2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全9件 (9件中 1-9件目)
1

夏を想わせる鮮やかな日差しのなか、稲佐の浜に戻り、シーカヤックを浜に揚げた。 これからクルマの回収だ。荷物をいったん空にしたカヤックを、浜の一番上まで運び、ふたたび荷物をパッキング。 愛用のパドル、『アークティックウインド』だけは、パドルケースに入れて別にする。 クルマの回収に行くとき、キャンプ道具とカヤックは置いていくのだが、このパドルだけは持ち運ぶようにしているのだ。***私のシーカヤック旅に不可欠となった、どんな状況でも頼りになる手に馴染んだパドル。 数年前に、瀬戸内横断隊のメンバーでもある友人から、使っていないからということでアークティックウインドを中古で分けてもらうことができ、現在2組所有しているのだが、かなり前に製造中止となっており、ネットのオークションでも見かけることはないので、もう手に入れることはできない。かといってコレクターではないので、実際に旅に持っていき、大切な相棒として使い込んでいる。***水で体を拭き、着替えて、出雲大社の方に向かって歩き出す。 途中、出雲の阿国のお墓があるという観光案内板を見つけ、お参りした。出雲大社の横にあるバス停でバスに乗り、30分ほどで出雲市駅。 時刻表を確認すると、次の列車まで1時間程ある。日本海北上編では、これくらいの待ち時間には慣れているのだが、もしかしたらと思い、バス停をチェック。 すると、15分程後に、大田まで行くバスがあるようだ。 ラッキー!***バスが到着し、運転席横にある一番前の席に陣取る。始発でもある出雲市駅からバスに乗り込んだのは、私ともう一人だけ。 その人も、近くのバス停で降りたため、途中からは私一人の貸し切り状態であった。信号待ちで、『すみません 多岐の道の駅のまだ向こうにある、海のそばの公園まで行きたいんですが、どこのバス停で降りればいいですかねー?』と聞いてみた。『うーん、そんな公園があったかなあ』 『小田のまだ向こうなんですが』 『よくわからないですねえ』 『そうですか、では、小田で降りて歩いて行きます ありがとうございました』ということで、しばし車窓の風景を楽しんでいた。しばらくすると、『釣り?』と聞かれた。 パドルケースを持っているので、いつも釣りと間違えられるのだ。『いいえ、今朝その公園からシーカヤックというカヌーを漕いで、日御碕まで行って来たんですよ これから、クルマを回収です』 『本当は、日御碕を越えたかったんですが、風と波が凄くてあきらめ、稲佐の浜まで引き返しました』『今日は、途中から北東の風になったからなあ』 お! すごいレスポンス。 よく風を見ているなあ、と思っていると、『私も今晩から友達のフネで釣りに行こうと思っていたんだけど、北東の風になったんで止めることにしたんだ』『そうですか、それは残念でしたねえ』 『今は何が釣れるんですか?』『今は鯵 友達が明日休みだから、私も休みを取ったんだけどねえ 夜通し釣りを楽しもうと思っていたんだけど、まあ風や波には勝てんから仕方がないよー』 さすが、厳しい表情を見せる日本海で、本当に遊びを楽しんでいる、ものの分かる人だ。そうか、それで風を気にしていたんだ!それからも信号待ちや停車の時間を使って、週末を利用して瀬戸内を漕ぎ、下関から北上していることを話し、運転手さんは風力発電の施設の事などを教えてくれ、話しが弾む。 楽しい一時。到着。 『ここで降りて、この道を海の方に下っていけば良いから 気を付けて!』 『どうもありがとうございました』日本海北上の『油谷編』でも書いたが、ローカルバスの運転手さんは、本当に気さくでやさしい人が多い。シーカヤックの旅は、海を漕いでいる時だけでなく、浜でキャンプしているとき、公共交通機関を使ってクルマを回収しに行くときも含めた、すべてが旅である。穏やかな海を漕ぎ進むのんびりまったり楽しい一時、一転して緊張で胸がバクバクと音を立てる海況、早朝から夕方までひたすら漕ぎ続ける一日。雨の中上陸を拒否される漁港、やさしく受け入れてくれる漁港、昔の話しを聞かせてくれる古老、一緒に酒を酌み交わす漁師さん、食べた事もないような新鮮でウマいイカをお土産に持たせてくれる新たな友。私にとって、すべてが貴重な経験であり、大切な想い出であり、これらがあるからこそ旅を続けているのである。***稲佐の浜に戻り、ベンチで夕食を食べ、ビールを飲み、安いワインを楽しむ。眠たくなった所で車中泊。***日曜日の朝は、天気予報通り雨。 公園のベンチでお湯を沸かし、コーヒーを飲み、パスタ入りのスープで体を温める。帰りには、いつものように『千原温泉』で潮を抜き、疲れを癒した。ああ、最高の週末!!!
