発者のウィリアム・ビニーはNSAがすべての通信を傍受、保管していると指摘、もしロシアゲートが事実なら特別検察官を任命することもなく、FBIは必要な証拠をすべて手にすることができたとしている。 つまり、この件で特別検察官が任命されたことがロシアゲートに根拠がないことを示しているわけだ。根拠なしに有罪を導くことがマラーの役割だったとも言える。そうした場合、しばしば使われる手法が司法取引だ。 ロシアゲートの核心部分は、ウィキリークスが公表したヒラリー・クリントンやDNC(民主党全国委員会)の電子メール。いくつもの不正行為がそこには含まれていた。クリントンは3万2000件近い電子メールを消去、つまり証拠を消したが、全てのメールはNSAが記録しているので容易に調べられる。そうした捜査をFBIは行っていない。DNCのサーバーも調べていないと言われている。 ビニーを含む専門家たちはそうした電子メールがハッキングで盗まれたという主張を否定する。そうした専門家のひとりでロシアゲートを調査したIBMの元プログラム・マネージャー、スキップ・フォルデンも内部の人間が行ったとしている。転送速度など技術的な分析からインターネットを通じたハッキングではないというのだ。 マラーが特別検察官に任命されたのは2017年5月。その2カ月前にアダム・シッフ下院議員が下院情報委員会で前年の大統領選挙にロシアが介入したとする声明を出したが、それが直接的な切っ掛けだ。 シッフの主張はイギリスの対外情報機関MI6(SIS)の「元」オフィサー、クリストファー・スティールが作成した報告書だが、根拠薄弱だということはスティール自身も認めている。 スティールに調査を依頼したのはフュージョン、そのフュージョンを雇ったマーク・エリアス弁護士はヒラリー・クリントン陣営や民主党全国委員会の法律顧問を務めていた。 フュージョンを創設したひとりであるグレン・シンプソンによると、同社は2016年秋にネリー・オーなる人物にドナルド・トランプの調査と分析を依頼している。その夫であるブルース・オーは司法省の幹部で、このオーとシンプソンは2016年11月に会っている。その直後にブルースは司法省のポストを失い、フュージョンはスティールに調査を依頼することになる。 ランド・ポール上院議員によると「確認されていない偽物のスティール文書」を情報報告へ含めるように主張したのはCIA長官だったジョン・ブレナン。同議員はブレナンに宣誓証言させるように求めている。ブレナンがロシアゲートの仕掛け人だと主張する人は少なくない。 イラクを先制攻撃する前に大量破壊兵器という偽情報を宣伝していたネオコンがロシアゲートを後押ししているとも言われているが、有力メディアも同じことを繰り返している。 大量破壊兵器のケースではニューヨーク・タイムズ紙の記者だったジュディス・ミラーが有名だが、実際のプロパガンダはメディアが組織として行っていた。ワシントン・ポスト紙も同じで、フレッド・ハイアットもアメリカを戦争へと導く仕事をしていた。なお、ミラーは後にCFR(外交問題評議会)のメンバーに選ばれている。 マラー特別検察官の報告書はウィキリークスのジュリアン・アッサンジがロンドンのエクアドル大使館で逮捕された直後に公開されたが、アッサンジは無視されている。今後、アッサンジに偽証させようとする可能性もあるが、これまでアッサンジを尋問しようとしなかったことからアッサンジの持っている情報を封印しようとしていると見る人もいる。 ドナルド・トランプがネオコンなど好戦派に従わない場合、スキャンダル攻勢は続く。ビル・クリントンの場合、スキャンダル攻勢が終わったのはユーゴスラビア空爆へ舵が切られてからだ。
2019.04.20
インターネットに君臨しているアメリカ系巨大企業がイランのテレビ局による情報発信を止めた。言うまでもなく、プレスTVは西側の有力メディアとは違ってアメリカ支配層が知られたくない情報を流している。 プレスTVによると、グーグルは予告なしにプレスTVやヒスパンTVのユーチューブを含む公式アカウントをブロックした。後にユーチューブのチャンネルは見られるようになったが、新たに公開することはできないという。 内部告発によって提供された情報を公開してきたウィキリークスの創設者、ジュリアン・アッサンジが4月11日にロンドンのエクアドル大使館内で逮捕されたが、その裏ではIMFが暗躍していたと言われている。3月11日にIMFはエクアドルに対する42億ドルの融資を認めると発表しているが、この決定とアッサンジ逮捕はつながっていると見られているのだ。 現在のエクアドル大統領、レニン・モレノは昨年(2018年)7月にアッサンジは大使館から出るべきだと語っていたが、反発は弱くなかった。そうした声を無視する決断をし、IMFは融資を決めたということだろう。 そのモレノは汚職で問題になっている。受け取ったカネのロンダリングを行うためにINA投資という名前のペーパーカンパニーを2012年にベリーズで作ったという話もリークされ、それを理由にしてモレノはアッサンジの亡命を取り消した。 アッサンジの亡命を決めた前大統領のラファエル・コレアはモレノの決定を厳しく批判したが、そのコレアが情報を発信していたフェイスブックのアカウントが閉鎖された。アメリカ支配層の手先であるモレノを批判するコレアを黙らせたかったのだろう。 グーグルにしろフェイスブックにしろ、アメリカの情報機関と深く結びついてはいるが、あくまでも「私企業」である。社会体制の基盤である情報伝達システムを私企業が握り、情報の検閲を行っているわけだ。私企業の判断に民が介入する仕組みはない。全てを私企業に任せれば上手くいくと主張していたネオコンが何を目指してきたのか、それが明らかになっているとも言える。 日本では記録の保管という重要な役割を負っている図書館を私企業が運営するようになり、その責任を放棄しているが、情報の統制という意味で根は同じだ。アメリカの有力メディアは壊滅的な状況だが、日本のマスコミはアメリカ以上にひどく、情報源としてはほぼ使えない。 情報とカネの流れていく先に権力は生まれる。情報は特定の富豪によって支配されているわけだが、カネも同じこと。通貨の発行権を誰が握るかで体制のあり方は決まるが、アメリカにしろ日本にしろ、私企業が握っている。 人間は生きていくために食糧や水が必要である。すでに食糧は巨大企業に蹂躙されているが、数十年前から水の私有化が目論まれてきた。私企業が生殺与奪の権を握ろうとしている。 フランクリン・ルーズベルトは1938年4月、ファシズムについて次のように語っている:「もし、私的権力が自分たちの民主的国家そのものより強くなることを許すならば、民主主義の自由は危うくなる。本質的に、個人、グループ、あるいは私的権力をコントロールする何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
2019.04.20
ロシアのウラジミル・プーチン大統領と朝鮮の金正恩労働党委員長が近くウラジオストックの島で会談するという話が流れている。茶番劇が終わり、真打ちが登場してきたようだ。 朝鮮半島で和平の動きが顕在化したのは昨年(2018)年4月27日のことだった。韓国の文在寅大統領と金正恩委員長が板門店で会談したのだ。 勿論、この会談が突如、実現したわけではない。その直前、3月26日に金委員長は特別列車で北京へ入り、釣魚台国賓館で中国の習近平国家主席と会談している。 こうした動きを知っていたであろうアメリカ政府はCIA長官だったマイク・ポンペオを派遣、金正恩委員長と会う。中朝首脳会談の直後にふたりは握手、その様子を撮影して4月26日に公開している。アメリカが主導権を握っているかのような印象を広めようとしたのだろう。 しかし、朝鮮半島を含む東アジア情勢で最も重要な動きはロシアのプロジェクト。アメリカをはじめとする国々がリビアやシリアへジハード傭兵を送り込んで侵略戦争を始めた2011年、ロシアのドミトリ・メドベージェフ首相はシベリアで朝鮮の最高指導者だった金正日と会い、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案している。 この提案を金正日は受け入れるが、その年の12月に急死してしまう。12月17日に列車で移動中に車内で急性心筋梗塞を起こして死亡したと朝鮮の国営メディアは19日に伝えているが、韓国の情報機関であるNIS(国家情報院)の元世勲院長(2009年~13年)は暗殺説を唱えていた。元院長によると、金正日が乗った列車はそのとき、平壌の竜城駅に停車中だった。 ロシア側の提案の背景には帝政ロシアの時代から続くシベリア横断鉄道の計画が存在している。プーチン大統領はシベリア鉄道を延長し、朝鮮半島を南下させようと考えているのだが、これは天然ガスや石油を輸送するパイプラインの建設と結びついている。ここにきて中国の一帯一路ともリンクした。 ロシアと中国だけでなく韓国も東アジアの経済基盤を強化するという計画に前向きだったが、ネックは朝鮮。その朝鮮がロシアのプロジェクトへ参加しようとしている可能性が高い。 ゴルバチョフに見捨てられる前から朝鮮はイスラエルと武器取引で接触があったと見られているが、1990年代に入り、CIAとの関係が強い統一教会との関係を強めた。 アメリカからの攻撃を回避するためにもアメリカ支配層とつながる必要があったのだろうが、1990年代の終盤から朝鮮を攻撃する計画を作成していく。 例えば1998年には金正日体制を倒して韓国主導の新国家を作るというOPLAN 5027-98を作成した。1999年になると朝鮮の国内が混乱して金体制が崩壊した場合を想定した「概念計画」のCONPLAN 5029を作成、さらに2003年には核攻撃も含むCONPLAN 8022が仕上げられている。 ところが、2017年に朝鮮のアメリカに対する恐怖を緩和させる出来事があった。4月にアメリカ海軍は地中海に配備されていたアメリカ海軍の2駆逐艦、ポーターとロスが巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したのだが、6割が無力化されたのである。 その1年後、中国と朝鮮の首脳が会談した直後の2018年4月にアメリカ主導軍は100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したが、今度は7割が無力化されてしまった。2017年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。 この段階で朝鮮のアメリカへの恐怖心はかなり和らいだはずである。かつてアメリカを「張り子の虎」と表現した人がいたが、朝鮮の首脳がそう考えても不思議ではない。 ロシア、中国、韓国で進めていたプロジェクトに朝鮮が乗ったとして、その朝鮮は「制裁」の対象になっている。そこで、それなりの手順を踏む必要がある。その手順として朝鮮とアメリカの首脳会談が演出された可能性はある。 盲目的なアメリカ信仰を捨てれば、別の光景が見えてくるはずだ。東アジア情勢で主導権を握っているのはアメリカでなくロシアである。
2019.04.19
