全4件 (4件中 1-4件目)
1
さすらいの狼(著者:生島治郎|出版社:春陽文庫) 実に久しぶりに春陽文庫を読んだ。 腰巻きには「新・股旅時代小説!」とある。「股旅」というからには時代小説にきまっているのだが、そういうことはこの際横に置いておこう。 挟んであったパンフレットには「大衆娯楽の宝庫 春陽文庫の時代劇」とある。実にその通り。相変わらずの文庫でも上下二段組。昔は、郷土玩具をテーマにしたしおりが入っていたのだが、今はないらしい。 おそらく週刊誌に連載したものなのだろうが、次から次にまあ、いろんなことが起こる起こる。もう何でもありの世界。ジェットコースター時代劇とでも言おうか。 しかも、生島治郎である。ハードボイルドの雰囲気を漂わせる股旅なのだ。木枯らし紋次郎のような虚無的な雰囲気はあるのだがら、情念の世界に生きているのが根本的に違うところ。 タイトルからして時代小説の感覚ではない。 春陽文庫は「解説」などというたいていは役に立たない余計なものを排除しているのだが、今回はちょっと困った。一体、これが何時書かれ、何に発表されたのかが分からない。 気になるのは、文章の中に、「ニヒル」「スタミナ」といったカタカナ言葉が出てくるところと、「~のような」ではなく「~みたいな」と表現するところ。「~みたいな」と言われると、口語的すぎて、肩すかしをくったような気になる。
1999.12.15
コメント(0)
大江戸死体考(著者:氏家幹人|出版社:平凡社新書) 江戸時代における死体の扱われ方。 サブタイトルにあるように、山田浅右衛門に代表される試し切りについてのあれこれが多い。 試し切りの後、死体を探って切れ味を確認した話など、気持ちのよくない話が多いが、最も驚いたのは、試し切りに使った死体から内臓を取り出し、それを薬として売ることで収入を得ていた、ということ。 人体の一部が薬として使われていた例があれこれ書かれており、『細雪』で、呉服屋が「おいど切られまっせ」と言ったことの意味がはじめてわかった。薬になると思われていたのだ。 また、「ほねなしくらげ」で、猿の生き肝を薬として求めるというのは、おそらく、人間の生き肝も薬としていたからなのではないだろうか。 プロローグとエピローグだけが「である調」で、あとは全部「ですます調」なのがまた、不気味な雰囲気にさせる。 死体がそこら中に転がっていた話、試し切りの材料として、供給が不足していた話など、知らなかったことが多い。
1999.12.10
コメント(0)
「半七捕物帳」江戸めぐり(著者:今井金吾|出版社:ちくま文庫) 「半七は実在した」というサブタイトルから、半七のモデルの実像を明らかにした本なのかと思ったが、そうではなかった。 ただ、半七のモデルがいたことは、この本で初めて知った。 タイトルに「江戸めぐり」とあるように、半七が活躍した時代の江戸の姿を明らかにすることが目的であって、モデル論ではない。 そういう点では、半七の物語の形を借りて江戸を描こうとした岡本綺堂の態度に近い。
1999.12.06
コメント(0)
AV女優(著者:永沢光雄|出版社:文藝春秋・文春文庫) 1991年から96にかけて、AV専門誌で、AV女優にインタビューした連載をまとめたもの。 AV専門誌というものがあることを初めて知ったが、解説などによると十五万部も売れているという。 当然、女優のファンというのも生まれてくるわけだ。 全部で四十二人の女優にインタビューしているが、AV女優になった理由というのは、まさに千差万別。 劣悪な家庭環境で育った人が多いのは予想通りだが、それがすべてではない。ピアニストとなることを期待されて育ち、オペラ歌手になろうと思って音大に合格したという人もいる。 読んでいて、何かに似ているなあ、と思ったが、途中で本人があこがれを少し述べているように、松田優作の「探偵物語」(テレビの)に似ている。覚醒剤も麻薬もやくざも当たり前のように存在する世界。 その世界に生きる人間の息づかいを伝える本なのだ。 当然の事ながら、女優に対して好意的であり、温かい目で見ているのだが、売春の仲介をしていることなど、そのまま載せることに抵抗はなかったのだろうか。
1999.12.03
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1


