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映画「イエスタデイ」を見た。ウイークデーの昼間にもかかわらずほぼ満席。私の隣は制服姿の高校生らしき男の子2人。ビートルズのファンなんだろうな。彼らにとってビートルズはクラシック・ミュージックのようなものなんだろう。最近公開されたロック・ミュージシャンの事実を取り上げた「ボヘミアン・ラプソディー」や「ロケットマン」などの映画と違って、世界大停電後に訪れたビートルズを知らない世界という絵空事の中で繰り広げられるラヴ・コメディー。ビートルズの名曲を味わいながら主役らの愛の行方やアメリカの音楽業界のうさん臭さ、役者としてのエド・シーラン・・・・など見どころがぎゅっと詰まった楽しい映画になっていた。主役の売れないミュージシャンが自宅のピアノで、両親に「レット・イット・ビー」を弾き語ろうとするが、途中で様々な邪魔が入りなかなか演奏出来ないシーンはよくできた笑えるシーンだった。そんな気の利いた魅力的なシーンが随所にあって飽きさせない。絵空事を忘れさせるのに効果的だったのが、本人役で登場したエド・シーラン。監督、脚本家の力量を感じさせるさすがの演出だった。「ヘイ・ジュード」のレコーディングのシーンで、エド・シーランが主役に、「ジュードってどういう意味?デュード(相棒)に変えた方がいいんじゃない?」と言い、それに沿ってレコーディングが進んでいくシーンは笑ってしまった。田舎で一人暮らしをするジョン・レノンに似た老人に会いに行くシーンも印象的だった。もしジョンが生きていたら79歳。ポールマッカートニーはいまだバリバリの現役ミュージシャンだが、ジョンはこのシーンのように音楽活動から足を洗って隠遁生活を送っているかもしれないな・・・そんなことを空想しながらしみじみとした気分になった。いずれにしても、ビートルズという20世紀の奇跡ともいえるバンドが存在しなければ、この映画は生まれなかった。改めてビートルズという存在の大きさを感じずにはいられなかった。エンドロールのBGMは「ヘイ・ジュード」。7分余りの曲が完奏された。この曲を最初から最後まで聴いたのは久しぶりだった。もちろん「ヘイ・デュード」ではなく・・・。隣の高校生はこの映画を見てどんな感想を持ったのだろう?聴いてみたかったが、エンドロールが終わって明るくなった客席にはもう姿はなかった。最後に一句。 「 ヘイ・ジュード レット・イット・ビー 秋の空 」
2019.10.22
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昨今、女性指揮者が話題を振りまいている。アントニア・ブリコという実在の女性指揮者の半生を描いた映画「レディ・マエストロ」を観た。コンサートホールの案内係やナイトクラブのピアノ弾きなどをしながら音楽学校に通い、自らの夢である指揮者を目指し、困難を1つ1つ乗り越えてそれを実現させていくアントニア・ブリコ。こんな女性がいたのは知らなかった。男のやってみたい仕事ベスト3は、総理大臣、プロ野球の監督、そして指揮者・・・・と言われてきた。どれもチームを率いるリーダーと言うイメージ。そんな独裁者のイメージのある指揮者の世界に、女性が進出しようとしたわけだからバッシングを受けるの当然。しかも時代は1920~30年代。にもかかわらず突進するブリコ。ついに世界最高峰のベルリン・フィルの指揮者になり、アメリカで女性だけのオーケストラまで結成し自ら指揮台に立つ。まさにパイオニアの人生。圧倒された。なぜそこまでしてまで指揮者になりたかったのか、そのモチベーションを臭わせるシーンがなかったことにやや不満が残ったが・・・。先月行われたブザンソン国際指揮者コンクールで、青森出身の沖澤のどかさんが優勝した。小澤征爾、佐渡裕らも優勝した若手指揮者の登竜門であるコンクールで、37年前の松尾葉子さん以来日本人女性としては2人目の快挙を成し遂げた。オーケストラ、観客がそれぞれ選ぶ「オーケストラ賞」、「観客賞」も含め、賞を総なめにしたというのだから大したものだ。