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来年は、ヴェートーベン生誕250年のメモリアル・イヤー。世界各地でベートーヴェンが演目のコンサートが盛んに行われる。その予習のためにこのところ、ベートーヴェン本を読み、交響曲や弦楽四重奏曲など、これまであまり聴かなかった曲も含めて聴き漁っている。よく見るベートーヴェンの肖像画(上記写真)は、晩年の大曲「ミサ・ソレムニス」を作曲している姿を描いているということをベートーヴェン本で知った。しかし、これまで一度もこの曲を聴いていなかった。さっそく中古CD店で450円で購入したのが上記写真のCDだ。デイヴィッド・ジンマン指揮トーンハレ管弦楽団、シュヴァイツァー室内合唱団の演奏だ。通常80分くらいかかるこの曲を65分57秒で演奏している。相当なハイテンポ。ネットで調べると、「フレッシュで軽妙なタッチの快演奏」とあった。いざ聴いてみる。カトリックの典礼文が歌われている宗教儀式のための曲には聴こえない。ま、カトリック教徒でもないし私に教会音楽の何たるかがわかるわけないけど・・・。交響曲第9番「合唱」のもう1つの楽章のように聴こえた。あの「歓喜の歌」のようなシンプルで親しみやすいメロディーと言うよりは、バッハの曲のような感じだが・・・。ワーグナーはこの曲について、「真正なベートーヴェン的精神を持つ純粋な交響曲的作品」と言っている。私の印象はあながち間違ってはいなかった。あるベートーヴェン本を読んでいたら、こんな記述があった。『「ミサ・ソレムニス」の青書を終えた全曲の総譜と下書きとをベートーヴェンは14日間も探し抜いたことがあった。それらは台所の隅の鍋の下敷きになっていて、危うく上から1枚1枚メイドの食料品買い出しの包み紙に使われてしまう一歩手前であった。』曲を作り始めたら寝食も忘れ、周囲の迷惑も顧みず大音声で歌いピアノを弾く・・・・そんな一般常識からかけ離れたベートーヴェンの生きざまの一端を垣間見るエピソードだ。でも見つかってよかったよ。体調不良の晩年の5年もの歳月をかけて作った曲がジャガイモの包み紙になって捨てられてしまったら悲劇だ。喜劇かもね。その4年後、ベートーヴェンは死の床で曰く。「諸君、喝采せよ。喜劇は終わった。」この大曲「ミサ・ソレムニス」のウィーンでの初演は、交響曲第9番と一緒に行われている。大曲2曲が立て続けに演奏されたわけだ。聴衆はこんな重量級の2曲をしかも初めて耳にしたわけだ。さぞヘビーだっただろう。でも来年のメモリアルイヤーには、あえてこの初演を再現するコンサートをやってほしいな。年末の第9演奏会の時期に。その方がより年の瀬を体感できるのではないだろうか。最後に一句。 「 待ってたよ 入梅鰯に 白ワイン 」
2019.06.26
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ワディム・レーピンのヴァイオリン・リサイタルに行った。神童と言われ、数々の名オケ、名ソロイストとの共演を重ねてきたレーピンもはや50前。最近は、故郷シベリアのノヴォシビルスクで音楽祭を立ち上げたそうだ。会場は上野の東京文化会館。大ホールの大きなステージには真ん中にグランド・ピアノがポツンとおかれているだけ。ここのホールで、演奏家2人だけのコンサートを見るのは初めてだ。開演定刻からやや遅れて2人が現れた。ピアノはアンドレイ・コロベイニコフ。レーピンど同郷の若手だ。それにしては頭髪が・・・・・。レーピンは黒の襟なしジャケットに黒のスリムパンツ。足が長くてカッコイイ。まずはヒンデミットのソナタ。構成は2楽章のみ。20世紀の作曲家の作品だけあって、わかりやすいメロディーやハーモニーはない。でも2人はいとも簡単そうに弾いていく。こういう曲を演奏するって演奏家にとってはどんな気分なのだろう?・・・と質問をしてみたくなった。続いて休憩なしで、ベートーヴェンのソナタ第7番。短調のソナタだ。作曲したのはベートーヴェンが耳の不調から「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた年。