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この夜は五反田の町で旧友のU氏たちと呑むことになりました。彼とは数年振りの再会ということもあって,互いの近況を語ることにもなろうことです。長丁場になることは覚悟していました。なので,いつもであれば立飲み屋なんかを振り出しに落ち着くでもなく店を移動することが多いのですが,この夜ばかりはじっくりと腰を据えて呑むことになったのでした。まあ酔っ払ってからはいつもどおりのハシゴ酒となってしまい,いつの間にか別れを交わしたことさえ記憶に留めぬままにベッドにて目覚めてしまったのですが。 U氏たちと落ち合ってはみたものの,金曜日の夜だというのにもかかわらず,なんの事前調査もなく,あてどなく五反田の南側を散策していてたまたま見掛けたお店にお邪魔しました。「清竹」というお店です。お察しのとおり店の前にウーロンハイが250円などの随分お得な短冊が貼り出されていたのに惹かれたのでした。店は外観を裏切らないごく真っ当な和風居酒屋です。カウンターにテーブル席が3卓程だったでしょうか。独りなら迷うことなくカウンターですが,この日は3名だったのでテーブル席に着きました。予想より若くて人当たりの軟らかい丁寧な夫婦でやっているお店でくつろいでじっくりと呑むことができました。話も弾み,酒量もぐんぐんと増えるのは致し方ないところ。サワー類の250円よりも安価な黒霧島だったかの焼酎ロックをぱっかぱっかと呷ってしまったのでした。肴もごく普通で特別感はないのですが,こうしたありふれていても正直な商売をする居酒屋というのはなかなかありそうで出逢えないものです。お店の方には申し訳ないのですが,客の入りがいまいちなのでゆったりと会話を交わすことができました。 続いて,写真だけ残っている居酒屋で呑みました。店の方は外国の方のようでした。屋台のような安っぽいテーブルや椅子が並び雰囲気も何もあったもんではありませんが,まだ新しいお店なのか清潔で過ごしやすくはありました。値段はやや高めだった記憶がありますがはっきりしません。そうはいってもここも金曜日だというのに客の入りはいまひとつぱっとせず,お陰様で好き勝手にワイワイガヤガヤと盛り上がっても嫌な目をする人もおらずゆったりと過ごせたようです。 それで帰ればいいもののぐずぐずと呑み続けてしまうのがぼくという人間のだらしなさがそのまま出ているようでうんざりさせられなくもないのですが,やはり最後に「立ち飲み 呑々(のむのむ)」というお店に立ち寄ってしまったようです。もちろん記憶はもやもやとしており,よかっただの悪かっただのといった感想は述べられません。ただ,写真をみると白エビっぽいのの釜揚げらしきものが置かれており,これを見る限りにおいては気の利いた肴を出すよさそうなお店のようです。いずれまたお邪魔したいものです。 といったわけで旧友との別れさえままならぬうちに会はお開きとなったようです。何にせよ楽しいひと時を五反田の町は与えてくれました。予約なしでもグループで入れるというのは得難い長所であります。
2014/01/31
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大塚駅の周辺は飲食店,風俗店が密集しており,かなりの酒場を渡り歩きましたが,まだまだ見逃している酒場,あえて見過ごしてきた酒場も数多くあり,この夜お邪魔したのは前者の見逃していた酒場です。見過ごしてきた酒場にお邪魔するにはそこそこいい加減に酔っぱらってないと難しそうです。 大塚駅の北口前に伸びる呑み屋街をひたすら進み,自動車道路でいったん呑み屋が切れたそのさらに先に今回お邪魔した「居酒屋 はじめちゃん」はありました。暗い建物の地下に降りる階段の先には予想外に陽気なキャラクターの描かれた小さな看板が扉の上に貼られています。なんだかスナック風の店ではなかろうかとのいやな予感を断ち切るように思い切って店内へ。店に入るとおやおや案外落ち着いた風情のごくごく普通の居酒屋さんのようです。小上りには子連れのお客さんもいたりしていたってアットホームなムードです。ぼくの席のお隣ではすでにぐでんぐでんになった常連さんがおり,しきりにぼくにお喋りをしてきます。今晩はひとりしんみり呑みたい気分なんだけどなあといくらか面倒ではありますが,話し掛けられたら無視できない性格,ついつい相手になってしまいます。話題はもっぱらこの店のことに尽きており,ママさんと一緒に働く30代後半のお兄さんのことを,彼はいい奴だ,早く女を見つけてやりたいなどと褒めたたえます。その彼はこの手の話題には慣れきっているらしく,適当に話を流しています。そんな10数年来女っ気のない彼ですが,親子連れの娘さんは彼のことが大好きなようでしきりにまとわりついていました。ママさんは寡黙な人かと思いきや,調理の手が空くと,急に思いがけないほどの激烈な毒舌が炸裂してびっくりさせられます。とまあ町外れの酒場では極めてありふれた光景がここでも繰り返されていたのでした。 続いて,駅に引き返しながらメインの呑み屋街の一本裏手の道を歩いていると「炭串焼き 勝よし」というお店がありました。こんな店あったかなあ,と訝しみつつもお邪魔することにします。テーブル席がメインですが,壁際にもカウンターがあって,これが立飲み屋なら特段珍しくもありませんが,見た目はごく一般的な焼鳥居酒屋で壁向きのカウンターは幾分物珍しく思われます。店に入った瞬間感じたのが先客が2名だけと客の入りが悪いこと。これは何かあるのではと思いながらも今さら引き下がるわけにもいきません。品書きをみると値段も安くて品数もまずまず揃っています。店の方は1名だけで外国の方の用ではありますが,極めて応対っぷりもよくて無暗矢鱈に愛想を振りまくわけでもなく一生懸命な感じが好感が持てます。肴もけして旨いというほどではないにせよ,及第点は差し上げてもよさそう。どうしてそれなのに空いているのかと考えていると知人から合流するとの連絡が入りました。知人とは上司のT氏なのですが,店に入ってきて席に着くや,あの2人(先客のこと)すっげえやかましいな,店の外まで声が響いていた,そうかもしかしたらこの常連らしき2名が客足を遠ざけているのかもと思ったりしたのでした。
2014/01/30
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お気に入りの町,綾瀬には良い酒場がたくさんあります。そんな町ですから他の町であればそれなりに喜べてしまうお店でさえもが,さほど取り柄のない店に感じられてしまうことがあります。もちろん現場でそう感じても,振り返ってみると,あの店はやはりなかなかよい酒場であったなあということになることもしばし。この夜訪れた2軒は,1軒がまた行ってみたいと思えたのですが,もう1軒はあまりにも印象が希薄でこれといった感想すら浮かばなくなってしまいました。 最初にお邪魔したのが「磯吉」というお店です。北綾瀬駅と堀切菖蒲園駅間をまっすぐつなぐ道に面しています。喫茶店好きの方で綾瀬を訪れた方であればご存じのとおり,綾瀬界隈は居酒屋は掃いて捨てるほどあるのに,こと喫茶店に関しては不毛地帯となっています。現在では,喫茶店というよりファミレス程に食事メニューが充実した「珈琲 蘭蝶」がある位となっています。この喫茶店の向かい側にあるのが「磯吉」で,食堂使いも居酒屋使いも両刀使いも可能な大衆食堂系のお店となります。以前は「九州チャンポン」という中華食堂兼居酒屋だったと記憶しますが定かではありません。「磯吉」が居抜で入ったのであれば,「九州チャンポン」の年季を感じさせるだだっ広くて閑散とした感じをそのままに受け継いでいるようです。そういえば綾瀬からもそう遠くはない五反野駅のそばにも「磯吉」があって,店の実利優先の装飾寡少な地味な雰囲気や価格の安さからも共通する要素があることから,系列店である可能性を疑ってみたくもなります。それにしてもこちらのハッピーアワー(17:00~19:00)は大変お得です。チューハイがジョッキに並々と注がれたのがなんと100円,さすが食堂だけあって,肴の品数もより取り見取りです。どうしてこの夜はこの店の良さに素直に感心できなかったのでしょうか。広い店内に独り客がぱらぱらしかいないという辛気臭さ(これも静かなだけということかも)が気分を高揚させてくれなかっただけかもしれません。ともあれこちらは特に19時までに訪れる価値のある店だと思います。 続いてお邪魔したのは「炭火もつ焼屋 来駕(RAIGA)」というお店。気のせいかもしれませんがこのお店,屋号がちょくちょく変わっているような印象です。ガラス張りで見通しもよく危なげな雰囲気はまるでない,きれいなお店なのですが,どうしてこうもお客の入りがよくないのでしょう。50人近く入れそうな広いお店ですが,先客1名がカウンターにいるだけです。店側の方も主人らしき方が独りだけなので,もとより大人数の客の入りを想定していないようです。シーンと静まり返っていてどうにも所在ない時間が過ぎていきます。値段も安いし,味もそこそこで特段悪いところはないわけですが,空いている酒場というのは何事か問題があるのではなかろうかと客の側も引き気味になってしまいますます客が入らなくなる悪循環となりがちなようです。もう一度行きたいと思わせられるような要素にやや欠けているため望んでいくことはないと思いますが,でもまたいずれ酔った勢いで迷い込んでしまいそうな予感があります。品書:サワー:290~,ビール中:450,酒1合:430,焼きもの:120~,にこみ:350,豚足/オニオンスライス:250
2014/01/29
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先日はじめて呑みに行った上福岡駅にまたまた行ってきました。すっかり上福岡のうらびれた呑み屋さんの雰囲気に魅せられてしまったみたいです。本当は駅の反対側方面に行ってみたかったのですが,北口側にもまだまだよさそうな店があったので,次回以降のお楽しみにします。なんといっても長いこと電車に揺られてすっかりお腹も空いてしまったし,喉もからからです。 さて,一軒目は「居酒屋 大(ビッグ) 上福岡店」にお邪魔しました。上福岡にはもう1軒,上福岡西口店があるようです。チェーン店のようですが,これまで聞いたことのないお店です。調べてみると本川越店,川越駅前店,新河岸駅前店,川越高階店,ふじみ野店,鶴瀬西口店,西みずほ台店,志木南口店,上板橋店とまったくもって東武東上線沿線でチェーン展開するお店だったのでした。けっこう新しくてまさしくチェーン店そのものという外観であまり面白味はありませんが,期待せずにお邪魔することにしました。席に着いて品書きをみるとお値段はまずまずお手頃のようです。グループ客がほとんどですが,独り客も数名カウンターで呑まれています。それにしてもここの店員さん,ブックオフのように叫びっぱなしでちょっと辛いですね。その声にまけじとグループ客たちもそれ以上の声を張り上げてお喋りするもんだからなおひどいことになります。酒も肴もそれなりに揃っていて,それなりに手作り感もあってチェーン系の居酒屋としては悪くないとは思うのですが,もう少し落ち着いて呑めるとよいと思います。 さらに北に進むとエンゼル通りなんていう小さな呑み屋街があって,ちょっとそそられる枯れた風情がありますが,どこもカラオケがありそうな様子,しんみりと呑みたい気分なので,エンゼル通りをひと眺めすると取って返します。ちょっと戻ったところに,「やきとり 千」というのがあったので,お邪魔することにしました。単なる住宅であればどうってことのない一軒家ですが,その1階が焼鳥屋ということになるとちょっとした違和感があります。L字のカウンターのみのお店で,ご夫婦でやってる小さなお店です。先客は若いお兄さんと初老のおねえさんのお二人のみ。さほど年季はなさそうですが,きれいに掃除が行き届いているようで居心地は悪くありません。焼鳥は原則串なしでつくねだけは例外的に串が刺さっているというちょっと変わったスタイル。味はまあそこそこで,値段もそこそこ。店の方は親切ではありますが,特別個性が際立っているわけでもありません。まあ一言で言えばごくごく普通のお店ということでしょうか。でも常連のお二人はここで呑んでいることを心から楽しんでおられるようで,お客さんそれぞれ好みがあるということでしょうか。
2014/01/28
