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一葉忌 手のひらに抱く 茶のぬくみ雁渡し 病みて実印 妻の掌にガス燈の 涼しきグラス 傾けて
2011.06.30
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再びの 笑顔に会えず 夕霙(みぞれ)空耳に 堯のこゑや 一葉散る 【堯(ぎよう)=伝説の中国の聖天子】大霜や 深き眠りの 仏たち
2011.06.29
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春愁の 多髪をそぎに 街に出る相つぎし 喪服の胸に 雪蛍転住の いくたび枯れし 山仰ぐ
2011.06.28
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春潮を 息深く吸ひ 負けむとす春の夜の ミシン柔らかき 音生めり昼寝小さし 姑の老斑 日に増ゆる
2011.06.27
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春泥に まみれしを子等 たのしめり冬長し 底つく銭を 子に持たせ
2011.06.26
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カナリヤ愛す ことよりも知らず 宿痾の婦犬に指を かませ春雪 平和なりときに病 夫に当たりて哀し 冬灯消す
2011.06.25
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酔ふてなほ 眠れぬ四方 冬の音凍てる夜を 石膏のごと もの思ふ夫病めば 侘しく冬菜 きざみけり
2011.06.24
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子は健やか 風邪寝にひびく 薪割る音こんこんと 雪野に湧ける 水うまし薬紙 たたみたたみて 冬終わる
2011.06.23
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雲雀野を 我がものとなし 予後の夫春の雨 夫にニンニクに 灸据える海青く 陸の惨火の 涙涸れる乾く天 いよいよ焦がし 罹災民
2011.06.22
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火消し壷 閉じて憩へり 啄木忌春昼の なまけて長き 犬の胴子を愛す 間も春愁の 翳(かげ)深む
2011.06.21
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春昼や 燃ゆるを閉づる 火消し壷明日あるを 信ずる漁夫に 夕焼け濃し夕焼に 躬を染めにでる 妻の刻
2011.06.20
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野火の芯 夜を人知れず 炎えてをり春昼に 命綱垂れ 電工夫夫婦にて 分業春の たけなわに
2011.06.19
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板1枚 下の安堵や わらじ虫身ごもりし 犬に激しき 青葉騒藤垂るる 北国の雲 ほぐれつつ
2011.06.18
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梅雨ごもる 姑の独言 胸を射す炎ゆる地を 恋ひゆく蛇の 一途なる蛙止む 不安や通夜の 海鳴りす
2011.06.17
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秋嫁くと 決めて振り向く 馬鈴薯の花水飢饉 つづく涼夜を 寝不足に今日も断水 朝顔を見し 顔曇る
2011.06.16
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子に過去を 問われたじろぐ キリギリス今日がすぐ 過去となりゆく 夜の花火麦潮へ 轟く港 祭りの砲癒えしばかりの 男が引ける キャンデー車
2011.06.13
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ポスターの 糊べったりと 台風期秋深む 他人の薪の 積まるる音泣き濡るる 齢過ぎたり 袷裁つ
2011.06.12
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兄の忌の 水に暑さが 淀みけり勤め妻 戻れば酢ゆき 胡瓜漬け短か夜の 黒き乳房を 静め寝る
2011.06.10
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落ちすもも 拾う主婦らの 声透る秋風に 黒過ぎる髪 くしけづる昆布買う 土間の暗さに ギス鳴けり
2011.06.09
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向日葵(ひまわり)の 伸びるたしかさ 変声期藤散りし 日をモナリザの 絵に惹かれ香水を 売りては夕べ 胡瓜(きゅうり)もむ
2011.06.08
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帰省子に 海の青さが 息づける緑陰に 愛余る犬 傲然とひそやかに 人妻が踏む 薄氷夫病みて 愛戻る夜の 樹々芽ぶく
2011.06.07
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春の泥少年ならぬ揶揄(やゆ。からかう事)を聞く待春の息やわらかく玻璃(ハリ。ガラスのこと)みがく 年長として図書室の冬ぬくし思索の夜の鰈焼きすぎしたる悔よ
2011.06.06
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寒さなか 友人一人減る 水の色初凪の 海裂きいずる 船祈る雪穴を いづ悪童の 澄める声
2011.06.05
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さみしくて 煙草くゆらす 姑の冬雪垣の 深さにこもり人 恋ふうた場末より 起る師走の こゑ寒し
2011.06.04
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えんじの足袋はいて30代惜しむ一月の 男たやすく 旅に出る閑散と 夕図書室の 冷えにじむ
2011.06.03
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秋灯や 一人角力の 恋に負け秋灯の 届かぬ闇に 犬病めり二月飢ゆ 鼠白昼 蹴梁す
2011.06.02
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座せば呼ぶ 夫につかへて 冬長し子につかへ 子に余され 枯木星増毛連山 雲はなやかに 春近し
2011.06.01
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