June 25, 2006
コメント(0)

ようやく日御碕までやってきた! 兵庫県の家島から岡山、広島、山口と尺取り虫方式で漕ぎ進み、下関の関門海峡でゴールした瀬戸内横断。 昨年春から再出発した下関からのシーカヤック日本海北上編の旅も、ようやく、神々の国_出雲の日御碕までたどり着くことができた。土曜日。 朝3時に起床、3時半に家を出て、日本海へと向かう。 目指すは、前回ゴールした多岐町。漁港にクルマを停めるのは極力避けているので、少し走って適当な出艇場所を探す。 すると、海に面した小さな公園を見つけた。 駐車場もある。 小屋の片付けをしていたおじさんに駐車の許可をもらい、シーカヤックを降ろした。***天気予報は曇りで東の風。 注意報、警報はない。 東の風なら、日御碕まではオフショアなので、向かい風でも波の心配はなさそうだ。 8時過ぎに出艇。少し漕ぐと、右手に道の駅多岐が見えてくる。 向こうに見える風力発電機の風車が、クルクルと勢い良く回っている。 そんなに頑張って回らんでもええのにー!!!その先の浜には、子供を含む大勢の人。 海開き?かと近づくと、地引き網のイベントのようだ。網の先端を見張っているボートの沖を通ろうと近づき、挨拶すると、おじさん達は笑いながら、『おお、そのフネで魚を取って来て、この網にいれてくれんかー』***曇り空だが、時折雲の切れ目から日が射してくる。 向かい風さえなければ、暑くもなく寒くもなく、絶好のパドリング日和なのだが。9号線から外れ、砂浜が延々と続く湖陵町の海岸沿いを、徐々にバウを北に向けながら漕ぎ進む。曇り空から日が差し、遠くの浜を白く照らし出している。 ああ、あそこが、八百万の神が上陸すると言う『稲佐の浜』か!まるで、そこだけが照らされて白く光るその浜に、自然と引き寄せられるように、漕ぎ進んでいく。11時過ぎ、稲佐の浜に到着した。家族連れが、浜で遊んでいる。 邪魔しないように、少し離れた場所に上陸し、昼休憩。昼食のアンパンを齧りながら眺めていると、観光客が入れ替わり立ち替わりやってくる。 お神酒を持って来て団体でお祈りをしている人達もいる。それにしても美しい景色だ。 神々がここを上陸地点に選んだ理由が分かるような気がする。***15分程休憩して、ふたたび出発。 目指すは日御碕。 多岐から稲佐の浜までは、砂浜が続いていたのだが、ここから先は、入り組んだ海岸線が続く。最初のうちは、風が止み、日も射して、最高のコンディションだったのだが、それも長くは続かなかった。時折、山側から突風が吹き下ろしてくる。 赤島を越え、追石鼻を回り込んだ所で沖を見ると、ザワザワと白波が暴れている。東の風が、少し北東寄りになり、岬の所で風が巻いているのだろう。強い向かい風の中を、釣り人の浮きを避けつつ、できるだけ岸寄りに漕ぎ進み、日御碕灯台が見える所までやってきた。↑ 岸沿いの岩礁の中で、風と波を避けながら日御碕に近づいていく 沖では黒い波が不気味にうねり、波頭が白く砕けている!今日はこれが限界だろう。 沖のあのうねりと砕けた白波、強風の中を日御碕を越えるのは無理と判断し、日御碕を越えておわし浜に上陸する予定を変更。 稲佐の浜に引き返すことにした。せっかく時間ができたので、岸ベタで遊びながらゆっくりと戻る。 小さな入江の奥にある、一軒の古い舟屋。別の所には、数軒が肩を寄せ合うように並んだ美しい舟屋。 ああ、山陰らしい海辺の景色だ。***稲佐の浜の手前の防波堤では、釣りをしている家族。 その中の小さな女の子が、『バイバーイ』といいながら手を振ってくれる。 こちらも何度も手を振り返す。 それでもいつまでも手を振り、バイバーイといっているので、お母さんも苦笑いしていた。14時頃、稲佐の浜に戻って来た。 風は強いが、夏のような日差しが戻って来た。ただ、明日は雨の予報。 風向きも東。 急ぐ旅でもなし、日御碕越えは次回だな。さあ、クルマを取りに戻るか。(つづく)
June 24, 2006
コメント(0)