第1楽章は暗い曲だが、2楽章は優雅、3楽章はエネルギッシュ。そして第4楽章は再び暗い曲調。でも躍動感にあふれている。第5交響曲「運命」第1楽章を思わせる。レーピンのヴァイオリンは情熱的だ。コロベイニコフとの息もバッチリ合っている。長い音を弾き切って弓をヴァイオリンから離す瞬間の表情が男の色気を発散しているぞ。20分の休憩後、メインディッシュはフランクのソナタ。聴いたことがなかったので、中古CD(五嶋みどり)を聴いて予習した。いやあ、こりゃ名曲だ。五嶋みどりのヴァイオリンって凛々しくて腹が座っている感じがしていいなあ。さて、レーピンは?わりとハイ・テンポだ。でも曲の輪郭をくっきりと表現し我々聴く者をぐいぐいと引っ張っていく。この曲って、ヴァイオリン・ソナタだけど、ピアノの聴かせどころも随所にある。ピアノが単なる伴奏ではなく、ヴァイオリンとかけ合い、渡り合い、会話をする。特に第2楽章の丁々発止は圧巻だ。最終楽章では、第1楽章冒頭のメランコリーな旋律が再び現れ、ジ・エンド。芳醇なグラスワインを飲み干したような感覚になった。アンコールは、レーピンが曲の紹介をしたが、よくわからなかった。帰るとき掲示板で確認したら、チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」のレンスキーのアリアだった。同郷のチャイコフスキーに敬意を表しての選曲なのだろうか?フランクより拍手が大きかったような気が・・・。これでおしまいかと思ったら、もう1曲やってくれた。これがすごかった。まずは、レーピンがピアノ伴奏なしでの即興のような超絶技巧ソロを披露。そしてピアノが加わり熱い曲が展開。どこかで聴いたような・・・・掲示板にはラヴェルの「ツィガーヌ」とあった。あれ、「ツィガーヌ」ってオケ伴奏の曲じゃなかったっけ?曲が終わった瞬間にブラヴォーの嵐。この日一番盛り上がった瞬間だった。ソロ・リサイタルは、フル・オーケストラのコンサートで味わうような興奮の度合いは低いけど、演奏家の一挙手一投足を眺めながら聴くことで、音楽を奏でることの楽しさ、喜びを共有できるのがいいと思う。最後に一句。 「 ランニング 紫陽花が飛ぶ 汗が飛ぶ 」
2019.06.13
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シンガーソングライターの栗山龍太を知っていますか?来年のパラリンピック東京大会を控え、パラリンピアンへの応援歌「リアル・ビクトリー」を作り、関連イベントなどで各地で歌い続けている。いい曲だしタイムリーなので、新聞やテレビでもよく取り上げられている。8月には日テレの24時間テレビに出演する予定だ。私は、ある時元盲学校の先生だった人物から「リアル・ビクトリー」のCDをもらった。聴くといい曲なのでギター・コード譜がほしいと話したら、後日栗山さん本人からその譜面が送られてきた。そんな縁から、彼が歌う予定をいつも連絡してもらうようになった。で、先日、彼が弾き語るイベントに行ってきた。(上掲写真)場所は、紀伊国屋書店の新宿店9階のイベントスペース。先頃、ヨットでの大西洋横断を果たした盲目のヨットマン=岩本光弘さんの出版記念講演会にサプライズ・ゲストとして自作曲を披露したのだ。曲目は「ドリーム・ウィーバー」。訳すと『夢織り人』。栗山さんが岩本さんに捧げた曲だ。岩本さんは大西洋横断中の海の上で、気が滅入ったら聴いていてそうだ。私もこの場で初めて聴いたが、確かに元気が出るロック調の曲だ。「リアル・ビクトリー」もいいけど、この曲もいい!岩本光弘さんの大西洋横断の模様は、今月30日のNHK・BS1で放送する「BSドキュメンタリー」で放送されるそうだ。「ドリーム・ウィーバー」はその番組のテーマ曲として使われているそうだ。興味ある人はぜひ見てほしい。そしてこの曲を聴いてほしい。ポップなメロディーと力強いヴォーカルが持ち味のシンガーソングライター=栗山龍太。覚えておいてください。最後に一句。 「 梅雨入りて ドリーム・ウィーバー 蠢きぬ 」
2019.06.09
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