ロシアのサンクトペテルブルクから北西へ130キロメートルほどの地点にビボルグという都市がある。そこからバルト海を経由してドイツのグライフスバルトへ天然ガスを運ぶパイプラインがノードストリーム。そのパイプラインと並行してウスト・ルガとグライフスバルトをつなぐノードストリーム2が建設されている。 天然ガスの取り引きを通じてEUとロシアは結びつきを強めてきたが、それを嫌うアメリカの支配層は妨害を続けている。ウクライナで2014年にバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ってクーデターを実行したが、その大きな理由のひとつはウクライナを通るパイプラインを支配し、EUとロシアとの関係強化を防ぐことにあった。 しかし、ノードストリーム2の建設はアメリカの妨害を乗り越えて進んでいる。それだけEU、特にドイツはロシアの天然ガスを必要としているのだ。 アメリカのエネルギー資源は高くつき、中東は不安定。アメリカが安定して石油や天然ガスを供給できる保証はない。ロシアの石油や天然ガスをEUが購入しようとするのは合理的な判断だと言える。 ドイツの場合、もうひとつ大きな理由がある。原子力発電からの離脱だ。2011年3月11日に東電の福島第一原発で燃料棒がメルトダウンするという大事故が起こったが、その後にアンゲラ・メルケル首相は原発を止めると決断した。メルケルは量子化学の博士号を持つ人物で、福島第一原発の事故が何を意味するか理解していたのだろう。福島第一原発の事故後、日本でも原発は停止した。 日本はこれまでアメリカが支配するサウジアラビアをはじめとする中東から石油を輸入していた。ロッキード事件でサウジアラビアの富豪で自国の情報機関だけでなくCIAとも緊密な関係にあるアドナン・カショーギが登場する一因はそこにある。 ロッキード事件が発覚した当時、日本の石油利権は「4K」が握っていたという。ひとりはカショーギ(Khasshoggi)だが、残りはニューズウィーク誌の編集者でダレス兄弟の下で活動していたハリー・カーン(Kern)、川部美智雄、そして岸信介だ。カーンもロッキード事件で名前が出てくる。ところで、岸に英語や政治家としての振る舞いを教えていたコンプトン・パッケナムはニューズウィーク誌の日本支局長だった。 現在、アメリカはイランに対する経済戦を実行中で、日本に対してもイランからエネルギー資源を輸入するなと命令しているが、属国日本でも完全に止めることはできない状況。ロシアからの天然ガス輸入をアメリカの支配層は認めないはず。日本の支配層が原発を再稼働させたがっている理由のひとつはここにあるのだろう。
2019.04.18
「性暴力をめぐる司法判断に、疑問の声が広がっている」とする記事を朝日新聞は4月17日付けの紙面に掲載した。確かに「女性の意思に反した性行だと認めつつも」「無罪とする判決が続いている」印象はある。 こうした種類の事件は閉ざされた空間の中で行われることが多く、強制なのか合意なのかが微妙なケースも少なくない。内部告発を支援してきたウィキリークスのジュリアン・アッサーンジの場合、警察や検察の幹部が事件を捏造したと言われても仕方がなかった。実際、後に捜査は打ち切られ、逮捕令状も取り消されている。 しかし、暴力的に行動の自由を奪ったり、意識が朦朧とした状態の女性をホテルへ連れ込み、性行に至るようなケースは悪質であり、処罰されるのが当然だと考えるのが常識的だろう。その常識が通用しなくなっているように思える判決が目につくことも事実だ。 例えば、山口敬之元TBSワシントン支局長のようなケース。山口は2013年からワシントン支局長を務めているが、その年にニューヨークでジャーナリスト志望の女性と知り合う。その時点ではまだ支局長ではなく、当時の支局長を含め3名で昼食をともにしたという。 就職についての話をするため、その女性が山口と会ったのは2015年4月3日。2軒目の寿司屋で女性は記憶をなくしてしまった。 デイリー新潮によると、ふたりは午後11時にその店を出てタクシーに乗る。タクシーの運転手は「その女性のことなら、よく憶えています。後部座席の奥側に彼女が座らされていたのですが、男性は彼女に“もっといい仕事を紹介する”と話していました。女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”と。」というやりとりがあったと証言している。(「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強●逮捕状」(上)、「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準●姦逮捕状」(下)) 「で、降りるのはどの辺にしますかと聞いたら、男の人が“とりあえず駅はあれだからホテル行って。都ホテル”と。(ホテルに着いても)なかなか降りず、結局は抱きかかえて降ろされていた。(後部座席が)汚れているんじゃないかと見たら、後ろのマットに吐瀉物が。消化されない状態でドバッと、お鮨の臭いがして。そんなに未消化で残るのって珍しいなと思ったものです」とも運転手は語っている。その後の動きは監視カメラが撮影、そこには前後不覚の状態になっている女性を引きずるように連れて行く山口が映っていたという。 所轄の高輪署は逮捕状を取り、2015年6月8日に成田空港でアメリカから帰国する山口を逮捕する予定だった。デイリー新潮によると、その日、担当の警部補とその上司を含めた複数の警察官が成田空港で被疑者となる人物を逮捕すべく待ち構えていたのだが、上層部から「山口逮捕は取りやめ!」と命令される。 この件に関して取材していた週刊新潮に対し、警視庁刑事部長だった中村格は山口を逮捕する必要なしと「私が判断した」と語ったという。中村は2012年12月から菅義偉内閣官房長官の秘書官を務めた人物だ。 山口のケースを不起訴にしたにもかかわらず、似たような事件で起訴したり、まして有罪にしたならば、中村の責任問題が蒸し返されるだろう。中村の判断を正当化するためには「女性の意思に反した性行だと認めつつも」「無罪とする判決」を出さざるをえないのではないか。 ところで、山口は2015年にアメリカの国立公文書記録管理局の公文書館で韓国軍の「慰安所」に関する文書を見つけたと週刊文春(2015年4月2日号)で発表している。ベトナム戦争の際、サイゴン(現ホーチミン)に韓国兵限定で使用する「トルコ風呂」と呼ばれる慰安所を設置していたというのだ。 アメリカへ赴任する直前の2013年に山口はある外交関係者から慰安所に関する未確認情報があり、アメリカの資料で裏づけられるかもしれないと耳打ちされたとされている。この話を書けと示唆(または指示)され、それに応えて伝える行為を「調査報道」と呼ぶことはできない。 山口にサジェスチョンした外交関係者が誰で、目的は何だったのかは不明だが、日本軍の「慰安婦」の問題はアメリカの軍事戦略にとって好ましくなかった。バラク・オバマ政権は2011年にジハード傭兵を使った侵略を中東から北アフリカにかけて開始、14年にはウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させている。 ネオコンをはじめとするアメリカの支配層は1991年12月にソ連が消滅してから東アジア重視を打ち出す。ソ連が消え、ロシアを属国化した彼らは残された国の中で最も警戒すべき潜在的ライバルは中国と考えたわけだ。中国を軍事的に締め上げるため、オーストラリア、インド、日本、フィリピン、ベトナム、韓国を結びつけようとする動きもあった。 21世紀に入ってロシアが再独立すると、ネオコンたちは再属国化を目論む。そしてウクライナのクーデター。その結果、ロシアと中国は「戦略的な同盟関係」に入り、中国はアメリカから離れて一帯一路を打ち出した。2013年の時点でも日本と韓国を連携させ、中国と戦う手先にすることは重要だったが、15年になるとその重要性は増している。 その2015年に韓国と日本の外務大臣は「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と発表した。日本と韓国は慰安婦問題で合意したが、その背景にはオバマ大統領がいた。オバマ政権でNSC(国家安全保障会議)の安保副補佐官だったベン・ローズによると、大統領は日韓両国の首脳との会う際、数年にわたり、毎回のように慰安婦の問題を採りあげ、両国の対立を解消させようとしていたという。オバマ政権は慰安婦問題で韓国側の強硬姿勢を抑えようとしていた。ちなみに、合意の翌年に朴槿恵大統領のスキャンダルが発覚し、2017年に失脚している。 この合意は文在寅政権に揺らぐ。韓国の外務大臣に直属する検証チームは2017年12月、合意は朴槿恵と安倍晋三の側近ふたりによる秘密交渉で進められた結果であり、慰安婦だった女性の意見が十分反映されなかったと指摘したのだ。(注)●は楽天による規制
2019.04.17
アメリカはシリアの東部へクルド系武装勢力に対する物資供給を進める一方、イラク西部へ軍事物資を運び込むために安全保障関連会社と契約を結んでいると報じられている。 シリア東部からイラク西部にかけての地域はアメリカなどの侵略国が傭兵として使っていたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)が2014年から支配していた。 ダーイッシュの戦闘員はサラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)とムスリム同胞団が中心。疑似宗教国家が出現したのだが、そうした事態を予測し、警告していた組織が存在する。アメリカ軍の情報機関DIAだ。 2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告書の中でDIAはバラク・オバマ政権の反シリア政府軍支援政策はシリアの東部地域(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配国を作ることになる可能性があるとしていた。そのときのDIA局長がマイケル・フリン中将だ。 オバマ政権はサラフ主義者による支配国を建設、シリアとイランを分断させようとしていた。両国の分断は1980年代からネオコンが主張していた戦略だ。シリア東部、ユーフラテス川流域には油断地帯が広がっているが、その利権もアメリカ支配層が支配し続けようとしている一因である。 DIAの警告は2014年にダーイッシュの出現という形で現実になった。この年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧される。その際にトヨタ製小型トラックのハイラックスの新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられて広く知られるようになった。 アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはず。それにもかかわらず、動かなかった。イラク軍の一部は武器や弾薬を残して「逃亡」し、そうした軍事物資をダーイッシュは手に入れたとも言われている。イラク政府は意図的に武器や弾薬を渡したのだとして責任者を処罰している。 オバマ大統領が中東や北アフリカを制圧するためにムスリム同胞団を使うと決めたのは2010年8月のことだった。PSD-11を承認したのだ。 アメリカ軍のヘリコプターがロイターの取材チームを含む非武装の人びとを銃撃、殺傷する様子を撮影した映像などの資料をウィキリークスが公表したのはその4カ月前。当時、イラクにある刑務所でアメリカ軍が拷問している実態も明らかにされていた。 拷問を明らかにした人びとをオバマ政権は厳しく処罰する一方、拷問した人びとは不問に付された。ウィキリークスに資料を提供したブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は2010年5月に逮捕され、8月にはウィキリークスを創設したジュリアン・アッサンジはスウェーデンで事件の容疑者になる。 スウェーデン警察の求めに基づいて逮捕状が出され、タブロイド紙が警察のリーク情報に基づいて「レイプ事件」を報道、騒動が始まった。 しかし、その翌日には主任検事が令状を取り消してしまう。事件性はないと判断したのだが、その決定を検事局長が翻して捜査を再開を決める。9月27日にアッサンジはスウェーデンを離れた。スウェーデン当局は11月にアッサンジを国際手配するが、2017年に捜査を打ち切った。冤罪だと言うことを認めたのである。 その間にアッサンジはロンドンにあるエクアドル大使館へ逃げ込み、エクアドル政府は2012年6月に政治亡命を認めたが、アメリカの当局は2011年初めより前に彼を秘密裏に起訴していた。この情報は民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メール(ウィキリークスが公表)の中に出てくるほか、アメリカのケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書の中でも記載されている。 アッサンジはドナルド・トランプ政権になって逮捕されたのだが、起訴されたのはオバマ政権の時代。情報の統制を強めたのはオバマ政権だ。 アメリカと共通の価値観を持っているという日本の支配層も情報の統制には熱心だ。アメリカの支配層がソ連に対する先制核攻撃の準備を進めていた1957年にアメリカを訪問した岸信介はジョン・フォスター・ダレス国務長官らから秘密保護に関する新法の制定が必要だとの要請を受けていたそうだが、岸の孫に当たる安倍晋三の政権は2013年12月に秘密保護法を公布している。オバマ政権の動きと連動しているように見えるが、ダレスらの要請を考えると根はさらに深い。 アメリカと日本の支配層は民から公的な情報へアクセスする権利を奪おうとしている。言論の自由、表現の自由は風前の灯火だ。いや、アッサンジに対する日本の反応を見ていると、すでにインテリやマスコミなどは言論の自由、表現の自由を放棄したのかもしれないと思える。
