梅林庵

平成29年12月8日（金）

　午前5時起床。未明は雨模様でした。朝のうち残りました。午後は晴れ。

　身体の調子が戻りました。リーマン仕事も通常運行、判子押しとミーティングに終始。

　日の暮れて会社をあとに。イエローハットに寄りました。トラクターのラジエターに入れる防銹の不凍液を購入。水道水を使って錆びさせた過ちは繰り返さないぞ。学習しました。

　このところ、鯵刺から遠ざかっていました。途中、いつものスーパーへ寄り道。いいのがありました。妻はコーラスで不在。よし、今日はこれをトラと分け合おう。

　帰宅してチャチャッ。終えて走ろうか。でも真っ暗だしな。やーめた。防滴のスピーカーにオッターバを流しながら長風呂。1週間の澱を流して頭を拭きました。風呂上がり、頭に振るトニックの感じ、金曜日は格別です。加えてこの当て、この透明感。たまりません。と、勃然。鰺刺は息子の好物。どうしているかなぁ。TELしてみました。元気でした。声を聞いて後は酒の味も格別。樽にはふなぐちがたんまりあります。おいトラ、バッハを聴こうか。

　さて、師走も1／3が過ぎようとしています。今日は12月8日。日本が太平洋戦争を始めた日です。1941年、千島列島択捉島の単冠湾に向け、私のまち、佐伯湾から密か、帝国海軍が出航しました。市民のほとんどが承知、このまちの歴史です。佐伯の人は、来訪者にどんなまち？と問われ、ここは真珠湾攻撃、本土出撃の地なんだ、少し自慢げにそう言います。そうなんです。かつて佐伯には海軍航空隊があったのです。

　私自身、先に書いた如く、此処が連合艦隊出撃の地を、半ば自慢じみて人に話します。その時、深いところで上記のようなことを一連、語れるようになりたいと思うこの頃です。

「豊後水道は、呉軍港に出入港する艦艇が必ず通過する。この海域を防御するため、海軍は1931年（昭和6年）より九州東岸に航空基地を建設する計画を立てた。候補地となった大分県南海部郡佐伯町と宮崎県東臼杵郡富高町は半年にわたり熾烈な誘致活動を繰り広げた。1931年（昭和6年）8月に佐伯への設置が内定し、佐伯町は番匠川河口の女島を提供した。地元の協力を得て、佐伯空の工事は順調に進捗し、1934年（昭和9年）12月1日に開隊を迎えた。佐伯飛行場は終戦までに6回の空襲を受け、基地のみならず市民にも被害が出た。九州各地の飛行場が特攻作戦のためにフル稼働する中、佐伯飛行場は豊後水道の哨戒任務に専念していた。しかし、大和の出撃を最後に連合艦隊の出入港は凍結され、佐伯空の哨戒任務の価値は大きく低下した」

　注目すべきは、帝国海軍の航空基地誘致に「熾烈な活動」をおこなった、とあることです。軍需景気を期待してのことだったのでしょう。軍隊の駐留・基地化は地元の経済を潤します。農林漁業の寒村であった土地でした。軍隊さんが打ち出の小槌に見えたのでしょう。仕方ありません。今でもそうなんですから。試しに在日米海兵隊のHPを見てみると「在沖縄米軍は軍関連契約、個人消費、賃貸料、防衛施設整備事業や日本人雇用などで、毎年、2,100億円以上の経済効果を沖縄県にもたらしています」と、それらしいことが書いてあります。さもありなん、です。そのとおり、軍需は大きなお金を落とします。当時の佐伯も、まちを挙げて帝国海軍にぶら下がろうと考えたのでしょう。

　隣県宮崎との誘致合戦に勝ってこれを実現。当時、ちょうちん行列をして祝ったと、何かの資料に載っていたことを覚えています。そして開戦。そこまではよかった。しかし、戦局が不利になると、戦線が北上。軍需工場のある都市もですが、軍港や飛行場のあるまちが爆撃されはじめました。佐伯にも爆弾が落ち、機銃掃射を見舞われました。軍人軍属だけでなく一般市民も死にました。仕方ありません。軍隊のあるまちの宿命ですから。

　あれこれの話が長くなりました。余談ですが、佐伯市には、今も海上自衛隊の分遣隊が配置されています。時折自衛隊の艦隊が入港します。その報が入ると、盛り場に「歓迎・海上自衛隊」の幟が目立ちます。

　長くなったついでということでもう一つ。

　12月になると、新聞に2017年を回顧の記事が目につくようになります。日経文化欄は、昨日が文学、今日は音楽のそれを掲載してありました。それほど大きくないコラムでした。前者の特筆として挙げられたのは

「名誉と恍惚」松浦久輝　新潮社5,400円

でした。結構な値段の小説です。今日は引用が多いですが、Amazonの内容紹介は

「ふるさとなんかどこにもないが、生きてやる。おれの名誉と恍惚はそこにある。日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇の頭目・蕭炎彬との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる。祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者渾身の傑作長編」とありました。大戦前夜の中国が舞台です。少し高いですが、惹かれます。読んでみたいな。でも値段が・・・。あっ、そうだ。私には娘がいます。変わり者で、大戦前夜、爛熟と不穏の空気に惹かれているのでしょう、その時代のことを書いた本や映画のことをよく話してくれます。この本のことを教え、買わして読ませ、払い下げてもらう作戦はどうかな。うまくいくといいな。帰省前に勧め、帰りの新幹線車中で読み上げて、お父さん、お土産よ、そう言いながら渡してくれないかな。そんなこと、あるはず無いな。

　戻ります。音楽の回顧は、日本のオーケストラ（読響、N響）もオペラが上手になったこと、かまやつひろし、平尾昌晃、船村徹が鬼籍に入ったことなどでした。悔しいことにバイエルン国立歌劇場管の来日も大きく載っていました。私、この公演をNHKホールで聴く予定でした。台風襲来で上京すること能わず。残念至極。腹いせに仕切り直しをしました。月の替って出撃。赤羽や十条の立ち飲みを練り歩き、鉾を納めました。

　それにしてもふなぐちが美味い。ありがたくなりました。明日は朝から山です。寝ます。おやすみなさい。

今日の一句

ニイタカにもう登るまい平気だぞ

今日のラン

なし

今日の酒

ふなぐち2合　普通酒1合　白霧お湯割り1合

今日の写真は聴いたBachです。カサドのチェロ。古い録音です。端正な演奏でした。