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順調に期待以上の喫茶巡りができ、ご満悦のぼくなのでありますが、君津駅から5分少々電車に揺られて木更津駅に着いた辺りから前半のしくじりばかりのだらしなさが露呈しだします。 どんなミスを冒したかは、語るほどのことでもないのですが、北口と南口を取り違えただけのことですが、喫茶店の多い南口側に直行すべきがうっかり北口に向かってしまいむしろそちらが古い建物が多く、ほれぼれと眺め歩くうちに予定していた時間はどんどん過ぎ去り、喫茶巡りの猶予はまたたく間に過ぎ去っていくのでした。なので木更津の喫茶報告は滞在時間同様に手短に済ませます。 「カフェレストラン 瀬里加」は、地元のおば様達御用達の食事メニューが充実したお店です。それ以上付け加えること無し。 「ブレンド」は、もう少し歳を重ねたら味わいが出そうなクラシックで格調のあるお店となるはずですが、特筆すべき楽しみはありません。 「木旺舎 本店」は、本店を曲がってビルの別面に雑貨屋を兼ねた2号店があります。それなりの歴史があるお店とのことでしたが、カフェっぽい雰囲気に気圧されて立ち寄るのをやめました。 「ラビン」は、駅前ロータリーのビル2階にある落ち着いた雰囲気のオオバコ駅前喫茶です。ここはなかなか良いですね。店のど真ん中に電話ボックスがあって、まあそれは古い喫茶では珍しいものではありませんが。駅を眺められるのも嬉しいこと。良店てす。ただしロータリー側のインテリアは限りなくカフェっぽくて味気ないので奥に進まれるのが得策。 さり気ない構えの小さなお店「タイム」は閉まっていました。 「三好家」という和菓子屋さんが定評があるようなので立ち寄ってみたのですがほぼ品切れです。軽食営業もしているようですが、新年で慌ただしいためか持ち帰りの菓子のみ販売しているようでした。アンコだけの持ち帰りは出来ぬか伺いましたがダメなようです。アンコだけで持ち帰れる店がもっとあればいいのに。どっか美味しくて持ち帰れるお店はないものかしら? この居酒屋「一番」もかっこいいなあ。
2016/01/31
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このところめっきり近寄ることのなかった京橋にやって来ました。京橋の思い出が否応もなく映画と結びつかざるを得ないのは、シネフィル予科生としては致し方ないことであって、正直大阪の京橋なんかがより豊かな記憶を孕んでいるのとは対照的に町歩きには不向きなように思われて、歯を磨く行為のように単調かつ苦痛でしかなかったのですが、そこに喫茶店や酒場という視点を加味したら突如隠れていた風景が立ち上がるのを見て、これまでの単調さが一転したように新鮮に感じられたのは今は昔のこと。そうした店どもも姿をくらまして久しく、改めて代わり映えのない色彩に彩られてしまい、まるでテレビゲームー今や死語と化している言葉でありますーのロールプレイングゲームと呼ばれるジャンルにおけるダンジョンの味気なさを歯を食いしばり通り抜けるばかりなのでした。そんな町でも古いお店が極まれにあって、ゲームなどにも酒場が設けられていてその辺、ゲーム作家たちも気が利いてると思うのですがーマンガ『ダンジョン飯』というのが、戦力を著しく削ぐことになる食料の携帯を最小限にするために食材ーモンスターーを現地調達せんとするアイデアは実に楽しいもので大いに愉快なのですが、その楽しさはむしろ脳天気なサバイバルマンガの系譜にあるようですー、やはり実際に酒が呑めないとどうしようもない。世の中にはこうしたゲームをしながら酒場に入って本当に酒を呑んじゃう人もいるに違いなくて、将来の酒場はこうしたヴァーチャル空間に追いやられるような危惧が想起されることもあります。 ともあれ、ゲームの中の酒場のように愛嬌のない「Gyo-BAR 京橋店」に入ってみることにしました。どこかで聞いたような店名なのでロールプレイングの主人公よろしく情報収集などしてみることにします。最低限の投資で有益な情報を得るという味気のない会話でありましたが八重洲と茅場町にも店舗があることを聞き出しました。そうか、八重洲店には行ったことがあったな、八重洲の呑み屋街はまだしも風情が有って、こういう日本的な町並み、というか呑み屋街を再現したゲームがあったらやってみてもいいかな、なんてことを思いながらガリハイを呑み干すのです。京橋にももっと立ち呑みあればいいのに、フィルムセンターに通う貧乏シネフィルの需要があるはずてす。
2016/01/30
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板橋駅周辺の呑み屋には、しばしば足を運んでいますがまだまだ底が知れない実に厄介かつ好奇心をくすぐられる町です。だからちょっと足を運ばぬだけで酒場の勢力図が変わってしまうこともあるようで、通り過ぎた100円均一の板橋では無敵の座を譲るはずがないと思っていた例の有名酒場がガラガラだったりすると驚愕するのはもちろんのことこれからの板橋の酒場の行方に不安さえ覚えるのでした。 さて、この夜はその価格破壊の酒場はあえて無視して駅前まで到達したのでした。しばし間もいはしたもののすぐさまとんかつ屋で呑むことを決めたのは、珍しく懐が豊かだったからに過ぎません。踏切前にさり気なくあるちょっとばかり枯れた店構えです。雰囲気を盛り上げようと道路を挟んだスナック横丁から写真をとってみたりするとやはりなかなか良さそうに見えますが、実のところは踏切そばにあるごくさりげないお店ではあります。お好きなところにどうぞと女将さんに勧められてくださいついテーブル席に。カウンターは3席だけなのでちょっと窮屈そう。奥の茶の間らしき部屋でオヤジさんが身支度を整えているのまで丸見えです。なんかほのぼのした気分になります。ビールをチビリとやりながらテレビを見るともなしに眺めます。このくつろぎきった一瞬があるのだからここは間違いなくぼくにとっては酒場そのものです。そう言えばとんかつ屋で揚げたてのとんかつ食べるのは何年ぶりの事だろう。久しく食べていないような気もしますが案外ちょくちょく頂いているのかも。とんかつはいつ食べても何だかちょっとだけ懐かしい感じがあります。親がとんかつ揚げてくれることなんてまずなかったはずなんですけど。「天寿々」は、ただでさえ感傷的になるとんかつをその雰囲気でより一層しんみりと回顧的にさせてくれるお店なのでした。 しんみりした気分も悪くないものですが、明日の活力のためには陽気で活気のある「ニュー加賀屋 板橋店」のようなお店が良いでしょう。ここの事は知ってましたが、後回しにしていたのでちょうど良い。奥に深い造りの店の長いカウンターの奥の席を陣取り、ゆっくり呑もうかと思ったのですが、どうも勝手が違う。この系列の店舗は店の人の応対によって随分印象が変わるようでこちらは苦手なタイプのお店だったようです。ぼくの好きなのはあまり客のことを構わずに居てくれるようなお店であって、ここは背後からジョッキは空いたか、つまみは足りているかなどと無言でありながらも雄弁に語りかけられているようなプレッシャーがあるのです。なので長居するのはやめておくことにしましょう。所詮酒がもたらす元気など酔いが覚めれば勘違いだと気付き、憂鬱になるばかりなのだから。
2016/01/29
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このブログをよくご覧いただけているというりんらさんからお知らせいただき、南千住の「大力」が閉店するという事実を知りました。足繁くというほどには通えていないのですが、それでも両手では数えられない程度にはお邪魔しており、前回お伺いした時は閉店時間も迫っていたということもあり、他にお客さんもなくオヤジさんと女将さんとようやくのことで親しく接しさせていただくことが叶いました。その時にオヤジさんのお年もお聞きして、想定外のご高齢であることを知りました。こう言っては誤解を招きそうですが、先は長くないぞ、せいぜい通うことにしようと思ったのでありますが、不義理なものですっかりそんなことは忘れたふりをしてしまっていたのですが、よもやこれ程に早く店を仕舞われようとは思ってもみませんでした。 18時30分頃に店に到着してみると、普段見かけないのですが自転車が数台駐輪されております。遠目にヤバイと思い足を早めますが、三ノ輪方面からやって来た二人組に先を越されてしまいました。でも入口で何やら留まっていたため背後から店内を覗き込むと、驚くべきことに人で溢れかえっています。これはどうにもならぬとここは素直に諦めてしばらくしてから出直すことにしました。再び戻ってくると自転車はそのままでしたが、先程まで混雑しておらず、幾分落ち着いたように見えます。胸を撫で下ろし、15席ほどあろうかという長いカウンターの真ん中に腰を下ろします。閉店するというのは間違いないようですが、それを告知するような貼り紙なんかは見当たりません。ぼくの目は節穴だったようで、ふと見上げてみると食器棚のガラス戸にホントにさり気なく貼り出されていました。やはり1月29日に店は終焉を迎えることとなったようです。仕方ないとは言えこうして自分の目で事実を突きつけられているのを確認すると無念な感情が去来します。他の多くの客もそうであったに違いないのですが皆さん努めて明るく振る舞っておられます。家族でお越しの母親は、この娘のがちっちゃい頃から通わせてもらってありがとうねと晴れやかな表情で告げていたり、年少らしい男連れたお姉さんはここのもつ焼は最高に美味しいのよなんて言われていて、そうかそうかぼくには一番じゃないかもしれないけど、なんてったって一串80円だしねと首肯したくもなるのでした。そうそう、カウンターにはご祝儀のつもりなのか一万円札が数枚置かれたままになっており、人それぞれにこの店への感謝を残しています。一人、あくまでわがままで、待っている人もいるのに焼物ありったけ焼いてみたいな無体なことを言う愚かなオヤジもいて、それを店にいる皆に振る舞って手の空いたオヤジさんと別れを惜しもうなんてことなら粋なのですが当然そんな様子は微塵もなく一人ガツガツと平らげていくのでした。ぼくは控えめなので気の利いたことはお伝えできませんでしたが、ありがとうの言葉だけ残して帰ることにしました。もっとちゃんともつ焼味わっておくべきだったのに。
2016/01/28
