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2021.01.13
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カテゴリ: 神社仏閣・御朱印
昨年掲載した「直會神社」、その時に澁川神社の末社と書きましたが、その本社である『澁川神社』を今だ掲載していなかったので前後してしまうけれど掲載します。
名鉄瀬戸線「印場」駅で下車、5分程東に歩くと澁川神社です。

社頭南側の眺め。
神社南側の通りに社頭が接していますが、澁川神社の社地は意外なほど広い。
西側に冠木門があり、その東に素木の明神鳥居が建ち、社殿はこの鳥居の先に鎮座しています。
素木の鳥居の左にもう一つ石の神明鳥居と、この通りに3つの鳥居がある。
玉垣は更に東へ続いています。

社地東角からの眺め、こちら側にも複数の社殿が見て取れます。
通り沿いに掲げられていた旧瀬戸街道の解説板、瀬戸街道から1本南に社頭があります。

澁川神社由緒書と境内案内板、予想より規模の大きい神社。

ますば素木の鳥居まで戻り参道を進みます。
正面の社殿が異様に綺麗なのに驚きます、末社の「直會神社」の創建は676年(白鳳5)とされます。
当然それと同等かそれ以前の古い歴史があり、重厚な社殿を想像していましたがこうして見る限り、近年建立されたか、建て替えられて間もないものかと思えてしまう。

社務所から入母屋の拝殿と本殿方向の眺め。伽藍全体が新しい印象を受けます。
拝殿前の狛犬は胸板が厚く、勇猛な趣なんですが、色白なとこに若干ひ弱さを感じさせる。
足元の台座は雲をデザインしたもの。

澁川神社
創始は景行天皇の御代と伝わる。醍醐天皇の延喜式制定(905年)に伴い、​取り纏め・完成(927年)した延喜式神名帳に式内社として記される(929年)神社。

澁川神社は旧山田郡の総社で、古事記や日本書紀に登場する「高皇産霊神」を御祭神とする由緒ある神社で高皇産霊神」は高御産巣日神、高皇産霊神、高皇産霊尊、神魂命とも呼ばれるようですがどちらも同一神。​

戦国時代の織田信長により社殿改修、1688年(貞享5)には尾張藩藩主の徳川光友による社殿の再建など有力武将から厚く崇敬されていた。
その後も100年ごとに社殿の修復や1791年(寛政3)と1898年(明治31)に大修理が行われてきた。
しかし、1959年(昭和34)の伊勢湾台風では、樹齢300年以上のヒノキの大樹が数十本もなぎ倒されるなど甚大な被害を受けたようで、社殿が尾張旭市最古の建造物だったことから、文化財指定に向けて2002年(平成14)に調査予定だったが、調査の8日前に不審火により社殿を焼失。
2009年(平成21)に現社殿が再建されるまで仮社殿での運営だったといいます。

平成に入り再建された社殿は木造、なので職人の拘りが形になって現れるものですが、二段垂木や木鼻、懸魚にしても意匠をこらした飾りは少なく優等生の見本の様。拝殿を斜めから眺めた時の微妙な屋根の反り具合は美しいものがある。

澁川神社の創建はよく分かりません。
1900年前、現在の鎮座地から500㍍ほど南の蘇父河(そぶかわ後に澁川)の地で、地元民の勧進により高皇産霊大神が創祀された事に由来すると云われ、665年(白鳳5)に現地に遷座したとされるようです。 
本殿後方からの眺め。
本殿は流造で祭神の高皇産霊神の他、大年神、御食津大神、庭高日大神、阿須波大神、波比伎大神、大宮売大神、八重事代主大神の七柱が合祀。

透き塀の菱格子の先に本殿脇の「西五社の宮」も「東五社の宮」は見えてはいますが写真に収めるのは難しいようです。
「西五社の宮」は菊理姫命、天津彦根命、豊受毘売命、火之軻具土命、建御名方命、「東五社の宮」は伊邪那美大御神、建甕槌命、日本武尊、野見宿禰、菅原道真の二社が祀られています。

