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みなさん、こんばんは。恵方巻食べましたか?今日もサトクリフ作品を紹介します。銀の枝The Silver Branchローズマリー・サトクリフ キリストの死後200年が過ぎて、ローマ帝国は壊れていた。ローマ本国と海を隔てたブリテンに「われわれの小さな皇帝」と呼ばれるもう一人の皇帝が存在し、統治する状況を、ローマ最盛期と比べるならば。辺境に生きるブリテン皇帝や、地位もなき人々が、最もその事を察知していた。その中で彼等は「ローマ」ではなく「ブリテン」が生き残る術を探っていた。ブリテンを生かそうとする人達は、反対勢力に次々と殺される。ブリテン皇帝も、ブリテンからローマに人を逃がしていたユーモラスな風貌の男ポウリヌスも。 同著者の「第九軍団のワシ」の主人公アクイラの子孫である軍人フラビウスと、医者である彼のいとこジャスティン。三部作の「ともしびをかかげて」「第九軍団のワシ」では軍人が主人公だったのに、今回医者のジャスティンがメインに置かれている。どもりがちで、自信なげなしゃべり方になってしまうジャスティン。軍人にならなかった事で父に負い目を感じていた弱々しいジャスティンが、第二次大戦下のフランス・レジスタンス活動を思わせる地下組織の頭領、され、真の勇気とは何かを学んでゆく。医師として働き、またブリテンからローマに人を逃がす仕事と、「ブリテンを生かす」ために情報をローマに送る仕事を引き継ぐうち、自信を得、責任感を身につけてゆく。歴史に名を残すことのないジャスティンと、ローマの庇護下にあった「ブリテン」が自立を目指して闘っていく、いわば国と個人との成長過程をリンクさせた作品である。銀の枝 (岩波少年文庫) [ ローズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
February 5, 2020
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みなさん、こんばんは。新型肺炎は非常事態宣言が出ましたね。今日もサトクリフ作品を紹介します。太陽の戦士 Warrior Scarletサトクリフの歴史ロマン 岩波の愛蔵版26ローズマリサトクリフ猪熊葉子サトクリフ作品は概して男性は女性の扱い方がヘタである。サトクリフの作品中、最も甘えさせてもらってない主人公ではないだろうかと思う。サトクリフ自身身体が不自由だった事を解説で読んで知っているので、彼女が自分を投影して描いた部分が多いのではと感じるからだ。彼女の作品に出てくる「異なる階級同志の友情」も本作では影を潜め、クローズアップされ続けるのはドレム一人。たった一人で、自分の望むものを手に入れてゆかなければならない状況にドレムは何度も追いやられる。時代が青銅時代に設定されていることも、偶然ではないだろう。古代の人々は、中世やローマ帝国の時代よりもはるかに多く、個人の能力で自らの生命や財産を守らなければならない場面に遭遇したことは、想像に難くない。そして、災難や事故は、自分がハンデを持った存在だからといって避けて通ってくれるような親切さを持ち合わせていないし、そんな状況では、誰かが助けてくれることを当てにはできないのが現実だ。ドレムは何度も悔しい思いをする。しかし、他人の手を当てにするより、まず自分の手で勝ち取って初めて、皆の称賛を得ることができる事を知っているドレムはくじけない。たった15才の少年が、ここまで強いとは。 同年代の子供達ならずとも、その精神の強靱さには頭が下がる。共に彼が、戦士の証である「緋の衣」を身につけられるよう、祈らずにはいられない。【中古】 太陽の戦士 サトクリフの歴史ロマン 岩波の愛蔵版26/ローズマリサトクリフ【著】,猪熊葉子【訳】 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店
February 4, 2020
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みなさん、こんばんは。最近地震が多くて心配です。今日もサトクリフ作品を紹介します。落日の剣上下 王の苦悩と悲劇 真実のアーサー王の物語Sword at Sunsetローズマリ・サトクリフ原書房 人生は自分の手でつかみ取るもの。人から与えられるものではない。このメッセージを絶えず送り続けたサトクリフが、アーサーを、なぜ主人公にしようと思ったのか?アーサーは、伝説の剣を岩から抜き取ったことで、周りから王と認められた、いわば与えられた人生を生きた人なのに。そんな疑問を抱いた私の前に現れたのは、熊を意味するアーサーのケルト名、アルトスという名を持つ若き武将。「この人は?」驚く私に、サトクリフは言う。「彼こそが真実のアーサー。」と。 そう、ここに出てくるアーサー、いやアルトスは、長いマントを羽織り、宮廷の奥深くに鎮座している穏やかな王ではない。いつも戦の最前線で動き回っているエネルギッシュな男。彼のためにならいつでも命を投げ出す男達に囲まれている男。キリスト教的要素の強い聖杯の部分をごっそり抜いた分だけ、サトクリフの本領発揮である戦場描写が多くなる。楯に当たる剣の音。ずぶ、と剣が身体に刺さる音。馬のいななき。読んでいるだけで、自分も戦場にいるみたいな気分に。す、と風が。誰か通った?え?アルトス?うわぁ、かっこいい!なあんて。これじゃあサトクリフ・オリジナルで『アーサー王シリーズ』を書いていた時さぞやお尻がムズムズした事でしょうね、レイディ・サトクリフ?彼の伴侶たるギネヴィア役も、かなりイメージが違う。深窓のお姫様では、もちろんない。勝ち気で奔放。長い冬で食料がなくなり、救助を求めに行く前夜のアルトスのふところに、忍び込んでくる大胆な娘、グレンフマラがその人。例えるならば、『風と共に去りぬ』のレットとスカーレット、『嵐が丘』のキャシーとヒースクリフのようなカップル。そしてランスロットの役回りであるアルトスの親友、ベドウィルも、『アーサー王物語』でいえば、トリスタンに近いイメージ。『風と共に去りぬ』でいえばアシュレイ。アルトスが武張っている分、バランスを取ったのだろう。アーサーの息子にして敵であるモルドレッド。本作での彼は、メドラウトという名前である。事もあろうに、アルトスとグレンフマラの愛児の葬式に初登場、という今後の運命を予感させるような不吉な登場をする。野望の大きさ、したたかさにおいて、モルドレッドに優る所多し。そしてまた、『ともしびをかかげて』の懐かしい人々も友情出演で顔を出す。そういえば、『ともしびをかかげて』のアンブロシウスも、本作ではやがて訪れる死を待たないで、自ら大鹿に向ってゆく。長い冬を耐え忍ぶ中で、自らの命を犠牲にして救助を求めていくレヴィンも、自らの伴侶を決めたグレンフマラも、運命に立ち向かい、自らの手で自分の人生をつかみ取ろうとする。アルトスと同じように。大筋は『アーサー王伝説』と変わらないのに、まるっきり印象が違うのは、もしかしたら、そんな力強く前進する人々の生きざまと関係があるのかもしれない。語り部サトクリフの力量のほどを、再認識させられた一冊である。落日の剣 上 若き戦士の物語 真実のアーサー王の物語 [ ローズマリ・サトクリフ ]落日の剣 下 王の苦悩と悲劇 真実のアーサー王の物語 [ ローズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