2019.04.16
ウクライナのクーデター体制では4月21日に大統領を決める決選投票がある。候補者は最初の投票で30%を獲得したコメディアンのボロディミル・ゼレンスキーと現職のペトロ・ポロシェンコだ。 このふたりが4月12日にパリのエリゼ宮でフランス大統領のエマニュエル・マクロンとそれぞれ会談しているのだが、その時刻はゼレンスキーが午後3時、ポロシェンコは午後6時と3時間の違い。 マクロンはロスチャイルドの手先と見なされている。2006年から09年まで社会党に所属していたが、08年にロスチャイルド系投資銀行へ入り、200万ユーロという高額の報酬を得ていたためだ。 フランソワ・オランドが大統領だった時代には政府の要職に就いている。つまり2012年から14年にかけて大統領府副事務総長、14年から16年にかけては経済産業デジタル大臣を務めたのだ。 マクロンはイスラエル支持を隠していない。反シオニズムを人種差別として取り締まると宣言、フランスを含むヨーロッパで展開されてきたシスラエルに対するBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)運動を許さないということだ。 ゼレンスキーの番組を放送しているテレビ局のオーナーであるイゴール・コロモイスキーはオリガルヒのひとりで、ウクライナ、イスラエル、キプロスの国籍を保有している人物。多重国籍が禁止されている国で三重国籍を持っている。その国籍のひとつがイスラエルだということからも推測できるように、親イスラエル(シオニスト)でもある。そのコロモイスキーの下で働いているゼレンスキーも親イスラエルだと推測できるが、詳しいことは不明だ。 前にも書いたことだが、ポロシェンコは国立キエフ大学で後にジョージア大統領に就任するミハイル・サーカシビリと友人になっている。 サーカシビリは1994年にアメリカのコロンビア・ロー・スクールで学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通い、卒業後にはニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働く。そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ポロシェンコはチョコレート王、あるいはチョコレート・マフィアと呼ばれているオリガルヒだが、政治と無縁だったわけではない。 ウクライナでは2004年11月に大統領選挙が実施され、ロシアとの関係を重視するビクトル・ヤヌコビッチが当選、そのヤヌコビッチを排除するためにアメリカ支配層はクーデターを行う。そして大統領になったのはビクトル・ユシチェンコ。いわゆるオレンジ革命だ。 そのオレンジ革命が始まる前年、ポロシェンコはユシチェンコと一緒にひとりの女性に会っている。ウクライナのネオ・ナチが信奉しているのはステファン・バンデラ。その側近のひとりだったヤロスラフ・ステツコの妻、スラバ・ステツコだ。 バンデラが率いていた組織はOUN-Bと呼ばれているが、この組織は1943年11月に「反ボルシェビキ戦線」を設立、この組織は大戦後の46年4月にABN(反ボルシェビキ国家連合)へ発展、APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)とともにWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)の母体になった。
2019.04.15
NATOの軍事演習「海の盾2019」が4月5日から12日にかけて黒海で行われた。ルーマニアをはじめとするNATO加盟国の20隻以上の艦船が参加、NATOに加盟していないウクライナやジョージアも演習に加わったという。それに対抗してロシア軍の黒海艦隊も演習を実施したようだ。 ロシアに対するNATO/アメリカの挑発、あるいは恫喝だと見る人もいるが、4月21日に予定されているウクライナ大統領選挙の決選投票を意識し、軍事的な緊張を高めるための演習だと推測する人もいる。NATOの演習が黒海周辺を不安定化させる要因になることは確かだ。 ウクライナの決選投票に残ったのは現職のペトロ・ポロシェンコとコメディアンのボロディミル・ゼレンスキー。このコメディアンの番組を放送しているテレビ局のオーナーがイゴール・コロモイスキーだということから、ポロシェンコはゼレンスキーをコロモイスキーの操り人形だと批判してきた。 コロモイスキーは3カ国、つまりウクライナ、イスラエル、キプロスの国籍を持つ富豪で、ビジネスの拠点はスイス。2014年5月2日、キエフのクーデター政権はネオ・ナチのグループを使い、黒海に面した港湾都市のオデッサで住民を虐殺したが、この虐殺にコロモイスキーは関与したと言われている。 この虐殺は4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問したところから始まると考えられている。その2日後にクーデター政権の大統領代行がウクライナ全域の制圧作戦を承認、4月22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問する。 それにタイミングを合わせるようにしてオデッサに対する工作が話し合われているのだが、この会議には大統領代行のほか内相代行、SBU(治安機関)長官代行、ネオ・ナチの指導者であるアンドレイ・パルビー、そしてオブザーバーとしてコロモイスキーも参加していた。当時、コロモイスキーはドニエプロペトロフスクの知事に就任している。 決選投票で勝つ可能性が高いゼレンスキーにはこうした背景のあるのだが、どのような考え方の持ち主で、どのような政策を実行するかは不透明だが、現在のウクライナ情勢を考えると平和とは逆の方向へ向かいそうだ。
2019.04.14
日本でも「内部告発」はあった。例えば、西宮冷蔵の社長による雪印食品の牛肉偽装や毎日新聞記者だった西山太吉による「沖縄返還」にともなう復元費用を日本が肩代わりするという密約があると明らかにしている。 その結果、西宮冷蔵は事業の継続が困難な状況になり、西山はマスコミから「ひそかに情を通じ」て情報を手に入れたとして攻撃された。西山と情報を提供した外務省の女性事務官は起訴され、1974年1月の一審判決で西山は無罪、事務官は有罪になる。 言うまでもなく、「沖縄返還」にともなう密約はふたつあった。 ひとつは西山がつかんだもの。アメリカが自発的に払うことになっていた返還にともなう復元費用400万ドルは日本が肩代わりするというもの。この報道を裏付ける文書が後にアメリカの公文書館で発見され、返還交渉を外務省アメリカ局長として担当した吉野文六も密約の存在を認めている。 もうひとつは核兵器に関するもの。佐藤栄作首相の密使を務めた若泉敬によると、「重大な緊急事態が生じた際には、米国政府は、日本国政府と事前協議を行った上で、核兵器を沖縄に持ち込むこと、及び沖縄を通過する権利が認められることを必要とする」というアメリカ側の事情に対し、日本政府は「かかる事前協議が行われた場合には、遅滞なくそれらの必要をみたす」ということになっていたという。(若泉敬著『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』文藝春秋、1994年) 総理大臣の時代、佐藤栄作は日本を核武装させようとしていた。NHKが2010年10月に放送した「“核”を求めた日本」によると、1965年に訪米した佐藤首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えた。こうした日本側の発言に対し、ジョンソン政権は思いとどまるよう伝えたというが、佐藤政権は核武装を諦めていない。1969年2月に西ドイツ政府に対して核武装を持ちかけたのだ。 1969年の1月にアメリカではリチャード・ニクソンが大統領に就任した。大統領補佐官はヘンリー・キッシンジャー。この補佐官は彼のスタッフに対し、日本もイスラエルと同じように核武装をすべきだと語ったという。(Seymour M. Hersh, “The Samson Option,” Random House, 1991) 内部告発とは、支配層が秘密裏に行っている不正行為を被支配層へ知らせる民主主義にとって大切な行為。被支配者に関する情報を支配者へ知らせる密告とは逆だ。 日本ではマスコミも含め、密告には寛容だが内部告発には厳しい。人びとが見ている幻影のノイズになるからだろう。少なからぬ日本人にとって、ウィキリークスは排除すべきノイズの発信源なのかもしれない。
2019.04.13

ロンドン警視庁が4月11日に逮捕したウィキリークスの創設者、ジュリアン・アッサンジは2010年4月から11年初めにかけての時期にアメリカで秘密裏に起訴されていた。バラク・オバマが大統領だった時期だ。 2010年4月にウィキリークスはアメリカ軍がイラクで行っている殺戮の実態を明らかにする映像を含む資料を公開した。その情報を提供した人物がブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵だ。2010年5月に逮捕されて懲役35年を言い渡された。 マニングは2017年5月に釈放されたが、今年(2019年)3月に再び収監される。アメリカの裁判所はアッサンジに対する弾圧を正当化する証言をマニングにさせようとしたが拒否されたが、そうした態度への懲罰だ。アメリカ支配層はロシアゲートという戯言を事実だとふたりに偽証させようと目論んでいる可能性もある。 今回の逮捕は他国の法律に違反して入手した情報を報道したジャーナリストを逮捕、起訴できるという先例になる。世界には秘密保護法で権力犯罪を隠蔽しようとしている国が少なくない。そうした国の権力犯罪を暴くことは許されないとアメリカとイギリスの当局は宣言したわけである。 アメリカでは拷問や通信傍受システムなどの実態を内部告発した人びとは厳罰に処す一方、そうした行為をした人びとには寛大。2008年にリーマン・ブラザーズが破産して金融システムで横行していた不正が発覚したが、会社は「大きすぎて潰せない」、責任者は「大物すぎて処罰できない」という屁理屈でツケは庶民に回された。アメリカを中心とする支配システムは腐敗し、崩れ始めている。 そうした中、アメリカの支配層は言論封殺を始めた。アッサンジの逮捕はそうした弾圧の大きな節目になる重大な出来事。この出来事に沈黙しているということは言論の自由を放棄していることを意味する。民主主義者なら今回の逮捕に抗議の声を上げるはずだ。 カネと情報が流れる先に権力は生まれる。民主主義を実現するためには民へカネや情報が流れる仕組みを作らなければならない。富裕層がカネや情報を独占する国が民主主義であるはずはない。独占の度合いが高まればファシズムになる。
2019.04.13