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突然思い立って,仕事帰りに足を伸ばして石神井公園に行ってみることにしたのでした。西武池袋線の急行に乗りさえすれば池袋駅からわずか10分弱で行けるというのに,駅周辺があまり面白くないため,なかなか仕事を終えてから出向く気分になれなかったのでした。先日,「吉田類の酒場放浪記」で石神井公園のとある有名焼鳥店が再放送されたのをきっかけにようやく重い腰を上げて行ってみることにしたのでした。 石神井公園駅の北口側は駅前再開発によって,すっかり味気ない散策市街のない町になってしまったと思ったら,それでもまだ50m程も歩くと古いながらもくたびれきってはいない現役の商店街がありました。向かっているのは「株式会社 スマイリー城」,焼鳥の串を客自らが焼台で炙るというスタイルがユニークとのことであちこちのメディアで取り上げられていますが,この夜のぼくのように独り客では物珍しさよりも面倒くさい方が上回ってしまうのも敬遠していた理由のひとつ。テレビで見たように社長さんが焼き方とか付きっ切りで指導されてしまったら,つい次々と注文してしまって予算オーバーになってしまうかもしれないなあ,などと余計な想像を膨らましてしまいます。かなりひどい冷え込みだったので,店が思ったより駅から遠かったため,へこたれそうになるのをぐっと我慢して商店街を進むと,木造一軒家のガラス張りのオンボロ酒場があるのを見ると,ハシゴする店が決まった安心から足取りは軽くなるのでした。さて,肝心の「スマイリー城」はというと家族らしき4名で店をやっているのですが,客も同じく4名のみ。どことなく沈んだ様子でテレビで見たのとは大分違って感じられます。そういう雰囲気は好みではありますが,想像していたのとのギャップにとまどったままのわずか30分の滞在で十分満足してしまったのでした。 気持ちは次なる酒場にすでに向かってしまっています。屋号は「家路」とまさにぼくのどちらかと言えば不寛容なまでに狭いストライクゾーンをズバリ抉ってくれるのでした。引き戸を開けると8席程度の狭い店内で,1席を残してはお客さんでぎゅうぎゅう詰となっています。意外と言っては失礼でしょうか,店を切り盛りするのはお喋りもよどみなくされはするものの,上品さを保った女性で,けして年齢はお若くはないのでしょうが,もしお聞きして実際の年齢を知ったらたらたまげてしまいかねないように感じられました。お客さんは常連ばかりのようで,店に入る前は引退後のじいさんがたむろしていることを予想していましたが,背広族が主流のようです。まさに家路に立ち寄りたくなるようなお店です。「わが家」とかいう屋号もありますが,それだとちょっと押しつけがましい感じがしますが,この「家路」や「寄り道」なんていう屋号には誘惑されます。焼物もおでんも100円とお値段も懐に優しく家路が廻り道になったとしてもつい寄りたくなるお店でした。
2014/01/27
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昨年は京急電鉄を愛用した一年でしたが,今年は年初から特に意識しているわけではありませんが,京成電鉄を乗り回す機会が多くなっています。なぜか今年に入ってから京成線の沿線に出張することが多いのです。と言っても今回お邪魔したのは,京成グループではありますが新京成電鉄の京成大久保駅です。ここでは,以前酒場を呑み歩いたことがありました。その時によさそうな喫茶店を見掛けたのですが,時すでに遅く閉店していました。ずっとこの喫茶店のことが心に引っかかっていたのでした。この日は出張の合間を縫って京成大久保の2軒の喫茶店にお邪魔することにします。 駅を出てすぐの車道を越えるとそこは大久保商店街(ゆうろーど)です。この商店街のどん詰まりに日本大学と東邦大学があるためか,通りには安い飲食店やゲームセンター,雀荘などが数多くみられます。建物の中には酒屋などの歴史を感じさせるものもあり飽きさせません。そんな商店街に「COFFEE 木馬」があります。2階は雀荘(「東東」)になっていて,恐らく経営は一緒であると思われます。レンガ壁の頑丈そうな建物で,どうしてだか不健康なお店の印象を受けてしまいます。おっかないケバケバしいママさんがいて,やさぐれたおっさんたちが競馬の話なんかしてそうだと思いつつの入店です。入ってみるとあれれ,出迎えてくれたのは可愛らしい20代位に見える女のコです。きっとアルバイトなんでしょうけど,そんなに危なっかしいお店ではなさそうです。店内は案外平板な印象でせめて照明が天井埋め込みのダウンライトでなく,シャンデリアといかないまでもちょっと可愛い形状・色彩のペンダントライトだったら印象がぐっとアップしたかもしれません。木製のパーテーションが凝っているだけにちょっともったいない感じです。しばらくしてママさんらしき方が登場,全然おっかない方ではありませんでした。店の中を飼い犬がパタパタと駆け回っています。犬種はよく分かりませんがぬいぐるみのようでかわいいもんだなあ。 駅を出てすぐの商店街入口を右に逸れて50m程進むと,こぢんまりとした造りの「珈琲館 しらとり」があります。店に入ると物静かな女性が迎えてくれます。明るい茶のソファで統一されており,奇を衒った風はほとんどなくて,ごくごくシンプルにまとめられていますが,壁に3つの木製の操舵輪(船で舵を操作する輪っか状の器具)があるのが唯一特徴的です。こうしたごくごく控えめな装飾の店が実は落ち着けるのでした。ぼくに続いて入ってこられた中年男性は腰を掛けるとすぐさまホットケーキちょうだいと主人に注文をすると新聞をめくりだします。コーヒーなんかの飲物なしでホットケーキだけとは珍しい注文の仕方です。ぼくと同様財布がおけらなのか,それともよほどここのホットケーキはおいしいのでしょうか。
2014/01/26
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京急大師線の小旅行もようやくこれで最終回。先般「吉田類の酒場放浪記」で再放送されたお店にお邪魔したのでした。初詣の参拝者数第3位の川崎大師だけあって,正月早々ほぼすべての商店が営業をしています。しかも思ってもみなかったことですが,普段は夜のみの営業である居酒屋さんもことごとく開店しています。 というわけでありがたいことに夜まで待たずとも「やきとり 篭屋」に入ることができました。付近の居酒屋は軒先で焼鳥なんかを販売していて賑やかですが,こちらは暖簾が下がって,店内から明かりが漏れておりやっているのは間違いなさそうですがひっそりと静まり返っています。引き戸を開けて入るとちょうど1組がお勘定をしています。手前のテーブル席が空いたようです。奥の座敷はテーブルが4卓ありますが,これは塞がっています。カウンターは4席だけで腰を据えて呑む構えのようなので独りでテーブル席を独占する形になってしまいました。牛蒡と蓮根,人参のきんぴらともつ焼でのんびりと熱燗をいただきます。しばらくするとぼくと同様独り客が入ってこられたので,相席どうぞと声を掛けると自然と会話が始まります。話題はこの日の早朝に発生した有楽町駅前の火災のこと。交通機関が混乱したため,お互い面倒な思いをしてやって来たことなどに及ぶと,カウンター席の方達も口々にその話題で盛り上がり,ひと時の連帯感を楽しんだのでした。 東門前駅そばの「COFFEE みどり」で待つM氏はすっかり気に入ったようで,もうしばらく呑んでいても大丈夫そうです。しからばもう一軒,そばにある「とり石」という焼鳥屋さんにお邪魔することにしました。店頭の焼台で焼かれる焼鳥に人々は群がって,買ったその場でつまんでいます。ぼくは店内で1杯引っ掛けながら呑むことにします。カウンター8席,テーブル2卓だけの小さなお店で,この日の店内は女性が独りで切り盛りしています。サワーと焼鳥を注文。焼鳥は店頭で次から次へ焼かれているのであっという間に届けられます。忙しいので手元に届けられた焼鳥は発泡スチロールのお皿に乗せられています。忙しくとも店の方たちは陽気で仕事ぶりもてきぱきとしていて見ていて気持ちがいいです。カウンターの常連さんと一見さんが即席の飲み友達となって本当に幸せそうに呑んでいて見ていて心が温まります。ぼくの席のお向かいのテーブルでは家族連れがちょっとうるさいと思うほどにはしゃいでいますが,ちょうど席を立つ頃にこの息子のちっちゃいほうが,店内にいた人全員に天津甘栗を配って回って,ぼくにもお裾分けしてくれ,またまたほっこりと暖かい気分になるのでした。
2014/01/25
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本郷三丁目の老舗居酒屋にお邪魔することにしました。駅から春日通りを越えて本郷通りを東大方面に,すぐに明治25年創業の甘食で知られる名月堂があり,それを過ぎるとすぐに赤い袖看板に白地で屋号の記された渋い風情のお店があります。 昭和35年頃からやっているという「やきとり 白糸」です。2階建ての建物の上には,ワンフロアー程もあろうかという巨大な緑のテント看板がありますが,あまり目立っておらず宣伝効果は少なさそうです。カウンターだけのこぢんまりした造りで客の入りもあまりよくないのを予想していましたが,それはまるっきり勘違いでした。2階にはテーブル席がずらりと並ぶけっこうな収容定員がありそうです。その席も大部分が埋まっており,かなりの盛況ぶりです。しかも枯れたオヤジさんと女将さんにお手伝いさん程度でやってると思っていたら,若い従業員の方も数名います。外見にはひっそりして感じられますが,店内はしっかり繁盛していました。そういう店なので,しっぽりと呑むという雰囲気ではあまりなくて,むしろ若い人が大勢でわいわいがやがやとやるのが似つかわしいようです。実際東大の教員やら学生らしき人たちも見受けられたように記憶します。予想とは違いましたがなかなか使い勝手の良い店でした。
2014/01/24
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とある休みの日の日中に代田橋を散歩です。代田橋というと沖縄タウンのある町としてすっかり定着していますが,もともと沖縄出身者や沖縄料理店が多くあったそうですが,街おこしの一環として平成17年頃から沖縄チックな街造りを始めたということでさほどの歴史があるわけではなさそうです。まあ,こういう個性的な街を造ろうという取り組みには共感しますけど。 そんな商店街にひっそりと営業しているのが「第一食堂」です。昼食がてら寄り道してみることにしました。昭和36年創業と町が沖縄タウンとして変貌するはるか以前から地元に根付いて商売されてきた老舗食堂です。中華がメインですが,さばの味噌煮などの和風総菜も揃っており,昼酒にもぴったりです。加えて沖縄タウンの一軒としての協力も惜しまず,オリオン缶ビール:400円,ゴーヤチャンプルー:500円,ゴーヤの酢のもの:300円なども提供しています。ご高齢の夫婦でやられているお店は,お邪魔したのは初めてであるにも関わらず,かつて訪れたことがあるかのような安心感に包まれており,ほっとさせられます。商店街では歳末の福引なんかをやっているようで,抽選補助券をいただきましたが残念ながら結局使わずじまいとなってしまいました。
2014/01/24
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本所吾妻橋をぶらぶら歩いていたら,ちらりと立ち寄るのにちょうどよさそうな簡易バーみたいなのがありました。散歩にちょっとくたびれた頃だったので立ち寄ってみることにしました。 店は「浅草スマイルバー(Asakusa Smile Bar)」というそうです。ビジネスホテルの1階にあるスタンディングバー風(ちゃんと椅子はあります)のお店です。支払いは食券方式,適当に飲物とつまみの食券を求めて,カウンター隅に席を見つけます。西洋系外国人の女性と若い日本人男性が何やら語り合っていますが,やたらとワンダフルやらグレートを男が連呼するのがうっとおしくて,うんざりさせられます。帰宅後に調べてみると,この建物は外国人客向けのゲストハウスとなっているようで,外国人滞在者とのコミュニケーションを目当てに訪れる日本人客が多いようです。いろんな国の方と会話を楽しみたい方には愉快なんでしょうが,静かに呑みたい者にとってはいささか面倒に感じられます。女性バーテンダー(バーテンダーというほどはバーテンダーの勉強をしているわけではなさそうですが)もにこやかで愛想がよくて好感が持てます。
2014/01/24
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京急線の大師線・空港線の酒場巡りが予定していたよりも長引いてしまっていますが,何とかあと2回でゴールとなりますので,今しばらくお付き合いください。 糀谷駅を後にして,京急蒲田駅を越えてしばらく進むと近頃,新橋辺りに続々と系列店を増やしているという「俺の……」の1軒に行き当たりました。もともとさほど興味があったわけではありませんが,新橋の各店は大盛況で入店もままならないとテレビの情報番組で見ていたこともあり,さらに興味の対象からは外れていました。蒲田のお店は「俺のやきとり 蒲田」と焼鳥をメインにした立飲みですが,たまたま日がよかったのか,はたまた激安店が目白押しの蒲田にあっては,日曜日の夜ということもあってかそこそこに混雑しているものの,まったく待たされることもなくすいっと入ることができそうでした。しからば1度位は立ち寄ってもよかろうということになりました。蒲田の立飲み屋としては例外的にさすがにこちらの客層は若者が目立っていて,しかも女性客も多いようです。従業員の方も若くてかわいい女性が多くて,いずれは彼女たち目当ての客たちも出没することが予想されます。酒も肴も値段的にはちょっと高くて,さすがに味はよかったのですが,オーダーから時間が掛かるのもサク呑み派には間が持たない思いです。恐らくは「俺のフレンチ」やら「俺のイタリアン」なんかの人気メニューらしき肴も扱っていて,これを目当てにするなら空いていて広い店舗を持つこちらに来るのが合理的な気がします。それにしても「俺の……」の「……」が早くも形骸化しているようでは立飲み店としての各店の個性がなくなってもったいないような気がします。 さて,新年,改めて訪れた川崎大師に続く川崎大師表参道商店街は,師走の閑散とした様子とは打って変わって,道幅一杯に人があふれて歩くのもままならないほどです。付近の居酒屋さんも,正月三が日は真昼間から店を開けているようです。前回は店を閉めていた「高木屋酒店」がうれしいことに開いているようです。普段は店内に角打ちスペースがあるのでしょうか。この日は店頭に長机を並べて清酒やどぶろくに加えて甘酒なども販売されていました。きっと普段であれば冷蔵庫から缶ビールやら缶チューハイを買って呑むスタイルでしょうが,せっかくなので,どぶろくをいただいてみることにしました。冷え込んでいたこともあって,暖を求めて甘酒を求める方たちも多く日頃の静かな商店街風景を思い浮かべる余裕もなく押し出されるようにして店を後にするしかないのでした。