February 3, 2020
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みなさん、こんばんは。ついに湖北省の人入国拒否になりましたね。でも遅いような。今日もサトクリフ作品を紹介します。第九軍団のワシ (岩波の愛蔵版 29)The Eagle of the Ninthローズマリー・サトクリフ岩波書店主人公マーカス・フラビウス・アクイラは「ともしびをかかげて」のアクイラの先祖。マーカスの父は第九ヒスパナ軍団の第一大隊長で、悪名高い軍団として有名だったが、最初に指揮した軍団として父はこの軍団を立て直そうと決意していた。そして北方氏族の反乱に赴き、軍団自体が姿を消した。母も死に、マーカスは叔父夫妻の元で育てられる。もともと軍人肌のマーカスは官吏の叔父とうまがあわず、18才で百人隊長になると同時に叔父の家を出る。マーカスが初の大役として、大隊司令官の筆頭百人隊長の任務についていた地で反乱が起き、彼は足を負傷し、カレバの地に住むアクイラ叔父の元に身を寄せた。マーカスは奴隷エスカを買い取り、狼の子をチビと名付けて飼うことにする。隣家に住むコティアという少女はイケニ族だったが、叔母からはローマ風のカミラという名で呼ばれていた。足が元通りにならないマーカスには軍人としての未来はない。絶望したマーカスはローマ帝国の象徴である「第九軍団のワシ」を探したいという司令官の言葉を聞き、志願する。消えた父の行方を探す目的とも一致したからだ。奴隷の身でなくなったエスカも志願し、二人がローマ帝国の象徴である「第九軍団のワシ」を奪い返すためにあえて挑戦した困難な冒険の旅。負傷し、一切の夢と希望を断たれた青年とその友とがどのように心の苦しみを乗り越え再び前途に生きる意味を見い出すかを語る。たいていの場合聞くことができる父の最期の言葉を、マーカスは聞くことができなかった。だから彼は、父と同じ軍人という職業を選ぶ事で生前の彼を知ろうとした。ところが、それも戦闘による負傷でだめになる。ワシ捜索の話は、この先何をすればいいかわからなかったマーカスにとって、やっと見い出した光明だった。これならば、軍人とならなくても、父の生きた道を辿れるではないか!なぜここまで彼の気持ちを言い切れるか?私もまた、父の最期の言葉を聞き損ねた一人であるからだ。私は、幼くして父を亡くし、最期の言葉を理解できなかった。成長し、父の死んだ年令に近付くにつれ、父を知りたいという思いは強くなる一方だった。最期の言葉だけを知りたかったわけではない。彼の性格、考え方をもっと知りたかったのだ。うまく言えないが、そうしないと、父を乗り越え、先に行けない気がした。マーカスにとって、「第九軍団のワシ」は、自分が仕えるローマ帝国の象徴であり、亡き父の軍団の形見の品である以上に、目で見ることのできる、「越えることのできた父」ではなかったのか?「ワシ」を得るために取った行動、知り合った人々、奴隷だったエスカとの間に育まれる友情によって自身も成長した事を確認でき、やっとマーカスは父と同じ人生から解放され、自分独自の生き方を選択する事ができた。 誰もが自分の「第九軍団のワシ」を持っている。そして、それは誇らし気に見せびらかすものではなく、山中に埋められるのが妥当であるかもしれない。第九軍団のワシ / ローズマリー・サトクリフ 【全集・双書】HMV&BOOKS online 1号店
February 2, 2020
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みなさん、こんばんは。二月になりましたね。新型肺炎の蔓延が心配です。今日からイギリスの作家ローズマリー・サトクリフの作品を紹介します。辺境のオオカミFrontier Wolfローズマリー・サトクリフ岩波少年文庫 ローマの百人隊長アレクシオスは反対を押し切って撤退したため、多くの部下を失う。北ブリテン最高司令官の叔父マリウスの配慮により辺境の地、カステッルムの辺境守備隊の指揮官に左遷されたアレクシオスは、辺境のオオカミと呼ばれる部下達と出逢う。皇帝はアレクシオスに選択肢を示す。皇帝の護衛として士官候補生としてのキャリアを摘むか、アタコッティの捕虜達からなる一団をりっぱな軍団に育てるか。アレクシオスは彼等を辺境のオオカミに育てる事を選択。ヒラリオンも彼に従うと表明する。 アレクシオスは「郷に入っては郷に従え」のタイプなので、仲間達とはぎくしゃくしつつも、最終的にはうまくやっていける資質を持っているだろうことは最初から窺える。何せ、「郷に入っては郷に従え」の英語訳は「When in Rome,do as the Romans do.」なのだから。その諺を逆にすれば、アレクシオスの生き方になる。塩野七生さんの「ローマ人の物語9 賢帝の世紀」にはこの物語に登場するハドリアヌスの防壁の事が書かれているので、この本を読んでその成り立ちなり知りたい場合は参考にどうぞ。でも、事前にローマのなにがしかを勉強しておかなくてもこの物語は十分楽しめるので安心を。ぶっちゃけて言えば、苦労知らずの坊ちゃん、アレクシオスが、現場に放り込まれ、荒くれ者達を馴らして(または自分が馴らされて)人間的に成長を遂げていく物語だからだ。またもや塩野さんの著作「ローマ人の物語10」ではローマ人がいかに人や設備のインフラをうまく行ったかについて述べられているが、結果は「うまくいった」にせよ、そこに辿りつくまでには、アレクシオスのような数え切れないローマ人達の苦労としいたげられた非ローマの人々の哀しみもあっただろう歴史書の中では1行か2行でしか綴られないだろう出来事、343年スコットランド低地地方で起こった闘争を元に描かれたフィクション。アレクシオスとヴォダディニ族の族長クーノリクス。かつては民族の違いを越えて心を通いあわせる親友だったのに、運命の皮肉でそれぞれの抱えるもののために戦わなくてはならなくなる。とても残念だ。敵同士ながら相手をどこかで認めあっているという図式は「ケルトの白馬」でも描かれた。彼等の祭りの様子、戦いの様子を描いた文章はテンポもよく、まるで目の前で行われているかのように頭の中に浮かんでくる。辺境のオオカミ (岩波少年文庫) [ ローズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
February 1, 2020