今日は父の日である。 魚好きな父母に、おいしい魚を食べさせたいと思い、先週もお世話になった倉橋の『北吉鮮魚店』に、持ち帰りの刺身をお願いすることとした。前日に映画館から予約しておいた時間に取りにいくと、おじさんがまだ、鋭い手際で刺身を引いており仕事中であった。様々なネタを、プロらしく鋭い包丁さばきで刺し盛りに仕上げていく見事な仕事。 外のベンチに座って目を見張りながらその仕事を感心して見ている。***往復で2時間近くを費やしてもって帰った刺身。 魚好きの両親にも、どうやら気に入ってもらえたようだ。今まで、『北吉鮮魚店』は良いよー! と言いながらも、なかなか一緒に行くことができなかったので、持ち帰りとはいえ一緒に食べることができたのは嬉しい。両親からも、『おいしい』と評判であった。***腕相撲!夕食の後、腕相撲の話しで盛り上がった。私自身、中学2年生、高校2年生の息子に腕相撲で負けたことがない。 いつもビクともせず、余裕の勝利である。今日、父の日の余興で、息子達と腕相撲をしようということになったが、いつものように楽勝であった。***今日は親父がいるということで、おなぐさみで腕を組んでみたのだが、まったく動かない!冗談かと思い、力を入れるのだが、まったくビクともしない???おや? と思っている間に、手の甲がテーブルに付いている。 信じられん。親父は、67歳である。 既に身長で負けた次男や長男ならまだしも。。。でも、2回チャレンジして2回とも完璧に負けてしまった。***信じたくはないのだが、67歳の親父に勝てない自分。 マジかよ! 本当に悔しいばかり。子供がチャレンジしても、ぜんぜん相手にならない。母に聞くと、ここ数年、飲み屋で腕相撲の勝負になっても負けたことがないのだとか! うーん、信じられん。 高校生の頃には、握力が70kgあったということは聞いていたのだが。 まだまだなめていた、悔しい。
June 18, 2006
コメント(0)
土曜日は、久し振りに映画。 前から気になっていた、『嫌われ松子の一生』昼過ぎに映画館に行くと、案の定ミニシアター上映。 この映画も、力道山などと同様、人気が今一つであるようだ。この映画の予告編を見てからなんとなく気になっていた事に加え、『下妻物語』を見た衝撃でこの監督の作品が見たくなってしょうがなかった。 今回は、久し振りに妻と二人で映画鑑賞。***下妻物語の余韻を引きずったままでスクリーンに見入る。 見た事のある人ばかりの豪華なキャストだが、最初のうちはなんだかリズムが合わずなんだか落ち着かない。でもそのうちに、腰が落ち着いて来た。 下妻物語の中島哲也ワールドが展開される。***What is a life?だれがその答えを、正解を持っているのだろうか?***『この瞬間に、私の人生が終わったと思いました』 私自身、なんどそう思ったことか。***でも主人公である松子は、新たな生き甲斐を見つけ出し、強く、たくましく生き抜いていく。 それが当然であり、普通の人間の生き方だ。私自身これまで何度、『これで私の人生はおしまいだ!!!』と思ったことだろう。 それでもなんとか生き抜いている自分がいる。人間とはなんと弱く、忘れやすく、立ち直りが早く、しぶといものなのであろうか。***What is a life? まさに、観客それぞれの心に染み込む監督からのメッセージであったと思う。
June 17, 2006
コメント(0)

日曜日。 帰りのルートは、鹿老渡~横島続キ~カシノコ島~倉橋。目を覚まし、テントの外を覗くと、青空が見えた。 まだ日は上がっていないものの、今日も天気は良さそうだ。まずはシングルバーナーでお湯を沸かし、朝のコーヒーを楽しむ。朝食は、スープとサンドイッチ。食事をしていると、犬の散歩に来たおじさんに話しかけられる。『これは一人乗り?』 『そうですよ。 この前と後ろの部分は荷物室で、防水になっているんです』『海用なの?』 『ええ。 昨日はこれで、黒島、横島、鹿島と通って、ここにお邪魔しました』『そういえば、前にこの浜から出て四国に行った人たちがいたなあ』 『私もかなり前ですが、ここから出て松山まで漕いだ事があるんですよ!』そう、もうかなり前になるが、パドルパークのツアーで、フォールディングカヤック/フェザークラフトで四国まで渡るツアーというのがあり、一泊二日で松山まで行った事がある。 その数年後にフェザークラフトのK-1を買うキッカケにもなったツアーで、当時あったアウトドアイクイップメントという雑誌の編集長やA&Fの人も同行して記事になったっけ。 