2014/01/23
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代々木公園の裏手にあって,小田急小田原線の跨線橋である参宮橋のそばにあるのが参宮橋駅。初詣の際の明治神宮の臨時改札がありますが,余程のことがなければ下車することもない駅です。先日幡ヶ谷から初台を通って代々木に向かった際にちらりと通ったばかりですが,数軒古い居酒屋を見掛けただけであまり面白味のないところだと感じました。それなのにわざわざ訪れたのはS氏と代々木で待合せて,ぶらぶら彷徨っているうちに辿り着いてしまったのでした。 町の様子はおおよそ記憶しており,古びた居酒屋がぽつぽつある線路沿いは後のお楽しみに取っておくことにして参宮橋駅を越えて商店街を歩きます。といっても飲食店のある通りなど限られており,駅からすぐの別れ道の左に進んではお楽しみの店が待つばかりなので,右手に進みます。これといって気になる酒場もなかったので,「大阪串かつ たんと」というお店に入ってみることにしました。間口は狭いものの店内は奥に深く,10席以上ありそうなカウンターを越えるとテーブル席がけっこうな数置かれていますが,先客は男性2名だけ。リフォームを終えたばかりのようなコンクリートの打ちっぱなしのきれいな明るい店内とあってちょっとばかり寂しすぎる気がします。従業員は店長らしきちょい悪系のオヤジとやたらときれいな顔立ちをした女のコです。早速注文,枝豆や串カツで味試しです。まあ悪くないんですけどねえ,串カツ屋はやかましいくらいに賑わってるのがちょうどいいですね。 さて,さきほどの別れ道に引き返し,もう一方の道を進んですぐに「居酒屋 さつき」があります。まあ都心部から外れた町にならどこにでもありそうなちょっと古びて渋いといった店ですが,参宮橋界隈にあってはとりわけ貴重な存在に思えます。昭和55年に開店したということで,歴史がそのまま店の構えに見て取れるというのがうれしいですね。この程度の年季だと店のオヤジやおふくろさんも開店当時そのままなのでしょう。店の奥はテーブル席,座敷もありますが,そこに辿り着くにはカウンターに並ぶ客たちの背後を縫うようにようやく入り込めるようになっています。寒風吹き込む入口そばだけがなんとか空いています。カウンターのお隣にはひとり鍋をつつく女性がいて,女性だけで気兼ねなく呑めるいいお店であるとそれだけで好意的になります。値段もほどほどで(ただしサワー・酎ハイ関係がやたらと高いのはどうして?),味も家庭的でほんわかとなります。便所の壁にはお店のカレンダープレゼントと貼り紙してありますが,一見のわれわれがもらったのでは恐れ多いので遠慮しました。品書:ビール中/ウーロンハイ:550,酒2合:550,玉子唐揚/サツマ揚/ポテトフライ:350,どじょうの唐揚:550,肉じゃが煮/とり竜田揚:450
2014/01/22
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さて,随分と歩き回りましたがようやく川崎駅前に到着です。時刻はまだ午後3時,さすがにこのまま帰ってしまうのはもったいないということで,A氏の意見を採用,久しぶりの大衆食堂かつ大衆酒場の「丸大ホール 本店」にお邪魔することにしました。 本店ということは支店がある,もしくはあったのでしょうか。それはともかく大きな暖簾をくぐって店に入ると大層な繁盛っぷり。なんとか店の奥のテーブル席に着くことができました。常連ばかりでなく,観光がてらに訪れたカップルや夫婦連れも目立ちます。注文するものあったら紙に書いておいてと店のおばちゃんはてんてこまい。忙しいから言葉遣いが荒っぽいのはしょうがないのでしょうが,注文ミスがあまりにも多いのは考えもの(滞在する間だけでも5回はミスしてました,しかも五目そばの麺の種類まで間違って,夫婦連れは失笑するばかりでした)。男性2人連れが一向に取り合ってもらえず,腹を立てて帰ってしまったりもしました。まあ,そういった残念なところもありますが,おおむね大衆食堂での呑みの楽しさを味わえますので,観光がてらに立ち寄るのはありだと思います。 それにしても昨年は京浜急行に縁の深い1年でした。本線の泉岳寺駅~浦賀駅,逗子線の金沢八景駅~新逗子駅,久里浜線の堀ノ内駅~三崎口駅に加えて,今回,大師線の京急川崎駅~小島新田駅を乗り潰したことになります。あとは空港線を残すのみということになりますが,実はこの後,空港線の一部に乗車することになるのでした。 まだまだ午後4時,京急川崎駅から京急蒲田駅に移動して空港線に乗り換えます。京急空港線は,京急蒲田駅と羽田空港国内線ターミナル駅を結ぶ7駅の区間です。羽田空港に行ってもどうにもならないということで,その一つ手前の天空橋駅に下車します。ここで下車したのは初めてのことです。いや~,これは空港が眺められるばかりでホント殺風景なところだなあ。これは呑み屋探しもあったもんじゃないと穴守稲荷駅に向かいます。「ヨーデル」という喫茶店がありますがお休みのようです。空港線に沿って走る環八通りから少し逸れて駅前に向かうと何軒かの居酒屋さんもあって,雰囲気は悪くありませんがあいにく開店していません。日曜日なのでしょうがないですね。さらに歩いて環八と産業道路という大きな通りの交差する大鳥居駅を通過しますが,道路の向こう側に数軒の居酒屋が軒を連ねているのが遠目に見えますが,営業していないようですし,何よりちょっとばててしまっていたので通過することにします。結局先日訪れたばかりの糀谷駅に辿り着いてしまいました。まあこの町にはまだよさそうな酒場がありそうです。駅の北側の商店街をしばらく進むとようやくわれわれの眼鏡に叶った酒場を見つけることができました。 「もつ焼 とん平」というお店です。今振り返って撮影した写真を見てみると真新しいアパートだかマンションの1階にあって,格別気を引かれる要素などまるでなさそうに思えますが,この夜見た時には確かにわれわれの古いもの好きの琴線をくすぐったようです。店頭の焼台から漂う煙に目が眩んでしまったのでしょうか。外観はともかく店内はしっかりいい加減に燻されたように染まっており,よい雰囲気です。カウンターもテーブル,椅子も開店当初からそのままといった感じです。母娘でやっておられるようです。余りの寒さに頭がボーッとしてしまい,うっかりと燗酒あっためてと頼んでしまったのがおかしかったらしく,ねちっこくからかわれたのでした。肝心のもつ焼は90円からとお手頃ですが,味は悪くないのですが,残念なことにしっかりと火が通っていないのか中が冷たかったのは気を付けてもらいたいものです。お客さんは他にお一人だけと休みの夜とはいえいささかさびしかったのでした。
2014/01/21
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築地に対しては,すし屋ばかりで酒場らしい酒場があまりないという印象があって,実際場外や場内になかなか面白い店があることは知っているものの好き好んで足を運ぶ気にはなりません。それでも今回訪れたのはちょっとした会合があったため。そういう事情もあるので,余程のことがない限り訪れることのない築地のしかも寿司屋に行ってしまったのでした。 時間帯はまだ夕方前と早いにもかかわらずいずこもけっこう混雑していたり,休み時間だったりして,何軒か巡った末に辿り着いたのが「築地 すし好 総本店」です。築地本願寺の脇にあるお店で,見掛けどおりさほど歴史もなく,1984年の開店とのことです。まったくもってつるぴかのお店なので店そのものにはまったく興味が持てません。後は酒と肴を楽しむしかないわけで,そりゃ好きなものを注文できるのでそれなりに旨かったし,腹いっぱいにもなったのですが,人様の財布をあてにして呑むのはさほど楽しいものではありません。いつか寿司屋のカウンターで刺身でも見繕ってもらってひと呑みしてからせいぜい5,6貫ほど握ってもらってから,銀座に場所を移してBARにでも呑みに行くというスマートな大人の飲み方がしてみたいものです。
2014/01/20
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遅れてきた再開発の波にさらされている京急蒲田駅界隈に出かけてきました。万が一にも店がなくなる前に老舗BAR「コンパニー」ともつ焼の「権兵衛」に行っておきたかったのです。何度かチャンスがありながらここを通るのはいつも出来上がってから,立ち寄る機会を逸し続けていました。 今回はもとより目指す店として決めていたのです。ところが訪れた時には時遅し。すでに2軒は閉店してしまったようです。ひどく落胆してしまいましたが,呑まずに帰るわけもなく,フラリ「立ち飲み とっちゃん」でサックリ呑むことにします。鶴見にも系列のお店があるようですが,そちらもお邪魔したことはありません。それでもこのお店のマスコットキャラクターはどこかで見掛けた記憶があります。この界隈の立飲み屋としてはけして安いということはなさそうですが,お客さんの入りはなかなかよくて大層賑わっています。肴もヴァラエティーがあり,味もいいから若干の値段の差など気にならないのかもしれません。外観は黄色いテントの庇にそっけなくとっちゃんと書かれていて,実利一辺倒のお店かと思いましたが,思っていた以上に明るく楽しいお店でした。品書:フローズンホッピー:395,サワー:280,目玉焼:200,とんぺい焼き:350,スパムステーキ/牛スジ煮込:250
2014/01/20
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東武伊勢崎線の業平橋駅がとうきょうスカイツリー駅などというまるで味気のない駅名となっても,それこそ巨大で無粋なスカイツリーが登場しても,まだ界隈には古い味わいのある飲食店が残されていて,長い歳月を持ちこたえてきたご主人たちのたくましさに敬意さえ払いたくなります。かと言って必ずしもスカイツリーを悪者扱いしているわけでは必ずしもありません。この施設によって町が活性化するのであればそれはそれでよいことなのかもしれません。実はこの施設の下層階にある東京ソラマチにちょっとした用事があって出向いたのでした。その用事というのは書くほどのことではないのですが,先般栃木を旅行した際,栃木県ではメジャーだという関東レモンという飲物をとうとう味わうことができずくやしい思いをしていたところ,ソラマチに栃木県のアンテナショップ,「とちまるショップ」があるとの情報を入手,問い合わせたところ関東レモンの取扱があるということで,早速行ってみたのでした。首尾よく商品を購入して一安心,人混みから抜け出るため,早々にスカイツリーを立ち去り,駅から言問橋方面に向かう道路沿いにある古い大衆食堂を目指したのでした。 「菊屋(キクヤ)」というのがそのお店。身震いするほどによい雰囲気です。最先端の施設の足元からほど近い場所にこれほどまでに枯れた大衆食堂が現役というのは頼もしくてうれしくなります。店内は広くて,テーブルや椅子もゆとりをもって配置されています。石油ストーブをじいさんが5,6名ほどで囲みながら酒をちびりちびりやりつつ談笑しています。独り寡黙に呑むじいさんも2名ほど,群れから離れるように背を丸めています。気のいいオヤジグループがお客さんが来たぞおと店主に声を掛けてくれます。野菜ハイなどの謎の品もありますが,無難に緑茶割をオーダー,腹も減っていたので驚きの格安カレー:300円也を注文します。しばらくするとご丁寧にもペットボトルの水をコップに注ぎ,スプーンを入れて持ってきてくれます。この懐かしの黄色いカレー,不思議なことにカレールーとしてオーダーするとなぜだか400円となるのですが,どういうことなんでしょ。ともあれここにいると目と鼻の先にスカイツリーがあることなど想像だにできないゆっくりした時間が流れるようです。品書:焼酎水割:350,野菜ハイ:390,カレー:300,讃岐うどん:400,ハムエッグ:500
2014/01/20
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この正月,川崎大師を再訪したことはすでに書きましたが,今回は人生から酒を捨ててしまったM氏と同行することになったので,喫茶店巡りがメインです。M氏は川崎大師ははじめてとのこと,初詣を兼ねて前回泣く泣く見過ごすことにした3軒のよさそうな喫茶店を巡ることにしました。その1軒,「フラワー」はすでに報告済みです。 1軒目は,「ティールーム 城亜」です。実は前回何度か通過した川崎大師駅の真正面にありながらも恥ずかしながら見過ごしてしまっていたお店で,今回は川崎大師駅前に直行バスでやってきたので,伏し穴だらけのぼくの目でもしっかり補足することができました。それにしても駅前一等地にあってしかもモルタル外壁の木造らしき味のある建物を見逃すなんて。角地にあるのではっきりわかりませんが,恐らく看板建築なのでしょうか。コーヒーカップが控えめに入口上部に飾られているのが可愛いです。店内のインテリアはシックでいい感じですが,初詣客で盛況なので,かなり雑然としていたため存分に観察することは叶いませんでしたが,レースのカーテンやキュートな形状のペンダントライトに落ち着いた皮張りの木製チェアと典型的な王道の純喫茶の装いです。窓越しに初詣客たちの雑踏を眺めるのは楽しいひと時です。いつか客足もまばらな際に訪れてゆっくりと過ごしてみたくなりました。 「コーヒー&軽食 Linden(りんでん)」は,駅前のごりやく通りをしばらく進んだ場所にあります。レンガ壁の上部にCOFFE &SNACKとあります。店の前にはキリンラガー樽生の立て看板があって,これは喫茶というよりもむしろスナック色が強いお店かもしれぬと恐る恐る店に入ると幸いにも予想以上の純喫茶でほっとするとともに店内風景に見入ってしまいます。白いソファが整然と並ぶコンパクトなお店で、シックな内装はまぎれもない純喫茶のそれです。昭和44年と歴史をそのままにとどめている空間は貴重なものに感じられます。軽食とありますが王道のナポリタンをはじめとした豊富な食事メニューが魅力。次回はお腹を空かせて訪れたいものです。 このすぐそばにも1976年?創業という「ムーンライズ」というちょっとよさそうな喫茶店がありましたが次回のお楽しみにしておきます。 ところで,前回歩いた際に川崎大師駅と浜川崎駅の中間,コリアンタウンのそばに「Cafe De ファシル」がありました。今回は見合わせましたがいつか訪れる機会はあるのでしょうが。なんといっても遠いですから。