ロンドン警視庁の捜査官が4月11日にエクアドル大使館へ乗り込み、ジュリアン・アッサンジを逮捕した。アッサンジの弁護団メンバーによると、すでに取り下げられている事件で出頭しなかったことではなく、アメリカからの引き渡し要請に基づくものだという。 アッサンジが創設した内部告発支援グループのウィキリークスは2012年2月、民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メールを公表、その中には2011年初めにアッサンジが秘密裏に起訴されたという情報が含まれていた。 その後、この情報は公的な文書で確認される。ケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書の中で、アッサンジが秘密裏に起訴されていると記載されているのだ。 本ブログでもすでに書いたことだが、ウィキリークスは4月4日、エクアドル政府高官からの情報として、同国のロンドン大使館から外へ出られない状態になっているアッサンジが数日以内に逮捕される可能性があると発表していた。その情報通りの展開だ。 エクアドルではレニン・モレノが汚職で受け取ったカネのロンダリングを行うためにINA投資という名前のペーパーカンパニーを2012年にベリーズで作ったという話がリークされたのだが、その責任はウィキリークスにあるという理由でアッサンジの亡命を取り消したとモレノは主張している。 それに対し、エクアドルに対する融資の条件としてアッサンジの亡命取り消しをIMFは要求、それにモレノは応じたのだとも伝えられている。IMFや世界銀行が米英支配層の意向に従って動くことは珍しくない。 これまでメディアは内部からのリークを伝えるという形で権力犯罪を明らかにしてきた。ダニエル・エルズバーグが1971年に有力メディアへ流したベトナム戦争に関する国防総省の秘密報告書のケースはその一例。 このリークはエルズバーグの上官が命令したものだとも言われている。その上官が関係している住民皆殺し作戦(フェニックス・プログラム)については伏せられていた。 実際に報道された内容はリークされた文書から核心部分を削除したものだったが、それでもアメリカ国内の反戦運動を盛り上がらせた。その後、議会の調査で情報機関の秘密工作の一端が露見している。 ウィキリークスが注目される切っ掛けはアメリカ主導軍によるイラクへの先制攻撃と占領の実態を明るみに出す情報の公開だろう。その情報を提供したのがブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵だ。 マニングが提供した情報をウィキリークスは公表するが、中でも衝撃的だったものは、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃。その時にロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。この出来事は2007年7月にバグダッドであったのだが、銃撃の様子を撮影した映像をウィキリークスは2010年4月に公開した。 ヘリコプターからは武装集団への攻撃であるかのように報告されているが、映像を見れば非武装のグループだということは明白。間違いで攻撃したとは考えられない。この映像は世界に大きな影響を及ぼした。その映像を伝えないメディアがあったとするならば、国民がアメリカに対して悪い印象を持つことを恐れたのだろう。 こうしたアメリカ軍による犯罪的な行為を告発したマニングは2017年5月に釈放されたが、今年3月に再び収監された。アメリカの司法システムはウィキリークスに対する弾圧を正当化する証言をマニングにさせようとしたのだが、それを拒否したからだという。 アッサンジの逮捕は、権力者にとって都合の悪い情報を明らかにすることは許さないという彼らの意思表示。大統領や首相というよな表面的な「権力者」はともかく、そうした人びとを操っている人びとに触れたり、支配システムの根幹を揺るがすような情報を明らかにすることは犯罪だという宣言だ。米英の支配層は一線を越えた。今回の逮捕は権力者と対決しているジャーナリストすべてに覆い被さってくる。
2019.04.12
イスラエルの議会選挙が4月9日にあり、120議席のうちベンヤミン・ネタニヤフが率いる「リクード」とベニー・ガンツをリーダーとする「青と白」がそれぞれ35議席を獲得した。ネタニヤフは2016年から汚職容疑で捜査の対象になり、検察当局は今年(2019)年中に起訴すると発表している。そうした状況下であるにもかかわらず、僅差とはいえ、「リクード」は勝利したわけだ。 ネヤニヤフと緊密な関係にあるシェルドン・アデルソンはアメリカのラス・ベガスとペンシルベニア、東南アジアのマカオとシンガボールでカジノを経営、日本にもカジノを作らせるように要求していた人物で、2016年のアメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプに対する最大の寄付者だった。 トランプ大統領は2017年12月にエルサレムをイスラエルの首都だと認めると宣言、今年3月にはシリア領のゴラン高原における主権を認める時期だと表明しているが、いずれもネタニヤフを支援することが目的だと考える人もいる。 ネタニヤフは「修正主義シオニズム」の流れ。彼の父、ベンシオン・ネタニヤフは1940年にアメリカへ渡り、「修正主義シオニズム」の祖であるウラジミル・ジャボチンスキーの秘書になるが、その年にジャボチンスキーは死亡する。アブラハム・スターンがテロ組織のレヒ(スターン・ギャング)を創設したのもこの年だ。 ジャボチンスキー系の人びとは今でも大イスラエル、つまりユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域を支配しようとしている。イスラエルではゴラン高原に続いてヨルダン川西岸を併合しようとする動きがあるが、それは序の口にすぎない。イスラエルの支配地域をイラク、シリア、イラン、レバノン、エジプトに広げると公言している活動家もいる。サウジアラビアもターゲットに含まれているはずだ。 ゴラン高原は1967年の第3次中東戦争から占領しつづけているが、この戦争で一気に大イスラエルを実現するつもりだったのかもしれない。その戦争でリンドン・ジョンソン政権は軍事的にもイスラエルを支援していたと言われている。 それに対し、「リクード」と競り合った「青と白」の中心メンバーは3名の元参謀総長。つまりベニー・ガンツ(2011年から15年)、ガビ・アシュケナージ(07年から11年)、モシェ・ヤーロン(02年から05年)だ。ネタニヤフを含む強引な政策は危険だと考える人物がイスラエル軍の上層部に少なくないのだろう。似たことはアメリカでも見られた。 妄想の中に生きている文民の軍事強硬派という点でロスチャイルドとの関係が深いネオコンも大差はない。ネオコンは2016年の大統領選挙で戦争ビジネスや巨大金融資本と同じようにヒラリー・クリントンを担いでいたが、そのグループの中心メンバーであるポール・ウォルフォウィッツは国防次官だった1992年2月に国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成している。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。 そのドクトリンが作成される直前、1991年12月にソ連が消滅し、ネオコンを含むアメリカ支配層はアメリカが唯一の超大国になったと考え、他国や庶民を無視して行動できる時代になったと思い込んだ。細川護熙政権の国連中心主義に激怒したのはそのためだ。 その前提が21世紀に入って崩れる。ウラジミル・プーチンをはじめとする勢力がロシアを再独立させたのだ。本来ならウォルフォウィッツ・ドクトリンは見直さなければならないのだが、ネオコンはロシアの再属国化を目論む。大統領選でトランプがロシアとの関係修復を宣言したことを彼らは許せなかった。 ジャボチンスキー派にしてもネオコンにしても正気とは思えない。そうした正気とは思えない人びとに見切りをつける人が世界的に増え、ロシアや中国の存在感が増している。「右」も「左」もアメリカ信仰を捨てられない日本は危険な状態に陥りつつある。
2019.04.11
リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が「民主化」という旗印の下で破壊されたのは2011年のことだった。それを西側では「アラブの春」と名づけたが、その実態はアメリカ、イギリス、フランスをはじめとする国々による侵略にほかならなかった。リビアの内部対立を利用、地上部隊としてのアル・カイダ系武装集団と連携したNATO軍による侵略したのである。 侵略によって破綻国家と化したリビアでは現在、トリポリを拠点し、国連を後ろ盾とするGNA(政府)が存在している。そのトリポリにベンガジを拠点とする武装勢力のLNAが迫っている。 LNAを指揮しているハリファ・ハフタルとは1960年からCIAに保護され、アフタルに従う武装グループはアメリカで軍事訓練を受けてきた。この武装勢力は2011年の侵攻作戦へも参加している。 アメリカなどの侵略国はリビアより1カ月遅れてシリアに対しても同じような侵略戦争を始めたが、シリアはリビアと違って深刻な内部対立はなく、政府軍も強かった。 それに対し、侵略勢力はサラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする傭兵をシリアへ集中させ、武器/兵器も供給する。マイケル・フリン中将を局長とするDIA(国防情報局)が2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告書の中で、バラク・オバマ大統領が主張するような穏健派は存在せず、主力はサラフ主義者やムスリム同胞団だと指摘している。 武装勢力としてはアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)の名前を挙げているが、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。ダーイッシュの出現を見通していたと言える。 ダーイッシュが売り出されたのは2014年。その件でオバマ政権内は揉め、フリン局長は退役を余儀なくされる。 退役後の2015年8月、アル・ジャジーラの番組に出演したフリンは司会者からダーイッシュの出現を阻止しなかった責任を問われたが、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、その情報に基づいて政策を決定するのはバラク・オバマ大統領の役目だと答えている。オバマ政権の政策がダーイッシュを作り上げたと言える。 そのダーイッシュは残虐さを演出、それを口実としてアメリカ軍は2014年からシリアに対する空爆を開始、シリア国民を殺すと同時にインフラを破壊していく。その間、ダーイッシュは勢力を拡大していった。 オバマ大統領は2015年に戦争体制を強化する。つまり2015年2月に国防長官がチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、また統合参謀本部議長が同年9月にマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代になった。 オバマ大統領が新議長としてダンフォードを指名したのは2015年5月。ロシアがシリア政府の要請で軍事介入したのはダンフォードが新議長に就任した直後の9月30日だ。ロシア軍はアメリカ軍と違い、侵略勢力を本当に攻撃、ダーイッシュの支配地域は急速に縮小していった。 ロシア軍か介入しなかったリビアは殺戮と略奪が横行する破綻国家になったが、カダフィ時代はヨーロッパを上回る生活水準を維持していた。 カダフィ体制では教育、医療、電力料金が無料、農業は元手なしで始めることができた。リビアが産油国だということもあるが、石油価格は1リットル0.14ドルにすぎなかった。欧米の食い物になってきたアフリカを自立させるために独自の通貨、ディナールという金貨を導入しようとした。これが欧米支配層を恐怖させ、軍事侵略に踏み切らせたと言われている。 シリアでダーイッシュなど傭兵集団が敗走していた2016年、LNAのハフタルはロシアを訪問、軍事的な支援を求めた。門前払いにはしなかったが、すでに破綻国家と化しているリビアに対する本格的な支援をロシアは約束していない。 アメリカのマイケル・ポンペオ国務長官はリビア情勢について「軍事的な解決はない」と発言しているが、軍事的にリビアを破壊したのはアメリカをはじめとする勢力だった。まさに笑止千万。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2015年9月28日、シリアへ軍事介入する直前に国連の安全保障理事会で演説し、その中で「民主主義や進歩の勝利ではなく、暴力、貧困、そして社会的惨事を我々は招いてしまった。生きる権利を含む人権を少しでも気にかける人はいない。こうした事態を作り上げた人びとに言いたい:あなたは自分たちがしでかしたこと理解しているのかと。」そして「うぬぼれ、自分は特別で何をしても許されるという信念に基づく政策は捨てられなかった。」と語っている。 言うまでもなく、この「あなた」はアメリカをはじめとする西側の好戦派を指している。