もしかしたら、その時の事かもしれないなあ。食事を終え、シュラフを畳み、テントを収める。 フネにパッキングして、出発だ。鹿島との間の橋を越え、横島続キへ。 漕ぎ出してから約1時間で到着。この小さな島の小さな浜は、眺めも良く、水もきれいで、夏に来るとなんちゃってリゾート気分が味わえる。 竿をヒョイと投げれば、おかずとなる小魚も釣れる。続いて、カシノコ島へ。ここでは上陸し、しばし休憩。 小石の浜に座ってペットボトルのお茶を飲み、スナックを頬張る。 まだ海水は冷たいが、早くシュノーケリングが楽しめるようになるといいなあ。***黒島経由で浜に戻り、昼前には週末のキャンプツーリングを無事終了した。この辺りの海は地元で近いという事もあり、これまでは日帰りツーリングがほとんどだったが、のんびりキャンプツーリングを楽しむのにもなかなか良い場所だ。また、あの新鮮な刺身を食べに、シーカヤックでキャンプツーリングに来よう。 地元の隠れた穴場を発掘するのも、なかなか楽しいものだ。
June 11, 2006
コメント(0)

倉橋島の南側には、無人島を含むいつくもの島があり、しばしばシーカヤックツーリングに出掛ける場所だ。先週は、少しだけ遠出して『しまなみツーリング』だったので、この週末は地元の海でゆっくりとキャンプツーリングを楽しむ事にする。土曜日の朝、10時過ぎに倉橋の海水浴場から出艇。少し雲はあるものの、暑すぎる事もなく、海は穏やかで、ツーリング日和だ。黒島をぐるりと廻り、カシノコ島へと向かう。 ここは、洲の様になった狭い砂利の浜が特徴で、また、ビーチグラスも多く、天気の良い日には最高の休憩場所となる。横島続キ。 ここも、お気に入りの場所。 そう、この辺りは小さな島、無人島が点在しており、シーカヤッカーにとって本当に良いツーリングエリアだと思う。 こんな場所が近くに有って、本当に幸せだ。***横島。 ここも無人島である。宮本常一氏による『私の日本地図 瀬戸内海1』の横島に関する記述によると、昭和20年に倉橋の人が40人程入植して畑を開き、サツマイモを植えたそうだ。 その後、小学校も建て、電話もひくなど住むための努力が重ねられた。しかし、船着き場がなかったため、嵐が来る毎に船が壊れ、しまいには船が一艘もなくなってしまったこと、また、小学校が火事で焼失してしまったことなどなどが重なり、再び無人島になってしまったのだそうな。宮本常一氏が撮影した横島の写真と同じアングルから島を眺め、再び漕ぎ進む。***横島からは東進し、羽山島の北を抜け、鹿島の南側を漕ぎ進む。 この鹿島も、北前船が通っていた頃は栄えていた場所である。 また、急斜面に開いた段々畑でも有名だ。鹿島大橋の下を横切り、午後1時過ぎに、今日の目的地である鹿老渡の浜へ到着した。フネを揚げ、道を歩いていたおじさんに、『この下の浜でテントを張っても良いですか?』と尋ねると、『あの家に行って聞いてみんさい』とのこと。 おそらく、地区のとりまとめ役の方が住んでおられるのだろう。その家を訪ね、テントを張りたい事を伝えると、快く承諾していただけた。 そのうえ、水はあるのかとのやさしい一言。***テントを張り、少し遅いが昼食にする。 今日はサンドイッチ。パンにバターを塗り、チーズを載せる。 その上に粒マスタード、そしてベーコンを重ねる。 さらにマヨネーズを塗り、パンで挟んで完成だ。 ウマい。***昼食の後は、町を散策。 まずは、すぐそばにある神社にお参りし、一晩お世話になる事を報告し、明日も無事に漕げるようお願いする。漁港、学校、小さな旅館、商店。 ここも静かな町である。浜に帰ると、ウエットスーツを着て、ヤスを手に持ち海にはいっているおばさんがいる。 ゴミを焼きに来ていたおばさんに、あれは何が取れるんですか? と聞くと、『蛸』だそうだ。それを聞くと魚が食べたくなり、『この近くに魚屋さんはありませんかねえ』 すると、『ないない、ここはみんな漁師じゃもの』 『やっぱりそうですか』『でも、二つ向こうの集落へ行けばあるよ』 『あ、北吉鮮魚店ですか!』 『よう知っとるねえ』そうだ、ここからなら『刺身屋さん』も近い! 今日の夕食は、北吉鮮魚店の刺身にしよう。***午後3時半。 