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たまには自分の欲望をぐっと呑み込んで、不本意な呑みをせざるを得ない時があるものです。この夜は、出先の宴席に参加せねばならぬので、酒場という点ではあまり魅力があるとは言えぬ新松戸が会場となっています。宴会が始まるまではまだかなりの時間があるので、この間を利用して一人で0次会を催して、次のお店の退屈さを何とか受け入れる体制を作ろうと思うのでした。早乗りした新松戸駅を降りると早速散策を始めました。考えてみると新松戸駅の周辺で呑むのは決まって常磐線と流山電鉄の線路に挟まれた狭いエリアに限定されていました。なので果たしてそこに酒場があるのか全くの不案内ですが、持て余す程の時間もあることだし、流山線の踏切を越えてさらにどんどん西方面に歩いたのでした。しかし歩けどぐっと来るような酒場に出会うことはなく、時間ばかりが虚しく過ぎていきます。やむなくたまたま目に止まったレストラン、まあ実体は町場の素っ気ない喫茶兼食堂といった感じのお店に入ることにしました。 「レストラン なかい」というお店ですが、何だかなあ、店内は中途半端に散らかっていてそれはそれでまあいいんですけど、店主の店への愛情に疑いを抱かざるを得ないようなそんなお店なのです。でもまあ酒もあるし、お手頃な酒の肴もあったりするので、ぼくにとってはやはりここは酒場でしかないのです。腹が減っていたからかもしれませんが、何年ぶりかで口にしたピーマンの肉詰めは、初めこそ何だか酸っぱくて、その正体を見極めるまでは何だか怪しげな味わいだわいと思ったものですが、食べ進むにつれそれがポン酢で味付けされたしいと分かってみると、何だかとても美味しく感じられたのです。無論、美味だとか言うつもりなどさらさらなくて、精々が家庭料理の域を出ないのですが、そういったものがしみじみ美味しく感じられるのはやっぱり年のせいなのでしょう。この味を求めてまた来よう、なんてことにはさらさらならず、でも今度家で自分で作ってみようかなと想像しつつビールを呑み干したのでした。 で、会場に移動しました。「金太楼鮨 新松戸店」です。浅草に本店のある比較的お手頃な回転寿司ではないチェーン系寿司店ー暖簾分けというような風雅な雰囲気は少しもないーで、浅草から松戸にかけてかなりの店舗があるようです。寿司屋にはとんと無縁ですし、独りで呑みに行く機会も当分ありそうもないのでどうでもいいのです。寿司が嫌いなわけではないのですが、寿司を食べてしまうとあっという間に満腹してしまい酒が喉を通らなくなるのです。刺身をつまみに一杯やって、寿司を握ってもらうというのが憧れではありますが、一時に量を食べられなくなってきているので、とても粋にそんなシチュエーションをこなせそうにありません。まあ、それはともかくとしてこちらのお店、構えは立派で広々していますが、チェーン系居酒屋とファミレスの要素が少しづつ配されていてあまり寿司を食うムードがないのが残念ですが、従業員の皆さんはとても感じが良くてそれが数少ない印象として残っています。
2016/01/27
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もう2、3年近く前のことになってしまったでしょうか、足立区に足繁く通って呑むという酔狂な日々を続けた時期がありました。実際は足立区にこだわったというよりは、東武伊勢崎線沿線などの交通手段に集中的にのめり込むというのが事実で、ぼくにはどうもそういう性癖があるらしいのです。ただし、運賃が高い路線は極力避けたいというケチ臭さもあって、都心から近いところでは北総電鉄や日暮里舎人ライナーなんかはその典型です。なので当然ながらつくばエクスプレスもまれに乗ることがあっても日常的に使いたいとは思えません。でもこの沿線の青井駅周辺は皮肉にもぼくを惹きつけて止むことがない。どうするかと言うと綾瀬駅もしくは五反野駅から歩くことにするのですね。このブログでも随分熱心に通い詰めた記録が残されているはずですので、もし興味がある方がおられたら検索していただければと思いますがまあそうはいないでしょうね。これらの店に行く際も主に綾瀬駅から延々と歩いたのであります。 さて、ともかくも再びこの嫌気がさすほどに歩いたこの道を再び辿ることにしたのは、何処かしら耳寄りな情報を得たとかいうことではなく、かつて再訪することを心に決めたその店に行かんとすることを今こそ叶えようと考えたのです。砂嵐舞い散るような商店街も荒涼たる風景が楽しいけれど、やはり初めて歩く道のドキドキにはは及ばないのです。現地の人でないと分からないと思いますが、スーパーの西友に向かう道路を進んで目指す酒場に向かっていくとなんとなんとこれ以上ないという構えのお店に遭遇したのでした。ホントは感銘を受けた目当ての酒場でじっくり腰据えて呑むつもりだったのですがこれを見たら、見ぬ振りなどできぬのでした。「居酒屋 たむら」の看板を見るや一目散に店をめがけて足早になるのですが、そんなぼくを追い抜くサラリーマンがいるのです。よもやと思ったのですが、なんとその人、この店に吸い込まれていきました。慌てて入りたいところをぐっとこらえて一息つけてから店に入ります。まあ中はそれなりの雰囲気でありましたが、それでも凡百の酒場に十分競り勝てるだけの魅力を放っています。女将さんは物腰が柔らかな感じの良い方です。お通しが凝っていてわかめとキュウリ、カニカマの酢の物や焼売など気が利いています。結局次のことを考えて肴はこれだけ。でも3杯呑むに十分な良いお通しでした。まだまだこの町には良い酒場が潜んでいそうです。
2016/01/26
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喫茶篇は未だ君津辺りをブラブラしているところですけど、喫茶旅の終点をばらしてしまえば、そこは八幡宿なのでありまして、そこに辿り着くまでのことは酒場篇ではバッサリと割愛します。それで、八幡宿駅からどこに向かったかといえば成田駅なのでありました。成田山新勝寺で初詣と洒落込もうなんて意図はさらさらなくて、初詣客相手にやってる酒場もそれなりにあるであろうという打算があるだけなのでした。その読みが吉と出るか凶と出るかはこの一年の運勢を決定付けるようで不吉ですが、今更予定を見直すのも億劫になっています。内房線で千葉駅までは20分弱、ここでもまたうとうとする暇もありません。千葉駅で成田線に乗り換えますが、ここからはそらなりの乗車時間がありますが迂闊に寝過ごすと大変です。特に佐倉駅までの総武線との併走区間はつい先だって乗車したばかりで車窓も目新しくなくて注意が必要です。と書きはしましたが、実際には眠気などまるで感じることなく成田駅に到着しました。 ひとまずは新勝寺詣でをしたかというと、成田の町はすっかり闇に包まれてきたので、のんびりしてられません。それより何より駅前に立て続けに気になる酒場を見つけてしまったものだから、疲れているはずなのに足取りも駆け足になるというものです。最初に伺う店は端から決めていました。酒場放浪記に出た「さわらや」です。想像では、参道に連なるうなぎ屋などと似通った土産物店を兼ねた食事処といったところだったのですが、それよりはむしろちょっと高級な和食処のような趣きです。雰囲気こそイメージとズレがありましたが、初詣客の多さは予測したとおりです。奥の座敷では商売繁盛を祈願した帰りらしい団体様が早くもご機嫌様になって身支度中です。なのに連中ったら一向に引き上げる様子がない。こちらは正月明け早々というのに独りカウンターとは周りの客の目にはどのように映ったものやら。日本酒の品揃えはなかなかでありますが、地元にあってはやはり成田の酒を選ぶべきでしょう。って気取ってみせますが最も安価だっただけのこと。家族総出で店を切り盛りしていて、それは見ていて悪くないものでした。が、酒場としてはどうかと言えばまあそうそう足を運びたいというタイプのお店では残念ながらありませんでした。あまり長居する気にもなれず席を立つことにしましたがそれからも予約の電話がひっきりなしに鳴っており、かなりの人気店であることが察せられます。先の団体は、また来年来ますとやれやれまだいたんてすね。 駅への引き返す道すがらに「弁慶」という枯れた構えの酒場があります。ぼくにはやはりこちらの方がずっとしっくりとします。先客にはおぢさんと若い母娘がおります。別にこのおぢさんと家族ではなくてたまたま居合わせただけのようですが、どうしてわざわざ母娘でこのようなお店にいるのやら、奇異に感じます。店は酒場のオヤジ以外に見間違えようもないオヤジさんとこれまた若い女性が配膳担当。言い方が悪いかもしれませんがまさかこんなオヤジ向けの店に若い女性が三人もいるとは思ってもみませんでした。市場もまだ拓いていないらしく魚介は品数が揃わないみたいですが気になりません。ここでは抑えめの照明の元で黙って盃を傾けるだけです。こうした店を後にするのは辛いもの。いつまでも浸っていたい気持ちを引き剥がすように席を立つと次なる店に歩き出すのでした。
2016/01/25
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安房勝山で望外の幸運により2軒の喫茶店にお邪魔できた興奮をなだめすかしながら、またもや内房線の列車に揺られ、上総湊駅に向かいます。わずか15分とかのぶつ切り乗車で乗り降りを繰り返すのは、案外くたびれるものです。でも30分も乗車していると朝が早かったこともあり、間違いなくうつらうつらしてしまうであろうことを考えると身体に負担は掛かりますが結果として違いでなかったはずです。前半のうっかりミスの連発を再現することは避けなければなりません。 駅前に降り立つと食堂がごあるのを前回暗がりの中に確認していましたが、これ以外めぼしい店舗もなく、この日下車したいずれも寂れた町並みの中でも最も寂しい雰囲気があります。このような駅前に果たして喫茶店が残って、営業をしているのか不安になります。事前にストリートビューでチェックしてみたのですが、一軒は店舗らしきものが確認できましたが、もう一軒はかろうじて看板があることは見て取れますが、店舗の有る無しさえ定かではありません。ここで言い訳しておくと今回のここまでの喫茶店は、事前にチェックしています。いろんな駅に下車して散策するのは楽しいことですが、そうそう多くの時間を房総巡りに費やす余裕はありません。内房線の君津から先は1時間に一本の運行なので慎重にもなります。ともあれ、ネットで見たとおりの看板が見えてきました。 看板には「喫茶 富士」とあります。いかにも期待が高まる店名です。看板の先に路地があってそこを抜けるとぽっかり開けていて、そこに「喫茶 富士」はありました。こちらの外観の素晴らしさは、余計なことは語らず写真を見ていただければ一目瞭然です。興奮して写真を撮っている姿をママさんがしっかり見ていたようです。興奮を抑えるためにもう一軒を眺めたり、味のある食堂などを眺めていても気はそぞろになり、結局ざっと町を一巡りしながらも、こんなことをしているなら早く先に見た素晴らしい喫茶店に行き、少しでも長く留まるのが良かろうと急いで引き返したのでした。するとママさんお帰りなさいと出迎えてくれて冷や汗をかいてしまうのでした。こうした場合はしれっとして店のお世辞をしながら席に着くくらいの経験はあるのです。店は37年目と思ったより古くはありませんが、店内はちょっとスナック寄りの雰囲気もありますがけして悪くないのでした。海のそばで住みたいと浅草の自宅を引き払いこちらに移り住んだ方が、年を取って寂れていく町に不便を感じ、また浅草に戻られたというご高齢の方がいるそうですが、その方は結局一週間して戻って来られたとお話くださいました。ここら辺にも居酒屋はあるそうですが、送迎車付きというのが一般的なようで、ぼくにはまだここで住むのは無理だななんて思ったものです。開店したばかりだったようで、コーヒーを入れる傍ら、珈琲と書かれた提灯を軒下に下げておられましたが、これはない方が圧倒的にカッコいいので、割愛します。 もう一軒の「カフェ ド ロペ」は、旅館併設の喫茶店で、人の気配はありますがこの日はお休みのようです。旅館に宿泊するお客さんの食事処として使われているのかもしれません。 上総湊駅から君津駅までは20分少々で到着しました。ちょっと眺めの乗車時間でしたが、興奮冷めやらぬこともあってか、うつらうつらすることもなく巨大観音像を眺めたりしているうちに到着してしまいました。前回来た際に君津には絶望的な気分にさせられたのですが、「歩歩」という喫茶店だけは、入ってみたくなるくらいの雰囲気は放っていました。前回入れていたらわざわざ今回途中下車する必要もなかったのですが、つくづく前回の行程には無駄が多すぎました。さて、店内は予想していはいましたが、やはりスナックっぽい感じでざっと見にはカラオケセットはありませんが、唯一のお客さんはビールを呑んでいます。照明に工夫があったりまったくよくないということでもないのですが、敢えて途中下車するほどの店ではなかったように思います。店は開店後35,6年になるようですが、大体同じくらいの年季がある上総湊の「富士」と違ってあまり愛嬌のないお店でした。 もう一軒見掛けていた「喫茶 花絵」は、その際前を通った時のですが、それほど惹かれなかったので寄らずに済ますことにしました。
