仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2007.08.05
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カテゴリ: 国政・経済・法律
ちょっと前のニュースだが、7月30日米下院が、いわゆる従軍慰安婦問題の公式謝罪を日本政府に求める決議を採択した。

読売新聞社説(1日)は、誤った歴史の一人歩きが心配だ、と述べる。曰く、日米は民主主義や人権擁護の価値観を共有しているが、誤った歴史認識には明確に反論すべきである。慰安婦問題については、女子挺身隊が政府による慰安婦狩りだと一部新聞が事実と異なる情報を振りまいた経緯がある。河野官房長官談話(93年)も誤解を広めた。しかし強制連行を裏付ける資料は存在しない。強制性の説明もないまま決議を当然視する論調が展開される。「慰安」施設は旧日本軍に特有のものではない。今回の決議の背景には中国系の反日団体の動きがある。日本の外交当局は誤解を解く努力が足りない。

さて、産経の論調。曰く、性的奴隷などの語を用いて理性のかけらもない決議は、米議会の愚かな選択だ。第一何を証拠に20世紀最大の人身売買と断定するのか。慰安婦決議をきっかけに日本で反米感情が高まれば、日米同盟も危うくなる。それを喜ぶのは誰か、米議会人は胸に手を当てて考えるべきだ。

この下院決議だが、日本の参院選への影響を考慮して本会議採決は引き延ばされた。また、翌日にはアジア太平洋地域の安定やテロとの戦いに関する日本の役割についての謝意を示す決議も採択されたという。慰安婦決議の提案者のホンダ議員も謝意決議の共同提案者だ。バランスをとる狙い(産経記事)だそうだ。

最後に朝日。日本政府は93年の河野官房長官談話で旧日本軍の関与を認め謝罪した。これを受けてアジア女性基金を設立し、償い金と首相名のおわびの手紙を渡した。米側がこうした取組を評価しないのは残念だ。しかし、これだけ糾弾されるのは日本にも原因がある。河野談話は強制性を認めた公式見解なのに、その後一部政治家やメディアが河野談話を否定したり攻撃したりした。その勢力の1人が安倍首相だ。米国内には日本が戦前の価値観を引きずっているとの懸念があり、安倍首相の登場が警戒感を高めた。さらに、国会議員らが反論広告をワシントンポスト紙に掲載したことが、歴史をゆがめる日本の試みとみられて、決定的になった。慰安婦問題で旧日本軍を言語することは、自由や人権という両国が共有する価値観に反することを首相は知るべきだ。

朝日も一頃とはずいぶん論調が変わったものだ。米国特有の価値観だから、などと冷静で客観的な視点を提供するなど、随分変わったとも感じた。教科書問題で韓国を怒らせたとき、私は学生時代だった。

それでも、前2紙と全く異なるのは、旧日本軍の関与と強制性を認めていることに立脚している。その上で、政府の対応を批判するから、批判の内容も違ってくる。朝日は、謝罪が足りないと言い、産経は、事実誤認の説明が足りない、ということになる。例えば、ワシントンポスト紙広告についても、産経は一定の努力とし、朝日は失策だった、と評価も全く分かれる。

わが政府の対応は今のところ当たらず障らずのようだ。安倍首相は、訪米した際に自分の考えや政府の対応を説明してきたが、残念だ、と述べた。官邸は箝口令を引いたという。

今回の下院決議は前から動きがあったことで、米国の政治の文脈では、国内勢力の反映と対外的な駆け引きの中で発生する、それ自体は通常の作用なのだろう。真に受けて、それなら原爆投下はどうなのか、などと躍起になるのは、筋違いだろう。






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最終更新日  2007.08.05 08:02:52
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