2019.04.10
ウラジミル・プーチンとレジェップ・タイイップ・エルドアンを含むロシアとトルコの高官がモスクワに集まり、会議を開いた。 パイプラインの建設は両国を強く結びつけたが、今はロシア製防空システムのS-400が最大の関心事になっている。この取り引きにアメリカ政府は強く反発、S-400を購入するならF-35戦闘機を供給しないと脅したが、トルコ政府は購入の方針を変えていない。 アメリカは絶対的な従属を求め、他の国と二股をかけることを許さない。1961年に誕生した非同盟諸国会議が敵視されたのもそのためだ。 日本をはじめ、アメリカの脅しに屈する国が少なくなかったが、トルコのケースでは裏目に出ている。アメリカはかつてのような求心力をなくしているようだ。 そうした現象はアメリカの支配システムを支えてきたサウジアラビアでも見られる。石油生産の面でサウジアラビアへの依存度を下げられるという判断がアメリカの支配層にはあるようだ。 しかし、サウジアラビアをはじめとするOPEC加盟国はドル体制を支える上で重要な役割を果たしてきた。ドルという基軸通貨を発行するしか特権で生きながらえているアメリカとしては発行したドルを回収する仕組みに協力しているOPECとの関係を壊すことはできないはずなのだが、その関係が揺らいでいる。 アメリカ政府はOPECの力を弱めるために反トラスト法を適用する動きを見せているためだが、それに対してOPEC側は石油取引をドル以外の通貨で行うと脅しているのだ。ペルシャ湾岸の産油国はロシアとの接触を始めている。 石油取引を利用してドルを回収するペトロダラーの仕組みは1970年代からドル体制を支えてきた。この仕組みが壊れるとドル体制が壊れ、アメリカの支配システムが崩れてしまう。アメリカの最終手段は産油国のレジーム・チェンジだろうが、トルコではクーデターに失敗した。サウジアラビアがS-400に興味を持った理由はアメリカの軍事介入を警戒してのことだろう。 アメリカはイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を樹立させようとして2003年にイラクを先制攻撃したが、結果としてイラクとイランを接近させることになった。それ以降、ネオコンをはじめとするアメリカの好戦派が打つ手はすべて裏目に出ている。
2019.04.09
ロシア政府が2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプを当選させる為に介入したとする「ロシアゲート」はヒラリー・クリントンを担いでいたDNC(民主党全国委員会)や有力メディアが始めた「おとぎ話」である。 ロバート・マラー特別検察官がロシアゲートでトランプ大統領を失脚させるためには、誰かを別件で逮捕し、司法取引で偽証させるしかなかったが、それに失敗、捜査を終結させたのである。 ロシアゲート事件を宣伝してきた有力メディアは難癖をつけているが、自分たちの嘘を認めるわけにはいかないのだろう。日本のマスコミは「灰色」という表現でごまかそうとしているが、これは事実に反する。文句を言っている議員を「リベラル派」と呼ぶためには「リベラル」の定義を変える必要がある。 アメリカの電子情報機関NSAの技術部長を務め、通信傍受システムの開発を主導、NSA史上最高の数学者にひとりと言われている内部告発者のウィリアム・ビニーはNSAがすべての通信を傍受、保管していると指摘し、もしロシアゲートが事実なら特別検察官を任命することもなく、FBIは必要な証拠をすべて手にすることができたとしている。 このビニーを含む専門家たちはウィキリークスが公表、バーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するためにDNCが行った工作を明らかにした電子メールはハッキングで盗まれたのではなく、内部でコピーされたのだと技術的な分析で指摘している。ハッキングにしてはダウンロードのスピードが速すぎるという。内部でコピーし、ウィキリークスへ渡したと噂されているのはDNCのスタッフで2016年7月10日に射殺されたセス・リッチ。電子メールが公表される12日前の出来事だ。 リッチの両親が調査のために雇った元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーによると、セスはウィキリークスと連絡を取り合い、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルをウィキリークスへ渡したという。 このケースに限らず、アメリカをはじめとする西側の有力メディアは支配層の政策を正当化するために偽情報を流し続けている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、第2次世界大戦後に情報操作を目的とするモッキンバードが始められた。その中心人物はウォール街の弁護士でOSSやCIAに君臨していたアレン・ダレス、やはりウォール街の弁護士でアレンの側近として破壊工作を指揮していたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で国際決済銀行初代頭取の孫であるリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。 フィリップ・グラハムの妻、キャサリンはウォーターゲート事件でリチャード・ニクソンを失脚させた当時のワシントン・ポスト紙社主。その事件で取材は若手記者だったカール・バーンスタインとボブ・ウッドワードが中心になって行われたが、ウッドワードは少し前まで海軍の情報将校で記者としては素人に近く、事実上、取材はバーンスタインが行ったと言われている。 そのバーンスタインはニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。 その記事によると、20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリストで、残りは、出版社、業界向け出版業者、ニューズレターで働いていた。また1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) CIAが有力メディアを情報操作のために使っていることはフランク・チャーチ上院議員を委員長とする情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会でも明らかにされた。 これに対し、CIAは報道統制を強め、内部告発ができないように規則を変更した。また巨大資本によるメディア支配を容易にするように規制は緩和され、帰国ある記者や編集者は排除されていった。 1990年代のユーゴスラビア、2003年のイラクなどをアメリカは先制攻撃しているが、その前に偽情報を流していた。イラクの場合、サダム・フセイン体制を倒してとりあえず所期の目的を達成した後、嘘を認めた。が、あくまでも記者個人が行ったことだと主張して逃げ、罪をかぶった記者は有力シンクタンクのメンバーだ。それに対し、ウクライナやシリアの場合、所期の目的を達成できなかったことから嘘をつき続けざるをえない状況である。 CIAはアメリカの金融機関がイギリスの情報機関の協力を受けてつくりあげたもの。イギリスの情報機関はシティと強く結びついている。ロシアゲート事件で重要な役割を果たした報告書をかいたのがイギリスの情報機関MI6の「元」オフィサーだという事実を軽視するべきではない。 マスコミには少なからぬ情報機関の人間が入り込んでいると見られるが、情報で釣られる人もいる。情報の提供と機関への忠誠がセットだ。そのほか、広く行われているのが接待。東電福島第一原発で炉心溶融の大事故が起こった際、その一端が明るみに出た。 「アイドル」をビジネスにした秋元康の場合、弟の伸介がマスコミ担当だという。「週刊新潮」の2012年11月1日号に掲載された「時代の寵児『秋元康』の研究」によると、秋元側はマスコミ関係者を顎足つきで接待、情報を収集したり操作したりする。 そうした工作の中心的な存在は伸介に寄り添っている「写真週刊誌の編集長だった人物」だという。筆者の推測が正しいなら、この人物は今でも大手出版社の編集幹部である。当然、その代償を受け取っているはずだ。 マスコミを操作するために利権を与え、自分たちにとって都合の悪い記事を載せると高額の賠償金を要求するという手法も使われている。例えば、AKB48にとって都合の悪い記事を書いた週刊新潮や週刊文春はそうした訴訟を起こされた。その後、秋元側と週刊誌との間でどのようなやりとりがあったかは知らない。 昨年(2018年)12月8日にNGT48のメンバーである山口真帆が自室へ入ろうとした時に襲われた事件ではフジテレビの元社員の存在が話題になった。秋元康の企画で1985年4月に始まり、人気になった「夕やけニャンニャン」を放送していたのはフジテレビ。フジテレビに限らず、放送局は秋元側と友好的な関係にあるようだ。 秋元の場合、規模が比較的小さいのでわかりやすいが、巨大企業や政府でも基本的な仕組みは同じ。つまり親和性は強い。
2019.04.08
東京地検特捜部は2019年4月4日に日産自動車の前会長、カルロス・ゴーンを特別背任の疑いで再逮捕した。ゴーンは2018年11月に逮捕され、長期拘留を経て19年3月6日に保釈されていた。 4月2日にツイッターのアカウントを開設、「何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。4月11日木曜日に記者会見をします」と発表していたことから、口封じのために再逮捕したと見る人もいる。 しかし、テレビが使っている元検事の弁護士、いわゆるヤメ検は「再逮捕は無罪にしないという検察の強い意志の表れ」だとか、「そもそも、余罪の捜査中に保釈したのがおかしいですよ。今回の逮捕が異例なのではなく、保釈の方が異例だった」と検察側を代弁するようなことを口にしたようだ。 ゴーンの事件にはふたつの問題が含まれている。ひとつはアメリカ主導で進められた新自由主義によって社会の富が1%に見たいない人びとへ集中し、大多数の庶民が貧困化している現実。「身分の高い者は、それに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある」というような理念は存在しない。ゴーンはそのシステムを象徴する人物のひとりだ。 もうひとつは新自由主義の仕組みの中におけるゴーンへの攻撃が不自然だということ。ゴーンの強欲さを批判するなら、新自由主義の強欲さも批判しなければならず、それは疑惑が目白押しの安倍晋三政権の批判にもつながる。安倍政権と検察が敵対関係にあるとは到底思えない。 新自由主義はフリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンの「理論」に基づいている。ハイエクは株式相場が暴落した後の1930年代に私的な投資を推進するべきだと主張、政府の役割を重視したジョン・メイナード・ケインズと対立していた。 ケインズの主張を採用したのがフランクリン・ルーズベルトをはじめとするニューディール派。一方、ハイエクに学んだ学生の中にはデイビッド・ロックフェラーが含まれている。