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カテゴリ: 隷属への道


Photo by Anders Göranson
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・考察「君は『はだしのゲン』の町内会長を助けるか?
〜 Be wary of revival of Japanese imperialism!
本稿、長引きそうなので記事を独立させました。

__前回までの 「君は『はだしのゲン』の町内会長を助けるか?」








Barefoot Gen Vol.1













『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』
江藤淳 著 文藝春秋 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/633309/





『一九四六年憲法ーその拘束』 (文春学藝ライブラリー)
江藤淳 著 文藝春秋 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/13187466/





原発・正力・CIA  機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)
有馬哲夫 著 新潮新書 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/5436318/





河上  歴史というのは、人間のそばに流れているもので、
  これは人間に作れるようなものじゃない。
小林  人間のそばに流れている、悠々たる「大河」……。
河上  うん。だけど僕が差しあたり言いたいのは、もっと卑俗的なことなんだ、
  近頃の歴史小説はつまらないということを、言っているんだよ。
  つまり人間が、歴史作家が、歴史を作れると思い上がったところがある。
  つまらない風潮だ。__と、いうことを言っているんだ、それが一番言いたいことだよ。
小林  それで、どういうふうにつまらなくなるものかね。
河上  創り物になっちゃう、勝手に歴史を創作しているんだよ、みんな……。
  そんなもんじゃないんだよ、歴史は怖いものだ。

  人間と関係なく生きている。だから、こうも言える。
  __「歴史は美しくない」__これはまた逆説だけれどもね、
  作品は完結しなければならないが、歴史には完結がないから。
小林  なるほど、それもパラドックスに違いない。

  しかし、歴史は違う。ところで、現代の歴史小説に見られる大勢的傾向は、
  歴史について、そういう鑑賞的な行為を、平気で行なって、
  それに気が付いていないところにある。__と、君は言いたいのだな。
河上  うん、そうだ。__ヴァレリーの逆説だが、つまり歴史というものは、
  そんなところに淀んでいるもんじゃないんだ。
  別に流れているんだよ。人間とは別にね。
  怖いものだが、決して美しいものではない。
  それを歴史小説家は、「美」に仕立てあげようとするんだよ。
  そして、成功したつもりでいるんだよ。
  資料には出来るだけ忠実たることを心がけた、__などと寝言みたいなことを言ってね。
小林  逆説のかたちをとらないと言えない真理がある。
  説明しようとなると、非常に面倒な、難かしい事になる。
河上  うん、こういう席でいう事じゃないかも知れない。
小林  けれど、どんな席で、何度でも、
  どんなに取りあげられてもいい問題でもある。そういう事にもなるな。
  ( 小林秀雄・河上徹太郎 対談『歴史について』より



  「日本にはヒットラーはいなかったが民衆はいた。
  昭和十七年、私が軍隊に入って何より驚いたのは軍人の地方人(民間人)蔑視であった。
  流行のナチスばりに似せようとした軍服の青年将校が音頭をとって歌わせる
  「昭和維新の歌」には「盲目〔めしひ〕たる民、世に踊る」という一句があった。
  そして彼らは、この盲目たる民を侮蔑し支配するには、
  彼らの「他に勝たうとする邪念ほど強いものはない」のを利用することだと知っていた。
  朝日新聞の「南京陥落大特集」の見開の提灯行列の漫画を見ればよい。
  その光景と目の前で「ハイル・ヒットラー」と叫んで「伸手の礼」をした光景と
  どれだけ違っていただろう。」
山本七平 著『小林秀雄の流儀』所収「小林秀雄の政治観」 より




___ あの人たちの反乱 の次は革命、そして「戦争をする国」である。
本稿を書き始めたきっかけは 2018年12月01日 掲載記事に挙げた某書のカスタマーレビューで、
それらはあたかも戦前・戦中の超国家主義、民族主義の復活を予感させるものでした。


しかし当方は、件〔くだん〕のレビュー対象の某書ごときは人寄せの囮(ベイト)にすぎず、
実体は別にあるように思われました。
また、これまでもやたらに日本を礼賛〔らいさん〕する歴史本を読んでうんざりしたものです。

それら歴史本の例を挙げれば、
一昨年亡くなった上智大学名誉教授・渡部昇一氏の著書などであり、
現在、当方の手元に残っている渡部氏の著書は
『知的生活の方法』『続・知的生活の方法』『発想法』
それから小林秀雄さんの 『本居宣長』 についての感想が所収されている
『超常識主義のすすめ』 ぐらいで、歴史関係の著書は軽い読み物にすらなりません。
そもそも 『知的生活の方法』 を買った理由も資料の整理の参考のためで
著者の思想面に興味があったわけではありません。

これまで当ブログで渡部氏の本のタイトルを何度か書いていますが
(たまに '先生'と付けてしまったのは凡ミスであった)、
あの統一教会で講演をしているとか『世界日報』に寄稿していると知って
「これは触っちゃいかんやつや」と確信しました。
さらに、昨年発刊された 『日本会議の野望 極右組織が目論む「この国のかたち」』 を読むと、
この本にも随所に名前が出てくる!