2016/01/24
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北松戸駅の柏よりのホームから東口側を見ると線路に沿って駐輪場があって、その向こうの角地に居酒屋さんがありました。「はづき」と言いましたか。そのお店の看板がいつの間にやら撤去されていて、さらにしばらくするとやきとんのお店の看板になっていました。その看板が出てからオープンの日を楽しみに何度か出先の西口から東口に渡るという手間を惜しまずにいたのですが、さすがに無駄足が続いてくるといい加減に馬鹿らしくなってしまう。これを最後にしようと何度目かの無駄足を運んだところで店の照明が灯っています。あなうれしと戸を開けて入るとクリスマス明けに開店するとのことです。 念願と言うまでのものではないけれどこれ以上の苦労はしなくていいと思うと早めに行っておきたいのが人情です。出先の知人を誘って「やきとん 建ちゃん」にやって来ました。期待が高かったのもあるんでしようけど、味、お得度、そして何より雰囲気のいずれをとっても標準、いや開店したばかりでこう言ってしまっては酷な気もしますが正直そこまで至っていないように感じられるのです。なんていうかやる気のオーラが微塵も感じられないのです。いや別に開店したばかりなんだからオープンフェアとかをやれとか言ってるんじゃなくてーこう書くこと自体が暗に催促しているー、もう少し笑顔とかあってもいいんじゃないか。つい会話も声を潜めがちになって意気が上がらないことこの上ない。そんなこともあってか他にお客さんは一人だけで、われわれは示し合わせたけではないものの視線を合わすと悟ったように身支度を整えるのでした。 こちらも他にお客さんは一人だけでしたが、ここは一人でも不安にならぬのは年季のせいか。西口の線路際の狭い路地にある「根ぎし」でありますが、ここは結構古いお店らしいのですが、こうした古くていつも空いてるようでいながらも潰れることもなくしぶとく根を張って商売を続けているお店は、きっと常連が付いているに違いないのであって、先の開店したばかりでこれから常連客を確保しなければならないのとは前提に大きな開きがあって、到底同じ土俵には立てないはずです。こちらも静けさに包まれていますが、先ほどの居心地の悪さとは間逆な寛げる環境なのです。と書いてみてはみたもののさすがにこんなに空いていて大丈夫なのかなあとちょっと心配です。
2016/01/23
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さあ、菊川で呑もうか、なんてことにはなかなかならないもので、振り返ってみても菊川が呑み始めであるということはあまり経験がないーと思うのですー、森下とかその周辺の何処かしらから流れてきて、いつの間にか菊川で呑むという事になるのがほとんどで、直接菊川駅に来るなんてことは、ん〜なかっただろなあ。ああ、そう言えば喫茶巡りでここで下車したことがあるかもしれませんが、とにかく印象に薄い町であることは間違いありません。 目当ての店に向かうつもりでしたが、目の前に「立ち呑み しろ」というのがあったので、まあ見過ごすという選択肢もありますが、そうはいかぬのがらくの悪い癖。目先の餌におめおめと乗せられてしまうのでした。消極的な言い様になるのは、この愛想の欠片もない退屈な店構えがあるからです。表から見てもお客の姿もまばらでそれほどの人気店とはとても思われぬ。グタグタ言っていても結局入るんですけど。空いていると言っても長テーブルにせよカウンターにしろテレビの視聴に都合のいい立ち位置に客たちはバランスよく配置していて、付け入る隙もなくカウンターの端に立つとそこは配膳などの作業場として使うので動いて貰いたいとのこと。絶句するとともに途方に暮れてしまったぼくを見かねたという事ではないのでしょうが、ちょうど勘定を済ませている人がいます。そこに滑り込ませてもらいます。壁全面に貼り巡らされた品書きを見るに、酒は安くはないものの肴は大層充実していて、板書されたオススメ品はとりわけお手頃です。わざわざ電車に乗って訪れるようなお店では当然ないのですが、普段使いには重宝しそうです。待合せなんかには格好です。 しばらく駅のある交差点を周回してみるもののこれといった酒場がありません。せっかくなので森下駅方面に行こうかと裏路地を歩いてみると、明るい看板のちょっといい感じの居酒屋の死角に素晴らしくいい感じのもつ焼き店がありました。やったぞぼくと嬉々として戸を開けるのですがカウンターはほぼすし詰め状態となっています。焼場の主人がごめんなさいねぇと言われては諦めざるを得ますまい。でもここはわざわざ電車を乗り継いで来る価値ありと判断しました。次の機会を楽しみにします。 やむなく森下への足取りを進めると「丸吉」という椅子はあるもののムードは立ち食いそばに限りなく近いお店があり、おでんがオススメと掲示があります。かなり冷え込んでいたのでおでんも悪くないと店に入ります。カウンターばかりの何処かしらから雑然とした店で、そば屋にしては湯を沸かしている様子も見られず、品書きも焼魚などのそば屋らしからぬ品も多く、何でもありの商売のようです。頼むつもりだったおでんがお通しとして出たので、鯖を焼いてもらおうとすると、それはできないサンマはあるけど、アジではダメかしら。じゃあポテトフライをとお願いするとそれもダメとのこと。そうそう燗酒を呑むつもりが、野菜ジュース割があったので日頃のビタミン不足を補おうと頼んでみるとそれもなくて、トマトジュース割になるのでした。マスター来ないとダメなのよねと、手伝いのおばさんではできるものが少ないらしい。諦めておでんを肴に2杯だけ呑んで勘定すると、お役に立てなくてすいませんですって。まあ酒さえ呑めればそんなに不満はないんですけどね。
2016/01/22
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東京に生まれて、酒を呑めるような年頃になってもなお訪れたことのない東京の町があるのはまあしょうがない。でも東京人として生まれついたからには、東京のことを知らずにどうする、なとと偉そうなことを年少の連中に時折語ってみるものの今のところ彼らーまれに彼女ーに響くところはないようです。本音を言えば、同好の士を見つけて、そいつらを斥候のようにこき使ってほくの町巡りを効率化させんという遠大な意図を含んでいるのですか、今のところ上手くいっていないようです。ともあれ都内をこまめに歩いている人でもここ尾久には訪れていない方が多いのではなかろうか。だってわざわざここに出向かせるような何かがあるわけでもなく、実際行ってみても切なくなるばかりです。しかもここには東北本線というか宇都宮線の列車で訪れるしかないのです。まあ実際には都営バスも走っているのでくださいそれほど不便ということでもないのですが、住民以外の方でわざわざ下車する人も多くはないはずです。でもこういう町だからこそ何だかやっぱり切なくなるような良い雰囲気の店がわずかばかりですがあるものです。 一軒目は「レストラン ふじ」にお邪魔してみることにしました。尾久駅からもかなり外れたところにあるので、それこそバスを使うのが常套ですが、ケチ臭いぼくは田端駅から退屈な夜道を黙々と歩いたのでした。以前やはり同じ道を歩いた時に食堂と中華料理店を見掛けていて、そこを訪ねてみることにしたのです。さて、初めに入った食堂は思ったよりも古びていないのですが、ガラス張りのアルミ引戸の粗末さが工場街のあくまで実用に徹した感じで悪くありません。店内にはおばさんの姿が見えるので勇んで戸を引いたのですが鍵がかかっています。よもや早くも店じまいしたのかと落胆しそうになったのですが、おばさん、こちらに気付きゴメンナサイと無事入れていただけました。冷え込んでいたので日本酒を燗してもらいます。結構広い店なのですが他にはお客さんもなく、テレビのニュースなどぼんやりと眺めながら、暖かい酒をゆるりと呑むのはなかなか優雅な気分です。まあ優雅なのは気分岳で、呑み食いは質素極まりないのです。値段はそこそこするのでケチ臭い注文でしたが串カツがちょっと美味しかったなあ、ナポリタン付きも食堂らしい付け合せで嬉しい。 さて、すくご近所に「中華 五番」があります。ここ、場所が尾久でなければそれこそとっくの昔に来ていたはずというくらいの佇まいなのは見てのとおり。こうして遅れ馳せになりながらもやって来れて幸せです。営業していてくれて有難う独りごちてみたりして、客にあるまじきへりくだりようにもなるというものです。経験的にこうした店は、一人も客がいないもしくは地元民で一杯なんてことが有り得べきパターンなのてすが、意に反して独りだけそれも一見さんだけだったのでした。その方は早くもビールの大瓶を2本呑み干しておられ、さらに焼肉定食を平らげようというのだから立派。ぼくなど中華料理店にお邪魔しておいて申し訳ないのですが餃子だけで腹一杯になりそうです。他にもレバニラや麻婆豆腐などの肴がありますがとても食べられそうにありません。店の初老の夫婦の連携は抜群ですが、何より旦那さんの調理の早業は驚くべきものです。これならもっと繁華街に近くてもお二人で充分に対応できそうです。餃子も皮の透明感が素敵でひと工夫あるようです。雰囲気も良くて、味もいい、また来たいものてす。
2016/01/21
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常日頃、安酒場で安酒ばかり呑んでいて、職場の同僚などには目潰れるぞなんてことを言われたりもするのですが、この夜は旧知の仲であるとある男と飯田橋で呑むことになりました。この彼氏というのがちょっと風変わりな人でありまして、東京郊外に住んでいるのに都心の町のことを全然知らないーそういうことなので飯田橋ばかりでなく神楽坂さえほとんど地名しか知らないー、全くの無趣味である、酒は週末のみーあっ、これは普通かー、肉が嫌いで丸のままのきゅうりが一番の好物など書いているとまあさほど変わり者という感じもしませんが、あまり身の回りにいないタイプなのです。そんなことはまあどうでも良くてこの彼氏が何度か約束を反故にしたということで、詫びを兼ねてご馳走してくれるというのでした。でも高いところはダメよと言うので、イメージ的に安くない神楽坂は避けて、坂の下の呑み屋街で初めての酒場を探すことにしたのでした。 飯田橋ギンレイホールは今でも二番館としてーロードショー落ちのフイルムの再利用システムとして、度々利用したものの実のところは目黒シネマ同様に分かりきったプログラムばかりでさほど贔屓にしたわけではないー、地下も含めて時折お邪魔したということもあって通るたびに感慨深くなざるを得ないのです。そんな思い出深き地の目と鼻の先に「大衆酒蔵 鳥よし」があったことを知らなかったわけではありませんし、もしかすると立ち寄っていたのかもしれません。でもまあ記憶にない店は行ってないのと同じことなので、その大衆的な雰囲気に惹かれて入ってみることにしたのでした。で早急ではありますが結論としてはごく当たり前のこれといった個性のない居酒屋でしかないのです。それがいいとか退屈なんては言いません、でもこの10年、20年とやってきた店でこのままでやってやれるかは疑問の残るところです。いや、でもこのままでいて欲しいという気持ちがないわけではないのです。これだけの入りをずっと続けて来られただけのなにがしかがあったはずだし、そこにぼくはなにがしかの郷愁を感じたらしいのです。 たまにはそば屋で呑みたいなと思ったら「志な乃」という雰囲気がある店に出逢いました。あゝ、ぼくはまだまだ呑む気満々なので正直そばで〆るつもりはなかったのですが導どうしてもそば屋呑みを経験してみたいというスポンサーのご意見は受け入れざるを得ないのでした。店内の様子は極めて平凡で、いつも思うのですが外観はカッコよくても店内が整然とテーブル席が配置されていることの多いそば屋の景色にはもう飽き飽きしているのです。稀にただならぬ程に意表を付いたすごい店があるからうかうか見過ごせないこともありますが、大多数はこの退屈さに与しています。神田淡路町の名店のような長テーブルで相席というのは合理的かつ情緒があると思いますが、多くの店で採用している四人掛けテーブルというのが分からない。そばなんてものは基本独りでやって来てパッと呑んでパッとそばを手繰って済ませるようなものであって、4人でたらたら呑み食いされては店側も迷惑だろうに。そんなに家族連れが多いとも思えないしなあ。それはともかくとして、こちらも残念ながらここでいう退屈なお店なのですが店の人がとても感じが良いのが美徳です。余談ですがこちらのお店、見かけよりずっと古くからやっている店であることを、たまたま鉢合わせしてしまった神楽坂出身の仇敵から聞いたのでした。