浜を出て歩き出す。1時間に1~2本程度の割合でバスもあるのだが、歩いても1時間ほどだろうということで、散歩がてら歩いて行く事に。昔は良くドライブや海水浴に来ていた懐かしい道を足で辿る。 傾きかけた太陽に照らされ、海面がキラキラと美しい。予想通り、40分程で到着した。店の前に置かれた長椅子には、おばさんが一人座っていた。 『こんにちは、ここは持ち帰りもできるんですよねえ』『できるよ、ここの刺身はおいしいの。 活きていた魚を捌いてくれるんだから』盛り合わせを、2人前注文し、待っている間にそのおばさんと話しをしていた。『前に、家族で来た事はあるんですが、今日は鹿老渡にキャンプしているんで、歩いて買いに来たんです』 『まあ、歩いて! 遠かったじゃろう』 『ちょうど良い散歩になりました。 帰りはさすがにバスで帰ります』『今日は、シーカヤックと言う小さな手漕ぎフネで、黒島や横島によって来たんですよ』 『伝馬みたいなもんかね』 『まあ、そんなもんです』話しをしているあいだにも、地元のおじさん、おばさん方が、次々と注文にやってくる。刺身を受け取っておばさんが帰った後、ほどなく私の注文した刺身も完成し、お金を払ってバスで浜に戻った。***テントの前に陣取り、刺身でビール(といいつつも、残念ながら発泡酒だが!)。スーパーで買う刺身とは、表情が違う。 色艶もさることながら、角がしっかりと立っており、新鮮である事、切れの良い包丁で捌かれた事がわかる。いただきます! お願いして付けてもらった甘口の醤油をつけて口にいれる。 美味い!さすが、刺身屋さんの刺身だ。***食事が終わると、テントにはいりヘッドランプで本を読む。 ソロツーリングでは、本を読む時間がたっぷりとあることも楽しみの一つだ。今日は、『孤高の人(新田次郎)』 日本酒をチビリチビリと飲りつつ、ページをめくる。初めて読んだのは、もう20年ほど前だろうか。 以来、何度も読み返したお気に入りの本の一つである。不世出の登山家、単独行の加藤文太郎。『(前略)彼は孤独を愛した。山においても、彼の仕事においても、彼は独力で道を切り開いていった』 『彼は山で死ぬような男ではなかった。彼はきわめて用心深く、合理的な行動をする男であった。いかなる場合でも、脱出路を計算した上で山に入っていた。その彼がなぜ死んだか_それは、そのとき彼が単独行の加藤文太郎ではなかったからだ、山においては自分しか信用できないと考えていた彼が、たった一度、友人と一緒にパーティーを組んだ。そしてその彼は、その友人と共に吹雪の北鎌尾根に消えたのだ』『(前略)そして加藤は、硫黄岳のいただきに立って、二度とふたたび、ちくしょうめという、不遜の言葉を山に向かって吐くまいことを誓った。冬山への挑戦という観念が大きな誤謬だった。戦いであると考えていたところに敗北の素因があった。』何度読み返しても深く感銘を受ける。山と海との違いはあれ、エンジニアとしての仕事を持ちつつ、週末や休暇をつかって自分の好きな道で、自ら定めた目標に向かっていく姿。また、加藤文太郎とはぜんぜんレベルが違うものの、単独行を好む一人のソロシーカヤッカーとして、共感し、またさまざまな事を考えさせられる一冊である。***静かに夜は更けていく。 テントの中が、いつもより明るい。 ジッパーを開けて外を見ると、ほぼ満月に近い月がでている。 明日も晴れるといいな。
June 10, 2006
コメント(0)

旅するシーカヤッカーにとって、宮本常一には共感できる部分が多いはず。 私が、宮本常一の著作を読むようになったのは、シーカヤック仲間であるエクストリームNさんの影響である。 実際、一冊読んで、すぐにはまってしまった。 今回手に入れたのは、『私の日本地図_広島湾付近、芸予の海』、『日本の離島_第1集、第2集』 いずれも、もちろん古書である。***昨夜寝る前に、『私の日本地図_広島湾付近』の数ページを読んでみたのだが、良く知っている場所や海域の、数十年前の様子や、今は無くなってしまった航路の話しなどが出ていて、引き込まれてしまった。時代の移り変わりにつれて、そこに住む人々の生活は、『進化しているのか?』それとも『変化しているだけなのか?』宮本常一は、旅するシーカヤッカーにとってはとても身近な存在ではないだろうか。