日本会議の野望  極右組織が目論む「この国のかたち」
俵義文 著 花伝社 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/15510557/




すなわち、渡部氏が死んだために歴史家(?)の席がひとつ空いたので
流行作家がそこに充てこまれた、というシナリオが見えてきます。
では、渡部氏の歴史観がどれほどのものなのかといえば、
1980年代前半 に発行された 呉智英氏著『インテリ大戦争』 にて、
ケアレスミスをすでに指摘されるほど詰めが甘いものです。



Youtube - georgemichael
George Michael - Careless Whisper (Official Video)









インテリ大戦争 ―知的俗物どもへの宣戦布告
呉智英 著 JICC出版局




それにしても、副題に書くも書いたり、 「知的俗物ども」 とは!
そもそも 「俗物」 などという言葉は、
安岡正篤(呼び捨て!)のサラリーマン向けのやっすい文庫本ぐらいでしか見かけない
(それから、たしか諸星大二郎さんの 『太公望伝』 で見ました)。
俗物、俗物というけれど、俗物の定義がよくわからん、という人には
福田恆存〔ふくだつねあり〕さんの 「俗物論」(『国家とは何か」などに所収) をお勧めします。





国家とは何か (文春学藝ライブラリー)
福田恒存 著, 浜崎洋介 編 文藝春秋 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/13041247/





話を渡部氏と呉智英氏著 『インテリ大戦争 ―知的俗物どもへの宣戦布告』 に戻します。
当記事の前回にあたる 2019年01月02日 掲載記事の
「エホン読みの原典知らず」は、同書 P.47の、
渡部氏著『日本そして日本人』(祥伝社)批評のタイトルです。
この冒頭部分を以下に抜粋します。


   またぞろ飽きもせずに日本人論、しかも低レベルな保守人による愚論が本書である。
  本書は「知的サラリーマンシリーズ」の中の一冊ということで、
  渡部昇一の出世作『知的生活の方法』(講談社新書)の商品イメージの延長線上になる。
  付け加えて言えば、内容のオソマツなこともその延長線なのだ。
  となると、渡部センセーのチセーなるものがどの程度のものか知っておいても悪くないので、
  まず『知的生活の方法』から槍玉にあげることにしよう。
  『知的生活の方法(以下『チホー』と略す)』をパラパラとめくると、
  『三国志』がどうの『論語』がどうの、さらには水木しげるのマンガがどうの、
  ひょっとすると、これは“本物の知者”の書かなと思わせるのだが、
  読んでびっくりの“本物のバカ”の書である。
  『三国志』云々も、読んでみれば、子供の頃に少年向きの『三国志物語』を読んで、
  大人になったら吉川英治の『三国志』を読んだだけのことを何の自慢か、書き連ねているのだ。



抜粋以上、引用文最初の「またぞろ飽きもせずに日本人論・・・・」とあるのは、
前項に 山本七平氏著『「あたりまえ」の研究』(ダイヤモンド社) の批評があるからです。

当方個人の感覚からすると、渡部昇一氏はこの時期が実質的頂点であったという気がします。
なぜならこれから後はひたすら同じことの繰り返し。
しかも 誰でも読めそうな平易な文章 に終始したため中身はスカスカで、
読者の思想をある一定の方向へ導こうとする書き様に閉口することがしばしばありました。
なるほど、そうなると特定の政治団体や宗教団体などにすり寄って
読者層を確保しようと画策したこともうなづけます。

ちなみに、
上掲 『日本会議の野望 極右組織が目論む「この国のかたち」』 P.22 からの孫引きになりますが
2017年11月時点で日本会議の全国役員は約3500名、会員は約4万名
『日本の息吹』
__だそうで、
会員数は話半分としても二万人、
会員一人につき平均十冊本を買わせれば販売実数二十万部は固く、
役員が関与する団体や企業などがまとめ買いすれば五十万部ぐらいは余裕かもしれません。
はたして、斯様な販売戦略で内容の充実した本が出版できるかといえば、 決して そうではなく、
一般会員や日頃あまり本を読まない人向けの単純明快?なものにならざる得ないでしょう。

次回、渡部氏と日本会議 Nippon Kaigi の関係についてもう少し見てみます。
















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Last updated  2019年01月12日 07時48分09秒


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