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転校していじめられた少女がいじめている相手を心の中で葬る話。一人称のですます調の独白のような文体。田舎に転校して注目を浴びる側、都会から転校生が来て言葉や服装に衝撃を受ける側のどちらにも共感できる。自殺を考え、家族の愛を知り、いじめっ子に立ち向かっていく姿もよい。状況がステレオタイプなものの、文章が平易でわかりやすく、この小説を読むべき少年少女にとっては普遍的に受け入れられるだろう。その上、主人公が男性教師を手玉にとるような精神的成熟があり、物語に性的な個性が出ているのはよい。★★★★☆風葬の教室価格:399円(税込、送料別)
2010.07.19
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サラリーマンをやめて尼ヶ崎でモツを捌くようになった男が刺青を入れた女と知り合って心中未遂をする話。主人公の一人称。甲斐性なしの主人公がずるずるとわけありの連中にまきこまれていく様子にリアリティがあるのがよい。兄の借金のかたに売られそうになる女の心情もよく表現できている。しかし主人公は「あッ」と驚いたり「……」と沈黙してばかりで自分で行動せずに物事の展開が周りの人間に巻き込まれる形でしかおきてないのが物足りないところ。中流の生活を嫌っていることは描写されているものの、現状の下流の生活について何を考えているのかよくわからない。★★★★☆赤目四十八瀧心中未遂価格:530円(税込、送料別)
2010.07.19
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火山の研究をする女性が易を気にして浅間山にいく話。三人称。電話して占いを聞くシステムを開発しようとする門田との会話が長い割に、プロットとしての役割は易者を紹介するだけしかなく物足りない。火山をテーマにしつつも全体に占いや易の話が長くて物語の展開が遅く、主人公の私生活を掘り下げているわけでもないので共感も薄くて、浅間山の噴火を経験した女性の体験記のほうが本編より面白く感じてしまう。★★★☆☆真昼のプリニウス価格:620円(税込、送料別)
2010.07.17
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原始人の生活を書いた表題作とほかの短編集。相変わらず粗野な男がでてきてレイプしたりする話が多いものの、SF風味が薄れていてほかの短編集にくらべたら面白さが見劣りする印象。★★★☆☆
2010.07.07
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村人に馬鹿にされてきた阿Qが革命に加担したとして殺される話。作者の「わたし」が三人称で阿Qの正伝を書く体裁。阿Qのだらしなさや阿Qをいじめる周囲の人たちに中国人気質がよく出ているものの、ストーリーとしてはたいして面白くない。まわりの人物が脇役としてプロット上の役割を果たすわけでもないし、かといって自伝として中国の政治的動乱の背景にリアリティがあるわけでもない語り口。★★★☆☆
2010.07.07
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モーツァルトや音楽についての評論。モーツァルトの評論は面白いものの、ヴァイオリンについて評論はいやいや書いたというやっつけ感が出ている。★★★☆☆
2010.07.03
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20代に書いた短編小説やエッセイなど。アメリカ人側から見た太平洋戦争、戦後の日本駐留を舞台にした短編小説は興味深いものの、ヘミングウェイ的な月並みな戦争小説という印象。兵士の一場面を書いているものの、他で見たことがないような特殊な場面を書いているのでもなく、人間の真理をつくような普遍性もないため、通時性も共時性もなく、全集で読み返すのに見合うほどの面白さを感じない。自分の小説のために自分で広告文をつけているのは趣向として面白い。★★★☆☆
2010.07.03
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自然をテーマにしたエッセイ集。アリゾナの砂漠でガラスでできた巨大な空間内で生物の相互依存関係を実験する『バイオスフィア2』というプロジェクトを取り上げていて、自然についての知的好奇心を刺激する内容や考察が興味深い。★★★★☆
2010.07.03
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武蔵野の「はけ」に住む秋山夫婦が不和になり、妻の道子が戦争から帰ってきた従弟の勉と恋仲になる話。三人称。静的な描写が多く、特に前半では要約が多く、場面展開をはしょっていてあまり印象に残らない。後半になって動的な描写が増えてプロットとしても各登場人物が入り乱れて面白くなってくるものの、具体的性描写を避けているし、生活の生々しいリアリティ、つまりはアクチュアリティに欠ける印象。作中での登場人物の一夫一婦制に対する議論も中途半端。文章とプロットがはっきりしているし、展開によどみないところには作者の文章のうまさを感じる。しかし自殺で物語の決着をつけるのは安易なロマンチズムで、ストーリーは書ききったけれど、恋や貞操といった人間の心情の追求という点で物足りない。★★★☆☆武蔵野夫人改版価格:420円(税込、送料別)
2010.07.03
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アメリカに嫁いだ日本人女性たちの話。三人称。主人公の圭子のほか、夫と子供ができず若いインディアンに貢ぐスウと子供を殺したジェーンが日本人女性として出てきて、各々の望郷が描かれる。白人に媚を売る絵を描くインディアンのエドガーと、白人に対する復讐の歌を歌う他のインディアンたちを対比していて、そこから望郷へとつなげるのはプロットが飛躍している印象。白人に侵略されたインディアンとアメリカに敗戦した日本の状況は似ているけれども、侵略されたインディアンとアメリカに憧れて自ら渡米した日本人妻の望郷の念を比較するのはしっくりこない。他の短編は宗教や死をテーマにしているものの、プロットの展開が乏しく、死生観も描ききれてない印象。★★★☆☆
2010.07.03
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