2016/01/20
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阿佐ヶ谷のちゃんこ屋さんで呑むことになりました。別に好んでちゃんこ屋に来たわけでなく、正直食が細くなっているのを日々感じている身にとっては、大量かつ安価に摂取することを主たる目的として開発されたちゃんこ鍋は、大して食べられぬくせに腹ばかり突き出てきた自らの見苦しい姿をこれ以上ひと目に晒さねぬ事態とならぬようむしろ忌避すべき調理法なのでありますが、誘われた以上は断るわけにもいなぬ浮世の事情があるのてす。 そんなこんなでやって来たのは「ちゃんこ料理 たなか」です。南口の東京銘菓ナボナのお店を右折して、しばらく歩くと見えてきます。途中なぜか縁のない雰囲気のある呑み屋街を指を加えて通り過ぎ、目当ての店に向かいます。1階のテーブル席だと嬉しいのですがそうもいかずこの夜は2階の座敷が会場です。1階にはなんだら人相の良くない親分が従えた背広族が呑んでいるばかり。壁にはもと相撲取りだったらしきオーナーの写真が飾られています。正統派のお相撲さん系のちゃんこ料理屋のようです。その味とかなんとかはさておき、とにかく量の多さがぼくを圧倒します。ある程度の量を食べるには酒の力は絶対です。当然のように相当酔っ払いのおぢさんになり果てるのでした。 そんな状況で「善知鳥(うとう)」に行ったところで、存分にこの店のクオリティーを堪能できるはずもない。それでも行ってしまったんですね。店に入ってからお通しの茶碗蒸しだったかを肴にして燗酒を呑んだとこまでの記憶は案外鮮明で、今でもそのカウンターの落ち着いた雰囲気や若く真摯な感じの主人の丁寧な応対、上品な料理と好ましい印象を受け取ってはいます。でもこれはぼくにとっては居酒屋というよりは小料理屋とか割烹というのがイメージに近いようです。太田和彦という人の好む居酒屋というのが近頃さらにこういったタイプに偏向しているようてす。特に地方都市の居酒屋となるとこうした店が多いようで、正直あまり参考にできません。迂闊にこの人のオススメの店をハシゴしたりすると帰りの電車賃まで使ってしまうことになりかねません。ともあれ、そんな次第なので折角思い切って念願の「善知鳥」にお邪魔したというのに存分に味わえなかったのは残念至極でありますが、次の機会は当分訪れそうにありません。
2016/01/19
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木更津駅西口駅前をちょっと歩いた路地にある呑み屋街とも呼べぬ程度の慎ましく呑み屋がパラパラと軒を連ねる一角の呑み屋の一軒を出ました。この辺の店は呑み屋の体裁でありながらも屋号には食堂という文字がもれなく付いています。これは西口をしばらく行くと港があって、その港で働く人たちが昼夜分かたず足を運んで、これから仕事の人は食事を取り活力を得ていたり、人によっては勤務明けで次の仕事までの鋭気を養わんと酒を呑むといったことがあったのではないでしょうか。そんな中の一軒「山孝食堂」は、とりわけ立派な構えでたいそう賑わっているらしきく、客たちのさんざめきが漏れ聞こえてきます。ぼくなどは日がな人気のない町を彷徨ってきたので、そろそろ人恋しくなる気分ですが日頃は店の選択にあまり口を挟まぬA氏が珍しくもここは避けたいとのキッパリとした主張をしたので引かざるを得ません。 そこで入ることにしたのが「三孝」です。一応は中華料理店の体裁でありながらも夜は酒場として使うのが本流のようです。カウンターがメインなのは中華料理店らしいのですが、温泉宿の応接セットみたいなのが縦に配置されているのがちょっと奇異な印象です。人の良さそうな夫婦がやっているお店で気兼ねのない雰囲気を好んでか、地元のおっちゃんたちが結構入っています。たまたま店に入る前だけ天使でも通ったのか静まり返りましたが、入ってからは大いに騒がしいくらいなのでした。キクラゲの卵炒めとかイカバター炒めなんかを頂きましたが、いずれも大変な量で満足度が高いのも、おっちゃんたちが好む所以でしょう。これなら一品頼んだら何杯でも呑めそうな位です。木更津まで来て少しも地元の幸をいただかないのはいつものことでありますが、地元の方が集う店で呑んでいるとこれもやはり地元の味だと思えるから不思議です。 都内までの最終電車の時間まで後1時間程しかありません。ここは最後もA氏の意見を採用して「酒処 みよちゃん」に入ってみることにしました。アルミ扉の外観のチープさにはぼくも惹かれていたので文句はありません。うねった造りのカウンターには先客がおり二人が座るには窮屈そうだったので、2卓ある小上がりに上がらせてもらいます。席に着くや呑み物を注文、煮込みなどのお通し付きなのでもう肴は十分です。気さくな女将さんは見慣れぬ我々に興味津々のご様子です。木更津の町のことやこの辺りの呑み屋の話を常連さんを含めていろいろ伺ったはずですが不思議とその内容はほとんど記憶にありません。さすがにここに来て疲れが出始めたのかもしれません。時間いっぱいまで楽しく酒を呑ませて頂きました。店を出ると女将さんは外まで見送ってくれて、また木更津来ることがあったらぜひお寄りくださいと仰ってくださるのでした。 さて、喫茶篇では後半が開始しておりますが、酒場篇前半もこれにて終了です。
2016/01/18
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昨年の暮れに外房線を中心に日帰りの旅をしたばかりですが、正月開けてすぐに18きっぷの最後の1回分を使って、今度は内房線をメインに旅することにしました。時系列としてはこの他にも2回に分けて小さな旅に出掛けたのですが、話の流れを良くするために、前半に引き続き後半に突入することにします。 朝の6時には秋葉原駅から千葉駅行きの電車に飛び乗ることができました。 館山行の内房線に乗り換えて始めに向かったのは、岩井駅でした。本来であればここには前回下車しているはずでしたが、度重なるミスで通過を余儀なくされたのでした。駅前には「喫茶・軽食 亀」という岩井駅には数少ない地元の方が集うのであろう喫茶兼スナックのようなお店がありますがまだ開店前のようです。駅前通りの雰囲気は前回下車したものの何ら得ることのなかった、でもこの次に下車するつもりの安房勝山駅の駅前風景とダブるものがあります。駅前通りを南下していくと郵便局の裏手に「カフェ シャレード」がありますが、随分前に閉店してしまっているようです。窓越しに店内を覗かしてもらうと、茶色をベースとした案外正統派の喫茶店らしいムードがあって、カウンターのスツールは幾分かスナックっぽいものの革張りのソファは今でも現役で全然使えそうです。ここが目当てだったのですが、やってない以上、長々と留まっていてもしょうがなく、次の上り電車が来る1時間を民宿街など眺めながら潰さざるを得ませんでした。 余裕をもって駅に戻って、ホームを繋ぐ跨線橋を渡ろうと階段を上ると視線の先に掘っ立て小屋があって、そこには「やきとり 田舎」とあります。思わず引き返して正面に回り込んでみると案外普通ですがそれでも気になるなあ。一度は入ってみたいと思うのですがもう来ることは恐らくないだろうなあ。 9:28には、安房勝山駅に到着します。前回は辺りが真っ暗になって人通りはなくとも車通りの多い夜道をこわごわ歩きました。海岸線に面しているためか先ほどの岩井駅と似通っていて、下車してみたところで、岩井と同じく営業などしていないのではなかろうかとの懸念が渦巻いて列車が到着してもホームに立つのを躊躇ってしまうのは、誤魔化しようもありません。何と言ってもここで下車して目当ての両店がやっていないとなると1時間以上を無為に費やさざるを得ないし、初めて下車した岩井ならともかく、ここ安房勝山は夜とはいえしっかり散策してしまっています。目当ての喫茶店の一軒目はまだ営業前です。祈るような気持ちでもう一軒に歩き出しました。 「ながい喫茶」の脇の住居部分らしきところを男性が慌ただしげに行き来しています。これは開店準備中かと店の前に回り込むと嬉しいことにやはり店を開けるところだったようです。岩井駅を諦めてここに直接来ていたら入れぬところでした。運が悪いと思ってみたり付いてると思ったり喫茶を巡る旅は気持ちが揺れがちです。さて、開店早々に入店した店内は特にどうという程の特徴があるわけではないのですが、オーソドックスなインテリアにこれはなかなか魅力的な球状のランプシェードと木製の鉢植え付きのパーテーションが控え目ではありますが店に彩りを与えています。こんな人通りもまばらな場所で喫茶店の利用などそうそうなさそうですが、さすがにそんな不躾な質問はできなかったのでした。 駅からすぐ、内房のメインストリートらしき自動車道路に突き当たる角地に商店を併設した「佐知」があります。先に通った時には閉まっていましたが、思い切って扉を開くと明かりこそ灯っていませんが奥に人の気配もあります。声を掛けてみると初老の女性が姿を見せてくれました。明かりが灯ると一見地味に見えた店内が華やぐのを感じます。「ながい喫茶」と似たオーソドックスな内装ではありますが純喫茶として過不足のない魅力があります。ママさんは寡黙で愛想もないのですが店をやっていてくれるその一点だけでも素敵な方に思えてしまうのです。ぼくにコーヒーを出すとすぐに奥の住居の茶の間らしい部屋に引き上げられてしまいましたが、ごく稀に訪れるぼくのような奇特な客が来た時だけ照明を灯すのでしょうか。駅前すぐということもありついついくつろぎ過ぎて危うく電車に乗り遅れるところでした。これを逃すとまた1時間をこの町で過ごさねばなりません。
2016/01/17
