音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2023年08月10日
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カテゴリ: クラシック音楽

ジャズ・ピアニストのキース・ジャレットがほぼ第一線から退いてからだいぶたつ。
今でも定期的に新譜が出ているのは根強い人気がある証拠だろうが、今回はバロック音楽だった。
キースはバッハをはじめとしてクラシックのピアノ曲や弦との共演なども録音している。
筆者はそれらには全く興味がなかったのだが、何故かこのアルバムに興味を持ち、Spotifyで少し聴いたところ、これがなかなかいい。
筆者はこの曲を聞いたことがない。
グールドが名演を残しているが、どうやら第1番のみのようだ。
探しまくったところ「グレン・グールド/ザ・シルヴァー・ジュビリー・アルバム」という編集ものがspotifyで聴けた。
ここではピアノを弾いていて、グールドらしいタッチの使い分けが興味深い。

マハン・エスファハニの録音も少し聴いてみた。
バロック音楽らしい、すこしぎこちない動きがバロック音楽らしいと思った。
それに比べるとキースの演奏はバロック音楽臭さがなく、とても自然な表現で、清々しい気分になる。
おそらく、慣習にとらわれないで自分の感性で弾いているのだろう。
それが筆者の波長にあっていたのだと思う。
また、ハープシコードだとサウンドがとげとげしくなってしまうので、柔らかいピアノのサウンドのほうが曲にあっているのだと思う。
ピアノと言ってもグールドのような硬い音ではなく、潤いのある音が心地よい。
このアルバムは1994年に録音したもので、今までお蔵入りしていた理由は分からない。
筆者にとっては、今でなければ聴かずに通り過ぎて行ったアルバムになっていた気がする。
それにしても、この音楽、ジャズ・ピアニストが弾いているとはとても思えない。
クラシックのピアノとしても、大変すぐれたもので、彼の演奏を聴かなければ、この曲に接することもなかったと思う。

この曲がC.P.E.バッハの作品の中でどのような地位を占めているのかは分からないが、筆者にとってはアムランのCPEバッハ作品集に続いて、さらにC.P.E.バッハの音楽に親しむ機会になって幸運だった。
C.P.Eバッハらしい快活な曲が多いが、5番6番などの遅い楽章のしみじみとした味わいも悪くない。
キースは装飾音符は殆どつけないで弾いている。
タッチが柔らかく、音楽の流れも機械的ではなく、自然で聴いていると引き込まれてしまう。
表情もクラシックの演奏家のような硬いものではなく、実にチャーミング。

今更ながらキースの音楽の引き出しの多さを確認させられたようなものだ。
これを切っ掛けに、彼のバッハの平均律なども聞いてみたい。
因みに少し前に配信サイト(多分Qobuz)ではベストセラーになっていた。
この演奏に共感する聴き手が多い証拠だろう。
なお第1番の第1楽章は多くの演奏が4分ほどであるのに対しキースの演奏は7分以上かかっている。
調べた限りでは他にはBruno Procopioというチェンバリストの8分ほどの演奏があるのみだった。
楽譜を見ていないので分からないが、繰り返しの有り無しの違いなのかもしれない。
ということで、最近の録音の中では、またとない聞きものになっていて、嬉しいサプライズだった。
キース・ジャレットを知らないクラシック・ファンでも楽しめること請け合いだ。
是非お聴きいただきたい。

キース・ジャレット C.P.E. バッハ:ヴュルテンベルク・ソナタ集

1. 第1番イ短調
4. 第2番変イ長調
7. 第3番ホ短調
10. 第4番変ロ長調
13. 第5番変ホ長調
16. 第6番ロ短調

キース・ジャレット(p)

録音1994年5月、ニュージャージー州、Cavelight Studio





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Last updated  2023年08月11日 09時46分38秒 コメントを書く
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