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みなさん、こんばんは。羽生君の外国人記者クラブの会見を見ました。堂々としていてさすがですね。さて、本日はローズマリー・サトクリフの作品を紹介します。イルカの家 The Armourer's Houseローズマリ・サトクリフ サトクリフといえば、やはり『第九軍団のワシ』『銀の枝』『ともしびをかかげて』が有名である。ローマン・ブリテン三部作と呼ばれるこれらの作品の主人公達は、イルカの紋章がついた指輪を次世代に渡してゆく。だから、タイトルに「イルカ」が使われている本作は、てっきりその指輪を受け継いだ子孫が、活躍する物語だと思っていた。 なのに今回は十六世紀のイギリスが舞台で、しかも主人公はタムシンという女の子。これでは冒険譚はあり得まい。 そもそも男の子と女の子は、日々の生活からして違うのだ。両親を亡くしたタムシンは、ロンドンで鎧師をしているギディアン叔父一家と暮らしている。従兄ジャイルズは朝食を済ませると、セント・ポール学校に行き、タムシンと従姉のベアトリクスは家でデボラ叔母に勉強を習う。クラヴィコードの練習があり、最後に刺繍をしながら聖書を読んでもらう。それが終わると買い物。普段の生活が違うのだから、しぜん、男の子と女の子では、「なれるもの=将来」が違ってくる。自分の船を持つタムシンの叔父・マーティンが、彼女に言う通りだ。「きみが男の子だったら、(略)きみをロンドンにやろうなんていう変わったことを思いつかなかっただろうよ。きみはぼくの家に住んで、大人になったら、<冒険のよろこび号>の船長になれたんだ。」しかし男性であっても女性であっても、「なれるもの」に枷はかけられても、「なりたいもの」を望む心には、誰も歯止めをかけられない。一緒に夢を育ててゆける仲間と出会えたなら、尚更だ。衣食住の面倒を見てもらいながらも、タムシンは、「自分は家族の一人ではない。」と疎外感を感じていた。しかし、意外な所で夢を共有できる相手と出会って、お互いに逞しくなってゆく。今までのサトクリフ作品の男性主人公が、同年代の少年達と友情を育みながら、成長していったのと同じようにだ。そして、これもまたサトクリフ作品の特徴の一つだが、歴史上の人物との出会いも果たす。ヘンリー八世と王妃アン・ブリンがグリニッジからロンドンへ、川を昇ってくる所を見る事ができたタムシンは、誰も好意的な目で見なかった王妃に対して、「王妃さま、ばんざい!」と声をかける。他が「悪い王妃」と言おうと、自分の目と心を信じるタムシンは、もう孤独と自信のなさに怯えている、昔の彼女ではない。そこには、自分の強い意志によって、無謀に思われる望みに向かって一歩一歩近づいていった、歴代サトクリフ主人公に勝るとも劣らない、凛としたヒロインがいた。イルカの指輪に託された冒険への飽くなき思いは、時代を越えて、ちゃんと受け継がれていたのである。【楽天ブックスならいつでも送料無料】イルカの家 [ ローズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
February 28, 2018
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みなさん、こんばんは。一年の四分の一が終わってしまいましたね。ところでみなさん、愛って怖いところもありますよね。たとえばこんな話の場合は…。トリスタンとイズーTristan and Iseultローズマリ・サトクリフ沖積舎コーンウォール王マルクの妹と、ロシアンの王リヴァリンとの間に子供が生まれた。しかし母親がその子を生んですぐ死んだため、父親はその子を「悲しみの子=トリスタン」と名付けた。16歳になったトリスタンは、父王に旅に出る許可を求めるのだったが…。本作は、『アーサー王物語』の一逸話として語られる事の多い『トリスタンとイゾルデ』の悲恋を、全く独立した形で描いているので、トリスタンを主人公にした貴種流離譚のイメージが強くなっている。中世ものというと、韻を踏んだ言葉で愛を語るなど、近寄りにくそうな印象が強いが、どうしてどうして、既知の作品との共通点は多い。まず、トリスタンが最初にアイルランドの王族モロルトと対決するシーン。二人は小島で一対一の果たし合いを行うわけだが、その際後からやってきたトリスタンは、自分の乗ってきた船を海に放置する。モロルトが理由を訪ねると、トリスタンはこう答える。「この島に来たのはわれら二人。だが、舟に乗ってもどるのは一人のはず。」どうだろう?孤島・厳流島で、「小次郎、破れたり!」とまず言葉で前哨戦をしかけた宮本武蔵に似ていないだろうか? アーサー王伝説の中に含まれると、ランスロットとギネヴィア王妃の影に隠れてしまいがちだが、トリスタンとイズーもまた、王妃とその夫である王の信頼厚き臣下というカップルだ。男同志の友情を男女の恋愛感情が凌駕し、禁じられた恋路に踏み込む理由として、大概の場合、媚薬が用いられてきた。つまり、媚薬を二人が飲んだ事で、許されぬ恋に落ちてしまったというわけだ。道徳面を厳しく取り締まる教会サイドの制約もあって、さだめし中世時代に付け足されたのだろう。しかしサトクリフはこの説を排し、恋はあくまでも彼等自身の自然な感情によるものとした。そして実際この選択の方が、登場人物達の恋愛感情が生々しい。流行の韓流にも、友情と愛情の板挟みになる、この種の組み合わせは、何度も出てくる。しかし勿論理由に媚薬なんぞ出てこない。それでも人々の共感を得るのは、恋愛とはそもそも理屈で制御できる性質のものではない類いのものである事を、現代人は良く知っているからだ。 クライマックス、瀕死の床で、必死に身を起こそうとするトリスタン。愛する王妃イズーの乗る船を、一目見んがためである。しかし彼の側には、これまでずっと看病してきたもう一人のイズーがいる。彼を深く愛している妻イズーが。それなのに彼は、自分を愛する人の目の前で、自分が愛する人への愛を見せてしまう。この時のイズーの心中は、察するにあまりある。知っていて、知らないふりをずっとしてきた。それなのに、一番知らせて欲しくない時に、一番知らせて欲しくない人に、一番残酷な形で知らされてしまう。この人は私を愛してなぞいなかった、と。一瞬、ほんの一瞬、今までの愛が、別のものに変わる。その危うさ、その脆さ。 トリスタンと二人のイズー。皆それぞれに愛しているのに、その愛は、必ず誰かを傷つける。眼前に浮かぶ風景は、美しいどころか、恐ろしい。でも、人をこんなに変えてしまうものが、愛なのだ。【楽天ブックスならいつでも送料無料】トリスタンとイズー [ ローズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス国産 日本製 コットンリブニットワッチ ニット帽 メンズ レディース ユニセックス
April 1, 2017
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みなさん、こんばんは。エリザベス一世はあまりにも有名なイギリス女王ですね。そんな彼女が生涯愛した男性がいました。その人には妻がいて…という実話です。女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー(上下)Lady in Waiting ロ-ズマリ・サトクリフ ケイト・ブランシェットがエリザベス女王を演じた映画『エリザベス』の続編『エリザベス ゴールデンエイジ』。本作の前半は、まさにこの時代を舞台としており、上巻の表紙はヴァージン・クイーン、エリザベスだ。下巻の表紙がウォルター・ローリーならば、内容はてっきり二者の禁断の恋かと思われるが、さにあらず。本書は黄金時代を極めてからまでの英国を縦糸に、もう一人のエリザベスー女王の女官エリザベスとローリーの恋愛物語を横糸に描いた作品であり、原題の『Lady in Waiting』(待つ女)とは、彼の妻となったベスのことだ。 ウォルター・ローリーは、イケメンで文才もあり、冒険心に燃えている、そして映画に描かれているように女王の寵愛を一身に受ける、とても魅力的な男性だ。そんな男性は、家族との安定した暮らしになど、とどまってなどいない。