2014/01/19
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今日は出張でネット環境まるでなしだったため、この時間まで投稿できませんでした。こ1年位は皆勤登校中なので切らすのももったいない気がしたので、よれよれですが、投稿しておきます。--- 中延商店街は東急大井町線と都営浅草線の乗り入れる中延駅から東急池上線の荏原中延駅まで連なるアーケード商店街で,近くにはサンモールえばら商店街や昭和通り商店街といった都内でも規模の大きい商店街が集まっていることもあり,昼間に商店街散歩に訪れることはあっても呑みに来たのはこれが初めてです。散歩の際に見掛けたいくつもの気になる酒場を調べてみたところ,酒場好きによく知られている店の支店なのか系列店であることを知りぜひとも訪れてみたいと思っていたのでした。これらの本店は開店が早いこともあり,普段通りに出向いてはとても入店は叶わないほどの人気で果たして無事お邪魔できるのか幾分かの不安を覚えつつもすっかり夜の帳が下りた頃に訪ねてみたのでした。 最初にお邪魔したのは「忠弥」です。祐天寺にあるお店は開店が15:30と早く,しかも早い時間に品切れが続出するということで,以前時間を遣り繰りして開店時間に駆け付けたことがあります。到着するとすでに高架下の民家みたいな一軒家の前には列ができていましたが,さすがに余裕をもって席に着けたのですが,そうこうするうちにあっという間に満席となったことを覚えています。中延の店はガラス戸の安普請な雰囲気が祐天寺よりも酒場好きには好アピールです。ただ店内は広いコの字カウンターですが,祐天寺の外観からは想像できないほどに奥に伸びるカウンターの風情には及ばないようです。有り難いことにまだ空席があり,豊富なもつ焼にも売切れは出ていないようです。まずはチューハイからと注文するとないとのこと,こちらの店舗ではチューハイはないようです。祐天寺にはあったと思ったんですけど。示された壁の短冊から特製カクテルを注文,ああそういえばこのウーロン茶色した甘いカクテルを以前も呑んだなあと記憶が蘇ります。メモ紙に串の注文を書き込むのは同じです。それにしてもやはりこちらのもつ焼は驚くべき旨さです。肴の旨さなど店の風情に比すると小さな要素だと常々思っているもののやはりこれだけの味を知ってしまうとついつい語らずにはおられません。これでもう少し値段が安ければ言うことないのに。他のお客さんは10本どころではないほどの串を皿に並べてなおまだまだ食べたいといったご様子。大きなスーツケースを携えた洋行帰りらしきお客さんもいて,彼にとってはこの店の串が帰国後にもっとも味わいたい味だったのでしょう。 続いては「牛太郎 中延店」です。実は「忠弥」にお邪魔する前に通ったのですが,まだ店が開いておらず恐る恐るの訪問でした。お隣にもいい雰囲気の大衆食堂がありますが,どうやらこちらはお休みのご様子。「牛太郎」は無事明かりが灯っています。武蔵小山の本店もかなりの年季を感じさせるよいお店でしたが,こちらはもっとうらびれたムードで胸苦しさを感じるような哀愁が漂っています。看板にある「働く人の酒場」は一緒ですが全体の雰囲気はあまりにもギャップがあります。そういえば鐘ヶ淵にも同じく「働く人の酒場」と書かれた「牛太郎」がありますが,雰囲気はこちらと近しいように感じられます―ところで鐘ヶ淵のお店もなんらかの縁故があるんでしょうか?―。店に入るとL字のカウンターにテーブル席が2卓ありますが,テーブルには物が積まれ使われていないように思われました。焼酎のお湯割りをお願いして焼物を適当に注文します。押し黙ったまま女店主は,無駄口を利かないというよりは愛想を振りまくということがまったくない方のようで,店内には沈鬱なムードに包まれます。静寂に包まれて呑むのはけっして嫌いではないので,ぼくにはとても居心地良く思われました。武蔵小山と比べてしまうと,品数が少なく,値段も高いとかいろいろ難点もありますが,こちらはまったく別の酒場として楽しむのがよさそうです。これからの続けていかれることを切に願います。品書:ビール大:610,焼酎水割:300,にこみ:450,もつ焼:130~
2014/01/18
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川崎大師駅そばの立飲み屋を後にして商店街に寄り添ってどんどん南下します。しばらく歩いて,商店街が途切れたと思ってもまたしばらく住宅街を歩くと次なる商店街が現れるのです。それにしてもこの界隈にはどれほどの商店街があるのだろうと調べてみたら,今回歩き回った範囲内だけでも次の商店街があったようです。【川崎市商店街連合会】川崎大師表参道商業(協)大師駅前商栄会大師本通り商店会京急東門前駅大師銀座会川崎市東門前駅通り商店街(振)大師出来野商店会伊勢町本通り商店会川中島共栄会【田島商店街連合会】大島本通り商店会桜本商店街大島市場商友会大島商興会浜町商店会鋼管通り商栄会大島デパート商店会 と言ってもすべてが独立しているわけではなく,途切れることなく繋がっているもののありますが,それにしても随分充実しています。初詣に川崎大師に行った際は路線バスで向かったのですが,車道からではほとんど気づかなかったかもしれません。ともかく1Km程南下したこの辺りには川本三郎の文章では沖縄タウンがあるということでしたが,探せど見当たりません。確かに沖縄の方らしき姓の表札が掛かっていたり,沖縄料理らしき商店もちらほらとはありますが,沖縄タウンというほどではないようです。するとなにやら人がたむろしている酒屋さんを見つけました。当然これは角打ちなんでしょうね。早速立ち寄ることにしました。 看板に「(有)丸久 三島商店」とあります。この角打ちの存在はまるで知りませんでした。寒い中,オヤジたちは明るい店の外にはみ出して呑んでいます。冷蔵庫から自分で飲物を取り出すのかと思ったら,ここで呑むなら店の奥が空いてるから入ってと店の方に声を掛けられます。しっかりと角打ちスペース独立式のお店でした。細長い洞穴のように薄暗いスペースにはなぜだか客はおらず,常連たちはもっぱら店からはみ出して仲間たちと語らうのを好むようです。乾き物に缶詰に加えて,魚肉ソーセージなども豊富にあります。ゆで卵のようなちょっと手を掛けたものがあるだけでちょっとうれしい気分になれます。立飲みスペースの壁には清酒黄桜の清水崑が描くかっぱのポスターがびっしりと貼られていて,これを眺められるのも楽しいことです。よく見るとこのポスターの女のかっぱのお尻やおっぱいの箇所に何やら細かい文字で落書きがされていますが,なんのことやらさっぱりわかりませんでした。ともあれ,この角打ちはオヤジたちの社交場としての機能を立派に果たしているようでした。 さらに南に下り,うろうろしていると韓国料理店や焼肉屋さんが数店舗固まってある地域に辿り着きました。ここがコリアンタウンと呼ばれている場所なんでしょうか。在日韓国人会館(?)なるビルもあります。そんな一体と道路を挟んだところにやはり角打ちをやっていそうなムードがぷんぷんにおい立つ酒屋さんがありました。「豊田屋酒店」です。なんだか以前見たことのあるお店だなあと思ったのですが,随分前にJR南武線と鶴見線が合流する浜川崎駅を中心に歩いた際に立ち寄っていたようです。午後3時からの営業開始ということでまだ時間があったので,今回は見合わせることにしました。 せっかくなのでもう1軒位は川崎の角打ち行っておきたいので,以前川崎駅周辺の喫茶店巡りをした際に見掛けたものの,同行者が酒嫌いという不幸に酔って立ち寄れなかったお店を目指すことにしました。その酒屋の名は「千里屋酒店」と言って,記憶では川崎競馬場の駅側にあって,店の向かいが学校だったはずです。それだけの記憶があるのに探せど見つからない。30分近くうろうろしてようやく見つけた時は心底ほっとしたものです。やはり記憶通り小学校の真ん前にありました。店はガラス張りで店内は丸見え,ちょうど学校がやってる朝から夕方にかけた時間帯に営業しているのですが,ここで呑む大人たちは小学生にどのように見られているのでしょうか。まあ,そんな小学生の軽蔑含みの視線などどこ吹く風,古いカウンターに手をついて体重を預けるのがぼくなりの角打ちや立飲み屋でのリラックスポーズです。こちらのお店,角打ちオンリーで酒屋さんとしての営業はしていないようです。立地的にお客さんのほとんどは競馬帰り。交わされる話題はもちろん競馬の話ばかり。競馬にはまるで興味のないわれわれ―まったく登場しませんがA氏も一緒です―(かつては嫌いじゃなかったのですけど)は,もっぱら店内に飾られた古い玩具類に目が行ってしまいます。乾き物,缶詰はありますが,調理されたものはまるでなくおもちゃに囲まれていると正しく大人の駄菓子屋といった風情。見どころの多い愉快な角打ちでした。
2014/01/17
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錦糸町は古ぼけた酒場は数多いのですが,居抜による改装を繰り返していたりして外観のみがくたびれていても店内は新しかったり,店としての歴史は短かったりすることが多い中で,昭和45年に開店したというなかなかに長い歴史を持つ,渋い酒場を訪れることができました。といっても情報の手どころは「吉田類の酒場放浪記」で,まだまだ知らずにいる酒場がこの界隈には数多くあるのでしょうが,ここもこの放送で初めて意識できたのでした。 店の屋号は「なすび」と言います。構えは大衆割烹風ですが,看板の文字からもかなりの年季を感じさせてくれます。店内もまっすぐ伸びるカウンターや小上り,テーブル席と広くはありますが,ちゃんとしたお店の造りとなっています。その調度はどれも煮しめたような飴色に染まっていて,大衆酒場の場合であればこうした状態となることはあっても,大衆割烹風のお店では大方が大きな内装工事などを繰り返して,白木のカウンターは白いままとなることが多いようですがここは歳月の経過をそのままに留めているようです。こうしたしっとりとしたムードの居酒屋さんで呑むのは心地よいもので,ついつい長居してしまいます。ところで,この後,「なすび」さんは移転されたとの情報あり。この時のムードをそのままに留めてくれているのでしょうか。
2014/01/16
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もつ焼の名店「すずや」が閉店してからは三河島に立ち寄る機会がめっきり減ってしまいました。むろん今でも「豚太郎」というもつ焼の脂と紫煙に燻されて真っ黒になってしまった老舗もつ焼店もあったり,けして行きたい酒場がないわけじゃないのですが,まだ「すずや」が店を畳んでしまったショックから立ち直れておらず,気分が沈むことを恐れて自然と避け気味になっていたようです。 この日は駅からほど近い「春駒 本店」に立ち寄ってみることにしました。この居酒屋さんはすぐそばに別館もあったりして,ちょっと気の利いた大衆割烹っぽい雰囲気が足を向ける気にならなかった理由です。すでに2軒ほどハシゴしていたこともあって,駅からなるべく近いところを要望する同行者の意見を尊重することにしました。店に入ると外観が予想させるよりもぐっと庶民的な雰囲気でお得なセットメニューなんかもあってなかなか良い雰囲気。家族経営らしきアットホームなムードでくつろげます。お邪魔してみれば先入観を小気味よくくつがえしてくれる肴も豊富でお手頃な良店でした。
2014/01/16
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北松戸では数少ない良心的焼鳥店にひさびさに行ってみることにしました。数少ないというのは北松戸という町自体に居酒屋が少ないという意味で,この駅界隈の居酒屋は少ないながらもいずれもけっこう質の高い印象があります。 今回お邪魔したのは,「千草」という焼鳥屋さんです。東口から徒歩5分ほどのこぎれいな店で,かつては大衆食堂だったはずですがしばらくの休業の後,突如改装され真新しい店になったものの,一向に店を開く気配もありませんでした。ですが1年ほど前,またもや唐突に営業を始めたらしく常磐線の車窓から明かりの付いているのを目撃して出掛けたのが最初です。それ以来の訪問,焼鳥以外には肴は簡単なものばかりですが,焼鳥が注文ごとに1本1本串を刺すところから始めていたのではそこまで手が回らないのも致し方ないことかもしれません。店の若い主人は柔和で明るい人で一見さんでも気兼ねなく立ち寄ることができるのが良い点でもあり,物足りないところでもあります。品書:ビール中:500,ホッピー:400(中:150),焼鳥:120,トマトオニオン/冷奴:300
2014/01/16