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東武東上線の大山駅には、ここで働く呑兵衛なら避けて通ることなどできないであろう「鏑屋」という煮込みで知られる大衆酒場があるのは、つい先だって報告したばかりなのでご記憶の方もいらっしゃることでしょう。いや、このブログなど読むまでもなく酒場放浪記にも登場していますし、第一こんな独りよがりの我儘呑兵衛ブログをご覧頂いているような皆様であれば、きっとハナからご存知だったかもしれません。でも今回報告するのはそこではなくて、同じ東上線の中板橋駅にある姉妹店ー兄弟店?系列店が正しいのかーにたまたま遭遇してしまったのでその報告です。こんな姉妹店なんてものがあったなんてこと、ご存知でしたか? 実はぼくは姉妹店があることは知っていたのです。でもそれが中板橋にあるなんていうことは露知らず、しかも店名もさり気なく変化させてるなんて思ってもみなかったのです。まあそれさえ皆さんにとっては周知の事なのかもしれません。 「鏑川」という店名を見て、すぐにピンときたのですが別に鋭い推察力を持ち主であるなどと吹聴したいわけではなく、この鏑なんていうあまり馴染みのない漢字を用いているだけで容易に推測できるのです。大体において恥ずかしながら大山の酒場を知らなかったとしたら、この漢字を正しく読めたかどうか、甚だ心許ない。蕪であれば何とかかぶらと読めただろうけれど、鏑はどうやったってかぶらとは読めそうもありません。まあ、酒場巡りをして数少ないメリットがこの感じのよみを覚えただけとあってはなんとも情けない限りであります。などという約体もないことをくどくど述べるときは、特に語りたいことがないことに加えてそこそこ酒が入っているに違いないのであります。誤解があるとまずいので最初に言っておきますが、別にこちらのお店がイマイチであるとか言う訳でなく、客の多さからも知れる通りなかなかに良いお店で、ぼくにはむしろ大山より居心地よく思われるのはカウンターの造りの良さがそう思わせてくれるのだと思います。古い酒場にはありがちなのですが、大山のお店は、カウンター席に着くと背後の通路を通る酔客の被害に晒されることが少なくなくて、いかにも扱いの良くない席を独り客に充てがっているんだなという被害妄想めいたひがみっぽい気分になってしまうのですが、その点こちらはカウンター客にもけしてそんないじけ根性を持たせぬように配慮されていることが孤独なぼくの気持ちを和ませてくれるのです。
2016/01/16
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新大塚とあたかもそんな地名があるかのように書いていますが、恐らくそんな住所表示などなさそうです。ここで新大塚と書いているのは、東京メトロの丸ノ内線の新大塚駅周辺のことを意味しているのですが、この辺りまで来ると三業地なども残るそれなりに歴史のある繁華街であるJR大塚駅界隈の猥雑さは影を潜めています。この辺りは随分以前からよく歩いていて、町の移り変わりもある程度は把握しています。こんな発言ができるのは、けして過剰な自負があるからではまるでなく、ほとんど当時と代わり映えしないからというに過ぎないのでした。実際、当時から営業している喫茶店なんかも残っていますし、これから伺う予定の居酒屋も以前見たそのままに営業をしているようてす。 まずは数少ない見慣れぬ酒場にお邪魔することにします。新大塚にはあまりなかった今風のオープンな雰囲気の店構えで、外観同様の今時の酒場なんだろうなとあまり期待もせずに入ることにしました。「やきとん酒場 マルコ」というお店で、後からネットで調べてみたらもうかなり情報が流布されているようで、その評判は概ね好意的なもののようです。実際評価に違わず、看板商品のやきとんを頂くとその実力がなかなかのものであることが察せられます。ちょっと早めの時間帯だったのに加えて、場所柄もあるのかサラリーマンは少数派で、大概はぼくと同様にカウンター席で独り酒であるのに対して、老人グループや学生グループという酒場としては何とも奇妙な客構成となっていたのでした。いずれにせよこの酒場が絶対的に足りていない町に頼もしいお店ができたことを喜ぶことにします。 さて、続いて入ったのは「北海から来た男 新大塚店」です。民芸調の構えが昔から変わらない炉端焼きのお店です。店の造りも店名もいかにもな感じです。このお店、池袋の新文芸坐のそばにあって一度お邪魔したことがありますが、ここは初めてです。全国的に炉端焼きのお店ってその工夫のなさの割には、値段もお高めだからです。例外的に新橋に数店舗ある炉端焼きのお店は安価で、そこへは折に触れて出向くのですが、折に触れてというのはこういうタイプの店が好きな人と一緒になった時であって、好んで行くことはまずありません。なのにどうしてここに入ることにしたかと言えば他にこれといった酒場が見当たらなかったからに過ぎません。客の入りはあまり良くなくて、ぐるりと焼場を囲むカウンターも空席が目立ちます。
2016/01/15
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またまた南浦和にやって来ました。本当は北浦和に行くつもりだったのですが、面倒くさくなったので電車を飛び降りてしまったのです。と書くとまるでぼくが横着みたいですが、この夜一緒に呑んだのが南浦和に住んでいて急に呑んでから再び電車に揺られるのが嫌だったみたいです。ぼくなんか北か南かいずれにせよ最寄り駅まで30分は暗い車窓を眺めねばならぬのだと思うと気分は良くありませんが、最初のラーメンを奢ると言われてはひとたまりもないかと言うと、ぼくはその位の誘惑では乗せられるはずもないのでした。 どうやら同行した男は面倒さと同じかそれ以上の空腹の衝動を抑えきれなかったらしいのです。でも面倒とか空腹という理由と奢りを秤にかけても乗るわけにもいかないと言ったにもかかわらず、まんまと南浦和駅で下車したのにはぼくに抑えがたい弱点があるからなのでした。連れてこられたお店は「利兵衛」という見てくれも全く興味をかき立てられることのない退屈極まりない店構えなのでした。でもこのラーメンはちょっと変わっていてカレーラーメンだというのです。カレーと言われて意思を通せるほどにぼくは食欲から解放されてはいません。飽きっぽいぼくですが、ことカレーとラーメンであれば毎日だって大丈夫なのてす。てもカレーならどこの国風のものであっても大概は喜んで食べますが、ラーメンは極々シンプルな醤油味であればという条件があります。でもカレーとラーメンが一緒に食べられるんだったらもう文句の付けようはありません。そんなわけでわくわくしながら待って出された品はまあ悪くはないのですが、思っていたのと全然違っています。こちらはつけ麺だったのですが、具材で一杯、残りのスープでラーメンという流れはありえなくて、飯を食いなが酒、しかもビールを呑むという残念なことになってしまったのでした。 そんなこんなで「やきとり まるさだ」という、飲食店の何軒か入った雑居ビルの1軒で、トンネル状の抜けられます的な通路は場末の呑み屋を好む者を激しく誘惑する店に入ってもお腹いっぱいで、今ひとつ呑みに気持ちが移行しません。呑んでからだとおかしいくらいにラーメンなど食べ干してしまうのに、呑む前の一杯がこれほどまでに呑む気を削いでしまうのはどうしたものでしょうか。このいかにも王道の呑み屋という雰囲気がムンムンのこの店で、呑み気が湧かないとなるとこの先自分は果たして大丈夫なのだろうかと不安にもなるのですが、たった今普通に呑んでることを思えばきっと問題なさそうです。って、今もお腹一杯で、延々とバスの到着を待ってるんですけどね。
2016/01/14
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弘明寺駅は、京急本線と横浜市営地下鉄のそれぞれに同名の駅があります。弘明寺商店街は、その両駅を結ぶように伸びるなかなかに大きな商店街で、しかも寂れない程度にうらびれ感もあって好きな商店街の一つです。その外れの雑居ビルの一棟に渋いけれどいかにもここにあるのが当然であるかの如くに町の風景に溶け込んでいるーでも喫茶好きであればここを見つけたら喝采を上げずにはいられないであろうー喫茶店もあるのでしたが、それはこの沿線の喫茶店をまとめて紹介することができた時のお楽しみにとっておくことにします。 そんな喫茶店と道を挟んで一本さらに裏手の通りに「越前屋 田中商店」はありました。これぞ酒屋の王道とでも言うべき立派な構えのお店です。そんな店舗の片隅に勝手口のような出口があって、その中の細長い空間が角打ちのスペースになっています。都内の角打ちの場合、店舗内の商品棚などの隙間を縫うようにして無理くりに即席のテーブル代わりのビールケースなどが置かれているだけといったことがほとんどで、ひどい場合だと店先に縁台が置かれているだけということもあります。これじゃあ、公営ギャンブル場の近隣のコンビニ前や駅構内のキオスクの周辺で呑んでるのとそれほど違わないように感じられるのです。一方で川崎や横浜にある角打ちは、独立した呑みの場が誂えられている場合も多く、そうでないとしても何らかの呑むための環境が設けられていることが大部分です。というかむしろこうした店の多くが店舗売より角打ち商売を主力に据えていると言ってもおかしくなさそうです。これはぼくにとってはもう角打ちなどという呼称を用いるまでもなく、酒場そのものであるわけで、加えてその場で調理をすることがないためか、改装を迫られることも少ないようで、古いままの雰囲気をそのまま留めていてくれることが多いのも嬉しいこと。ここもまた数名のおっちゃんたちが日課のように姿を見せて何やらお喋りをしていきます。女将さんは旦那がパチンコだかなんかに出掛けて時間になっても戻って来ないと客に愚痴りながらもそうしたやり取りをするのが満更でもない、って言うかとても楽しそうで思わず笑みが溢れてしまうのでした。 京急の駅に近くなると若干人通りも寂しくなるのですが、そんな一軒が「飲食処 ふるさと」でした。まだ夕方になるかならぬかという時間なのに営業しているのが何とも嬉しくて、この商店街の懐の深さとなっています。ポツンとした一軒家はそんなに古びていないのですが、どことなく風情があります。確か店内はカウンターのみで、スツールが高いのがちょっと座りが悪く感じられます。カウンターには大皿に数品が並べられ、適当に数品を見繕って注文します。若い主人もどことなく気を抜いてリラックスムードです。これから忙しくなることを見通してのことなのでしょうか。日が落ちる前に静かにテレビなど眺めながら商店街の外れの小さな店でのんびりできるなんてなんとも贅沢なことです。
2016/01/13
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大山については、これまでも散々語っているし、実際よく足を運びもしているわけですが、ホントのところさすがに飽き始めていて、できればしばらく遠慮したいところなのですが、旧知のおぢさん二人がたまたま遭遇してぼくのことを思い出してくれたというのだから行かないわけにはいかないようです。西日暮里の馴染みの酒場で呑んでいたぼくは慌てて勘定を済ませると、大山駅に急いだのでした。 おぢさんの一人は最近になって大山のことが大層お気に召したらしく中でも足繁く通う店があるからとにかく駅を目指せ、駅に着いたらお前の酒場巡りの成果とやらを確認するなんて無体なことを言い出しますが、俗な店選びをするそのおぢさんの行き先など容易に察せられるので、店の前に着いてから電話してすぐさま暖簾をくぐって脅かしてやろうと思ったのですが、それも織り込み済みだったようでつまらない反応をされたのにはガッカリです。大山で呑んだことがある人には意外性など微塵とも感じられない「鏑屋」でありました。いつも繁盛しているこちらのお店ですがこの夜は例外的とも思われるほどに空いています。小鍋で出される煮込みはほぼ平らげられていて、食えと勧める割には肴の追加をしてくれるつもりはまるでなさそう。まあすでにちょっと摘んでいるからそれでもいいけど。代わりというには乱暴なことに、一升瓶の金宮を好きなだけ呑んでいいぞというのですが、このおぢさんには注意が必要てす。うっかり呑むとあっという間に空になって追加してキープさせられる破目に陥りかねない。どうやら呑み始めたばかりのおニューらしく、遠慮なくガンガン呑みました。ただし肴は残りカスだけの煮込とさつま揚げ程度というのは情けないことです。 セコい方のおぢさんはあっさりと去っていき、残されたもう一人のおぢさんともう一軒。以前から目を付けていた居酒屋を目指すことにします。都内有数のアーケード商店街であるハッピーロードをしばらく川越街道方面に進みます。こちらのおぢさんはさっきのよりはセコくないのですが、とにかく歩くのを嫌がる人なのです。ボヤキ出さぬよう足速に店を目指します。もうすぐ川越街道というその手前の路地を折れると「家庭割烹 伏音」があります。大山の賑やかな雰囲気から一転してほとんど住宅街に足を踏み入れた閑静な場所です。女将さん一人が常連客の1,2名ばかりでひっそり営業するような侘びしい雰囲気を思っていましたが予想に反して賑やかで若い客も多いお店でした。カウンター席が10席程度の狭いお店ですがよく入れたものです。店の夫婦はおおらかで賑やかな方でこの夫婦の明るさも人気の要因でしょうが、加えてずらりと並ぶ惣菜の数々が若い人を惹きつけているのでしょう。仕事を終えて自宅まですぐって感じの人たちが集まっているようで、われわれが家路を思ってせかせかと呑む一方で他の方は自宅の延長にあるかのようなリラックス振りです。たまにはぼくもゆったりと呑んでみたいとつい思わせられるのでした。