「ベスを抱きしめながらも、その向こうにあるものをもぎとろうと、手をさしのべ」るローリーは、永遠の夢追いびとで、少年時代夢見た黄金郷(エル・ドラド)を求めて、何度も航海に出る。一方ベスは「楽しみの果実は一時に少しずつ、自分のせいで誰も傷つかないように気づかいながら、そっと優しくもぎとる」控えめなタイプだ。 だが、彼女はただ大人しいだけの女性ではない。女王陛下の嫉妬を買っても、誰もが恐れるロンドン塔に送られても、ベスはローリーに「あなたの生き方を変えてくれ」とはただの一度も言わず、ひたすら夫を支え続ける。「ローリーがローリーである事」を誰よりも-おそらくは女王よりも-愛し認めていた懐の広い女性だ。彼女がたった一度ローリーを責めるのは、自分の分身である息子を失った時だけだが、そんな時でもお互いへの愛は揺るがない。夢を追う夫を待つ妻、どんなにさまよっても一部は君の元にあると妻に告げる夫。夫婦の数だけ、二人だけにしかわからない愛の形があるのかもしれない、と思わせる、サトクリフ若き日の歴史小説。【楽天ブックスならいつでも送料無料】女王エリザベスと寵臣ウォルタ-・ロ-リ-(上) [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】女王エリザベスと寵臣ウォルタ-・ロ-リ-(下) [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
February 12, 2017
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みなさん、こんばんは。今日はまさかのイギリスEU離脱にびっくりしました。誇り高き英国なんですね。円高が進んでどこまで行くのだろうと思いました。こちらもイギリスが舞台の小説です。ケルトの白馬Sun Horse,Moon Horseローズマリ・サトクリフほるぷ出版オックスフォードまでは列車で行ったけれど、そこから30キロ離れたアフィントンには、行った事がない。訳者後書きを読むと、車でしか行かれないような所らしい。ならば、そこを通る観光バスでもあるかと以前集めたパンフレットを見たが、その名はなかった。観光地としてもメジャーではない、辺鄙な所なのだろう。辺鄙。巨大な白馬の地上絵が、二千年もの年月を生き残った理由の第一は、それだろう。交通の便が悪い所には、産業革命の際に工場が建てられる事はない。戦争中の空襲でも、破壊すべき建物もない。しかし、もっと以前の時代、槍や剣を持った武将達は、なぜここに城を作らなかった? それよりも、天変地異は、どうしてこの絵を避けたのか? 紀元前1世紀頃、イケニ族の族長ティガナンの末息子として生まれたが、先住民の血が流れているしるしの褐色の肌をしている少年、ルブリン。何らかのハンデのために、仲間から疎外される少年は、サトクリフ作品に良く登場する。彼等は大抵の場合、ハンデをものともしない行為によって皆の尊敬を集める。そして、仲間として認められ、真の友情を築く。ところが、ルブリンの場合は違う。狩りをして一人前とされる部族の中で、絵を書く事が好きなルブリンは、自分が本当に好きな絵への想いを、親友で義弟のダラとさえ、共有できない。そして、彼の力量と想いを唯一理解し得た存在は、彼の父や部族を殺した、いわば仇であるアトレバテース族のクラドック。部族の中の『黒い子犬』呼ばわりされていた彼は、戦の後、まずクラドックから部族の代表と見なされる。一方、捕えられた同胞は、ルブリンを敵に寝返った男と見る。敵から受ける尊敬と共感。味方から受ける敵意と軽蔑。時に入れかわる、このねじれた関係が、ルブリンを一層の孤独へと追いやり、そして一方で、かつて見た白馬への想いが純化されてゆく。研ぎすまされた2つの想いが頂点に達するクライマックスに、ルブリンの抱く喜びと悲しみ、二つの思いがぶつかる。 あ、この力だ。この力こそが、白馬に命を与えたのだ。 ただ一頭、力強く前足を大きく踏み出して、どこまでも駆けてゆきそうに見える白馬。自由を得る代わりに孤独を引き受けた馬は、褐色の肌をした少年と逢う。我々の目には見えないけれど、同じ魂を持つ少年と馬は、きっと今もあの緑の丘を、共に駆けているに違いない。【楽天ブックスならいつでも送料無料】ケルトの白馬 [ ローズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
June 25, 2016
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みなさん、こんばんは。選挙始まりましたね。それにしても舛添さんの出張費凄かったですね。他人のお金だと思ってまあ使い放題だこと。一般市民とは感覚が違うのでしょうか。さて、こちらも一般人とは感覚が違う伝説の英雄の話です。ケルト神話 炎の戦士クーフリン ケルト神話The Hound of Ulsterローズマリー・サトクリフ(著者),灰島かり(訳者) 太古のむかし、太陽神ルグとアルスター王の一族の姫デヒテラとのあいだに生まれた少年は、クランの猛犬-クーフリン-と呼ばれる。勇者ぞろいの赤枝戦士団の中で、『アルスターの猛犬』と呼ばれ、そして「アイルランド一の戦士」とうたわれた彼の辿る数奇な運命。灰島かり訳。「黄金の騎士フィン・マックール」と対を成すケルト神話の英雄譚。少年の頃に運命を予言される事、親友と相争う羽目になる事、人間と神の血を引く事、そして外見は少女と見まごう美しさながら、自分でも持て余す程の凄まじい破壊力を秘めている所は、竹宮恵子さんの漫画「イズァローン伝説」の主人公・ティオキア王子を思わせる。 異なる所は、世界全てを相手にするティオキアに対し、舞台がアイルランドに限定される事と、自らの葛藤よりも、仕える王への忠誠心や名誉の方に重きを置く点。ただ、自ら招いた友の死に際しては、彼は唯一身もはりさけんばかりに慟哭する。 「この娘のせいで多くの戦士が死ぬ」と予言された美女ディアドラの逸話は、王の婚約者に恋するという点で「アーサー王物語」の「トリスタンとイズー」、予言を怖れ、成長するまで他人との接触を断って育つ点ではグリム童話の「眠り姫」、クーフリンが庶子と対決する構図は、後の「アーサー王物語」のアーサーとモルドレッドの関係等々、後の物語への萌芽がいろいろ見て取れた。 また、キャラクター自体においても、来る日も来る日も一騎討ちを続け、川の浅瀬をたった一人で守り続けるクーフリンの姿は、長坂橋で仁王立ちする「三国志」の張飛と重なり、アルスターと争う強引なメーブ女王は、同じサトクリフ作品の「闇の女王に捧げる歌」の主人公・ブーディカと共通の匂いを持っていた。友との友情、犬、馬などサトクリフ作品お馴染みの要素が登場しても、いつもの、主人公の気持ちに寄り添った読み方はできなかった。それよりも、各地の昔話との繋がりを感じ取りながら、神話の中の神達のような超越した存在として、遠くから眺めるようなつもりで読んだ。【中古】 ケルト神話 炎の戦士クーフリン ケルト神話 /ローズマリー・サトクリフ(著者),灰島かり(訳者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店
June 23, 2016