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喫茶編ですでに詳述しましたが,京急大師線の終着駅・小島新田駅を振り出しに大師出来野商店街を進みます。やがてまさにその一角を表現するのにこれ以上相応しい名付けはないであろう昭和マーケットなる八百屋などの商店の寄り集まった懐かしの風景が現れます。人の往来もまばらな商店街ですが未だに現役で店を開いているのは,このマーケットをなくてはならないと感じている方がまだおられるのでしょう。世の中には大型スーパーが増えていますが,自動車を持たない人たちにとってはこうした店は基調に違いありません。 そんな通りに「きくや」なるお食事処がありまして,休日の昼間ですがうれしいことに営業しています。朝から呑まず食わずなので迷うことなく立ち寄ることにします。店頭の欄間看板はオレンジ色も鮮やかで,紺暖簾も下ろしたてのようです。しかし店内は使い込まれたカウンターに丸椅子で町の雰囲気と違和感なく受け入れられます。さて,ホワイトボードには律儀に枠線の引かれた単品メニューが記載されています。厚揚げの麻婆豆腐なんていうちょっと変わった品もありますが,ほとんどは大衆食堂では定番の玉子焼きなどです。静寂の中,われわれも声を潜めがちにゆったりと呑んでいると,突然扉が開かれてギョッとします。入って来たのはまだ20歳に満たないような金髪の娘さんで,こんなお店に若い娘さんとは珍しいことだなあと思わず好奇の視線を向けてしまいますが,店の方の家族のようです。この彼女がいつか「きくや」の後を継ぐことはあるのだろうかと想像は膨らみます。 川崎大師をさらりと経由して,川崎大師駅に続く大師駅前商栄会を進むと川本三郎も立ち寄ったという「高木屋酒店」がありますが,この日はあいにくのお休み。川崎は随分数は減ったということですが,とは言ってもまだまだ角打ちが多く残されているようです。酒場放浪記で放映された「やきとり 篭屋」も当然ながらまだ開店前です。まだ午前中で時間もたっぷりあるので,川崎大師駅から南に向かっても商店街を歩いてみることにしました。数軒のよさそうな喫茶店がありますが,この日は通過,次回のお楽しみにします。が,こんな時間からやっている立飲み屋を見てしまっては避けて通るわけにはいきません。 「たちのみ家 大福」というお店です。立飲み屋というよりは,これといって変哲のないごくありふれた居酒屋のようなお店です。店内に入ると案の定,椅子が置かれていました。ただしテーブルがビールケースを積み上げたもので,カウンターも高めなので,かつて居酒屋だった店に居抜で入って立飲みをやってみたけれど町に馴染まず座り呑みの店に切り替えたといったところでしょうか。まださすがに時間も早いので先客は1名のみ,それでもホッピーの外を追加しているので,けっこうな時間を過ごしているようです。それにしてもこのお店,オヤジさん独りでやっているにも関わらず,肴の種類が豊富,特に魚介系も充実しており,いただいたアンキモは手造りらしく量もたっぷりで満足度が高いものでした。きっと夜になると多くのお客さんで賑わうんだろうと思わせられるよいお店でした。
2014/01/15
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またまた行ってしまいました,西川口。この町はどこといって呑み屋が集中した飲食街があるわけではありませんが,町中に点々と酒場が散在しており,その正体を見極めるにはまだまだ通い詰めなくてはならないようです。闇の風俗店なんかがそこらに紛れ込んでいるようで,闇雲に町の暗部に首を突っ込むのもおっかないような気がしていることもいまひとつ冒険を避けてしまう理由かもしれません。 そんなわけでお邪魔したのは「むさし野」です。東口の裏通り,スナックの数軒並ぶ飲食店長屋の一軒です。外観は年季の入った渋い佇まい,紺地の暖簾がばっちり嵌っていて,そこに緑の内照式の欄間看板が独特な風情を出しています。店に入ると思っていたよりは小奇麗なそれでもこじんまりした居酒屋といった雰囲気でほっと和まされます。お客さんは入ってませんでした。物腰の柔らかで物静かな店主がひとりでやっています。お通しの小皿はブロッコリーと白子というのがうれしいです。肴の値段もお手頃でとても使いやすい好感のもてる居酒屋さんでした。 続いてのお店は記憶にないのですが後からメモを見ると以前訪れていたらしき「やきとり 福ちゃん」というお店にまたもや入ってしまいました。そしてまた今回もほとんど記憶に残ることがなかったのでした。駅の西口にはソープランドなどの風俗店が表面上は細々と営業していて,そこそこ客の入っていく様子も伺えますが,いかんせん往時の活気もなく通りは静寂に包まれています。そんな風俗街のさらに裏手にひっそりとぽつりと建っているお店です。店は若いお兄さんがひとりでやっていて,寡黙ながら親切な様子でした。客もそこそこ入っておりますが,お兄さんに忙しそうな様子は見られないので風俗店の順番待ちの客たちが時間潰しで入っているようにも思われました。正直印象に残っているのはそれ位のもので印象に薄いという印象でした。それでも2度入ってしまったからにはそれなりの理由があったのでしょうが,その正体はまだ明らかになっていません。品書:ビール中:650,サワー:470,マッコリ2合:920,串焼きおまかせ7本コース:1,470,煮込:500,海鮮チジミ:750 駅前ロータリーの酒場「立呑 鳥しげ」という座り呑み店にも以前お邪魔したことがあったはずです。ここの何とも味わいある枯れた風情はしっかり記憶に残っていたにもかかわらずまた入ってしまったのには目当ての酒場が早くも閉店となってしまったからというのが最大の理由ですが,この店には酔っぱらいを惹きつける懐かしさがあるようです。酔っぱらってしまってあまり覚えていませんが,常連のおっさんが何やら風俗の話を得々と語ってくれたのをおぼろげに覚えています。品書:生中:400,サワー:300~,酒/ホッピー:300,串焼:100,缶詰/もつ煮込:300,玉子豆腐/納豆:100 どうにも西川口で呑むと記憶があいまいになることが多く,この町には何やらよそ者が土足で踏み入れてはならないような妖気があるのではないかと感じつつも次なる探訪を心待ちにしてしまうのでした。
2014/01/14
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亀有の駅を中心に広がる商店街はごく狭く,そこを外れると住宅街が広がるばかり。そんな町外れにも何軒かの居酒屋さんがあります。今回お邪魔したのは,亀有駅とお花茶屋駅を曳舟川親水公園を挟んでまっすぐに結ぶ通りが六叉路に分かれるその分かれ目にあるお店からスタートです。 そのお店は「たこやき はてな」というお店。三角地にふさわしいプレハブ造り風の外観はなかなかよい感じ。二等辺三角形の等辺がガラス戸になっていて,店内も店の形状に合わせてV字型のカウンターがあります。平成24年にできたばかりという新しいたこ焼店で,テイクアウトはもちろんのこと,店内で飲食も可能となっており,肴もたこ焼以外にも焼鳥やおでん,刺身まで用意されているので,たこ焼屋さんが居酒屋をやっているというよりは,逆に居酒屋がたこ焼のテイクアウトを副業としているようです。とは言っても一応売りとしているたこ焼をいただくことにしました。トリハイをオーダーするとお通しはうれしいことに温奴(でもこうしたお店のお通しで280円はつらいなあ)でした。母娘連れのお子さんがはしゃぐ中,毎晩来ているらしき青年はテレビのアニメ番組に夢中,視線をそらすことなく店主に熱く思いを語っています。のどかな気分に浸れました。品書:ハイボール:380,トリスハイボール:350,サワー:400,たこ焼:300,やきそば:250,焼鳥:100,おでん:80 亀有駅方面にしばらく引き返すと「創作和食 酒菜や」というごく普通の居酒屋らしい佇まいのお店があったのでお邪魔します。外観とはちょっと違和感があって,店内はどことなくごちゃごちゃしている印象です。カウンターにテーブル席2,3卓ほどだったでしょうか。お客さんはまだおりませんでした。若店主にその母上らしき方がやっていて,しばらくは沈黙の時間が流れたものの,寒いですねの一言を引き金に母上の喋りが炸裂します。のべつまくなしのお喋りは正直ちょっと面倒だなあと思いはするものの,常連になって足繁く通うようになると心地よく感じられるものでした。母上の話によると年明け(今年)に駅前通りの喫茶店「モア」のあった場所に移転するとのこと。この喫茶店は何度か通ったものの結局入れずじまいとなってしまいました。ところで若い店主の作る肴は丁寧に調理されていて,ここは一度じっくりと腰を据えて呑んでみたいと思いました。
2014/01/13
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川本三郎に『我もまた渚を枕 東京近郊ひとり旅』という著作があります。もともと映画評論家としてこの著者に馴染みがあります。といっても映画評論家としては,まったくぼくの琴線に触れることなくよい読者とは言えませんでしたが,最初の著作として刊行された『朝日のようにさわやかに 映画ランダム・ノート』の1部に,地方の映画館を巡るという1章があってこれは愛読したものです。さらに著者には何冊かの紀行本があって,特に『私の東京町歩き』などの東京都内の町歩きをテーマにしたものが知られていますが,むしろ『日本すみずみ紀行』などの地方の町ともいえない場所を綴ったものが面白く,興味を掻き立てられます。先般たまたま古書店で未読であった『我もまた渚を枕』を見掛け,その1章の「京急大師線沿線、工場街を歩く『川崎』」を特に面白く読み,昨年の暮れも差し迫った頃,A氏と大師線沿線を辿ってみることにしました。 川本氏は,京急川崎駅を振り出しに、関東でも指折りの風俗街、堀之内を抜けて川崎大師を参拝、その後、南下して大衆演芸場の大島劇場にて観劇、市電通りを進み、貨物線に沿って北上しています。われわれは,それとは逆に大師線の終着駅である小島新田駅からスタートすることにしました。小島新田駅の恐らく南側の「立呑みコーナー」なる店で軽く呑んだ後、北側にある(あった)と思われるとある食堂の主人から、この町には「(略)十三世帯、二十人いるかどうかだ」と聞かされた町は田町のことなのでしょうか。かつては貨物線と並行して南に伸びる塩浜が終着だったという大師線ですが、小島新田駅には終着駅らしいもの悲しさがあります。改札前のコンビニもキオスクのようにこぢんまりとしており,おあつらえ向きに両側には小規模なうらびれた呑み屋街もあります。この呑み屋街はまだ午前中ということもあって開いていませんでしたが,近く呑みに来てみたいと思わせられる哀愁が漂っていました。 しばらく線路沿いを進むと事前の調べでは,小島新田駅~産業道路駅付近には喫茶店がないと思っていましたが,1軒「ミネルバ」というのがあり,この日はあいにく休みですが,営業はしているようです。その向かいに「岡本ベーカリー」というお店があったので立ち寄ってみることにしました。コッペパンに様々な具材を挟んだパンだけのシンプルな品揃えですが,帰宅後食べてみるとこれが滅法おいしかったのでした。少し進むと神奈川1号横羽線,一般には産業道路と呼ばれているらしき大きな道路に行き当たります。歩道橋を渡ると,ここにもひらがな表記ではありますが「いせもと」があります。これを南下するとローソン前で工員らしきおじさんたちが寒い中酒盛りをしています。さらに南に進むと大師出来野商店街という商店街がありました。この時は気付かなかったのですが,この通りに馴染みのある喫茶店が営業していたようです。「三本コーヒーショップ」です。今では店を畳んでしまわれたようなのが残念です。いつしか商店街は大師銀座会商店街となっており,東門前駅に川崎市東門前駅通り商店街になります。 この後,呑みのほうで寄り道をしたのですが,順序は入れ子となりますが今日は日曜日なのでこの日立ち寄った最初の喫茶店から報告です。ここが界隈で立ち寄った喫茶店ではもっとも好きな1軒なので本当は後回しにしたいところですが,話がややこしくなるので順番に報告します。東門前町の商店街にある「COFFEE みどり」は,橙色のテント庇にR窓が印象的な喫茶店です。外見には窮屈そうで,常連さんばかりで長居しずらいようなお店に見えますが,店内に入ると予想外に広く,店の方との距離感も十分に保たれていて大変居心地がよいのです。椅子は重厚な木製で背もたれがクロスにくり抜かれたものはたびたび見かけますが,ここのものはとりわけ優雅です。川崎大師への参拝の休憩として立ち寄るにはここが第1のおすすめ店です。 川崎大師の入口前からは大師本通り商店会となり,さらに川崎大師駅に向けて川崎大師表参道商業と商店街は切り替わりますが,この入口の2階にあるのが,「喫茶&軽食 フラワー」です。実はこの先の喫茶店めぐりは,今回の小旅行の約10日後に改めて訪れています。初回はさほど喫茶店に関心のあるわけではないA氏の意中を察して泣く泣く見過ごしたのでした。外観を見るに際に階段を上り扉を開くと広がるのはまさにスナック文化華やかしき頃のケバケバしい赤紫を基調とした店内です。喫茶店とスナックとの境界はあってなきが如しということもあり,好みの分かれるところですが,ぼくにはちょっとスナック色が強すぎるように感じられました。客は一見の客に交じり,店の方の親族やらも集っているようで,子供たちが駆け回ったり正月らしいのどかさがあります。なぜか店内の壁には多くの色紙が貼られていて渡辺健などに交じって,なぜか何枚もの色紙があったのが井森美幸でした。こちらのお店となんらかの縁があるのでしょうか。窓外には初詣客が身動きできないほどに道を埋め尽くしておりますが,ここだけは別世界のようにのんびりした空気でした。
2014/01/12