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウォール街はニューディール派の政策を嫌い、ルーズベルトが大統領に就任した直後の1933年から34年にかけてファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画、その準備をしていた。 新自由主義が実際の政策として採用されたのはチリ。1973年9月11日にCIAを後ろ盾とするオーグスト・ピノチェトの軍事クーデターで民主的に選ばれたサルバドール・アジェンデ政権は倒され、アジェンデ大統領はその際に死亡した。 後に設置される「チリ真実と和解委員会」によると、軍事政権の時代に殺されたり「行方不明」になった人は少なくとも2025名、一説によると約2万人が虐殺され、新自由主義の導入に反対するであろう勢力は壊滅状態になる。ピノチェトは議会を閉鎖、憲法の機能を停止、政党や労働組合を禁止、メディアを厳しく規制した。こうした弾圧によって新自由主義が導入される下地が作られたのである。そうした政策を実行したのはフリードマンの弟子たち、いわゆるシカゴ・ボーイズだ。 ピノチェト政権は大企業/富裕層を優遇する政策を実施、社会や福祉の基盤を私有化し、労働組合が弱体化、低賃金で輸出型の小さな国を目指した。1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。 1979年から82年にかけてチリ政府は輸入を奨励、チリの通貨ペソが過大に評価されたことで贅沢品の消費ブームが起こるが、その一方で国産製品が売れなくなり、国内の生産活動は破綻。1980年代の後半になると人口の45%が貧困ラインの下に転落した。 一連の規制緩和でチリの銀行は外国の金融機関から多額の資金を調達、1982年にラテン・アメリカで債務危機が起こると倒産を防ぐために外国の金融機関は銀行の「国有化」を要求、彼らの債券は私有化された国有企業の株券と交換され、チリの年金、電話会社、石油企業など重要な企業を格安なコストでアメリカなど国外の巨大資本の手に入れてしまった。チリは欧米の巨大資本に乗っ取られたということだ。これを「チリの奇跡」と呼ぶ日本人もいた。 日本へ新自由主義を導入したのは中曽根康弘政権。1982年のことだ。この政権には田中角栄の懐刀と言われた後藤田正晴が内閣官房長官や総務庁長官として入っていたので自由にはできなかったようだが、それでも国鉄や電電公社の私有化などは進められた。 日本という社会が本格的に「ぶっ壊された」のは小泉純一郎政権からだろう。その後継者のひとりが安倍晋三にほかならない。新自由主義者という点で、安倍晋三も、検察も、日産の日本人重役も、ゴーンも違いはない。皆強欲だ。 日本の大企業は優位な立場を利用して中小企業から富を奪ってきた。それが下請けシステム。大企業の重役は会社を自分の財布のように使っていたことも秘密ではない。彼らが会社から離れたがらない理由はそこにあった。官僚も大企業に寄生している。検察や警察の裏金も指摘されているが、取り締まる仕組みは存在しない。
2019.04.07
アメリカ軍はイラク西部のアル・アンバールにふたつの新しい軍事基地を建設したと現地で伝えられている。ひとつはバグダッドとシリアの首都ダマスカス、もうひとつはバグダッドとヨルダンの首都アンマンを結ぶ幹線道路を抑える位置にあり、イラク、シリア、ヨルダンの連携を妨害することが目的のひとつのようだ。 シリアでアメリカ軍はクルドを使ってユーフラテス川の北側を支配、その地域にはイギリスやフランスと合わせて20カ所程度に軍事基地を建設済みだと言われている。ドナルド・トランプ大統領の撤兵命令にもかかわらず、アメリカ軍は居座る姿勢を鮮明にしている。 ユーフラテス川の南側にもアメリカ軍の占領している場所がある。バグダッドとダマスカスを結ぶ位置にあるアル・タンフだ。ここに建設されたアメリカ軍の基地にはイギリス軍の特殊部隊も駐留、そこで訓練を受けた傭兵がユーフラテス川沿いの油田地帯、デリゾールへ送り込まれているともいう。 現在、軍事的な緊張が高まっているのはシリア西部にあり、トルコと面しているイドリブ。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)に残された最後の支配地域だ。アメリカを後ろ盾とするアル・カイダ系のタハリール・アル・シャーム(アル・ヌスラ)を名乗るジハード傭兵(サラフ主義者やムスリム同胞団が中心)が支配してきたが、トルコ系の武装集団も活動している。 2011年3月にジハード傭兵を送り込まれた当時、その雇い主はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリス、フランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタールのほか、トルコも参加していた。 2016年に入ってカタールやトルコは侵略グループから離脱、トルコはイドリブに送り込んだ配下の武装グループを穏健化させようとしたが、失敗したと見られている。 トルコが侵略グループから離れた最大の理由は経済的なものだったと言われている。元々トルコはシリアやロシアと経済的に強く結びついていたのだが、短期間でアメリカがシリアを制圧するという前提で攻撃に参加していた。その思惑が外れ、自国経済が悪化したのだ。一時期は金利を低下させて信用バブルを発生させてごまかしていたが、それが限界にきている。その結果、先日行われた地方選挙では主要な都市で敗北している。 トルコ政府は防空システムS-400を購入する契約をロシア政府と結び、7月にはトルコ側へ引き渡されると言われている。トランプ政権はその取り引きを止めるように要求、その求めに応じないならF-35戦闘機を供給しないと脅している。 F-35は欠陥戦闘機で、軍事的に考えるとロシア製のSu-35に切り替えた方が良い。Su-35は性能面で勝っているだけでなく価格も安い。問題は経済的なものだ。トルコはF-35の製造にも参加していることから、この戦闘機の供給が止まると経済的なダメージになる。 アメリカ政府はトルコに対して絶対的な服従を要求しているわけだが、主権国家であろうとすれば、すでに悪化している経済がさらに悪化する。今の流れからすると、ロシアに助けをもとめることになりそうで、シリア政府軍によるイドリブ奪還は容易になるかもしれないと見られている。
2019.04.06
ウィキリークスは4月4日、エクアドル政府高官からの情報として、同国のロンドン大使館から外へ出られない状態になっているジュリアン・アッサンジが数日以内に逮捕される可能性があると発表した。 アメリカの権力グループは世界の富と情報を独占しようとしている。それが支配の基盤だからだが、ウィキリークスは彼らが隠していた自分たちにとって都合の悪い情報を外部へ公表してきた。自分たちの支配に刃向かうグループであり、弾圧の対象だ。 現在のエクアドル大統領、レニン・モレノは昨年(2018年)7月、アッサンジは大使館から出るべきだと語っている。アメリカ政府の意向を受けての発言だったのだろう。米英支配層の手先として活動しているIMFもアッサンジを追い出すように圧力をかけているという。アメリカから自立しようとしていた前の大統領、ラファエル・コレアとモレノは立場が違う。 モレノの発言は反発を招いたが、アメリカ支配層はアッサンジの拘束を諦めていないようだ。アメリカ主導軍のイラクにおける残虐行為などを明らかにする情報をウィキリークスへ渡しブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は3月8日に再び収監されている。支配勢力側の違法行為には寛容だが、被支配勢力側の告発は厳しく取り締まるのがアメリカだ。 そのほかの内部告発者、例えば電磁情報機関NSAの不正を明らかにしたウィリアム・ビーニーは家宅捜索を受けた程度で済んだが、CIAなどによる拷問を告発したジャニス・カルピンスキーは准将から大佐へ降格になり、イランへ核兵器に関する資料を渡してイラン侵略の口実を作るというCIAの危険な作戦を組織内部で警告したジェフリー・スターリング、あるいはCIAの拷問を告発したCIAの元分析官ジョン・キリアクは懲役刑になった。NSAの監視システムを具体的に明らかにしたエドワード・スノーデンはロシアへ逃げ込まざるをえなかった。 3月19日にはアメリカ政府が身柄引き渡しに利用する航空機がロンドンへ飛来、その日からしばらくの期間、ジュリアンの母親であるクリスティーヌのツイッター・アカウントの使用が制限されたという。
2019.04.05
ドイツの自動車メーカー、ダイムラーがメルセデス・ベンツの新しい組み立て工場がモスクワ近郊に完成、4月3日にセレモニーが開催された。式にはウラジミル・プーチン大統領も出席している。 EUの企業はアメリカ政府からの圧力を跳ね返してロシアとビジネス関係を強めようとしてきた。ロシアから天然ガスなど資源を供給、フランスの大手石油会社であるトタルとの取り引きは拡大していた。 そのトタルのクリストフ・ド・マルジェリ会長兼CEOは2014年10月にモスクワ・ブヌコボ空港で事故死している。その3カ月前、ド・マルジェリは石油取引をドルで決済する必要はなく、ユーロの役割を高めれば良いと主張していた。 こうしたエネルギー資源の供給がロシアとEUとの関係を強化していくことは必然。それを阻止したいアメリカは2013年からウクライナ国内を不安定化させ、2月にはネオ・ナチのグループを使ってクーデターを成功させた。その後、ウクライナではネオ・ナチの影響力が強まり、今では破綻国家になっている。 ロシアのビボルグからバルト海を南下してドイツのグライフスバルトへつながるノード・ストリームがすでに存在しているが、これに並行して新たなパイプライン、ノード・ストリーム2を建設中。アメリカ支配層は激しく妨害している。 また、ヨーロッパの南側にもウクライナを迂回する新たなパイプラインがある。ロシアからトルコへ天然ガスを輸送するタークストリームが2018年11月に完成した。これはアゾフ海の入り口に近くから黒海を横断、トラキアのトルコ領へつながっている。 そのトルコはロシアから防空システムS-400の購入を決めたが、アメリカの副大統領は取り引きするのか、NATOに留まるのか選択しろと恫喝したのだが、トルコの副大統領はトルコの同盟国に留まるのか、テロリストと手を組んで友好関係を危うくさせるのか選択しろと応じた。 ネオコンは典型的だが、アメリカの支配層は脅して従わせるという手法が得意だ。タイミング良く摘発することもある。 ドイツのフォルクスワーゲンは2015年9月にロシアでエンジンの生産を始めた。その2週間後、アメリカのEPA(環境保護局)は同社の販売している自動車の一部が排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを搭載していたと発表した。 日産とルノーの会長を務めていた2014年当時、カルロス・ゴーンもロシアでの自動車販売を推進する姿勢を見せていたが、今は刑事被告人だ。 そうした出来事があってもロシアとEUの接近は止められそうにない。
2019.04.05