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みなさん、こんにちは。翻訳者の灰島かりさんが亡くなりました。彼女が担当した書籍を紹介します。夜明けの風Dawn Windローズマリー・サトクリフ「イルカの紋章を彫った指輪」を持つ『ともしびをかかげて』のアクイラの末裔・少年オウェインを襲った風、戦争。この風は、部族、家族、生きてゆく道すら奪った。そんなお先真っ暗状態の彼の最初の友となるのは、サトクリフ作品の常として登場する忠実な犬、ドッグ。『ケルトとローマの息子』のカノグと征服者であるサクソン人に仕えるオウェインとは、敵地の中に一人という境遇が似通っているが、主人公と立場や民族を越えて友情を育む同世代の友人がいない点が従来作品と異なる。部族の違う少年は登場するが、オウェインとは年齢差があり過ぎて、友情を育むというより彼の保護者的立場だ。友情を育む相手はいるが、ブリトン公使エイノン・ヘンやサクソンの雇い主など、いずれも年が離れており、同年代のように対等に体と心をぶつけあう事はできない。彼に吹きつける世間の風は、限りなく冷たい。 しかし風向きが変わるという言葉がある。ブリトン公使エイノン・ヘンがオウェインに言う。「アルトスが死んで以来、嵐の夜をのぞきこむような思いがあする。見えるのは、はるか遠くでかすかにまたたく、最後の勇敢なともしびだけだ。」そしてオウェインが、制約で結ばれたのではないのに、瀕死のサクソン人の頼みを聞き、自由を犠牲にした事を受けて、エイノンは「ずっと先でだが、別のともしびを灯すことになるかもしれぬと、わしは楽しみに待っていたい」と言う。 憎しみと恨みが渦巻いて荒れ狂った嵐の夜を越えて、征服者と被征服者の間に信頼の絆がうまれる夜明け。オウェインを見守るエイノンは彼の行動に新たな時代の幕開けを感じ取る。 最初のともしびは、ブリトン族の命のまたたき。次のともしびは部族を越えた友情の証。第一のともしびをかかげたアクイラの末裔であるオウェインが、部族の異なる者どうしを繋ぐ第二のともしびをかかげる存在として新たな時代への橋渡しを果たす。絶えぬ部族間の争いがある一方で、異なる人々同志の絆が生まれる希望のともしびが、常に存在してきた。我々は、たとえこの先争いが絶えなくとも、常に新たな夜明けを迎え、ともしびを次世代に受け継がなければならない。夜明けの風 [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]価格:1944円(税込、送料無料)
June 19, 2016
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みなさん、こんばんは。職場が変わって最初の週は何かと疲れます…。やっていけるのだろうか。さて、こちらはローズマリー・サトクリフの小説です。王のしるし(上)(下)The Mark of The Horse Lordロ-ズマリ・サトクリフ葡萄酒の輸入商と奴隷の母との間に生まれたフィドルズ。闘技場で4年間戦い続けた彼はゴール人と闘い、自由を手にする。しかし喧嘩をしたフィドルズは相手を刺し、牢に入れられる。フィドルズの死を偽装した謎の男は、顔がそっくりな王の身替わりになれと言う。フィドルズは申し出を受けるが。 萩尾望都漫画「偽王」を思い出した。ただし、王となる男のキャラクターはまるで正反対。「偽王」では、王としての生活を謳歌した後、今は尾羽打ち枯らした状態で主人公の前に登場する。王の果たす一つの役割において、この物語と共通点がある。 また、佐伯かよの漫画「あきひ」の中に「山水化」という一編がある。本物よりも出来がいい贋作「岐阜出来」を収集する男が、家族の絵を書いて欲しいと依頼する物語。この男の秘密が明かされるクライマックスに、彼の妻が告げる言葉は、そのまま本作のフィドルズにかけたい言葉。 彼は冒頭で、自分の命か、さもなければ他人(友人)の命かの選択を迫られる。馬よりも価値がない男として売られてから、感情をすりへらしていくことで生きて来たフィドルズ。そんな彼が、わずかに持っていた心は、友人だった相手を殺さなければ死ぬという状況では、邪魔でしかない。だから彼は、ここで心を殺してしまう。自分の一部を。 なぜ彼は王の身替わりを引き受けたのか?これが最初は納得いかなかった。嘘がばれてしまえば、命はない。断れば、幽閉されるかもしれないが、少なくとも命はある。私なら、迷うことなく自分の命を選ぶ。だが彼は、身体は生きていても、心は死んでいた。だから申し出を受けられたのだと思った。そしてさらに彼の背中を押したのは、本当の王マイターのこの言葉だったのではないかと思う。「神たちは人間の世に起こる出来事を見て嘲り笑うのだろうな?」彼にあるのは自分に降りかかった運命、そして運命を与えたもうた神に対する怒り。その思いは、フィドルズも同じ。自分の命とひきかえに親友と闘わせる運命を自分に与えた神に、そして運命に、彼もまた怒っていた。 おそらく、王のしるしとなる入れ墨は、皆に見せるためだけにしたのではない。フィドルズが見せたい相手は別にあった。その相手とは運命だといったら、考え過ぎだろうか。運命よ、見ているか。俺はここにいる。どんな困難がふりかかろうと、俺は運命に勝ってみせる。 そしてまた、著者サトクリフにとっても、この作品は運命に見せるしるしなのだと思う。自身も不随の身にあった彼女が、自分の生きているあかしとして、自分が運命と闘っているしるしとして、この物語を書いたのだ。運命と闘う人の額には、自分と運命にしかわからない、あるしるしがついている。【楽天ブックスならいつでも送料無料】王のしるし(上) [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】王のしるし(下) [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
March 17, 2016
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みなさん、こんばんは。随分夜寒くなってきましたね。今朝起きた時に霧が深くてびっくりしました。みなさんの所ではいかがですか?さて今日はミステリからちょっと離れてイギリスのYA小説を紹介します。アネイリンの歌Shining Companyロ-ズマリ・サトクリフ 紀元600年。ケルト民族のブリトン人やピクト人は、北欧の ゲルマン民族アングル人やサクソン人に、ブリテン島支配を広げられていった。 ブリテン島北部にあるブリトン人の王国ゴドディンのマナゾグ王は、 彼の氏族の首都ダン・エイディン(エディンバラ)に300人の騎士を召集。 侵略してきたサクソン人に対する戦争を開始した。 サトクリフ作品では、歴史上の事件や戦いの中で、主人公の少年が 成長を遂げる。 本書の主人公は、王子ゴルシンの従者として戦いに赴いた少年プロスパー。 だとすれば、当然彼に焦点を当てたドラマ展開が予想されるが、前半の 焦点は同胞隊(原題=Shining Company)に当てられて いるようだ。同胞隊とは、詩人アネイリンが歌った「ゴドディン」 に登場する騎士達の事だ。 プロスパーは、詩人が見ていなかった部分での騎士達を見ていた 傍観者的な存在として、作者に必要とされただけではないのか。 そう考えてしまうほどに、彼の存在感が希薄に感じられる。 