2016/01/12
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昨日の喫茶篇で予告した通り、この夜の最初の酒場はその佇まいの素晴らしさでは今年ー今では昨年に成り果てましたがー最高レベルの物件にこの期に及んで向き合えることになったのは、貧乏旅を続けて良かったなあとしみじみ感じる次第なのであります。ドジを踏み通しだった喫茶巡りにそろそろ嫌気がさしてきたので、とっとと館山を後にしようと駅に向かっていた時でした。たまたまマネキンだらけの洋品店のシャッターが降ろされようとしていたのを見て、辺りの風景に注意深さを払わねばと気を取り直したところに、とある金融機関の駐車場の先にとんでもなく魅力的なものを見つけてしまったのでした。 それが「やきとり いそざき」でした。この素敵さを折角写真があるのに語る努力を弄する必要はないはずです。このバラックなくたびれているだけでない、粘り強く酒場として生き抜いてきたそのしたたかなムードは未だに現役でいてくれたことに感謝を感じる程です。店の中に入ってみると案外想像を越えない思ったよりはずっと普通な店なんですけど、表にある便所に入ってみるとボットン便所の哀愁に喝采を上げるしかないのです。店に入った時、女将さんはテレビに見入りながらも表情はどこかしら虚ろな感じで、それがさらに儚さをいや増すようです。元は焼鳥屋だったしいのですが、どういう事情があったのか今では作り置きの効く惣菜系の肴が主体となっています。そんなに混み合うことなどなさそうではありますが、万が一混み合ったー混むと言ってもカウンターに8席ほどなのですがーとしてもあまり客を待たせまいという配慮なのかもしれません。たどたどしい手つきでお通しのカリフラワーの酢漬けーこうした品を出すとはなかなかにモダンなのですーを盛り付けていただきます。冷え込んできたので焼酎のお湯割りが身にしみるのは、寒さばかりが理由ではなさそうです。女将さんに店の歴史なんかを伺いますが、とぼけたように、いやそんな曖昧な素振りではなく、もっと断固たる意志で過去のことは語らぬという返答ぶりに触れてはならぬ物語が潜んでいるのかと思うと一層の好奇心が育ってくるのですが、一見でそこまで深入りする資格はないと思い直し、どうしても言葉少なになってしまうのでした。 上総湊もみすみす通過せざるを得ません。安房勝山で下車するもうどん屋と中華料理店が営業しているくらいです。君津では「岡本」という魚介居酒屋が定評があるようなのでウソ寒々しいばかりの町外れをひたすらに歩きましたが、あまりにも好みからはかけ離れていたので退散することにしました。そんなわけで結局最終目的地の木更津に虚しく降り立つのでした。 海岸に向かう通りを少し進んだところで路地に入ると何軒かの呑み屋が固まってあります。とは言っても呑み屋街の体裁とはなっておらずあくまでも路地に沿っていくつかの酒場が勝手に店を開けているという一体感のなさがむしろ場末感を際立たせます。もうそれほどの時間が残されてはいません。今夜はここでハシゴすることにしました。A氏もそれで不満はないようです。まずは「食堂 しげ」です。一軒賑やかな声が漏れ溢れるオオバコ食堂がありますが、どういう理由からなのかここだけは入りたくないとのことです。今持ってその理由は明らかになっていません。古びた店の店内もまた期待を裏切らぬ雰囲気で、真っ赤な顔をした常連が独りで呑んでいます。店の方は高齢の方ばかりのようで、とりわけカウンターに立つ女将さんは見ていてハラハラする程です。思わず何度か手を貸してしまいましたが、それでも瓶を割ってしまうたりとヒヤヒヤさせられます。食堂らしく品数もそれなりに揃っていて味も悪くありません。じんわり暖まってきたところに立て続けに常連が来られました。どうやらぼくの席が彼の指定席らしい。もうちょっとこの界隈で呑みたいし、程々で席を譲ることにしました。
2016/01/10
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書き始めておいてこうした予告をするのはルール違反かもしれませんが、房総半島にはどうも喫茶文化がうまく根付くことがなかったように思われ、内房を中心とした後半も終えた今となってはそれはほとんど確信めいたものになっています。それでもそうした非喫茶文化圏としての現状を記録として留めることもまるで無意味であるとは思えぬこともあります。 さて、勝浦の続きであります。駅からは10分近くも歩くことになるでしょうか、正直市街地から外れたここまで来られるのは地元の方以外にはありそうもないように思われます。「cafe My Girl」というちょっとばかし、いやかなり気恥ずかしい店名であり、若気の至りというのであればまあ合点できないでもないのですが、開店後10年、20年を経た時のことを店主は思いやったことはなかったのでしょうか。食料品店の2階にある喫茶店で、店内はいかにもなアメリカンテイストで、店主の憧れていたものが透けて見えそうな、それはもう客のぼくが照れ臭くなりそうなものなのです。なんだか茶化すような言い方になってしまいましたが、たまたまこうした雰囲気にぼくが乗れないだけであって、店主は自分の好きなもので、多くの時間を過ごすであろう仕事場を埋め尽くしただけのことであって、そこに投入する素材が違っていたら好みのお店となっていたのかもしれません。アメリカンなムードというのは人を選ぶところがあるようで、後から入ってこられた女性たちもぼくよりは一回り世代が上のようです。 そうそう勝浦には個人経営のまんが喫茶があって、そこはビリヤードやカラオケなんかもあったかな、ナントカ武道大学の学生の溜まり場となっているのでしょうか。ちょっとゾットするけどこっそり覗いてみたいお店もあるのでした。 さて、内房側の館山駅に到着しました。房総半島の南端に近いでも勝山よりも町の規模は上回るであろう町で、本来であればここをじっくり散策したいところですが、今朝の失敗が祟ってそうものんびりできないのは残念なことです。駅前には中村屋があって2階は喫茶フロアーとなっていますが、ここで時間を割く気になれません。順不同ですが館山で訪れた喫茶店を一言だけコメントしておくことにします。 「茶房 はたやま」はかなり盛況でこの町随一の人気店のようですが、特に個性のないありふれたお店。スペースにゆとりがありすぎて散漫として感じられます。 「珈琲館 サルビア 本店」は綺麗なオオバコ喫茶で悪くはないけれどこれといった特徴なし。 低調なお店が続く中、もっとも好きだったのが 「ニュー キムラヤ」です。上井草(だったかな)の「カリーナ」や福島駅前のパン屋さんの併設喫茶についてはかつて書いたことがあったと思います。ここもそんな系譜に連なるお店で、喫茶コーナーは、カウンター席がわずかに5席ばかりです。パンの陳列棚から小振りなサンドイッチを取り、カウンターでコーヒーと一緒にいただきました。そろそろ酒が恋しくなってきたので近所に古い酒場はないかとお尋ねしますが、根っからの下戸という店主からは芳しい情報を得ることはできません。それでも後から来られた常連にもはなしをきいてくれたり至って親切なのでした。地方の町では時折こうした店舗を見かけますがある現役でやってることは少なくなっております。朝方の気忙しい一時、こういう店にちらりと立ち寄り、サンドイッチの軽目の朝食とコーヒーを頂くようなゆとりが持てればいいなあと思っていましたが、ここみたいな店ならそれも現実のものとなったかもしれません。 さて、今回の旅で唯一かつ比類なき素晴らしい佇まいの「やきとり いそざき」ーこれは翌日の酒場篇に登場ーのお向かいに廃墟と成り果てた建物があってその1階が「喫茶 風鈴」とあります。溜らないムードを讃えています。こちらの現役当時が見てみたいものです。 その後「のぶりん」を見けましたが、キリンビールの立看板を見て興醒めし、まだまだ奥深そうな館山散策は次回に譲ることにしたのでした。その後、「喫茶 富士」、「カフェ ド ロペ」があるらしい上総湊駅は素通りし、安房勝山駅では下車するものの「ながい喫茶」、「佐知」は当然店を閉めており、随分先にある商店街には喫茶店があったものの営業を終えています。君津駅では「歩歩」、「喫茶 花絵」がやっていますが、もはや喫茶の気分でもなく木更津駅に向かうことにしたのでした。
2016/01/10
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常盤平は喫茶店好きにとってはよく知られた町で、多くのブログなどでその情報は流布されています。そうでなくても都心を一通り巡ってしまい、探索の手を都心郊外、神奈川、埼玉、千葉と徐々に範囲を広げていくとやがて新京成電鉄に辿り着くことになるでしょう。常盤平には大きな古びた団地が残っていて、てもその有様は現役というにはかなり厳しい現状のようで、これらの喫茶店を訪れるといるのは決まって老人ばかりなのです。都内でもかつてのニュータウンと呼ばれる公団住宅を中心とした住宅街の老朽化、その住人の高齢化が社会問題化していますが、まさにこの常盤平も同じ状況に晒されているようです。ともあれ、高齢者の多い町なので酒場と言っても本気で酒を呑む場所というよりは、ご近所同士の交流の場として、カラオケと喫茶店の混じったまあスナック風の店が多くなるのは致し方ないかもしれません。 そんな現状なので酒場らしい酒場を探すのは困難なこともあり、この夜の一軒目は味のある「ときわ軒」というどこにでもありそうですが、でもやはり常盤平にあるべきであろう中華料理店に入ることにしたのでした。まだ8時になるかならぬかという時間であったにも関わらず、もう間もなく店を閉めるところだったようです。やはりこのお店も夜の早い高齢者で成り立っているのかもしれません。一瞬渋った表情を見せた店主ですが、その後は嫌な顔など見せずに応対してくださいました。時間もないので餃子とレモンサワーだけの注文です。サワーはハイサワーの瓶で出されて、味気ないといえばそれまでですが、グラスに2杯分位とれて量的にはお得です。他にご夫婦連れもあったのでこの方たちより先に出れば嫌がられることもなさそうです。静まり返った店内はしんみりとした気分にさせてくれて、侘びしいはずなのになぜかホッと寛げるのが不思議でした。 高架の駅を越えると団地側になります。駅前にはわずかながら商店が並んでいて、一軒悪くなさそうな居酒屋さんがありました。「や郷」という店名で、詠み方もその意味もなんだか思わせぶりですが、その真意は未だ掴めぬままです。店内は思った以上に広くて、しかもお客さんがたくさん入っています。高齢者の姿も見かけますがさほど数は多くありません。大方はサラリーマンや私服姿の労働者です。ぼくのお隣のカウンター席には、30になったかならぬかの女性二人組が育児のことや旦那への軽めの愚痴に興じています。肴はかなり充実しており正直迷うほどで、でも値段が若干お高めのようで、これは量が多いのだなと当たりをつけて控えめに注文したのは我ながら賢明でありました。お勧めのブリは刺身でも出してもらえるようですが、これで量が多いと持て余すこと必死なので焼いてもらうことにしました。これが正解、たっぷりとした身からは脂がいい具合に落ちていて、最初はそのまま食べてみました。さらに嬉しいことにこんもりと盛りつけてくれている大根おろしがさっぱりとして、違った味わいに感じられるのはこの時期のブリならではです。お隣のお姉さんたちは食欲旺盛で次々に食事を注文していていますが、呑みの方はそこそこです。ファミレス代わりにしているようですが、すぐそばのファミレスじゃなくてこちらを選ぶのは偉い。ぼくは独りで誰と会話するわけでもないのですが、不思議と疎外感を感じない孤独を過ごせました。