キーワードは『フィールドワーク』ザックに、カメラやフォールディングナイフ、メモ帳などを詰め、自分の足で辺境まで歩き、地元に伝わる貴重な話しや風俗、習慣を収集して廻った宮本常一。シーカヤックの荷室に、テント、シュラフ、調理道具、食材など一式を詰め込み、自力で海を渡る。 夕方になると、地元の方に一言断りを入れ、小さな漁港や浜の隅っこに、ごくごく小さなテントを張り、ささやかな夕食とビールを楽しみ、静かに横になる。時には、シーカヤックがキッカケで話しが弾み、また地元の方に貴重な昔話を聞かせていただくことも少なくない。私が好きなシーカヤックの旅は、まさに宮本常一のフィールドワークの様な旅である。クルマではなく、シーカヤックで訪問したからこそ受け入れていただける場合もある。 シーカヤックで進むスピードだからこそ見えてくるモノがある。数十年、数百年、もしかすると数千年前と同じ、自分の力だけで進むからこそ分かる、自然の法則や人間の限界がある。自然をリファレンスとすることで、自分の/人間の絶対的な弱さを知る事ができる。***旅することを本心から楽しむシーカヤッカーにとって、宮本常一の旅のスタイルはとても身近なものであり、かつ共感できるものだろう。ようやく手に入れたこれらの本、これからじっくりと読んでいこうと思っている。
June 8, 2006
コメント(1)

土曜日の朝。 テントの中で目を覚ました。 ふかふかの芝生の上で、実に快適な寝心地。 様々な鳥のさえずりが聞こえてくる。 ここはまるで楽園のようだ。***朝食の後、ベンチに座り、海を眺めながら朝のコーヒー。 空気も澄んで気持ち良い。テントは張りっぱなしで、ツーリングの支度に取り掛かる。昨日の夕方、『すみません。 一泊と言っていましたが、もう一泊延長させて下さい。 ここがすごく気に入ったんです』 と、管理人の方に伝えてある。***7時ちょうどに、浜を出発した。今日は、岩城島の東岸に沿って南下し、赤穂根島の東岸を経由し津波島。 その後は、岩城島で散策し、岩城島の西側を漕ぎ上がって帰ってくる予定。岩城島の主要産業の一つである造船所。 その近くを漕いでいるとき、ちょうど到着した渡船から、造船所に通勤する人たちが降りて行く。 多くの人が、こっちを見ている。 船の製作に携わる人たちなので、フネに興味があるのだろうか。赤穂根島を抜けると、もう津波島だ。 ほぼ予定通り、出発から1時間15分ほど。この島は、数年前に村上水軍商会のツーリングで、向島から漕いで来て、キャンプしたことがある。 そのときは、海岸でとても珍しい漂着物を見つけ、同行者と盛り上がったことを覚えている。そのときキャンプした、ビヤクビ海水浴場に上陸し、しばし休憩。さらに南下したところにある松原海水浴場にも上陸して、様子をチェックした。 ここは前回は来れなかったので、ロケハンだ。 サメに注意の看板。 タヌキの足跡。 ビヤクビの浜よりは、広い空き地があり、大人数ならこちらの方が良さそうだ。***津波島の南端では、潮波が立っていた。小潮でこの波。 大潮だったら、思わず緊張が走る様な状況になるのだろう。 前回のツーリング時は、大潮のタイミングだったので、津波島と赤穂根島との間の狭い海峡では、2級ほどの瀬の様な潮の流れに乗り、バシャバシャと波を被りながら漕ぎ抜けたことを思い出す。***対岸に伯方島を眺めつつ津波島の西を漕ぎ上がり、赤穂根島を抜けて岩城島へ。 ここは、レモンで有名な島だ。海水浴場にフネを揚げ、町を散策してみることにした。道に上がると、ちょうど孫を連れたおじいさんが散歩している。 孫はちいさな女の子。 ベビーカーではなく、荷車と作業用のプラスチックケースに乗せられている。 うーん、いいねー!女の子が後ろを見ていたので、少し離れたところから、いろいろと面白い顔をしながら反応を探ってみる。 あー、笑っている、立ち上がり、ニコニコと楽しそうだ。 泣かれないで、ヨカッタよかった。町を歩いてみるが、あっと言う間に終わってしまう。 レンタバイクでもあれば、積善山に登ってみたいのだが、残念ながら貸し自転車しか無いようだ。 観光センターで、家族へのお土産に、レモンジェリーとレモンジャムを購入。***浜に戻り、少し早いが昼食にした。