仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2012.05.12
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カテゴリ: 宮城
昭和27年は独立の年、また第1回の高校体育連盟総合体育大会が5月下旬仙台で開催された。

この年、全国的な教育問題として浮かび上がったのが教育委員会法改正の動き。昭和23年に制定され、半数改選の規定により当年秋に選挙実施の予定であったが、さらに市町村教委の選挙は大体が当年まで延期されていた。秋には、各都道府県、5大市、全ての市町村1万あまりに教委を設置しなければならなかったのである。しかし、もともとこの制度は占領中の米国の指導で始められたもので、我が国の実情に合致とは言えぬ面もあって、全部の市町村に教委を設置するのはなお検討を要するとの声もあった。事実、26年7月の政令改正諮問委員会からの答申でも、教委は都道府県と人口15万以上の市に設置すれば足りるとするくらいであった。

文部科学省としてはさらに1年延長して十分研究検討したいとの改正案を用意したが、これには、各県教委は賛意を表し、各市町村に教委を設置すれば教員の異動も困難になると理由を挙げた。一方、町村長は、教育行政の混乱は避けたい、二重行政は自治警察で実験済みであるとして改正案を支持した。更に、教員組合は、各市町村に設置すればボスの発生必至として、改正案賛成の態度に出た。

しかるに国会では参院で可決された改正案が衆院で否決され、結局従来の教委法の示すとおり、今秋選挙実施、各市町村に教委設置と決まったのである。政府提案を与党たる自由党が主となって否決したのであるが、これには次のような理由がある。

率直に言って、日教組対策と言われた。自由党が改正案に反対する理由は、町や村に教委を設置するのは教育の民主化を進めるもので1年延ばすことは出来ないというのが表向きの理由で、実は、日教組の分断政策というのが一般の見方である。今まで5大市のほか57町村、東北では仙台市にしか教委がなかったため、日教組の交渉相手は都道府県の教委というのが特例的に認められていたのだが、今秋各市町村にも交渉相手が出来ることになる。都道府県単位に組合を作るという特例が5月10日で認められなくなっていた。この機会に日教組を各市町村単位に切り替えて勢力を弱め、また、選挙では地方の名士を選んで日教組を抑えようということらしいのである。

この結果に文部省は大いにあわてて善後策を練る。宮城県教委は、この間、7月16日定例委員会で次のように決議した。

教委法一部改正案が衆院では世論に反して否決されようとしていることは遺憾であり憂慮に堪えない。本委員会としては、未設置市町村の教委設置を1年延期して教委法根本改正に検討の余地を残そうとする本法案を、地方教育界の実情から見てあくまで支持するが、万が一法案が通過しないときは、少なくとも地方教委を任意設置とする規定を設け、もって不要な混乱を避け不安を解消されんことを切望する。

7月下旬、改正案は不成立となり、各市町村に新たに4人の教育委員(他に議会から1人)が生まれることとなり、既設教委の半数改選が行われることとなった。県内の日程は次のようである。

県教委 告示9月15日 選挙10月5日

町村教委 告示9月25日 選挙10月5日

全県下くまなく教委制度の啓蒙運動も行わなければならないが、町村長側からすれば、主として財政上の理由から不要論もあったほど妙なものだった。しかも8月28日に衆議院の解散(抜き打ち解散)がなされ、追放解除者が政界復帰を狙い、野党は抜き打ちの非を鳴らし、与党の抗争も激しかった。県では、佐々木嘉寿治知事が明年2月まで任期を残しながら、予算編成の常道からとの理由で再出馬のため早期辞任説が出て、10月早々、国会、知事、教育委員の選挙が重なって行われることとなった。

10月1日衆院選は、自由党が過半を制し第4次吉田内閣が成立するが、復活した鳩山氏を抱えて政権は混沌を続けるのであった。一方宮城県知事選挙では、佐々木氏の対抗馬として擁立された教育委員長の宮城音五郎博士が、政治に素人ながら清新と清潔を買われて僅差で当選した。

かくして、県教委には、庄司ヒサヨ、八島炳三、野口秀敏、相沢庸治の4氏が当選。仙台市では2名改選で石川謙吾、今野幸治郎の両氏が当選。ほか県内全市町村に4名の教育委員(議会から1人を加えて5名)が誕生した。はじめ仙台市以外では不振が伝えられたが、石巻で5名、塩竈8名、古川7名の立候補者があった。県教委委員長には野口秀敏氏、副委員長には議会選出の全先清水氏が選ばれた。

■出典:宇野量介『続 戦後の宮城教育を語る』宝文堂、1970年





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最終更新日  2012.05.13 18:16:47
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