プロスパー個人の悩みや楽しみが、全く描かれていない 訳ではないが、それよりも、隊を率いる王の庶子に傾倒し、 ある時は、ライバル関係にある親衛隊と競いあい、 またある時は、他国の王に披露するため勇気試しに挑む少年達の方が、 段違いに強い印象を残すからだ。まるで、両親や身近な大人達と離れ、 夏期講習にやって来た学生か、映映画「白い嵐」に登場する少年達 のようで、とても身近な存在に思える。 おそらくそれは、オリジナルの詩「ゴドディン」に、 肉付けをしたサトクリフの文章力に負う所が大きいのだろう。 ところが、後半を読んで、サトクリフが少年達の大判振るまいをした理由が わかった。 彼等は、戦闘に参加し、皆姿を消してしまうのだ。詩に謳われた カナンただ一人を残して。0.3%の生存率の戦い。どれほど壮絶な戦い だったことか。 サトクリフの描いた生前の彼等の姿が思い出され、戦争の酷さと 理不尽さに対する怒りが、俄然強くなる。恐らく、生き残った一人、 カナンと従者プロスパー、詩人アネイリンらの思いも同じだっただろう。 だが、苦しみはこれだけで終わらない。 サトクリフは、この戦闘の結果が、ある個人の思惑に左右されたものだった という更に苛酷な事実を突きつける。とことんまで暗闇に落ちた彼等が、 自分一人で、心に吹き荒れる嵐と戦わなければならない状況に置かれた時、 やっと本来の『主人公の成長』というテーマに辿り着く。 随分と凝った作り方をしている。 現在のエディンバラには、かつての王国を偲ばせる遺跡がない。 もちろん、300人の彼等の墓碑も見当たらない。 けれど彼等は、きっと忘れられる事はない。 彼等の事は、言葉によって、これからも語り伝えられていくだろう。 何百年も前のアネイリンの詩がサトクリフに届き、彼女が新たな 物語を紡ぎ出し、21世紀に生きる私達に届いたように。【楽天ブックスならいつでも送料無料】アネイリンの歌 [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス
November 13, 2014
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みなさん、こんばんは。ウクライナでの停戦合意が成って安心しました。だれが戦争を喜ぶでしょうか。しかし世界で戦争が無くなる日が早く来てほしいものです。さて、今回はイギリスの作家がティーン向けに書いた小説を紹介します。ケルトとローマの息子Outcastローズマリーサトクリフ(著者),灰島かり(訳者)ケルトの戦士として育った少年ベリックは、実は拾われたローマ人の子どもだった。不作と疫病の年、その原因として部族を追放され、ローマへと向かった少年を待っていた運命は…?サトクリフ作品には主人公と特別な絆で繋がれる犬達が登場する。「太陽の戦士」「第九軍団のワシ」「剣の歌」(以下登場するのは全てサトクリフ作品)等々。本作でもゲラート、雌犬カノグが登場し、人間達にひどい目にあわされた主人公を慰める。犬は、相手を民族や髪の色で見たりしない、自分を好きか、自分が好きか、それだけだ。人間よりよっぽどその人本人を見抜く力があるのかもしれない。なのに、人間は何でややこしいのだろう。その人本人より、髪の色や肌の色など外側を見ようとするのだろう。それは、テロ後の世界にも言えることだ。私には、災疫が昨年のテロ、主人公ベリックがテロリストではないのに爆撃を受けたアフガン人に重なって見えた。まるでサトクリフが死後のテロ事件を予測していたかのような展開だが、人間は、社会はそう簡単に変われないという事なのだろう。 ベリックが自分の立場を仲間との戦いで勝ち取り、ケルトの戦士として認められてゆく過程はサトクリフ作品「太陽の戦士」を思い出す。しかし、そうまでして得た自分の立場は、ローマ人という外側の事実の前に、何の意味も持たなくなってしまう。同じ「ケルト」をタイトルに持つ「ケルトの白馬」で先住民の血が流れている証拠の褐色の肌を持つ主人公の少年が自らの部族から疎外されるのと全く同じだ。そしてサトクリフは「太陽の戦士」同様主人公にたやすく救いの手を差し伸べない。映画「ベン・ハー」もかくやと思うほどの苛酷な運命を授けておいて、彼女は自力での救済を課する。自分の生まれに関係なく、自分の想いで自分の場所を見つけ、それを戦って勝ち取れと。著者が主人公に挑んでいる。それほどの激しさを、私は本書に感じた。奴隷船の中での暮らしで次第に神経が麻痺してゆく様子と、仲間イアソンとの交情は「王のしるし」でフィドルズが拳闘士として過ごしてきた日々と唯一の友人、ボーティマックスとの関係を思わせる。また、映画「真夜中のカーボーイ」でのジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンとも見える。【中古】 ケルトとローマの息子 /ローズマリーサトクリフ(著者),灰島かり(訳者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店★楽天ランキングクリーム部門第1位★【大人気!くすみ・美肌に】美魔女愛用の紫根(シコン)エ...価格:4,104円(税込、送料込)
September 10, 2014
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みなさん、こんばんは。ワールドカップは韓国とブラジルが引き分けでしたね。今日はちょっと雨が降りました。今回はローズマリー・サトクリフの若者向け歴史小説を紹介します。『ともしびをかかげて』 ローズマリー・サトクリフ / 岩波書店【送料無料】ともしびをかかげて(上) [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]【楽天ブックスなら送料無料】ともしびをかかげて(下) [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックスローマの歴史に埋もれてきた、数限り無い名も亡き人々を主人公に取り上げてきたローマン・ブリテン三部作の3作目。猪熊葉子訳。1959年カーネギー賞受賞作品。文庫化が始まった塩野氏「ローマ人の物語」ではいまだ隆盛を誇っているローマ帝国だが、やはり帝国は大きすぎ、統治にほころびが生じて来る。ローマ人は他民族の支配に、結婚を奨励した。そのため統治された土地に住む者は自分の国を2つ持つことに。2つの国、2つの家族。物語の登場人物達はどちらも選べず苦悩する。主人公マーカス・フラビウス・アクイラは、ちょうどそんな狭間の時代に生を受けた。ローマが450年もの歴史に終止符をうち、軍団をブリテンから撤収することになる。軍団に加わってローマに行くか、家族のいるブリテンにとどまるか。彼は家族を選び脱走するが、軍団を見送るようにともしびを掲げる。ここでも割り切れない彼の心が表れている。その後父を殺され、妹フラビアを攫われ、自らも奴隷となるというまことに波乱万丈の人生を送る。偶然妹と再会し、生きていた事を喜ぶが、次に自分達を襲った部族の男の子を生んだ彼女に憤る。妹までが敵となったかのように思えて、彼女の苦悩にまで考えが至らない。彼はまだ若かった。しかし、時巡り、アクイラも結婚し、一児の父となる。妻ネスの部族とアクイラ達が戦う事態がやって来る。彼女は今や敵と結婚した事になるのだが、「自分の部族に戻らず、夫や息子と共にいる」と答える。その時やっとアクイラは妻と同じ立場にある妹の心情に思いをはせる事ができた。その後アクイラは戦場で思いがけぬ出会いをし、ある選択をする。人間としてすばらしいその行為は、仲間達にとっては裏切りに当たるが、後のアーサー王を思わせるブリテンの若き指導者アンブロシウス・オウレリアヌスは正直に告白した彼を誉める。誉める側も、告白する側も、素晴らしい。幾人もの人が、戦争という非常事態に様々な選択を迫られながら、歴史の中に埋もれていった。彼等の喜びと悲しみが、歴史という名の灯火となって、現代から未来へと生きる我々を照らし続ける。過去の過ちを忘れる事のないように。