2016/01/09
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雑色駅には何度か来ていて、京急の沿線らしい渋くて雰囲気のいい商店街もありますが、夜に訪れるのは初めてのこと。だから酒場放浪記に出たこともある居酒屋さんは店の前を通ったことはあっても入るのはこれが初めてになります。初めての店は大抵の場合はわくわくとした期待感で胸が高鳴るのですが、今回訪れるお店は、屋号の前に活魚料理というのが冠されていて、この単語さえなければもっと早く来る機会があっただろうにと思うのでした。 さて、そんなおっとり刀での夜の訪問となりましたが「活魚料理 居酒屋 よし成」は、店に入った第一印象は想像を超えるものではなく、いかにもな居酒屋さんであったのでした。お客さんの入りは大層良くてカウンター席に空きが少しばかりある程度で、テーブル席はほぼ満席となっているからきっといい店なのでしょう。ところで繁盛する店とぼくが好みの店であるということは度々乖離しているのであって、それはぼくの酒場の趣向が普遍的でない、いやむしろはっきりと偏執的なためであると言い切ってしまっても良さそうですが、そういう意味ではあまり興に沿わないお店であるといえます。当然ながら魚介を中心にした肴の品揃えは大変よろしいようで、食道楽の人達にとっては大変魅力があるということになるのでしょうが、何度も言ってきたことですが、ぼくにとって肴の良し悪しは二の次三の次ということになるが故にどうしても点が辛いものになります。こちらのお店は今時のサラリーマンにとっては、同僚や仲間とくる店というよりも、美味しいものが好きな奥さまを連れての呑みというのが似合うようです。実際、店には夫婦者の姿が多く見受けられ、サラリーの幾ばくかをこのお店に落としていかれるのでしょう。ぼくにこのような優雅な呑みをする時は果たして訪れることがあるのでしょうか。
2016/01/08
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T氏が小台で呑みたいなどという妙なことを全く唐突に言い出した。このT氏とはかつて三ノ輪で呑んで酔った末に王子まで歩いたこともあるなど、何度となく都営荒川線の沿線には行っているのです。だからこの沿線は、マスコミやらで下町情緒溢れる懐かしの町とか言われたりもして、まあ確かにそういった側面もないことはないけれど、実際にさんざん歩いてみても住宅街にたまにもんじゃの店、スナックなんかがあるくらいでそれほど面白いもんじゃない。そんな中では小台は商店街もあったりしてまだしも散策のしがいがあると言えなくもありませんが、ここだって何度かT氏だって歩いているはず。よくよく話を聞いてみると知人が小台の橋を越えた中州の方に住んでいることを思い出して急に行きたくなったらしいのです。そこいら辺はぼくがかなり歩いた挙句に数軒の酒場を見つけて行ってみたものの、これという店はないというと、天候も悪かったせいもあってあっさりと引き下がり電停そばの店で構わないということになったのでした。 「食事処 しむら(しむら食堂)」を見掛けました。本当はこのそばにあったカウンターだけの地元の方しか利用しないようなそれでいてとても良い感じの酒場に連れて行くつもりだったのですが、どうにも見当たらないのです。そんなわけで捜索は程々にして先の食堂に入って、チャンスがあれば当の酒場の消息を聞こうということになったのです。ガラス張りの店内は表から眺めた以上の何か変わったところなどはなく、長いカウンターにはすっかり酔っ払った先輩方が睨みを効かせているので、遠慮してテーブル席にしました。おばちゃん独りでやっていることもあって注文してから出てくるまでちょっと時間が掛かる。一番安価な燗酒をこちらは頼んだのにT氏は贅沢にサワーなど頼んでいます。イカゲソ揚と竹輪磯部揚という恰好の品がありましたが、ちんまりとしており些かもの足りません。さほど期待していたわけではないのでまあ文句を言うほどではありませんがちょっとがっかりです。席を立つ頃に若い夫婦連れが入ってきましたが、若いカップルが利用するのはちょっと違和感があります。 そう言えば、姿をくらました酒場のことを尋ねるのを忘れていました。以前一度訪ねて印象の良かった「居酒屋 まつ」に向かうことにしました。奥に座敷もあるようですが、以前来た際と同様にまたも入口付近の席になりました。先客は独りだけで店主との会話を楽しみに通われているのでもなさそうなので、だったら隅っこにすれば良いのにとまあ余計なお世話を思ってみたりもしますが、席の好みは人それぞれですからね。忘れぬうちに先のお店のことを尋ねてみると、数カ月ばかり前に店を畳んでしまったとのこと。惜しいことをしたものです。閉じた店のことをくよくよしてみてもどうにもならぬ。早速呑むことにします。おや、サワーをピッチャーで頼めるようですね。お腹も空いていないので焼鳥の盛り合わせなど頂いてみることにします。で、これがすごいのです、独りだったらこれだけ頼んだら結構気分良くなれるだけのボリュームですし、焼鳥も悪くない。さすがに二人でこれだけで出るのは気が引けるので何やら追加の注文もしたとは思いますがまるで覚えがありません。一軒の素晴らしい酒場が失わてもこうして新たな意欲的な居酒屋をやろうという若い人がいてくれるのは頼もしい事です。いずれ名酒場と呼ばれるようになるまで頑張っていただきたいものです。 すばらしい酒場ともったいぶりましたが、調べるのが面倒だっただけです。「美国屋」がそのお店です。以前報告させていただいていましたので、念のためリンクを張っておきます。
2016/01/07
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職場の会合で日頃通うような大衆酒場を利用するというのは悲願であるのですが未だに果たせずにいます。その気になりさえすればできないことでもないのですが、公の会合で実行するのはそれなりのリスクを覚悟せねばなりません。となると利用できるのはもっぱら我が身に降り掛かった人事異動やら懲戒以外での退職やらというのがその機会となり得るわけですが、いざそうなって要望を聞かれるようなことがあったなら、果たして安酒場に甘んじることができるか甚だ疑問ではあります。そうなると店ではなく場所でひと捻りするという選択もあります。どうも宴会向きー気心の知れた顔触れではなくてあくまでも公の宴会のことーではない町というのがあるようで、常磐線の各駅停車の駅などは北千住を除きまさにその典型と言えましょう。 忘年会を公の会合とするのはどうかとも思うのですが、まあ日頃呑むことのない顔触れが一同に会するということでは稀な呑み会という事になります。こういう集まりで金町駅を利用するというのはぼく自身は極めて稀な経験で、金町にある数多い酒場を思い浮かべても宴会向きの店は、う〜ん、思い当たらないなあ。この日は珍しくも「ピッツェリア ダ タサキ(Pizzeria da TASAKI)」を宴席としてセレクトしたのは、ぼくのなけなしのバランス感覚のなせることなのてすが、口々に意外であるとの感想を述べられるのは不本意であるのです。ぼくだって女性中心のメンバー構成であればそれぐらいの工夫はするのだよ。まあ、そこは下見すらしたことのない初めてのお店で、10人となった面々が寄り合うにはやや窮屈に感じられるのでした。駅前の再開発を逃れた、ビルの谷間に辛うじて残された商店街の一軒であるのが嬉しい。この路地には都内近郊の喫茶好きであれば訪れている、もしくはいつか訪れることになるであろう素晴らしい喫茶店があるのでした。さて、お店は至ってカジュアルなお店で店の雰囲気にはとりわけ語るべきことはないのですが、とにかく店のお兄さんたちがフレンドリーで親切なのが好印象です。料理もカジュアルイタリアンの域は越えぬものの、Sで始まるファミレスを例外にするとそこらのチェーン系のお店などよりはぐっと格上でお値段はお手頃なのだから使わぬ手はない。家族連れが多いのも宜なるかなの良いお店でした。
2016/01/06
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恐らくはこのブログでの登場頻度では最多を誇るであろう東十条にまたもややって来ました。これだけ通っても未だその全容を詳らかにせぬその奥深さには戦慄を禁じえません。なんて書いちゃうと何を大袈裟な常套句を用いているのかと呆れられもしようものですが、まんざら嘘というわけでもないのです。そんな気持ちにさせてくれる驚くべき実力を携えて一軒の酒場が東十条という酒場激戦区に参入し、早くもその凄さは地元のお客さんたちに浸透し始めているようです。 その酒場とは「やきとん まるば」というもつ焼店のことであります。ここは以前なんて言う店だったんだろう、いつものことながらホント忘れっぽいことで、お恥ずかしい限りです。ここ数年で何だかこの辺の店、随分変わってしまった気がします。店内は狭くて入口付近にテーブルもありますが、店の造り上、動線が良くないので普段は使われることはないと思われます。実際、母と幼児二人という酒場らしからぬお客さんもカウンターで召し上がっておられました。ぼくも言うまでもなくカウンターです。なぜか隅っこの席を充てがわれましたが、奥にすればよかった。なんてったって可愛い女性が独りで呑んでたから。だから窮屈な席に通されたのかな、それじゃ店の人に文句言う気にはなりません。こちらのもつ焼はもちろん、ニンニクのオイル煮などどれも旨くて実に旨い。野方の有名店の流れを汲んでいるようにも思えます。確たる根拠はありませんけど。駅からも近いし、きっとまた来ちゃうかも。ここのよさをO氏に伝えたら、ぼくの出たしばらく後に訪れて、満足との回答あり。なぜかわが事のように嬉しいのは、案外ぼくって気がいいんだろうな。注文内容が全く同じだったのには苦笑するしかありません。 新しいお店の健闘に満足したのですが、もう少し呑んでおきたいところです。駅の東側の商店街にある「地酒処 食事処 きつね」という食堂に寄って、軽く一杯呑んで帰るつもりです。それ程には目立つお店ではないので、以前来たことなかったっけなんて思いつつ店内に入ってみると案の定、一度お邪魔しているようです。同じ会社の熟年男女グループが賑やかに盛り上がっていて、独り客がポツポツいる様を期待していたので不意をつかれた感じてはありますが、まあそれも悪くない。彼らの他愛ない話題をBGMにしてちょっとだけうつらうつらしながら、燗酒をついつい二度、三度とお代わりしてしまうのでした。実は以前いなかったはずの綺麗な若女将?を盗み見しながらというのが長いの理由であったとは、気取られなかったはずです。
2016/01/04