本殿から拝殿方向の眺め、ぐるりとひと回りできます。
下の写真は祭文殿、焼失から再建されたばかりの綺麗な社殿はこれから風格を増していく事でしょう。

祭文殿左に東を向き鎮座する境内社は熊野社(手前)、八幡社。
境内社も火災により焼失したのでしょう、台座を見て行くと大半の台座が真新しい。

社務所の前に竣工記念碑と「忌明社」。
祓戸の神(神直日神、大直日神)を祀り、参拝の順路は手水で清め、こちらの忌明社で祓いをして拝殿に詣でるのが本来の順路。
​​

赤ちゃんに石のように丈夫な歯が生えることを願い、 お食い初めの儀式でお借りするもの、使用後は再びこの場所に戻さないとね。

さて石の神明鳥居に向かいます、鳥居の先に社殿はありません。

鳥居をくぐった右に手水舎があります。

下は「黒石」と呼ばれ、名古屋城築城の際に天神川へ落としてしまった石だとされる。
大正時代に境内に移されたもので「川底の暗い世界から境内の明るい世界に移され、人々から開運の石として崇められている」
確かに上部が黒い石だけれど、これは火災の際の名残なんだろうか?

鳥居の先の玉垣で囲われた一角には狛犬がいる。
その傍らの解説によればここが火災で焼失した渋川神社の旧本殿跡。
江戸時代に再建された本殿は三間流造だったようです。以前の写真なども残るので現社殿もその造りを踏襲していると思います。
蘇父河から遷座した背景は天武天皇即位に伴う大嘗祭で、この地域に悠紀斎田が定められたのを機に、現在地に遷座したようです。
以前掲載した「斎穂社」も斎田の新穀を精選し献上するための神社でした。

旧本殿跡を守護する狛犬と玉垣で囲われた中は玉砂利が敷き詰められ、礎石らしき石が残されています。

天武天皇悠紀斎田碑の後方の二社は「神明社」(左)、「八剣社」。
斎田碑の後方には1㍍四方の小さな田と解説碑があります。
そこにはこの斎田碑はそもそもここから南にあった鳥居塚と呼ばれる場所にたっていたそうだ、それも区画整理で居場所がなくなりここに移されたようです。

悠紀斎田碑から東に「津島社」。
元々は西中町、渋川町、天神町、新東・白鳳町の各町で祀られていたものが、区画整理などで行き場がなくなりここに遷座されたようですが、今も各町内で世話をされているそうです。

津島社の右に鎮座する「渋川稲荷社」と「山神社」。
山神社は「春に山から里へ降りて田の神となり、収穫を終えた秋には山に帰って山の神となる、各家々の先祖の神様でもあり、女神であることから出産時に母と子を守る産の神、良縁・夫婦和合・子宝・子育てなど家庭の幸にご利益がある」

1878年(明治11)に伏見稲荷大社より分霊し、庄中南島(現渋川町)の地に渋川稲荷社として祀られていたが後に澁川神社境内に遷座されたようです。


清流苑入口
小規模な庭園の中から湧き出る水は「清流苑井水」と呼び、大祓神事で使われる清水のようです。

高龗社。
以前掲載した桜が丘町の高龗社から分祀されたもの。
清流苑を守護する水神さま。

連理木
境内の東に聳える樫の枝と楠の木が結びついた神木。
違う者同士一つになって大きく育つ姿から夫婦円満、離れていたものが一つに繋がる事に肖って遠距離恋愛やこの地を離れて暮らす家族を思う時にこの樹に願をかけると御利益があるという。

こうした樹はいろんなところで見られます。
接ぎ木は人の都合で作られたもので樹の意思は介在しない、こうした樹は自然の意思だけで形になっていきます、この姿を見て自然の不思議な力とそこに神を感じ崇めるのかも知れない。
こうした樹々を見て思うのは、周りと同じことをすることで拠り所を求めようとする心理に対し、自分の信念に基づいて「ひとつになりたかったんだよ」と個の意志のようなものを感じます。

境内の南の東角に石標が複数建っています。
御嶽社かと思いきや、これらは直師夢想東軍流の棒の手が無形文化財に指定された記念の様です。

社地東側の石垣、これも自然の力。
長い歴史を持つ渋川神社、火災による焼失、その後の氏子の力添えによる再建、連理木など様々な力がみなぎっている。

「渋川神社」
創建 / 676年(白鳳5)
主祭神 / 高皇産霊神
合祀 / 大年神、御食津大神、庭高日大神、阿須波大神、波比伎大神、大宮売大神、八重事代主大神
境内社 / 東五社ノ宮、西五社ノ宮、神明社、熊野社、八幡社、忌明社、山神社、八劔社、稲荷社  津島社、高龗社

住所 / 尾張旭市印場元町5-3-1

公共交通機関アクセス / ​ 名鉄瀬戸線印場駅から徒歩5分
関連記事 / ​ 高龗社 ​、​ 直會神社 ​、​ 斎穂社






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Last updated  2021.01.13 13:45:41
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