自民党の有力議員、石破茂元幹事長でさえ「令和」に「違和感がある」と語ったという。「『令』の字の意味について国民が納得してもらえるよう説明する努力をしなければならない」と語っているようだが、この字に問題があることは間違いない。 東京大学史料編纂所の本郷和人教授も「令」を問題にする。(AbemaTV/『けやきヒルズ) 第1に、「『令』は上から下に何か『命令』する時に使う字。国民一人ひとりが自発的に活躍するという説明の趣旨とは異なるのではないか」という点。 第2に、「巧言令色鮮し仁」という故事を引き合いに出している。「巧言令色」は儒教で最も大切な概念である仁(現在の愛に相当)の欠けた行為だということだ。これを連想させるという。 その上で本郷教授は「令和」を「中世の人に読ませると『人に命令して仲良くさせる』とな」り、「どうも自発的な感覚ではなくなってしまう」と指摘している。 最終案には「令和」のほか、「英弘」、「広至」、「万和」「万保」「久化」が残っていたという。「令和」を選んだ場合に「令」が問題になることは予想できたであろう。それにもかかわらず「令和」を選んだ・・・・・のではなく、「令」を入れることがあらかじめ決まっていた可能性もある。 どのような過程を経て選ばれたのかは不明だが、「令」が安倍晋三を象徴する漢字だとは言える。安倍政権は嘘をつき、議論を避け、強引に新自由主義的な政策を推進してきた。話し合いではなく命令で物事を決めてきたと言える。庶民を主権者だと考えているとは思えない。 なぜ安倍政権はそうした強引な政権運営ができるのか。この政権には逆らえない強さがあると言う人もいるが、総理大臣という地位がそうした力を生み出しているわけではない。鳩山由紀夫政権を見れば、その脆弱さは明らかだろう。安倍自身にそうした力があるようには思えず、彼の背後に強大な権力が存在していると考えるのが自然だ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、安倍の祖父に当たる岸信介は第2次世界大戦で日本が敗北する前からウォール街の大物と昵懇にしていた。その祖父を尊敬しているという安倍が岸と同じ道を歩こうとしても不思議ではない。 安倍政権は戦争の準備を着々と進めているが、その一方で日本経済を破壊した。数字を見る限り、日本はアメリカに次ぐ貧富の差の激しい国になっている。 その一方、日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込んできた。そうした政策の推進を宣言するような講演を彼は2013年9月にハドソン研究所で行っている。このときに彼は日本を「積極的平和主義の国」にすると語っているが、これは「令和」に通じるだろう。 ハドソン研究所はネオコン系シンクタンクとして有名。2013年の講演はハーマン・カーン賞の受賞を記念してのものだが、演壇に登る前に記念品を渡したのはネオコンの大物でポール・ウォルフォウィッツの教え子であるI・ルイス・リビー。この研究所の上級副所長だ。安倍がハドソン研究所で講演したのはこのときだけではない。 1992年2月、ウォルフォウィッツがジョージ・H・W・ブッシュ政権で国防次官を務めていたとき、DPG草案という形で世界制覇プランを作成した。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだが、その作成にリビーも協力している。 このグループの下で安倍のような日本人を操っているのがジョセフ・ナイ、リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、パトリック・クローニンたちだ。 安倍はこの支配システムの末端にいるのだが、そのことで強大な権力を持っているように見える。が、実際の権力は海の彼方に存在する。その権力者は世界を支配し、富を独占しようとしている。 マクス・ウェーバーによると、宗教改革の際に魂の救済は神が予め定めているとする教えが広がった。善行は無駄だということでもある。 キリスト教世界で最も影響力を持っている文書はヨハネの黙示録だと言われている。しかも原著者でなく、後に加筆した人物の記述。田川健三によると、その加筆した人物は狂信的なユダヤ民族主義者で、ユダヤ民族以外はすべて殺しつくさるべしと繰り返し、世界中の異邦人が滅ぼしつくされ、殺しつくされ、ユダヤ人、あるいはユダヤ主義キリスト信者のみ救われることを願っている。(田川健三訳著『新約聖書 訳と註 第七巻』作品社、2017年)実際、キリスト教の影響下にある欧米諸国は侵略、破壊、殺戮、略奪を繰り返してきた。 新自由主義の根底にはそうした価値観があり、それは世界に広がった。日本も例外ではなく、社会に浸透している。2月18日に警視庁が逮捕(東京地検は不起訴)した大林組に務める男性社員は就職活動をしていた女子大学生に猥褻な行為をしたという。3月26日に逮捕された住友商事の「元」社員は女子大生の宿泊先であるホテルにおいて猥褻な行為をしたのだという。 いずれも就職活動をしているという弱みにつけ込んでの行為で、ある種の「特権」を社員は持っていた。弱い立場の人間には何をしてもかまわない、「役得」だと考えていたのかもしれないが、それは新自由主義の基本原理だ。 昨年(2018年)12月8日にAKS傘下の「アイドルグループ」NGT48でメンバーがオートロックのマンション内にある自室へ入ろうとした時に男性ふたりに襲われ、顔をつかまれ、押し倒されそうになったという事件があった。 AKSは一貫してこの事件をもみ消そうとしている。その背景にはメンバーの弱みにつけ込み、あるいは弱みを握り、自分たちの様々な欲望を満たそうとしていた疑いがあるのだが、就職活動の際に不適切な行為を迫られる学生とメンバーは似た状況におかれていると言えるだろう。 NGT48のケースは被害者がインターネットで告発したことで発覚した。人によっては「波風を起こした」と被害者を批判する。勿論、事件があった以上「正常な状態」ではないのだが、表面的に静かなら「正常」だと考える人がいることも確か。波風が立ったら早く「収束」させろとも言う。こうした指示を「もみ消せ」と解釈する人がいても不思議ではない。 これが逆の立場だったら、つまり権力を握っている人びとにとって都合の悪い人物が相手なら、やってもいない事件をでっち上げて抹殺するだろう。実際、そうしたことはある。 「令和」という「元号」はそうした現在の日本社会を反映しているように見える。
2019.04.04
中国の習近平国家首席が3月21日から26日にかけてヨーロッパ3カ国を歴訪、最初の訪問国であるイタリアでは23日にジュゼッペ・コンテ首相と会談し、「一帯一路」での協力に関する覚書を交わしている。言うまでもなく、一帯一路とは陸のシルクロードと海のシルクロードを組み合わせ、ユーラシア大陸の東と西で交易を盛んにしようというものだ。 習近平国家主席が訪問する直前、イタリア政府は覚書を交わすと宣言、アメリカ政府から中国との関係を強化するなと強い圧力を受けていた。その圧力をはねつけたということである。すでにEU加盟国のうちギリシャやブルガリアなど13カ国が覚書に署名しているが、G7のメンバー国としては初めてだ。 イギリスとアメリカは遅くとも20世紀の初頭、ユーラシア大陸の沿岸部を制圧し、内陸部を締め上げるという長期戦略を立てた。おそらくこの戦略は今も生きている。ジョージ・ケナンの封じ込め政策もズビグネフ・ブレジンスキーのグランド・チェスボードもその戦略に基づいている。 その長期戦略では大陸の沿岸部は内部三日月帯と名づけられ、その外側に外部三日月帯が想定されている。内部三日月帯はヨーロッパから中東、インド、東南アジア、そして東アジアを結び、外部三日月帯はアフリカ大陸の南部からオーストラリア、そして北アメリカへつながる。内部三日月帯の西端がイギリス、そして東端に日本がある。日本はイギリスやアメリカの支配層にとって大陸を侵略するための拠点であり、日本人は彼らの傭兵と見なされてきた。 当初、この内部三日月地帯には大きな穴が中東にあった。そこでイギリスの支配層は1932年にサウジアラビアを、1948年にはイスラエルを作ることになる。 イギリスの中国侵略は19世紀のアヘン戦争で本格化する。その戦争で中国(清)に勝利したイギリスだが、内陸部を占領する戦力はなかった。そこで日本が目をつけられて「明治維新」が引き起こされたと言える。徳川体制を倒し、薩長政権に資金を貸し付け、技術を供与して「近代化」させたのである。この侵略にはイギリスと同じアングロ・サクソン系のアメリカも加わっていた。 海洋国家であるイギリスが優位だったのは、物資や人の移動は海の方が早く、運べる量も多かったこと。そこで内陸部の国は高速鉄道の建設も目論む。ロシアがシベリア横断鉄道を建設したのはそのためだ。 ソ連を経て現在のロシアも鉄道の延長とパイプラインの建設を進めている。2011年夏にはドミトリ・メドベージェフ首相がシベリアで金正日と会談し、朝鮮がロシアに負っている債務の90%(約110億ドル)を帳消しにし、10億ドルの投資をすることで合意している。その合意から間もない2011年12月に金正日は急死するが、計画が消えたわけではなかった。韓国はロシアとの関係を強めていたので、朝鮮が鉄道やパイプラインの建設に同意すれば建設は進むはずだった。 この金正日は列車で移動中、車内で急性心筋梗塞を起こして死亡したと朝鮮の国営メディアは伝えていたが、韓国の情報機関であるNIS(国家情報院)の元世勲院長(2009年~13年)は暗殺されたと見ていた。 大陸の西側でもロシアとEUがパイプラインで結びつきを強めようとしていた。そのパイプラインが通っているウクライナでバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ってクーデターを実行した。2014年2月のことだ。ウクライナを制圧すればNATO軍はロシアとの国境まで進むことができ、軍事的に恫喝できるとアメリカは考えたのだろう。 ところが、重要な軍港があるクリミアの制圧に失敗、東部でも抵抗運動が続く。しかも、このクーデターでアメリカ支配層の本心を見た中国はロシアに接近、両国は戦略的な同盟関係を結んだ。それまで中国はアメリカと連携していたのだが、クーデター以降、その方針は大きく変化した。 アメリカは陸のシルクロードを潰すため、新疆ウイグル自治区、アフガニスタン、ウクライナなどに戦闘部隊を送り込んでいる。そのために使われているのはジハード傭兵やネオ・ナチだ。今後、カフカス地域でも軍事的な緊張を高める可能性がある。 海のシルクロードでは、中国から見て出発点である東シナ海や南シナ海で中国を封じ込めようとしている。その戦略に従って自衛隊は沖縄で拠点作りを急いでいるようだ。イタリアが戦争から経済活動へ舵を切ろうとしているのに対し、日本は明治維新以降の方針を堅持、略奪戦争を準備している。
2019.04.03
安倍晋三政権は4月1日、新しい「元号」を「令和」にすると発表した。元号の法的な根拠は1979年に成立した「元号法」だが、その前提として天皇制がある。その天皇制については日本国憲法の第1条から第8条で定められ、いわゆる「戦争の放棄」を定めた第9条はその後だ。この順番から考えて、日本国憲法の主眼は天皇制の維持にあると言えるだろう。 この憲法は「日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこ」んだ天皇が「枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第73条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し」て、1946年11月3日に公布したものである。 第2次世界大戦でアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は反ファシストの立場から戦っていたが、1933年から34年にかけての時期にルーズベルトを中心とするニューディール派を排除し、ファシズム体制を樹立させようとした勢力がアメリカ支配層には存在した。その中心だったのは巨大金融資本だ。 本ブログでは何度も書いてきたが、1923年9月に起こった関東大震災の復興資金をJPモルガンに頼って以来、日本はアメリカの巨大金融資本の強い影響下に入った。その前のボスはイギリスの支配層、つまりシティだと言える。大陸へ攻め込む日本をシティやアメリカのセオドア・ルーズベルトが助けたのは、日本が彼らの手先だったからだと考えるべきだ。セオドアは棍棒外交で有名な好戦派だということを忘れてはならない。 ウォール街の住人たちは反ルーズベルト政権のクーデター計画でも金本位制への復帰を強く求めていたが、日本政府に対しても同じことを要求、受け入れられた。JPモルガンに言われるまま、浜口雄幸政権は緊縮財政も推進する。その時に大蔵大臣を務めていたのが井上準之助だ。 この結果、不況はますます深刻化し、東北地方では娘の身売りが増えて大きな社会問題になっている。こうした経済政策を推進した浜口首相は1930年11月に東京駅で銃撃されて翌年の8月に死亡、32年2月には井上が本郷追分の駒本小学校で射殺されている。 