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津田沼駅には今を去ること10数年前,友人が住んでいたこともあり度々出向いたものですが,この数年はとんとご無沙汰となっていました。うれしいことに津田沼方面の出張が入ったので,同年代の同僚K氏とうら寂しい京成津田沼駅から10分ちょっと歩いてJRの津田沼駅までやって来たのでした。駅前の呑み屋街などの眺めはかつてとそうは変わっていないものの,当時は呑めればどこでもいいという出鱈目な単なる呑兵衛に過ぎなかったので,酒場巡りが生甲斐となった今ならばきっと以前は気付かなかった風景に出逢えるだろうと期待しています。 とは言っても同伴者がいるので,取り急ぎ「元祖 参佰宴」という酒場に入ってみることにしました。本当であれば太田和彦氏推奨の居酒屋に立ち寄ってみたかったのですが―実際に立ち寄ってみたのですが時すでに遅く満席で架線橋を越えるしかなかったのでした―,やむをえません。この呑み屋街では以前何度か呑んだ記憶があり,K氏もかつて高校生の頃にここら辺をよく利用したとの由。「参佰宴」の示す通り原則オール300円のお店ですが,今となってはさほどのありがたみは感じられなくなっています。それでも店内はびっしりでほぼすし詰め状態です。この店のどこがこれほどまでの吸引力をもたらしているのか,よく分かりませんが少なくともこうした活気のある酒場で呑むのは案外気分のいいものです。まあこうした騒々しい酒場で呑んだ後はどんよりとした空気の漂うような店がすぐに恋しくなるものです。 そうしたわけもありまして続いては酒場好きにはよく知られる「ギュートン軒」にお邪魔することにしました。屋号が喚起するイメージが牛豚のもつ焼をメインにした今風の居酒屋という固定観念をぼくに抱かせていたのですが,そうした予想は心地よく裏切られることになりました。なんとも味わい深いオンボロ系立ち飲み店だったのでした。ばあさん2名が厨房でてんやわんや立ち働くのを傍目に,酔客たちは実に愉快そうに呑んで食べて語らっていてぼくまでハッピーな気分に浸ってしまいます。値段も安くて肴も旨い,加えてこの雰囲気の良さでこれ以上臨むことはありません。あまりの気分の良さについK氏にこの店のように素晴らしいあちらこちらの酒場の話を聞かせていると,独り呑みのおぢさんが声を掛けてきました。上野アメ横にビール大瓶が350円の酒場があるよ。京成立石の「宇ち多゛」は素晴らしい,平井の「松ちゃん」には通い詰めているが「豊田屋」は店の××さんが気に入らない,などなど酒場について延々と語り続けた末に,お勧めのお新香を半分お裾分けしてくれるや嵐のように立ち去ったのでした。ここは津田沼で呑むならまず立ち寄りたい店となりました。品書:チューハイ:280,ハイボール:370,煮こみ:250,牛タンやき/豚ガツの唐からし漬/ハムカツ:150,まぐろぶつ:280
2014/01/11
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亀戸で人との待合わせがありました。亀戸には時間潰しにちらりと立ち寄ってそれこそ生ビールなんかを1杯だけ引っ掛けて立ち去ってしまってもさほど気兼ねしないで済むようなまさしく「1軒目酒場」的な店がいくつもあって、この夜の待合せに使ったのは「立呑み処 くら 亀戸店」でした。 小岩駅そばに2店舗、以前までは本八幡駅そばにも1店舗を構えていたお店でこれからどんどん増殖していくかと思いきやどうしてだか勢いがぱったりと止まってしまったようです。チューハイが150円と値段も格安ですが、どうしてなのでしょう。「でかんしょ」も伸び悩んでいるようですし、「づめかん」はなんとか店舗を拡大しているようです。これらから比較すると値段も高めな「かぶら屋」がこれほどまでに勢いがあるのが不思議でならないのですが、ぼくの志向は世間とはずれているのかもしれません。ともあれ亀戸の「くら」ですが、小岩店もさほど混雑している印象はありませんが、こちらは小岩の店舗よりもずっと広い店内であるため、そこそこの客が入っても客足まばらに見えてしまい新規のお客さんを獲得しそこなっているのかもしれません。特に入口付近には人が少なく、奥のほうではサラリーマンの小集団がそれなりに盛り上がっているのですが、彼らもこの格安酒場の火を消さないためにもむしろ入り口そばで呑むくらいの工夫をしてあげてもよさそうなものです。特にどうってことのない店ではありますが、値段は破格に安いのですからさっと立ち寄る店としては文句ありません。
2014/01/10
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新小岩の飲み屋街というと駅の南側に気持ちが傾きがちですが、北側にもぽつりぽつりながらもよい雰囲気の酒場があって、とりわけくたびれた風情の一軒家のお店が「赤城」です。これまでも何度かトライしていたのですがどうしてだか振られ続けての今回が初訪問となります。 駅の南北を結ぶ連絡通路をくぐって明かりもまばらな路地に入るとあります。カウンターがメインの酒場はほぼ満席ですが、奥にたまたま空きがあってなんとかもぐりこむことができました。煙草は3本までの張り紙を見ると、嫌煙家のおっかない主がやってるのかと思ってしまいますが、実際はぜんぜんそんなことはなくって、親切そうな夫婦で切り盛りしています。客たちはほとんどが常連さんのようで、ここでこの夜もたまたま遭遇した方たちが老若男女分け隔てなく語っています。正直酒や肴の何をいただいたのかはすっかり記憶から消え去っていますが、今でもこの家庭的な味わいは記憶に刻まれています。品書:焼酎ハイボール:280,ガツ刺:300,もつ焼:4本360,ホウレン草おひたし:200,手作り厚揚焼:280
2014/01/10
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上野に酒場は数あれど、ガード下の何軒かを例外として老舗酒場と呼べるような店はあまり多くはないようです。そんな中にあって昭和34年創業の老舗「北畔 本店」は貴重な存在と言えましょう。とは言えいくらか敷居が高いこともあって、これまで何度か立ち寄ろうと店の前を行き来したのですが、上野に来るときは大抵すかんぴんで立飲み屋に流れることが多いため、今回が初の入店となりました。 NHKの「きょうの料理」を35年担当した料理研究家の阿部なをが創業したというみちのくの郷土料理店ということで、店に入る前は囲炉裏南下のあったりする民芸調のいかにも東北の田舎の一軒家でございといった嫌味があるお店かと思っていたのですが、実際はさにあらずよ具合に枯れた佇まいの渋い居酒屋然としていたのはうれしい驚きでした。もうひとつ驚かされたのはお邪魔した時間がまだ9時前であるにもかかわらずもう閉店準備をしていたのでした。東北人(ではないかもしれないけれど)風のぶっきら棒なおばちゃん2人がもう店閉めるんですけどと無愛想に言ってくるので1杯だけでもいいからと言うと、無言でカウンターを指さします。お酒と簡単な肴を注文すると、これまではぶすっとしていたおばちゃんたちが切込みっていうのはね、東北の郷土料理でニシンなんかを塩と麹で漬け込んだものなんだよなんて親切にも語ってくれるのでした。入口から続く長いカウンターとテーブル席もいいですが、、奥に続く空間もしっぽりと落ち着いて飲むにはよさそう、2階には座敷もあるようで東北で暮らしていた頃の旧友などと宴席を囲めたら楽しいのにと想像が膨らみました。
2014/01/10
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日頃、しょぼい呑み方ばかりを披露していますが、たまには有楽町で呑むこともあるのです。それもガード下なんかじゃないのですよ。ストーとは日比谷なのです。 まずは日比谷を振り出しにしましょう。繰り返しますがガード下ではありません。有楽町電気ビルの地下1階にある「立呑み もつくし 有楽町店」なのでした。これじゃいつもと変わりないじゃないか。でもきっとこの立飲み屋は丸の内OLなんかで賑わっていて、いつものおっさん天国とは雲泥の差があるはず。うきうきと目的地に向かいます。う~ん、さほど味わいのない店ですねえ、でもここが日比谷だと考えればまあ上出来でしょうか。早速店内に、うっ、なんてことだ、いつも行く酒場とまるで変わり映えしない背広オヤジ族ばかりではないか。店内でただ一人の若い女性店員はぼくのオーダーを受けるとそのままトイレ休憩へ。まさしくオヤジばかりになってしまったのでした。やはり日比谷でもぼくが行くのはこんな店ばっかりなんでしょうか。まずまず日比谷としては安心価格のお店ではありましたが、まったく消化不良のまま店を後にしたのでした。 ところが、次なるお店はなんと東京會舘にあったのでした。実はここで報告はしませんでしたが、つい先日も同舘1Fにある「東京會舘 カフェテラス」でお茶をしてから「シェ・ロッシニ(Chez Rossini)」にてシェ・ロッシニコース:5,000円也をいただいたばかりだったのでありました。エスカルゴときのこのかる~い煮込み ブルターニュ風に始まり黒むつの網焼き アンチョビ香る ブールブランソース サンマロー風、フィレビーソテー グリーンペッパーソース、パティシエからの甘い誘いと流れるような料理の数々に舌鼓を打ったばかりでありますが、これは当然ながら自腹ではないのでありました。さて、この夜は地下1Fにある「中国料理 東苑」が会場なのでした。フランス料理では気の済むまで呑むことは予算上困難であったため、せっかくの料理も十分に堪能できなかったのですが、今回はビールと紹興酒がメインなどが呑み放題ということもあり存分に酒と肴を満喫できるはずです。結論としては堪能しすぎてすっかりご機嫌さんになってしまい会合の終盤にはへろんへろんとなってしまうという体たらく。まあ仕事がらみではあるもののさほど業務とは関係のない集まりであったのが幸いです。やはりぼくのように賤しい傾向のあるものには呑み放題コースなどというシステムは却って楽しめないのでありました。帰宅後の翌日の不況を思い浮かべると通勤の足取りも重くなるのです。ところで、東京會舘をそれほど利用したことがあるわけではないのですが、これまでの乏しい経験から言えることは値段の割には料理の味はいいもののサービス面にはがっかりさせられることが多かったように感じられます。ウェイター、ウェイトレスともにあまりにも未熟さが目立つのでした。まあわれわれの顔ぶれを見てあえてベテランを外してきただけなのかもしれませんが。
2014/01/09
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都営三田線の蓮根駅なるとても都営地下鉄が通過しそうもない駅名の駅にて呑むとなれば、大根と同じ根菜類の仲間の名を持つ店にお邪魔するのがよいかもしれません。 といっても本当は「居酒屋 吉田」なる吉田類の例の番組で放映された酒場を訪れるつもりが、事前の調べの地帯には一向に見当たらず、というか地図検索がピタリと指示した場所は廃屋となっていて、これは閉店したのであろうかと早々に見切りをつけたもののいまだこの酒場がいかなる境遇にさらされているのかは知る由もなく、たまたま蓮根のお仲間「居酒屋 だいこん」を見掛けたのでお邪魔したのでした。といってもここはごくごくありふれたお店。ただし、この夜はいかにもありふれてさしたる個性もないお店を所望していたようで、ひたすら呑みに呑んで今ではすっかり記憶の痕跡すら辿ることがままならないのでした。
2014/01/08
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亀有からバスに乗ってA氏との合流地点を目指すことになり、慌てて亀有に降り立ったものの当のバスは発車してしまい次の乗車まで一時の空白時間が生じてしまいました。さて、時間も早いしどうしたものかとふらり町をぶらつくのですが、まだまだ酒場が目覚める時間には一刻の猶予が必要なようです。 そんなときに重宝なのが勤勉なるわれらが同胞、中国人の経営によるお店にお邪魔することです。「上海厨房」がはたして中国人の方が経営する店であるかはともかくとして、中華料理店は酒場難民たる者にとって極めて重宝、いやありがたい存在なのでした。店の方以外ひとりの客もいない店内でたった一皿の餃子を肴にのんびりウーロンハイ(だったか)をジョッキで呑むのはちょっとした優雅な気分です。この一時は世の中でみながあくせくとミツバチや働きアリのようにしゃにむに働いているのにもかかわらず自分だけは愉快な愉悦の時を過ごしているのかと思えるのはちょっとした優越感を感ぜずにはおられません。といっても早酒が当たり前になっている赤羽やら川崎などではこの優越感は味わえません。都心から遠くも近くもない公営ギャンブル場とも縁がないような町を選ばねばなりません。
2014/01/08
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先日、下総中山の「づめかん」にお邪魔しましたが、実はそのすぐ前に門前仲町店にお邪魔していたのでした。店の印象はまったく対照的で明暗で分かたれていました。町の印象では中山こそ暗で、門前仲町は明となりそうですが、実際受けたのは全く逆のものでした。そして、立飲み屋にあっては、ぼくは暗を贔屓にします。町は中山のほうがずっと好きなんですけど。 で、「づめかん 門前仲町店」ですが、店の印象からは昭和の時代からやっているようなうらびれた雰囲気を感じますが、実際は平成23年の創業でまだまだ新参店です。にもかかわらず古参店のような風格を感じるのにはいくつかの要素がありそうです。店内が薄暗いこと。テーブルの配置が教室のように整然としていること。独り客が多いことなんかが陰惨なムードを醸すのに寄与しているようです。店の人たちにも活気がないのは、多くの場合、悪い方向に作用するものですが、ここではむしろいい具合のうらびれ感をもたらしています。同じ安い「でかんしょ」に足りないのはこのけだるい雰囲気です。まだ2店舗を経験しただけですが、店舗にとって受ける印象が異なるのであれば、各店を巡る楽しみがあります。他の立飲みチェーンにはこの点が欠如しており、ぜひ見習ってもらいたいと思うのでした。