今日は、昨日因島で仕入れておいたパン。 地元の岡野製パンという会社の製品で、名前が気に入って購入したものだ。『インディアンカヌー』と『ちくわパン』 ディープなローカルフードを見つけるのも、旅の楽しみの一つである。インディアンカヌーは、その名前を見た途端に、購入を決定した。 カヤッカーなら、買うしかないでしょう!クリームを挟んだ揚げパンに、チョコレートがコーティングされ、なかなかおいしい。ちくわパンは、からしマヨネーズを詰めたちくわが挟まれた揚げパン。 期待はしていなかったのだが、このからしマヨネーズとちくわ、揚げパンのコンビネーションがGood。 岡野製パン、なかなか凄いぞ。***昼食を終え、岩城島の西岸を漕ぎ上がる。 天気も良く、海も穏やか。 すこし霞んではいるが、しまなみの島々が浮かぶ景色も楽しめ、最高のパドリング日和。途中からは、生口島(瀬戸田町)側の岸に着け、生口橋を目指す。 タイミングを見計らって生口橋の下を横断し、今度は因島の南岸に沿って東進。 亀島、鶴島を越えて、生名島へと帰って来た。時間は、13時過ぎ。 出発してから6時間、実漕時間は約5時間。海水浴場に戻ると、防波堤の所に、昨日と同じ船が泊っており、話しかけられたおじさんが居た。『おーい、こっちへきんさい』 『こんにちわ これからどうするんですか?』『因島へ帰るんよ ここの畑で農作業して、何人かで待ち合わせてこの船で帰るんじゃ』 との事。シーカヤックにも興味があるようで、スピードが早そうだということから始まり、値段の事や旅の事など、いろいろと話しをした。 ほかにも、因島の造船のこと、途中で見かけた復元された水軍船のこと、柑橘類の栽培の事などなど。一緒に船に乗っていた、常ににこにこと笑っているやさしそうなおばあさんには、『あんた、金曜日の昨日もおったが、仕事はなんなんね』と聞かれ、『いやー、普通の会社員ですよ 昨日は、有給休暇だったんです』フネを揚げ、あまりの暑さに海パン一枚になって海に飛び込んだ。 あー、気持ちいい! まだ少し水は冷たいが、熱く火照った体が冷えて、なんとも言えない爽快感。それを見ていたおじさん曰く、『おー、ええのう あんたは、世界の風呂に入っとる』***待っていた人がようやくやって来て、エンジンを始動して船は帰って行く。 帰り際におじさんが、振り返って手を振ってくれた。 私も手を振って応える。 うーん、なんともうれしいではないか。シャワーで潮を流し、ビールを買い出して戻ると、野外ステージの日陰にサーマレストを敷き、ビールをグビリ!抜ける様な青空。 心地良い日陰と、さわやかなに吹き抜けて行く風。 しまなみの景色。 冷えたビール。 もう、何も言う事はない。サーマレストに寝転び、本を開く。今日は、『海辺のカフカ』 読み直すのは3度目かな。 ページを捲るごとに、村上春樹ワールドにはまって行く。缶ビールを2本空け、気がつくと夕方5時。 本に引き込まれ、あっと言う間の2時間だった。***仕事を終えて家に帰る管理人さんに、もう一晩蚊取り線香を借りることと、いろいろとお世話になったお礼を言う。『本当にありがとうございました また一つ、お気に入りの場所ができましたよ 最高の島ですね』 『また来てね 今度は、家族と一緒にでも』夕日を眺めつつ、夕食。 ビールとワイン。テントに潜り込み、ヘッドランプで『海辺のカフカ』の続きを読む。ああ、本当に良い島だ。 また、シーカヤックを漕ぎに来よう。
June 3, 2006
コメント(0)

しまなみ海道の静かな島々。 生名島、岩城島、津波島をシーカヤックで巡るキャンプツーリング。***金曜日。 今日は有給休暇。 この週末は、久し振りに天気が安定しそうだ。ただ天気予報では、日本海側は波が少し高くなるとの予報。 そうとくれば、久し振りに『しまなみ海道』に出掛けてみよう!***目指すは、生名島。 初めて訪れる島。 良い出艇場所、キャンプ地があるだろうか? いつもながら、知らない場所を訪れるのはワクワクドキドキ。 これがまた楽しい。因島から小さいフェリーで『わずか3分』 私好みの、瀬戸内らしい、ごくごく短い船旅だ。↑ クルマは550円 人は60円! 島のフェリー乗り場の駐車場は、1時間で50円!!!まずは、電話でキャンプができることを確認しておいた海水浴場に向かう。