仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2013.04.19
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カテゴリ: 東北
明治23年(1890)の帝国議会開設後は、それまでの薩長中心の政府高官の政策決定から不十分ながらも代議政治がスタートする。他方で、鉄道の幹線区間は、上野青森間が日本鉄道会社が建設するなど、多くが私鉄であったが、明治23年の恐慌で私鉄計画は停滞する。

そこで、鉄道庁長官の井上勝は明治24年に私鉄を政府が買収し、他の幹線は官設鉄道として建設する方針を打ち出す。議会では地元選挙区への敷設を叶えたい議員の間に鉄道路線拡張の気風が強まり、もっぱら官設鉄道の路線拡張を目標に鉄道敷設法が明治25年6月公布される。

鉄道敷設法第2条では今後全国に官設で敷設する路線を33掲げた。しかし、一斉に着工はできないから優先順位をつけることとなり、同法7条に、まず12年間で着手する第1期線(9路線。東北関係では福島青森間の奥羽線)を再記した。

このことから、鉄道実現を求める地方住民の目標は、議会による法改正によって、まず第2条に載せてもらい、次いで第7条に昇格させて着工時期を待つという手順となった。こうして、かつてのように高官の一存で路線を決定するのではなく、地元選出の衆議院議員に依頼する運動が沸き起こったのである。

第1期線9路線の建設は日清戦争後に本格化したが、多くは予定より遅れ、奥羽線の完成は日露戦争後の明治38年(1905)となった。遅れながらも第1期線が完成に近づくと、他の路線の沿線地域は第1期線への繰上を求めて運動を強める。

こうした要求を中央に投じるパイプ役となったのが明治33年結成の立憲政友会である。政友会は、鉄道、治水、港湾、道路などの要求を吸い上げる利益誘導政治で衆議院で多数を占め続けた。とは言え、日露後の日本は賠償金が得られないことから財政が苦しく、鉄道敷設法に基づく官設鉄道の拡張も進展しない実情であった。

そこで地方の短区間の路線は私鉄として建設させる方針が示され、明治43年(1910)に軽便鉄道法が公布される。各地に軽便ブームが起きるとともに、国鉄にも軽便敷設に道を開いた。このため、大正時代に建設される多くの路線は、鉄道敷設法の改正が不要となる国鉄軽便線となった(東北関係では水郡線、大船渡線、大湊線など。北上線は敷設法から削除されて軽便鉄道建設予算に計上されて建設)。

第一次大戦後の好景気もあって原敬の政友会内閣は、鉄道建設積極政策に出たが、ライバル憲政会もまた地方の建設要求に積極的に応えるようになる。このため、政党間の綱引きで路線が不自然になるケースもあった。典型は国鉄軽便線として敷設された大船渡線である。陸中門崎と千厩の間は直線で10キロほどに過ぎないが、わざわざ正方形の3辺を通るごとく迂回するため26キロもの路線延長となった。これは、摺沢を地盤とする政友会の政治家が地元を通させたからであるが、摺沢から大船渡に東進すると千厩が素通りされることから、今度は憲政会の大物議員が千厩を通したのである。かくして不自然なナベヅル線となるのは、政友会と憲政会の誘致合戦の結果である。

ところで、大正9年の恐慌や12年の関東大震災による不況局面で政友会の積極策も行き詰まる。しかし、各地の建設熱はさめず、原内閣は鉄道敷設法の改正を検討する。新たな法案は、別表に掲げる予定路線について序列を施さず、これらの中から順次予算を計上して着工するとした。そして、別表には実に149の予定路線が一挙に掲げられたのである。原の死後、おなじ政友会の高橋是清内閣がこの法案を成立させ、大正11年に公布。第二次大戦後まで存続した。


(松下孝昭著作部分)

〔次回(その2))に続く
次回は改正鉄道敷設法別表掲載の路線の推移(東北関係分)を予定しています。
幻の鉄道計画 改正鉄道敷設法の予定線(その2) (2013年4月20日)





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最終更新日  2013.04.20 11:39:32
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