新聞記事によると、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「死と変容」で、死の床にある芸術家の心の動きを細やかに表現。クライマックスを卓越した指揮で盛り上げて大きな高揚感を導き観客を引きつけた・・・とあった。う~む、どんな演奏だったのかは聴かないとわからん!ま、でも、とても魅力的な演奏だったのだろう。また、NHK交響楽団の年末恒例の第9演奏会には、初めて女性指揮者が登場する。オーストラリアはシドニー出身の女性指揮者=シモーネ・ヤングがその人だ。どんな演奏を聴かせてくれるか楽しみだ。また、どんな指揮者としての立ち居振る舞いを見せてくれるかも楽しみだ。というわけで、しばらく女性指揮者に注目が集まりそうだ。最後に一句。 「 マニキュアの 手にうまか棒 ハロウィーン 」
2019.10.19
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70歳の現役ロックシンガー矢沢永吉のニューアルバムを衝動的に購入。タイトルは「いつか、その日が来る日まで」。7年前の「Last Song」以来のアルバムだ。ジャケット写真の永ちゃんは、相変わらず野生動物のように精悍だ。ギンギンのロックンロールで始まると思いきや、1曲目「今を生きて」はミディアム・テンポの歌謡曲調。独特のこぶしがいい味出してる。歌詞をかみしめるように歌っている。続く2曲目「魅せてくれ」は、これぞYAZAWAロックンロール。びしっと決めている。3曲目「愛しているなら」は、「アイ・ラブ・ユー、OK」「時間よ止まれ」路線のYAZAWAラブバラードだ。70歳になってもこういう歌が歌えるのは偉大だ。4曲目は「ヨコハマUo・Uo・Uo」は、ミディアムテンポのマイナー・バラードで、5曲目の「海にかかる橋」は3曲目同様のラブバラード。そろそろロックンロールが聴きたいなと思ったところで6曲目「ラヴ・イン・ユー」。ドスの効いたヴォーカルは70歳でも健在。7曲目「SEASIDE ROAD」は、ビートルズの「エイト・デイズ・ア・ウィーク」を思わせるメロディーから始まるポップ。なつかしいサウンドが中高年の心を震わせる。8曲目「稲妻」はハードロック系ナンバー。でもシンプルな伴奏で重々しさはなく爽快。9曲目「デジャブのように」はサックスの間奏も入るリズム&ブルース。そしてラストナンバーの10曲目は、アルバム・タイトルにもなっている「いつか、その日が来る日まで」。作詞は、なかにし礼。 ♪ どんな旅も 終わる時が 必ず来る 思いがけず 遠くにまで来たようだね ・・・・・・・ 歌はわが夢 愛は祈りだ 羽がなくても 翔べるさ いつかその日が 来る日まで 俺は いつかその日が 来る日まで 歌う70歳のロックシンガーの心境が切々と歌い込まれたバラードだ。 矢沢は、ニューアルバムについて、インタビューでこんなことを話している。「2012年の『Last Song』で打ち止めにしようと思った。でもメロディーは湧いてきますよね。7年間のうちにちょこちょこと。『ヨコハマUo・Uo・Uo』のメロディーが出来た時には、これアルバムにしなきゃいかんでしょ、みたいなところに行きましたね。『矢沢さん、フワッとエンジョイしてるな』っていう感じが出てたら、このアルバムはOK!これで人生最後とあるところで言いました。でもまた、73か、75で、『いやあ、棺桶に入る前にもい1枚作らせてくれ』って言うかも。・・・・まあ、これしか能がないし、それでいいんだよ。」いい話だよね。力みがなく自然体でカッコイイ。確かにこのアルバム、YAZAWA節満載だけど「重量感」を感じない。一貫して「軽み」みたいなものがある。70歳の永ちゃんの真骨頂だ。WOWOWで生中継ライブほ見たけど、ナマの永ちゃんを見たことがない。機会があったら、70歳の現役ロックシンガーを拝んでみたいな。最後に一句。 「 またひとつ 台風一過 ニュース漬け 」
2019.10.13
