音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2007年10月27日
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カテゴリ: 映画


 秋元康氏のベストセラーの映画化。産経新聞で連載中は全く読まず、映画を見る前に読もうとしていた単行本も結局読まずじまいでした。

それほど期待してたわけではありませんでしたし、映画は淡々と進んでいきました。泣かないで済みそうだと思っていたら、後半も後半、岸辺一徳

扮する兄の藤山幸一が主人公幸弘のいるホスピスに尋ねてきて、持参した西瓜を二人で食べる長まわしのシーンでいきなり来てしまいました。気丈な主人公が他人に初めて見せる弱さ。これですっかり涙腺が緩んでしまいました。

■あらすじ

 藤山幸弘(役所広司)は不動産会社の企画部署の部長。3年ごしのBプロジェクトのプランが完成し、いよいよ役員会で進めるかどうか話し合いがもたれる時期になった。

 ある日病院で肺ガンで余命半年と告げられる。藤山が選択したのは手術を行わず、延命治療も施さないというものだった。彼は、最後まで人間として生きる事を選択したのだった。

 会社に戻ると、部下を叱りつけてしまう藤山。気持ちの整理が付かず、早々と帰宅すると、妻の美和子(今井美樹)に買ってきた豆腐を湯豆腐にしてくれと頼む。

 食事をしながら、今日の検診のことを聞かれると「単なるストレスだとさ」とごまかしてしまう。

 長女のはるか(南沢奈央)にも本当のことは話さなかったが、大学生の長男俊介(塩谷瞬)には外で本当のことを話し、後のことを託す。

 藤山にはコピーライターの青木悦子(井川遥)という恋人がいる。彼女には本当のことを伝える。

 藤山は過去に心残りのある人達と会って別れを告げたいという思いが募り、アルバムを見ながらその人達を選び出す。

 最初は中学時代の初恋の女性福岡美穂(手塚理実)。福岡美穂は藤山を全く覚えていなかったが、藤山に話を聞かされてとても嬉しいという。

 二人目は、高校の野球部の仲間で、つまらない理由で喧嘩になり、それ以来縁の無かった佐久間清(高橋克美)。二人でキャッチボールをしたり、喧嘩の原因である、グランドファンク・レイルロードの雨の中のコンサートの演奏がライブか、テープかで再び言い争いになる。

 三人目は父親の愛人が元で疎遠になった実の兄幸一。幸一の会社に赴き、父親の遺産を相続した分のお金を出してくれるよう兄に頼む。

 藤山は父親の愛人が嫌で、兄と不仲になったのだが、「愛人を頼む」と父に言われた兄も実は深い悩みがあったことを知る。

 時間は冷酷に過ぎていき、ガンは着々と進行する。懸案だったプロジェクトもやっと認められることになったある日、会議の途中で気分が悪くなった藤山はトイレの中で意識を失ってしまう。。。。

■はまり役 役所広司

 何となく、昨年公開された「明日の記憶」とムードが似ています。かたやアルツハイマー、かたやガンですが、次第に死に近づいていくところは同じです。違うところはガンは生き方に選択の余地があることで、アルツハイマーは無いことです。どちらも最後は同じですが、ガンの場合はまだ救いがあるように思います。

 主人公役の役所広司ははまり役でした。特に痛みが襲ってきて、七転八倒しているシーンは迫真に迫っています。おそらくガンで家族を失った経験のある方は正視に耐えられないシーンではないでしょうか。

 藤山幸一を演じた岸辺一徳の飄々とした演技も良かったですね。特にホスピスでのシーンは軽妙に演じているからこそ悲しみがリアルなものとして迫って来ました。

 それから青木悦子役の井川遥の凛とした気品漂う演技も素晴らしかったと思います。

 美和子役の今井美樹は台詞が一本調子で、やはりブランクの長さを感じました。

 不動産会社社長の伊武雅刀はどこかのやくざの組組長の様な感じで、ミスキャストっぽかったと思います。

■美しい風景と美しい音楽

 藤山がホスピスに入院した後、何度も海岸のシーンが出てきます。昼のシーン、夕焼けに染まるシーンなどとても美しく印象に残りました。

 また、千住明の控えめだが美しい旋律、そしてケミストリーの歌う主題歌「最期の川」(作詞秋本康)共に心に染みいる音楽でした。

■考えさせられる映画

 自分が癌と宣告され余命半年となった場合どう思うか。難しい問題です。個人的にも似たような経験をしたことがあり、残される家族の心情は想像するにかたくありません。

 昔に比べればガンが治癒する確率は医療の進歩により確実にアップしています。しかし、このような悲劇は現在も続いているわけで、いつの日かそのような悲劇が起こらない世の中になることを、願わずに入られません。

公式サイト

「最期の川」は YouTube で全曲を聞くことが出来ます。画像は映画とは関係ありませんが、大杉漣が出演した父と娘の最期の旅を描いたショートムーヴィーとケミストリーの演奏風景が重なり合いながら進行していきます。







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Last updated  2007年10月28日 17時19分21秒
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