『福島の歴史物語」

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2008.03.12
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 私は熊田氏に関する資料と、前に会ったときの話を基に確認の作業に入った。また幾つかの疑問が発生していた。
 その第一は、惟元充隆もしくは熊田白翁と熊田文儀の関係である。
 熊田文儀の墓碑銘には、熊田白翁は子がなく文儀を養子にしたと記載されている。ところが熊田白翁の墓の戒名は『自稱院白翁惟元居士』であって白翁と惟元の文字が入っており、しかもその墓碑の側面には惟元充隆の名と没年が記されている。この事実をそのまま解釈すると、『白翁』と『惟元充隆』とは同一人であるという推定が成り立つということになる。
 しかし新家譜には、信庵惟泰は惟元充隆の子と記載されている。すると『清光院芳譽真阿居士』の墓碑に『先生』と記された信庵惟泰は、惟元充隆つまり白翁の子であるということになってしまう。
 これでは子のないはずの白翁に子があることになってしまい、明らかに矛盾することになる。
 それらを念頭に置いた上で、熊田氏が話していた「ここの墓地には熊田白翁直系の者のみが祀られている。それであるから信庵惟泰は、郡山の熊田家の者と思いたい」という言葉を解釈してみる必要があると考えたが、しかしこれは二代目文儀が建立した信庵の『清光院芳譽真阿居士』の墓碑銘(ここに先生の石碑を建て、先生の墓と思ってお参りをする)から推定して、墓碑ではなく遙拝碑と解釈すれば解決できると考えた。それはまた以前に、熊田氏と話し合ったことでもあった。
 そしてこれらのことから導き出されることは、惟元充隆の墓は二本松になければならず、またもし二本松にある以上、熊田白翁と惟元充隆は別人でなければならないという結論になる。そこで熊田氏にメールで問い合わせをしたところ、惟元充隆と信庵惟泰の二人の墓は、二本松の長泉寺にあることが確認された。
 ──こうなると熊田白翁そして惟元充隆と信庵惟泰の親子、さらには白翁の養子となった熊田文儀とは、どう整合するのであろうか?

 私はまた熊田家の墓地に行ってみた。それには熊田氏から、次の手紙が届いていたこともあった。                               

   文儀に関する古文書コピー確かに受領しました。有難う御座い
  ました。
   小生の様な素人にとってはこの種のトレースは非常に難しいも
  のですが、一度手元の資料をもう一回チェックして何かお知らせ
  出来る事があればご連絡させて頂きます。
   話は変わりますが文儀碑は周りの銀杏、欅の大木の根っこの為、
  数十年前より傾き始め小生はずっと気にかかっていたのですが、
  橋本さんに彼の偉業を取り上げて頂いた事もあり、一大決心をし
  半年前より石材店と綿密な打ち合わせをしつつ其の修復工事を行
  い今月初めに無事完了しました。
   何しろあの大きな石碑は重さが二・五トンあったそうで(丁度
  ピラミッドの外装石材一個分と同じ位)墓地用のクレーン車一台
  では危険で二台を使ってやっと作業を終えました。他の墓石も修
  理しましたので一応きれいになりました。お時間のある時一度ご
  覧下さい。ついでながら本作業を実際にやった業者は三春の鈴木
  石材店で、橋本さんの話をしましたら良く知っておりました。
   今年は安芸幸子さんの米寿の年なので、正月二日に小生主催で
  お祝い会をする予定です。彼女も年の割には元気でまだまだ長生
  き出来そうです。
     どうか良い年をお迎え下さい。

 私はこの文面から、熊田氏が自分の親戚からも、熊田文儀の調査について期待をされていることを感じていた。とにかく私も調査を継続することを熊田氏に約束してしまった以上、何とかしなければならなかった。再び墓地に行った私は、熊田文儀の養父である『自稱院白翁惟元居士』の墓石を一字一句慎重に観察した。側面には、『寛政三辛亥正月初七日 熊田惟元充隆』と彫られている。もちろん、いつ見ても変わりのない文字の並びである。
 ──ん・・・? 正月初七日とは?
 私は今まで気が付かなかった『初』の文字が気になった。
 ──熊田氏から頂いていた戒名の一覧表には、白翁は寛政三年正月七日没と記してある。つまり『七日』没のものを『初』七日と彫り込んだことに、何らかの意味があるのではないだろうか。これは実子をもつことなく正月七日に亡くなった白翁の墓碑を、養子の熊田文儀ではなく、本家筋に当たる熊田惟元充隆が正月の『初七日』に建立した、という意味ではあるまいか? もっとも文儀は十九歳で養子になったのではあるが、養子になって一年に満たない年の養父の死であった。年齢、経緯から言っても、養父・白翁の葬儀を主宰するには不適切と判断されたとも思われる。そのために本家の惟元充隆が養子の文儀に代わって建立したということは、充分に考えられる。
 そう思った私は、生前の白翁が実兄、つまり二本松の本家の名の惟元充隆を、敬意を込めて使っていたと仮定してみた。そうすると、白翁の戒名に含まれている『惟元』という文字の使用の必然性、白翁に子がなかったということ、さらに二本松の長泉寺に葬られている惟元充隆に子があるということ、の矛盾が解消できると考えた。
 私はこれらの推定を、熊田氏に手紙で送ってみた。ほどなく、返事が届いた。

   さて御申し越しの仮説に就いては現在の資料からは確定的な事
  は難しいとしても橋本さんが考えられた仮説には賛成です。只、
  守屋村の疫病が果たして天然痘であったのか、又信庵の墓石に刻
  まれた『先生』と言う言葉から、単なる師弟関係のみで墓を如宝
  寺に移したとは考え難いと思われます。なぜならあの熊田の墓は
  熊田の直系のみの墓地として受け継がれて居り他人が入ると言う
  ことはなかったと私は考えたい所です。     







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最終更新日  2008.03.12 09:58:23
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