仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.03.18
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カテゴリ: 宮城
昨日(17日)午前、大衡村の跡部村長は村議会を解散した。前日に議会が不信任決議を可決したことに対する対抗措置だ。

これにより、現在村議会で審議中の新年度予算などの議案も消えてしまった。読売新聞の報道では、村長が暫定予算を編成して専決処分で対応するという。

村長は解散の理由として、「不信任決議は定例会の最終日まで待って欲しいとお願いしたが聞き入れられなかった。自分のもとでは予算を含めて信任できないということだから、解散せざるを得ない」とのコメントを出している。

もちろん、これは全く理由になっていない。今回は村長の出した議案が問題なのではなくて、村長個人の資質が問題視されたのだから、「すり替え」の綺麗な典型例だ。また、村議会選挙の形で有権者に問うべき実質的争点が提示されているわけでないから、必然性がわからない。さらに言えば、かりに解散するとしても予算審議終わるまで待つことも可能だ。解散権行使は10日以内で、議会の会期は19日までの予定だった。村長としては、議会が不信任決議という強い措置に出たことやそのタイミングなどに関して、根深い恨みがあるのだろう。

それにしても、行政の混乱や停滞を考えると、解散などしている場合でないだろうと思う。現実的総合的に判断すれば、まず辞職の意向を明言して、19日までの会期は全うして閉会後に辞職、しかないだろう。

村長は辞職するのかどうか報道がないが、このまま居座っても、4月26日の選挙後の初議会で再び不信任決議がなされる可能性が高く、そこで失職となる。選挙を2度やるよりは、自ら辞職して議会と村長の選挙を同日にやってもらった方がまだマシというものだ。

ところで、今回は上記のとおり、いただけない判断であるが、一般論としては不信任をつきつけられた首長が、辞職や失職(解散しないと10日経過で自動失職)を選ぶのでなく議会を解散するのが王道であり当然の対応との見方もある。

辻山幸宣氏の文章にあるのだが、片山虎之助氏が総務大臣の頃、長野県議会から不信任決議を受けた田中康夫知事(当時)が、失職のみちを選んだ後、知事選に再出馬して当選したことに関して、知事選挙をやることは制度は想定しておらず、議会の判断がおかしいと思えば首長は解散すべきだ、との見解を述べた。制度は明らかに解散と失職の2つを定めているのだが、たしかに、不信任を受諾した形の知事が再出馬するのはおかしいという見方に一理はある。現実は、議会選挙よりも知事選挙の方が成就するという政治的計算だろうが。制度は、不信任決議があった場合には、首長の判断によって、首長と議会のいずれかをいったん退場させて有権者の判断に委ねることで事態の解消を図ることとしている。首長が退場した場合に本人がまた選挙に打って出るとなると、制度の趣旨には合わないということは、一応言えそうだ。

首長が解散すると同時に自らも辞職して、ダブル選挙に打って出る事例も多いが、これも制度ほんらいの趣旨を事態解消過程と解すれば、どうなのかという議論はあるかも知れない。ただし、田中知事のケースもダブル選挙の場合も、違法なものではないし、具体的な場合において、目先の功利や地位保全の観点ではなく選挙で民意を問うあり方が適切に判断されれば良いのだろう。



政府の見解である7条説は違和感がある。よい憲法にするための改正には賛成で、是々非々で協力するが、憲法改正の議論の中に解散権が出ていない、という指摘だ。総理答弁では、「実質的に解散権限は内閣にあり、いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣が政治的責任で決し、憲法上制限は規定されていない」と述べたうえで、「三権分立をどのように考えるかという統治機構に関する根本的な問題で、こうした問題も含めて憲法改正には国民の理解が不可欠だ。今後とも国民的な議論がさらに深まっていくことが大切で、どの条項をどのように改正するか、いつ改正するかなどについても国民的な議論を深めていきたい」と述べた。(NHKニュースから)

片山氏はおそらく制度論として変えようという意図はなく、7条解散説は文理上不自然だから明文化すべしということなのだろう。でも、こんな「一般受け」しない議論をする氏のユニークさは評価されるべきかも知れない。旧自治省行政課長もされたというし、法制度のプロとしての自負や責任感か。国民が納得する憲法、わかりやすい憲法という視点からは、実は大事なことだ。

解散王道説からすれば、大衡の村長の判断は適切で、しかも、辞職すべきではない、という結論にもなりそうであるが、しかし今回の事情はまったく政策選択の話ではないから、そんな結論になるはずはない。





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最終更新日  2015.03.18 23:00:01
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