June 19, 2014
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あっという間に週末ですね。苺がもう最後の方で、すいかやキウイ、メロンなどがスーパーに出始めました。季節の移り変わりを感じます。さて、こちらはギリシア神話で有名なトロイア戦争のその後の話です。【送料無料】オデュッセウスの冒険 [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックスオデュッセウスの冒険 ギリシア神話の物語下 ―サトクリフ・オリジナル〈5〉The Wanderings of Odysseus-The Story of The Odysseyローズマリー・サトクリフ 映画『2001年宇宙の旅』の英語題名は「2001:A Space Odyssey」である。このOdysseyの元になった男性が本編の主人公、オデュッセウスだ。 この作品の上巻にあたる『トロイアの黒い船団』では、有名なトロイの木馬をはじめとして、彼の戦術と見込みが悉く当たる。ちなみに女装していたアキレウスを見つけたのもこの人だ。知将で勇猛果敢という全ての栄誉を欲しいままにした彼であったが、一つ目巨人キュクロプスの目を潰してしまったことから故郷への長い旅が始まる。 ここでオデュッセウスは、知将の名を疑うようなミスを犯す。なんとキュクロプスの目を潰した時に、自分の本名を名乗ってしまう!まあ、ちょっといい気になってたんでしょうな。戦国時代の武将じゃあるまいし。目を潰された息子は父親に「いじめられた!」と言いつけたが、その父親がゼウスの弟で海神ポセイドンだったからさあ大変。海路でイタケに戻らなければならないのに、その海全て敵に回すことになってしまう。歌声で人々を海に引きずり込もうとするセイレーン、人間を動物に変えてしまう魔女キルケ、怪物カリュプディスなど、次々と襲いかかる災厄で部下を失い、彼はたった一人になる。 ところが彼は孤独を楽しんでいたわけではない。女性によくモテるのだ。恐ろしげな魔女キルケも、彼を5年間島に留めておいたニンフのカリュプソも、そしてアルキノオスの国の王女ナウシカも、彼にメロメロで「ずっとそばにいて欲しい」と尽くす。ナウシカを除いて他の二人とはプラトニックではない。妻が故郷で求婚者に居座られて困っているにも関わらず、結構いい扱いを受けている所が「何なのそれ?」と思ってしまう。 さて、モテエピソードは少しいまいましいが、ようやく故郷に帰ってきたオデュッセウスを彼の飼い犬アルゴスが見抜くというエピソードがいい。犬が好きなサトクリフだからこのエピソードは省かなかったのだろう。息子でさえ最初は信じられなかったオデュッセウスを、待ち続けた犬は一目で見抜き、体いっぱいで喜びの表現をした後に息絶える。この後にオデュッセウスによるリベンジ―血なまぐさい求婚者殺戮シーンがあるだけに、さりげない逸話ではあるが、心温まるひとときを与えてくれる。
May 17, 2014
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みなさん、こんにちは。母の日をいかがお過ごしですか?今日はこの本を紹介します。ギリシア神話の世界に興味がある方は美しい挿絵も魅力ですのでぜひご一読下さいね。【楽天ブックスならいつでも送料無料】トロイアの黒い船団 [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス トロイアの黒い船団Black Shipd Before Troy-The Story of The Iliad ロ-ズマリ・サトクリフ ホメロスの『イーリアス』に名高いトロイア戦争のそもそもの始まりは、スリーピング・ビューティののオープニングと似ている。とある人間と女神との結婚式で一人だけ招かれなかった不和の神エリスが当の式に現れて“最も美しき女神に”と書かれた黄金のリンゴを投げ入れる。そこで名乗りを上げたのがアテネ、ヘラ、アフロディーテ。神々の間で決着がつかなかったため、とうとう羊飼いだが実はトロイア王子のパリスが最も美しき女神を決めることになった。そして女神達はそれぞれ自己アピールのみにとどまらず、ヘラは「世界を支配する力=権力と富」アテネは「いかなる戦争にも勝利を得る力=知力」を差し出すとアプローチ。結局最も美しい美女を与えると約束したアフロディーテが勝つ。若いパリスだから実質的な利を選んだが、もし彼が壮年であれば富や権力を選んだかもしれない。そう考えると、運命のいたずらは恐ろしい。但し、アフロディーテも間が抜けているといえば抜けていて、最も美しい女性ヘレネは既にスパルタ王メネラオスの妻であり、約束だけはしたものの、そこから巻き起こる騒動になど全く配慮はしていない取り決めだ。彼女が愛を象徴するものであるとすれば、かほどに恋愛は自己中心的かつ人騒がせ、そして厄介なものと言えよう。 さて、こうして始まったトロイア戦争は映画『トロイ』でも描かれたように知将、猛将が多数活躍する一大絵巻であるが、サトクリフは全てのエピソードを描くということはせず、主要人物にのみスポットを当てて物語をコンパクトにまとめている。 その中の一人アキレウスは、ご存じの通りアキレス腱の元になる人物である箇所のみが不死ではないという弱点を持っている。そのため母親が幼い彼を女装させようとしたり、彼がギリシアの王と不和になった時には率先して身を隠すよう進めたりしているが、最後には戦場に赴き弱点を突かれて亡くなる。どんなに運命を変えようとしても抗いようのない人間の定めを象徴しているようで哀れでもあり恐ろしくもある。また、それぞれに加勢している神々が自分方が劣勢になると、相手方の心の中にある考えを吹きこんだり勝手にキーになる人を殺してしまったりとフェアプレイ精神まるでなし。ギリシアの神々の自己中心っぷりには呆れるばかりだ。そもそも誰が美しいかという難しい判断を、神々の間で決定していればこのような戦争は起きなかったのに。映画界でも活躍しているアラン・リーの挿画(ケイト・グリーナウェイ賞受賞)が素晴らしい。
May 11, 2014