目の前にしまなみの景色が広がる、静かな良い浜だ。 と、ここで写真を撮ろうとすると、『ピッ!!!』といつもと違う音が。 ???画面を見ると、メモリーカードが入っていませんとの表示。 ガーン! 先日、写真を焼いてもらうために出したままだった。この小さな島では、メモリーカードを売っている店を見つけるのは難しそうだ。 というわけで、目の前にある因島で捜すことにし、再びフェリー乗り場に戻る。 有料と書いてある駐車場にクルマを停め、待合室に行ってみるが人がいない。フェリーに職員の人が居られた。『すみませーん。 あの駐車場に停めたんですが、どうやって払えばいいんですか?』 『フネの中で切符を買う時に、売りに来た人に停めたことを言えばいい』 おー、そうかそうか。船が出港すると、船室に切符売りの人が回ってくる。 大人は片道60円。 言われた通り、クルマを停めたことを申告したが、紙をくれる訳でもない。 うーん、まだ良くわからんなあ。因島の小さな写真屋さんで、運良くSDカードを見つけて購入。 あー、よかった。***帰りのフネでは、何も言わないうちから、『全部で110円ね』 ほお、どこかでメモっているのだろうか。 いずれにしても、乗る人が限られているからこれで上手く行くのだろう。 機械的でなく、人の顔が見える良いシステムだ。海水浴場に戻り、遅めの昼食を済ませる。防波堤の先に舫った小舟に乗っているおじさんは、クルマに積んでいるカヤックを見て、『そのフネは軽いんか? 一人で運べる?』 『そうですね、一人で運べますよ。 だいたい22キロ位です』草刈りをしておられた管理人の方に、今朝電話したものだと伝え、使用の手続きを済ませる。 とりあえず、一泊分。テントを張るのは後回しにして、出艇の準備にとりかかる。まずは、すぐ目の前にある平内島を目指す。波静かな瀬戸内。 少し雲が掛かってはいるが、パドリング日和である。 大潮なら結構潮が流れるのだろうが、この週末は小潮だ。 しまなみを漕ぐにはちょうど良いタイミング。平内島の西側には、小さな洞窟がいくつもあり、独特の風景。 日本海の様な大きな洞窟ではないけれど、人が通れるほどの大きさのものもある。 波静かな瀬戸内なのに、どうやって岩に穴が穿たれるのだろうか? 潮流?一番大きな洞窟の入り口にフネを着け、潜り抜けてみた。***白い砂浜、海の水も澄み、周囲の景色も良い。 この平内島だけでも充分満足できそうな、絶好のロケーション。今度は、生名島の西岸を岸伝いに南下してみる。 明日、津波島に行くルートの下見だ。 大島、小島を過ぎ、いきなスポレク公園を越え、生名島の最南端付近までやってきた。どうやら潮流も大丈夫そうだ。 小潮の時期を選んだのは正解だった。 この付近を行き来する定期船の航路や運行間隔も、だいたい掴めた。海水浴場に戻り、フネを上げ、テントを張る。広い芝生の広場。 目の前にはしまなみの海。 鳥のさえずり。 他にキャンプする人は居らず、今日はこの美しい景色を独り占め。管理人の方によると、お盆の時期以外はそれほど人は多くないとの事。 また、シーカヤックを漕ぎに来る人も時々いるそうだ。また、最近の町村合併で上島町になったこと。 同じ町になったので、佐島や岩城島と橋を架ける計画があること。 因島まではほんの数分だが、やはり船で渡らなければならず、あまり島からでないこと。 などなどの話しを伺う。 年配の女性だが、とても感じの良い方だ。ここに来た人は、本当に良いところですね、というが、自分たちはこれが当たり前だし、岩城島のレモンや弓削島の海水風呂の様な名物も特に無いと言われていた。 でもそれが、何も無いことこそが、今となっては貴重なのだと思う。娯楽施設や名物料理は無くとも、この美しい景色と静かな時間の流れ。 これ以上何が必要?地元のスーパーでビールを買い、キャンプ場に戻って簡単な夕食。ビールを飲んでいると、仕事を終えて帰られる管理人の方が、『蚊が多いから蚊取り線香を貸してあげる』といって、置いて行って下さった。 ありがとうございます。ワインを飲みつつ、静かな夜は更けていく。 本当に良い場所を見つけた。明日は、津波島と岩城島だ。
June 2, 2006
コメント(0)
全9件 (9件中 1-9件目)
1