音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2019年04月03日
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カテゴリ: 映画


こういう伝記物は、本人の映像の他、関係者へのインタビューがかなりの割合を占めるものだが、この映画は、現存するカラスのインタビューや舞台の映像の他は未完の自叙伝の中の文章と彼女の400通を超える手紙の朗読のみで、かなりユニークな作り。
朗読は「永遠のマリア・カラス」でカラスを演じたファニー・アルダンが担当している。
この方法は実物のカラスが語っているようで、とてもリアルに感じられる。
また、こういう音楽関連のドキュメンタリーでは、歌はさわりだけになりがちだが、この映画では最初のノルマの「清らかな女神よ」から最後の「私のお父さん」までフルコーラスで歌われるナンバーが多く、オペラ好きにとっては音楽的な満足度が高い。
当ブログは、あの巨大な鼻と同じ高慢ちきな歌手という印象を持っていたが、人間マリア・カラスが描かれていて、本当は傷つきやすいナイーブな心の持ち主であったことを知った。
1958年1月のローマ歌劇場での「ノルマ」での、一幕後の降板へのバッシングは有名な事件だ。
公私共に親交の深かったディステファノの話によると、前日のテレビ放送が長引いたために、声の調子が悪くなり、一幕は歌いきったものの、それ以上は歌えないために降板したというのが真相らしい。
観客は事情を知らないので、ヤジってそれでますます調子が悪くなったらしい。

まあ、一幕後で終わりというには観客には納得できないことだが、会場側も説明が足りなかったことは確かだ。
晩年、カムバックするため新しい歌唱方法に挑戦する前向きな姿勢も、意外だった。
カラスといえばオナシスとの恋を出さないわけにはいかないが、関連した映像が豊富で、いかに彼らが親密だったかがよくわかった。
なので、オナシスがジャクリーンと結婚したことを裏切りと思ったのも無理はない。
ただ、オナシスの晩年によりを戻していたことは知らなかった。
映像はあまり良くないが、こんなものだろう。
一部隠し撮りのような映像もあるが、著作権上問題はなかったのだろうか。
興味深かったのはカラスの顔の幅やメイクの仕方がコロコロ変わることだ。
付け睫毛や眉毛の太さや濃さも変化し、どぎついメイクにもたえられる顔だということが分かった。
パゾリーニの映画で主演を張るだけのことはあると変に関心してしまった。
映画は、ほぼ年代順に進行して行くのだが、複数のインタビューから、その時々の内容にあった部分だけを取り出しているため、同じインタビューが何回も出てきて訳が分からなくなる。

古い映像が多く、デジタル処理をしたとはいえ、一部鮮明でない映像が含まれるのは仕方がないことだろう。
映画を見たら、カラスの歌が聴きたくなって、帰宅後ノルマ(1954)の「清き女神」を聴いた。
当ブログはそれほどカラスの歌を知っているわけではないので、機会があれば「ルチア」や「蝶々夫人」も聴いてみたいと思う。

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Last updated  2019年04月03日 19時13分14秒
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