2014/01/08
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東あずまっていう駅をご存知でしょうか? 曳舟駅と亀戸駅までのわずか5駅だけの東武亀戸線という小さな路線にある駅で、路線距離はわずか3.4km、2両編成のワンマン列車が路面電車のような平坦な線路を往復しています。その気になれば歩くことだってぜんぜん大変というような距離ではありませんが、今では廃駅となった駅が4つもあったということを知ると、昔の人はよく歩いたというけれどホントかなあなんて疑問を抱かざるを得ません。ごく一部を除いては複線化されていて、頻繁に列車が行き交っています。今回訪れた東あずま駅はそんな亀戸と曳舟からもさほど遠からぬちょうど真ん中に位置します。 さて、例のごとくに職場の同僚の車で東あずま駅のそばに落としてもらい、さてどこに呑みに行こうかとうきうき歩き出します。ふと不安になって財布を開くとなんともかなしいことに残金は3,000円を切ってしまっています。クレジットもキャッシングのカードも日頃から不注意で何度かミスを犯したことがあるので、今ではよほどのことがない限りは持ち歩かないようにしているのです。まあそんなことはどうでもよくって、さてこれだけの現金でもせっかくここまで来たのだから一杯呑まずには帰れません。 駅のすぐそばには全1,589戸という大きな立花団地があって、その道路面にあるグルメシティに併設の飲食店街があります。団地商店街の風情が好きなので以前からチェックしており、居酒屋もあるのですが財布事情が上述の通りなのでありふれた町場の中華料理店に入ることにしました。「ラーメン大学 立花店」というお店で、チェーン店らしいのですが、この界隈に密着した風の枯れた食堂風なのが悪くありません。ガラス越しに店内が丸見えなので一応お値段もチェックできて好都合。そこそこ客が入っていますがそこそこ広いお店なのでひとりで4人掛けテーブルを独占です。新聞を手にしてのんびり熱燗をすすります。目の前のテーブルに着いた中国の方らしい娘さん、席に着くや興奮した表情でメニューを穴の開くほどにチェックして、マーボー丼大盛りやら餃子やらあと数品を一気に注文すると到着した皿から一気に掻き込んでいきます。三角食べ(順番にバランスよく食べる食べ方があるようです)なんていう軟弱さなどとはまるで無縁にとにかくその皿を平らげると次の皿という、貧しい酒呑みには目の毒ともなる迫力で、見るまいと思ってもついつい目線はそちらに向いてしまいます。時折、おいしいねやらうれしいねなんて言葉を発していて、その度に見入ってしまいます。途中、目がばっちりと合ってしまい、まずいと思うものの、彼女は胃に買いする風もなくニヤリと笑うとまた何事もなかったかのように掻き込み始めます。ふと気付くと彼女は店をつむじ風が吹くようにさっと通り過ぎ、後に残されたぼくは彼女の半額にも満たない金額しか消費していないことに気づかされ、激しい羞恥に駆られ店を後にするのでした。品書:ビール中:440,酒1合:350,缶酎ハイ:400,餃子:260,味付け煮玉子:200,メンマ小皿/ザーサイ小皿:220,野菜イタメ:470,東京ラーメン:540 そんな羞恥心などまだまだ酔わぬ身にとっては寒風とともにあっという間に吹き消され、次なる安酒場を求めるのでした。東あづま本通り会を進むとやがて「たか尾」なる安普請な酒場に興味が掻き立てられるのでした。引き戸を開くとそこは近隣(明らかに近隣とわかる、なぜなら厚手のジャンパーはともかく、足元はおおむね素足につっかけ姿)のじいさまたちがカウンターにずらり。店のママさんは年増のどこかしら気位の高そうな女王様タイプ。これはもしや若かりし頃は近隣のマドンナであったのかと想像をたくましくするものの想像の芽は芽吹くことなく家運t-の片隅でしおれてしまうのでした。それにしてもじいさまたちの元気なこと。しかも旺盛なる食欲でオーダーの声が次々に上がります。負けじと注文するもののあな寂しや頼むのは1杯の酒ともつ焼数串のみ。威勢のいいママさんも一見のぼくにはいくらかテンション抑え気味の丁寧な対応。さすがにひとりしょんぼり酒を呑む客にはそれなりの気遣いがあるのでしょうか。しょんぼりしている理由をいかに解釈されたかは常連組の圧倒的なしゃべくりに混じることもできず、もとより交わっても財布がからけしだなんてことは言えるはずもないので(時には正直告白の作戦に出ることもある)、寡黙な男を演じてみるばかりなのでした。味も値段も書くべ鵜t語るべきことはありませんが、もしかするとこのママさんにはオヤジ心をくすぐるなにものかが備わっているのかもしれません。まだまだオヤジになりきれぬ身としてはいましばらく時を置いて訪れる機会を窺うべきなのかもしれません。
2014/01/07
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東武練馬はもっと腰を据えて呑み歩く必要があると常々思っている界隈なのですが、その序列はさほど高い位置にあるわけではないため、たまたま所用があった場合などにちらりと立ち寄ることがある程度です。なので、どうしても定番の酒場を目指すことになり、本当の東武練馬の酒場事情を探るための前哨戦といったことに終始してしまいます。 今回お邪魔したもの「吉田類の酒場放浪記」で紹介された昭和58年創業の「小料理 安寿」です。なぜだかこの放送のことはよく覚えていて、先般来た際にも店を見掛けていたもののどうも立ち寄る気になれず今後の機会に見送っていたのでした。店構えは小体で年季も感じられそれなりに悪くはないのですが、女将さん目当てのご近所さんたちという状況はテレビの通りでした。お隣に腰掛けたオヤジアさんが一言も喋らず、酒の追加も銚子を指さすという最低限の所作のみという徹底ぶりが目に付く程度でした。ヒロシ&キーボーの古い歌謡曲が流される店内のカウンター席に腰掛けたところ、女将さんから以前いらっしゃったことありますよねなんてことを言われます。どうもぼくはこういうことを言われることがしょっちゅうで、どちらかというと特徴的な顔をしているぼくと見間違うようなことはあまり考えにくいのですが、これはあくまで社交辞令なんでしょうか。ともあれ、けして感じの悪い店ではないものの店の方と客との馴れ合いみたいなものがちょっと気になるのでした。
2014/01/06
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鶯谷の地獄谷などと土着酒場のおばちゃんたちは昔語りをされますが、今ではそうした物騒さはすっかり影を潜め、急ぎ足にホテルに向かう恰幅の良いサラリーマンや車で送り届けられたまだ10代らしき娘たちの姿にその無残な残滓を留めるのみです。近頃は立ちん棒のおばちゃんたちの数もぐっと減ったように思われます。 そんな変わりつつある鶯谷のいかにも虚しい酒場の一軒「呑兵衛 鴬谷店」にお邪魔することになりました。「庄や」や「やるき茶屋」などを運営する株式会社大庄の系列店です。同社のHPによれば「呑兵衛」は都内を中心に9軒だけと比較的小規模のチェーン展開に留まっているのでした。恵比寿や幡ヶ谷、東中野、江戸川橋などの比較的酒場度の薄めの地域に多いのは「庄や」が336店舗あるのと比較すると異色ではあります。普段であれば立ち寄ることもなかったのでしょうが、この夜は待合わせがあったためわかりやすくてひとりでも時間を潰せる酒場をという要求がありここを選んだのでした。客の入りはぼちぼちで独りで待ち人を待つための時間つぶしの店としてはまあ適当ではありますが、こうしたチェーン店って時々行く羽目になりつくづく品書きを眺めると日頃通う酒場のお得さが感じられるというものです。こうした店は安さがモットーであるというのは過去のものなのでしょうか。ただひとつこの何の変哲もない居酒屋で拾いものといえば、アルバイトらしき可愛い女のコがお酌をしてくれることでしょうか。酌をしてもらうだけで脂下がるというのもなんだか惨めなものです。
2014/01/06
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赤羽に行くのは正直飽き飽きしているのですがそれでも時折立ち寄るのは、その度ごとに全く知らない酒場を見つけることができるからです。それが新しくできた店なのかそれとも見過ごしていたにすぎぬのかははっきりしませんが、ともあれ夥しいほどの酒場がやはり赤羽にはあるということなのでしょうか。この日も赤羽の飲み屋街の真っただ中にあるにも関わらずその存在を気付かずにいたとある一軒にお邪魔したのでした。 「もつ焼 串焼 もんちゃん」です。プレハブ造りっぽい安普請の店の雰囲気は悪くありません。客の入りはぼちぼち、店主は若く、どこかとんがっている風です。そのせいか客たちもどこかやさぐれたムードで自分がいるのは場違いな気がします。品書きを眺めると男体山漬なるものがあります。もしやと思い店主に伺うと、一見客のぼくを不審者を見るような目付きで眺めていたのが一転、池袋の「男体山」で修業していたことなどを話してくれました。ちなみに男体山漬とは人参とイカのきんぴらっぽいのです。もつ焼もちゃんとおいしいので、もう少しにこやかにしてもらえるともっとお客さんも入るのになあ。品書:ビール大:600,酎ハイ:330,酒小:280,もつ焼:100,煮込/レバ刺:350
2014/01/06
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とある暮れも差し迫った土曜日の夕暮れ時、柴又にひさしぶりに遊びに行きました。柴又って参道に立ち並ぶ土産物店や飲食店なんかはそこそこ観光地らしく充実しているものの、そうした店々はそれなりに風流なものを感じなくはないものの個々の店の個性は感じにくく、著名人をだしにするようなあざとさや殺伐とした客の奪い合いばかりが目についてうんざりさせられるのでした。参道から離れると地元に密着したそれなりに味わいのある店舗があったりするのが常なのですが、柴又の場合は駅から帝釈天にかけての参道を外れるとなんとも寒々とした住宅街が広がるばかり。何度訪れてもこれというお店が見つからないのでした―と、諦めかけた頃なんとも迂闊なことに駅のすぐそばにわが愛するチモトコーヒーのお店があることに今更のように気が付いたのでした。 その1軒は「セピア」という遠目にはなんとも渋い味わいのあるお店。ついふらふらとひきつけられてみるとそこにはお馴染みのチモトコーヒーの置き看板があります。喜び勇んで近づき店内を見るとなんたることかいかにもレディメイドな、ある種の人々には郷愁を掻き立てるのであろうグッズで埋め尽くされているではありませんか。こうした店があることをとやかく言うつもりはありませんが(本当はある)、本当の意味での懐かしさというものは単なる懐古的な物が並べられているだけでは、醸されないものです。調べてみるとこちらは平成25年の開店とのこと。そういう意図の透けて見えるような店をこれぞ下町というような捉え方のされる柴又で開業するというのはあまりにもあざといのではないでしょうか。あと30年は継続すると味が出てくるかもしれませんが。 本当の味とは「珈琲専門店 AOB(アオバ)」のいぶし銀のような佇まいにこそ感じられるはずです。やっているのだか外見には判然としがたい店の扉を開くときのときめきと何度となく経験してもどうしても感じずにはいられない緊張感はこうしたすばらしい店では常に感じることです。茶系統に誂えられた店にあって、窓際の一角だけは趣を明るめにしており、さり気なくも幅広いお客さんを迎え入れる準備に余念ありません。こうした喫茶店では必ずと言っていいほど寡黙で丁寧にコーヒーを入れてくれる店主がいるもので、同伴者がモカだかなんだかの銘柄を注文するとうちではブレンドがお勧めです、ぜひともブレンドを召し上がってくださいと不可解なまでのこだわりを主張するのもなんだか爽快にすら思われるほどです。「セピア」さんは。昭和50年創業というこのお店のすぐそばにあります。そのスタイルをこれ以上あれこれいうつもりはありませんが、近所のおばあちゃんが孫を連れてわずか5分ほどでもそのひと時を惜しむかのようにコーヒーを嗜んで帰られるようなお店にしてもらいたいものです。 おまけに他の柴又の喫茶店。 さらなるおまけ。ちなみに、年末年始に掛けて川崎大師方面を散策したのですが、その際チモトコーヒーのお店を見掛けたので、おまけというより備忘録として報告だけしておきます。「のん」というお店で、別な看板には酒処とあったのがちょっと気に掛かるところですが。
2014/01/05