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韓国生まれの世界的ヴァイオリニスト=チョン・キョンファのソロ演奏会に行った。2年ほど前、弟のチョン・ミョンフン率いる東京フィルとの共演でブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いて以来だ。今回は彼女のソロ演奏会。共演者はピアニスト=ケヴィン・ケナーだけだ。まず最初の曲は、彼女一人だけの演奏。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番。上手袖から現れたチョン・キョンファは、上野の東京文化会館大ホールの大きなステージの真ん中にゆっくりと移動。そして演奏開始。4階席から見下ろす彼女はとても小さく見えるが、ヴァイオリンの音は力強い。アクションも堂々としている。指の故障でやむなく活動を休止した6年間のブランクを乗り越えた精神力のようなものが漂う。休憩を入れず、ピアノがセッティングされるとすぐに、ピアニストのケヴィン・ケナーと共にステージに上がり、2曲目のブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」が始まる。ピアニストの脇には譜面をめくる女性が椅子に座っている。でも、譜面台に置かれているのは紙の楽譜ではなく、iPad様のモニターだ。そういえば、この前NHKの音楽番組「らららクラシック」を見ていたら、ピアニストが譜面台に置いているiPadを自分で画面をタッチしてめくりながら演奏していた。そういえばバンド仲間のギタリストもiPadを使ってギターを弾いていたな。ピアニスト脇の女性は、席を立ってモニターをタッチするそぶりが全くない。客席からは見えないが、リモコンを操作して楽譜をめくっているのだろうか・・・。それにしても、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ「雨の歌」ってこんな曲だっけ?冒頭にはもっと甘美なメロディーがあったんじゃなかったっけ?そんなこんなであまり曲に集中出来ぬまま終了。20分の休憩に入る。そこでこんな場内アナウンスが。「本日、急遽演奏者の都合で曲目が変更になりました。ただ今演奏したのは、予定していたブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番ではなく、第2番でした。ご了承ください。」う~む、やっぱり違う曲だった。これまでクラシック・コンサートを数十回は聴いてきたが、曲目が変更になったのは初めてだった。しかも演奏後に知らされると言う珍しいおまけ付きで。曲目変更の理由は何だったのか?知る由もないが、気心の知れたソロイスト2人だからこそ変更可能だったとも言える。そうでなければ音合わせやリハを無にすることなんてできないよね。気をとり直して休憩後のメインディッシュに集中する。曲はブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番。作曲当時ブラームスは、友人の病気や死に遭遇。そんな人生への諦念や寂寥をつのらせる体験が、そのまま曲ににじみ出ている。こうした寂しさと厳しさが同居する曲をチョン・キョンファが見事に弾いて見せた。70歳を越えたベテランだからこそ表現できた演奏だと思った。アンコールは、シューベルトのソナチネ第1番・第2楽章。ブラームスの重量感から我々を解き放つような、穏やかで明るい曲を選んでソロ演奏会を結んだ。曲目変更やiPad譜面にやや心が平常を失ったが、いい演奏会だったと思う。ソロ演奏会なので、もう少し小ぶりなホールでもう少し間近なで聴きたかったが・・・・。最後に一句。 「 台風で マラソンと飲み 流れたり 」
2019.10.12
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新宿シネマカリテで、音楽ものの映画をやっているのを発見。見に行く。お目当ては、2年前に亡くなったカントリー系ポップ・ミュージシャン=グレン・キャンベルが、アルツハイマー型認知症になった後ツアーに出た家族との感動のドキュメンタリー映画「アルツハイマーと僕」。上映時間に合わせて行ったのだが、行ってみるとありゃ?時間が違っていた。調べたのは前日だったので、開始時間が変わっていたのだ。でも、せっかく新宿まで行ったので、無駄な時間を使いたくない。