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今年はエリザベス女王即位60周年式典とオリンピックがダブル開催ですね。そりゃあイギリスは盛り上がることでしょう。さて、今回はイギリスの作家ローズマリー・サトクリフの小説を紹介します。運命の騎士 岩波少年文庫 / ローズマリ・サトクリフ 【全集・双書】HMV ローソンホットステーション R『運命の騎士』 ローズマリー・サトクリフ / 岩波書店Knight's Fee猪熊葉子訳。 ノルマン人のブリテン征服直後の時代を背景に、犬飼いの孤児ランダルの数奇な運命を描く。これまでの作品と大きく異なるのは、主人公が「むしゃくしゃして誰でもいいから蹴飛ばしたいと思っている人に蹴飛ばされるために存在」していた点だ。「ケルトの白馬」こそ、途中で主人公が奴隷となるが、それまでは部族の長の息子だった。著者の他作品「辺境のオオカミ」「ともしびをかかげて」「第九軍団のワシ」「剣の歌」の主人公もしかり。「王のしるし」と本作の主人公ランダルが、支配される者として登場する。どちらも運命のいたずらによって立場が変わるのだが。ランダルは、最初から何も望んでいなかった。生きる事以外は。「どこかに自分にふさわしい場所がある。」と考える事さえなかった。きっと何度も期待しては裏切られてきたから、考えるのをやめたのだろう。しかし、領主の孫ベービスとの間に友情を育み、彼等の住むディーンの領地を愛するようになる。「これこそ自分のいるべき場所」と思える所を見つけ、守りたいと強く願うようになる。守るべきものを持った彼は強くなった。もうぶたれるのを恐れる子供ではなくなっていた。国王にコネのある貴族を脅迫してのけさえするのだ。このくだりは少年少女が読むと痛快に思うところではないだろうか。自分とそう年の変わらない少年が、大人をぎゃふんといわせるのだ。貴族付きの音楽家エルルアン、彼がランダルを託したディーンの貴族ダグイヨン、その孫ベービスの養い親アンクレットら個性的な人々に出会い、愛されてゆくことによって、彼は賢く、勇気ある若者へと見事な成長を遂げる。この物語には様々な民族が登場する。ランダル自身もサクソン人の母とブリタニー人の父との間に生まれ、アンクレットは古くからイギリスに住む民族である事が占いや医術によって示唆される。エベラードやベービスは王に付き従ってきた征服者ノルマン人の末裔であり、領民はもとからこの土地に住んでいた民族。価値観も、顔形も違っている人々が、ディーンの地で共に暮らす事によって、絆ができる。ディーンは原題である、単なる「Knight's Fee」(騎士の領地)以上の特別な土地-自分の場所-になってゆくのだ、異なる民族の間で。国王の息子達が、王位を巡って争うのと対照的である。王族でもない異なる民族の間に生まれたランダルが、今回主人公に据えられた真の理由はこの台詞の中にある。エベラードのイギリスの未来像の予言「いつか、ノルマン人もサクソン人もなくなって、ただイギリス人だけがあるようになる」。
June 4, 2012
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みなさん、こんにちは。体調が悪く伏せっています。寝ているしかないので読書にいそしんでますがローズマリー・サトクリフという作家をご存じでしょうか。今度『第九軍団のワシ』という作品が映画化されます。彼女の遺作である『剣の歌』を紹介します。【送料無料】剣の歌楽天ブックス『剣の歌 ヴァイキングの物語―サトクリフ・オリジナル』 ローズマリ サトクリフ,Rosemary Sutcliff,山本 史郎 / 原書房Sword Songサトクリフ・オリジナル第6巻にしてサトクリフの遺作。山本史郎訳。9世紀。ヴァイキングの時代が始まった時代。ビャルニ・シグルドソンは半年前に故郷のノルウェーから兄を頼ってヴァイキングの入植地にやって来る。村の族長のお触れを忘れて、自分の飼っている雌犬を蹴ったキリスト教の修道士の老人を懲らしめようとした所、力余って殺してしまう。ビャルニは族長から剣を一本渡され「それを持ってどこにでも行くがいい、5年間は戻ってくるな」と言われる。ここまでのくだりで思い付くのは旧約聖書の「カインとアベル」新約聖書の「放蕩息子の帰還」。途中で飼い犬フギンがビャルニの代わりに罰を受ける場面ではC・S・ルイスの「ライオンと魔女」、ひいてはキリストの磔をも想起させます。キリスト教との関連を強く感じた。前作「辺境のオオカミ」でも描かれた、「成長する若者」というテーマは、本書では最初と最後、同じようなシチュエーションに主人公を遭遇させ、その時にとった行動を通じて『成長』を感じさせる描かれ方になっている。立場の違った者どうしの友情も彼女の著作に多く見られる。「辺境のオオカミ」で皮肉な結果になった友情は、今回は保たれたまま別れるので安心。途中ビャルニの雇い主が暗殺される。彼の死の様子が事実に色づけされ、美しい詩で語られるシーンが出てくる。今に伝わる英雄達の詩は、このようにして伝えられたのか、と今まさに詩が作られていく様子を眼前で見ている思いだった。この暗殺には続きがあり、すわ部族どうしの争いか、という事態にまで緊迫するのだが、暗殺された男の母親により、争いは回避される。ある意味、赦すのだ。赦しもまた、本書のテーマの一つである。おそらく、成長するということはより多くの事を許せるようになるということなのだろう。テーマをいろいろ追求するも良し、若者の恋と冒険の物語として楽しむも良し。いろいろな読み方ができます。
March 28, 2012
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おはようございます。昨日は夜8時まで仕事で、帰宅したのは9時過ぎ。お腹が空きすぎて、小豆きんつばだけで眠ってしまいました。そういえば昔イベントやっていた頃も、ぎりぎりの日程まで決まらなかった時に、9時近くまで残業していたなぁ。ヴァイキングの誓いBlood Feudローズマリー・サトクリフほるぷ出版孤児となり、さらにヴァイキングにさらわれ、奴隷として売られるイギリスの少年ジェスティンが本作の主人公。「ケルトとローマの息子」に続いて、家族との縁が薄く、安住の地を持たない運命を担っている。そしてある時、奴隷として彼を買った主人トーモッドと強い絆で結ばれる。 物語中、かなり早い段階で、サトクリフ作品に繰り返し出てくるテーマ1.自分の居場所探し2.異なる階級/国の人との友情は成立するか?が登場する。 第一のテーマ「自分探し」の舞台としてサトクリフが選んだのは、アイルランド、ユトランド半島、ロシア、黒海、そしてビザンティン帝国の都コンスタンティノープルという広大な地域。舞台となる10世紀のヨーロッパに暮らす人々の感覚からすれば、「世界中を旅した」と言ってもいい感覚ではないだろうか。第二のテーマに対する答えは、ジェスティン&トーモッドの間で早い時期に提示されてしまう。これでは全編もたないので、サトクリフは後半に向けて、両名と複雑な関係にある一人の男、アーンナスを登場させ、更に問う。3.憎しみを乗り越えて、絆は築けるのか?テロを予測していたわけでもないサトクリフが、絶えず著作に登場させているこの問いに、未来を生きる我々は、どう答えを返すのか。 キエフ公国の大公カーン・ウラディミールや、皇帝直属の親衛隊、ヴァリャーギ親衛隊ら実在の登場人物を贅沢に誇り高く優しい少年ジェスティンのオデュッセイ。【中古】 ヴァイキングの誓い /ローズマリー・サトクリフ(著者),金原瑞人(訳者),久慈美貴(訳者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店
December 3, 2011
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