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戦車音 耳に灼けつき 税納む水子忌の 遠き闇より 鬼やらひめぐる忌の 十薬深く 根を張りて
2011.04.30
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裁板の 傷縦横に リラ冷ゆる犬の鼻 濡れて健やか 花菖蒲俊子忌の もたれてぬくき 山桜
2011.04.29
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悲しとて 嬉しとて酒 浄錬忌珈琲に 薄暑の旅の 衿湿り亡き兄の 日記に紙魚の 走りおり
2011.04.28
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闘鶏の 首真直ぐに 年迎ふ夫の顔 ひとつありけり 春の暁看取り疲れの ひと息うまし 花辛夷(はなこぶし)
2011.04.27
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遠吠は 野生の目覚め 野火はげしつばめ翔ぶ 男盛りを 車椅子兄の忌の 机にひとつ 新松子土踏まず 白く向日葵 さかんなる
2011.04.26
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根かぎり 生きて殻透く 蝸牛(かたつむり)人台に 白日の影 原爆忌山越えの 蝶にいくたび 砲谺(こだま)火の山の 息をひそめて 葉鶏頭
2011.04.25
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闇汁の 闇に猫の目 炎えておりたんぽぽに 残る月日の 傷癒す噴水の 縮みて次の 力溜む
2011.04.24
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主(あるじ)なき ベッドの白さ 冴え返るニン月の 風に乾きし 氷下魚(こまい)の目表札を 外しかねたり 春の雁
2011.04.23
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闘病の 七とせ夫に 古稀の春一口の 屠蘇を終とし 誕生日風花や 静かに出づる 献体車
2011.04.22
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手術待つ ひととき長し 雪催三日はや 透析の身の 金縛り楡落葉 さざ波のごと 病舎昏れ
2011.04.21
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夜の雪を 褥(しとね)に深き 眠りかな雁渡し 病みて実印 妻の掌に寒き夜の 妻恋ふ電話 ひびきけり
2011.04.20
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父の忌の 岬に風の 枯れ柏標本の 虫ピン光り 冬に入る降りるとき 脚を鋼に 雪の鶴氷像の 龍虎が天に 火を吹けり
2011.04.19
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海の香を 存分に吸い 秋の蝶仏堂の 暗さより出て 沙羅の花大根の 闇ほの白し 一葉忌
2011.04.17
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語りべの 皺の深さや 盆の月兄の忌の コップにあふれ 秋の水祝宴の 炎となれり 秋の薔薇
2011.04.16
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泣き砂に 足裏を灼かれ 原爆忌蟻は身に 余るもの曳き 原爆忌桑の実の 唇むらさきに 敗戦忌露草に 露を宿して 浄錬忌
2011.04.15
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夜桜の 空漆黒に 濡れており母の日や 子持ち鴉の 鋭い目万緑や 鴉谺を 楽しめり
2011.04.14
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寒椿 落ちて昭和の 終わりけり平成の 朝穏やかに 冬木の芽採血の 瞼が重 し牡丹雪
2011.04.13
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鳥帰る 茜の湖上 旋回しままごとに 母も飛び入り 柏餅一箱の 鰊干したる 語り草
2011.04.12
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烈風に 負けず咲き満つ 八重桜各駅の 桜に車窓 染まりけり俊子忌の 夜桜白く 匂いけり母の忌の 初蝶肩に 触れゆけり
2011.04.11
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転住の 濡れ手乾かず 雪となる木枯らしに 炎うばわれ ゆく女朱着物 増やし四十に 抗へりさまざまな 涙乾きて 冬に入る
2011.04.10
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寒林の 青さ眼に溜め 他郷の月明日とどく 便りと思い 雪を踏む巻き急ぐ 白菜に佇ち 他人の土地
2011.04.08
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晩秋の 足踏みしめて 送金す秋深し 九文の足袋を 余せし姑嫁ぐ娘の 衿あし細し 冬灯
2011.04.07
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商いや 青麦の波 眼に残し病院食 共にす薄ら 寒き日よ昼は夫 ならぬきびしさ 炎暑の椅子兄の忌の 銀河異国に またがれり
2011.04.06
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ひときれの 魚焼き春の 暮色濃し転住や 親子散りじりに 花の雨梅漬けて 近隣遠し 転住地
2011.04.05
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成人の 日のいくさ無き 吾子の膳流氷街より 濡れ荷がとどき 卒業す 乳張りし 夕べひそかに 春惜しむ
2011.04.04
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死火山を 覚ます春星 火の色に青蔦の 密なる夜の 胸 痛むラベンダーの 慮蜜蜂 針おさめ
2011.04.03
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一印で きまる奈落の 秋の風年々に 花見る後の 風とほる玉虫の 飛び来し胸の 若からず死顔や 無限の雪を 吸ふごとし
2011.04.02
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孫産まれし 涙まみれの 菊匂うひとを恋う 裸木に空の 青さ沁み淡々と 離れし雲に 花冷ゆる
2011.04.01
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