チケット窓口の上映スケジュールを見ると、「ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ」が上映寸前だった。70年代に一世を風靡したブラス・ロック・バンドの軌跡を追ったドキュメンタリー映画だ。う~む、これも面白そうだ。予定変更!(下掲写真の下の部分)節操ないな。「クエスチョン67&68」、「長い夜」、「メイク・ミー・スマイル」、「ダイアログ」、「サタデー・イン・ザ・パーク」、「ビギニングス」・・・・60年代末から70年代初頭にかけてヒットを連発するバンドだった。同じブラス・ロック・バンドの、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズやチェイスとは一味違った多彩さを備えた洒落たバンドといった印象を持って聴いていた。そんなバンドで今も現役のシカゴの、山あり谷ありの足跡をメンバーへのインタビューを軸に据えて描いている。結成50周年に当たる2017年にCNNが制作して全米で放送したTVドキュメンタリーだそうだ。売れっ子バンドにのし上がったシカゴの最初の谷は、78年にギタリストでありバンドの中枢だったテリー・キャスが銃の暴発によって死んでしまったこと。キーボードのロバート・ラムが語った言葉「テリー・キャスの激しいギター・ワークこそがバンドの神髄だった。」が印象的だった。その喪失を埋めるギタリスト=ドニー・デイカスを迎えて発表したアルバムに収められた曲「アライブ・アゲイン」は、躍動感のあるかっこいいロックだった。ドニーのオクターブ奏法的なリズミックはカッティングにブラスが通奏低音のように重なっていくイントロに、テリー亡き後もバンドを続けていく確固たる決意を感じた。でもドニーは1年で解雇されてしまう。映画でその理由についてトロンボーンのジェイムス・パンコウは「練習に遅刻したからさ。」と証言。バンドを維持運営していくのって大変なんだなあ・・・。次の谷は、その10年後。結成時からのオリジナル・メンバーであるドラムのダニエル・セラフィンを解雇。デビュー時からの仲間を切るというのはつらかったのではないだろうか。ロバート・ラムは証言する。「ドラムの基本はリズムを刻むこと。ダニーのドラミングは最初から最後まで”おかず”。イギリスにツアーで行った際、リハーサルもさぼり、妻と観光ばかりしていた。本番もさんざんだった。」いやあ、厳しい発言だ。ヒット曲が出なくなり、ポップな曲作りの名うてプロデューサー=デヴィッド・フォスターがアルバム制作に起用される。「サタデー・イン・ザ・パーク」などを作ったロバート・ラムは自作の新曲をプロデューサーのデヴィッドに持って行っても、その都度NG。ある時期引きこもりになってしまったそうだ。そんな中、ベースのピーター・セテラが作ったバラードが全米1位のヒット。シカゴらしいブラス・ロックとはかけ離れた甘ったるいポップ。でも仕方ないのだ、「ヒット曲とツアー」がバンドの生命なのだ。そんな中でピーター・セテラがバンドを脱退。そんなこんなで、いやはやなんともどっこい今も生きてるシカゴ。年間100回の公演を続けている。ヒット、長期ツアー、メンバーの死、入れ替え、解雇、低迷、路線変更・・・・バンド活動を続けていると色んな面倒なことが当然のように起こる。それでもバンドを止めないのは何故か?ジェイムス・パンコウは、「バンドが好きなんだよ。仲間と奏でるのがね。」なるほど、シンプルでよろしい!それがなきゃやってられないよね。でもそれだけのために人生の大半を過ごせたということは、これ以上の幸せはないよね。シカゴは単なるネアカヤンキーのバンドと思っていたが、バンドとして生き残るための戦略・戦術を実践するしたたかなバンドだったんだなあ。奥深い映画だった。見終わって明るくなった客席を見渡したら、客は10人。ウイークデーの昼間としてもちょっと寂しい人出。それでも上映してくれた新宿シネマカリテさん、ありがとう。また見に来まっせ!最後に一句。 「 踏みつぶせ! 走れ! 銀杏遊歩道 」
2019.10.05
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