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有楽町駅のガード下というと南側の「西銀座JRセンター」がメジャーで今では婦女子の姿も珍しくなくなっています。どのお店もサラリーマンやOLなどがグループでやって来ては大声自慢でもしているかのような喧騒の中ではとても独りで呑めたものではありません。一方で北側に広がる「有楽町高架下センター商店会」は最近こそ出向くたびに新しい店舗ができて装いを新たにしつつありますが,以前はそれこそ寂れきっていた印象があり,女子供が足を運ぶことなどあまりなかったように記憶していますが、今では新しい店舗も続々と進出して以前のわびしくひとりおっちゃんが呑むという姿が似合わなくなってきたように感じられます。そんな代替わりしつつあるガード下で一昔前の面影をそのままに残す通りがいまでもかろうじて残されています。そのガード下のさらに小さな横丁は丸三横丁と呼ばれる横丁があって小さな酒場5,6軒程が軒を連ねています。これまでどうしてだか訪れる機会を逸していたため、満を持しての初訪問となります。 昭和22年から営業を続けている「銀楽」にお邪魔することにしました。休業していたはずですが、いつの間にか再開したようです。この夜は珍しくも喜ばしくフレンチなど食した後だったので、正直どこも似たり寄ったりの廃墟すれすれのボロ店舗でどこに入ってもよかったのです。実際、時間は9時を回ったばかりだというのにいくつかの店はすでに店仕舞いの準備中です。こちら「銀楽」は場所柄もあってか全品500円というのがちょとばかり懐が痛いのでありますが、やむをえないことでしょう。総勢4名のわれわれおっさんたちはカウンターにずらりと並びます。オヤジさんはカウンターの中でうろうろしているばかりでなかなかオーダーに応じてくれないのはどうしたことでしょうか。まあ時間もありますし、しっかり店の歴史を感じ取ろうと観察させてもらいます。肴は呑兵衛好みの簡単なものばかりですが、そんなことはどうでもいいのです。ただこの東京どころか日本を代表する商業地域のど真ん中にこれほどまでに古くて時間を忘れて呑み続けたくなるような酒場が現存していることにひたすら感動したのでした。 一人になり、東京駅方面に向かって歩きます。ミルクワンタンの「鳥藤」などにも久しく行っておらずそそられましたが、この夜の次なる酒場は「もつやき 川上」とすることにしました。ここも幾度も通りかかりながら入店の機会がなかったお店です。あと15分程度で店仕舞いだよとの悲しいお達しにもめげず、一杯飲むだけでもいいからとカウンターに通してもらいました。お隣では30代の女性が独り煙草をくゆらせながらサワーを呑んでいます。いずれともなくなんとなく会話を始めます。彼女はJR京葉線の沿線住民で地元には酒場がまったくなく、毎夜ここを訪れては独り呑んで帰宅の途に就くということです。確かに同じJRの東京駅を起点としているにも関わらず、京葉線の乗り場は大きく駅構内の外れにあって、ちょうどこの辺りだと乗車にも便利なのでした。この酒場の常連の多くが京葉線沿線の埋め立てられた殺伐とした自宅に帰るまでのひとときを過ごしているのではないかとさびしい想像を働かせてしまうのでした。それでもこの女性は、夜な夜な訪れるさまざまな客たちと親しく会話を交わすことで一日の疲れを癒しているのだなあと有楽町のガード下の南側とは違った別の一面を見せてもらった気がしました。
2014/01/04
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思い切って上福岡に遠征です。といってもご存じない方も多い町なので念のため申し上げておきますと,東武東上線(正確には東上本線)の川越駅の池袋駅からは2駅手前になります。池袋駅から急行に乗って,ふじみ野駅で各駅停車なりに乗り換えて1駅,およそ30分程度で辿り着くことができます。といっても片道運賃が池袋駅からは400円とけして安くなく,往復したら立飲み屋なら1軒は十分楽しめます。ちなみに東武伊勢崎線であれば北千住駅から春日部駅まで行けてしまう計算になります。ともあれ,その気になったら即行動に移すのが得策。お財布と相談しながらも思い切って上福岡を目指すことにします。成増までは240円、志木までは300円なんてことはなるべく念頭から押しやっているうちにうとうとしてしまって、気付くとふじみ野駅。慌てて各駅停車に乗り換えてたった1駅。池袋からは30分もかからないわけでした。駅に降り立ち、改札を抜けた途端、この町はすごい酒場に満ち溢れているであろう予感に満たされたのでした。 早速目に飛び込んだのは北口からすぐの交差点の分かれ道、V字の底、三角地に建つ「やきとり 山ちゃん」です。ここがなんともすごい。立飲みの焼鳥酒場なのですが、わずか10名ばかりがようやく入れる程度の狭い店内に客がぎゅう詰めになっています。客層はインターナショナル、フィリピン系らしき女性グループを中心にぼくと持ち帰り客1名以外はすべて外国の人。何を語っているのかは計り知れないわけですが激しく盛り上がりまくっています。外国人が多いことにもちょっと驚かされますが、それ以上に店をひとりで切り盛りするおばちゃんが彼女たちにとても慕われていることに感動します。「ママさん、偉いねえ、ママさん、ありがとう」と事あるごとに声を掛けているのです。このママさん、実際のところはかなりおっかなくて頃合を見計らって注文しても、ちょっと待ってよ、ひとりでやってるんだからと恫喝されてしまったりとまあ気を使うこと。それぐらいの迫力がなければ続けてこれなかったんでしょう。実際、駅北口の町並みを守っているのは、この酒場の存在が大きいんじゃないでしょうか。この酒場が町の楔のように頑張っているからこそ、上福岡の繁華街は現在まで存続していられたのではないかという想像があながち間違いでないように思われるのです。ともあれ、上福岡に行ったら避けては通れない関所のような酒場でした。 続いては、駅側にとその裏手の通りの2か所に入口がある「さぶちゃん」にお邪魔します。「?」マークの点を取って左右反転させたような変形カウンター、30席ほどのお店です。この造りだけでもうれしくなります。肴も酒もおよそ酒場にあって欲しいものがことごとくあるようで、何を注文すべきか悩むほどです。若くて陽気でお喋りのママさんを目当ての独り客は駅側の席に着きます。年末年始は12月31日までで終わったらジャニーズのコンサートをみんなで見ながら年越しそばを食べるのよ、年始は1月4日からだけどねと楽しげにお喋りしながらも焼物や飲物の準備の手を休めることはありません。ビタミン不足のぼくが頼んだハムサラダはアルバイトの女のコが作ってくれたのですが、大人しいながらも仕事ぶりは立派なもの。のんびりと彼女たちの仕事っぷりを眺めていると、こよなく幸福な気分に浸っているのに気づかされます。都心の酒場のこれから帰らなくてはならないという重圧は、この酒場で呑む方たちにとっては無縁なのでしょうか。とりわけ店の向こう側で呑む老若男女は大人がここまではしゃいでしまっていいのかという位の愉しみようです。いつまでもこの雰囲気に浸っていたいのですが、お勘定をお願いします。席を立つと遠くからありがとうございの声が聞こえます。どうやら盛り上がりの中心にはこの酒場の店主が紛れ込んでいたようです。仕込みを済ませてしまうと後は女性にお任せなのでしょうか。そんな能天気な店主ですが、女性たちがしっかりと立ち働いてしかも楽しそうなのは店主の仁徳というところでしょうか。抜群に気持ちのいい酒場でした。
2014/01/03
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先日の夜は十条の店の人もお客さんも元気溌剌といった感じの十条の明朗酒場を呑み歩いたのですが,光あるところには影があると申しますし,当然ながらどこかしら陰鬱さを湛えたお店もあるものです。町場の隅っこで忘れ去られて見向きもされないようなひっそりとたたずむ酒場を目にすると、繁盛ぶりが目に見えて明らかな酒場なんかとは比べようもない吸引力を感じずにはおられません。この夜も商店街の横道にこれまでうっかり見逃していた酒場を見つけ、商店街の賑わいなどには目もくれず、一目散に店に向かいます。外側から店全体の醸す雰囲気をじっくりと観察してからそろそろ気持ちの準備もできたので扉を開くことにします。 「鶴清」というお店です。カウンターの先には座敷もありますが、店中が散らかり放題の印象でその乱雑さがぼくにとっては溜まらない魅力なのですが、多くの方にとってはえらい店に入ってしまったということになりかねない荒廃振りです。店名から予想された硬派さとはまったく相反する、はっきり言うとどこかだらしなささえ感じられる無法な雰囲気が殺伐とした無法なお店の印象を強めます。先客はやさぐれたじいさんが一人だけ。女将さんもはじめはなんだかだるそうな表情を浮かべ、これはさすがにしまったかなと思わずにはいられなかったのでした。それでもしばらくしてぼくがさほど害のない人間であることが判明すると―本当に害がないかは別問題、女将さんがそう判断したということ―、鹿児島が出身であることや京都の老舗に同じ「鶴清」という屋号があるのだとか、十条では「斎藤酒場」に負けず劣らず安いということで一見で入って通ってくれる人もいることなど矢継ぎ早にお話してくれます。徐々に店の雰囲気に馴染んでくると雑然とした様子が心地よく感じられるのは一見などほぼやって来ないであろうこうした常連さんのみで成り立つ酒場の常套的なあり方です。勘定をお願いするとお言葉に違わず、思わずこれでいいのという金額だったのはありがたいことです。 十条の商店街から逸れた路地に小さな飲み屋街があって、その隅っこでやはり細々と商売しているように見えるざわめきなど微塵も感じられない寂しげな焼鳥屋がありました。「やきとり 大将」という店名こそ威勢がいいものの客の入りが悪いことが店外からも感じられるお店がありました。そうした想像は往々にして当たっているものでやはり店内には2,3人の客がいるばかりで、いずれも一人客です。一人客ばかりがカウンターに並び、そっと互いの様子を伺いながら、ただ黙々と酒を呷り、肴をつまむばかりです。お店は思ったより若い夫婦でやっており、お二人は大変丁寧で笑顔を絶やすことがありません。すぐそばにある居酒屋はあまりの混雑で立ち寄る気にもなれなかったのですが、多くの客たちにとっては身動きすらままならぬほどに混雑した酒場のほうが安心できるのでしょうか。隣で呑んでいるオヤジがぼくの下げていたちょっと大きめのカバンを指して1,000万円入ってるのかいと声を掛けてきますが、それから会話が続くわけでもなく、店の方もそっと笑顔を振りまいてくれるのですが、特に話しかけてくるわけでもなく、ちょっとしたコミュニケーションで互いの緊張感を解きほぐすためにこうした一言を発したのでしょうか。ここではみなが独りで呑むという意志で連帯されているようで、それがどんなにつまらない一言であっても静かな一体感をもたらしているように感じられました。
2014/01/02
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急に十条の「和田屋」に行きたくなり,ひとり京浜東北線に揺られ東十条駅に到着。京浜東北線に乗ったのはただ単に便がいいからというだけで,東十条のあまたある優良酒場に目もくれず,一目散に十条駅の駅からすぐの路地にある「和田屋」に到着したのでした。店内からはいつになく騒々しい声が響き渡り,ああこんな状況ではひとり静かに呑むことは叶わぬであろうなとよそにしとこうかと思い振り返るとこれまで気付かなかったお店があることに気付きました。 「タイ風居酒屋 タイ イサーン」というお店で,タイ料理を肴に酒を呑ませるお店です。カウンターだけの店で,かつては立ち呑み屋だったのでしょうか。毎晩のように訪れているらしき堂々とした女のコにぼくと同様はじめてやって来たらしきおじさんが先客です。女性2名でやっておられて,流暢に日本語を話されますが,どうやらタイ?ご出身のようです。お二方とも大変柔和な表情を浮かべておられて,他国の料理店のギスギスした刺々しさがないのが心安らかに呑ませてもらえます。壁には大変充実したタイ料理名が記載された短冊が下がっていて,何にしようか迷いに迷ってしまいます。値段が大体300円とタイ料理店と比較すると破格に安くて,種類はずっと豊富,呑みばかりでなくひたすらにタイ料理が食べたいときにも使い勝手がよさそうです。安いからといってあまり欲張ると翌朝が大変なことになりそうではあります。また,タイ料理が食べたくなったらぜひとも再訪したいお店でした。 十条の町をぶらぶら歩きますが,充実した商店街の町として知られてはいますが,居酒屋はなぜだか少なくてもはや未訪問店はないかと思っていたのですが,まだまだあるのですね。駅も近付いた商店街の脇道に居酒屋が何軒か軒を連ねています。ここの存在は知っていたもののなぜだか足を向けることがありませんでした。せっかくなのでちょっと覗いてみることにします。中でもびっしりと客で埋まっているのがガラス戸越しに見えている「やきとり まるま」というのに立ち寄ってみることにしました。カウンターの隅っこにようやくのことで入り込むことができました。平成22年に開店したばかりの新しい店ですが,驚くほどの入りです。客層は若いアベックなどが多くて,こうしたもつ焼酒場に多いオヤジ客はあまり見受けられません。確かに焼物が94円~,煮込とうふが210円などなどいずれも安価にも係わらずかなりの高品質,これは若者に受けるわけです。しかしゆっくりしみじみと酒を楽しみたいのであればあまりお勧めはできません。あまりに騒々しいのです。そういえば,ぼくが入ったすぐ後に身なりのちょっと汚らしいオヤジがやって来て,入れてよ,旨そうだなあ,端っこに立ったままでもいいから入れてよ,そうしてダメなの,ぼくがお金なさそうだから入れてくれないの……と店の女のコに執拗に絡むのです。そこまでして飲食したいのであれば変わってあげてもいいと思いはするものの顛末を見届けたいとの意地の悪い気持ちになって事態の推移を見守っていたのですが,あまりのしつこさに店の男性スタッフも堪り兼ねて脅したりすかしたりしてようやく立ち去ったのでした。もちろん最後の最後まで悪態をつくことは忘れなかったのでした。
2014/01/01
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