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本当ならとっくに勝浦駅に到着しているはずだったのに、われわれが大原駅に到着したのはもう昼食時でした。駅のホームに外房線の列車が滑り込む際にとある大衆食堂に多くの人が列をなしているのを見かけて、急激に空腹が高まるのを感じましたが、ひとまずは目的の喫茶店を訪れなければなりません。なければならないなんてまるで命令でも受けたかのような物言いでありますが、それほどの使命感はないものの若干は地方の町の喫茶店の記憶として留めておかねばならぬという矜持くらいはあるので、何はともあれそこを目指します。 そのお店は、「パーラー エンゼル」だったのですが、すりガラス越しにぼんやりと見える店内の様子やメニューは全くもってのレストラン-喫茶店であってもいかにもなダイニングテーブルがあると、どうも気分が乗りません-だったのでパスしたのですが、今から考えるとレストランの風情も嫌いではないので寄っておけばよかったかなと思わなくもありません。実のところはホームに沿って並ぶ3軒の大衆食堂により一層の興味が湧いていたことが躊躇なく「エンゼル」を通過した理由なのでした。 大盛況だったのが「源氏食堂」、これが帰宅後調べてみるとなかなかの有名店らしく、肉料理のボリュームがすごいことでよく知られているようです。並んで待つほどの時間もなかったので、みすみす見送ることになりましたがこれが夕方以降であれば間違いなく立ち寄っていたのでしょう。でも実際に昼からそんなに重い食事を取ってしまってはとてもこの先が続かなかったことでしょう。「ふじや食堂」は、かなり古くから営業しているようですが、改装されたのか店はあまり風情がなくて、ガラス張りで見通せるのも緊張感がなくて物足りません。 結局入ることにしたのは駅からもっとも至近にある「清宮食堂(せいみや)」でした。それにしてもこの並びの2軒は品書きが店先にしっかりと掲示されているのが安心できていいですね。駅前食堂には稀なことですが、何度かどうでもいい品と酒だけで法外な請求をされたこともあったので、これは店側の自主性に任せずにせめて組合で規範化すべきだと思うのです。ともあれ店に入ると枯れたというほどではないにせよ、まずまずの雰囲気にほっと一息つきます。ラーメンやカレーなどの定番が多いのですが、単品の品揃えもそれなりに揃っていて、店の若い女性に尋ねるといわしがおいしいとのことなので、お願いすることにしました。といっても丸干しとゴマ漬け程度のもの。ゴマ漬けはややしょっぱくてつい呑み過ぎてしまうので丸干しをもらったところ大降りなのが4尾とさすが外房の港町だなとこの旅最初の旅情を感じるのでした。 勝浦駅で喫茶店に立ち寄ったところまで喫茶篇にて報告済みですが、そこで食べられていたタンタン麺が気になったので、近くにあった「ニュー 福屋」という枯れた中華料理店にお邪魔することにしました。大原で食事を控えめにしておいてよかったとレモンサワーとお手ごろな値段のたこの唐揚、タンタン麺は二人で半分づついただくことにしました。きっとタンタン麺食べ歩きの客も多くて、こうして分け合って食べる客も多かろうと予想していましたが、店の女のコにはあまりいい顔をされませんでした。店内はテーブルなどが新しくなっていることもあって、あまり風情は感じられず残念ですが、今では古いものを大事にするよりは新しく買い換えたほうが合理的だったりするでしょうから致し方ありません。タンタン麺はラー油が前面を覆っている割には淡白で食べやすく、まあおいしいのですが見た目ほどのインパクトはありません。それよりか、どこでだって食べられるたこの唐揚が350円という値段の割には大降りなのがごろごろ入っていて、キャベツ千切りなども添えられ酒の肴としては大いに結構なものでありました。 この後、もう1軒喫茶店に立ち寄ってしまったので、のんびりし過ぎて一電車遅れてしまいました。ここでスピードを上げてなんとか朝の遅れを取り戻すつもりだったんですけど、そうは問屋が卸さないみたいです。
2016/01/04
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優雅に海外に行けるだけのサラリーはもらってないし、貧乏暇無しの格言通りに土曜の出勤もあったりして、この年末ーこの報告がアップされるのは年明けとなりますがーもいつもの青春18きっぷを使った地味な旅しかできそうにありません。わずかばかりのご褒美として、5回分の正規のきっぷを入手、年末に利用する2回分利用する以外は日帰りとなりますが、3回はささやかな旅ができそうです。それで色々と思案した挙句に千葉の房総半島方面を中心に乗り倒すことを決めたのでした。あれこれとダイヤを調べてみると外房から回り込むのが効率が良さそうです。冬場の早朝に家を出たので、当然表は真っ暗、暗いうちから行動するのは18きっぷの旅の醍醐味ではありますが、もう若くないぼくには辛いばかりです。でも途中A氏と合流したりして千葉駅に着く頃には、旅気分がようやく高まってきて意気揚々としてくるのでした。 ところが早速ミスを冒してしまいました。うっかりと東金線に乗り入れる列車に乗り込んでしまったようです。やむなく東金駅にて下車し、辺りを散策することにしました。このミスで凡そ1時間をロスしましたが駅前旅館や「大衆酒場 鳥忠」などなかなかの物件に出逢えたのは、成果と言えましょう。さしてさらなるミスを重ねます。東金線の各駅では上りと下り列車が複雑に入り乱れているようで、なんと外房から遠ざかるように、総武本線と交わる成東駅に着いてしまいました。ここはちっとも味気のない寂しい町とも言えぬ町があるばかりでした。 2時間もロスしてしまいましたが、未だに一軒の喫茶店にも入れていません。大網駅の東金線と外房線の乗り換えの際に駅ビルーと言うにはやや貧弱な施設ーに「カフェ ド アミ」という喫茶店がありましたので、立ち寄りましたがごく普通の駅ナカ店という感じです。 当初の目的地であった茂原駅には、順調に2時間遅れで到着です。一番の目当てであった「モック」は定休日、駅前の図書館などが入った複合ビルの1階にある「Cafe アルファ」は、上品で便利という取り柄もありますが、まあその程度のお店です。 外観の少し怪しげな寂れ具合に若干の期待を持った「あ〜とらうんじ 四季」もスナック寄りのまあ普通の地元民の集い場といったところです。 茂原駅界隈には「喫茶レストラン チェリーロード」なんてお店があるようですが、ここまでの遅れを少しでも取り戻すために先を急ぐことにしました。 次に勝浦駅にて下車しました。本当は、大原駅にも下車したのですが、予定していた喫茶店が実体はレストランだったので喫茶篇で報告することはなし。歴史があるという「coffee JAO」に入りますが、正直ちっとも面白くありません。学生らしき若者たちが担々麺と丼のセットを食べています。相当なボリュームがありそうです。そう言えば駅前に正直品性のかけらもない像が立っていてそれがナントカ武道大学設立者とのことなので、彼らはそこの学生なのでしょうか。加えてラー油がドバっと浮いた担々麺、勝浦の名物でした。せっかくなので頂いてみることにしましょう。でもそれは酒場篇にて報告することになるのでした。
2016/01/03
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孤独な酒呑みは、この夜一人、南千住にやって来たのでありました。時間も遅くなったので、できれば駅のそばで済ませたいところ。孤独なぼくの脳裏にはすかさず何軒かの酒場の候補が浮かび上がるのですが、この日の気分は駅前の巨大なビルの半地下にある例の老舗酒場が特に強く誘惑するのでした。そうした誘いには乗るが得策と瞬時に判断したのは偉かった。すぐさま足を向けるのですがとうした気の迷いか、たまたま目にした入居する店舗が掲載された看板を見ると見知らぬ店がありました。先ほどの決断など何処へやら、足は2階へと上がるエスカレーターに向かうのでした。 新しいお店とは「全品300円 雅・みやび」というお店です。チェーン店のような味気のない店です。いや元々がチェーン店だった店をそのまま居抜いて使ってるのだろうか。まあそんなことはどうでもいい、ホッピーに八宝菜、300円ってのが微妙な値段、一品だけだとあまりにケチ臭いと思われかねぬので、ついチキン南蛮まで注文していまいました。アレッ、お通しがあるのか。枝豆がたっぷりです。お代わりしても良いって言ってもそんなには食べれないでしょう。やがて出てきた八宝菜のボリュームたるや驚くばかりで、具材もそれなりに充実しているのでした。失敗したなあ、これだけで十分だ。続いて運ばれてきたチキン南蛮も胸肉1枚をしっかり使っているらしく、とんでもないことになってしまったと思うのですが今さらどうにもならぬ。ホウホウの体で食うことに集中しすぎて、うっかりホッピー中をお代わりしたばかりのジョッキを倒してしまったのですが、嫌な顔せず応じてくれた綺麗な女性は店長さんのようです。名前を見ると中国の方のようです。どうりで中華料理が多いわけだ。日本人の居酒屋店主もうかうかしてられませんよ、居酒屋業界も中国の人に乗っ取られるのもそう遠くないと、少しでもの抵抗と枝豆をお代わりしたのでした。
2016/01/02
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北千住通を語る方でも毎日通り飲食店街で呑もうという方はそう多くはなさそうです。実際、多くの酒場ブログなどを拝見していてもその多くが決まりきったお店が登場するようで、「千住の永見」などの有名店が立ち並ぶ西口の線路沿いの呑兵衛横丁や「大はし」のある宿場通りが主体なのが残念でならない。もちろん毎日通り飲食店街もたまには目にすることがあるのですがどうも扱いが低すぎるように思われるのです。宿場通りの外れの路地にこの呑み屋街はあって、抜けた先には「加賀屋」の系譜に連なるであろう酒場もあって、そちらなどは結構な人気のようですが、この日は閑散としているのてした。 そんな路地の端っこに「居酒屋 こうめい」はありました。近頃この辺、というより北千住にあまり来ぬうちに新しく始めたのでしょうか。単に見逃していたに過ぎぬのかもしれません。カウンターと2人掛けの列車のボックスシートにあるテーブル程度の席も2卓ありますが、ここが埋まっても10名はとても入れぬであろう狭小店舗です。200円のお通しは数品から好きなものを選べて、望むならここから何品でもオーダーできるのは気が利いています。貧乏根性でアンキモをいただくことにしました。ぼくには珍しく贅沢して刺身3点盛を頼みますがこれが400円なのだから嬉しくなります。〆鯖も美味かったなあ。えんまハイっていう聞き慣れぬ呑み物があったので頼んでみると唐辛子入りのチューハイでありました。時折、金魚っていう名で扱ってる酒場がありますが、ここのは金魚なんて生易しいものではなく、まさに閻魔の名に恥じぬ強烈なもので寒空でありながら頬が火照るのをごまかしようもないのでした。口数が少なく職人肌の主人にも好感が持て、ここにならちょくちょく足を運びたくなる、そんな良店でありました。 近頃あまり語られなくなりつつありますが、ここ「魚八 千両」もやはり北千住ではよく知られたお店です。ところが店内はガラガラで大丈夫なのだろうかと不安になるほどです。ここで気の合う仲間と合流です。気の合う仲間なんて気恥ずかしくて当人たちの前ではけして言いませんが、このブログに辿り着くことなどなさそうな顔触れなのでまあ良しとしましょう。年齢も上は還暦、下は30代とまちまちなのになぜかこの顔触れだと愉快な気分になれるのです。実はこの面子で呑むのは初めてのこと、たまたま誘い合ったLINEで盛り上がりこういう機会が到来したのでした。4人だということで2階に通されましたが、これはちょっと失敗だったかな。酒の準備などもセルフサービスみたいなもので、料理も階段まで取りにこさせられて、まあいいんだけどやはり1階で呑むべきだったか。結構強引に刺し身を勧められるのもいつものことですがちょっとばかし面倒です。ホントは一人なら長年値段据え置きのマグロぶつなんかでちびちびやりたいんですけどね。
2016/01/01
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