1932年に駐日大使として日本へやってきたジョセフ・グルーがJPモルガンと極めて緊密な関係にあることも本ブログで繰り返し書いてきた。グルーの従兄弟がジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥と結婚していたのである。しかも、グルーの妻の曾祖父の弟は「黒船」で有名なマシュー・ペリーだ。 グルーは秩父宮、松平恒雄、徳川家達、樺山愛輔、牧野伸顕、吉田茂、岸信介などと昵懇にしていたが、中でも親しかったのは松岡洋右。戦争が始まり、離日する直前にグルーが岸とゴルフしたことも有名な逸話だ。安倍晋三の祖父は大戦前からアメリカの支配層と親しかったのである。敗戦後に「転向」したわけではない。 戦前の天皇制官僚システムはウォール街の影響下にあった。ところが1933年から45年4月にルーズベルト大統領が急死するまでそのウォール街はホワイトハウスで主導権をニューディール派に奪われていた。ルーズベルトの死で日米主従関係は本来の姿に戻ったと言える。ウォール街が天皇制を存続させようとしたのは当然だ。その体制によって彼らは日本を支配していたからだ。それを攪乱させたのが血盟団や二・二六事件の将校たちだった。 しかし、連合国の内部には天皇制官僚システムを破壊するべきだと考える人も少なくなかった。日本軍と直接戦ったイギリスやオーストラリア、そしてソ連。日本が降伏した直後はアメリカが日本をコントロールできる状態だったが、時間を経ればそうした国々の軍人や官僚が日本へやってきて民主化を要求、天皇制の廃止も主張する可能性が高い。それに留まらず、天皇の戦争責任は必ず問われる。 日本の侵略を受けていた国々の人びとは、そうした軍人以上に厳しい目を向けていた。日本が降伏した直後、堀田善衛は上海で中国の学生から「あなた方日本の知識人は、あの天皇というものをどうしようと思っているのか?」と「噛みつくような工合に質問」されたという。(堀田善衛著『上海にて』) 天皇制官僚システムを維持するためには、アメリカが日本で主導権を握っているうちに天皇制の存続を定めた憲法を制定し、天皇を被告席に立たせずに戦争責任を問う裁判を終わらせてしまう必要があった。それをアメリカは実行した。 第2次世界大戦の帰趨が決したのは1944年6月にアメリカ軍を中心として実行されたノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)だと考えてる人が高名な学者の中にもいるが、実際はドイツ軍の主力がスターリングラードの戦いで壊滅、1943年1月に降伏した時に勝負はついていた。ノルマンディー上陸作戦で決着がついたという話はハリウッドが作り上げた幻影だ。 アドルフ・ヒトラーの側近だったルドルフ・ヘスが飛行機でスコットランドへ渡ったのが1941年5月。そこでイギリス政府の要人と何かを話し合ったはずだが、その内容は未だに秘密。そして6月に310万人のドイツ軍が西側に90万人を残してソ連へ向かって進撃を開始する。バルバロッサ作戦だ。 当然のことながら、このときにドイツ軍の首脳は西部方面を防衛するために東へ向かう部隊に匹敵する数の将兵を配備するべきだと主張したが、アドルフ・ヒトラーがそれを退けたとされている。(David M. Glantz, The Soviet-German War 1941-1945,” Strom Thurmond Institute of Government and Public Affairs, Clemson University, October 11, 2001)ヒトラーは西側から攻めてこないことを「予知」していたのだろう。 ドイツ軍の主力が壊滅したことに驚いたアメリカとイギリスは急遽会談し、1943年7月に米英軍はシチリア島へ上陸、そしてノルマンディー上陸作戦だ。それと同時に西部戦線で戦っていたレジスタンスに対抗するため、OSSはゲリラ戦部隊ジェドバラを組織、それが大戦後、CIAの秘密工作部門になる。 それまで傍観していた米英軍が慌てて動き始めたのだが、それと並行してドイツ側はOSS(CIAの前身)と盛んに接触するようになる。こうした接触はルーズベルト大統領には秘密にされていた。 OSSのアレン・ダレスたちが接触した相手にはSA(突撃隊)を組織したヘルマン・ゲーリングも含まれ、ダレスたちは彼を戦犯リストから外そうとしたのだが、失敗した。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) しかし、ナチスの大物たちをアメリカ支配層は保護、逃亡させ、後に雇っている。その逃走にローマ教皇庁の一部勢力が参加していたことも広く知られている。 日本では天皇制が存続、内務官僚、思想検察、特別高等警察といった治安体制の中枢は戦後も要職に就いた。「国体」は護持されたのだ。護持したのはウォール街である。 大戦後、日本占領の中枢だったGHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部)の中にも天皇を中心とする侵略戦争の象徴である靖国神社の焼却を主張した将校が多かったのだが、焼かれなかったのは、ローマ教皇庁が送り込んでいたブルーノ・ビッターが強く反対したからだという。ビッターは闇ドルにも手を出していた人物で、CIAのエージェントだったと見られている。靖国神社とCIAには何らかの関係があるのだろう。(朝日ソノラマ編集部『マッカーサーの涙』朝日ソノラマ、1973年)
2019.04.02
3月31日はウクライナの次期大統領を決める投票日だった。言うまでもなく、この選挙は2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領をクーデターで排除した体制が行うもので、ペトロ・ポロシェンコが現在の大統領。有力候補者はこのほかオリガルヒのユリア・ティモシェンコとコメディアンのボロディミル・ゼレンスキーだった。出口調査によると、ゼレンスキーが30%でトップ、ポロシェンコは18%、ティモシェンコは14%。ゼレンスキーとポロシェンコで4月21日に決選投票があると見られている。 ウクライナでは2004年から05年にかけてロシアとの関係を重視するビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させるため、アメリカなど西側支配層を後ろ盾とする勢力が「不正選挙だ」として抗議活動を展開した。いわゆるオレンジ革命だ。その時に西側が支援していた人物がビクトル・ユシチェンコ。2005年1月から2010年2月まで大統領を務め、新自由主義を導入した。その政策で大多数の庶民は貧困化、一部の腐敗勢力が巨万と富を築いてオリガルヒと呼ばれるようになる。 そうしたオリガルヒのひとりがティモシェンコで、2005年1月から9月まで、そして07年12月から10年3月まで首相を務めた。彼女がいかにして蓄財したかを知っている人びとからは嫌われている。2010年にも大統領選挙に出馬するが、ヤヌコビッチに敗れた。そのヤヌコビッチをバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターで2014年に倒したわけだ。ポロシェンコもオリガルヒのひとりで、チョコレート王、あるいはチョコレート・マフィアと呼ばれている。 オレンジ革命の直前、2003年にジョージアでも政権が倒されている。いわゆるバラ革命だ。黒幕はアメリカ大使のリチャード・マイルズ。その前には、ユーゴスラビアで政権を転覆させている。マイルズはサーカシビリ支持の若者を扇動してシェワルナゼを辞任に追い込んだのだ。 ポロシェンコとサーカシビリは国立キエフ大学の出身だが、そこでふたりは親しくなっている。サーカシビリは1994年にアメリカのコロンビア・ロー・スクールで学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。卒業後、ニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ウクライナの庶民はふたりのオリガルヒを選挙で拒否したのだが、アメリカ支配層を後ろ盾とするネオ・ナチが大きな影響力を持っている。誰が大統領になっても軍事的な緊張は続きそうだ。
2019.04.01
昨年(2018年)12月20日にドナルド・トランプ米大統領はシリアを占領している2000名のアメリカ軍部隊を撤退させるように命令したが、実現しそうにない。 この命令には民主党や有力メディアだけでなく、マイク・ペンス副大統領、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官、マイク・ポンペオ国務長官が公然と反対、国防長官だったジェームズ・マティスは撤退の命令書に署名したものの、今年2月に抗議の意思表示として辞任した。その後、相当数の部隊を残留させる方向で動いている。 それに対し、アメリカの占領継続に反対する動きも強まっている。シリアとイランは以前から連携していたが、アメリカに支配されているイラクも両国との関係を強化している。2011年3月にシリアに対する侵略戦争が始められた段階では侵略勢力に加わっていたトルコとカタールもアメリカから離れた。この動きを背後から支えているのがロシアだ。 シリアを侵略したその他の国はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ。戦闘員の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だが、中国の新疆ウイグル自治区やロシアのチェチェンからも参加していた。 シリア、イラン、イラク、トルコ、カタールに加え、レバノンでは2017年11月にサード・ハリリ首相がサウジアラビアで辞任を表明するということがあった。ハリリがサウジアラビアで拘束され、辞任を強要されたのだが、彼は直前の10月中旬にヒズボラとの連合政府へ参加する意向だとイタリアのラ・レプブリカ紙に語っていた。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、ネオコンのポール・ウォルフォウィッツは国防次官だった1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると口にし、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された10日ほどのちにドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では新たな攻撃予定国リストが作成されていた。イラク、シリア、イランのほか、レバノン、リビア、ソマリア、スーダンが加えられていたのだ。レバノンをリストに載せた理由のひとつはヒズボラの存在にある。ハリリはそのヒズボラを連合政府へ参加させようとしていた。 最近ではヨルダンも同盟に加わったというが、ロシアはペルシャ湾岸諸国もその流れに巻き込もうとしているようだ。例えば、今年3月にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がペルシャ湾岸諸国、つまりカタール、サウジアラビア、クウェート、そしてアラブ首長国連邦を訪問したが、ロシアとアラブ首長国連邦の関係が強まっていることが注目されている。サウジアラビアもロシアの防空システムを購入したいという意向を示したこともある。 2016年のアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントンを担いでいたネオコンの主要な目標はロシアの再属国化と中国が進める一帯一路の破壊、そして世界制覇。 それに対し、ドナルド・トランプを支援するベンヤミン・ネタニヤフ首相につながる勢力は、ナイル川からユーフラテス川までを地域をイスラエルの領土にしようという大イスラエル構想の実現を目論んでいる。現在、トランプはその構想に奉仕しているが、それが中東諸国を刺激し、アメリカへの反発を強めているように見える。
2019.04.01
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